キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【強襲!】キャプテン森崎35【ウルグアイ】

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/30(水) 19:08:49 ID:vrU9GMil
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1256045459/l50
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルの名門クラブパルメイラスのユースチームのキャプテンとして
プロへの登竜門と言われる大会、リオカップへ挑んだ彼は数々の強敵達を零封するも
決勝の相手、宿敵大空翼率いるサンパウロFCに1−4と言う大敗を喫してしまった。
大会MVPも翼に持っていかれてしまった森崎はリベンジの為に全日本ユースに合流し
ジャパンカップで再起を図った。初戦の相手は強力なツートップ、ラモン・ビクトリーノと
火野竜馬を擁するウルグアイユース。両チームとも中々シュートに持っていけない展開が
続くが得点は0−1でウルグアイがリード。全日本ユースは反撃のチャンスをみつけられるのか?
…こんな感じで話は進んでいます。

338 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/01/31(日) 21:27:18 ID:DHWX9kYG
今夜はここまで。また明日お会いしましょう。

339 :創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 21:29:22 ID:Z0p5xxzL
乙でした〜

340 :創る名無しに見る名無し:2010/01/31(日) 21:38:35 ID:KF7wjS0X
乙でした〜!

341 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:38:12 ID:0L3eW8+E
そして前半の終盤に転機は訪れた。

ガッ!
ヒュルルル…

ポブルセン「(何故だ!?何故こいつを止められねェ!?)」

カルツ「(ヒールリフトならトラップした際に隙がある筈!そこを狙えば…)」

翼「ここだ!」

ガッ!
ヒュルルル…

カルツ「な、なんだとォ!?(こいつ、こんな非常識な事まで出来る様になったのか!)」

若林「(うちのMFを手玉に取るとはな。だがそれ位はやってもらわんと困る)」

放送「翼くんなんと2連続でヒールリフト!常人には思いついても到底不可能なテクニックを
いとも簡単に使いこなしてまたしても中盤を切り裂きPA内に突入しました!」

翼「(ここが勝負所だ!バビントン!)」

バビントン「(分かってる、任せて!)」

グワアアッ!

放送「翼くん振りかぶった〜!今度は自分で撃ちに行きます!」

342 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:38:54 ID:0L3eW8+E
若林「(来るなら来い!PA内からでもゴールは許さん!)」

翼「………」

スカッ!
ボコッ!

若林「!」

ハーネス「えっ?」
ゴンゲルス「何を…」
マイヤー「ハッ!」

バビントン「えいっ!」

バコッ!

翼はPA内に切り込んでから自分が撃つと見せかけてからヒールパスで後方にフォローしていたバビントンに渡した。
そしてバビントンはそれをワンツーリターンの様に素早くダイレクトで撃ち返した。翼ではなくストラットの方へ。

マイヤー「し、しまった!」

ハンブルガーSVのディフェンダー達は翼が容易にストラットに渡せない様に、そして至近距離から渡しても
すぐに囲める様に意識してストラットを囲んでいた。その為予想していない角度からのバビントンのパスに
反応出来たのはマイヤー一人だけになってしまい、そのマイヤーもカットに失敗する。

こうしてストラットにボールが渡った。PA内で。

放送「と、と思いきやバビントンくんに…そこからストラットくんに!撃つのはストラットくんだァ!」

343 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:40:01 ID:0L3eW8+E
ハーネス「ヤバい!」
リンツ「つ、潰せ!」

ストラット「もう遅えよ!メガロゾーンシュート!!」

バッゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
ゴゴゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

ハーネス「ぐわあっ!」
ゴンゲルス「ぎゃああ!」
リンツ「ぐぶっ!」

若林「くっ!」

バッ!

バギィイイイイイン!!

若林はこの距離のメガロゾーンにも飛びつき、右拳を盾として突き出した。

ストラット「………!」

若林「ぐ…お…おおおあ〜!!」

バアン!
バサッ!
ポンポンポン…

だがそれが限界だった。ボールは彼の右上腕を押し退けた末にゴールネットの上部を揺らした。

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!



ハンブルガーSV 1−1 サンパウロFC

344 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:41:18 ID:0L3eW8+E
放送「決まった!ゴ〜〜〜〜〜ル!!ストラットくんのメガロゾーンシュートが若林くんの豪腕を力づくで
打ち負かし同点ゴールになりました!前半42分、翼くんが起点になってからバビントンくんのナイスパスで
ストラットくんに渡し、エースストライカーが期待通りに決めて1−1です!サンパウロ、同点!
今まで圧倒的な鉄壁ぶりを誇っていた若林くんもとうとうゴールを許してしまい試合は振り出しに戻りました!」

ウォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「決まったァ!同点だ!」「凄いぞあのストラットって奴!」「若林もあの距離からだと防げないのか」

シュナイダー「ほう…凄いキック力だ」

森崎「(へっざまあみろ。お前がストラットを零封しようだなんておこがましいんだよ)」

若林「く…くそーーーっ!!」

カルツ「(やっちまった…貴重なリードが…)」

バビントン「やったねストラット!ナイスゴール!」

ストラット「おう、ギリギリだったが入ったモン勝ちだ。ナイスアシスト」

翼「有難うバビントン、ストラット。よし皆、ここからはキッチリ前半を終わらせて後半に逆転するぞ!」

サンパウロメンバー『おう!』



ピッ!ピィイイイイイイイイイイイイイ!!

その後残り少ない前半は翼の狙い通り無難に終わり、試合はハーフタイムに突入する。

流れは確実にサンパウロに来ていた。

345 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/01(月) 10:43:03 ID:0L3eW8+E
いったんここまで。

346 :創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 17:35:30 ID:xzAqbAYQ
乙です

どっちが勝つんだろう・・・森崎のリベンジのためにもサンパウロに勝ってほしいけど

347 :創る名無しに見る名無し:2010/02/01(月) 20:17:15 ID:6nBv1vB/
ハンブルガーSVが勝った方が面白そうな展開なので
個人的には期待してる

348 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:05:25 ID:fo6NVmUA
放送「前半が終了しました。スコアは1−1!全く互角の展開です!
ハンブルガーSVが鉄壁のGKに支えられつつ強烈なミドルシュートで先制するも、
サンパウロFCがアグレッシブにボールを支配し続け再三の攻撃を仕掛ける事で同点に追いつきました。
後半はどちらのチームが主導権を握るのか?この接戦の行方は見逃せません!」

観客「全日本の試合のついでのつもりだったけど、こっちも燃えるな!」「後半は翼のゴールに期待だ!」
「若林って凄いんだな…」「森崎とどっちが上なんだろう?」「それにしてもブラジル人はやっぱり上手いんだなー」

森崎「(ムカつく!イラつく!二人とも目立ちやがって!)」

三杉「翼くん…凄くなったな」

岬「うん。正直、差がかなり開いちゃったね」

松山「昔は良い勝負が出来たが、今は…くっ」

葵「さすが翼さん!」

石崎「やっぱり翼はこうでなくっちゃ!」

日向「(ええい、何故だ!あれ程力を追い求めた筈なのに!)」

井沢「若林さん、Jrユースの時とはまるで別人だな」

滝「昔の凄さを取り戻したっぽいな」

来生「懐かしいよなー。静岡に修哲ありと言われたものだぜ」

高杉「(よし…よしっ!これなら若林さんと翼で森崎を蹴落とせる!)」

若島津「(俺は…俺は出番が全く無い第3キーパーに成り下がるだけなのか…?)」

349 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:05:40 ID:fo6NVmUA
イ「大空翼と若林源三。奴らも俺達韓国の前に巨大な壁となって立ちはだかるな」
チャ「他人事みたいに言うなイ。俺達はその分強くならなきゃならねえ」

飛「や、やっぱり世界のトップレベルって色んな事が出来て当たり前なんだな…」
王「何言ってんだよ!一芸で活躍している奴らだって一杯居るぞ!」
呉「そうだ、サッカーはチームスポーツだ。足りない部分は皆で補っていけばいいさ」
李邦内「だが、今のウチはまだまだ改善点が多いのも確かだな」
李邦坤「焦ってもしょーがないって。一つ一つコツコツと気楽にやっていこうぜ〜」

