キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【見開き1ページの】キャプテン森崎43【晴れ舞台】

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/10/23(日) 22:08:05.22 ID:DopGRqDh
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1315652856/
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルに留学した彼はリオカップ、ジャパンカップ、ワールドユースアジア予選と言った
数多の激戦を経てワールドユースの出場権を勝ち取り、全日本ユースのキャプテンと正GKとして
ワールドユース本大会に殴りこんだ!予選グループで彼らを迎え撃つのは因縁のライバルのドイツユース。
壮絶な死闘の末2−2の引き分けを演じた全日本ユースは実質的に予選突破を確定させ、
後はグループ最終節の対エクアドル戦を待つのみである。一方別のグループでは
これまた因縁の対決であるアルゼンチンユース対イタリアユースの試合が行われていた…
…こんな感じで話は進んでいます。

47 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/10/30(日) 22:44:47.51 ID:iZAIgS5d
アルゼンチンメンバー「…その通りだ!」「おう!」

パスカル「(よし…ディアスは落ち着いている。けど、どんな戦い方をするつもりなんだ?)」

ディアス「(とは言ってもキツいよな…90分間粘り強く戦う必要があるな)」

彼らはいきなり圧倒されている事に動揺は禁じえなかったものの、まだまだこれからだと闘志を失ってはいかなった。
それは彼らがいくつもの修羅場を越えてきた歴戦の勇者なのもあるし、攻撃的なチームだからでもある。

だがアルゼンチンの苦難はここから加速していく事になる。

アルシオン「ナイスシュートだ」

ストラット「フ…まだ一点だけさ」

ジェンティーレ「一点あれば十分だが、どうせならもっと取っておけ。奴らを屈辱に這い蹲らせろ」

ヘルナンデス「(ジェンティーレも変わった奴だ。傲慢な時ほど絶好調なんだから)」

48 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/10/30(日) 22:44:57.95 ID:iZAIgS5d
ピィイイイイイイイイイイイイイ!

放送「アルゼンチンユース、キックオフで仕切り直します!早い時間帯で先制されてしまいましたが
元より彼らは守備よりも攻撃を重視したチーム!ここから先の戦い方で逆転は十分可能でしょう!」

イタリアメンバー「ディアスを止めろ!」「ディアスさえ止めれば怖くないぞ!」

ディアス「甘いねえ、カティナチオってのは!」

バコッ!

イタリアメンバー「うっ」「なにィ!」

放送「おっとディアスくんドリブル突破を始めません。味方を中心にして丁寧にパスを回し始めました。
アルゼンチン、速攻ではなく遅攻でチャンスを作ろうとしている様です」

バルバス「(良いぞディアス。それで正解だ)」

ジョアン「(ふむ、いたずらに自分の体力を浪費する愚は犯さないか。だが大事な場面では
お前が仕掛けない限りどうにもならないぞ。その時どうするのかね?ファン・ディアスよ)」

49 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/10/30(日) 22:45:20.70 ID:iZAIgS5d
とりあえず今夜はこれだけです。おやすみなさい。

50 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/03(木) 00:46:52.18 ID:rLFpcHjI
先制されたアルゼンチンはディアス主体の速攻からチーム全体を活かした遅攻に切り替えた。
まだ前半が始まったばかりであり点差もたった1点だからと言う合理的な判断だったし、
彼らにはディアス抜きでも攻撃を成立させる自信もあった。
相手が5バックと言う前の人数が少ないシステムを使っているのだから尚の事である。

ディアス「よーしこっちだ!俺に来い!」

ダダダダッ!

イタリアメンバー「うっ、マズい!」「ディアスが来たぞ!」

ヘルナンデス「(いやこれは囮だ!ジェンティーレ、分かっているな!)」

ジェンティーレ「(そうとも!俺はこんな物には引っかからん!)」

バビントン「今だ!」

バシュウウウッ!

サトルステギ「よっしゃー!俺の出番だぜ!」

放送「バビントンくん上げた!これはディアスくん…ではない!サトルステギくんへのアーリークロスだ!」

51 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/03(木) 00:47:19.10 ID:rLFpcHjI
数分後、彼らは見事に攻撃を成立させていた。
ディアスが切り込んで囮になり、彼に合わせるとみせかけたバビントンが
サトルステギにアーリークロスを上げたのである。

サトルステギ「いっくぜー!ダイビングダイナマイトだーーーっ!!」

バッ!
バッグォオオオオオオオオオオン!!

森崎「ん?サトルステギの野郎、低いボールにも合わせられる様になったのか」

ジェンティーレ「ヘナチョコが!」

ボゴッ!

サトルステギ「な、なにィ!?」

森崎「でもあっさり防がれてやんの。しかも読まれてやがるし」

だがイタリアの守備陣全員を惑わすにはそれだけでは足りず、
ディアスに釣られなかったジェンティーレが見事これを受け止めてみせた。

52 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/03(木) 00:47:32.00 ID:rLFpcHjI
放送「しかしジェンティーレくん素晴らしいブロッキングで彼のダイビングヘッドを防御!
ジェンティーレくんの守備力が冴えに冴え渡ります!アルゼンチン、彼の牙城を突破出来ません!」



中山「今のも良いポジショニングだったな」

次藤「あのジェンティーレとやら、頭も切れるばい」

葵「いえ、今のも多分ジノの指示ですよ?」

松山「そうなのか?」

赤井「そうですよ。ヘルナンデスは味方を動かすのが上手いGKですから」

中里「我々の4年前のイメージとは違うな」



この試合、ジェンティーレは開始直後から完璧と言って良い守備をしていた。
その抜群の存在感にフィールドの内外問わずから注目が集まり、同時に期待感が高まる。
いくらこれ程の凄腕DFと言えどもディアスを何度も止めきれる筈が無い。
ディアスはどれ程の神業を持ってしてこの巨大な壁を乗り越えるのか?と。

しかしごく僅かな者達は忘れていなかった。ジェンティーレの背後はヘルナンデスが守っていると言う事を。

53 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/03(木) 00:48:42.86 ID:rLFpcHjI
今夜はこれだけです。また明日お会いしましょう。

54 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:40:23.93 ID:05rRlL0l
イタリアユースの者達以外で誰が知っているだろうか?Jrユース大会以後のヘルナンデスの苦難に満ちた歩みを。
当時戦力が致命的に欠けたままのチームを懸命に率いた彼に与えられた報酬は
2試合で7失点と言う屈辱と”金メッキが剥がれ錆びた屑鉄”と言う悪意たっぷりの汚名だった。

ヘルナンデス「(そろそろ来るな…次か、その次辺りにディアスはやってくる)」

だが彼は挫けなかった。どんな嘲笑にもどんな理不尽にもどんな苦境にも屈さなかった。
自分が腐ってはこの世代のイタリアは駄目になると言い聞かせ続けた。全てはこのワールドユースの為に。

そして彼は新たな力を得て戻ってきた。それはフィールドの中からではなく外から得た力だった。

ヘルナンデス「(ジェンティーレ達は良くやってくれている。俺の指示通りに…いや、それ以上に
効果的な守りを敷いていてくれる。だが全てを防げる訳ではないし、そうさせるべきじゃない)」

一つは味方を最大限活かす能力。GKが守りの指示を出すのは半ば当然の事ではあるが、
彼はそれを極みに近い域まで昇華させていた。意図していてそうなった訳ではない。
彼自身がどれだけ努力してもそれが報われなかった過去が、それに負けずに抗い続けた日々が、
気がつけば身につけさせていたのだ。DF達を最適の形で動かす力を。

ヘルナンデス「(ディアス…俺はお前にとって階段の一つにしか過ぎなかっただろう。
あの時の俺はまさしくお前の引き立て役でしかなかった。最早それを悔しく思うつもりはない)」

55 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:40:40.32 ID:05rRlL0l
ヘルナンデスがこの指揮能力を誇る事は無かった。とてもそんな気にはなれなかった。
頼もしい味方が敵を止めてくれるのに越した事はないが、それは決して彼自身の力ではないのだ。
増してやそれに頼る様になってしまってはGKとしての成長は停滞する。
それを恐れた彼が得たもう一つの力もまたフィールドの中からではなく外から得た力だった。

ヘルナンデス「(大事なのは今、俺に再びチャンスが与えられたと言う事だ。
何時でも来い、ディアス!俺の4年間の集大成を見せてやる!)」

この時ヘルナンデスは覚悟していた。如何にジェンティーレと言えども確実にディアスを止め続けるのは不可能であり、
その時は自分がディアスを止めなければならないと。そして遂にその時は訪れた。



ガッ!

マンチーニ「あっ!」

ディアス「よっしゃー!」

放送「マンチーニくんボールを奪われた!再びアルゼンチンの攻撃チャンスです!」

ディアス「(よし、そろそろ仕掛けるぜ!ついてこいよ皆!)」

ダダダダッ!

56 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:40:56.73 ID:05rRlL0l
ヘルナンデス「来たぞ!ラインを2m下げてから囲め!」

イタリアメンバー『おう!!』

前半20分ごろ、間を空けて体力を回復したディアスはボールを奪い返してから再び自力で切り込んできた。
これ自体はイタリアユースの選手たちも予期しており、何ら驚きはしなかった。

ディアス「(さっきから嫌らしい配置ばっかりしやがって、やり辛いったらありゃしないぜ…
認めてやるよ、お前らの組織的守備はすげえや。だけどな、俺はそんなセオリー何度も強引に覆してきたんだよ!)」

グルッ!
タタタタ…

イタリアメンバー「な、なにィ!?」「なんだそりゃあ!!」

アルゼンチンメンバー「うおっ…!?」「マジかよ!」「いや、ディアスなら出来る!」

しかしディアスが突如自陣側に向き、背中を見せたままドリブルを始めた時は彼らも目が飛び出さんばかりに驚かざるを得なかった。

57 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:41:43.14 ID:05rRlL0l
ディアス「そらよっ!」

バババッ!
スタッ!

