キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【強襲!】キャプテン森崎35【ウルグアイ】

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/30(水) 19:08:49 ID:vrU9GMil
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1256045459/l50
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルの名門クラブパルメイラスのユースチームのキャプテンとして
プロへの登竜門と言われる大会、リオカップへ挑んだ彼は数々の強敵達を零封するも
決勝の相手、宿敵大空翼率いるサンパウロFCに1−4と言う大敗を喫してしまった。
大会MVPも翼に持っていかれてしまった森崎はリベンジの為に全日本ユースに合流し
ジャパンカップで再起を図った。初戦の相手は強力なツートップ、ラモン・ビクトリーノと
火野竜馬を擁するウルグアイユース。両チームとも中々シュートに持っていけない展開が
続くが得点は0−1でウルグアイがリード。全日本ユースは反撃のチャンスをみつけられるのか?
…こんな感じで話は進んでいます。

290 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/28(木) 20:25:22 ID:xTGDmirf
放送「間も無く本日の第二試合、ハンブルガーSV対サンパウロFCが始まります。
ハンブルガーSVは西ドイツを代表する名門サッカークラブの一つであり、
今回招待されたこのユースチームは現在国内リーグの1位を独走しています。
特にゴールマウスを守る若林源三くんは連続無失点記録を更新中であり、
一軍への昇格も間近と噂される程の逸材です!更にこのチームはパサーのメッツァくん、
サイドアタッカーのカペロマンくん、シャドウストライカーのポブルセンくん、そして
キャプテンを務めるドリブラーのカルツくんと非常にバラエティ豊かな中盤のタレント軍団を誇ります。
様々な攻撃パターンを駆使して点を取り、それを鉄壁のGKが守る。非常に安定して強いチームと言えるでしょう!」

観客「へえ、ハンブルガーSVってそんなチームなのか」「若林…ああ、そう言えばJrユースで控えGKだったな」
「俺知ってるぜ!このチーム、3年前の全日本Jrユースの欧州遠征の練習試合相手だったんだよ」

放送「迎え撃つのは先日ブラジルのユースチームNo1を決める大会リオカップを圧倒的な戦績で制した
超強豪、サンパウロFC!皆様ご存知、日本が生んだサッカーの天才児大空翼くんが
エース兼キャプテンとして率いるチームです。森崎くんと共に数々の不敗伝説を築いてきた彼は
ブラジルで見事夢を掴み、来月からトップチームでプレイする事が決まっています!
そして彼と共に戦うメンバーも各国代表クラスの実力者達が目白押し!リオカップでぶっちぎりの得点王に輝いた
驚異のイタリア人ストライカーストラットくんを初めとしてマウリシオくん、バビントンくん、アマラウくん、ドトールくん、レナートくんと
恐らく来年のワールドユースでもその雄姿を見せてくれるであろう猛者たちばかりです。
ドイツ一とブラジル一のクラブユースチームの衝突の行方は果たしてどんなドラマとなるのでしょうか?」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「待ってたぞ、翼ー!」「俺は仕事サボッてお前の試合を見に来たんだからな!活躍しろよ!」
「18歳でブラジルのプロだなんて凄すぎるぜ!」「日本一から世界一になってくれ!頼むぞ!」
「翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!翼!」

放送「おーっとここで怒涛の翼コール!満を持して凱旋したスーパースターへの歓迎です!」

森崎「(ケッ。胸糞わりぃ)」

291 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/28(木) 20:25:39 ID:xTGDmirf
どちらかと言えばサンパウロ寄りの実況に対し、観客はこれ以上無い程あからさまに翼贔屓だった。
だがそのどちらも実際にフィールドに立っている当事者達にとっては大して意味は無かった。

若林「フッ…俺が見くびられるのも今日までだ。悪いが引き立て役になってもらうぜ、翼」

翼「…良い目だ。昔の期待外れの虚勢とは全く違う自信を身につけたんだね」

若林「ああ。森崎の首を先に取られた分、しっかりお前から取り立てさせてもらう」

翼「勝負だ、若林くん」

ガシッ!

かつてのライバルの二人が熱い握手をかわす。すると場を取り成す様にカルツが咳払いをした。

カルツ「おいツバサ、俺にも構って欲しいぜ。妬いちゃうよ?」

翼「おっと、ごめん。君を軽視する訳じゃないんだカルツ。ただ若林くんは長い付き合いだから」

カルツ「お暑いねえ。だけど俺もお前に色々借りがあるって事は忘れんでくれよ」

翼「…ああ、それは良いんだけど」

茶化しながら闘志をぶつけてくるカルツに翼も笑顔を零したが、ついで嫌そうな表情で視線を逸らした。

翼「アレ、何とかしてくれない?」

ポブルセン「てめえ…言うに事欠いて”アレ”呼ばわりだと!?」

カペロマン「そりゃ〜嫌な物扱いされるよな」

メッツァ「あ〜あ、また乱闘が起きるのかなあ」

彼の視線の先ではポブルセンが今にも飛びかかりそうな表情で眼光を飛ばしていたのだ。
チームメイトの野次は気にならないが翼の態度は許せないらしい。
その理不尽さにはカルツでさえも苦笑してお手上げのポーズを取った。

292 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/28(木) 20:26:12 ID:xTGDmirf
カルツ「悪いがアレは狂犬だ、ワシの手にゃ負えん」

若林「どうしても何とかしたかったら自分でやりな」

翼「そう…ポブルセン」

ポブルセン「何だ」

翼「君が俺を恨む理由は聞いたよ。俺が入団したタイミングでサンパウロに断られたんだってね」

ポブルセン「だからなんだ。まさか謝るつもりじゃねえだろうな」

翼「そんなつもりは毛頭無いよ。そして君に”その態度が断られた原因じゃないのか”とか言っても
通じそうに無いから、”西ドイツでプレイ出来ているから良いじゃないか”と言う事で納得して欲しい。
プロリーグが無い日本で生まれ育った俺にとっては、それでも羨ましい事だからね」

翼は精一杯ポブルセンが受け入れそうな論理を考え、それを説いた。

ポブルセン「フザけんな!」

結論から言えば、彼はポブルセンの狂気の深さを測り損ねていた。

翼「………何を言ったら納得してくれるんだい?」

ポブルセン「しねえよ、てめえが地獄に落ちる以外はな!日本生まれとしては西ドイツでプレイ出来るのでも羨ましいだと!?
脳みそ腐ってんのか、この平和ボケ民族め!そもそも何で俺がわざわざ南米のクラブに行こうとしたと思っているんだ!
命からがら東から亡命したってのにトラブルを恐れた腰抜けクラブどもに悉く門前払いされた悔しさがてめえに分かるか!」

翼「!………」

293 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/28(木) 20:26:28 ID:xTGDmirf
ポブルセン「俺は許さねえ!てめえだけじゃねえ、俺にサッカーをさせねえこの世の全てをだ!
元々俺はサッカーなんか好きじゃねえんだ、だが金を稼げそうで俺が出来る事はこれしかなかった!
なのに何もかもがそれすら邪魔してきやがる!てめえも、南米のクラブも、西ドイツのクラブもな!
そしてどいつもこいつも俺を見下すか嘲り笑う!ぶっ壊してやるんだよ、俺を怒らせる全てをな!」

翼「(サッカーが出来ない辛さ、か…少し、彼の気持ちが分からなくも無い…)」

ポブルセンの剣幕と身の上話は翼に僅かながら罪悪感を感じさせ、怯ませる事に成功した。
そのままポブルセンは審判にすら口を挟ませない勢いで唾を飛ばし続ける。

だがポブルセンの話がそのまま続くと次第に翼は困惑していった。

ポブルセン「俺がクソみたいなはした金でハンブルグに雇われたのもてめえのせいなんだ!」

翼「………」

ポブルセン「金が足りなくて東ドイツに居る家族を亡命させられなかったのもてめえのせいだ!」

翼「…東ドイツの事情までは責めないで欲しいんだけど…」

ポブルセン「クソみたいな味の西のザウアークラウトを食わねえといけねえのもだ!」

翼「えっ?いや、それはただ単に君の味の好みの問題…」

ポブルセン「女どもに近づくだけで顔が怖いとか抜かされてトラブルになるのもてめえのせいだ!」

翼「ちょっと待ってよ!それはどう考えても君自身の問題だろ!」

ポブルセン「空港で余計な騒ぎになってクラブの偉い豚どもに説教されたのもてめえが悪い!」

翼「………はぁ?」

ストラット「(ただのキチガイじゃねーか…)」

294 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/28(木) 20:27:16 ID:xTGDmirf
最初は逆恨みながら筋は通っていたポブルセンの話は次第に脱線していき、
翼他サンパウロの面々は開いた口が塞がらなくなる。

カルツ「あ〜、ワカバヤシ。やれ」

若林「全く、面倒な…」

ポブルセン「ポストが赤いのも…グブッ!」

若林「その辺にしとけ。いい加減試合始めろ」

そのままだと何時まで続いていたか分からないポブルセンの暴走は若林の手によって打ち切られた。
口を塞がれたままずるずると引きずられていくポブルセンの姿に翼は疲れを込めたため息をつく。

翼「…大変だね、カルツ」

カルツ「まあな…だが」

翼「?」

カルツ「バカとハサミは使いようだ。あんな奴でも武器にはなる。ワカバヤシじゃないが…勝たせてもらうぜよ」

翼「………」



ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

こうして多少のトラブルはあったものの、ハンブルガーSV対サンパウロFCの火蓋は切って落とされた。

295 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/28(木) 20:27:48 ID:xTGDmirf
今日はここまで。

296 :創る名無しに見る名無し:2010/01/28(木) 21:44:50 ID:OYBCwv3y
おつですぃたー

297 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 01:50:16 ID:9f01njvp
ボブかわいいよボブwwww

298 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 08:41:44 ID:MeoBGaPO
サンパウロ勝利は確定ですか?
それとも判定しだいでハンブルガー勝利もありえますか?