オワイラン「実に素晴らしい。ツバサ・オオゾラとは是非とも戦ってみたいな」
バルカン「俺はあのワカバヤシって奴に挑みたいぜ!」

フライハイト「ツバサのテクニックに手を焼いている感があるな」
シュナイダー「ブラジル仕込みの個人技は大した物だと言う事か」

更なる熱戦の期待に誰もが感情を昂らせる間、両チームはハーフタイムをどの様に過ごしていたのか。



〜サンパウロFCのロッカールーム〜

ストラット「よーし!行ける、行けるぞ!」

バビントン「このまま一気に逆転できるよ!」

翼「(大丈夫、この試合も勝てる。若林くん攻略の目処も立った)」

サンパウロの士気は高まっていた。全日本対ウルグアイの試合でもそうだった様に
前半終了間際の同点ゴールはハーフタイムに緊張感と高揚感をバランス良くもたらす。
自分達の力を再確認しつつまだ勝った訳ではないと言う雰囲気が自然と形成されるのだ。

だが、翼だけは熱くなれずにじっと物思いに耽っていた。

350 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:05:53 ID:fo6NVmUA
翼「(後半の頃合を見計らって逆転して勝つ!そして決勝に…決勝で…また森崎と戦うのか…)」

ロベルト「良いぞ皆、自信を持っていけ。だがストラットが少しバテて見えるな」

翼「(全日本の皆は大分弱くなった印象はあるけど、それでも総合的な戦力は高い。
しっかり対策を考えて、きちんと勝たないと。勝ち続けないと…)」

ストラット「…まあ、確かに。後半最後まで持つかは微妙ですね」

翼「(勝ち続ける…そう、俺は…何時まで勝ち続ければ良いんだろう?
プロになっても…ワールドユースでも…オリンピックでも…ワールドカップでも…)」

ドトール「その分ツバサの体力が十分残っています。問題はありません」

翼「(…出来るんだろうか?ペレもクライフもベッケンバウアーも常勝無敗だった訳じゃない。
俺だって日向くんに負けた事がある。じゃあ…いざ負けた時、どうすれば…)」

アマラウ「前半抑えていた分後半で一気に行けば良いさ、なあツバサ!…ツバサ?」

翼「(何を考えているんだ俺は。常識で考えて一度も負けないサッカー選手なんて有り得ない。
そもそもこんな事試合中に考える事じゃない。まずは今日の試合にしっかりと勝って…
その次の試合もまた勝たないと…なんでまた俺はこんな事を考えているんだ!)」

マウリシオ「…あの〜…キャプテ〜ン?」

翼「えっ?………あっ!?」

351 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:06:40 ID:fo6NVmUA
周囲とはかけ離れた程苛立った表情で黙り込む翼の姿にロッカールームは
何時の間にか静かになっていた。マウリシオに声をかけられてようやく翼は
自分が周りの雰囲気を乱している事に気付き、慌てて眉間の皺を解く。

翼「ゴ、ゴメン。後半のゲームプランを考えていたんだ」

ロベルト「そこまで思いつめた顔になる程危機的な状況じゃないだろう?(…だよな?そうだよな?)」

翼「い、いえ!油断は出来ません。カルツはスロースターターです、後半から一段上の選手になってくるんです」

ストラット「そういえばそんな事言ってたな。でもビデオだとそんな様子無かったぞ?」

翼「それはどれもハンブルグが勝っていた試合だったからだよ。彼は追い詰められてから本気を出すクセがある筈なんだ」

ドトール「確かにそういうタイプの選手も居るな」

アマラウ「じゃあ、作戦に変更が必要なのか?」

翼「…いや、基本的な戦い方はこのままで良いと思う。ただ、一段と気をつけておきたいって事だよ」

バビントン「(ツバサ…また張り詰めている…)」

ロベルト「(えーと、こういう時の監督っぽいセリフは…そうだ、これだ)確かに油断大敵だ。
自信と慢心を間違える者は簡単に負けてしまう。後半も気を引き締めてかかれよ、皆」

サンパウロメンバー『はい!』

翼「(皆は…負ける事が怖くないのかな。俺は何故かこんなに怖いのに…)」

サンパウロのハーフタイムは一部意識の乖離はあったものの、チーム全体の空気は良好なまま過ぎていった。

352 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/02(火) 17:07:45 ID:fo6NVmUA
一旦ここまで。

353 :創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 17:38:47 ID:NTwx7MRb
ロベルトw

354 :創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 17:47:54 ID:hfGp4aPS
ロベルトがんばれw

355 :創る名無しに見る名無し:2010/02/02(火) 18:20:11 ID:lM0mwEId
ロベルトなんだかんだで良い事は言ってるw

356 :創る名無しに見る名無し:2010/02/03(水) 08:29:52 ID:zpngeoSB
高杉はもっと危機感持てよw
翼と若林が森崎をキャプテンとレギュラーの座から蹴落とす代償に
自分がメンバーから蹴落とされる可能性あるのにw

357 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/03(水) 16:59:25 ID:o5HAFBkX
〜ハンブルガーSVのロッカールーム〜

ガスッ!ガスッ!

カペロマン「もうやめろよポブルセン。ロッカー壊れちまうぞ?」

ポブルセン「うるせえ!金でブクブク太った日本人の物がどうなろうと知った事か!」

若林「(なんて事だ。最大でも1失点に抑えるつもりだったのに、もう余裕が…クソッ!)」

メッツァ「(メッツァですが、控え室の雰囲気が最悪です)」

サンパウロとは対照的にハンブルグの士気は落ちていた。先制点を取りこそしたものの
その後は全く良い所が無いポブルセンが荒れてロッカーに八つ当たりし、
嫌な形で失点してしまった若林も歯軋りしながら黙りこくっていたのだ。

ハンブルグ監督「(全く…うちの連中はどうしてこうなんだ。一番マシなカルツでさえ無精者だしな…)」

問題児達が絶対に外せない主力でもあるチームの監督としては堪った物ではない。
しかし彼とチームには幸いな事に一つ計算外の事が起きた。

プッ!
カランカランカラン…

ハンブルグ監督「(ん?)」

カルツ「………」

ここでカルツが楊枝を吐き出したのである。
大きな音を立てる金属製のゴミ箱をじっと見つめるカルツの表情は彼らしく無い程真剣で、
ポブルセンと若林も含めチーム全員の注目が否応無く集まった。

358 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/03(水) 16:59:51 ID:o5HAFBkX
若林「…カルツ?」

カルツ「勝負はこれからぜよ…」

メッツァ「へえ、珍しいね。カルツが闘志を燃やしているなんて」

カルツ「似合わんのは分かっているが、ワシは勝ちたいんだよ」

ハンブルグ監督「!」

その時ハンブルガーSVの監督は密かに稲妻の様な衝撃を受けた。
彼はカルツをシュナイダーと共に常勝伝説を築き上げた頃から見守り続け、
その功績を受けて上の年代のチームの監督になれた人物である。
彼は今、カルツの内面の成長をはっきりと感じ取った。

ハンブルグ監督「(今カルツは確かに言った!”負けたくない”ではなく”勝ちたい”と!)」

ポブルセン「何を今更な事を言ってやがる。今まで手を抜いていたのか?」

カペロマン「底力があるのか常に全力を出せないのか微妙な奴だなー」

カルツ「こればっかりは生まれつきな性分なんでのう。だが…こっからの俺はマジだ。
サンパウロは強い。だが弱点や勝機が無い訳では無い。必ず勝つぞ、皆」

ハンブルグメンバー『………』

カルツ「返事はどうしたァ!」

ハンブルグメンバー『お、おおっ!』

ハンブルグ監督「(まさかカルツがこんな精神力を見せてくれるとは…この試合、まだ行けるかも知れん)」

何時に無く勝利への執着心を見せるキャプテンにハンブルグの選手達は戸惑いつつも気を取り直していった。

両チーム共気力を補充し仕切り直した後、後半戦が始まる…

359 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/03(水) 17:00:13 ID:o5HAFBkX
いったんここまで。

360 :創る名無しに見る名無し:2010/02/03(水) 22:40:14 ID:kHWjMHpi
西尾顔だが男前だなカルツ

361 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:18:44 ID:iPDTSbXv
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

観客「待ちくたびれたぜ!早く始めろー!」「後半も良いゲームを見せてくれよー!」

放送「選手達が後半戦の為に入場してきました。それに伴い観客席の熱も復活!
どちらのチームが最終的に勝利を得るのか全く予想がつきません!」

森崎「(フン、どっちが勝っても面白くねえ)」

シュナイダー「(古巣が押されているのは見ていて良い気分ではないな)」

賀茂「片桐ィ、どっちが勝つか賭けないか?」

片桐「遠慮しておきます。勝つ自信の無い賭けはしないもので」

翼「(不思議だな。フィールドに立つと雑念が無くなる…有難い事だ)」

カルツ「(向こうで消耗しているのはストラットだけか…我慢を強いられそうだな)」



ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「サンパウロボールでキックオフ!ボールを受けた翼くんにポブルセンくんが早速向かいます。
しかし翼くん落ち着いてバビントンくんに回しました」

ポブルセン「てめえ、逃げるんじゃねえ!」

翼「焦らなくても勝負どころで相手してあげるよ」

362 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:19:02 ID:iPDTSbXv
後半はポブルセンではなくカルツの気迫で始まった。

バビントン「(カペロマンの守備は大した事無い、ここはドリブル突破だ!)」

バババッ、ダッ!