ディアス「もいっちょう!」

ササッ!

イタリアメンバー『そ、そんなァ!?』

ディアスはボールをまるで見ず、敵と視線も合わせず、通常ドリブルに使う頻度が少ない踵で
ボールを主に蹴る非常識なドリブルを繰り出した。こんな物は見かけ倒しのパフォーマンスにしかならない。
しかし彼のそれは背を向けたままなのにも関わらず上下左右に小刻みに動き、
前を向いたままのドリブルと比べてもあまり見劣りしない複雑さと機敏さを保っていた。

放送「な、なんとォ〜〜〜っ!?!ディアスくん、後ろ向きにドリブルしています!私は目がおかしくなったのでしょうか?
しかしどうやらこれは現実な様です!しかも後ろ向きのままイタリアDF達をどんどん抜き去っています!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「うっそーっ!?」「そんなのアリかよ!」「目を瞑ってドリブルするんならまだ分かるが…!」

58 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:41:58.26 ID:05rRlL0l
バルバス「(よし!ディアスのギアが上がってきた!)」

ジョアン「(ほう!こんな芸当をその場の思いつきで出来るとは)」

アルシオン「(…良い技だ)」

そしてそれ以上に驚異的なのは、背後を見ていない筈のディアスが
正確にイタリアのDF達の動きを察知し丁寧にかわしていた事だった。
逆にイタリアの選手たちはこんな非常識過ぎるドリブルの動きを予測する事など出来ず、
更に迂闊にファウルになったらバックチャージになるかもと言う恐れもあって次々とディアスに手玉に取られていった。

ジェンティーレ「ふっ…ふざけるなァ!!そんな大道芸など!」

ダダッ!
シュッ!

頼みの綱のジェンティーレでさえそれは例外ではなかった。流石の彼も動揺は禁じ得ず、判断を誤ってしまったのだ。
彼は相手の動きを読めないから最速で足をボールに向けて突き出すしかないと考え即それを実行した。

59 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:42:09.81 ID:05rRlL0l
ディアス「大道芸、大いに結構!」

ガッ!
クルルッ、ヒューン…

ジェンティーレ「………!!?」

ディアス「ピエロに負けた奴はピエロ以下なんだよ!覚えておきな!」

そして瞬時に後悔した。ディアスが足の間のボールを挟み、自分の前に蹴り上げてから頭上を越させ、
ヒールリフトの逆バージョンの様な動きで彼を突破した時思い知らされたのだ。自分の判断は完全に見透かされていたと。

こうしてディアスはイタリアの5バックを全て突破し、とうとうヘルナンデスの目前に辿り着いた。



森崎「うわあっ…相変わらず馬鹿げた事ばっかりしやがる!」
翼「………流石ディアスだ」
三杉「(あれ程の天性は羨ましいとしか言い様が無いな)」
松山「とうとうジェンティーレが抜かれた!」
若林「(…だが何故だ?この予感は)」



放送「抜いた!遂にジェンティーレくんまでもが抜かれてしまったァ!難攻不落の新星が遂に!
残るはヘルナンデスくん一人だけ!5人抜きした直後のディアスくんを止めるのは至難の業だァ!!」

60 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:42:21.45 ID:05rRlL0l
パスカル「(行ける!相手がヘルナンデスでも、ディアスなら大丈夫だ!)」

サトルステギ「(こぼれだまを押し込んで俺がヒーローだ!)」

この瞬間多くの者達がアルゼンチンの同点ゴールを予感した。ディアスが一対一に驚異的に
強いタイプだと言うのは有名な事実だったし、実際にアルゼンチンユースのゴールの半数近くが
このパターンで生まれてきたのだ。分かっていても対策が非常に難しい上に、なんとか弾く事に成功しても
すぐさまツートップのパスカルとサトルステギが捻じ込める攻撃パターンは今まで多くの敵チームを泣かせてきた。

ヘルナンデス「ディアス!勝負だァッ!!」

ダダッ!

だがヘルナンデスのもう一つの力こそがこのディアスの武器への対抗策だった。

ディアス「(勝負になんねーよ、俺が一対一で負ける訳が…!!?)」

後はキーパーを抜くだけ。恐れる必要はない、何時も通り無数のフェイントを瞬時にかけ、
反応される間もなくボールをゴールに蹴りこむ。ディアスには勝利の方程式が既にイメージ出来ていた。

ゾワッ!

ヘルナンデスに睨まれるまでは。

61 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:42:37.66 ID:05rRlL0l
ディアス「(な…なんだこの感じ!?俺は焦っているのか!何故だ!有り得ないぞ!)」

途端にディアスは錯覚に囚われた。ヘルナンデスの体が何倍にも大きくなりゴールを塞いで行く錯覚に。
そんな筈は無い、ただ単に体格差でそう見えるだけだと理性が叫んでもその錯覚は消えない。

バシュルルルッ!

ヘルナンデス「ここだァアアッ!!」

バッ!
ガシィイイッ!
スタッ…

ディアス「な…なにィ!」

ヘルナンデス「フッ!」

それがようやく消えたのは彼が撃ったループシュートがワンハンドキャッチされた時だった。
ほんの数秒前ジェンティーレが味わわせた相手の掌で踊らされる屈辱を今度は彼が味わった。
これこそがヘルナンデスが身に着けた洞察眼の賜物だった。

放送「あ…あぁああああああっ!?し、しかしヘルナンデスくん止めた!物凄い反応速度で
ディアスくんの得意のバナナループをガッチリとキャッチ!アルゼンチン、最大最強の攻撃パターンが防がれました!
なんと言う事でしょう!ディアスくんの突撃がこれ程まで鮮やかに防がれるとは!」

62 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/05(土) 23:43:11.98 ID:05rRlL0l
今夜はこれだけです。また明日お会いしましょう。

63 :創る名無しに見る名無し:2011/11/07(月) 10:43:56.99 ID:lnGvlgl8
乙でした
ディアスにも1点くらいは取ってほしいなー

64 :がんばりセービング!:がんばりセービング!
がんばりセービング!

65 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:13:32.76 ID:Fw/0xzEK
シーーーン…

過去何度もその脅威を味わわせてくれたディアスの突撃が通用していないと言う衝撃的な場面を見た
全日本ユースの面々はほぼ全員がしばしの沈黙を強いられた。そしてそれを破ったのは日向のドスの効いた声だった。

日向「おい、葵」

葵「はっはい!?」

日向「テメエ抜かしていたな?ヘルナンデスに特に新しい武器はないと。これは何だって言うんだ?」

葵「えええっ!?な、何の事ですか一体!俺は何も隠したりしていませんよ!」

赤井「え、えーと、なんか俺と葵の認識が皆さんの認識と大幅に食い違っている気がするんですが…」

次藤「それは一目瞭然じゃけんのう」

早田「俺たちの知るヘルナンデスはこんなに鉄壁じゃなかった筈だぜ!」

葵「そ、そう言われても…俺にとってはジノはこれ位が当り前で…」

まるで襟元を鷲掴みにされる様なプレッシャーをかけられた葵は目に見えて怯えてしまった。
慌てて赤井が庇う様に口を挟むも、今度は重苦しく居心地の悪い沈黙が訪れる。

66 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:13:48.31 ID:Fw/0xzEK
若林「…そうか、そう言う事か」

次に口を開いたのは何かに気付いた表情の若林だった。普段は余り会話に参加せず
黙っている事が多い若林の唐突な発言に注目が集まり、視線で続きを促す。

若林「翼、お前はジャパンカップで俺に一対一を挑んだ時の事を覚えているか?」

翼「うん…あの時は若林くんに全ての動きを見切られていた気分だった。と言う事はまさか!?」

若林「そうだ。俺はあれ以来徹底的に一対一を鍛えた。恐らくはヘルナンデスもそうした…だろう?葵」

葵「は、はい!俺はもう何度も何度も一対一の練習につき合わされましたから!」

中山「それだけじゃないぞ。さっきから観察する限り、イタリアのDF達の理想的としか言い様が無い
あのポジショニングと連携!あれもヘルナンデスが指示を出しているからなんだろう?」

赤井「そうッス。イタリアでは有名なんですけど…世界レベルだと、それが一層際立ちますね」

続く説明で間も無く誰もが理解した。ヘルナンデスはあの屈辱の大敗をバネにし、別人になっていた事を。

森崎「おいおい…これじゃアルゼンチンは完全にイタリアのかませ犬になっちまうぜ。立場逆転ってか?」

全日本メンバー『……………』

67 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:15:32.02 ID:Fw/0xzEK
バルバス「(ま、まさか…あの状況に持ち込めたディアスが止められるとは!こ、これではもう成す術が…
くっ、何がいけなかった!?私の、私のチーム育成は間違っていたと言うのか!!)」

ジョアン「(バルバスよ、お前は何も間違っていなかった。この世代のアルゼンチンユースは
ディアスを脅かせる者が居ない以上ディアスによるディアスの為のディアスのチームになって当然。
監督としてもそれが最善じゃ。事実我々イタリアユース以外が相手ならこうはならなかったじゃろう。
しかし…ヘルナンデスとジェンティーレが力を合わせれば、ファン・ディアスを止められるのだよ!)」

ディアス「く、くそっ…!」

アルゼンチンメンバー「そ、そんな…」「信じたくねェ…」

アルシオン「(アルゼンチンのショックは大きい。ここで試合を決めるべきだな)」

無敵だと思っていた最大の武器が受け止められた事で今度はアルゼンチンユースの面々も
動揺を隠す事は出来なかった。それはイタリアユースから見ればトドメを刺す最善のチャンスである。



程なくしてそのチャンスはやってきた。中盤でアルシオンがボールを持った事で。

放送「ここでアルシオンくんにボールが渡りました!この試合彼は未だに一度もボールを奪われていません!
異名のカンピオーネに相応しい支配力の高さです!ですがそんな彼の記録を崩そうとディアスくんが向かいます!」

68 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:15:50.06 ID:Fw/0xzEK
ディアス「(こいつのパターンも大体分かってきた!奪えるまで何度でもトライしてやるさ!)」

アルシオン「(さて、まずは…)バンビーノ、マンチーニ!始めるぞ!」

バンビーノ「おう!」

マンチーニ「分かった!」

パーン!
ポンッ!
バシュッ!
バコッ!