299 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 10:12:57 ID:pSxSfjne
なんかハンブルガーSVが勝ちそうな気がするのは俺だけ・・・?
翼が怪我とか審判の誤審とかがあってだと思うけど・・・

300 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 12:24:05 ID:0nzvXOtN
戦力的にはどちらが勝ってもおかしくないね。
というか読む楽しみがあるのでどちらが勝つかはアナウンスしないで欲しいです。

301 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 13:46:39 ID:kBus7tF4
NPC戦なんだから正座して待ってようぜ。

302 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 18:34:59 ID:CWu6lxb6
NPC戦は判定無しで最初から結果は決まっていますが、
ネタバレになってしまいますのでどっちが勝つかは言えません。
辛抱強くお付き合い下さい。

303 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 18:38:25 ID:X9BHXGue
まあ見てからのお楽しみって奴だよね

304 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 18:48:30 ID:s2hZRh+R
>>303
同意
NPC戦は最初から結果が決まっているのに、それで支持率の上下があるならどうかと思うけど

305 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 20:28:48 ID:CWu6lxb6
サンパウロFC

−−H−− Hストラット
J−−−F Jプラトン Fジウ
−−I−− I翼
−G−E− Gバビントン Eマウリシオ
−−−−−
−−D−− Dドトール
A−C−B Aリマ Cアマラウ Bマリーニ
−−@−− @レナート

ハンブルガーSV

−J−H− Jヤラ Hクラウス
−−−−−
G−I−F Gメッツァ Iポブルセン Fカペロマン
−−E−− Eカルツ
−−−−−
−−D−− Dマイヤー
−ACB− Aリンツ Cハーネス Bゴンゲルス
−−@−− @若林

306 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 20:29:04 ID:CWu6lxb6
放送「ハンブルガーSVのキックオフで試合開始です!メッツァくんが蹴ったボールをポブルセンくんが受け取り…」

試合はポブルセンの暴挙に等しいプレイで開始された。

ギンッ!

ポブルセン「死ねェエエエエ!!」

翼「なっ!?」

ダダダダダダダ!

ドゴオッ!

翼「ぐああっ!」

サンパウロメンバー「ツ、ツバサ!」「てめえよくも!」

わざわざ翼の位置まで一直線に突っ込み、明らかに相手をかわすのではなく吹き飛ばす為のドリブルを食らわせたのだ。
相手を負傷させる事が目的にすら見えるこのドリブルをとある記者が責めた時ポブルセンは
「火遊びした間抜けへの報いだ」とコメントした為、以後彼のドリブルはフレームドリブルと言う称号と共に恐れ忌み嫌われている。

放送「おお〜〜〜っ!?ポ、ポブルセンくんいきなり中央突破…いや、まるで翼くんを狙い撃ちしたかの様に
突撃しボール越しに蹴飛ばしてしまいました!一歩間違えば即反則の危険なドリブルです!」

観客「ちょっと、いきなり何するのよ!」「あれ反則じゃないのか!?」

カルツ「ここまでは良いんだが…」

ポブルセン「ゴチャゴチャうるせえ日本人どもめ!サッカーなんぞ勝てば良いんだよ勝てば!」

ダダーーーッ!!

307 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 20:29:24 ID:CWu6lxb6
放送「ポブルセンくんそのままドリブル!まさかこのままいきなり一人でゴールするつもりなのか!?」

カルツ「あいつパスしないんだよなあ…」

ドトール「お前の相手は日本人だけではないぞ」

ズシャシャッ!
バチィッ!

ポブルセン「なっ!?」

カルツ「そんでこうなると。やれやれ」

しかしサンパウロが黙ってやられる訳も無く、ポブルセンの無謀な突撃は失敗に終わった。

放送「しかしセンターバックのドトールくんが彼の行方を阻みました!零されたボールはマウリシオくんがフォロー。
そのまま右サイドを上がっていき…カルツくんとメッツァくんが立ちはだかりました!」

マウリシオ「よーし、ブラジルのテクニックを見せてやるぜドイツ人!」

バババッ、シャッ!

メッツァ「確かに上手いけど…」

カルツ「なんとかなる範囲ぜよ!」

バチッ!

マウリシオ「げっ!…あっ、キャプテン!」

カルツ「ぐっ、もう来やがったか!」

308 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 20:29:42 ID:CWu6lxb6
放送「マウリシオくん突破はならず!しかし翼くんがすぐさまこぼれ球を拾い、彼の代わりに右サイドを上がっていきます!」

観客「おおっ、どうやらケガはしていないみたいだ!」「そのままいけー翼!」

翼「(この試合俺は守りをおろそかにする訳にはいかない。つまり攻撃はストラットに任せたい。だが…)」

サンパウロの反撃には一つ問題があった。ストラットがDF4人にガチガチにマークされていたのである。

マイヤー「お前にボールを渡させなければ良いのは調査済だ」

ストラット「ちっ…!」

翼「(あれだけ厳重にマークされているならこうするしかないか)ジウ!ストラットに上げろ!」

バシュッ!

ジウ「偶には俺にも撃たせろよ、ったく…そりゃ!」

バコーン!

放送「ジウくんセンタリングを上げました!早くもサンパウロの得点チャンスです!」

ストラット「マークしたいんなら好きなだけしやがれ!まとめて吹っ飛ばしてやらァ!」

バッ!

若林「何を勘違いしている?吹き飛ばされるのは…」

バッ!

309 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 20:29:58 ID:CWu6lxb6
ガスウウッ!!

4人のDFのマークを物ともせず飛びあがるストラットの脚と、勢い良く飛び出した若林の両手が激突する。

吹き飛ばされたのはハンブルグのDF4人。

マイヤー「ぐわあっ!」
ハーネス「がはっ!」
ゴンゲルス「ぎゃっ!」
リンツ「いでえ!」

ストラット「う…わぁあっ!?」

そしてストラットの計5人だった。

放送「あーーーっと、ストラットくんのオーバーヘッドキックを若林くんなんと抜群の飛び出しで押さえ込んだばかりか
勢いで押し返してしまいました!なんと言うパワー!なんと言うスピード!前評判通りの素晴らしい守りです!」

観客「あ〜、決まったと思ったのに」「そう簡単にゴールは出来ないか」「でも凄い飛び出しだったぞ今の」

ストラット「く、くそっ…」

若林「(まだだ。俺の力を見せ付けるにはこんなものでは足りん。もっとガンガン来いサンパウロ!)」

翼「(どうやら、今回はサボッていなかったみたいだね)」

全日本メンバー「す、凄い…」「いきなりなんてハイレベルな攻防だ…」

森崎「(ケッ、こんなのブラジルで見飽きてきたってんだ)」

310 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 20:30:47 ID:CWu6lxb6
いったんここまで。

311 :創る名無しに見る名無し:2010/01/29(金) 20:53:35 ID:VlWIYnt1
乙です!

>>304
俺は支持率変動あっても自然だと思うな。強制イベントみたいなものだし。

312 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 23:18:27 ID:CWu6lxb6
放送「サンパウロの先制シュートを凌ぎきったハンブルガー、左サイドのメッツァくんに渡して仕切り直しです。
しかしすぐさま翼くんとマウリシオくんがついた!サンパウロのチェックが速い!」

翼「(作戦通りに守るぞ、マウリシオ!)」

マウリシオ「(了解ッス!)」

メッツァ「僕のパス、取れる自信あるの?」

ブンッ…
バシュルル!

マウリシオ「うへっ!?」

翼「…は、速い!」

メッツァ「だめじゃん」

シュルルルル…
バウンッ!

カルツ「(あめえぜサンパウロ。メッツァのパスはまずカット出来ないからこそうちの攻撃の開始役なんだ)」

カペロマン「よし、俺の出番だな!」

ササッ!

バビントン「うっ」

313 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 23:19:32 ID:CWu6lxb6
放送「メッツァくん大胆なサイドチェンジ!トップスピンのかかったパスで翼くんとマウリシオくんを翻弄して
カペロマンくんに渡しました!そのカペロマンくんもすぐさまバビントンくんを抜き去りサイドアタック!」

翼「不味い!PAを固めるんだ!」

ドトール「分かっている!」

アマラウ「既にやっているぜ、安心しな!」

サンパウロはカペロマンからボールを奪おうとせずにさっさとPAにDFを集める事を選択した。
そのお陰でカペロマンは邪魔される事無く右サイドを駆け上がり、バビントンが追いつける前にシュート体勢に入る。

グワアッ…

カペロマン「うなれ、サイドワインダー!」

バシュウウウウウウウウウウウウウウッ!!
ギュンギュンギュンギュン…!

そしてジグザグに飛ぶ彼の必殺シュート、サイドワインダーが放たれる。

ドトール「くっ…」
アマラウ「このっ!」
マリーニ「わあ!」
リマ「ひえ〜」

レナート「う、うおぉお〜!」

バチィン!

これをサンパウロは必死にシュートコースを狭める事で対抗し、なんとかレナートに弾かせる事に成功した。

314 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 23:19:46 ID:CWu6lxb6
カペロマン「ちっ!」

観客「うおおお、なんじゃありゃあ!?」「なんだよ今のシュート!グネグネ曲がってたぞ!」

放送「カペロマンくんサイドからシューーート!しかしサンパウロなんとか防ぎ…
いや、こぼれ球にヤラくんが飛びつく!レナートくんはまだ体勢が整っていなーい!」

レナート「あーーーっ!」

ヤラ「もらっ…」

翼「そうはさせない!」

バッ!
バコーーーン!

ヤラ「なにィ!」

放送「しかしこれも翼くんが先にクリア!ピンチ脱出です!」

若林「チッ、流石翼。あの程度の攻めじゃ入らないか」

翼「マウリシオ、もう一度仕掛けるんだ!」

マウリシオ「アイアイサー!」

ダダダダッ!

315 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 23:20:02 ID:CWu6lxb6
メッツァ「また君なの?」

カルツ「ツバサが上がりたくない以上お前頼りになるよなあ!」

マウリシオ「あんまり俺を舐めるなよーっ!」

シャシャッ!
バッ!
ダダッ!

メッツァ「あっ!」

カルツ「ぬっ…お主やるのォ!」

マウリシオ「(つってもサイド上がってセンタリング出してもさっきと同じ事になっちゃうんだよなあ…となると)」

ダダダダ!