カペロマン「くっ!…え?」

バビントン「な!?」

カルツ「ハッ!」

ボゴォ!

バビントン「うわああ!」

放送「おお〜っと、バビントンくんカルツくんに吹っ飛ばされてボールを奪われた!
小柄な体格にも関わらず巧みに接触プレイをこなすカルツくんの本領発揮です!
カルツくんそのまま右サイドを自力で上がっていきます!」

翼「やっぱり本気を出してきたな!アマラウ、カペロマンのマークを続けてくれ!彼は俺が!」

アマラウ「おう!」

カルツ「…翼、勝負ぜよ!」

翼「!」

ガチィイイイッ!

363 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:19:18 ID:iPDTSbXv
翼「く…し、しまっ…!」

ドカアッ!

放送「つ、翼くんまで吹っ飛ばされたァ!カルツくんの腕に巻かれたキャプテンマークは伊達ではありません!」

観客「わーーー、翼がーーー!!」「あのカルツって奴こんなに強かったのか!?」

カルツは得意のハリネズミドリブルで翼を抜き、そのままサンパウロ陣内に攻め入った。
しかしポブルセンとカペロマンがしっかりとマークされている状態ではそれが精一杯だった。
かと言って彼自身が無理やりPA内に切り込めばポブルセンについている4人を抜かなければならない。
最終的に彼が取った苦肉の策はサンパウロのDFライン上で隙を窺っていたFWを使う事だった。

カルツ「…クラウス!」

バシュッ!
ボコッ!

クラウス「ナイスパスカルツ!これで同点ゴールだ!」

放送「そして絶好のスルーパス!クラウスくんがGKと一対一になりました!サンパウロ、ピンチだァ!」

レナート「甘いぞ!俺がどんなバケモノどもを日常的に相手していると思ってやがる!」

ダダッ、ガシイッ!

クラウス「な、なにィ!?」

放送「し、しかしレナートくんのファインプレイ!止めた!素早くボールを確保して止めました!」

しかしハンブルグのツートップはどちらも一対一を得意とするタイプではなく、
逆にレナートは個人技に優れた選手達に鍛えられていた事が災いしゴールはならなかった。

364 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:19:47 ID:iPDTSbXv
レナート「フッ…リオカップナンバー1GKナメんな!」

翼「(ホッ…)」

ストラット「(ま、あれ位はやってくれなくっちゃ日頃いびっている甲斐がねえしな)」

若林「(クソッ、あの程度のGKも攻略出来ないのかうちのFWは!これなら来生の方がまだマシだ!)」

カルツ「(やっぱりのう…ヤラとクラウスには悪いが、シュナイダーちゃんが居てくれたらと思わずには居られん)」

そしてカルツは恐れていた現実を確認させられる事になる。

レナート「ツバサーッ!」

バッコォオン!

放送「レナートくん大きくキック!これは翼くんに向けたロングキックです!ポブルセンくんも追いすがる!」

ポブルセン「つかまえたぞ!もう逃がさねえ!」

翼「それはどうかな?」

バッ!バッ!
ポンッ。

ポブルセン「な、なにィ!?」

翼「やっぱりね…君は浮き球勝負で俺に勝てる様な選手じゃない」

365 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:20:05 ID:iPDTSbXv
放送「翼くん競り勝ってトラップ!そしてドリブル開始…した所にカルツくんが来た!」

カルツ「うおおおお!」

翼「そして俺は君にも負けない、カルツ!」

ダダッ、ガチッ!
バッ!

カルツ「な…なんだとォ!?」

放送「抜いた!翼くん抜いたァアアアアア!!」

カルツ「(ぐっ…全力でもツバサには勝てんと言うのか!?)」

シュナイダー「(カルツ…)」

翼にクリップジャンプで抜かれた時カルツは気持ちが挫けかけた。スロースターターの自分の本気なら
翼も格上の相手ではなくなる。そんな願望はやはり甘かった事を思い知らされたのだ。

翼「ストラット!」

バギュン!

マイヤー「そんな無理やりのパス!」

リンツ「通して堪るかよ!」

若林「バカ出るな、それは罠だ!」

366 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:20:20 ID:iPDTSbXv
ギュルルルン!

マイヤー「えっ?」

リンツ「そ、そんなァ!」

放送「更にドライブパスが炸裂ゥ!ストラットくんにPA内でボールが渡った!
またしてもサンパウロのビッグチャンスだーーーっ!!」

観客「おおっ、2点目か!?」「あいつのシュートは凄いぞ!」

ストラット「決めておくぜ!俺のメガロゾーンを食らえーーーっ!!」

グワアアッ…
バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアン!!

ゴンゲルス・ハーネス『ぎゃああああ!!』

ドガア!ドガアッ!

若林「フザけるな!二度も同じシュートで失点すると思っているのか!」

バッ!
バゴォオオオオオオオオオン!!

ストラット「な、なにィ!」

翼「(くっ、流石若林くん。今ので決まっていれば楽になっていたんだが)」

放送「しかし若林くんもファインセーブ!早くも後半10分になりましたが両チームとも一歩も譲りません!」

367 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/04(木) 17:20:38 ID:iPDTSbXv
いったんここまで。

368 :創る名無しに見る名無し:2010/02/04(木) 17:24:13 ID:Mut2AiTG
来生以下はひどすぎるwwwwww
実際に来生のが上なんだろうけどひどいw

369 :創る名無しに見る名無し:2010/02/04(木) 22:20:37 ID:2EGmGmYN
来生は実力は高いからな・・・
しかし、来生は森崎に対しての印象が低いというハンデを背負いながら大活躍してるよなw

370 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 00:14:41 ID:gDKT3M09
運気は来生からファルコンに移ってるかもよ

371 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 04:28:31 ID:2TcUFYBT
来生は伸び悩まなければなんとか使えたんだが

372 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:35:16 ID:8snrEXnp
その後ハンブルグは次第に若林の粘り頼りになっていった。
彼らはフィールダーの主力が全員MFと言うチーム構造の弱みを突かれたのだ。


ポブルセン「メッツァ!ハイボールで寄越せ、こんな奴ら俺の敵じゃねえ!」

メッツァ「良いの〜?どうなっても知らないよ」

バシュウン!

放送「メッツァくん高く蹴り上げた!これはポブルセンくんの上空へ向けたループパスだ!」

ドトール「愚かな…」

バビントン「4人がかりなら僕だって!」

バッ!
バッバッバッバッ!

バチィ!

ポブルセン「な、なにィ!?」

メッツァ「だめじゃん」

放送「しかしこれは多勢に無勢!トラップ失敗です!」

若林「あのバカ…無理やり翼の真似なんかしやがって!」

フライハイト「やはり視野が狭いMFだな。勿体無い…」

シュナイダー「己の可能性を己の思考で閉ざしている愚物だな」

373 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:35:31 ID:8snrEXnp
カペロマン「まだだ!俺も居るんだぞ!」

アマラウ「それはこっちのセリフだ!」

ザザァ!
バシイ!

カペロマン「くっ、やるな!」

放送「このこぼれ球をフォローしたカペロマンくんもすぐさまアマラウくんにこぼされキープ出来ません!
ハンブルグは後半開始から段々と中盤で押されている印象があります」



攻撃では頼れるFWが居ないからどうしてもMFを経由しないと攻められず、速攻を仕掛けられない。
そしてそのMF達の攻め方が封じられると攻撃権利を確保出来なくなる。



メッツァ「(何処にパスを出しても意味が無い。それじゃ自分で仕掛けるか…嫌だなあ)」

ダダダダッ。

放送「メッツァくん左サイドを走り始めました。パサーの彼ですが展開が開けない事に業を煮やして
自らのドリブルで切り込む算段でしょうか?しかしこのサイドにはマウリシオくんが居ます!」

マウリシオ「(ディフェンスは得意じゃないが…)これ位ならなんとかなるぜ!」

バチッ!