ディアス「!?!」

ここまでディアス以上に高いキープ率を見せていたアルシオンは当然ディアスに執拗に狙われており、
何時かはボールを奪われるだろうと見られていた。ディアスの個人技は攻撃だけでなく守備でも光るのだ。
だが突如としてアルシオンが他のMF2人と連続ワンツーを始めた事でその目論見はあっさり覆される事になる。

放送「おおおおおっ!?ここでアルシオンくん意表をついて壁パスの応酬を始めました!
しかしこれが速い速い速いっ!見る見る内にアルゼンチンの守りを切り裂き突破していきます!
素晴らしいドリブルに勝るとも劣らないパスワークを見せられアルゼンチンは意表をつかれたか!?」

69 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:16:15.09 ID:Fw/0xzEK
それはただの連続ワンツーではなかった。高速で縦横無尽に走りながらダイレクトワンツーを繰り返すだけなら
高度な技術ではあるが他にも出来る選手はいくらでも居る。ディアス自身パスカルと同じ事が出来る。

だがアルシオンが軸となって行われるそれは味方どころか敵まで操っていた。
ボールがある所には味方が必ず居て、敵はボールがない所に誘導されている。
敵味方の区別なくフィールダー全員がアルシオンの意思に従わされ動く様はまるで芸術…
イタリアの評論家達はそう褒め称え、この連続ワンツーにラ・オルケスタと言う名前をつけた。



三杉「…そんな、バカな!!こ、こんな…こんなパスワークが出来るのか!?」
岬「(技術面だけじゃない、心理面でも敵味方全てを操らないとあんな事は出来ない!)」
翼「これが…これが、マルク・アルシオンか…!」

メッツァ「(僕の存在意義台無し〜…)」
フライハイト「…凄い男だ」

クリスマン「ま、まさかここまでの域に達しているとは…!」
クライフォート「…クッ。おのれ」

ゲルティス「オーケストラの様なパスワークだと言う意味で、イタリアではラ・オルケスタと呼ばれている」
サンタマリア「最早疑い様が無い。奴が今大会のナンバー1ゲームメイカーだ!」
コインブラ「(あれは…あれは、俺には出来ない…!?)」

70 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:16:29.58 ID:Fw/0xzEK
ラ・オルケスタは知らなかった者には勿論事前知識があった者にも強大な驚きを与えた。
特にいずれはアルシオンのドリブルを見切れるつもりだったディアスは逆にパスカットは苦手としていた為
目の前が真っ暗になった錯覚に陥った。一体どうやったらこの化け物からボールを奪い取れるのだ?と。

アルシオン「(順調だ…さあ死に体にしてやろう、アルゼンチンよ)」

ジョアン「(やる気かアルシオン。いいだろう、そろそろ封印を解いても良かろう)」

そんなディアスの焦りをアルシオンは振り返って確認する暇はなかったが、見なくても手に取る様に分かっていた。
そしてそこに衝撃を積み重ね焦りを絶望に変える事まで計算していた。その為の切り札が彼にはあった。

バコォン!

放送「ここでバンビーノくんが前方に大きく蹴りだした!そこにランピオンくんが駆け込みます!
イタリアユース、ポストプレイを狙っています!アルゼンチンの大ピンチだァ!!」

ガルバン「くそっ!ストラットにだけは渡してたまるか!」

ランピオン「(いや…この距離とタイミングなら…)」

ダダダダッ!

アルシオン「(折り返せ、ランピオン!)」

ランピオン「やはりな。それっ!」

71 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:16:45.54 ID:Fw/0xzEK
バッ!
ボコォオン!

放送「おおっとこれは…ストラットくんへのポストプレイではない!?やや後ろの真上に打ち上げました!」

アルゼンチンメンバー「なんだ!?」「ミスか?」

ディアス「(ミスじゃない!あれはアルシオンに向けたパスだ!オーバーヘッドキックでもするつもりか?)」

アルシオンはこのワールドユースの間、予選も含めて今までずっとゲームメイクとアシスト役に徹していた。
また彼が普段プレイするACミランの一軍では世界屈指のFW達が何人も居る為わざわざ彼が
シューターになる事も稀であり、自然と彼が得点役として認識される事はなくなっていた。

今日、ライバル達は思い知る事になる。アルシオンは巨大な爪を隠していただけだと。それも誰も予想していなかった形で。



バッ!



ディアス「は…?」

72 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/08(火) 22:16:59.52 ID:Fw/0xzEK
アルシオンが跳び上がった時ディアスは思わず間抜けな声を発した。
観客たちもテレビ観戦しているライバル達も似た様なリアクションを発していた。

それは跳躍と言うには余りにも高すぎた。何も無い場所でただただ己の脚力のみで飛んだのに、
先天的に身軽な選手がゴールポストを蹴って跳べばここまで届くかも、と思わせる高さまで跳んでいた。

アルシオン「(良い眺めだ…俺はこの瞬間、誰をも見下ろす事が出来る。
さながら機嫌を伺う庶民を玉座から見下ろす国王の如く…
そしてここから生まれるゴールが俺の栄光の証明だ!
俺の存在を、俺の力を、天空から刻み付ける!)」

ストラット「(相変わらずデタラメ過ぎるジャンプ力だぜ)」

ジェンティーレ「(高さだけで言えば、奴に勝てる者など居るまい)」

ヘルナンデス「(とうとう出すのか…シューティングスターを)」

そのままアルシオンはボレーシュートの体勢に入った。余程空中戦に強い選手でも
オーバーヘッドキックがやっとと言う高さのボールをジャンピングボレーで打ち下ろそうとしているのだ。

アルシオン「もらったァアアアッ!!」

バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!

73 :創る名無しに見る名無し:2011/11/08(火) 22:21:29.66 ID:WTL8xoNb
支援

74 :創る名無しに見る名無し:2011/11/08(火) 22:39:39.80 ID:wxnu3pjS
ヒュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
ビリィッ!
ドンッ!トントントン…

この有り得ない高さからのジャンピングボレーをアルシオンはシューティングスターと呼んでいる。
天から落ちてきて誰にも止められないままゴールに突き刺さる様を流れ星に例えているのだ。

事実このシュートはアルゼンチンユースの選手たちには流れ星に見えた。
自分たちの絶望的な運命を告げる災いの流れ星に。

ピィイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「き…き…決まりましたァアアア!!ゴーーーーーール!!し、しかしこれは…
ジャ、ジャンピングボレーだったのでしょうか!?あの高さでオーバーヘッドキックではなく
ジャンピングボレー!?実況する立場でありながら我が目を疑いたくなる光景でしたが…VTR再生を
見る限り、ジャンピングボレーなのは間違いありません!イタリアの2点目はまさかのアルシオンくん!
今まで全く得点力を見せなかった彼が天空の王者と化しド派手なゴールを決めました!!」



イタリア 2−0 アルゼンチン

75 :創る名無しに見る名無し:2011/11/08(火) 22:39:50.03 ID:wxnu3pjS
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
7ゴール ディアス
6ゴール カルロス
5ゴール ストラット
4ゴール ザガロ、日向
3ゴール ビクトリーノ、火野、サトルステギ、シュナイダー
2ゴール イスラス、カマーチョ、チャンドラー、カペロマン、ランピオン、ピエール、レンセンブリンク、ポブルセン、三杉、ナポレオン
1ゴール アルシオン、フライハイト、翼、ネイ、ロペス、ガルシア、ロリマー、クライフォート、ミハエル、カイザー、マーガス、
     マッハー、クリスマン、李邦内、森崎、政夫、トニーニョ、ディウセウ、マウリシオ

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
3アシスト ランピオン、アルシオン、サンタマリア
2アシスト トニーニョ、火野、ダ・シルバ、チャンドラー、パスカル、ネイ
1アシスト カルツ、エスパダス、クリスマン、イスラス、シェスター、マーガス、カペロマン、
      バビントン、クライフォート、カイザー、王、森崎、翼、岬、和夫、ピエール、カルロス、ジェトーリオ

76 :創る名無しに見る名無し:2011/11/09(水) 08:59:40.28 ID:+bJuTuhF
乙です

森崎もMVPを目指すならあと1ゴール1アシストくらいしたいな
本音としては優勝すれば自動でMVPに選ばれるくらいでもいいと思うけど
じゃないとキーパーでMVPは厳しい

77 :創る名無しに見る名無し:2011/11/09(水) 09:07:31.63 ID:H+rkQm4L
やはり若林GKの森崎・日向の2トップか

78 :創る名無しに見る名無し:2011/11/09(水) 12:14:36.06 ID:of7KvKja
GMはゲームオリジナルキャラが大好きなんですねー
アルシオン凄いですねー
この演出方は陽一神のリスペクトかな?


