キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【読み合い競り合い】Another-C_3【騙しあい】
1 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/02/19(土) 19:22:55 ID:4GFE1H0M
この物語はフィクションです。
史実や実在の人物を連想する場面があるとしても、物語とは関係がありません。
風土、名称については文献を参考としていますが、想像のウェイトも大きく、事実と異なります。
そして……この物語はキャプテン森崎のフィクションであり…
とある貴公子と仲間達の サッカーに賭けた青春を描いたストーリーです。
…恋愛は二の次の筈だったのに…おかしいなあ。
965 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 12:09:52 ID:???
★ランピオン パスカット(
スペード10
)63+(
4
+
5
)+(ダイヤ、タックル狙い-5)=★
966 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 12:09:55 ID:???
★ランピオン パスカット(
スペードJ
)63+(
2
+
3
)+(ダイヤ、タックル狙い-5)=★
967 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 12:53:49 ID:???
中山 パス( クラブ9 )65+( 4 + 2 )+(解析済-3)=68
ランピオン パスカット( スペード10 )63+( 4 + 5 )+(ダイヤ、タックル狙い-5)=67
【攻撃Max】−【守備Max】=1 → レントゥルスがフォロー
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ランピオン「グッ…パスだと!?」
メンタル的にもシチュエーションとしても、この場はランピオンより中山有利な勝負だった。
しかし試合の流れか、それともランピオンの(ヘルナンデスとジェンティーレも背負った)意地の賜物か。
普段はなかなか起こりえぬ筈の勝負の“あや”が、ここでも生まれてしまう。
ランピオン「諦めるかあぁぁぁぁっ!!」
中山「無駄だ、届かない!」
バシィッ!!
中山「!?」
ランピオン「無駄なんて言葉、オレには通用せんっ!!」
968 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 12:55:02 ID:???
タックルの体勢に既に入っており、中山のパスには到底反応できぬ位置取り。
…にも関わらず、ランピオンは…ローマの鷹は強引に反転してボールを身体に弾かせた。
常人には考えられぬ、下手をすれば筋繊維を痛めてしまうような動きだが、このランピオンは平気な顔だ。
彼が地道に鍛え上げてきた筋肉は、この激しい負荷を容易く受け止めてしまった。
このセカンドボールはバイタルエリアを越え、運良くレントゥルスの傍に落ちた。
しかし状況が好転するにはまだ早いのか、当然この位置にはヘルマーが居る。
レントゥルス(ヴェ…! ボールはこっち来たけど、試合の流れがまずすぎるよぉ〜。)
ヘルマー「おっと、ボールを渡してもらおうか。」
先着2名様(順番通りじゃない書き込みは無効)で
★レントゥルス ドリブル(! card)65+(! dice + ! dice)+(解析済-3)=★
★ヘルマー タックル(! card)65+(! dice + ! dice)=★
と(!とcardの間のスペースを抜いて)書き込んで下さい。
【攻撃Max】−【守備Max】
≧2 → レントゥルスが振り切った! そして待望の…
=1〜-1 → 左から順に(マルコがフォロー、バンビーノとシニーシャが競る、ランダム判定)
≦-2 → ローマボールに。
969 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 12:55:46 ID:???
★レントゥルス ドリブル(
ハートJ
)65+(
5
+
5
)+(解析済-3)=★
970 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 12:57:21 ID:???
★ヘルマー タックル(
ダイヤ5
)65+(
5
+
4
)=★
971 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 14:12:52 ID:???
レントゥルス ドリブル( ハートJ )65+( 5 + 5 )+(解析済-3)=72
ヘルマー タックル( ダイヤ5 )65+( 5 + 4 )=74
【攻撃Max】−【守備Max】≦-2 → ローマボールに。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レントゥルスが感じた嫌な流れは間違いなくこの試合を飲み込んでいた。
このような流れの時に不思議と死活点を掴み、流れを変えるプレーをするレントゥルス…
そして今も彼は会心に近いダッシュを見せて、ヘルマーを振り切るかと思われた。
しかし、これまでならば自然と相手の裏を突くようなタイミングを狙えている彼のプレイが、
ここではヘルマーの予見した通りの、まさに真正面からの勝負となってしまっていた。
ヘルマー「思った以上にイイ動きだ…けど、まだまだ!」
レントゥルス「ヴェ…と、取られちゃう…」
ズシャァァッ!!