メッツァ「(やっぱりだめだァ〜)」

バビントン「良いよマウリシオ!」

374 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:35:45 ID:8snrEXnp
カルツ「(このままではダメだ!ズルズル時間が過ぎて流れが固定してしまう!
ワシが…ワシがなんとかするしか無い!そしてそれにはとにかくツバサを抜かねば話にならん!)」

ダダダダダ!

カルツ「勝負だ、ツバサ!」

翼「カルツ…!」

数分後、焦るカルツはドリブルで翼に勝負を挑んだ。

翼「(ここだっ!)」

カルツ「!?」

ヒュッ…
ガシィ!
ドタッ…

ハンブルグメンバー「カ、カルツ〜!!」「そんな!あのカルツがこうまでも…!」

そして彼のハリネズミドリブルは翼のクリップタックルに破られた。
ボールを奪われながら前に倒れこむカルツの表情は驚愕と絶望に歪んでいた。
彼の肉体だけでなく、自信とプライドまで地面に叩きつけられて。

カルツ「(…勝てん。ワシではツバサに勝てん!)」

そんなカルツを造作も無く振り切った翼はハンブルグゴールと若林をひたすら見つめていた。
彼の全てが今こそ絶好の得点チャンスだと告げていた。

翼「(このタイミングだ!ここで決めれば俺達の勝ちだ!)」

375 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:36:05 ID:8snrEXnp
ポブルセン「この日本人が!良い気になってんじゃ…」

ササッ!
ヒュッ!

ポブルセン「な…なんでだよ!?」

ハンブルグメンバー「あ、あわわ…」「どうなってるんだよあいつは!?」

戻ってきたポブルセンが止めようとしても今の翼には障害足り得なかった。
ポブルセンをさも当然の様に素早いフェイントで抜き去りあっと言う間にPA内に入ってきた
翼の姿はハンブルグの選手達に多大な畏怖を与え、彼らの精神力を奪った。

この時比較的冷静で居られたのは若林だけだった。

若林「(落ち着け…ここで俺が防げば試合の流れは変わる!そして俺なら防げる!
翼のフライングドライブもミラクルドライブも研究済だ!ストラットのメガロゾーンにももう目が慣れた!
なにより奴はもう足を引きずっている!次の一発を防げばサンパウロの戦力はガタ落ちだ!
そしてその為には…)マイヤー、翼に向かえ!考える前に動け!」

マイヤー「お、おおっ!」

ダダダ…!

翼「(来たな!ここは…)」

ストラット「(ツバサ!)」

若林はあえてストラットのマークから一人DFを翼に割り当て、翼に三択を迫った。
マイヤーを抜き去り、若林と一対一になる。
マイヤーが追いつく前にフライングドライブなどで撃つ。
マイヤーが追いつく前にストラットに渡す。

翼「ストラット!」

バコオッ!

376 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:36:20 ID:8snrEXnp
翼が選んだのは三番目の選択肢だった。
ストラットがマイヤーの動きを見た瞬間に他のDF3人を振り切る為にダッシュしたのを予測し、
彼に一旦PA外でボールを持たせる。この時翼に引きつけられたマイヤーとパスカットを失敗したリンツを無力化させる。

ストラット「ここで試合を決めるぜ!」

バババッ、ダッ!

ハーネス「く、くそーーーっ!」

ゴンゲルス「ワカバヤシィ!」

グワアアッ!!

そしてストラットは翼の期待通りにハーネスとゴンゲルスを突破してPA内に入り、間髪入れずに利き脚を振り上げた。

放送「またしてもサンパウロのビッグチャンス到来ーーーっ!!ストラットくんのメガロゾーンシュートが火を吹く!」

観客「おおおおおおおおおお!!」「いけーーーっ!!」「いや、今度も止められるだろう!」

森崎「………」ゴクリ

                     ストラット「行くぜメガロゾーンシュート!!」

                 バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

                   若林「(威力が落ちているぞ!) と め る !」

                               バッ!

                       バゴォオオオオオオオオオオオオオン!!

                         ストラット「な…なにィイイ!?」

                      若林「(止めた!これで流れが…ハッ!?)」

377 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:36:43 ID:8snrEXnp
                               バッ!
                              グルンッ!
                             グワアアッ!!

                             翼「行くぞ…」

             バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!

                        若林「く…う、ぉおおおおおおおおおお!!」

                                バッ!

               若林は目論見通りストラットのメガロゾーンシュートを止める事に成功した。
                しかし直後に翼がオーバーヘッドキックでこぼれ球に飛びついていた。

                  若林「(届く!ただのオーバーヘッドキックなら届…馬鹿な!?)」

                     ギュルルルルルルゥウウウウウウウウウウウウウウン!!

                  若林「(これは…翼が3年前俺との特訓で編み出した…!)」

                        翼「ドライブオーバーヘッド!!」

                 ただのオーバーヘッドキックならセービングの直後でも防げただろう。
                       若林はそこまでの実力を手に入れていた。
                だが翼のオーバーヘッドキックは逆さまのドライブ回転をかけていた。

                        ズッバァアアアアアアアアアアアアアアン!

                      ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

         若林の手を潜り抜けたボールがゴールネット上部を突き破り、直後に審判の笛が高々と鳴り響いた。



                       ハンブルガーSV 1−2 サンパウロFC

378 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/05(金) 19:38:07 ID:8snrEXnp
いったんここまで。

379 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 21:02:13 ID:3tv30dYO
あの若林さんがここまでカッコよくなって帰ってくるとはw

380 :創る名無しに見る名無し:2010/02/05(金) 21:33:29 ID:/dYw/+9S
味方になると頼りなくなる法則ですね

381 :創る名無しに見る名無し:2010/02/06(土) 09:54:24 ID:XRnZRIqt
若林が本来の実力を取り戻しつつあるな
個人的には若島津に期待してたりする

382 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:45:15 ID:y+V7lW+9
放送「ゴール!ゴールゴールゴォオオオオオオオオルゥウウ!!!後半23分、サンパウロが逆転!
決めたのは翼くん!メガロゾーンシュートが弾かれた所をオーバーヘッドキックで見事にねじ込みました!
それもただのオーバーヘッドキックではありません、なんと逆さまのドライブ回転をかけた
言わばドライブオーバーヘッドです!翼くんの18番であるオーバーヘッドキックとドライブシュートを
組み合わせた超大技がここ一番で炸裂し、若林くんの牙城を崩しました〜〜〜!!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

観客「す、す、すげえええええええっ!!」「ドライブオーバーヘッドだって!?そんなの可能なのか!?」
「下に向かって撃たれたのにギューンって上に行ったぞ!」「もう誰にも止められねえよ!」
「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」「翼!」

イ「こ、これが…大空翼…!」
チャ「ぐ…な、なんで日本なんかにこんな化け物が!」

呉「(とんでもないシュートだ…陸と肖に徹底的に研究させないと)」

オワイラン「し、信じられない…なんて技だ!これなら僅か18歳でブラジルのプロになれたのも納得だ」
バルカン「…どうやってあんな回転かけたんだろう…」

三杉「(森崎を利用して力を取り戻したつもりだったが…やはりまだまだ差は大きいみたいだな)」

岬「(凄いや。やっぱり翼くんは正真正銘の天才だ)」

日向「(フザけるな…認めねえ!この俺があんな奴に負けて堪るか!)」

翼のブラジル留学の成果を象徴する様な壮絶な技に観客席は興奮の坩堝に包まれた。
特に森崎はとてつもない衝撃と激情を味わっていた。

森崎「(あ、あんな技リオカップでは見せなかったぞ!まさかリオカップの後に開発したって言うのか?
それともただ単に今まで使う必要が無かっただけなのか?…畜生!畜生!翼めぇえええ!!)」

自分をあれだけ徹底的に打ち負かした翼が更に強くなっているのか、もしくは全力を出していなかったのか。
面白くない現実の二択を迫られた森崎は歯軋りをせずには居られなかった。

383 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:45:46 ID:y+V7lW+9
また彼とは別の理由で歯を軋ませていた男が居た。

シュナイダー「……………」

かつてハンブルガーSVで無敵のストライカーとして鳴らしたシュナイダーである。

フライハイト「不快か、シュナイダー?」

シュナイダー「…カルツ達がこのまま何も出来ずに負ければな」



観客席からかつてのチームメイトでありキャプテンであった男の視線が注がれているとは
露とも知らないカルツ。彼は今地に手と膝をつき己の無力さに震えていた。

翼との直接対決に何度も破れた上に自分には到底出来ない絶技を連発され、カルツの心は砕けかけていた。

カルツ「(勝てん…こんなに勝ちたいのに勝てん!俺ではツバサに勝てん!サンパウロに勝てん!
俺はシュナイダーが居ないと勝てないのか?所詮シュナイダーの添え物に過ぎんのか…?)」