ストラット「来い!俺に持ってこい!」

マウリシオ「考える事は同じってね!いくぜーエースさんよ!」

放送「マウリシオくん右サイドを突破…と思いきや中央に行った?そしてストラットくんに近寄り…
交差してボールを渡しました!クロスオーバー、もしくはスイッチと呼ばれる技術です!」

マイヤー「そんな事でなんとかなると思ったのか!」

ゴンゲルス「ここでお前を止めれば…」

ストラット「止められるもんならな!」

316 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 23:20:18 ID:CWu6lxb6
ササッ!
ダダッ!

放送「ストラットくん自力で抜きにかかったー!マイヤーくんとゴンゲルスくんが振り切られました!
しかしリンツくんとハーネスくんはまだ追いすがっている!」

ハーネス「まだだ、行かせん!」

リンツ「お前に撃たせる訳にはいかないんだ!」

ストラット「(チッ、こいつらいざとなったら反則してでも止める気だな!少し遠いがもう撃つしかない!)」

グッ…
グワアッ!

若林「フッ…そうするしかないよな、お前は」

放送「ストラットくん早くも撃つ構えだ!ゴールまで30m程ありますが射程距離なのでしょうか?」

ストラット「行くぜメガロゾーンシュート!」

バッグワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!
ギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

317 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 23:21:19 ID:CWu6lxb6



若林「 と め る ! 」

バッ!
ガシイイッ!

ストラット「な、なにィ!?」



放送「撃ったーーー!!しかし若林くん見事にキャッチ!見るからに威力が伝わってくるシュートを
それ以上の気迫が溢れるセービングで止めてみせました!2連続のファインセーブです!」

観客「お、おいあいつ凄いんじゃないか?」「今のシュート、とんでもない音立ててたのに…」

若林「チェザーレ・ストラット、教えてやる!俺にPA外からのシュートは通用しない!」

ストラット「くそっ…」

翼「(昔以上にPA外からのシュートに強くなっている。これじゃロングやミドルは完封されるかも知れない上に
例えフリーキックのチャンスを得てもあまり意味が無い。俺も積極的に攻撃しないとどうにもならないか?)」

森崎「(要はPA内に入られたら為す術が無いって事だろうが。威張れる事じゃねえよ)」

放送「大技の応酬と共に一進一退の攻防が相次ぎます!これぞ世界レベルの戦いと言えるでしょう!
前半15分、両チーム共にシュートを撃ち合いましたが得点は無し!全く互角の勝負です!」

318 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/29(金) 23:25:08 ID:CWu6lxb6
いったんここまで。

319 :創る名無しに見る名無し:2010/01/30(土) 00:07:51 ID:4kolGZIq
>昔以上に
うわー補正上がってるのか

320 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/30(土) 00:15:45 ID:MbmSk5Xx
観客も記者も大喜び間違いなしの派手な序盤も時が経てば過ぎ去り、
均衡が破られる時がやってくる。そしてそれは大抵どちらかのチームの得点から来る物である。

放送「前半20分、試合は中盤の主導権争いの様相を呈してきました。
おっとここでポブルセンくんがボールを持ち…2回目の中央突破を仕掛けた!」

ポブルセン「くたばれ翼!俺じゃなくててめえを入れたサンパウロを後悔させてやる!」

ダダダダ…!

翼「どういう事情でサッカーをしようと君の勝手だが…」

ヒュッ!
バチイッ!

ポブルセン「な、なんだと!?」

翼「向かってくると分かっている相手を二度も通すと思っているのか!」

放送「翼くん両足のタックルで対抗!ポブルセンくんキープ出来ない!…あっとしかし、
こぼれ球はカルツくんが上がってフォローしました!今度はカルツくんが攻め上がります!」

カルツ「(至極ごもっともだぜ、ツバサ。反論のしようも無い)」

翼「今度はカルツか…!(フォローを頼む、ドトール!)」

ドトール「(任せろ)」

321 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/30(土) 00:16:55 ID:MbmSk5Xx
放送「カルツくんペナルティアークに到達しましたが…ドトールくんと翼くんに挟み撃ちされそうです。
ここはサイドに回すのか、それとも強引に前に行くのか?」

カルツ「(だがなツバサ、そんな理不尽な大馬鹿野郎をなんでわざわざスタメンで使っているか分かるか?)」

翼「(カルツには一対一のロビングシュートがある!ここで止めないと!)」

カルツ「(それはな…)ホイッと」

クルッ。
ポーン!
サッ!

翼「!?」

キッカケを作ったのはカルツだった。あたかも自分で切り込む様に見せかけてから
土壇場で反転してループパスを後方に送り、更に自分はまるで避難する様に横っ飛び。
二重三重に意識と視線を引っ掛けてからポブルセンにボールを提供したのである。

放送「おや?これはバックパス…ポブルセンくんへのバックパスだ!ポブルセンくんが迫っていたァ!」

翼「こういう事か!くっ…」

ズザザザッ!

これに気付いた瞬間素早く反転しポブルセンの足下目掛けたタックルでシュートコースを
塞ごうとした翼の反応速度は大した物だろう。だが結果から言えば無駄な努力だった。

グワアッ…

ポブルセン「遅えよ…俺の力を見せてやる!」

放送「ポブルセンくん振りかぶって…撃ったァアアアアア!!」

322 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/30(土) 00:17:27 ID:MbmSk5Xx
バッギュォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

ドガアッ!

翼「ぐわあーっ!」

ドガアッ!ドガアッ!ドガアッ!ドガアッ!

ドトール「ぶは!」
アマラウ「ぐええっ!」
マリーニ「ぎえええ」
リマ「ひぎゃああ」

ドゴガッ!

レナート「ぐおはああっ!?」

ズバッ!

ピィイイイイイイイイイイイイイ!!

カルツ「(こいつを使うメリットがデメリットを上回るからなんだよ)」

放送「き…決まりました!ゴーーーーール!!ポブルセンくんの放った超威力のシュートが
サンパウロの精鋭達を悉く蹴散らしてゴールネットまで破ってしまいました!
こ、これがマーダーショットと呼ばれブンデスリーガでも恐れられている彼のシュートなのでしょうか?
先制点はハンブルグ!前半22分、ハンブルガーSVが先手を打ちました〜〜〜!」

ハンブルガーSV 1−0 サンパウロFC

323 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/30(土) 00:18:03 ID:MbmSk5Xx
今日はここまで。

324 :創る名無しに見る名無し:2010/01/30(土) 00:35:28 ID:j25p7boS
まーだー乙でしたー

325 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/30(土) 11:51:02 ID:MbmSk5Xx
ウルグアイユースのデータを能力値公開スレに貼っておきました。
更新はまた後ほど。

326 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 19:01:09 ID:DHWX9kYG
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「ああっ、決まった!」「ま、またとんでもないシュートが飛び出たぞ!」「どーなってるんだこの大会!?」
「強いじゃねーか、ハンブルガーSV!てっきり翼が居るサンパウロが勝つと思ったのに…」「いや試合はまだまだこれからだ!」

フライハイト「流石と言った所か…?」

シュナイダー「あれだけ独りよがりなプレイにこだわるんだ。あれ位出来なければ奴はただのクズだ」

チャ「チッ…あいつも相変わらず良いシュートを撃つ…」

オワイラン「チームワークを乱している感があったが、それに見合う力を持つ選手の様だな」

日向「(まただ…また俺の上を行くシュートが…!)」

森崎「(ハッ、ザマねえぜレ…えっと、名前なんだったっけサンパウロのGK?レ、レナ…そうだ、レナードだ。ザマみろレナード)」

動き出した試合展開に会場中が熱くなる。その反応はポブルセンに大した喜びを齎さなかった。
彼にとっては目の前で倒れている翼の姿の方が何十倍も嬉しい光景だったのだ。

ポブルセン「フッハハハハ!!ざまあみろこのクソ野郎!」

翼「………」

ポブルセン「もっと泥だらけ…いや、血まみれにしてや…おい!?」

スクッ。
スタスタスタ…

だが翼は彼を長く喜ばせてくれはしなかった。翼はほんの短い間彼を睨み返してはいたものの、
すぐに立ち上がって目もくれずにPA内の仲間達の下に向かっていった。

ポブルセン「(クソッ、スカしやがって!もっと苦しませてやる!)」

327 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 19:01:38 ID:DHWX9kYG
翼「皆、ケガは無いか?」

ドトール「確認した。大丈夫だ」

アマラウ「この程度で引っ込む俺様じゃないぜ!」

翼「そうか。じゃあ早速指示を出すよ。少々リスクはあるけど、逆転の為だと思って聞いてくれ」

バビントン「どうするんだ?」

翼「まずは…」



ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「良い時間帯で先制点を取ったハンブルガーSV!サンパウロはここからどうやって
逆転を狙っていくのでしょうか?キックオフから翼くんがドリブルを始めて…ポブルセンくんとのマッチアップだ!」

ポブルセン「ぶっ殺してやる!」

ダダダッ!

翼「………」

ババッ、サッ!

ポブルセン「な…なにィ!?」

カルツ「(この隙にワシが!)」

翼「遅いぞ!」

ガッ!
バッ!
ダダッ!

カルツ「ぬわっ!?」

328 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 19:01:56 ID:DHWX9kYG
放送「しかし翼くん一気に二人抜き!素早いフェイントを駆使してからボールを脚で挟んで飛びあがり
ポブルセンくんだけでなくカルツくんも抜いてしまいました!魅せます美技!」

観客「おおっ、翼が上がってきた!」「よーしそのままゴールだァ!」

若林「慌てるな!ストラットのマークさえ外さなければそれでいい!」

ハンブルグメンバー『おう!』

ストラット「(下がってボールを受けに行ってもこいつにロングやミドルは通用しない…ここは大人しくチャンスを待つしかないか)」

翼「(俺にDFを全く割かない!?まさか1対1の勝負を誘っているのか?)」

若林「(フッフフフ、来い翼。俺がディアスに受けた屈辱をバネに手に入れた力を見せてやる!)」

翼「(罠か…それともハッタリか…どちらにせよ、体力を節約する為にも接近戦を挑むしかない!)」

ダダダダーッ!