三杉「ああ…!」
バンビーノ「レントゥルスもか…」
フィッツウォルタ「予定通り…やや手こずったが、ボク達の勝ちは動かない。」
972 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 14:14:39 ID:???
結果的に際どいタイミングだったが、ここはヘルマーが見事にボールを奪っていた。
レントゥルスは…そして三杉とバンビーノも精神の糸が切れてしまいそうな感覚を覚える。
対照的にフィッツウォルタは淡々と目の前の展開を追っていた。
ヘルマー「さあ、今度こそ追加点を貰うぜ!」
先着で
★ヘルマーの攻撃→! card
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。
《ダイヤ、ハート》 ドライブシュートだ…
《スペード》 シニーシャ経由でランピオンへのラストパスだ…
《クラブ》 ビアンキへのラストパスだ…
《JOKER》 ヘルマー「シニーシャ、浮き球を頼む!」
973 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 14:15:00 ID:???
★ヘルマーの攻撃→
ハートA
974 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 14:18:22 ID:???
ラムカーネェこれだけでも止めてくれぇ
975 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 15:04:02 ID:???
> ヘルマーの攻撃→ ハートA
> 《ダイヤ、ハート》 ドライブシュートだ…
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
グオォォォォッ…
ヘルマーは身体の軸を保ったまま、蹴り脚を高々と後ろへ上げる。
大空へ鳥が羽ばたく、その予備動作のようにも見えるその姿…
誰の目にも疑うところのないあのシュート、ドライブシュートの構えである。
中山「くそっ! 俺のミスは俺が取り返す!」
ミュラー「これ以上はやらせません!」
スペルマン(ここはブロックに回るしかない…)
ダラピッコラ(けど…クッ! 後の事を考える余裕はねぇか…!)
ビアンキ(フン、今こそ撃ちたまえ。)
ランピオン(ボールがこぼれたら…)
ビアンキ、ランピオン(ボク/オレが押し込むっ!)
これを決められたら、その勢いのまま試合を決められそうな流れの中…
守るフィオレンティーナも、攻めるローマも、このシュートの描く軌道を見逃すまいとしていた。
方や押し潰してこようとする絶望を押し返しながら、方や降りてくる希望をその手に掴まんと…
しかしただ1人、この中で自分自身と向き合っている人物がいた。
ラムカーネである…。
ラムカーネ「グッ……! クソッ、黙れゼロ!!」
976 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 15:06:08 ID:???
『 次 回 予 告 』
ハーフタイム中に施した数々の対策…
それが機能していながら、後半になってもローマは試合の流れを譲らない。
焦る選手達、冷静な者も少しずつ心を呑まれ、折れそうになっていく。
そんな中、フィオレンティーナ最後の戦意を断とうとヘルマーは必殺のシュートを放つ…
急降下するボールは凶鳥の羽ばたきか、それとも命を告げるモノか。
パスで心を交わし合う、三杉の新しいサッカーは人の心を動かすのか。
次回 アナザーカンピオーネ エピソード1 〜第4幕〜
楽な戦い
な
ん
て
無
い
この次も サービスサービスゥ!
977 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:18:32 ID:???
この続きは次のスレで…というわけで建てました。
【楽な戦い】Another-C_4【なんて無い】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1301912077/l50
今後も宜しくお願い致しますね。
以降このスレはスレ末外伝を進行します、こちらも宜しく!
また感想や要望、雑談なんかも好きに行って下さって構いません。
978 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:19:50 ID:???
