キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が1000を超えています。残念ながら全部は表示しません。
【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】

1 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/05/27(日) 23:16:57 ID:0BVRL3PU
このスレはキャプテン森崎のスピンアウト作品に当たる、キャプテンEDITのスレです
森崎くんと同世代に生まれたサッカー少年・大前くん(オリキャラ)を操作し、彼を名選手に育てたり育てなかったりします
現在の目標は全国大会での南葛へのリベンジ&優勝!
読者の皆さんに引いて頂いたカードや、投票していただいた選択肢に従い、物語が展開します

前スレ
【復活の】キャプテンEDIT35【号砲】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1337176161/

〜前回までのあらすじ〜

終わってみれば、県大会準決勝を7−1の大差で圧勝した鳴紋中サッカー部。
しかし、完成にこぎつけた新戦術も神懸った突破で強引に破られかけるなど、不安を残す内容だった。
あと一戦。これを越えれば念願の全国大会。それに向けてチームの更なる強化を期する大前たち。
しかし、決勝の清栄戦では最悪の事態が発生! 昨年の因縁から鳴紋を疎む日向と、金成が結託。妨害工作を仕掛けて来たのだ!
チームの大半が体調不良に苦しみ、妨害を避けた輝林も負傷に追い込まれる中、
大前の奇跡のゴールと比良山の復讐の一撃が清栄を突き放す!
鳴紋中は、このまま全国出場を決めることが出来るのだろうか?

〜前スレの出来事(?)〜

早苗「まず私たちが脱却すべき常識とは、鳴紋中が主役であるという認識だと思うのですよ!」
神奈子「いや、その理屈はおかしい」
菱野「どぉせ私なんか……」
やす子「駄目ー! そんなところまで大前くんに引き摺られちゃ駄目ーっ!」
金成「ラフプレイで怪我させると思ったか? 下剤だよ!(まさに金成)」
ポスト神「 ま た 会 っ た ね ☆」
大前「ちくしょー!」
ダイヤK「不甲斐ない本体に代わり、神☆降臨っ!」
比良山「ゴール決めたけど、そんなことよりお腹痛い」

673 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 07:31:00 ID:GrFHE+kU


674 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 07:41:09 ID:o0ggqu7o
B

675 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 08:16:01 ID:gK5vmRBk
B

676 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 08:49:41 ID:???
長かった県大会もおわったな。
さて8月は1週目は夢試合だけしてフォトシンとスパイクは全国大会中に揃える。
2週目は神社でお守りの購入といったところかな。

677 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 10:06:42 ID:???
試合で怪我の影響あるかもしれないからふしぎ屋は2週目でいいんじゃないの。
3万以上あるし十分だろ。
全国終わったら菱野さん用に高いプレゼントしたいし。

678 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 10:22:01 ID:???
というかそもそも、菱野さんとは定期的にデートしなきゃいけなかったはずだけど、それは大丈夫?
県大会まで行ったら忙しいから免除とかなんだっけ?

679 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 10:33:38 ID:???
デートは7月1週にに行ったぞ、そこで2人は……ちょっと壁殴ってくる。

冗談はさておき、全国終了後の自由行動ターンが菱野との最後のデートの機会(31スレ598)だからそれで大丈夫。
こっから3年は碌に相手できなくなるだろうから指輪的なものでもあげたいな。

680 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 10:47:44 ID:???
お守りも健康祈願は買えないか個数制限あるかもしれん。
赤口戦後に用意できる最後の1個譲ってもらったし、すぐ作れるものじゃないかも仙豆的な意味で。

681 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 11:06:55 ID:???
怪我の状態しだいかな。お金が無いわけではないが、お賽銭を多めに入れたらなにかあるかもしれないし。

682 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 12:19:32 ID:???
現在、成長制限なのが比良山、渡会、制限到達しそうなのが、本多、雪村、輝林か。
このメンバーは特訓のときは走ってもらったほうがいいかな?走る場合はこれだと人数が奇数になるから後1人は水守あたりか。
あと達也のドリブルが58で夢試合の結果次第で、制限到達するし大前が守備を見てあげるべきかな。

683 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 12:38:19 ID:???
水守はガッツよりもオフェンス力が足枷になってまたディフェンスが伸ばせない状態になったろうから
ベンチ外のヤツを適当に走らせればいい。

684 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 13:32:41 ID:???
水森のガッツに関しては大前のコーチで低いせりあいと一緒に伸ばした方がいい。
今のところゴール前のクリアーはテルの一強状態裏掻かれたら渡会まで一直線。
替えがいないキーパーに怪我やカードの恐れがあるプレイ多用させたくない。

685 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 14:24:40 ID:???
8月に行くその前に南葛の決勝を見に行けないだろうか?
日向も東京、次藤たちも観戦しに行ってないで、松山もテレビ見てるんだから鳴紋と同日での決勝ではない。
ハーフタイムにでも誰かに会えるかもわからないし
それにここらで新田に救済措置でもないと、このまま永遠に話から隼スルーしそうな気もするしな。
ちょっと距離あるけど、そこはイージーカーで大前、菱野、監督の3人で偵察しに行くとか。

686 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 14:41:39 ID:???
中山さんや新田も鳴紋に惨敗したせいで南葛に乱入してないだろうから
油断した森崎から3Nシュートで1点ぐらい取れるかねえ。

687 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 14:43:30 ID:???
そういや中村さんが森崎たちに鳴紋のこと伝えちゃう可能性があるのか

688 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 14:51:04 ID:???
な、中村さん!?
いやー伝えるにしてもクラブ引いたらとかだろ。
鳴紋のこと伝えるってことは自チームの汚点晒すことになるし、後半はあれだしな……