シュナイダーの跡を継ぎハンブルガーSVのキャプテンになった彼は必然的にシュナイダーと比べられ続け、
本人もその期待と圧力に応えるべく力をつけていった。そんな彼にとってジャパンカップは
願っても無いチャンスだった。かつてハンブルガーSVと西ドイツJrユースの選手として2回ぶつかったが
勝つ事が出来なかった全日本だけでなく、ブラジルナンバー1のサンパウロFCと南米の古豪ウルグアイと言う
強豪チームが数多く参加するこの大会をシュナイダーの力無しで戦う事は大きな意義があった。

だが現実は厳しかった。彼自身は翼に圧倒され、彼だけでなくチームの主力フィールダー達も全員
翼率いるサンパウロに押されてしまい若林一人の守備力に頼った情けない試合展開。
そしてその若林すらも無敵ではないと証明される形になった逆転劇。

384 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:46:13 ID:y+V7lW+9
この時サンパウロの選手達が彼の近くを通りがからなければ彼の闘志はそのまま消えていたかも知れない。

マウリシオ「やったッスね!これで勝ちですよ!」

翼「ああ、後はこのまま試合をきっちりコントロールし続ければこれが決勝点になる」

ストラット「絶対そうしなくっちゃな。正直俺はもうクタクタだ」

カルツ「(クタクタ…)」

カルツはストラットのセリフを聞き、絶望で下げていた頭を上げた。

カルツ「(そうか、ストラットはもう限界なんだ…だが、今となってはもう意味が…何!?あ、あれは!)」

そして見た。

息が荒くなっており本人の言う通り疲れていそうなストラットの側に立つ翼を。

翼の顔に流れる汗の筋を。

わずかながら震えている翼の脚を。

カルツ「(疲れている…ストラットだけではない、ツバサも疲れている!どんなに強くても
人間である以上スタミナは有限だ!ツバサだってシュナイダーだってそうだ!)」

次にカルツは見た。競技場に備え付けられた電光掲示板とそこにある時計を。

時計は後半23分を示していた。

カルツ「(まだ20分以上残っている…そして俺の体はまだまだ動く!俺は…いや、俺達はまだ負けていない!)」

カルツは立ち上がりキャプテンマークの位置を直してから歩き始めた。自陣ゴール前の仲間達の所へ。

385 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:46:34 ID:y+V7lW+9
カルツ以外のハンブルグの選手達も打ちのめされていた。

メッツァ「(だめじゃん。この試合勝てないよ)」

カペロマン「(くっ…なんて事だ。俺はまだ何もしていないのに、このまま負けるのか?)」

ポブルセン「ゥググガギギィィィ…!!」

闘志に欠けるメッツァは早々と諦めの表情を浮かべ、活躍らしい活躍をしていないカペロマンは焦り、
カルツ以上に翼相手に敗北を繰り返しているポブルセンは顔を真っ赤に染めてブルブルと震えていた。

若林「(俺は…俺は強くなった筈だ!怠け心を全て殺して力を蓄え続けた!それでも翼には勝てないのか!?)」

そして若林はカルツがそうして居た様に地に手をつき項垂れていた。
このままでは翼に負けてしまう。そして森崎以上のGKであると証明出来なくなる。
そうなったら心を入れ替え自分を鍛えぬいたこの過去数年間は一体何だったのか…?

カルツ「………」

そんな共通点の多い葛藤に苦しんでいる彼の背後にカルツがつかつかと歩み寄り…

ブン…
ゴツッ!

若林「ぐわっ!?」

カルツ「でけえ図体している癖にそんなに縮こまっているんじゃねえよ」

彼の尻をつま先で小突いた。

386 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:49:08 ID:y+V7lW+9
若林「貴様、いきなり何をしやがる!」

カルツ「お、なんだ元気じゃないか。体力の限界だと思って交代させてやろうと思ったんだが、余計なお世話だったか?」

若林「当たり前だ!体力も気力もまだまだ有り余っているぞ!」

カルツ「それなら良い。それなら勝てるぜよ」

メッツァ「えっ?本気?」

落ち込んでいるGKへの挑発の直後に大胆な勝利宣言と言うパフォーマンスで
ハンブルグの選手達は皆呆気に取られた。カルツはそれを満足そうに眺め回してから力強く頷いた。

カルツ「ストラットはもうヘロヘロだ。そしてツバサも限界が近い。もう奴らは攻める事は出来ん」

カペロマン「…なるほど!確かにあれだけ強力なシュートを連発していたら足に来る!」

ポブルセン「それなら残りの20分強で俺達がゴール出来るかどうかの勝負って訳か…上等だ」

ハンブルグメンバー「そうか、それなら行ける!」「俺達はまだやれるぞ!」

若林「(カルツの奴…さっきまで俺以上に落ち込んでいたじゃないか。何時の間にこんな不屈の力を手に入れたんだ?)」

そしてカルツは追い詰められているのは自分達だけではなくサンパウロもそうだと指摘する事で
味方を鼓舞す事に成功した。闘志と自信を取り戻すチームメイト達の姿はカルツ自身も勇気付けた。

カルツ「(俺がダメでもこいつらが居る。こいつらの力を発揮させてやれば良い。
それが出来るのは俺しか居ない。ツバサ…恐らく俺はお前に全てで負けている。
いくら時間をかけても差が縮まらん程にのう。だが…ハンブルグは負けんぞ。
ツバサはツバサ、俺は俺だ。お前の方が上だとしても…ハンブルグは負けんぞ。負けん!)」

シュナイダー「カルツ…」

ハンブルガーSVはまだ終わっていない。

387 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/07(日) 12:50:00 ID:y+V7lW+9
いったんここまで。

388 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:44:52 ID:Hi2IffyT
放送「遂に逆転されてしまったハンブルガーSV、逆転の秘策はあるのでしょうか?
それともこのまま為す術無く敗れ去るのでしょうか?」

カルツ「(逆転の秘策か…そんな便利な物になるかどうかは分からんが、チャンスはある)
ポブルセン、キックオフしたらすぐさまツバサに突っ込むぜよ」

ポブルセン「何だと?どういう風の吹き回しだ?」

カルツ「ツバサは消耗している、今ここで奴を吹っ飛ばせばそれが明らかになり
サンパウロは動揺する。それが出来るのはお前しか居ないんだよ」

ポブルセン「…フン、おべっかなんか使いやがって。まあいい、やってやる」

カルツ「頼むぞ(本当に頼む…なんとか突破させてくれ!)」

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「ハンブルガーSVキックオフ!そしてポブルセンくんがすかさず翼くんに向かっていく!」

ダダダダッ!

ポブルセン「ツバサァアアアアアアア!!良い気になるんじゃねェエエ!!」

翼「良い加減…」

ヒュッ!
バチイッ!

翼「五月蝿いぞ!」

ポブルセン「!!(何故だ!何故俺はこいつに勝てねェ!?)」

389 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:45:22 ID:Hi2IffyT
カルツ「(こぼれ球だ!それで十分だ!)」

翼「!」

ダダダダ、バシッ!

放送「この勝負は互角!しかしこぼれ球はカルツくんがフォローしました!
あっとカルツくん、そのまま中央突破ではなく右サイドに走り出しました?」

カペロマン「(そういう事か!)」

アマラウ「ヘッ、カペロマンに渡そうったってそうは…」

カルツ「甘いぞ!ワシの狙いは…お主じゃあ!!」

ダダダッ!
ボゴォ!

アマラウ「ぐわっ…!?」

ドトール「アマラウ!」

カルツ「ジャマなノッポは片付けた!行けェ、カペロマン!」

バコッ!

カペロマン「やってくれるぜ!期待には応えなくちゃな!」

放送「おお〜っと!カルツくんアマラウくんを自らのドリブルで吹き飛ばしてから
カペロマンくんに渡しました!これはハンブルグ、久々の右サイドアタックだァ!」

390 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:45:40 ID:Hi2IffyT
カルツの作戦はキックオフの直後だけはポブルセンがフリーでドリブルを始められる事を利用した物だった。
まずはポブルセンを翼にぶつけ、突破できればそれで良し。突破出来なかった場合でも自分がフォローして翼の無効化を狙う。
その次は翼が立ち直れる前、及びドトール達が彼に追いつける前に右サイドに移動しアマラウを己のドリブルで蹴散らしてから
カペロマンに渡す。今までボールが渡らず試合から消えていたカペロマンは体力が有り余っていたのだった。

翼「そ、そういう事か!皆戻れ!」

カペロマン「わざわざ追いつかせる時間はやらんぞ!そらっ、サイドワインダーだァ!!」

グワアッ…
バシュウウウウウウウウウウウウウウッ!!
ギュンギュンギュンギュン…!