スレ末外伝
Another Campione Episode 0 〜act2〜 《Si Si Chao 》
《あらすじ》
198X年12月 イタリア ロンバルディア州クレモナ…
バロック音楽、ヴァイオリン職人が息づくこの小さな町にジョバンニという少年が暮らしていた。
小心で弱虫なジョバンニは、同年代の仲間達にバンビーノ(おこちゃま)と揶揄されバカにされている。
その事を腹立たしく思いながらも、行動では示す事の出来ないジョバンニ…
ある日、そんな彼と親分肌の友人;バジリコは悪友;タイムから幽霊の噂を聞かされる。
しかも場所はジョバンニが手伝いをしている教会だというのだ。
この世代のガキ共が幽霊と聞けば当然行われる肝試し、当然ジョバンニもこれに巻き込まれる話になった。
憂鬱が止まらないジョバンニだが、時間の経過というのは残酷である…すぐにその日はやってきた。
もう子供がベッドに入り、夢の世界へとまどろむ時間…子供達はコッソリ起き出して真夜中を徘徊する。
979 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:23:04 ID:???
バジリコ「ざ、ざむうぅぅぅぅぅぅ!!!」
タイム「きはぁっ! こ、これは誤算でした…まさかこんな凍えるように寒いなんて……」
ジョバンニ「12月だよ? 当たり前じゃないか…。」
12月…真冬……当然予想された事ではあるが、子供達は厳しい寒さと闘う羽目になっていた。
一部これを誤算とのたまう考え無しも居たが、この辺は子供だから仕方ない。
冷静に突っ込むジョバンニ対し、寒さからか苛立つ少年の1人が突っかかてきた。
セージ「ちくしょっ! 偉そうに言うな、バンビーノのクセに!」
ジョバンニ「バンビーノとこれとは関係ないだろ!?
それに今日はちゃんと来たじゃないか!」
バジリコ「うるさいぞお前等、あんまり大きい声出すなっ!」
タイム「そうですよ、誰かが出てきてバレたら大事になるかもですよ?」
先に自分達が喧しく寒さに声を上げた事など忘れたものだ。
結局このどさくさでセージの八つ当たりを受けたっきりで話が終わってしまった。
ジョバンニとしては憤慨したまま流されて大損の気分である。
980 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:24:32 ID:???
ジョバンニ(あーあ…もう、踏んだり蹴ったりだ。 寒いし、怖いし、不愉快だし、幽霊出るかもだし…)
頭を抱えながら集団の最後尾を付いて歩くジョバンニ。
彼は何だかんだ言っても結局、真夜中を子供だけで歩いているのが怖かった。
バジリコ「おっと、そろそろ教会だぞ。 ジョバンニ。」
ジョバンニ「えっ?」
バジリコ「えっ、じゃねぇって。 お前教会の手伝いしてるんだから、この辺の道詳しいだろ?
オレ迷うかも知れないから先頭を歩いてくれよ、頼むぜ。」
ジョバンニ「え゛え゛っ!?」
突然のバジリコの頼みに驚愕するジョバンニ。
その様子をセージが横目でニヤニヤしていたが、今は彼に腹を立てる場合ではない。
この怖い夜道で先頭に立てだなんて、ジョバンニにとっては拷問にも等しい提案と言えた。
981 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:25:58 ID:???
バジリコ(バンビーノってあだ名を返上するチャンスだろうが。)ヒソヒソ
ジョバンニ(何がチャンスなもんか、そんなこと言ったってボク無理だよ!)ヒソヒソ
セージ「なんだよ、行くならサッサと行けよ? さみぃーんだよ、こっちは。」
…と、その時である。
トーーン……
タイム「ななななななんの音でしょうか…!?」
セージ「びっ、ビビッてんなよタイム…空耳だろ? そうに決まってるぜ。」
突然夜の町に響いた弾くような高い音が子供達の背筋をゾッとさせた。
先程まで威勢の良かったセージも少し声が震えている。
ポーーーーーーーン…
バジリコ「どうやら空耳じゃないぞ…」
ジョバンニ「そんなぁ……嘘でしょ…?」
信じたくはなかったが、ここに居る全員がこの音を聞いていた。
それまで静寂しかなかった闇夜に、何某(なにがし)かの音が不気味に響き渡る。
幽霊の噂を聞かされていた彼等は(有り得ない事なのだが)本当に幽霊の息吹なのかと疑ってしまう。
982 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:27:07 ID:???