放送「おお〜っと翼くんそのままパスを出さずPA内に切り込んだ!ハンブルガーのDFは
皆ストラットくんについていて彼を止める事は出来ません!ピンチです!若林くん堪らず飛び出した!」

三杉「(ピンチ…?本当にそうなのか?なんだかわざと一対一に持ち込ませた様に見えたが)」

森崎「(ケッ、若林も翼も相変わらず目立ちたがり屋だ。両方ケガとかしねーかな…ん!?)」

ゾクッ!

翼「(!?なんだこれは!)」

329 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 19:02:24 ID:DHWX9kYG
翼が上手く敵の隙をつき、GKと一対一になり絶好のチャンスを作った。
傍目にはそうとしか見えない光景が誕生した時、張本人の翼は突然凄まじいプレッシャーを感じた。

元々大柄な若林がまるで巨人の様に見える。帽子の下の鋭い眼光に射抜かれ、
自分の全てを見透かされている。そんな感覚に捕らわれたのだ。

若林「(ループシュートだ!)」

スッ…
バシュウウッ!

それでも翼の体は自動的に役割を果たした。彼の足はドリブルとほぼ変わらない小さな動作で
ボールにドライブ回転をかけて蹴りだした。ブラジルに渡ってから自力で編み出した至近距離用のドライブシュートである。
中距離から全力で蹴る物程の威力は無いが、通常のループシュートより遥かに速く取り難い妙技だ。

若林「見切っているぞ!」

バッ!
ガシイッ!

次の瞬間さも当然の様にボールは飛びあがった若林の右手に収まっていた。

翼「(馬鹿な…勘だけじゃあんな自信満々の反応は出来ない筈!それなら一体どれだけ早く俺の行動を見切っていたんだ!?)」

森崎「(わ、若林のヤロォ…!生意気な!)」

カルツ「(ホッ。どうなる事かと思ったが、頼もしくなったのう)」

若林「(俺はもうどんな弱点も残っていない。キーパーにとって圧倒的に不利な一対一もだ!)」

330 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 19:03:49 ID:DHWX9kYG
一旦ここまで。

331 :創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 19:16:29 ID:SYRGoc0q
唯一対抗できそうなところはPA内からの必殺シュートか
ストラットにマークをつけまくってることからもミエミエだけど、
ミエミエすぎて必殺セーブか何か持ってそうな気がする

そこまでパワーアップしてたらさすがにバランス悪いか

332 :創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 19:21:15 ID:Z0p5xxzL
先読みスキルっぽいな
森崎も欲しいところだ

333 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 21:24:17 ID:DHWX9kYG
放送「ふ、防ぎましたーーーっ!!大ピンチだった筈なのに若林くんはいともあっさりと翼くんの
ループシュートを防いでしまいました!守備の連携ミスを帳消しにするスーパーセーブです!」

観客「うおお、すげえ!」「おい、あいつ森崎と互角なんじゃ…?」「失点する気配が全くしないぞ!」

フライハイト「…いや、あれは?」

シュナイダー「誘ったのかも知れんな」

翼「(やるね、若林くん。だけど俺も無策で一対一を挑んだ訳じゃないぞ)」

若林は翼が戻る前に攻めさせようとスローイングでメッツァに渡した。
そしてそれはあっさり通ったが、ドリブルでやや上がった所でメッツァは困惑する事になった。

メッツァ「…何あれ」

ザザッ!
ダダッ!

ポブルセン「てめえら、しつこいぞ!ついてくんな!」

ドトール「拒否する」
バビントン「君にこれ以上やらせないよ!」
マリーニ「お、俺だって!」
リマ「数の暴力だ!」

ポブルセンが4人もマークをつけられていたのだ。サンパウロはサイドバックのマリーニとリマを中央に寄せておき、
バビントンとドトールと協力して何時でもポブルセンに殺到出来る体制を整えていた。

334 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 21:24:39 ID:DHWX9kYG
メッツァ「(ポブルセンに渡した途端にドドッてやっちゃうつもりか。じゃあ向こう側は…一人。これならいけるかな)」

バシュウウウウッ!
ギュルルルルル!

放送「メッツァくんまたサイドチェンジ!もう一度カペロマンくんに…あ、いやアマラウくんが飛びつき…」

アマラウ「こんだけ距離があれば…なんとかなるんだよォ!」

バッ!
バチィイン!

カペロマン「うへっ、高い!」

メッツァ「げっ…あのノッポ、思ったよりカット上手いや」

放送「弾きましたァー!アマラウくん良い位置を取りカペロマンくんのサイドアタックを未然に防ぎました!
このこぼれ球はカルツくんがフォロー…した所に翼くんが迫ってきています!」

翼「行くぞカルツ!」

カルツ「…くそっ!」

バコッ!

翼「(パスで逃げたか。それでもいい)」

若林「(む…早くも手を打ってきたか。これは2点目は期待しない方が良さそうだ)」

335 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 21:24:55 ID:DHWX9kYG
ポブルセンを4人マークでけん制し、カペロマンへのパスはアマラウが遮断。そしてカルツは翼が相手をする。
得点力のある3人を封じ込める為の翼の作戦である。DFラインが高くなりFWのヤラとクラウスが裏を取りやすくなる
危険も伴うが、翼の目論見通りハンブルグは中盤のペースが乱され思う様に攻められなくなってしまった。

放送「前半30分、どうやらハンブルガーは勢いが鈍ってきた模様です。主力のポブルセンくんと
カペロマンくんにボールを上手く回せず、更にカルツくんも翼くんにつかれて思う様にドリブル出来ていません」

ガシイッ!

メッツァ「あっ!」

マウリシオ「よっしゃあ!」

放送「おおっとここでマウリシオくんメッツァくんからボールを奪いました!
そしてメッツァくんのお株を奪うかの様なサイドチェンジ!プラトンくんに渡しました」

プラトン「(あのキーパーが飛び出してこれない位置に上げれば…)」

バコン!

ストラット「よし!おりゃああっ!」

バッ!バシュウウウッ!
ドガガガガッ!

マイヤー・ハーネス・ゴンゲルス・リンツ『ぐああああっ!!』

若林「甘いぞ!」

ガシイッ!

ストラット「くそっ!」

336 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 21:25:31 ID:DHWX9kYG
サンパウロの攻撃回数は増え、必然的にハンブルグは攻撃のチャンスを掴めなくなる。

マウリシオ「もいっちょ行くぜー!」

バビントン「マウリシオ危ない!」

マウリシオ「へ?」

ポブルセン「調子に乗るんじゃねえ!」

ズザザザ!
ゴガァ!

マウリシオ「ぐびゃ!」

放送「ここでポブルセンくんが自ら戻ってディフェンス!パワフルなタックルでマウリシオくんから強引にボールを奪い取り…」

グワアアアアッ!

ジウ「えっ?」

ポブルセン「ここから全部吹き飛ばしてやる!」

放送「な、なんとポブルセンくん大きく振りかぶった!こ、これはクリアではなくシュートなのか!?」

バッギュォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

放送「撃った!自陣奥深くから無理やり撃ったーーーーーっ!!」

337 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 21:26:17 ID:DHWX9kYG
35分頃、業を煮やしたポブルセンが自力でボールを奪い返した後
翼やドトールに近づかれる前に80mはあろうかと言う距離でマーダーショットを撃った。

ドガアッ!ドガアッ!ドガアッ!ドガアッ!

ドトール「ぐぐぐ…!」
バビントン「いたああ!」
マリーニ「ぶぼばっ!」
リマ「ひぎゃー!」

ギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
ヒュルルルル…

レナート「取るっ!」

バッ!
バシッ!

ポブルセン「な…なにィ!?」

カルツ「バカ!いくらなんでもそんな距離から入るか!」

カペロマン「まあ、ザコGK相手なら入ってただろうが…」

しかし強力なシュートでもあまりに距離があり過ぎれば威力が落ちて防がれる。
ポブルセンの無謀な試みは徐々にサンパウロが波を押し返してきている証だった。

338 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 21:27:18 ID:DHWX9kYG
今夜はここまで。また明日お会いしましょう。

339 :創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 21:29:22 ID:Z0p5xxzL
乙でした〜

340 :創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 21:38:35 ID:KF7wjS0X
乙でした〜!

341 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:38:12 ID:0L3eW8+E
そして前半の終盤に転機は訪れた。

ガッ!
ヒュルルル…

ポブルセン「(何故だ!?何故こいつを止められねェ!?)」

カルツ「(ヒールリフトならトラップした際に隙がある筈!そこを狙えば…)」

翼「ここだ!」

ガッ!
ヒュルルル…

カルツ「な、なんだとォ!?(こいつ、こんな非常識な事まで出来る様になったのか!)」

若林「(うちのMFを手玉に取るとはな。だがそれ位はやってもらわんと困る)」

放送「翼くんなんと2連続でヒールリフト!常人には思いついても到底不可能なテクニックを
いとも簡単に使いこなしてまたしても中盤を切り裂きPA内に突入しました!」

翼「(ここが勝負所だ!バビントン!)」

バビントン「(分かってる、任せて!)」

グワアアッ!

放送「翼くん振りかぶった〜!今度は自分で撃ちに行きます!」

342 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:38:54 ID:0L3eW8+E
若林「(来るなら来い!PA内からでもゴールは許さん!)」

翼「………」

スカッ!
ボコッ!

若林「!」

ハーネス「えっ?」
ゴンゲルス「何を…」
マイヤー「ハッ!」

バビントン「えいっ!」

バコッ!