ドトール「…!!」
バビントン「こ、このォ!」
マリーニ「うわわーっ!」
リマ「じ、ジグザグが来たー!」

レナート「一度止めたシュートだ、今度も止められる!」

バッ!バチッ…ゴン!
ポンポンポン…

放送「カペロマンくんのサイドワインダー!しかしサンパウロもチームワークで対抗して防ぐ!
カペロマンくんまたしても得点出来ませんでした!そしてボールはバーに跳ね返されハンブルガーSVの右CKに!」

サンパウロメンバー「やったァ!」「ナイスディフェンスだ、みん…」

ハンブルグメンバー「よっしゃぁあああ!!」「コーナーキックだァ!」「同点に出来る、同点に出来るぞ!」

カペロマン「しめた!とうとうツキが俺に回ってきたぞ!」

ダダダダーッ!!

391 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:46:12 ID:Hi2IffyT
翼「え…?ああっ!?」

そしてカルツにはもう一つ狙いがあった。コーナーキックに最適なサイドワインダーの性能である。

カルツ「決めろ!カペロマン!」

カペロマン「俺のサイドワインダーはコーナーキックから真価を発揮する!うなれェエエエ!!」

グワアアッ!
バジュウウウウウウウウウオオオオオオオオオオン!!
ギュルギュルギュルギュル!

アマラウ「バ、バカな!?」
ドトール「し、しまったァ!」
翼「そ、そんな…!」

レナート「ボ、ボールが…!」

ガッコォオオオオン!!
ヒューン…パサッ。

うねうねと曲がりながらブロッカー達をかわしたボールがゴール右隅の内側に当たって跳ね返り、
逆側のサイドネットを揺らす。その様は由来の通りジグザグに飛びかかる毒蛇を連想させた。

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!

放送「き、決まったァ!ゴーーーーーールゥ!!カペロマンくんのサイドワインダーが三度目の正直で
コーナーキックからゴールイン!後半28分、ハンブルガーSVが同点に追いつきました!
2−2!まさかのあっと言う間の同点劇で試合はまたしても分からなくなってしまいました〜!!」



ハンブルガーSV 2−2 サンパウロFC

392 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 15:46:53 ID:Hi2IffyT
いったんここまで。

393 :創る名無しに見る名無し:2010/02/10(水) 22:51:33 ID:swp2cW72
要望なんですけど
セービングを選ぶときに+2で勝ってもCKになる場合は注意書きを付けてもらえませんか

394 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/10(水) 23:07:15 ID:Hi2IffyT
>>393
それは出来ません。いざセービングするまで分からない事もあるのがこのゲームの仕様です。

395 :創る名無しに見る名無し:2010/02/10(水) 23:21:46 ID:swp2cW72
分かりました

396 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 00:25:06 ID:u+kSlUto
ゲームマスターとはいえ言い方というものが・・・

397 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 00:29:27 ID:lnTbA4bT
どう考えても失礼な要望に、わざわざ答えてくれてるじゃないか。
これ以上を望むのは我侭というものに他ならんよ。

398 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 00:35:32 ID:u+kSlUto
あ、というかNPC戦じゃないか・・・
失礼した、マジゴメン ROMに戻るわ

399 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 00:58:55 ID:wTTsNljM
むーん…続きが間に合わなかった。
また明日お会いしましょう。

400 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 01:00:01 ID:8rYh5l/N
サイド乙!

401 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:55:02 ID:wTTsNljM
ザワザワザワ…

観客「え?え?こんなにあっさり決まっちゃうもんなの?」「また同点…一体どうなるんだ?」

シュナイダー「…奇襲が上手く行ったか」

フライハイト「今のが決まらなかったらもうチャンスは無かったかも知れんな」

森崎「(ケッ、あっさり決められやがって。油断なんかしてんじゃねーよ)」

サンパウロ有利かと思われた矢先のハンブルグの逆襲に観客に動揺が走った。
1点の重みが非常に大きいサッカーでは試合の流れや雰囲気はゴールと共にあっさり変わってしまう。

カペロマン「よし!やったぜ!」

メッツァ「へー、やるじゃん」

ヤラ「凄い、見事に決めてくれたな!」

クラウス「これでなんとか首の皮が繋がったぞ!」

当然の事だが、ハンブルガーSVは喜びに沸いた。
値千金のゴールを決めたカペロマンにチームメイト達が群がり祝福する。

ポブルセン「(チッ、でしゃばりやがって)」

カルツ「(フゥ…上手く行ってくれたか。さて、ここからサンパウロが打ってくる手は…)」

若林「(ようやく仕事をしやがったか。遅いんだよ全く)」

中には声に出せない思いが故に彼に近づかなかった者も居たが、この同点ゴールを喜ばなかったハンブルグの選手は居なかった。

402 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:55:20 ID:wTTsNljM
当然の事だが、サンパウロFCは落胆していた。
苦労して奪ったリードをあっと言う間に失ってしまったショックは大きかった。

レナート「くそっ!俺とした事が…!」

ドトール「…不覚」

アマラウ「畜生!カルツの狙いに最初から気付いていたら…!」

バビントン「絶対にやっちゃいけない点だった…」

マウリシオ「ど、どうするんだ?このままじゃ…」

ザッ。

翼「諦めるな皆!まだ同点なんだぞ!」

サンパウロメンバー「ツ、ツバサ…」「だけど、お前もストラットももう…」

翼「そうだ。確かに俺もストラットも消耗している。だからと言って諦めちゃいけない。
諦めたら勝てる時も勝てない、諦めたら負けるかも知れない時は必ず負けてしまう!
最後まで勝利を目指して最善を尽くす者だけが栄光を手に入れられるんだ!」

ドトール「…正論だな(だが…)」

アマラウ「そうだな…こんなにあっさり諦めるなんてゴメンだな」

バビントン「(ツバサ…そう言っている君が一番追い詰められている様に見えるよ…)」

マウリシオ「そりゃそうスけど…具体的にはどうするんですか?」

403 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:55:37 ID:wTTsNljM
この時ゲキを飛ばした翼の姿にある者はキャプテンシーを見、ある者は危うさを見た。
正論で気力を振り絞り弱気から心を守る。その行為の対象はチームメイトか、それとも自分自身か?
翼の必死な表情と声からそれを判断出来る者は居ない。

翼「ストラット!試合終了間際までに回復できそうか?」

ストラット「オーバーヘッドキックならなんとか…メガロゾーンはもう無理だ」

翼「そうか、なら…皆、時間を稼ぎに行くぞ。ボールを回して終了直前に速攻を仕掛ける。
俺がもう一発ドライブオーバーヘッドを撃ちに行く!それまでなんとか踏ん張ってくれ」

サンパウロメンバー『お、おう!』

ただ一つ言えるのは翼もサンパウロも追い詰められていた事だった。



ピィイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「苦労して奪った逆転リードを油断故か一瞬にフイにされてしまったサンパウロ、
今度のキックオフではどう攻めるのか?…おっと、これは今までとは一転したゆっくりなパス回し!
残り少ない後半のチャンスは慎重に決めに行くつもりなのでしょうか?」

フライハイト「時間稼ぎだろうな」

シュナイダー「当然の判断だ。この時間帯でわざわざマイボールのアドバンテージを安易に消費する手は無い」

森崎「(ったく、どっちかが圧勝すればそいつを倒して俺の株を上げられたのに。なんで接戦になってやがるんだ)」

404 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:55:52 ID:wTTsNljM
カルツ「走れ!走りまくるんじゃあ!さっさと奪わないと俺達の攻撃チャンスは無い!」

ハンブルグメンバー「分かってるよ!」「うぉおおおおお!」「ボールを寄越せーーーっ!!」

ドドドドドドドド!!

サンパウロメンバー「渡すな!」「もっと速く回せ!」「そっち、後ろに来てるぞ!」

バシッ!ポーン!ダダダッ!バコォ!

放送「ハンブルガーSV、地響きが聞こえてきそうな勢いで走る!サンパウロのボールを
なんとしてでも奪い返し、3点目をサンパウロゴールに叩き込もうとしています!
サンパウロもボール回しのスピードを上げて対抗!終盤の両陣の力比べです!」



数分後、サンパウロFCとハンブルガーSVの根競べはハンブルガーSVの勝利に終わった。

ダダッ、パシッ!