689 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 17:11:25 ID:???
南葛大友戦とか見に行ったら場合によっちゃトラウマになるぞ
殺人事件が起こるんだから

690 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 18:36:53 ID:???
殺人事件じゃない殺人未遂事件、殺すな殺すなw

691 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 18:38:21 ID:???
いいよ、実際死なねーし

692 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 18:55:42 ID:???
練習試合の情報がバレるにしても中山さん経由じゃなくて、きっと新田からだな
負け惜しみついでにポロっと

693 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 19:04:43 ID:???
俺たちに勝ったんだ、全国でも必ず勝てよ
→はっ、当然だ。俺に敵なんていねーよ
→それはどうかな
という綺麗な流れが有り得るやもしれん

694 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 19:53:37 ID:???
一瞬ミスターOが現れて「それはどうかな」と言うのかと思った

695 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/05(火) 00:30:35 ID:???
すみません、ちょっとNPCパートの執筆に詰まり気味なので、今回はお休みです
できれば明日には投下できるようにしたいと思います

696 :森崎名無しさん:2012/06/05(火) 00:32:51 ID:???
乙です

697 :森崎名無しさん:2012/06/05(火) 00:41:07 ID:???
了解です

698 :森崎名無しさん:2012/06/05(火) 06:54:12 ID:???
ある程度まとめると
特訓は比良山、渡会、輝林、雪村、本多とレギュラー以外の誰か1人をガッツ練習。大前は弟の守備を見る。
自由行動はふしぎ屋と神社に行く。ふしぎ屋では夢試合をする。ファルコンスパイクとフォトシンセシスは全国大会中に入手する。
後何か忘れていることあるかな?

699 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 19:53:28 ID:???
>>685
>ちょっと距離あるけど、そこはイージーカーで大前、菱野、監督の3人で偵察しに行くとか。

偵察中の某分岐はこうですか、わかりません
クラブA → 監督がビールを飲んでいた。なにィ、帰りはどうすんだ!?

700 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 21:58:13 ID:???
全国ではダイジェストないからヘディングより強い燃費のいい技覚えたかった。
スパイク取らないならサマーソルトキック狙ってもよかったんだけどね。
去年の全国編も読み直してみたら翼も今年は得点重視で行くっぽいから
決勝以外はハットぐらいのペースじゃないと得点王&MVPは難しいかもなあ。

701 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:29:31 ID:???
翼「目標は1試合10ゴール10アシストさ!(ニコッ」

702 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:33:11 ID:???
君は何を言っているんだ

703 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:39:59 ID:???
今年は攻撃に専念できそうだし、ハットトリックぐらいは十分狙えるでしょう。

704 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:40:56 ID:???
得点狙いはいいけどアシストも忘れんなよー

705 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:40:57 ID:???
そもそもFWが3人もいるような布陣で得点王になれるぐらい点取るとかふざけてんのか。
そら井沢も嫉妬するわ。

706 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:42:48 ID:???
FWが3人いると言っても2人はアシストが得意、もう1人は来生だからなw
そりゃあ自分でゴール狙うでしょう

707 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:45:42 ID:???
まあ滝と長野はアシスト型で来生はスタミナないし翼が点取りに行くのは多少は仕方ない
最初から得点王狙いなのは頭おかしいと思うけど

708 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:51:36 ID:???
滝が運んで長野が中継して・・来生がマトモなストライカーなら理想的な流れなんだけどなあw

709 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:52:09 ID:???
ただFWが3人もいるのに点をるのがMFなのはチームとしては、すごい欠点だよな。

710 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:54:25 ID:???
しかも大前に得点王掻っ攫われたからよりその傾向が顕著になってるだろうな。
去年以上にパスは出すまい。

711 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 22:59:06 ID:???
もともとANSは相手がパスを出さないで突っ込んでくることを前提にしているものだし、ありがたいといえばありがたいな。

712 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:05:01 ID:???
勝手に反則して爆発したらどうなるんだろう翼

713 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:12:55 ID:???
チームとしては問題あるけどJrユースに選ばれたのが9人いるからな。
他の全国で戦うチームからは1〜2人で東邦ですら4人で倍以上だからな。

714 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:25:11 ID:???
Jrユースっていうと選出ホントどうなるんだろうな
個人的には鳴門多すぎだとユースって感じしないから大前、比良山、本多、輝林が選ばれれば満足なんだけど

715 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:28:38 ID:???
強くなりすぎたGKも選ばれるのはかたい

716 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:29:36 ID:???
あと雪村も入ると思うぞ。

717 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:36:46 ID:???
あと達也、水守、宇津木あたりが全国の活躍しだいで、将来性を見込まれて入ってくる可能性はあるかな。

718 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:43:28 ID:???
「もう全部鳴門でいいんじゃないかな」
それにしても末松はともかく割と特訓振られてた気のする浅村哀れ

719 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:48:01 ID:???
努力したやつが全員報われるわけないからな…

720 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:48:46 ID:???
他はともかくキーパー4人は多いから度会は食い込めるかな
メカを準決勝で炎上させるかDFに追いやらないと厳しいかも

721 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:50:59 ID:???
まぁたぶん一校偏重な選出はできない
多分大前を除いては四、五名だろう
原作の優勝校南葛もそのくらいだし

722 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:51:54 ID:???
キーパーは二人でいいや。森崎と後誰かで。
個人的にはJY後はドイツにでも行きたいから若林とはちゃんとコミュしたいな。
本編、外伝含めて若林は不憫なキャラ格付け多いしな。