……反吐がでそう

79 :創る名無しに見る名無し:2011/11/09(水) 12:49:51.13 ID:JeljCBJK
>>78
荒れさせて申し訳ないが、その発言が一番反吐が出そうだよ

80 :創る名無しに見る名無し:2011/11/10(木) 06:14:51.43 ID:UqEaQcfO
>「自分のキャプテン翼を汚されたくない」と思う方にはお勧めできません。ご参加の際はそれを念頭に上でお読み下さい。

81 :創る名無しに見る名無し:2011/11/10(木) 07:38:46.81 ID:ZTjvj8l+
2ねいさんがゲーキャラマンセーなのは前からわかっていたこと
今さらな話だね

82 :創る名無しに見る名無し:2011/11/10(木) 15:32:25.81 ID:uqTxD5+W
最近の若者には新田スピリッツが足りない
昔の教育要綱には道徳の時間に必ず隼さんの話をスルーされたものだが

83 :創る名無しに見る名無し:2011/11/10(木) 18:12:12.14 ID:frwbmhr1
>>2姉さんはワールドユースで時止まってるし、テクモ信者なのはもうみんな知ってるだろ
今更どうでもいいわ

84 :創る名無しに見る名無し:2011/11/10(木) 23:00:39.28 ID:tezq8jVT
つ なん雑

85 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/12(土) 00:25:44.28 ID:NqLFytyS
サッ。

ゴールを決めたアルシオンが右手を天に掲げる。

ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

観客は待っていましたとばかりに半狂乱になった。

観客「なんだ今のは!ジャンピングボレーなのか?」「あそこまで高くジャンプ出来る奴なんて見た事ないぞ!」
「探せばいるだろうけど…世界に5人もいないだろうな」「アルシオンってあんなシュートが撃てたのか…」
「アルゼンチンは手も足も出ていないじゃないか!」「こりゃあもうイタリアのワンサイドゲームだな」

凡そ得点には縁が無いと見られていた選手がまさかのド派手な必殺シュートを見せた事で
観客は大喜びだったが、それと同時にある種の失望感も味わっていた。
ここまでの試合展開を見る限りイタリアはアルゼンチンを圧倒していると言ってよく、
それが覆される様子もまるで無かったからだ。

アルゼンチンメンバー「く、くそっ…」「ヤバい、何とかしないと…」「ど、どうやって…?」

彼らは敏感に感じ取っていた。アルゼンチンユースの選手たちは怒りや悔しさよりも焦りが勝り始めている事を。
この試合をひっくり返す方法がみつからないまま点差を広げられると言う恐怖に飲み込まれそうになっていた事を。

ディアス「(………フザけるなよ)」

ただ一人、ディアスを除いて。

86 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/12(土) 00:26:43.06 ID:NqLFytyS
ディアス「(なんだそのツラは?もう勝ったつもりになりやがって。俺相手にそんなツラがしたかったら
せめて5点差はつけたからにしろってんだ。たった2点じゃ全然足りていないぞ!)」

ディアスは今、初めて味わう感情に身を任せていた。敗北は初めてではない。
だが同年代の相手にこれ程まで余裕たっぷりにあしらわれたのは初めてだった。
その事実が、新鮮なシチュエーションが、彼のプライドを盛大に奮い立たせた。

ディアスは自分がアルゼンチンの希望の星である事をよく理解していた。
また彼はそれを負担に思わず、むしろ喜んだ。彼は自他共に認める英雄である事が大好きだった。

ディアス「(俺が3点も奪えばすぐに逆転だ。今まで上手く行ってたからって、試合終了まで
守りきれるつもりだと思ったら大間違いだ!…だけど、今までのやり方じゃ得点は出来ても逆転は出来ない。
何か…何か必要なんだ。奴らの鬱陶しい守りを確実に突破出来るやり方…!)」

だからこそこんな無様な形で敗れる訳にはいかなかった。それも一矢報いるだけでは駄目だった。
彼はあくまで名誉ではなく栄光の為に戦う男だった。善戦ではなく勝利でなければ意味がないのだ。

ディアス「(…って、なんだ簡単じゃないか。アレをやれば良いだけだ。ぶっつけ本番だけど…まあ大丈夫だろ)」

87 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/12(土) 00:27:17.37 ID:NqLFytyS
ディアス「皆しょげるな!たったの2点差だぞ!」

アルゼンチンメンバー「ディアス?」「で、でも…」「一体どうするんだよ」

ディアス「心配するな。俺に秘策がある。良いか、皆良く聞け」

ゴニョゴニョ…

バビントン「えっ!?」

パスカル「マ、マジかよ!」

ディアス「おう。ちょっとプライドが傷つくが、ある意味痛快でもあるだろ?」

パスカル「いや、そうじゃなくて…お前、練習しなかったじゃないか、アレ」

ディアス「要らないって。あれ位練習しなくても出来るよ!」

パスカル「…まあ、今はそれしかないか」

その意思が、決意が、危機が彼に一つの閃きをもたらした。そして彼は迷うことなくそれを選んだ。
それがこの試合を更なる激動へ、そして衝撃の結末へと導いていく。

88 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/12(土) 00:28:06.51 ID:NqLFytyS
今夜はここまで。また明日お会いしましょう。

89 :創る名無しに見る名無し:2011/11/12(土) 00:28:39.89 ID:TI+M8HqQ
乙でしたー!

90 :創る名無しに見る名無し:2011/11/12(土) 01:14:40.92 ID:lQL/jt74
ついに出るかバク宙サイクロン

91 :創る名無しに見る名無し:2011/11/12(土) 02:50:45.57 ID:dLnF0DNv
サイクロンか〜!
練習なしとか天才すぎるだろ!

92 :創る名無しに見る名無し:2011/11/12(土) 23:43:24.68 ID:YCWRh/KF
イラッ☆

93 :創る名無しに見る名無し:2011/11/12(土) 23:45:57.33 ID:YCWRh/KF
すみません、最近空気が悪い中最悪な誤爆をしてしまいました

94 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/14(月) 00:55:09.81 ID:79chUt6+
2点目を奪われたアルゼンチンは今まで以上に遅攻を使う様になった。
それは誰の目から見てもアルゼンチンがこう苦悩している様に見えただろう。
これ以上点を奪われる訳にはいかない、でもどうすればあの守りを崩せるんだ…と。

ヘルナンデス「(妙だな…アルゼンチンが思った程焦っていない気がする。まだ何か企んでいるのか?
この状況で逆転出来そうな手段なんてジェンティーレを退場に追い込む事位だが、
ジェンティーレはそんな搦め手に引っかかる程未熟じゃない。敵もそれは分かっている筈…)」

唯一ヘルナンデスだけはアルゼンチンの様子がおかしい事に気付いていたが、
それでも何をしてくるかは読めずこれと言った対応策を講じられなかった。

パスカル「(本当に出来るのかディアス?いくらお前でも…)」

ディアス「(出来るからやるんじゃない、やるから出来るんだよ)」

それも当然である。ディアスの閃いた手段は当のアルゼンチンユースの選手達すら
その実現性に半信半疑になってしまう程奇想天外な物だったのだから。
ましてやその衝撃をよりドラマチックにしイタリアを揺さぶる為に前半終了直前まで待たれては
どれだけ洞察力に優れた者であろうとも予測しろと言う方が酷である。

ディアス自身、試合前にはこんな大博打を打つ羽目になるとは思っていなかったし
今まで一回も練習した事はなかった。アルゼンチン人の彼が使いたくなかったと言う事情もある。

ブラジルの英雄の伝説のシュート、サイクロンを。

95 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/14(月) 00:58:28.42 ID:79chUt6+
放送「とうとうロスタイムに入りました!表示されている時間はたったの2分。ボールは依然
アルゼンチンがキープしていますが、このまま点差を縮められずに前半を終えてしまいそうです」

ディアス「(慌てんなって、ここからミラクルショーの開幕だ。いくぞ皆!)」

ヘルナンデス「(確実に何か仕掛けてくる!だが…一体何なんだ?)」

放送「ここでバビントンくんがアーリークロス!これはパスカルくんへ向かう!」

パスカル「(よし!こうなったらお前を信じるぞ、ディアス!)」

バッ!
バコォッ!

放送「おっと、パスカルくん撃ちに行かずヘッドで折り返した!これをディアスくんが…」

ジェンティーレ「(誰が何を撃とうと、俺が…ん?何だ?)」

ディアス「(人まね、それもブラジル人のってのはアルゼンチンの英雄としてどうかと思うが…
英雄ってのは勝つから英雄なんだって事で、見逃してもらうぜ!)」

ガッ!
クルクルクル…

前半ロスタイム、ディアスは遂に賭けに出た。託されたボールをヒールリフトし、横回転をかけて自分の前に落とす。

96 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/14(月) 01:02:49.41 ID:79chUt6+
翼「!!?」



この段階でディアスが何をしようとしているか分かったのは翼だけだった。
それもその筈、それは彼が苦心して編み出したシュートモーションだったのだから。

ディアス「決める!」

グワァアアアアアアアアアアアアッ!!