翼はPA内に切り込んでから自分が撃つと見せかけてからヒールパスで後方にフォローしていたバビントンに渡した。
そしてバビントンはそれをワンツーリターンの様に素早くダイレクトで撃ち返した。翼ではなくストラットの方へ。

マイヤー「し、しまった!」

ハンブルガーSVのディフェンダー達は翼が容易にストラットに渡せない様に、そして至近距離から渡しても
すぐに囲める様に意識してストラットを囲んでいた。その為予想していない角度からのバビントンのパスに
反応出来たのはマイヤー一人だけになってしまい、そのマイヤーもカットに失敗する。

こうしてストラットにボールが渡った。PA内で。

放送「と、と思いきやバビントンくんに…そこからストラットくんに!撃つのはストラットくんだァ!」

343 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:40:01 ID:0L3eW8+E
ハーネス「ヤバい!」
リンツ「つ、潰せ!」

ストラット「もう遅えよ!メガロゾーンシュート!!」

バッゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
ゴゴゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

ハーネス「ぐわあっ!」
ゴンゲルス「ぎゃああ!」
リンツ「ぐぶっ!」

若林「くっ!」

バッ!

バギィイイイイイン!!

若林はこの距離のメガロゾーンにも飛びつき、右拳を盾として突き出した。

ストラット「………!」

若林「ぐ…お…おおおあ〜!!」

バアン!
バサッ!
ポンポンポン…

だがそれが限界だった。ボールは彼の右上腕を押し退けた末にゴールネットの上部を揺らした。

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!



ハンブルガーSV 1−1 サンパウロFC

344 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:41:18 ID:0L3eW8+E
放送「決まった!ゴ〜〜〜〜〜ル!!ストラットくんのメガロゾーンシュートが若林くんの豪腕を力づくで
打ち負かし同点ゴールになりました!前半42分、翼くんが起点になってからバビントンくんのナイスパスで
ストラットくんに渡し、エースストライカーが期待通りに決めて1−1です!サンパウロ、同点!
今まで圧倒的な鉄壁ぶりを誇っていた若林くんもとうとうゴールを許してしまい試合は振り出しに戻りました!」

ウォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「決まったァ!同点だ!」「凄いぞあのストラットって奴!」「若林もあの距離からだと防げないのか」

シュナイダー「ほう…凄いキック力だ」

森崎「(へっざまあみろ。お前がストラットを零封しようだなんておこがましいんだよ)」

若林「く…くそーーーっ!!」

カルツ「(やっちまった…貴重なリードが…)」

バビントン「やったねストラット!ナイスゴール!」

ストラット「おう、ギリギリだったが入ったモン勝ちだ。ナイスアシスト」

翼「有難うバビントン、ストラット。よし皆、ここからはキッチリ前半を終わらせて後半に逆転するぞ!」

サンパウロメンバー『おう!』



ピッ!ピィイイイイイイイイイイイイイ!!

その後残り少ない前半は翼の狙い通り無難に終わり、試合はハーフタイムに突入する。

流れは確実にサンパウロに来ていた。

345 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:43:03 ID:0L3eW8+E
いったんここまで。

346 :創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 17:35:30 ID:xzAqbAYQ
乙です

どっちが勝つんだろう・・・森崎のリベンジのためにもサンパウロに勝ってほしいけど

347 :創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 20:17:15 ID:6nBv1vB/
ハンブルガーSVが勝った方が面白そうな展開なので
個人的には期待してる

348 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:05:25 ID:fo6NVmUA
放送「前半が終了しました。スコアは1−1!全く互角の展開です!
ハンブルガーSVが鉄壁のGKに支えられつつ強烈なミドルシュートで先制するも、
サンパウロFCがアグレッシブにボールを支配し続け再三の攻撃を仕掛ける事で同点に追いつきました。
後半はどちらのチームが主導権を握るのか?この接戦の行方は見逃せません!」

観客「全日本の試合のついでのつもりだったけど、こっちも燃えるな!」「後半は翼のゴールに期待だ!」
「若林って凄いんだな…」「森崎とどっちが上なんだろう?」「それにしてもブラジル人はやっぱり上手いんだなー」

森崎「(ムカつく!イラつく!二人とも目立ちやがって!)」

三杉「翼くん…凄くなったな」

岬「うん。正直、差がかなり開いちゃったね」

松山「昔は良い勝負が出来たが、今は…くっ」

葵「さすが翼さん!」

石崎「やっぱり翼はこうでなくっちゃ!」

日向「(ええい、何故だ!あれ程力を追い求めた筈なのに!)」

井沢「若林さん、Jrユースの時とはまるで別人だな」

滝「昔の凄さを取り戻したっぽいな」

来生「懐かしいよなー。静岡に修哲ありと言われたものだぜ」

高杉「(よし…よしっ!これなら若林さんと翼で森崎を蹴落とせる!)」

若島津「(俺は…俺は出番が全く無い第3キーパーに成り下がるだけなのか…?)」

349 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:05:40 ID:fo6NVmUA
イ「大空翼と若林源三。奴らも俺達韓国の前に巨大な壁となって立ちはだかるな」
チャ「他人事みたいに言うなイ。俺達はその分強くならなきゃならねえ」

飛「や、やっぱり世界のトップレベルって色んな事が出来て当たり前なんだな…」
王「何言ってんだよ!一芸で活躍している奴らだって一杯居るぞ!」
呉「そうだ、サッカーはチームスポーツだ。足りない部分は皆で補っていけばいいさ」
李邦内「だが、今のウチはまだまだ改善点が多いのも確かだな」
李邦坤「焦ってもしょーがないって。一つ一つコツコツと気楽にやっていこうぜ〜」

オワイラン「実に素晴らしい。ツバサ・オオゾラとは是非とも戦ってみたいな」
バルカン「俺はあのワカバヤシって奴に挑みたいぜ!」

フライハイト「ツバサのテクニックに手を焼いている感があるな」
シュナイダー「ブラジル仕込みの個人技は大した物だと言う事か」

更なる熱戦の期待に誰もが感情を昂らせる間、両チームはハーフタイムをどの様に過ごしていたのか。



〜サンパウロFCのロッカールーム〜

ストラット「よーし!行ける、行けるぞ!」

バビントン「このまま一気に逆転できるよ!」

翼「(大丈夫、この試合も勝てる。若林くん攻略の目処も立った)」

サンパウロの士気は高まっていた。全日本対ウルグアイの試合でもそうだった様に
前半終了間際の同点ゴールはハーフタイムに緊張感と高揚感をバランス良くもたらす。
自分達の力を再確認しつつまだ勝った訳ではないと言う雰囲気が自然と形成されるのだ。

だが、翼だけは熱くなれずにじっと物思いに耽っていた。

350 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:05:53 ID:fo6NVmUA
翼「(後半の頃合を見計らって逆転して勝つ!そして決勝に…決勝で…また森崎と戦うのか…)」

ロベルト「良いぞ皆、自信を持っていけ。だがストラットが少しバテて見えるな」

翼「(全日本の皆は大分弱くなった印象はあるけど、それでも総合的な戦力は高い。
しっかり対策を考えて、きちんと勝たないと。勝ち続けないと…)」

ストラット「…まあ、確かに。後半最後まで持つかは微妙ですね」

翼「(勝ち続ける…そう、俺は…何時まで勝ち続ければ良いんだろう?
プロになっても…ワールドユースでも…オリンピックでも…ワールドカップでも…)」

ドトール「その分ツバサの体力が十分残っています。問題はありません」

翼「(…出来るんだろうか?ペレもクライフもベッケンバウアーも常勝無敗だった訳じゃない。
俺だって日向くんに負けた事がある。じゃあ…いざ負けた時、どうすれば…)」

アマラウ「前半抑えていた分後半で一気に行けば良いさ、なあツバサ!…ツバサ?」

翼「(何を考えているんだ俺は。常識で考えて一度も負けないサッカー選手なんて有り得ない。
そもそもこんな事試合中に考える事じゃない。まずは今日の試合にしっかりと勝って…
その次の試合もまた勝たないと…なんでまた俺はこんな事を考えているんだ!)」

マウリシオ「…あの〜…キャプテ〜ン?」

翼「えっ?………あっ!?」

351 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:06:40 ID:fo6NVmUA
周囲とはかけ離れた程苛立った表情で黙り込む翼の姿にロッカールームは
何時の間にか静かになっていた。マウリシオに声をかけられてようやく翼は
自分が周りの雰囲気を乱している事に気付き、慌てて眉間の皺を解く。

翼「ゴ、ゴメン。後半のゲームプランを考えていたんだ」

ロベルト「そこまで思いつめた顔になる程危機的な状況じゃないだろう?(…だよな?そうだよな?)」

翼「い、いえ!油断は出来ません。カルツはスロースターターです、後半から一段上の選手になってくるんです」

ストラット「そういえばそんな事言ってたな。でもビデオだとそんな様子無かったぞ?」

翼「それはどれもハンブルグが勝っていた試合だったからだよ。彼は追い詰められてから本気を出すクセがある筈なんだ」

ドトール「確かにそういうタイプの選手も居るな」

アマラウ「じゃあ、作戦に変更が必要なのか?」

翼「…いや、基本的な戦い方はこのままで良いと思う。ただ、一段と気をつけておきたいって事だよ」

バビントン「(ツバサ…また張り詰めている…)」

ロベルト「(えーと、こういう時の監督っぽいセリフは…そうだ、これだ)確かに油断大敵だ。
自信と慢心を間違える者は簡単に負けてしまう。後半も気を引き締めてかかれよ、皆」

サンパウロメンバー『はい!』

翼「(皆は…負ける事が怖くないのかな。俺は何故かこんなに怖いのに…)」

サンパウロのハーフタイムは一部意識の乖離はあったものの、チーム全体の空気は良好なまま過ぎていった。

352 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:07:45 ID:fo6NVmUA
一旦ここまで。

353 :創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 17:38:47 ID:NTwx7MRb
ロベルトw

354 :創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 17:47:54 ID:hfGp4aPS
ロベルトがんばれw

355 :創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 18:20:11 ID:lM0mwEId
ロベルトなんだかんだで良い事は言ってるw

356 :創る名無しに見る名無し:2010/02/03(水) 08:29:52 ID:zpngeoSB
高杉はもっと危機感持てよw
翼と若林が森崎をキャプテンとレギュラーの座から蹴落とす代償に
自分がメンバーから蹴落とされる可能性あるのにw

357 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/03(水) 16:59:25 ID:o5HAFBkX
〜ハンブルガーSVのロッカールーム〜

ガスッ!ガスッ!