723 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:52:54 ID:???
度会じゃない渡会だー
今の渡会の実力はシュート60でクリアボム撃たないと分が悪いから
スタミナ除けば森崎に匹敵してるんじゃないの?つまりメカよりは上の可能性大のはず

724 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:53:44 ID:???
若林は原作でも不憫な扱いされてるけどな。
バランスブレイカーだからよく怪我させられるし。

725 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:54:53 ID:???
個人的にはJY後はインテルがいいな、イタリアでやってみたいことあるから

726 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:59:25 ID:???
わたらいで変換したらこれが出たw
JY後はドイツが有力だと思ってたけど、葵や大会での絡み次第では他もあり得るのか

727 :森崎名無しさん:2012/06/06(水) 23:59:57 ID:???
大前ならイギリスプレミアがいいな
フィジカルコンタクトが激しい、クロス、ロングボール多用するチーム多いから活躍できそう


728 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:01:55 ID:???
個人的にはフランス推し
不遇なナポレオンがライバル出現でキングになるかも知れんし

729 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:02:28 ID:???
なんでドイツが有力なんでしたっけ?
若林で簡単に無失点記録つくれる雑魚チームしかないなら正直歯ごたえがなさそうだけど

730 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:06:05 ID:???
>>727
プレミアは90年代からだから時期的に無理。80年代のイングランドサッカーはもっとイヤ

731 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:06:58 ID:???
>>730
そうだったな
この時期はイタリア全盛期だったっけ

732 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:11:41 ID:???
>>729
単純にシュナイダーの後釜で入れそうなことと、ジャパンカップ出場ほぼ確定してるから。
もっと突き詰めるなら若林というリーグ内実績だけは最高峰の相手がいるから
カウンターウイングで支援する際に相手側に日本人でも素直に交渉させやすいからとかか?

733 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:14:32 ID:???
世界編になったらどの国に行くことになっても目先の目標はトップ(1部)チームに上ってプロになることになるかな。
もちろんジャパンカップ前に。

734 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:20:10 ID:???
トップに早期昇格目指すならイタリアがいいね、丁度全盛だし
超人気のはずなのに全然対戦してるスレがないからこそ、ここでミランと戦ってみたい
何度かは負けるかもしれないけど、だからこそ勝負したい

何処の国行ったとしても、自由度の高いこのスレだけでしか目指せないような
でっかい夢・目標を追いたいぜ

735 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:26:22 ID:???
とりあえずは最後の鳴門でのサッカーを最高の結末で終えたいな。
去年は点差はともかく中身は完敗に近いし、今年は完全勝利で終わりたいな。

736 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:27:19 ID:???
80年代ならブンデスが一番全盛だろ

737 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:29:46 ID:???
トップに上がって一番戦ってみたいチームは自分の中ではぶっちぎりでミランだけど
実際どの位強いんだろうなー

738 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:34:49 ID:???
プロになる理由?

プロにならないと最終巻で菱野さんと結婚できないじゃねえか!
もちろん森崎は呼ばな(ry

739 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:36:35 ID:???
なんという正直者w

740 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:48:19 ID:???
今回は難航してるようだな

741 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 00:52:00 ID:???
どうも、遅れ気味で申し訳ありません
5日、6日と連続で急に仕事が入ったものでして、投下分の執筆がなかなか進んでおりません(汗)
明日には何とか間に合わせる予定ですので、もう少々お待ち下さいませ
度々投下の予定が伸びてしまい、本当にすみませんでした

742 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 00:52:43 ID:???
リアル大事に乙です

743 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:35:33 ID:???
お待たせしました。とりあえず出来あがった部分だけ選択肢をこさえて投下です

>>飯地の車で大前(と菱野)だけ連れて偵察とか行けないの?
無理です。大前は飯地監督の運転する車には乗りません
金輪際乗りません。一年目の合宿の時点で懲りていますのでw

>>WY編で所属するチームは?
先に言っておきますと、HSVはないです
他の選手が強過ぎて、ヌルゲー化が今と大差ないかそれ以上の状態になりそうですので
……人間関係では滅茶苦茶苦労しそうですが(笑)


それと南葛対大友戦なのに次藤たちが偵察していない不備がありますが、
彼らは全国に備えて特訓中だとでもお考えください
……決して書いた後に出番がないことに気付いて、なのに修正できなかったわけではないですよ?
ホントウデスヨ?

744 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:36:36 ID:???
〜数日後・鳴紋中サッカー部部室〜

県予選を突破し、無事に全国大会出場を決めた鳴紋中サッカー部。
試合前の妨害による体調悪化からも回復し、全国に備えての厳しい練習に励む毎日が続いていた。
だが、この日に限っては――

TV「(ブゥゥンッ……)――ん国のサッカーファンの皆さん、お待たせいたしました!
来月に迫る中学サッカー全国大会、本戦に先駆けて注目の強豪校の予選の模様をお届けしております!」

落田「おーいっ! みんな、早く早くっ! もう番組始まっているぞーっ!」

いち早く部室に駆けこんだ落田が、リモコンでテレビの電源を付けつつ他の部員を呼ぶ。
呆れ顔を見せつつも、やがてぞろぞろと部室に集まってくる選手たち。

国岡「……ったく、練習切り上げる口実になるからって、張り切り過ぎだぜこの馬鹿は」

渡会「いーんじゃねえの? お陰でうっかり見逃した、なんてことにならなくて」

本多「まあ、その場合はあらかじめ録画しておけば問題無いだろう。監督ならビデオデッキも持っているらしいしな」

745 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:37:55 ID:???
雪村「でもこの前、監督に『ダイヤグラム・サッカー』の録画頼んだら、間違って他局の深夜番組撮ってきてたよね」