ジウ「ああっ!」

メッツァ「もらったよ!」

放送「これはジウくん不用意だったか!?バックパスをメッツァくんに奪われてしまった!」

マウリシオ「何やってんスかもう!くそーっ!」

メッツァ「もう遅いよ〜」

バシュッ!
ギュルルルルルル…

マウリシオ「や、ヤベえ!」

405 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:56:44 ID:wTTsNljM
放送「更にマウリシオくんを得意のパスで出し抜いて…おおおーーーっと、これはァ!ポブルセンくんに渡ったァ!」

ポブルセン「…フハハハハハ!!」

サンパウロメンバー「し、しまったァ!」「つけ、早くあいつのマークにつけェ!」

メッツァのパスカットからトップスピンパスでポブルセンにボールが渡り、サンパウロの選手達が悲鳴を上げる。
ボール回しに専念していた彼らにはとてもポブルセンを密着し続ける余裕など無かったのだ。

ドトール「いかん!俺が奴を…」

ポブルセン「よくも今まで好き勝手にやってくれやがったなァ!」

ダダダダ!
ドガァ!

ドトール「ぐわああ!!」

バビントン「くっ…だったら僕が!」

ポブルセン「だがそれもここまでだァ!」

ドガァア!

バビントン「あがぁあっ…!」

放送「ポブルセンくんの中央突破が決まったァ!ドトールくんとバビントンくんを派手に蹴散らし
一気にバイタルエリアに突入しました!サンパウロ絶対絶命ーーーーっ!!」

観客「あーーーっ!?」「あ、あいつが撃つぞ!」「マーダーショットが来る!」

406 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:57:12 ID:wTTsNljM
                               グワアアアッ!!

              ポブルセンが絶好の位置で右足を振り上げた時誰もが「決まった」と思った。

                                 ヒュンッ!

                  疾風の様に彼の目の前に駆け込む人影を見るまでは。

               ポブルセン「!?…上等だァアアア!!俺の力を思い知れェエエエ!!!」

                  翼「負けない!俺は…負けない!勝つんだァアアアア!!」

                それはポブルセンのマーダーショットを打ち返しに行った翼の姿だった。

                    バッギュォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
                      バッギィイイイイイイイイイイイイイイン!!

                      ポブルセン「…ウソだ!こんな事が…!!」

                  翼「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

                  ドッグゥォワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

                    ポブルセン「俺は認めね…ぎゃああああああっ!!」

            ポブルセンは己の暴力を倍返しで叩きつけられ、大型車に跳ねられたかの様に宙を舞った。

                  ギュゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォオオオオオオオ!!

      ボールは彼の体と言う障害など最初から無かったかの様に爆音を立ててフィールドの反対側に向かって飛んでいった。

                 殆どの観客は何が起きたか咄嗟には分からなかっただろう。

           だが打ち返されたボールが空気とフィールドを切り裂く光と化した事はかろうじて分かった。

                   彼らは皆思った。「これが決まらない訳が無い」と。

407 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:57:54 ID:wTTsNljM
                       森崎「(これは…このシュートは!)」

                 そして森崎に取ってこれ程忌まわしいシュートも無かった。

               このシュートで翼に打ち負かされたのはつい先月の事なのだから。

          森崎だけではない。全日本の選手達も、他国のライバル達も思った。「サンパウロの勝ちだ」と。

               フィールドで今正に戦っている22人もそのうち20人が決着を予期した。

                    カルツ「ワ…ワカバヤシィイイイイイイイイッ!!」

             例外の二人のうち一人はキャプテンが故に諦める事が許されないカルツ。



           若林「甘いぞ翼!忘れたか?俺はどんなシュートもペナルティエリア外からなら…」



                               バッ!
                               ブンッ…
                    バッゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

                   翼・森崎『な…な…なにィイイイイイイイイイイ!?』

                         若林「 と め る ! 」

               そしてもう一人はこのシュートに絶対の確信を持って立ち向かい、
                その豪腕を全力で打ちつける事で跳ね返した若林だった。

408 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/11(木) 16:58:53 ID:wTTsNljM
いったんここまで。

409 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 17:11:56 ID:1/eSrhRp
な…

410 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 17:20:52 ID:yxT/CDyJ
なにィ!?

411 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 17:30:55 ID:19oPv0R+
決勝は日本の攻撃力じゃ点入る気がしねぇw
日向に高乱数&若林の低乱数を期待するしかないなw

412 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 17:32:10 ID:8rYh5l/N
一回限りだけどスルーという手もあるはず…絶対勝つぞー!

413 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 19:14:08 ID:c2KqjvA7
凄い、NPCの試合なのに盛り上がりが違う…
片方としか戦えないのが惜しいな、本当に

414 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 19:23:27 ID:ypq0h2L+
しかし若林はどんな補正が入ってるんだw

415 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 20:47:27 ID:7F7HdRKn
翼がいろいろ悩んでたのはやはり負けフラグだたのか

416 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 20:55:50 ID:zrr3LmIR
ストラットがいるよ

417 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 21:04:13 ID:mPwQnbcC
翼も若林も申し分ない活躍してるのに森崎と日向がパッとしない
日本にいた日向はともかく森崎・・・

418 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 21:54:00 ID:oWucgVRb
トルネード完封は評価されてると思うが
倍速はまあ・・・仕方ない

419 :創る名無しに見る名無し:2010/02/11(木) 21:59:16 ID:mPwQnbcC
いや一回はポストになったけどパンサーストリームに実質二度とも負けてることね

420 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 02:17:49 ID:kvBl9yVW
まだストラットが居る。

421 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 05:05:51 ID:vH91Zwla
キャプ翼の若林だったら台詞はともかく実力は今のままで普通なのだが
ここまで若林が確変するとなんか違和感がある
今後の展開が気になって仕方ない

422 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 09:04:30 ID:1uEEsTC/
わかった!サイボーグ化だ

423 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 09:49:54 ID:J+gNkoCe
本気で真面目に取り組めば若林だってここまでできるって事なのかも
例の件で序盤で退場したけど永遠のライバルの一角なんだから

424 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/12(金) 15:42:33 ID:B1N3p1Oo
放送「こ…これは…これはあっ!?し、失礼しました!どうやらポブルセンくんのシュートを
翼くんが撃ち返し、更にその撃ち返されたシュートを若林くんが利き腕を叩きつけて防いだ様です!
あまりにもダイナミックな攻防があまりにも瞬時に行われた為私は言葉を失ってしまいました!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「なんだあれ!なんだあれ!?」「サ、サッカーってこんな事が起きるのか?」
「ボ、ボールが目で見えなかった…音だけ聞こえた…」「今のどうやって防いだんだよおい!?」

シュナイダー「(ワカバヤシ…そんな力があるのなら俺が居た内に発揮して欲しかった物だ。全く)」

片桐「な、なんたるシュートだ…!」

賀茂「そしてあれを防いだ若林…とんでもねえな」

三杉「…ハイレベル過ぎる。攻撃も、守備も…」

石崎「さ、流石は翼と若林ってか…?」

葵「凄い!凄いです、凄すぎます!日本が世界に誇る二大巨頭ですね!」

日向「(………畜生………)」

森崎「(なんで…なんで若林なんかがアレを防げるんだよ!クソッタレ!)」

想像を絶するプレイの応酬に観客席は素人選手問わず半ばパニックじみた熱狂に陥った。
だが彼らが騒ぐ事に集中出来た時間は長くなかった。

カルツ「良くやったァワカバヤシーーーーッ!!」

試合はまだ終わっていなかったからだ。

425 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/12(金) 15:43:05 ID:B1N3p1Oo
放送「そして弾き返されたボールはカルツくんがフォロー!すぐさまストラットくんがチェックに行きます!」

ポブルセン「ぐ…ぐぉおおお…う、動け!動きやがれェ!」

翼「あ、足が…皆、なんとかしてくれ!守りきってくれ!」

体力が尽きた上に利き脚が痺れて立てないポブルセンと翼を他所に試合はクライマックスに向かう。

ストラット「まだだァ!そのボールを寄越せ!」

カルツ「そいつは…」

ドガアッ!

ストラット「ぐあっ!?」

カルツ「虫が良すぎるお願いだっての!」

放送「ストラットくん止められない!カルツくんの独走を許してしまいます!
あっと言う間にセンターサークルへ来ましたが…ここでドトールくんとバビントンくんがやってきた!」

ドトール「これ以上お前の独走は許さん!」

バビントン「ここで止める!」

カルツ「………」

ガコッ!