アルシオン「!!?」

ジェンティーレ「な、なにィ!?」

ヘルナンデス「しまった!こう言う事だったのか!」

だが彼がドライブシュートの蹴り足を振り上げた時は分かった者は多かった。
無論このタイミングで分かったからと言ってどうにかなる物ではない。

ディアス「いけェエエエエエエエエエエエ!!!」

バッギュゥルゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!

97 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/14(月) 01:03:19.09 ID:79chUt6+
そして誰もが我が目を疑った。

サイクロンの難易度は実際にこのシュートを使う翼に限らず、ほんの少しでもシューターの素質が
ある選手ならばどれ程難しいかが嫌でも分かる。事実自他共に認める才能の持ち主の翼でさえサイクロンを
狙った通りに撃てる様になるまで時間を要し、それを実戦の流れで撃てる自信と技術がつくまで更なる時間がかかったのだ。

ディアスはほんの数日前翼がこれを使うのをテレビ越しに見ただけだった。
尚且つ自分には必要の無い物だと判断し、練習時も試してみようともしなかった。

ギュルゥンギュルゥンギュルゥンギュルゥンギュルゥンギュルゥン!!

しかし今、ディアスが放ったボールはそれが当然だとばかりに竜巻と化した。

ドゴゴドガガドゴォン!!

ジェンティーレ「ぐ…わぁーーーっ!!」
イタリアメンバー『ぎゃあああああっ!!』

バチィイッ!

ヘルナンデス「う…あ…ああっ!」

不意をつかれたジェンティーレ達イタリアDF陣は咄嗟の抵抗も虚しく吹き飛ばされ、
ヘルナンデスの黄金の右腕も4年前のトラウマを連想させる痺れと共に弾かれた。

98 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/14(月) 01:03:41.30 ID:79chUt6+
バリィイッ!ボコッ!
トントントン…

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

アルシオン「………!!」

ディアス「見たかァ!俺が天才ファン・ディアスだァ!!」



イタリア 2−1 アルゼンチン



大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
8ゴール ディアス
6ゴール カルロス
5ゴール ストラット
4ゴール ザガロ、日向
3ゴール ビクトリーノ、火野、サトルステギ、シュナイダー
2ゴール イスラス、カマーチョ、チャンドラー、カペロマン、ランピオン、ピエール、レンセンブリンク、ポブルセン、三杉、ナポレオン
1ゴール アルシオン、フライハイト、翼、ネイ、ロペス、ガルシア、ロリマー、クライフォート、ミハエル、カイザー、マーガス、
     マッハー、クリスマン、李邦内、森崎、政夫、トニーニョ、ディウセウ、マウリシオ

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
3アシスト パスカル、ランピオン、アルシオン、サンタマリア
2アシスト トニーニョ、火野、ダ・シルバ、チャンドラー、ネイ
1アシスト カルツ、エスパダス、クリスマン、イスラス、シェスター、マーガス、カペロマン、
      バビントン、クライフォート、カイザー、王、森崎、翼、岬、和夫、ピエール、カルロス、ジェトーリオ

99 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/14(月) 01:04:11.92 ID:79chUt6+
今夜はこれだけです。
また明日お会いしましょう。

100 :創る名無しに見る名無し:2011/11/14(月) 01:16:24.90 ID:0lgMg96r
ディアスおつかれ〜。もう見せ場ないのが残念だね〜

101 :創る名無しに見る名無し:2011/11/14(月) 01:36:30.57 ID:m8aUB2UK
やったぜディアス!

102 :創る名無しに見る名無し:2011/11/14(月) 01:43:00.36 ID:m8aUB2UK
興奮して、途中で送ってしまいました(゚□゚;)
今回の話で、自分もディアスみたいに、負け濃厚でも諦めずに、頑張ろうと少し感動しました。
スレ汚し失礼しました。

103 :創る名無しに見る名無し:2011/11/14(月) 01:55:57.37 ID:JWphQc37
サイクロンなら流石の黄金の右腕にも通用するか
数値化すると翼のサイクロンと同値なのかな?
乙でした

104 :創る名無しに見る名無し:2011/11/18(金) 19:16:04.69 ID:XV8etPlx
2ねいさん元気ですか

105 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/19(土) 19:55:15.44 ID:AO1HoeCU
皆様大変長らくお待たせして申し訳ありません。
ただでさえ忙しい時期に入って中々更新できなかったのですが、
なんと外付けHDがまた破損してしまいました。

以前試した方法で外付けHDの認識自体は復活させられたのですが、
肝心のデータがかなりの部分で吹っ飛んでしまい現在なんとか復旧できないかと
試行錯誤している状態です。そして…吹っ飛んだデータの中には、
キャプ森管理用のエクセルファイルも含まれていました。

幸いドイツ戦最中のバージョンをCドライブにバックアップしていたので
頓挫だけはしなくて済みそうですが…いやはや、外付けHDって
アテになりませんね。バーゲンで売られていた中古品に手を出した私が悪いのかも知れませんが。

106 :創る名無しに見る名無し:2011/11/19(土) 21:59:23.83 ID:zJo8iDM0
そりゃ中古品は駄目でしょうw
やっぱりちょっと高くても新品を買った方が良いと思いますよ、メーカーにもよりますけど

107 :創る名無しに見る名無し:2011/11/19(土) 23:06:01.33 ID:Oz9dDkbO
おつです。
気長に待ってます。

108 :創る名無しに見る名無し:2011/11/20(日) 15:07:57.44 ID:hY658XZG
そんな2さんにDropboxお勧め

https://www.dropbox.com

2GBまでなら無料のオンラインストレージ

109 :創る名無しに見る名無し:2011/11/21(月) 14:06:24.75 ID:ncahpnDm
3強ってマスゴミが騒いでるだけだろ
駒澤と東洋の2強体制だ

110 :創る名無しに見る名無し:2011/11/21(月) 19:16:27.62 ID:DYQuQrA3
どっちもただの雑魚じゃねえか

111 :創る名無しに見る名無し:2011/11/21(月) 20:45:27.70 ID:JKw5tzW1
盛大に誤爆した
スターバーストで砕け散ってくる

112 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/24(木) 00:45:06.51 ID:97J/dWdZ
放送「ゴ…ゴ…ゴール!ゴールゴール、ミラクルゴールです!!な、な、なんと!ディアスくんが!
あのディアスくんが!サイクロンを放ちゴールを奪いました!なんと言う事でしょう、
まさかアルゼンチンの英雄が我らがジャイロの幻の技を使うとは!これは流石にイタリアも完全に
予想外だったらしく、今まで難攻不落を誇っていた守りが嘘の様にあっさりと崩されてしまいました!
前半ロスタイム、奇想天外な展開でアルゼンチンが点差を1−2に縮めました〜〜〜っ!!!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

観客「な、な、なにィイイイイイイイイイッ!!?」「ディアスが!サイクロンをだとーっ!」
「フザけんなゴルァ!アルゼンチン人が使うんじゃねえ!」「くそっ、ウチの連中は使っていないのに!」
「まさかこんな事になるなんて…!」「イタリアの圧勝だと思った矢先にドンデン返しが来たな!」

アルゼンチンサポーター『ディアス!ディアス!天才ディアス!!』

蜂の巣を叩いた様な、と言うフレーズを体言した騒ぎがスタジアムを轟かせた。
成す術が無かった筈のアルゼンチンが遂にイタリアの守りを打ち破っただけでなく、
その方法がよりにもよってサイクロンだったのだからインパクト抜群にも程がある。

ジェンティーレ「バ…バカなっ!クソォオオオオオオオッ!!」

ヘルナンデス「くっ…なんたるザマだ…!」

113 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/24(木) 00:45:35.40 ID:97J/dWdZ
ディアス「へへっ、ざまあ見ろ!あー、スカッとしたぜ!」

アルゼンチンメンバー「やったァディアス!」「やっぱりお前は天才だ!」「マジで成功させたか!」
「練習なしのその場の思いつきでサイクロンを成功させたのなんて古今東西お前だけだろうよ!」

アルシオン「(バカな…あれを練習なしでやっただと?…いや、先ほどまでの奴らはディアス以外明らかに
自信がなさそうな雰囲気だった。切り札を使う覚悟を決めた表情ではなく、僅かな希望に縋る事により
折れそうな心を支えていた表情だった………俺は、ディアスを過小評価していたのか…!)」

無論誰よりも驚いたのは当事者達である。自分の成功を信じて疑わなかったディアス以外の
アルゼンチンユースの選手たちは狂喜乱舞し、逆にイタリアユースの選手たちは沸きあがる焦りと
畏怖の念を抑え切れなかった。特に完全にゲームを制したと確信していたアルシオンは
ここで初めて苛立ちと後悔を顔に浮かべさせられ、その事実がより一層彼を不快にさせた。

バルバス「よし…よしっ!でかしたディアス!」

ジョアン「なんと…よもやこんな手段に訴えてくるとは。だが…」

114 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/24(木) 00:45:52.67 ID:97J/dWdZ
翼「(そんな…バカな。ディアスとは言え、サイクロンをそんなにあっさりと出来る訳が…)」
若林「(くそっ、ディアスめ。どこまでも忌々しい奴だ)」
森崎「(へへっ、翼の野郎ショックを受けてやがる。ざまあ見ろ、サイクロンが使えるからって威張っていた報いだ)」

ゲルティス「(データの修正必要ありと認む)」
カルロス「またサイクロンの使い手が出てきたのか…」
コインブラ「……………」

シュナイダー「やるな、ディアスめ」
カルツ「純粋に才能だけで見たら、奴がナンバー1なのかねえ?」

クライフォート「あいつもやはり一人で戦況をひっくり返すタイプか。やれやれ」



ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

アルゼンチンメンバー「よーし、後半もやるぞ!」「行ける!勢いに乗って逆転するんだ!」

イタリアメンバー「くそっ…」「調子付きやがって」「仕切り直しだ!冷静になろう」

そしてディアスの狙い通り、ゴール直後に前半ロスタイムは終了した。
点差は2−1でイタリアがまだリードしていたが、アルゼンチンの方が士気で勝っていたのも事実だった。

ジィィイイン…

ディアス「(うおっ…まだ足が痺れてやがる。やっぱり消耗は激しいシュートなんだな。
後半は撃てて2発…確実に決める為の作戦が必要だな)」

南米の雄と欧州の雄の対決は一時中断される。更なるドラマへの余韻を残して。

115 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/11/24(木) 00:48:25.35 ID:97J/dWdZ
たったこれだけですみません。もう少しスピードアップ出来る様頑張ります。

116 :創る名無しに見る名無し:2011/11/24(木) 00:48:43.88 ID:IlKDwEXy
復活乙ー!