大前「ああ、あの時には部室が凍りついたよな……」

菱野「……ええ。凄かったですわ」

やす子「こらこら! 関係の無いこと言わないの! それより、折角貴重な練習時間を割いてるんだから、ちゃんと視る!
全国での最大の敵、その真価の一端が見れる大事な試合なんだからね!」

末松「は〜い……」

飯地に注意を促されて、改めて画面に目を向ける。
そこでは全国47都道府県、最大の注目を集めるチームの試合が始まろうとしていた。

TV「本日お届けするのは、静岡県代表を決める県大会の決勝……南葛中と大友中の一戦です!」


  … … …


実況「さァ、両校選手の入場で、場内は俄然盛り上がります!!
果たしてサッカー王国、静岡を制するのは常勝・南葛か? それとも新鋭・大友か?」

南葛応援団「頑張れ南葛! 今年も全国大会に行くぞーっ!」

大友応援団「今年の静岡一は大友中だ─っ!!!」

746 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:38:55 ID:???
実況「この試合の話題のひとつに両校の決勝進出の原動力となった両チームの選手、
南葛の守備の要・森崎くん、大友中の攻撃の要・新田くんが共に同じサッカー少年団・南葛SC出身という事が挙げられています。
御存知の通り、森崎くんは第6回全日本少年サッカー大会優勝時の正GK。また、新田くんも第7回優勝時のキャプテンでもあるのです」

水守(TV観戦中)「あれ? 珍しく大空さんの名前を挙げてませんね」

浅村(TV観戦中)「そこはほら、アレっスよ。去年の全国MVPは森崎さんっスし、今年はキャプテンにもなったそうっスから」

実況「その上、第6回の優勝時のチームメイト、レギュラーのほとんどが南葛中・大友中の三年生に所属し、
ここに敵同士戦う事になったのです! いわば因縁の対決でもある、この試合!」

大前(TV観戦中)「中山たちのこと、か。俺たちとの練習試合で、対南葛用の戦法を何度か試していたようだけど」

達也(TV観戦中)「試合じゃ俺らが圧倒したけどな」

宇津木(TV観戦中)「おいィ? そういうお前は浦辺に遊ばれていた時間が大半だったのではないか?」

菱野(TV観戦中)「さて、どうでしょうか。中山選手や新田選手も潜在能力は高いと思いますし、あの試合から更に上積みを得た、
ということも考えられます。もしも南葛が王者の座に驕って注意を疎かにすれば――」

やす子(TV観戦中)「――案外、大友中も食い下がっていく事態になるかもしれないわね」

と評する飯地。

大前(TV観戦中)(中山のことを買っている監督も、番狂わせがあるとは言えないのか……)

一昨年、そして鳴紋を破った昨年と、南葛は勝つごとにその強さを確実に増している。
片桐の入れ知恵によって、翼と森崎を中心に実力を向上させた三年生世代。それが中核となった今年は、
スタメンに限れば全国一の層の厚さを誇る。
中学に入ってから全国区の戦いをほとんど経験していない大友中は、この点が苦しい。
それをどう補ってくるかが、この試合の分かれ目であろう。

747 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:40:02 ID:???
大前(TV観戦中)「何にせよ、一瞬たりとも見逃せないカードだな……」

丁度そこで、カメラはゴールマウスに着く森崎の姿を映す。

森崎(へへ……楽しみだぜ、中山。あえて俺たちと袂を分かったお前が、どうやって俺を倒す気か?
どんな手でも使って、掛かって来やがれ! 今の俺の力、存分に見せつけてやるよ!)

中山(練習試合での大敗で俺たちは全国トップクラスとの差を知り、また一から鍛え直してきた……。
軽々にお前たちを挑発したりせず、大会でも手札は見せずに勝ち進んできたんだ! その全てをぶつけて、森崎……お前に勝つ!)

翼(くっ、この試合ディフェンシブハーフとして中山のマーク、だって? 森崎め、俺に出番を回さないように姑息な手を!)

新田(あの野郎にやられた傷も癒え、未完成だったノートラップでのボレーも間に合わせた!
今日は完璧に森崎のヤツをぶち抜いて、俺こそが日本一のストライカーだって証明してやる!)

両チーム選手、そして試合を見守る無数に人間の、様々な思惑がからむ中、

実況「さァ、先攻の大友中! 浦辺くんから、中山くんへ軽くパスを出し試合開始です!!」

試合が、始まった。

748 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:41:06 ID:???
実況「まずはMF出場の中山くんが、足元にボールを収めます。この大会、彼がチームの司令塔として試合を動かしてきました!
だが、中山くんの好きにはさせじと南葛も早速動いたーっ!」

翼「行くぞ、中山っ!(まずは作戦に従っておく! 見せ場を得るのは、その後だ!)」

実況「南葛の司令塔である翼くん、自らが中山くんのマークに行った! 最大の戦力で完全に大友の攻守の紐帯を断ちに行く!
第二のゲームメイカーである井沢くんを擁するなど、選手層の厚い南葛ならではの贅沢な戦術だーっ!」