カペロマン「もうやめろよポブルセン。ロッカー壊れちまうぞ?」

ポブルセン「うるせえ!金でブクブク太った日本人の物がどうなろうと知った事か!」

若林「(なんて事だ。最大でも1失点に抑えるつもりだったのに、もう余裕が…クソッ!)」

メッツァ「(メッツァですが、控え室の雰囲気が最悪です)」

サンパウロとは対照的にハンブルグの士気は落ちていた。先制点を取りこそしたものの
その後は全く良い所が無いポブルセンが荒れてロッカーに八つ当たりし、
嫌な形で失点してしまった若林も歯軋りしながら黙りこくっていたのだ。

ハンブルグ監督「(全く…うちの連中はどうしてこうなんだ。一番マシなカルツでさえ無精者だしな…)」

問題児達が絶対に外せない主力でもあるチームの監督としては堪った物ではない。
しかし彼とチームには幸いな事に一つ計算外の事が起きた。

プッ!
カランカランカラン…

ハンブルグ監督「(ん?)」

カルツ「………」

ここでカルツが楊枝を吐き出したのである。
大きな音を立てる金属製のゴミ箱をじっと見つめるカルツの表情は彼らしく無い程真剣で、
ポブルセンと若林も含めチーム全員の注目が否応無く集まった。

358 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/03(水) 16:59:51 ID:o5HAFBkX
若林「…カルツ?」

カルツ「勝負はこれからぜよ…」

メッツァ「へえ、珍しいね。カルツが闘志を燃やしているなんて」

カルツ「似合わんのは分かっているが、ワシは勝ちたいんだよ」

ハンブルグ監督「!」

その時ハンブルガーSVの監督は密かに稲妻の様な衝撃を受けた。
彼はカルツをシュナイダーと共に常勝伝説を築き上げた頃から見守り続け、
その功績を受けて上の年代のチームの監督になれた人物である。
彼は今、カルツの内面の成長をはっきりと感じ取った。

ハンブルグ監督「(今カルツは確かに言った!”負けたくない”ではなく”勝ちたい”と!)」

ポブルセン「何を今更な事を言ってやがる。今まで手を抜いていたのか?」

カペロマン「底力があるのか常に全力を出せないのか微妙な奴だなー」

カルツ「こればっかりは生まれつきな性分なんでのう。だが…こっからの俺はマジだ。
サンパウロは強い。だが弱点や勝機が無い訳では無い。必ず勝つぞ、皆」

ハンブルグメンバー『………』

カルツ「返事はどうしたァ!」

ハンブルグメンバー『お、おおっ!』

ハンブルグ監督「(まさかカルツがこんな精神力を見せてくれるとは…この試合、まだ行けるかも知れん)」

何時に無く勝利への執着心を見せるキャプテンにハンブルグの選手達は戸惑いつつも気を取り直していった。

両チーム共気力を補充し仕切り直した後、後半戦が始まる…

359 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/03(水) 17:00:13 ID:o5HAFBkX
いったんここまで。

360 :創る名無しに見る名無し:2010/02/03(水) 22:40:14 ID:kHWjMHpi
西尾顔だが男前だなカルツ

361 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:18:44 ID:iPDTSbXv
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

観客「待ちくたびれたぜ!早く始めろー!」「後半も良いゲームを見せてくれよー!」

放送「選手達が後半戦の為に入場してきました。それに伴い観客席の熱も復活!
どちらのチームが最終的に勝利を得るのか全く予想がつきません!」

森崎「(フン、どっちが勝っても面白くねえ)」

シュナイダー「(古巣が押されているのは見ていて良い気分ではないな)」

賀茂「片桐ィ、どっちが勝つか賭けないか?」

片桐「遠慮しておきます。勝つ自信の無い賭けはしないもので」

翼「(不思議だな。フィールドに立つと雑念が無くなる…有難い事だ)」

カルツ「(向こうで消耗しているのはストラットだけか…我慢を強いられそうだな)」



ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「サンパウロボールでキックオフ!ボールを受けた翼くんにポブルセンくんが早速向かいます。
しかし翼くん落ち着いてバビントンくんに回しました」

ポブルセン「てめえ、逃げるんじゃねえ!」

翼「焦らなくても勝負どころで相手してあげるよ」

362 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:19:02 ID:iPDTSbXv
後半はポブルセンではなくカルツの気迫で始まった。

バビントン「(カペロマンの守備は大した事無い、ここはドリブル突破だ!)」

バババッ、ダッ!

カペロマン「くっ!…え?」

バビントン「な!?」

カルツ「ハッ!」

ボゴォ!

バビントン「うわああ!」

放送「おお〜っと、バビントンくんカルツくんに吹っ飛ばされてボールを奪われた!
小柄な体格にも関わらず巧みに接触プレイをこなすカルツくんの本領発揮です!
カルツくんそのまま右サイドを自力で上がっていきます!」

翼「やっぱり本気を出してきたな!アマラウ、カペロマンのマークを続けてくれ!彼は俺が!」

アマラウ「おう!」

カルツ「…翼、勝負ぜよ!」

翼「!」

ガチィイイイッ!

363 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:19:18 ID:iPDTSbXv
翼「く…し、しまっ…!」

ドカアッ!

放送「つ、翼くんまで吹っ飛ばされたァ!カルツくんの腕に巻かれたキャプテンマークは伊達ではありません!」

観客「わーーー、翼がーーー!!」「あのカルツって奴こんなに強かったのか!?」

カルツは得意のハリネズミドリブルで翼を抜き、そのままサンパウロ陣内に攻め入った。
しかしポブルセンとカペロマンがしっかりとマークされている状態ではそれが精一杯だった。
かと言って彼自身が無理やりPA内に切り込めばポブルセンについている4人を抜かなければならない。
最終的に彼が取った苦肉の策はサンパウロのDFライン上で隙を窺っていたFWを使う事だった。

カルツ「…クラウス!」

バシュッ!
ボコッ!

クラウス「ナイスパスカルツ!これで同点ゴールだ!」

放送「そして絶好のスルーパス!クラウスくんがGKと一対一になりました!サンパウロ、ピンチだァ!」

レナート「甘いぞ!俺がどんなバケモノどもを日常的に相手していると思ってやがる!」

ダダッ、ガシイッ!

クラウス「な、なにィ!?」

放送「し、しかしレナートくんのファインプレイ!止めた!素早くボールを確保して止めました!」

しかしハンブルグのツートップはどちらも一対一を得意とするタイプではなく、
逆にレナートは個人技に優れた選手達に鍛えられていた事が災いしゴールはならなかった。

364 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:19:47 ID:iPDTSbXv
レナート「フッ…リオカップナンバー1GKナメんな!」

翼「(ホッ…)」

ストラット「(ま、あれ位はやってくれなくっちゃ日頃いびっている甲斐がねえしな)」

若林「(クソッ、あの程度のGKも攻略出来ないのかうちのFWは!これなら来生の方がまだマシだ!)」

カルツ「(やっぱりのう…ヤラとクラウスには悪いが、シュナイダーちゃんが居てくれたらと思わずには居られん)」

そしてカルツは恐れていた現実を確認させられる事になる。

レナート「ツバサーッ!」

バッコォオン!

放送「レナートくん大きくキック!これは翼くんに向けたロングキックです!ポブルセンくんも追いすがる!」

ポブルセン「つかまえたぞ!もう逃がさねえ!」

翼「それはどうかな?」

バッ!バッ!
ポンッ。

ポブルセン「な、なにィ!?」

翼「やっぱりね…君は浮き球勝負で俺に勝てる様な選手じゃない」

365 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:20:05 ID:iPDTSbXv
放送「翼くん競り勝ってトラップ!そしてドリブル開始…した所にカルツくんが来た!」

カルツ「うおおおお!」

翼「そして俺は君にも負けない、カルツ!」

ダダッ、ガチッ!
バッ!

カルツ「な…なんだとォ!?」

放送「抜いた!翼くん抜いたァアアアアア!!」

カルツ「(ぐっ…全力でもツバサには勝てんと言うのか!?)」

シュナイダー「(カルツ…)」

翼にクリップジャンプで抜かれた時カルツは気持ちが挫けかけた。スロースターターの自分の本気なら
翼も格上の相手ではなくなる。そんな願望はやはり甘かった事を思い知らされたのだ。

翼「ストラット!」

バギュン!

マイヤー「そんな無理やりのパス!」

リンツ「通して堪るかよ!」

若林「バカ出るな、それは罠だ!」

366 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:20:20 ID:iPDTSbXv
ギュルルルン!

マイヤー「えっ?」

リンツ「そ、そんなァ!」

放送「更にドライブパスが炸裂ゥ!ストラットくんにPA内でボールが渡った!
またしてもサンパウロのビッグチャンスだーーーっ!!」

観客「おおっ、2点目か!?」「あいつのシュートは凄いぞ!」

ストラット「決めておくぜ!俺のメガロゾーンを食らえーーーっ!!」

グワアアッ…
バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアン!!

ゴンゲルス・ハーネス『ぎゃああああ!!』

ドガア!ドガアッ!

若林「フザけるな!二度も同じシュートで失点すると思っているのか!」

バッ!
バゴォオオオオオオオオオン!!

ストラット「な、なにィ!」

翼「(くっ、流石若林くん。今ので決まっていれば楽になっていたんだが)」

放送「しかし若林くんもファインセーブ!早くも後半10分になりましたが両チームとも一歩も譲りません!」

367 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:20:38 ID:iPDTSbXv
いったんここまで。

368 :創る名無しに見る名無し:2010/02/04(木) 17:24:13 ID:Mut2AiTG
来生以下はひどすぎるwwwwww
実際に来生のが上なんだろうけどひどいw

369 :創る名無しに見る名無し:2010/02/04(木) 22:20:37 ID:2EGmGmYN
来生は実力は高いからな・・・
しかし、来生は森崎に対しての印象が低いというハンデを背負いながら大活躍してるよなw

370 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 00:14:41 ID:gDKT3M09
運気は来生からファルコンに移ってるかもよ

371 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 04:28:31 ID:2TcUFYBT
来生は伸び悩まなければなんとか使えたんだが

372 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:35:16 ID:8snrEXnp
その後ハンブルグは次第に若林の粘り頼りになっていった。
彼らはフィールダーの主力が全員MFと言うチーム構造の弱みを突かれたのだ。


ポブルセン「メッツァ!ハイボールで寄越せ、こんな奴ら俺の敵じゃねえ!」

メッツァ「良いの〜?どうなっても知らないよ」

バシュウン!