117 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/02(金) 18:27:26.82 ID:9ZoXKTrE
両チームのハーフタイムの様子はベンチに引き上げる時の士気そのままが継続された。

アルゼンチンメンバー「よーっし、行けるぜ!」「見たか?観客どものあの顔!」
「見た見た!スカーッとしたぜ!」「イタリアの連中の顔の方がもっと傑作だったぜ!」

バルバス「(盛り上がっているな。いささか過剰な程だ。だが…我々が依然不利な事は変わらない。
逆転を狙う立場なのだからいっそこのままで良いとしよう)皆、良くやった。諦めずに戦ったお前たちを
私は誇りに思う…と言ってやりたいところだが、それは試合を逆転勝利で終えてからだ」

サトルステギ「当然ですよ監督!見ていて下さいよ後半の俺を!」

アルゼンチンユースの選手たちはまさにイケイケの状態になっており、バルバスも一抹の不安を
感じながらもそれを戒めるよりも盛り立てる事にした。彼がそうした理由は二つ。
一つは皆の士気の高さは裏を返せば消えない不安を押さえ込む為の物である事を理解していた事。

バビントン「だけどまだまだイタリアが有利なのは変わらないですよ。後半はどうするんですか?」

バルバス「急くなバビントン。ディアス、サイクロンは後何発撃てる?」

ディアス「…後2発だけですね。時間をフルに使って、です」

パスカル「やっぱりそうか…あれだけのシュートだもんな、スタミナの消耗も激しいだろうな」

118 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/02(金) 18:27:45.58 ID:9ZoXKTrE
バルバス「つまり、その2発を確実に決める必要があるのだ。それが出来ればイタリアの自信は粉々になり、
サイクロン以外の手段でもゴール出来る様になるだろう。問題はそれをどうするかだ」

ディアス「それなら任せて下さい。既に考えてありますよ」

バルバス「ほう…(良い傾向だ。生まれつき勝利に貪欲だったが、更に不屈の精神と冷静な計算力が
磨かれている。監督としては褒められた物ではないが、ここはディアスに依存するのが正解…の筈だな)」

もう一つは、ディアスが勝利の為ならば自分の限界を認める事が出来る程成長していると
確信していたからである。故に彼は期待に応えたディアスを信頼し、後半の戦い方を任せる事にした。
チームが正しい方向に向いている間は監督は何もすべきではない。今の自分の仕事は
チームが向かっている方向を見極め、それが本当に正しい方向だと確認する事であると己に言い聞かせながら。

サトルステギ「おい!またお前ばっかり目立つ気かよ?」

ディアス「心配すんな、むしろこの作戦はお前にシュートを撃ってもらう事なんだ。頼りにしているぜ、
エースストライカー(実際に運良く決めてくれりゃ万々歳だが、流石にそりゃ望み薄だな)」

サトルステギ「そ、そうか?いやー流石は我がライバル!良く分かっているじゃないか!」

パスカル「(サトルステギの扱い方が上手くなったなー…)」

バルバス「(こういう形のキャプテンシーもファンタジスタたる一片か?)」

ディアス「よし、それじゃ説明しとくぜ。まずは…」

119 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/02(金) 18:28:05.83 ID:9ZoXKTrE
いったんここまで。

120 :創る名無しに見る名無し:2011/12/02(金) 21:24:02.25 ID:/1KlXAP7
バルガス渋いけど、パンツ一丁の変態なんだよな・・・

121 :創る名無しに見る名無し:2011/12/03(土) 13:35:09.39 ID:21cSILbB
今の自分の仕事はチームが向かっている方向をパンツ一丁で見極め、それが本当に正しい方向だとパンツ一丁で確認する事である

122 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/03(土) 21:59:58.85 ID:vAM1O9lG
ジェンティーレ「クソッ!アルゼンチンめ…!アルゼンチンめぇえっ!!」

ヘルナンデス「(なんて事だ…サイクロンクラスのシュートを撃たれた途端こうなるなんて)」

アルシオン「(完全に支配したゲームの筈だった…俺が甘かったのか)」

ストラット「(皆ショックが少なくない。不味いな、このまま後半もアルゼンチンペースで始まってしまったら…)」

ジョアン「(ふん。まだまだ未熟な連中だ)」

一方イタリアユースの選手たちは苦虫を噛み潰していたかの様な表情をしていた者が多かった。
相手を圧倒し2−0で勝利をほぼ確信していた所に冷水を浴びせるかの様な反撃の1点。
こうなると未だ1点リードしている事実も逆に油断してはならないと言うプレッシャーになり
彼らの自信を揺さぶってしまう。監督のジョアンはこれを的確に見抜き、どうすればいいのか分かっていた。

ジョアン「どうした皆。何をそんなにうろたえている?」

ヘルナンデス「監督…?」

ジョアン「たかが1点だ。慌てる必要は何処にもない」

ジェンティーレ「しかし!」

ジョアン「1点も奪われないと言う覚悟で守るのは良い。だが1点奪われた事でその覚悟を失うのは臆病者だ」

ジェンティーレ・ヘルナンデス『!!!』

123 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/03(土) 22:00:11.73 ID:vAM1O9lG
ジョアン「お前たちはそんな愚者ではない。そしてサイクロンと言えど二度もみすみすとゴールさせる弱者でもない。そうだろう?」

ジェンティーレ「…はい!もうマグレは許しません!」

ヘルナンデス「(…そうだ。止められるかなんて不安になっている場合じゃない。止めなくちゃいけないんだ)」

ジョアン「我々は向こうより強い。我々は向こうより有利だ。大技に縋った相手に1点奪われた所で
それは何ら変わらん。つまり我々の勝利も全く揺らがないと言う事だ」

イタリアメンバー『監督………』

アルシオン「(…確かに。プライドを傷つけられたからと言って、負ける訳じゃない)」

ストラット「(言い返せない正論で強引に意識を変えたのか?上手いな…)」

ジョアンはバルバスとは違い特定の選手一人に頼らなければいけない事情はなかった。
故に彼はごくごく当たり前の事を説き、ただその言い方を工夫して発破をかけた。

ジョアン「さあ行け。戦い方を変える必要はない。自分より弱い相手に小細工など使うな。力でねじ伏せろ!」

イタリアメンバー『はいっ!!』

正道で勝てる時に奇策に打って出る必要はないと言う当然過ぎる判断に基づき喝を入れる。
方向性は違えど、ジョアンもバルバス同様選手たちを信じて特定の作戦を与えなかった。

こうして両陣営に取って予想外が相次いだ前半が終わり、ハーフタイムも過ぎ去ろうとしていた。
後半も更に巨大な予想外で彩られるとはこの時誰が予想していただろうか。

124 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/03(土) 22:01:40.66 ID:vAM1O9lG
今夜はこれだけです。また明日お会いしましょう。

125 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 00:21:30.59 ID:bTPGF8CC
そして始まった後半の序盤は前半終了間際の勢いが継続した。

ガシッ!

ストラット「しまった!」

パスカル「よし!」

放送「パスカルくんボールを奪った!幅広い守備範囲で献身的な動きが光ります」

バルバス「(よし!確実に勢いで相手を上回っているぞ!)」

ジョアン「(一度引っくり返された流れはそう簡単には変わらんか…)」

イタリアのキックオフで始まったボールは得点チャンスに結びつく前に奪われ、アルゼンチンの攻撃が始まる。
それはこの試合の4点目を争う攻防であり、それが実質的にはこの試合を占う攻防だと両陣営が理解していた。

アルゼンチンは同点に追いつけばイタリアに深刻な精神的ダメージを与え、以後の試合の流れに
決定的なアドバンテージを得る事が出来る。そのまま逆転勝利とはいかなくても、同点引き分けは十分有り得るのだ。

イタリアはそれを阻止しリードを2点に戻したい所だった。一度芽生えた希望を叶う事なく潰せば
アルゼンチンは今度こそ立ち直れなくなる。後はそのまま更にリードを広げるだけでいい。

どちらにとっても次の1点が運命の分かれ目となるサドンデス。それがアルゼンチンユースの攻撃の際の戦況だった。

126 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 00:22:32.43 ID:bTPGF8CC
パンッ!ポーン!ドドドドッ!!