井沢「誰が第二だ、誰が!」

中山「翼、か(試合をしていればいずれぶつかる。だが、今はその時ではない!)」

向かってくる翼が自身を射程に捉える前、中山は冷静にサイドにパスを出す。

翼「……っ!?」

実況「おっと、ここは中山くん、無理をせずにサイドにボールをはたいた! ここを上がって来たのは新田……いや、浦辺くん!」

浦辺「エースの新田とゲームメイカー中山に注意を払っていたのだろうが……油断めさるな南葛さん! 大友のキャプテンは、この浦辺よ!」

大前(TV観戦中)「流石は中山、地味だが堅実で隙の無いゲームメイクだ」

翼は中山、井沢と岩見は新田を警戒し、浦辺はほとんどフリーの状態でパスを受けた。
行けるのは、DFたちだけである。

古尾谷監督「うっ……浦辺は、ここまでの試合、一度も積極的に攻め込んだりはしなかったのに……?
やはり大友は決勝に備えて、戦力を温存していたのかっ!?」

749 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:42:12 ID:???
井沢「しまった! 新田へのコースを警戒していたのが、裏目った!」

岩見「落ち付け、井沢! DFのみんななら、止められる!」

浦辺「頼むぜ、デコー。この前の試合みたいに、途中で睡眠状態に入るとかは勘弁だぜ?」

デコー「だからそれは君のエネルギーの問題だと……まあ、その前に勝負を決めれる様に心がけたまえ」

何やらブツブツと呟きつつも、ボールはしっかりとキープして南葛陣内を攻め上がる浦辺。
それに対し、森崎の対応は迅速だった。

森崎「うろたえるな、こんな事は想定範囲の事態だ! 中里は新田をマーク! それ以外は全員、浦辺を潰しにかかれ!!」

石崎・高杉・小田「「お……おうっ!」」

実況「キャプテン森崎くんの号令一下、南葛のディフェンス陣が浦辺くんに襲い掛かるぅ!
流石は全国に名を馳せたDFたち、攻める様に守っていくぞ!」

雪村(TV観戦中)「でも、南葛のディフェンス陣って――」

比良山(TV観戦中)「――ああ、対人よりもゴール前の守備の方が得手だったはず」

達也(TV観戦中)「となると、浦辺のアレが出るか……?」

カメラは、押し寄せる南葛守備陣を前に、浦辺がニヤリと笑った瞬間を捉えた。
スピードをそのままに姿勢を落とし、まるで四足獣の体当たりの様に浦辺が走る。

浦辺「甘いなァ! コイツを喰らえ! アルマジロドリブルだーっ!」

750 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:43:46 ID:???
石崎「なにィ!? ……ぎゃあ!?」

高杉「ぐへぇ!?」

小田「うわぁああああああぁぁぁっっ!!」

ボーリングのピンの様に弾かれ、宙を舞う南葛守備陣。

実況「石崎くんたちが吹っ飛んだァ!? 浦辺くん、凄まじい突破力だ! この決勝まで見せなかったド派手なプレイ!
これは強烈な奇襲攻撃です! 大友中、ストライカーに全てを託した堅守のチームかと思いきや、意外な攻めを見せます!」

やす子(TV観戦中)「突破力が更に上がってる!? 大前くんに怪我させられたあとなのに、よくもまあ鍛えたものねー(ウズウズ)」

森崎「なにィ!? 中山だけでなく、浦辺までここまでの実力を身につけていただとォ!?」

浦辺「驚いて頂けたようで、嬉しいね! ついでに先取点も貰って行くぜェ!」

そしてシュートレンジに入るや否や、浦辺のミドルシュートが火を噴った。
強烈なスピンが掛かったボールは低空を進みながらゴールへと向かう。
誰かがこの模様を観戦していたら「俺の技だ!」と叫びそうであるが、生憎彼は試合中の模様。

渡会(TV観戦中)「お? あのシュートをいきなり使うか!」

輝林(TV観戦中)「……これにどう対応するかで、森崎の真価が垣間見えますね」

中里「いかん! フリーで撃たせてしまったでゴザルよ! 森崎ィ!」

森崎「へっ! 案ずるなよ中里! この程度のシュート、パンチングで軽〜く――なにィ?!」

余裕の構えの森崎の眼前、ボールは僅かにホップし跳ね上がる。
強いバックスピンが掛かっていた影響である。並のキーパーなら、これに惑わされてあらぬところに手を伸ばす場面だが、

751 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:44:52 ID:???
森崎「――って、一応驚いて見せたが、これで満足かァ!?」

浦辺「なにィ!?」

森崎は、すぐさま動揺を収めると鋭いパンチングを見舞、ボールを完全に弾き返した。

実況「防いだァ! 森崎くん、独特のホップ軌道で目を眩ます浦辺くんのシュートを、パンチングで呆気なくセービングぅ!
やはり彼の守るゴールは堅いぞ! 流石は全国V2チームのキャプテンにして正GKだァ!」

南葛応援団「うおおおおおおおっ!」「流石は森崎だ! なんともないぜ!」「もっりさきっ! もっりさきっ!」

森崎「必殺技っぽかったから一応パンチしたが、キャッチでも良かったかもなァ?」

中山(……やはり簡単にはいかんな)

浦辺「グギギ、俺のブラックカイトをいとも簡単にだと!? だがっ! これで終わりじゃないぜ! ――中尾!」

中尾「おうっ!」

森崎が弾いたボールは、南葛陣内を転がっていたところを大友のFWがフォローする。
先んじて浦辺が南葛守備陣を引き付け、ドリブルで吹き飛ばしていた為、拾いに行けなかったのだ。

実況「しかし! ここは大友中が攻撃を続行! エース新田くんと要の中山くんを押さえた南葛ですが、その為か他は手薄!
フリーになった他の選手が波状攻撃を続けます!」

中里(とはいえ、中山と新田の二枚看板を封じられた状態で、どう森崎を攻略するつもりでゴザルか?
拙者がこうしてマークしている以上、新田にボールは渡さんでゴザルよ)