タイム「かかか、帰りましょうか…?」
バジリコ「アホか、お前がオレ達を誘ったんだろ? 行くぜ。」
尤もなバジリコの言葉にタイムはこれ以上なくショボくれた表情を見せる。
時と場所によれば、この様子を見て苦笑を浮かべる場面ではあるが、ジョバンニにもそんな余裕はない。
バジリコが一歩進めた足を追い、ジョバンニも観念して足を動かした。
セージ「えっ、い、行くのかよ!?」
バジリコ「なんだよ、行かねぇってのか? ジョバンニはオレと一緒に行くってのによ。
バンビーノはお前の方って事かよ、笑っちゃうぜ?」
セージ「ば、バカ言え! 誰が行かねえって言った!?」
意地なのか何なのか、セージは2人を押し退けて音の響いた方へ先にズンズン進んで行ってしまった。
バジリコ、ジョバンニ、タイムはいかにも無理して進むセージの後を追った。
そして角を二つほど曲がり、もう目の前に教会前の広場が見えようという時であった。
タイム「ああああれ見て! 教会の鐘楼!!!」
983 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:28:16 ID:???
タイムの叫ぶ声に、皆慌てて彼が指を指した方を見た。
スポット的にライトアップされた鐘楼の側に映った者は…
自分達と同じくらいの子供が遥か高く、空中で逆さまになり…落下していく様であった。
バジリコ「子供が頭から落ちた! 誰かに突き落とされたんだ!」
セージ「ウワアアアアア!!!」
タイム「なんまんだぶなんまんだぶ…じゃない、ジーザス! OMG!」
バジリコの叫びを皮切りに、皆パニックになって走り出す。 しかしジョバンニは動かなかった。
落下したと皆が思ったその子供が、空中で体勢を切り替えて猫のように着地するという…
その信じ難い光景を、普段から暗い環境に慣れていたバンビーノの目は確(しっか)り捉えていたのだ。
ジョバンニ「みんな違うよ。 あの子はちゃんと立ってる、ホラ見t……」
バジリコ「に、逃げるぞ!」
セージ「あんな高さから落ちて立ってる筈あるか! どけバンビーノ!!!」
タイム「幽霊だあぁぁぁぁぁ!」
ジョバンニは見たままの事実を皆に伝えた筈だったが、これが逆に混乱を呼ぶ。
即ち幽霊の噂をこの3人に思い起こさせてしまったというわけだ。
散り散りに走り去っていく彼らの後姿をジョバンニは呆然と見送った。
984 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:29:19 ID:???
ジョバンニ「……」
スタ…スタ…
ジョバンニ(足音……!)
騒音が止んで静寂が戻ると、後方から足音が聞こえてきた。
自分が既に1人だと今更気付き、急に不安が押し寄せてきた。
こうなると冷静だった自分の判断が間違いで、やはり幽霊を見たのではという思いが支配的になる。
彼等と一緒に逃げ去るべきだったんじゃ…と、下手に落ち着いてた自身の不覚を今更になって呪った。
ジョバンニ(ううう……)
走って逃げようにももう遅い、身体が硬直して動かなくなっていた。
足音がいよいよ真後ろまで近付いて来て、緊張の極限にあったジョバンニの耳には意外な言葉が届いた。
???「幽霊って…もしかしてボクのこと?」
ジョバンニ「うわぁ…って、え?」
幽霊のくせに緊張感がないと頭の中で批判しつつ、ジョバンニはようやく身体が動いて振り向いた。
そこに立っていたのはサッカーボールを腕に抱いた少年…
ブロンドとブラウンの中間色のような髪を少し長めにフワリとさせた姿は幽霊どころか天使を思わせた。
985 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/04(月) 19:30:29 ID:???
???「ねえ、聞いてた?」
ジョバンニ「えっ、ああ…えーと。」
A 幽霊というより…もしかしてキミ、天使?
B あ、あんな高い所から落ちて平気なの?
C さっきから聞こえていた音はそのボールを蹴る音だったのかー。
D いやいや、それよりもこんな夜中にキミは一体何を?
E 祓いたまえ清めたまえ天にまします我等が神よ…
F ボ、ボクの名前はジョバンニだ! 名乗ったんだからキミも名を名乗れ!