放送「アルゼンチンのパスワークが速い!速い!イタリア、どんどん攻め込まれています!」



森崎「しっかしイタリアは中盤以降の守りが薄いな。5−3−2じゃそりゃ当然だろうが」
中山「それだけDF陣に自信があるんだろうな。中盤を突破されるのは覚悟の上か」



ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

放送「ここで大歓声と共にボールを持つのはやはりディアスくん!彼が今度はどんなミラクルを起こすのか?
しかしイタリアもここはカティナチオの面子にかけて同点ゴールを阻止したい所!
後半の行方を占う事になりそうなこの攻防、果たして勝者はアルゼンチンか!それともイタリアか!?」

ヘルナンデス「(くっ…サイクロンが撃てる様になった事でアルゼンチンの攻撃パターンは劇的に増加した筈!
出来れば撃たせる前に止めたい所だが…向こうもそれにつけこんで来る筈!ここは撃たせて止める!)」

ジェンティーレ「(どの道この先サイクロンクラスのシュートを撃ってくるチームとは戦わなくてはならない!
ならばここで止めてみせる!あの忌々しいディアスとの勝負を制し、勝ち上がるんだ!)」

この時イタリアユースは露骨にサイクロンを警戒していた。他のアルゼンチンの得点手段は
前半に全て防ぎきったのだから当然である。無論強力な武器が追加された事で他の武器も
より活きてくる事は頭では分かっていたが、それなら対応がやや遅れても十分間に合うと踏んでいた。

ディアスが突いてくるのはまさにそこだった。彼はハーフタイムの時点でこれを予測し、その為の作戦を立てていた。

127 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 00:23:21.89 ID:bTPGF8CC
少しずつですが更新していきたい所。今夜はこれだけです。

128 :創る名無しに見る名無し:2011/12/08(木) 01:00:32.84 ID:L4Z2h7FR
乙でしたー
盛り上がってきたねえ

129 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 22:42:55.61 ID:bTPGF8CC
ディアス「(へっへっへ…サイクロンのイメージが焼きついているな。これを利用しない手は無いぜ)」

ディアスはイタリアユースが彼の狙い通りにサイクロンを警戒している事を有難がっていた。
だからと言って何の工夫もなく他の手段を使ってもイタリアの対応速度なら間に合ってしまう。
ならば必要な工夫を施すまで。彼にとっては単純明快な解決法だった。

ガッ!

ジェンティーレ「(来た!ヒールリフトのモーションだ!)」

ヘルナンデス「(ここからサイクロンが来る!)」

サイクロンは前準備としてサイドスピンをかける必要がある。それを出来るだけ素早く隙の無い形で行う為に
翼が考えた方法がヒールリフトで自分の前に蹴り出す事であり、ディアスもそれでサイクロンを撃ち出していた。
故にディアスがヒールリフトの動作に入った時、イタリアの選手たちは即座にサイクロンを予感した。
それがディアスの前にはヒールリフトで抜くべき相手が接近していなかった状況では尚の事である。

130 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 22:43:10.36 ID:bTPGF8CC
ディアス「あらよっとォ!」

バシュルルルルルルッ!

イタリアメンバー『な…なにィイイ!?』

故に誰も予想できなかった。ディアスがわざわざヒールリフトで”パス”をするなどとは。

放送「ディアスくんヒールリフト!そのままサイクロン…では無い!?こ、これはサトルステギくんへのパスだ!
ディアスくん、今度はなんとヒールリフトでパスと言う離れ業をやってのけました!」

サトルステギ「ドンピシャだぁ!いっくぜェエエエエエエッ!!」

バッ!
バッグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

ジェンティーレ「く、くそっ!こんな奴にっ!」

ダダッ!シュッ!
ボグォワアッ!!

ジェンティーレ「ぐおぉうわぁ!!」
イタリアメンバー『ぎゃああああ!!』

131 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 22:43:23.67 ID:bTPGF8CC
ディアス「あらよっとォ!」

バシュルルルルルルッ!

イタリアメンバー『な…なにィイイ!?』

故に誰も予想できなかった。ディアスがわざわざヒールリフトで”パス”をするなどとは。

放送「ディアスくんヒールリフト!そのままサイクロン…では無い!?こ、これはサトルステギくんへのパスだ!
ディアスくん、今度はなんとヒールリフトでパスと言う離れ業をやってのけました!」

サトルステギ「ドンピシャだぁ!いっくぜェエエエエエエッ!!」

バッ!
バッグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

ジェンティーレ「く、くそっ!こんな奴にっ!」

ダダッ!シュッ!
ボグォワアッ!!

ジェンティーレ「ぐおぉうわぁ!!」
イタリアメンバー『ぎゃああああ!!』

132 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 22:43:53.94 ID:bTPGF8CC
ヘルナンデス「くっ!だがっ!!」

バッ!
バチィイン!!

ディアスの策に引っかかったイタリアユースのDF達は慌ててブロックに行くもののダイナマイトヘッドに蹴散らされる。
しかし威力を弱める事には成功し、そのお陰でヘルナンデスはなんとか弾く事が出来た。

ヘルナンデス「ぐっ…ま、まだか!?」

それでもヘルナンデスには一瞬の安堵も与えられなかった。

ダダダダッ!

ディアス「来た来たァ!!」

サイドスピンが生きたままのボールの落下点にディアスが駆け込んでいるのを見たからである。

133 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/08(木) 22:44:45.12 ID:bTPGF8CC
必殺・焦らしプレイ!

それにしても時々投稿がダブッてしまうのはなんとかならないのか…

134 :創る名無しに見る名無し:2011/12/08(木) 22:45:21.50 ID:8jYAmrG3
焦らしちゃいやん♪乙

135 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/10(土) 20:52:12.45 ID:pJgLMQXB
放送「サトルステギくんのダイナマイトヘッド!DF達が吹っ飛ばされ…ヘルナンデスくんなんとか弾いた!
あああ〜っとしかし!ディアスくんがこぼれ玉に向かって振りかぶっている!まさかここからサイクロンか!?」

バルバス「よしっ!これで同点だ!」

ジョアン「ちぃっ!ファンタジスタの恐ろしさか」



翼「(本当に、本当にディアスはサイクロンを…!?)」
若林「ディアスが失敗しない限り、イタリアは万事休すだ!」

シュナイダー「これは本当に逆転があるかも知れん…!」

コインブラ「(…待てよ。サイクロンは…)」



ディアスの奇想天外な発想はイタリアディフェンスに大きな穴を開けた。しかもその瞬間にサイクロンを放とうとしているのである。
ただでさえ超強力なシュートが、DFが軒並み吹き飛ばされGKもセーブ直後でバランスを崩している所に
撃たれてしまっては止める事は至難の業。この時誰もがアルゼンチンの同点ゴールを予感した。

ディアス「いっけぇええええええええええええええっ!!!」

バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
ギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

136 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/10(土) 20:52:27.34 ID:pJgLMQXB
ヘルナンデス「くそぉおおおおおっ!!」

バッ!

ヘルナンデスさえもまたその悪夢の様な予感から逃れる事は出来なかった。
ダイナマイトヘッドを防いだ直後の彼の複雑極まりないサイクロンの軌道を読む暇など無い。
故に彼は運が自分を贔屓してくれる事を祈りながらシュートが来ると思われる方向に跳んだ。
彼に出来るのはそれだけだった。

ギュルゥンギュルゥンギュルゥンギュルゥンギュルゥン!!

ヘルナンデス「(ダ…ダメだ!ボールが、ボールが何処にも見えない!!)」

直後に彼は絶望した。彼の視界の中にはボールは存在せず、当然ながら触れた感触もない。

ドサッ。

せめてもの思いで闇雲に跳んだ結果がボールを見失っただけ…
地面に倒れこんだ彼に後悔と屈辱が重くのしかかる。

ギュルゥギュルゥギュルゥギュルゥギュルゥ…

ピィイイッ!

137 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/10(土) 20:52:39.12 ID:pJgLMQXB
ヘルナンデス「(くっ…俺は、俺はまたディアスに………ん?なんだ?)」

そして彼は待った。ボールがネットを突き破る音と同点ゴールを告げるホイッスルを。
だがネットが突き破られるあの特徴的な音は何時までたっても聞こえてこない。
ホイッスルは聞こえたが、それはゴールを告げる長い笛ではなくラインアウトを告げる短い笛だった。

そしてもう一つ彼の耳に聞こえた音があった。

ディアス「ぐ…ぁあああ!?」

ヘルナンデス「…ディアス?」

自分の足を押さえて蹲るディアスが上げた苦痛の悲鳴である。

ザワワワワワワワッ!!