放送「メッツァくん高く蹴り上げた!これはポブルセンくんの上空へ向けたループパスだ!」

ドトール「愚かな…」

バビントン「4人がかりなら僕だって!」

バッ!
バッバッバッバッ!

バチィ!

ポブルセン「な、なにィ!?」

メッツァ「だめじゃん」

放送「しかしこれは多勢に無勢!トラップ失敗です!」

若林「あのバカ…無理やり翼の真似なんかしやがって!」

フライハイト「やはり視野が狭いMFだな。勿体無い…」

シュナイダー「己の可能性を己の思考で閉ざしている愚物だな」

373 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:35:31 ID:8snrEXnp
カペロマン「まだだ!俺も居るんだぞ!」

アマラウ「それはこっちのセリフだ!」

ザザァ!
バシイ!

カペロマン「くっ、やるな!」

放送「このこぼれ球をフォローしたカペロマンくんもすぐさまアマラウくんにこぼされキープ出来ません!
ハンブルグは後半開始から段々と中盤で押されている印象があります」



攻撃では頼れるFWが居ないからどうしてもMFを経由しないと攻められず、速攻を仕掛けられない。
そしてそのMF達の攻め方が封じられると攻撃権利を確保出来なくなる。



メッツァ「(何処にパスを出しても意味が無い。それじゃ自分で仕掛けるか…嫌だなあ)」

ダダダダッ。

放送「メッツァくん左サイドを走り始めました。パサーの彼ですが展開が開けない事に業を煮やして
自らのドリブルで切り込む算段でしょうか?しかしこのサイドにはマウリシオくんが居ます!」

マウリシオ「(ディフェンスは得意じゃないが…)これ位ならなんとかなるぜ!」

バチッ!

メッツァ「(やっぱりだめだァ〜)」

バビントン「良いよマウリシオ!」

374 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:35:45 ID:8snrEXnp
カルツ「(このままではダメだ!ズルズル時間が過ぎて流れが固定してしまう!
ワシが…ワシがなんとかするしか無い!そしてそれにはとにかくツバサを抜かねば話にならん!)」

ダダダダダ!

カルツ「勝負だ、ツバサ!」

翼「カルツ…!」

数分後、焦るカルツはドリブルで翼に勝負を挑んだ。

翼「(ここだっ!)」

カルツ「!?」

ヒュッ…
ガシィ!
ドタッ…

ハンブルグメンバー「カ、カルツ〜!!」「そんな!あのカルツがこうまでも…!」

そして彼のハリネズミドリブルは翼のクリップタックルに破られた。
ボールを奪われながら前に倒れこむカルツの表情は驚愕と絶望に歪んでいた。
彼の肉体だけでなく、自信とプライドまで地面に叩きつけられて。

カルツ「(…勝てん。ワシではツバサに勝てん!)」

そんなカルツを造作も無く振り切った翼はハンブルグゴールと若林をひたすら見つめていた。
彼の全てが今こそ絶好の得点チャンスだと告げていた。

翼「(このタイミングだ!ここで決めれば俺達の勝ちだ!)」

375 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:36:05 ID:8snrEXnp
ポブルセン「この日本人が!良い気になってんじゃ…」

ササッ!
ヒュッ!

ポブルセン「な…なんでだよ!?」

ハンブルグメンバー「あ、あわわ…」「どうなってるんだよあいつは!?」

戻ってきたポブルセンが止めようとしても今の翼には障害足り得なかった。
ポブルセンをさも当然の様に素早いフェイントで抜き去りあっと言う間にPA内に入ってきた
翼の姿はハンブルグの選手達に多大な畏怖を与え、彼らの精神力を奪った。

この時比較的冷静で居られたのは若林だけだった。

若林「(落ち着け…ここで俺が防げば試合の流れは変わる!そして俺なら防げる!
翼のフライングドライブもミラクルドライブも研究済だ!ストラットのメガロゾーンにももう目が慣れた!
なにより奴はもう足を引きずっている!次の一発を防げばサンパウロの戦力はガタ落ちだ!
そしてその為には…)マイヤー、翼に向かえ!考える前に動け!」

マイヤー「お、おおっ!」

ダダダ…!

翼「(来たな!ここは…)」

ストラット「(ツバサ!)」

若林はあえてストラットのマークから一人DFを翼に割り当て、翼に三択を迫った。
マイヤーを抜き去り、若林と一対一になる。
マイヤーが追いつく前にフライングドライブなどで撃つ。
マイヤーが追いつく前にストラットに渡す。

翼「ストラット!」

バコオッ!

376 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:36:20 ID:8snrEXnp
翼が選んだのは三番目の選択肢だった。
ストラットがマイヤーの動きを見た瞬間に他のDF3人を振り切る為にダッシュしたのを予測し、
彼に一旦PA外でボールを持たせる。この時翼に引きつけられたマイヤーとパスカットを失敗したリンツを無力化させる。

ストラット「ここで試合を決めるぜ!」

バババッ、ダッ!

ハーネス「く、くそーーーっ!」

ゴンゲルス「ワカバヤシィ!」

グワアアッ!!

そしてストラットは翼の期待通りにハーネスとゴンゲルスを突破してPA内に入り、間髪入れずに利き脚を振り上げた。

放送「またしてもサンパウロのビッグチャンス到来ーーーっ!!ストラットくんのメガロゾーンシュートが火を吹く!」

観客「おおおおおおおおおお!!」「いけーーーっ!!」「いや、今度も止められるだろう!」

森崎「………」ゴクリ

                     ストラット「行くぜメガロゾーンシュート!!」

                 バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

                   若林「(威力が落ちているぞ!) と め る !」

                               バッ!

                       バゴォオオオオオオオオオオオオオン!!

                         ストラット「な…なにィイイ!?」

                      若林「(止めた!これで流れが…ハッ!?)」

377 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:36:43 ID:8snrEXnp
                               バッ!
                              グルンッ!
                             グワアアッ!!

                             翼「行くぞ…」

             バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!

                        若林「く…う、ぉおおおおおおおおおお!!」

                                バッ!

               若林は目論見通りストラットのメガロゾーンシュートを止める事に成功した。
                しかし直後に翼がオーバーヘッドキックでこぼれ球に飛びついていた。

                  若林「(届く!ただのオーバーヘッドキックなら届…馬鹿な!?)」

                     ギュルルルルルルゥウウウウウウウウウウウウウウン!!

                  若林「(これは…翼が3年前俺との特訓で編み出した…!)」

                        翼「ドライブオーバーヘッド!!」

                 ただのオーバーヘッドキックならセービングの直後でも防げただろう。
                       若林はそこまでの実力を手に入れていた。
                だが翼のオーバーヘッドキックは逆さまのドライブ回転をかけていた。

                        ズッバァアアアアアアアアアアアアアアン!

                      ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

         若林の手を潜り抜けたボールがゴールネット上部を突き破り、直後に審判の笛が高々と鳴り響いた。



                       ハンブルガーSV 1−2 サンパウロFC

378 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:38:07 ID:8snrEXnp
いったんここまで。

379 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 21:02:13 ID:3tv30dYO
あの若林さんがここまでカッコよくなって帰ってくるとはw

380 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 21:33:29 ID:/dYw/+9S
味方になると頼りなくなる法則ですね

381 :創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 09:54:24 ID:XRnZRIqt
若林が本来の実力を取り戻しつつあるな
個人的には若島津に期待してたりする

382 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:45:15 ID:y+V7lW+9
放送「ゴール!ゴールゴールゴォオオオオオオオオルゥウウ!!!後半23分、サンパウロが逆転!
決めたのは翼くん!メガロゾーンシュートが弾かれた所をオーバーヘッドキックで見事にねじ込みました!
それもただのオーバーヘッドキックではありません、なんと逆さまのドライブ回転をかけた
言わばドライブオーバーヘッドです!翼くんの18番であるオーバーヘッドキックとドライブシュートを
組み合わせた超大技がここ一番で炸裂し、若林くんの牙城を崩しました〜〜〜!!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

観客「す、す、すげえええええええっ!!」「ドライブオーバーヘッドだって!?そんなの可能なのか!?」
「下に向かって撃たれたのにギューンって上に行ったぞ!」「もう誰にも止められねえよ!」
「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」

イ「こ、これが…大空翼…!」
チャ「ぐ…な、なんで日本なんかにこんな化け物が!」

呉「(とんでもないシュートだ…陸と肖に徹底的に研究させないと)」

オワイラン「し、信じられない…なんて技だ!これなら僅か18歳でブラジルのプロになれたのも納得だ」
バルカン「…どうやってあんな回転かけたんだろう…」

三杉「(森崎を利用して力を取り戻したつもりだったが…やはりまだまだ差は大きいみたいだな)」

岬「(凄いや。やっぱり翼くんは正真正銘の天才だ)」

日向「(フザけるな…認めねえ!この俺があんな奴に負けて堪るか!)」

翼のブラジル留学の成果を象徴する様な壮絶な技に観客席は興奮の坩堝に包まれた。
特に森崎はとてつもない衝撃と激情を味わっていた。

森崎「(あ、あんな技リオカップでは見せなかったぞ!まさかリオカップの後に開発したって言うのか?
それともただ単に今まで使う必要が無かっただけなのか?…畜生!畜生!翼めぇえええ!!)」

自分をあれだけ徹底的に打ち負かした翼が更に強くなっているのか、もしくは全力を出していなかったのか。
面白くない現実の二択を迫られた森崎は歯軋りをせずには居られなかった。

383 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:45:46 ID:y+V7lW+9
また彼とは別の理由で歯を軋ませていた男が居た。