2票選ばれた選択肢で続行します。(投票はメル欄空白で宜しくお願い致します。)
986 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 19:31:57 ID:qepEM6G2
E
987 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 19:36:13 ID:dvVMSMSI
B
988 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 20:01:46 ID:e0hO0bD6
F
989 :
森崎名無しさん
:2011/04/04(月) 20:39:51 ID:PT8UAjMU
F
スレタイ採用ありがとうございます
990 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/05(火) 18:10:47 ID:???
>>989 素晴らしいスレタイありがとうございました、心の中で唸りましたw
=============================================
> F ボ、ボクの名前はジョバンニだ。 名乗ったんだからキミも名を名乗れ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こういう時に弱みを見せてはいけない、ジョバンニはその事を知っていた。
彼は精一杯の虚勢を張り、強気を見せるように相手へ言い放った。
ジョバンニ「ボ、ボクの名前はジョバンニだ。 名乗ったんだからキミも名を名乗れ!」
???「え……?」
…すると、相手の少年はキョトンとし…それはじきに怪訝そうな目つきへと変わった。
何か不味い事を言ってしまったのかとジョバンニはこの反応に内心戸惑う。
ジョバンニ(いきなり名前言ったのは迂闊だったかなぁ…まさか住所の特定はされないよね…
と言うか…この子の質問って何だったっけ!? 全然的外れで怒らせたかも…!)
頭がパンクしそうなくらいに混乱していたが、ジョバンニは何とかそれを表に出さずにいた。
見当外れの応えに、もしかして怒らせたのではないかと徐々に不安が増していくなか…
相手が遂に再び口を開き、ジョバンニを驚愕へと叩き込んだ。
991 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/05(火) 18:14:14 ID:???
???「名前、バンビーノじゃないの? さっき他の子に言われてたでしょ。」
ジョバンニ「(怪訝な目つきは)そっちかーい!! って言うかバンビーノ違う、ジョバンニ!」
???「そうなの? でもバンビーノの方がジョバンニなんかより良い名前じゃないか。」
ジョバンニ「なんでさ!? バンビーノって『おこちゃま』って事だよ!?」
???「ふぅん、そうなんだ…ボクはあまりイタリア語の事は解らないから。
でもやっぱりバンビーノが良いよ、なんだかスゴく安心する素敵な名前だ。」
ジョバンニ「えっ……(な、なんだコイツ。 って言うか…)」
ジョバンニはいつのまにか目の前の少年と平気で会話をしていた事に気づいて驚いた。
さっきまでは相手は幽霊かもしれないと、ドキドキしていたのがバカバカしく思えるくらい普通に。
気が抜けると、ジョバンニは先程の少年の質問を思い出した。
(???「幽霊って…もしかしてボクのこと?)
話してみると、そんな気は全然しなかった。
気を悪くするような事を言ってしまったとジョバンニ反省し、相手に謝ろうと思った。
992 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/05(火) 18:15:54 ID:???
ジョバンニ「えっと…ごめんね、この辺りに夜な夜な幽霊が出るって噂があって、
それでてっきりキミがその幽霊じゃないかって勘違いしたんだ。」
???「そうだったんだ。 でも別に謝らなくてもいいよ…」
似たようなものだから…と相手が呟いたように聞こえてジョバンニはまたドキリとした。
空耳だと思いたくて、ジョバンニは強引に話題を変える事にした。
ジョバンニ「と、ところで……そうだ、キミの名前は? ボクは名乗ったんだから教えよ。」
???「ボクの名前? うん…えっと……アルシオン。」
ジョバンニ「アルシオンだって!?」
随分格好良い名前だな…とジョバンニは内心嫉妬を覚えていた。
アルシオン「うん、アルシオンだよ。 …宜しくね、バンビーノ。」
ジョバンニ「宜しく。 …て、バンビーノじゃない!」
アルシオン「ハハ、バンビーノだよ。 バンビーノがイイ!」
993 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/05(火) 18:20:02 ID:???
冬の夜空に満天の星が輝く下で、2人は誰にも邪魔されずやかましく騒いでいた。
まるでずっと前から友達だったみたいに、2人は気を許しあっていた。
それは本当の孤独を知る者同士、何かを感じあったからなのかも知れない。
こうしてボク達は出会った。
これはボク…ジョバンニがバンビーノになるまでの話。
アルという不思議な少年との出会いによって、サッカーボールと友達になるまでの話なんだ。
2-3)バンビーノとアル
※一旦ここまで
994 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/10(日) 17:29:30 ID:???