新田「コイツ、足が速い!? 俺がマークを振り切れないなんて!(早過ぎるが、使うしかないか……)」

なかなか中里を振り切れないことに業を煮やした新田が、中尾にサインを送る。

752 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:46:13 ID:???
中尾「(『いつもより前に出せ』、か。少し早いが、そうだな……この分だと岸田さんのヘッドじゃ頼りないし)……オーケーっ!」

実況「大友中、ゴール前のスペースに入れて来たっ! これは新田くんにノートラップでダイレクトに決めさせる気か!?
しかし、そのプレイは二年生にとって難易度が高過ぎるぞーっ!」

新田「パスを受けていたら、間に合わないんだ! でりゃ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

中里「おおうっ!?(重りがあるとはいえ、拙者を振り切りに来た!? しかし――)」

切り返しで僅かに中里を突き放し、ボールを捉えに行く新田。だが、中里も然したるもの。すかさず追走してクリアーに行く。

森崎「おいおい、続けざまに攻め込まれ過ぎだろうが。しょうがねえ、ここは一旦キャッチしてこっちボールにするか!」

新田「(その余裕の面、すぐに凍りつかせてやるぜ!)ノートラップ・ランニングボレェエエエエ――ッ」

中里「く、クリアーっ!」

新田「――隼シュートだァ!!」

比良山(TV観戦中)「ほうっ! あの必殺シュートをボレーでか!」

猛烈な勢いで走り込み、それを殺さないまま全身のバネを活かしてボレーシュート。
追いすがった中里が僅かに触れたものの、ボールは猛スピードで南葛ゴールに飛来する。
だが、

大前(TV観戦中)「……けど、駄目だ」

森崎「(うおっ!? キャッチはキツイか!?)へっ! ちょっとはやるなァ!」

鋭く反応した森崎が、真正面でボールを掴みに行く。全力のセービングではない為、流石に球威を殺しきることは出来なかったが、
掌と手首を柔らかく使って軌道をそらし、ゴールポストに逃れる。

753 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:47:16 ID:???
実況「――が、駄目っ! 森崎くん、キャッチこそ敵いませんでしたが巧みに捌いてゴールを守る!
大友中、立て続けに大技を放ちますが先取点はならずっ!」

新田「くっ、惜しい! ポストだったか……」

初めて実戦でお披露目した新技が決まらなかったことに、苛立たしげに芝を叩く新田。
その様子を、憐憫の色を込めて中里がちらりと見る。

中里(ポスト『だった』のではなく『された』のでゴザルよ……認めるには、まだ若過ぎるか)

中山(本気を出すまでも無く、浦辺と新田の必殺技を立て続けに、か! 腕を上げたな! ……不謹慎だが、嬉しいぞ!)

翼(中山、早く動いて! お前からボール取ったら、ゴールまでそのまま行くから!)

センター付近でその様子を眺めていた中山が、ゴクリと生唾を飲む。
テレビ画面の前の鳴紋中選手たちも、今の好セーブ劇には度肝を抜かれた。

輝林(TV観戦中)「新田くんの新技に、辛うじてとはいえ通常のキャッチのみで対応、ですか……」

渡会(TV観戦中)「憎々しいくらいに堅ェ……(俺だったら、早々にアサルトキャッチを出す羽目になってたぞ)」

末松(TV観戦中)「折角、ブロックに強いCBをひっぺがえしたチャンスだったのにな〜」

菱野(TV観戦中)「今の反応から必殺のセーブを出した際のセーブ力を算出しますと――(これは、イケますか?)」

比良山(TV観戦中)「これは大友中も、運良く取れても1点ということか。だが――」

大前(TV観戦中)「――ああ(森崎も強くなっているが、去年ほどの絶対的な差は感じない。お前もそう感じたか、比良山?)」

一方、試合の模様は――、

754 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:48:23 ID:???
小田「ナイッセーっ! 森崎! ……それっ!」

実況「こぼれ球は先程の接触から立ち直った小田くんがクリアーします。さあ、ここから南葛中の反撃です!」

小田が大きく前線に蹴り出したボールを、井沢がフォローする。

井沢「ナイスパス、小田!(翼は中山のマーク、翼は中山のマーク、翼は中山のマーク! つまり! この試合のゲームメイクは俺だァ!)」

実況「ボールを持ったのはもう一人の司令塔、井沢くん! 翼くんを守備に割いた今、彼が南葛の攻撃を組み立てます!」

井沢「試合が終わるころには……『もう一人の』なんて余計な肩書、降ろしてやるよ!」

岸田「させるか、井沢ァ! お前のやり口は小学校時代に、敵味方両方の視点でしっかりと――」

すかさず井沢から奪いにチェックに行った岸田。だが、井沢はそれを一顧だにせず、

井沢「……ん? 何か言ったか?」

ターン一つで、呆気なく置き去りにした。

岸田「――なにィ!?(しっかりと、把握したはずなのに!)」

実況「井沢くん、軽やかなステップで岸田くんを突き放したァ! 流石は小学生時代からの全国区プレイヤー!
『風のジャンパー』の異名を持つに相応しい、スピーディな突破です!」

755 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:49:26 ID:???
雪村(TV観戦中)「やるねえ、彼も。去年は長池さんに完全に押さえられていたけど……」