シュナイダー「……………」

かつてハンブルガーSVで無敵のストライカーとして鳴らしたシュナイダーである。

フライハイト「不快か、シュナイダー?」

シュナイダー「…カルツ達がこのまま何も出来ずに負ければな」



観客席からかつてのチームメイトでありキャプテンであった男の視線が注がれているとは
露とも知らないカルツ。彼は今地に手と膝をつき己の無力さに震えていた。

翼との直接対決に何度も破れた上に自分には到底出来ない絶技を連発され、カルツの心は砕けかけていた。

カルツ「(勝てん…こんなに勝ちたいのに勝てん!俺ではツバサに勝てん!サンパウロに勝てん!
俺はシュナイダーが居ないと勝てないのか?所詮シュナイダーの添え物に過ぎんのか…?)」

シュナイダーの跡を継ぎハンブルガーSVのキャプテンになった彼は必然的にシュナイダーと比べられ続け、
本人もその期待と圧力に応えるべく力をつけていった。そんな彼にとってジャパンカップは
願っても無いチャンスだった。かつてハンブルガーSVと西ドイツJrユースの選手として2回ぶつかったが
勝つ事が出来なかった全日本だけでなく、ブラジルナンバー1のサンパウロFCと南米の古豪ウルグアイと言う
強豪チームが数多く参加するこの大会をシュナイダーの力無しで戦う事は大きな意義があった。

だが現実は厳しかった。彼自身は翼に圧倒され、彼だけでなくチームの主力フィールダー達も全員
翼率いるサンパウロに押されてしまい若林一人の守備力に頼った情けない試合展開。
そしてその若林すらも無敵ではないと証明される形になった逆転劇。

384 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:46:13 ID:y+V7lW+9
この時サンパウロの選手達が彼の近くを通りがからなければ彼の闘志はそのまま消えていたかも知れない。

マウリシオ「やったッスね!これで勝ちですよ!」

翼「ああ、後はこのまま試合をきっちりコントロールし続ければこれが決勝点になる」

ストラット「絶対そうしなくっちゃな。正直俺はもうクタクタだ」

カルツ「(クタクタ…)」

カルツはストラットのセリフを聞き、絶望で下げていた頭を上げた。

カルツ「(そうか、ストラットはもう限界なんだ…だが、今となってはもう意味が…何!?あ、あれは!)」

そして見た。

息が荒くなっており本人の言う通り疲れていそうなストラットの側に立つ翼を。

翼の顔に流れる汗の筋を。

わずかながら震えている翼の脚を。

カルツ「(疲れている…ストラットだけではない、ツバサも疲れている!どんなに強くても
人間である以上スタミナは有限だ!ツバサだってシュナイダーだってそうだ!)」

次にカルツは見た。競技場に備え付けられた電光掲示板とそこにある時計を。

時計は後半23分を示していた。

カルツ「(まだ20分以上残っている…そして俺の体はまだまだ動く!俺は…いや、俺達はまだ負けていない!)」

カルツは立ち上がりキャプテンマークの位置を直してから歩き始めた。自陣ゴール前の仲間達の所へ。

385 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:46:34 ID:y+V7lW+9
カルツ以外のハンブルグの選手達も打ちのめされていた。

メッツァ「(だめじゃん。この試合勝てないよ)」

カペロマン「(くっ…なんて事だ。俺はまだ何もしていないのに、このまま負けるのか?)」

ポブルセン「ゥググガギギィィィ…!!」

闘志に欠けるメッツァは早々と諦めの表情を浮かべ、活躍らしい活躍をしていないカペロマンは焦り、
カルツ以上に翼相手に敗北を繰り返しているポブルセンは顔を真っ赤に染めてブルブルと震えていた。

若林「(俺は…俺は強くなった筈だ!怠け心を全て殺して力を蓄え続けた!それでも翼には勝てないのか!?)」

そして若林はカルツがそうして居た様に地に手をつき項垂れていた。
このままでは翼に負けてしまう。そして森崎以上のGKであると証明出来なくなる。
そうなったら心を入れ替え自分を鍛えぬいたこの過去数年間は一体何だったのか…?

カルツ「………」

そんな共通点の多い葛藤に苦しんでいる彼の背後にカルツがつかつかと歩み寄り…

ブン…
ゴツッ!

若林「ぐわっ!?」

カルツ「でけえ図体している癖にそんなに縮こまっているんじゃねえよ」

彼の尻をつま先で小突いた。

386 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:49:08 ID:y+V7lW+9
若林「貴様、いきなり何をしやがる!」

カルツ「お、なんだ元気じゃないか。体力の限界だと思って交代させてやろうと思ったんだが、余計なお世話だったか?」

若林「当たり前だ!体力も気力もまだまだ有り余っているぞ!」

カルツ「それなら良い。それなら勝てるぜよ」

メッツァ「えっ?本気?」

落ち込んでいるGKへの挑発の直後に大胆な勝利宣言と言うパフォーマンスで
ハンブルグの選手達は皆呆気に取られた。カルツはそれを満足そうに眺め回してから力強く頷いた。

カルツ「ストラットはもうヘロヘロだ。そしてツバサも限界が近い。もう奴らは攻める事は出来ん」

カペロマン「…なるほど!確かにあれだけ強力なシュートを連発していたら足に来る!」

ポブルセン「それなら残りの20分強で俺達がゴール出来るかどうかの勝負って訳か…上等だ」

ハンブルグメンバー「そうか、それなら行ける!」「俺達はまだやれるぞ!」

若林「(カルツの奴…さっきまで俺以上に落ち込んでいたじゃないか。何時の間にこんな不屈の力を手に入れたんだ?)」

そしてカルツは追い詰められているのは自分達だけではなくサンパウロもそうだと指摘する事で
味方を鼓舞す事に成功した。闘志と自信を取り戻すチームメイト達の姿はカルツ自身も勇気付けた。

カルツ「(俺がダメでもこいつらが居る。こいつらの力を発揮させてやれば良い。
それが出来るのは俺しか居ない。ツバサ…恐らく俺はお前に全てで負けている。
いくら時間をかけても差が縮まらん程にのう。だが…ハンブルグは負けんぞ。
ツバサはツバサ、俺は俺だ。お前の方が上だとしても…ハンブルグは負けんぞ。負けん!)」

シュナイダー「カルツ…」

ハンブルガーSVはまだ終わっていない。

387 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:50:00 ID:y+V7lW+9
いったんここまで。

388 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:44:52 ID:Hi2IffyT
放送「遂に逆転されてしまったハンブルガーSV、逆転の秘策はあるのでしょうか?
それともこのまま為す術無く敗れ去るのでしょうか?」

カルツ「(逆転の秘策か…そんな便利な物になるかどうかは分からんが、チャンスはある)
ポブルセン、キックオフしたらすぐさまツバサに突っ込むぜよ」

ポブルセン「何だと?どういう風の吹き回しだ?」

カルツ「ツバサは消耗している、今ここで奴を吹っ飛ばせばそれが明らかになり
サンパウロは動揺する。それが出来るのはお前しか居ないんだよ」

ポブルセン「…フン、おべっかなんか使いやがって。まあいい、やってやる」

カルツ「頼むぞ(本当に頼む…なんとか突破させてくれ!)」

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「ハンブルガーSVキックオフ!そしてポブルセンくんがすかさず翼くんに向かっていく!」

ダダダダッ!

ポブルセン「ツバサァアアアアアアア!!良い気になるんじゃねェエエ!!」

翼「良い加減…」

ヒュッ!
バチイッ!

翼「五月蝿いぞ!」

ポブルセン「!!(何故だ!何故俺はこいつに勝てねェ!?)」

389 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:45:22 ID:Hi2IffyT
カルツ「(こぼれ球だ!それで十分だ!)」

翼「!」

ダダダダ、バシッ!

放送「この勝負は互角!しかしこぼれ球はカルツくんがフォローしました!
あっとカルツくん、そのまま中央突破ではなく右サイドに走り出しました?」

カペロマン「(そういう事か!)」

アマラウ「ヘッ、カペロマンに渡そうったってそうは…」

カルツ「甘いぞ!ワシの狙いは…お主じゃあ!!」

ダダダッ!
ボゴォ!

アマラウ「ぐわっ…!?」

ドトール「アマラウ!」

カルツ「ジャマなノッポは片付けた!行けェ、カペロマン!」

バコッ!

カペロマン「やってくれるぜ!期待には応えなくちゃな!」

放送「おお〜っと!カルツくんアマラウくんを自らのドリブルで吹き飛ばしてから
カペロマンくんに渡しました!これはハンブルグ、久々の右サイドアタックだァ!」

390 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:45:40 ID:Hi2IffyT
カルツの作戦はキックオフの直後だけはポブルセンがフリーでドリブルを始められる事を利用した物だった。
まずはポブルセンを翼にぶつけ、突破できればそれで良し。突破出来なかった場合でも自分がフォローして翼の無効化を狙う。
その次は翼が立ち直れる前、及びドトール達が彼に追いつける前に右サイドに移動しアマラウを己のドリブルで蹴散らしてから
カペロマンに渡す。今までボールが渡らず試合から消えていたカペロマンは体力が有り余っていたのだった。

翼「そ、そういう事か!皆戻れ!」

カペロマン「わざわざ追いつかせる時間はやらんぞ!そらっ、サイドワインダーだァ!!」

グワアッ…
バシュウウウウウウウウウウウウウウッ!!
ギュンギュンギュンギュン…!

ドトール「…!!」
バビントン「こ、このォ!」
マリーニ「うわわーっ!」
リマ「じ、ジグザグが来たー!」

レナート「一度止めたシュートだ、今度も止められる!」

バッ!バチッ…ゴン!
ポンポンポン…

放送「カペロマンくんのサイドワインダー!しかしサンパウロもチームワークで対抗して防ぐ!
カペロマンくんまたしても得点出来ませんでした!そしてボールはバーに跳ね返されハンブルガーSVの右CKに!」

サンパウロメンバー「やったァ!」「ナイスディフェンスだ、みん…」

ハンブルグメンバー「よっしゃぁあああ!!」「コーナーキックだァ!」「同点に出来る、同点に出来るぞ!」

カペロマン「しめた!とうとうツキが俺に回ってきたぞ!」

ダダダダーッ!!

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