遅くなりましたが続きを…
************
2-4)流れ星
それからの数日間、暫くジョバンニはアルシオンと名乗った少年とボールを蹴りながら交流を深めた。
毎晩の深夜に抜けだす事は子供のジョバンニにとっても難しいので…
朝、教会で簡単な仕事(お手伝い)があるジョバンニは、早朝 日が昇る前に起き出して
アルシオンと約束のように交流する日々を送っていたのである。
そしてジョバンニはある理由から、このアルシオンに対しては学校の友達とは違って心を開いていた。
ジョバンニはアルシオンのボール捌きのあまりの巧みさに舌を巻く事になったが…
アルシオンの方もジョバンニのボールの扱い、コントロールの巧みさに感心を見せていた。
何故これほど巧いのか…ジョバンニには何となく想像がついていた。
あの夜、鐘楼ほどの高さから『飛び降りて』空中で体勢を立て直して着地する様からも、
ジョバンニはアルシオンの境遇と言うものに確信を持っていた。
ジョバンニ(恐らくキミも以前のボクと同じ境遇なんだろうね。
もっと小さいボールでジャグリングとかしてたんだろう?)
ブランクはあるものの、ジョバンニは自分の経験からサッカーボールくらい大きな球の扱いはお手の物だった
当然アルシオンも似たような環境ではないかと思いこみ、勝手に仲間意識を持つに至ったのだ。
だがジョバンニにとってもあまり思い出したくない過去であり…
その事をわざわざ口に出すのは何となく憚(はばか)られ、心の中でだけ相手に問いかけた。
その相手であるアルシオンはと言えば…本当に楽しそうにボールを蹴っていた。
心底楽しそうに…と云うところがジョバンニとは異なる点と言えばそうと言えた。
995 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/10(日) 17:31:12 ID:???
ジョバンニ「アル。」
ジョバンニはアルシオンの事をアルという愛称で呼ぶ事にしていた。
アルシオンもジョバンニをバンビーノという愛称で呼ぶ事を頑固に譲らない為…というのは表向き。
その本心はと言えば…
ジョバンニ(アルシオンだなんて格好良すぎるよ。 ボクがバンビーノじゃあバランスが取れない。
だからアルシオンの事はアルでいい、アルがいいんだ。)
この様な子供っぽい理由からなのであった。
ジョバンニはこの夜明け前の交流のお陰で、球の扱いについては以前の勘を取り戻していたが…
それでもこのアルシオンのボール捌きはジョバンニのそれに比べて一段も二段も上であった。
まるで底なし沼のように技術の引き出しが深い事に、ジョバンニは不思議に思うようになっていた。
そんなある日…とうとうジョバンニは我慢できなくなり、アルシオンに尋ねてみる事にした。
いつもの通り二人でボールを蹴り合いながら…。
ジョバンニ「アルってさ…昼間はどうしているんだい?」
アルシオン「昼間……? 寝ているか、教会の屋根裏でサッカーボールと遊んでいるか…かな?」
ジョバンニ「そうなのか……(やっぱり人買いに芸人一座へ売られたりして…逃げてきたんだろうな…)
でも、それじゃあいつまでそうしているんだい? こうしてたってきっと何も変わらないよ。」
996 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/10(日) 17:32:14 ID:???
アルシオン「うーん、でもジョアンさんにここで待てと言われてるからね…。」
ジョバンニ「ジョアンさん……?(もしかしてそいつが人買いか!?)」
アルシオン「そう、ジョアンさんは凄いんだ。 ボクに沢山サッカーを教えてくれて…
いつか太陽の下で皆と試合出来るようにって約束してくれたんだよ?」
ジョバンニ「サッカー……え、芸とかじゃなくって? ほら、ジャグリングとか…」
アルシオン「芸…? 芸ってなんのこと? ボクはサッカーしか知らないけど…」
『芸』という言葉へのこの反応にジョバンニは少なからず驚いた。
アルシオンは自分と同じ…親がおらず、人買いの手で芸人の一座に売られたりした経験などは無かった。
そこから逃げ出して、色々な苦節の紆余を経てこのクレモナに流れ着いたわけでは無かったのだ。
ジョバンニ「(意外だ…けど、ボクが勝手に勘違いしてただけか…。 でもそれじゃあ!?)