宇津木(TV観戦中)「だが、その経験が試合賢者の第一ぴを踏み出すリアルの苦しみの味。それを理解している雪村さんは格が違った」

達也(TV観戦中)「確かにかなり凄い突破力だけど……『風のジャンパー』?」

女性観客「きゃー♪ 井沢くん、かっこいー♪」「がんばってーっ♪」「いっざわくんっ♪ いっざわくんっ♪」

ボールを持って軽快に突き進む井沢の姿に、観客席からも黄色い声が飛ぶ。
だが、当の本人はそれを雑音と切って捨て、厳しい眼差しで相手ゴールを見据える。

井沢「……静かにしてくれっ、集中が乱れる! 俺は、この(翼がいない)隙に決めなきゃならないんだァ!」

……女の色香には惑わされなくても、それ以上の雑念には支配はされていたが。

実況「井沢くん、エリアギリギリのところでシュートの構え! 今度は南葛が先程のお返しにゴールを狙うっ!」

西尾「井沢のミドルシュート!? なら、多分――」

一条「――分かってます! バナナシュートですね!」

井沢「読まれてる!? ……だがっ!」

相手の備えを承知で、ミドルレンジからのバナナシュートに行く。
翼への対抗心が、井沢にミドルシュートでの得点という拘りを植えつけていたのだ。
並のゴールキーパーならば、それでも問題無くゴールを上げられただろうが、

一条「……甘く見るなァ!」

井沢「なにィ!?」

大友中キーパー・一条は、鋭く反応してこれをパンチングする。

756 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:50:33 ID:???
実況「一条くん、防いだ! 彼もまた新田くんと共に南葛SC二連覇に貢献した守護神、やはりそこいらのキーパーとはモノが違う!」

一条「へへへ……この前の誰かさんと比べたら、同じ曲がるシュートでも雲泥の差だぜ!」

西尾「ナイスセーブ、一条!」

園村(TV観戦中)「うわ、今のバナナシュートに良く反応出来たなァ(俺だったら無理……ていうか、同い年なのに差がデカくね?)」

水守(TV観戦中)「彼もこの前の試合から腕を上げたみたいですね(とはいえ、比良山さんもあれから異常にシュート力が……)」

ボールは大友のDF平岡がフォローし、前線へクリアー。
前半数分で、試合は早くもカウンターの応酬の様相を呈していた。

大前(TV観戦中)「南葛の大空、大友の中山と、両チームともに司令塔を封じ合いながら試合が進んでいるな。
普通だったら、お互いに抱えている第二のキーマンとも言うべき井沢や浦辺たちの出来で、展開が変わるところ何だけど――」

菱野(TV観戦中)「――南葛には、ちょっと普通とは言いかねる方がお一人いますしね」

そう言った矢先だった。

中尾「よし、俺がフォローしたぞ! 新田、先に上がって今度こそ――」

新田「な、中尾さん! そっちに行ったぞーっ!」

中尾「――えっ?」

ボールを持った中尾が前を向いた瞬間、

757 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:51:48 ID:???
森崎「いつまでもチンタラとやっているんじゃねェ!」

中尾「うわああっ!?」

ゴール前を飛び出した森崎が、タックルでボールを奪う。

実況「なんと! 森崎くん、早くも自らが動いた! ゴールを離れてタックルでボールを奪います!
そして十八番のオーバーラップ開始ィ!」

翼「なにィ!? も、森崎め、いきなり過ぎるだろっ!」

森崎(ふっ、中山ほどの相手ならば翼は密着してマークに専念せざるを得ない。つまり、俺が活躍する好機だ!
向こうの一条も悪いキーパーじゃないが、この俺ほどの硬さじゃねえ。ウチの攻撃力をそう何度も跳ね返せはしない!
つまり――オーバーラップから俺が点を取ってもよし、アシストしてチームメイトに恩を売るもよしだァ!)

中山(想定よりも早く動いてきたな、森崎……だが、好都合だ!)

やす子(TV観戦中)「噂をすればなんとやらね、菱野ちゃん」

達也(TV観戦中)「話にゃ聞いてたけど、やっぱ信じられねえ……序盤も序盤から、どうしてこんな博打を打つ気になるんだ!?」

渡会(TV観戦中)「目立ちたいから、じゃね?」

テレビを通して見ている鳴紋の面々も驚いたが、実際に試合会場にいるものたちは更に驚いた。
観客席では南葛応援団の面々が、泡を喰って叫び始める。

南葛応援団「も、森崎!? 早いよ! 早過ぎるよ!」「まだそんなに焦って出る時間帯じゃないだろー!?」

758 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:52:56 ID:???
高杉「ま、また危険なスタンドプレイしやがって、この野郎ーっ!」

滝「翼が中山と押さえ合っている今がチャンス、とか思ってるのかなー」

岩見「だとしても、もう少し俺たちにやらせてくれてからでも良かっただろうに」

石崎「きったねーぞ、森崎ィ!」

井沢「な、なんだっていい! もう一度俺に持ってこい、森崎!(翼が動けないのがチャンスなのは、俺も同じだ!)」

岸田(お、南葛の連中も予想より早いオーバーラップに驚いてるな?)

西尾(ということは――)

浦辺(ここで森崎から奪えればデカい。……イケるか?)