ドトール「何!?」

バビントン「あっ!」

426 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/12(金) 15:43:20 ID:B1N3p1Oo
メッツァ「カペロマン、後は任せたよー」

バシュウウッ!!
ギュルルルン!

放送「カルツくんここで勝負を避け、メッツァくんにパス!すかさずメッツァくんのサイドチェンジ!
これが上手くカペロマンくんに渡ったーっ!サンパウロの陣形はズタズタだーっ!!」

カペロマン「よし、美味しい所を貰うぜ!ラストサイドワインダーだ!」

放送「カペロマンくん振りかぶる!出た〜、サイドワインダーだァ!今度こそサンパウロ絶対絶命ーーーっ!!」

グワアッ…
バシュウウウウウウウウウウウウウウッ!!
ギュンギュンギュンギュン…!

翼「く…うああっ!」

ポブルセン「あっ、てめえ!待て!」

アマラウ「(大丈夫だ…奴のシュートはブロッカーを避ける様に狙って撃たれる!
リマ、マリーニ、マウリシオの立ち方をイメージして…後は山勘で!)ここだああっ!!」

バッ!
バチッ!

カペロマン「なにィ!?」

放送「おーーーっと、これはアマラウくんの大ファインプレイ!目一杯高く飛び
サイドワインダーを頭頂部で受け流しました!ハンブルグ、3点目はならず…いや!?」

427 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/12(金) 15:43:38 ID:B1N3p1Oo
両チームの死力の絞りあいは最終的にボールをカルツに託した。
そして彼の前には震える脚を叱咤しながら走る翼が立ちはだかっていた。

放送「カルツくんだ!カルツくんがつめている!そして翼くんが側に居る!
試合終了間際、両チームのキャプテンの激突だーーーっ!!」

翼「ハァ…ハァ…最後の勝負だカルツ!」

カルツ「…ツバサーーーーーッ!!」

ダダッ!
ダダッ!

サンパウロメンバー『ツバサ!』
ハンブルグメンバー『カルツ!』

翼「(俺は…負けない!負けたくないんだァ!)」
カルツ「(俺は…勝つ!勝つんじゃあ!)」

森崎・シュナイダー『………!』

ガチィイイイッ!!

翼「!?………〜〜〜〜っ!!」

ドガアッ!
ドサッ…

そして軍配はカルツに上がった。皮肉にも今まで思う様に活躍できていなかった事で、彼の体力は有り余っていたのだ。

放送「つ、翼くん吹っ飛ばされたーーーっ!!カルツくん誰も止められないままPAに侵入ーーーっ!」

428 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/12(金) 15:44:00 ID:B1N3p1Oo
サンパウロメンバー「そ、そんな!ツバサが!?」「レナートなんとかしろー!」

レナート「分かっている!うぉおおおおおおお〜っ!!」

カルツ「………」

ニヤア。

そしてレナートと一対一になった時カルツは笑った。ハリネズミドリブルに負けまいと全力で突進する姿に笑った。

ブンッ…
ガスッ。

レナート「え…?」
サンパウロメンバー『あ…』
ハンブルグメンバー『おお…』

ポーン…
ヒュゥウウウン…
ポン…コロコロ…ピタ。

全力と見せかけた大きな振り足から放たれたとは思えない緩く大人しいシュートがまるで夜空の満月の様に
儚げにゆっくりと宙を舞い、ゴールバーの下を名残惜しむ様に潜り抜けてからゴールラインを割った。

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

ピッ!ピッ!ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!

カルツ「…よっしゃぁああああああああああああああああああああああ!!!」



ハンブルガーSV 3−2 サンパウロFC

429 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/12(金) 15:44:19 ID:B1N3p1Oo
翼「え…?」

立て続けに鳴った二つの笛が二つの事実を告げる。

カルツのゴール。
試合終了。

そしてそれらが意味する事も二つ。
ハンブルガーSVの勝利。即ち、サンパウロFCの敗北である。

放送「…ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオルゥウウウウウ!!!?
そ、そしてなんとここで試合終了!何時の間にか試合時間は後半ロスタイムに突入していたのです!
3−2!サンパウロFCが、大空翼くんが破れました!彼らを打ち破ったのは西ドイツのハンブルガーSV!
そして決勝点を決めたのが今諸手を天に突き上げ喜びに叫んでいるキャプテンのヘルマン・カルツくんです!!」

観客「な…なんだってーっ!?」「な、何がどうなったんだよ!」「訳が分からない程凄いプレイばっかりでもう何がなんだか…」
「決まったんだ!あのカルツって奴がゴールしたんだ!」「マジかよ…あんなに強い翼が、サンパウロが負けたのか…」

カルツ「(やった…俺はやったんだ!やったんだぜ、シュナイダーちゃん!)」

カペロマン「くそーっ、美味しい所持って行きやがって!」
ヤラ「珍しくキャプテンらしい仕事をしやがったな!」
クラウス「何時もこうしておけよ全く!」

ポブルセン「チッ…つまんねー勝ち方だ…」
若林「…やった。俺はやったぞ」

サンパウロメンバー「そ、そんなあ…」「後ちょっとだったのに…」「なんでだよ、くそっ!」

実況と観客の狂った様な叫びも、勝利の美酒の蓋を開けるカルツ達の歓喜も、崩れ落ちる仲間達の悲哀も
翼には何処か非現実的な物にしか映らなかった。それらに向ける意識等残っていなかった。

翼「負けた…?俺が、負けた…?」

大空翼18歳。2度目の公式戦での敗北だった。

430 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/12(金) 15:46:25 ID:B1N3p1Oo
いったんここまで。

431 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 16:07:07 ID:uA8WBRvz
やべええ、すげえ名試合を見てしまった!
2ねいさん、お疲れ様です!

432 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 16:15:57 ID:LeY+aqtk
熱い戦いでした。
お疲れ様です!

433 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 16:29:35 ID:TyD+CiDM
おもしれえええええ!!乙!乙!

434 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 18:16:19 ID:DjY6wuTc
よくサンパウロ負けさせたな・・・
こっちのほうが面白いと思ってたけど、意外だった

435 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 18:35:12 ID:J+gNkoCe
宿命のライバル翼と実力を取り戻した若林の対決を観客席で…複雑
今度は翼が観客席か、もっと大きくなるといいな
両方と戦えないのが残念だったけど凄い試合で満足、さすが2さんだ

436 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 20:41:00 ID:6oZFzdB3
翼にリベンジさせないのは予想してた
それよりシュナイダーが若林を評価してるのがショックだ…


437 :創る名無しに見る名無し:2010/02/12(金) 21:23:00 ID:1sxGolt2
決勝戦はキーパー対決ですな

438 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/13(土) 15:32:26 ID:GXxy+1Jx
フライハイト「嬉しそうだな、シュナイダー」

シュナイダー「嬉しいさ。幼馴染が得意技で決勝ゴールを決めたのだから」

フライハイト「確かに。ただのループシュートだが、タイミング、高さ、軌道、コントロール、スピード、
シュートフォーム…全てが無駄なく完成されたループシュートだった。正に職人芸だな」

シュナイダー「…あれは、俺がケガをして出場出来なかったシーズンにあいつが編み出した技だ」

フライハイト「ほう」

シュナイダー「俺が出場出来なくなってチームの得点はガタッと落ちた。そして非難は
中盤の要でありながら得点力の無いカルツに降り注いだ…俺も奴を責めた者の一人だった。
だがあいつは腐らずに、自分が得点出来る方法を…自分にしか出来ない方法を編み出した。大した奴だよ」

フライハイト「………」

カルツのロビングシュート開発の経緯を嬉しそうに語るシュナイダーと、そんなシュナイダーを
無表情で見守るフライハイト。この二人は純粋にハンブルガーSVの勝利を喜ぶ事が出来た。

この二人以外はそうは行かなかった。

観客「なんてこった…とんでもないモンみちゃったよ…」「ブラジルでナンバー1になった翼が負けるなんて…」
「翼は先月森崎に勝っているんだろ?じゃあ…あの若林って奴が一番強い事になるのか?」

観客の大多数はサンパウロの、ひいては翼の敗北を目の前で見せられてショックを受けていた。
森崎達の世代の選手達に惚れこんだ者にとって翼は森崎と並んで国内最強の象徴だった。
日向も高校サッカーの頂点に立つ存在ではあったが、その日向を倒し続けた翼と森崎は特別な存在である。
更に翼はごく最近森崎を大差で下しており、この大会を見に来た者達は森崎が翼に
リベンジを挑むと言う構図を期待する余り無意識にそれが予定された未来の様に思い込んでいたのだ。

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