放送「こ…これはっ!?どういう事でしょう!ディアスくんが利き足を苦しそうに押さえています!
しかも彼が放ったサイクロンはイタリアゴールの遥か上空に舞い上がってしまい、そのままゴールラインを割りました!
さ、サイクロンが失敗したのでしょうか!?ディアスくんが突然ケガをしてしまい、それで失敗したのでしょうか?
一体何が起きたのか全く分かりませんが、ただ一つ確かなのは…
絶対と思われたアルゼンチンの同点ゴールがまさかのアクシデントでフイになってしまったと言う事です!」

138 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/10(土) 20:52:59.78 ID:pJgLMQXB
今日の分はこれだけです。また明日お会いしましょう。

139 :創る名無しに見る名無し:2011/12/10(土) 21:01:13.44 ID:zzsgjoCr
乙でしたー。ディアス…無茶しやがって…

140 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:04.88 ID:/jxRF4a4
翼「ああっ!そ、そう言う事か!」

全日本メンバー「な、なんだ?」「いきなりどうした翼?」

最初に何が起きたか正確に理解したのは翼だった。彼だけは自身がサイクロン習得に費やした
苦労と時間のお陰でディアスが何故失敗したのか、何故蹲っているのか即座に分かったのだった。

翼「サイクロンは体力の消耗も激しいが、それ以上に足にかかる負担が凄まじいんだ!
俺もそれに気付かされて数ヶ月かけて怪我に注意しながら足を鍛えないといけなかった。
だから、もしディアスがこの大会で見た俺のサイクロンを練習期間なしで連発しようとしたら…!」

若林「そうか!元々お前より小柄でフィジカルも弱いあいつが耐えられる訳がない…!」

日向「ヘッ、要は自分のフィジカルじゃ扱いきれない技を才能とやらで無理やり使ったって事じゃねえか。
天才とバカは紙一重ってのは正にこの事だな。くだらねえ奴だ」

三杉「だとしたら、アルゼンチンはもうダメだな」

岬「うん。起死回生の策が成功した筈の瞬間、実はその策がエースの自滅に繋がっていたなんて…」

松山「かつての敵ながら、同情したくなる程絶望的だな…」

141 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:21.55 ID:/jxRF4a4
シュナイダー「…何が起きた?」
フライハイト「分からん」
カルツ「ただ失敗したってだけじゃあなさそうだが…」

クライフォート「はて、奴がこんな絶好のチャンスでコントロールを誤るだろうか?」
イスラス「前半の様子からはとても信じられないが…」
クリスマン「たとえ誤るとしても、あんな見当違い過ぎる方向はありえんぞ…」

カルロス「そう言えばサイクロンは蹴った時の衝撃がやけに強かったな」
トニーニョ「…ひょっとして、フィジカルの弱いディアスには扱いきれないのか?」
ジェトーリオ「そうかもねー。試してみた後ちょっと足痛かったし」
コインブラ「(バカな奴だ…サイクロンの特性も知らずに使っていたのか)」



バルバス「こ、これは…まさか!?そ、そんな…!」

ジョアン「ほう…なるほどなるほど。もっと早く気づいておくべきじゃったな」

全日本ユースの面々以外は事態を正確に把握した者はあまり多くなかった。
まだ再現されて間もないサイクロンの特性を実際に打たずに推測する事は至難の業である。

142 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:34.31 ID:/jxRF4a4
しかし誰もが簡単に分かった事もあった。

パスカル「デ、ディアス!大丈夫か!?」

ディアス「だ、大丈夫…ぐっ!」

ヘルナンデス「(…自滅したのか。奴は)」

ジェンティーレ「(負傷?一体何故?)」

アルシオン「(前々から抱えていた爆弾か、それともサイクロンのせいか…)」

ストラット「(なんにせよ命拾いしたぜ…)」

取り繕う様に慌てて立ち上がったディアスが負傷している事である。
隠し切れない苦痛の表情と声、そして痛々しげに痙攣する利き足の様子は誰の目にも明らかだった。

そしてそんな大きな隙を見逃すイタリアユースではない。

ダダダッ!
バッカァアアアアアアアン!!

ヘルナンデス「速攻ーーーッ!!」

143 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:50.26 ID:/jxRF4a4
アルゼンチンメンバー「し、しまったァ!」「戻れ!」「何でも良いから防げーっ!!」

イタリアメンバー「走れ!」「ここで攻め落とせ!」「3点目を奪えば俺たちの勝ちだ!」

放送「あっと、ヘルナンデスくん大きくゴールキック!まさかのディアスくんのシュートミスによって生まれたチャンスを
フル活用する構えです!イタリアが大ピンチかと思いきや今度はアルゼンチンが大ピンチになる目まぐるしい展開です!」

ディアス「く、くそっ!!」

ダッ…
ズキィ!

ディアス「(ぐぐっ!ち、畜生何なんだよこれ!?何で足がこんなに痛むんだ!)」

ヘルナンデス「(やはり、理由は何にせよ負傷したな。こんな形の命拾いではスッキリしないが…俺はアズーリのキャプテンだ。
そんな贅沢を言う事は許されない…だから俺は割り切るぞ。お前をここまで追い詰めた俺の勝ちだとな!)」

同点、そして逆転の鍵となる筈だったサイクロンがまさかの暴発を起こしてしまった事で
アルゼンチンユースの選手たちは軒並み浮き足立っていた。今の彼らを支えているのは希望ではなく
ここで3点目を奪われてはいよいよ勝ち目がなくなると言う恐怖である。

アルシオン「(前半刺し損ねたトドメを今度こそ完全に決める!その為には…)」

アルシオンにはそれが手に取る様に分かった。そしてそれを最大限利用する為のカードも二つあった。

144 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:33:02.36 ID:/jxRF4a4
ドドドドドドッ!!

放送「ボールを持ったアルシオンくんにアルゼンチンユースが決死の覚悟で挑む!
そうです、彼らは何としてでもここでアルシオンくんを止めなければ命運が尽きるのです!」

アルシオン「(ファウルをしてでも止めるつもりなのがバレバレだ。だがこうされてもファウル出来るか?)」

アルシオンが切った一枚目のカード。

クルッ。
ヒュヒュヒュッ!

アルゼンチンメンバー「な…なにィ!?」「そんなァ!」

ディアス「あ、あの野郎ォオオッ!!」

ストラット「(そう言えば似た様な事を前やっていたっけ。まあ、やろうと思えば何時でも出来るんだろうな)」

ランピオン「(つくづく敵に回したくない奴だ)」

それは前半ディアスが行った後ろ向きのドリブルだった。類稀なるセンスと超人的な想像力がなければ
出来ないこのトリックも、アルシオンにとってはさほど難しい芸当ではなかった。
これによりアルゼンチンの選手たちはバックチャージを恐れ、強引な守りを展開する事すら叶わなくなる。

放送「お、おおおおおっ!!なんとここでアルシオンくん、前半ディアスくんがやってみせた後ろ向きのドリブルを
そっくりそのまま再現してみせました!不意を突かれたアルゼンチン、必死の食い下がりも空しく抜かれていく!」

145 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:33:13.85 ID:/jxRF4a4
ガルバン「いかん!もう戻れ!奴からボールを奪おうとするな、シュートを防ぐ事だけ考えるんだ!」

アルゼンチンメンバー『お、おう!!』

ここでアルゼンチンは最早アルシオンからボールを奪うのは不可能だと判断し、必死にPA付近を固める事に集中した。
その苦肉の策もまたアルシオンには予定通りで、彼がプレッシャーをかける様にややゆっくりとイタリア陣内を
進むに連れアルゼンチンの選手たちの心臓が高鳴り、動揺と恐怖が増していく。

放送「アルシオンくんバイタルエリアに辿り着きました!さあ、ここからどんな手段で3点目を狙うのか!?」

アルシオン「(どんな手段かだと?これさ!)」

ガッ!

アルゼンチンメンバー「!?」「ま、まさか…!」

そしてアルシオンの2枚目のカードが切られる。それは見せ付ける様なヒールリフトから始まる。
サイクロンを強く意識していたアルゼンチンの選手たちはもしやアルシオンもサイクロンを!?
それとも先ほどディアスがしてみせた様にランピオンへのヒールリフトパスを?と身構えてしまう。

クルル…ヒューン。

アルゼンチンメンバー『えっ…?』

だがそれはただのヒールリフトで、アルシオンはサイクロンを使うつもりは無かった。
そう見せかける事で更にアルゼンチンを動揺させ、自分の切り札をより確実に決めたかっただけだった。

146 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:33:29.11 ID:/jxRF4a4
      アルシオン「(俺はサイクロンなど要らない。何故なら俺はブラジルの英雄でもアルゼンチンの英雄でも、
     ましてやイタリアの英雄ですら無いからだ!俺の名はマルク・アルシオン!唯一無二の絶対的王者だ!!)」

                    グワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

                          ジョアン「ほう、あれも使うのか」

                          バルバス「…!なんて、事だ…!」

     放送「アルシオンくん振りかぶったーーーっ!!ここでミドルシュートで自らアルゼンチンにトドメを刺す気か!?」

                  アルシオンはサイクロンも撃とうとしなかったし、パスも出さなかった。
                  彼にはまだ実戦では見せていない彼独自の必殺シュートがあった。
           ワールドユースの為に開発されたそれはシューティングスター同様誰からも警戒されておらず、
                 アルゼンチンの選手たちは誰一人としてそれを予想出来ていなかった。

                               ダダダダッ!!

                          ディアス「まだだァアアアアアッ!!」

                              アルシオン「!!」

                             ディアスを例外として。

                           グワアアアアアアアアアアアッ!!

           放送「ディアスくん走りこんだ!そして…足を振りかぶったァ!?こ、これは撃ち返しを…!」

147 :2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:34:18.33 ID:/jxRF4a4
        ディアス「(俺は天才ファン・ディアスだ!どんな絶望的な状況だろうと、どんなに凶悪な敵が相手であろうと、
             試合時間が残っている限り俺が必ずひっくり返してみせる!それが出来るのが天才だからだ!
           俺には接戦の末の敗北なんか要らない!オール・オア・ナッシング!それがフィールドの鉄則だ!!)」

                  バルバス「や、やめろーーーッ!!ディアスーーーーーッ!!!」

                        ジョアン「…ふん、あっけない最後じゃな」

             アルシオン「(愚かな!!お前は今、最悪の選択をした!その代償を払うが良い!)」

                        この時の二人の間に入れる者はいなかった。
                      間も無く起きる出来事は当の二人さえ止められなかった。

                    ディアス「俺は天才ファン・ディアスだァアアアアア〜〜〜ッ!!!」

                        アルシオン「 く だ け ち れ ぇ っ ! ! 」

             バッギュァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!



                 ディアス「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああっ!!!!」




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