あのさ、初めて会った時…凄い高さから飛び降りてたじゃない? あれって…」
アルシオン「飛び降りる…? あぁ、もしかして! バンビーノ、ボールを高く上げてくれない?
センタリングを上げるつもりで…高すぎるくらいでいいんだ。」
頭を傾げるジョバンニの言葉に、アルシオンも少々ピンと来ていない様子であったが…
やがてハッと思い当たる事があったのか、ジョバンニに手伝いをお願いする指示を出した。
ジョバンニは何をするつもりなのか、怪訝に思いながら言われた通りにボールを蹴った。
997 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/10(日) 17:33:18 ID:???
ポーーーーーーン…
街灯だけの小さな光の中、ボールは高く…あの日のように教会の鐘楼ほどの高さまで蹴り上げられた。
それを確認すると、ジョバンニは視線をアルシオンの元に戻し、何をするつもりなのか問おうとする。
だが直後、彼は彼の常識では信じられないものを目にする事となった。
ジョバンニ「アル、一体なにを……………」
絶句、それしかなかった。
アルシオンは地上から教会の鐘楼…小さい教会と言っても4〜5mはあろうかという
高さのボールに向かって跳び上がった。 しかも彼の跳躍はそのボールへ十分達している。
バシュッ!!
彼はボールをオーバーヘッドの形で蹴り落とした。
それは凄まじいスピードと重さを伴なって地表へと叩きつけられ、ジョバンニの腰を抜かせた。
しかもアルシオンは見事に着地まで決めて「どんなもんだい」と言わんばかりにこちらに笑いかけてきた。
アルシオン「見た、バンビーノ!? すっごいだろー!」
ジョバンニ「す…すごいって言うか……な、なんなの? キミって一体……
い、今のこれも、そのジョアンさんって人がアルに教えて…?」
あまりの出来事にジョバンニは口を震わせ、ギリギリで言葉を返すが…
それをさせているアルシオンは何食わぬ顔で笑顔のまま答えてくるのだ。
998 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/10(日) 17:42:26 ID:???
アルシオン「ううん、これはジョアンさんが教えてくれたんじゃないよ。」
バンビーノ「じゃ、じゃあ最初からこんな滅茶苦茶な事が出来たの…?」
アルシオン「最初からって言うか…… あれ…、いつから出来たんだっけ…」
アルシオンは笑顔を失い、自分自身に疑問を投げかけた。
それは演技ではなく、本当の疑問である事がその表情から判伝わってくる。
ジョバンニ(もしかして自分が何者なのかも判らないの…? アル、キミは……)
彼は自分が何者なのか、何故こんな事が出来るのかをどうやら判っていなかった。
ジョバンニは、彼がつい半年ほど前から記憶のほとんどを失っている事を知らない。
そしてジョバンニのこの問いかけはアルシオンに対して自分の中の記憶の断面を…
ポチャン…と記憶の泉に投石され、それによって舞い上がった水底の砂粒を掬うかのように
何かを思い出させようとしていた。
先着で
★アルシオンは何かを思い出す→! card
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。
《ダイヤ》 アルシオン「誰かボクにこの技を教えてくれくれた人がいる…」
《ハート、スペード、クラブ》 アルシオン「誰かにこの言葉を教えられた気がする…」
《JOKER》 アルシオン「あの日々の事を全て思い出した…」
999 :
森崎名無しさん
:2011/04/10(日) 17:44:16 ID:???
★アルシオンは何かを思い出す→
クラブ8
1000 :
アナカン
◆lphnIgLpHU
:2011/04/10(日) 17:48:06 ID:???
とゆわけで、このスレはここで閉店でーす。
思ったよりスレ末が進まない…次回はもう少し容量を取ることにします。
こんなの早く終わらせましょう。
皆さんお付き合い下さりどうもありがとうございました。
474KB
(08:00PM - 02:00AM の間一気に全部は読めません)
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