中山(無論だ。そろそろ試合から消えているのにも飽きていた頃さ)

味方にも動揺を強いる森崎のオーバーラップ。それに場内が混乱する中で、大友カルテットは冷静にアイコンタクトを交わす。
次の瞬間、

中山「……隙ありっ!」

翼「えっ!?」

動揺を突いて、中山が翼を引き離して森崎へと向かう。

実況「おっと、ここで動くのは中山くん! これまで翼くんに着かれて沈黙していた彼が、マークを振り切って森崎くんへと向かうぞ!」

759 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:53:58 ID:???
森崎「へぇ? お前自らが来てくれるかよ? ……面白ェ!」

かつては最も頼りとしたチームメイトだった男とのマッチアップ。
そのシチュエーションに、森崎の中で常の功名心とは別の何かに火が着いた。
この時ばかりは、打算に満ち溢れていた彼の内心も、原始的な闘争本能に支配される。……それが中山の付け目だった。

中山(俺との対決に燃えてくれるか、森崎? 嬉しいことだ。だが――)

一方の中山はそれに流されず、猛然と森崎に向かうふりをして密かに速度を調整。忍びよる仲間たちと呼吸を合わせる。

中山「――真っ向勝負は、またの機会だ! 今は確実にお前から奪う!」

森崎「っ!? なにィ!」

正面から中山がタックルを仕掛けてくる。同時に、側面から浦辺と岸田が迫り、西尾がバックパスを遮断する位置へ。

浦辺「お前と翼対策の大友カルテット四人がかりだ!」

岸田「ちょいとリスキーだが、ここでお前から奪って先制するぜ!」

西尾(スナイパーへ合図は……まだ早いか)

実況「い、いつの間に!? 大友中、四人がかりで森崎くんを囲む! CBの西尾くんまで上げての包囲網だ!
大友中、一か八かの賭けに来たか!?」

森崎「(中山に挑まれたら応じるだろうって、最初から読んでいたのか!?)ちっ、あこぎな真似をしやがって!」

浦辺「へっ、王者を気取るんだったら、あこぎな手の一つや二つ、跳ね返してみやがれっ!」

中山「そういうわけだ、悪いが頂くぞォ!」

760 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:55:05 ID:???
雪村(TV観戦中)「出た! 大友中の連携ディフェンス!」

比良山(TV観戦中)「一度は大前が破ったが、森崎に通じるか……?」

大前(TV観戦中)「中山も、あの練習試合以来ブランクを埋めようと必死だったはずだ。もしかしたら――」

固唾を飲んでこの攻防を見る者たちの前で、森崎は奮闘していた。
四人がかりで包囲された狭いスペースの中、あらん限りのフェイントを尽くして打開を試みる。

森崎(まずはタイミングをずらして、包囲に隙を作る!)

浦辺「し、シザースフェイント!?」

岸田「しまっ、ぎゃ、逆か!?」

森崎(次に、後ろでちょこまかする野郎を料理して、本命を相手取れる余地を作って――)

西尾「な、なんで後ろ向きに突っ込んでくるー!?(やばっ、バックチャージにならないようにしないと!)」

森崎「でもって、最後ォ! お前を抜いて終わりだ、中山ァーっ!」

中山「……させんっ!」

神がかったフェイントの応酬で大友カルテットのほとんどを攻略する森崎だったが、最後に立ちはだかった相手はそうもいかなかった。
横をすり抜けんとする森崎の足元を、中山の左足が微かに捉える。

761 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:56:06 ID:???
――バチィ!

森崎「ぬお……っ!?」

中山「ぐゥ……っ!?」

そしてボールはこぼされた。

実況「な、なんという攻防! 森崎くん、あわや四人抜きというところでボールをこぼされた!
GK離れした凄まじいドリブルテクニックです! しかし、この勝負は大友中の勝ちだ!
彼らは森崎くんを止めさえすれば、それでいい! 南葛ゴールはがら空きという無防備状態を晒しているぞォ!」

墨田(TV観戦中)「と、止めたァ!? あの、森崎の常識離れしたドリブルを!?」

若尾(TV観戦中)「お、大友中の大チャンスだぜ!?」

南葛応援団「ぎゃーっ!?」「や、やっちまいやがったァ!?」「だから! オーバーラップするなら状況読めよーっ!?」

大友応援団「チャンス! 千載一遇のチャンスだ!」「誰でもいいから、拾ってシュートしろォ!」「先取点、貰ったーっ!」

悲喜交々の声が上がる会場。喧騒に包まれた中、運命のボールを拾ったのは、

只見「な、ナイスディフェンス!」

大友中の只見だった。

実況「こぼれ球を押さえたのは大友中! 空っぽのゴールにボールを叩きこめば、それで彼らの先取点です! しかァし――!」

762 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:57:06 ID:???
翼「……中山が離れたってことは! 俺が動けるということでもあるんだぞ!」

実況「――今度はこの人が動いた! 翼くんが只見くんに猛然と突っ込む!」

浦辺・森崎「「げぇーっ!?(折角のチャンスがっ!?)(俺のミスをコイツにカバーされたら、良い恥さらしじゃねーか!)」」

只見からボールを奪い返そうと、水を得た魚の様に生き生きと突っ走る翼。
その姿に奮闘を無にされかかっている浦辺と、彼の活躍を望まない森崎が悲鳴を上げる。
しかし、この男はあくまで冷静だった。

中山「……多少雑でも構わん! 放り込めっ!」

只見「わ、分かった!」

中山の喝が飛ぶや否や、翼に着かれる前にボールを蹴り込む。
只見の蹴ったボールは万全とは言い難い体勢だった為か、山なりのハイボール。
前で待つ新田にとっては、不得意な形である。

新田「……このっ! 決まれっ!」

それでも新田は、強引にヘディングで決めに行く。

高杉「舐めるなよチビ助! にわか仕込みの空中戦で、俺に勝てるかっ!」

新田「ぐあ……っ!?(や、やっぱりヘディングじゃ無理か!?)」

実況「高杉くん、頭突きする様な強烈なクリアー! しかし、まだ少し短い! 大友中にまた拾われるぞーっ!?」

中山「……十分だ、新田っ! 貰ったぞっ!」

高杉のクリアーを受けてエリア外ギリギリにこぼれたところを、体勢を立て直した中山がねじこみにいく。

763 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:58:44 ID:???
森崎「ちくしょー! 誰か防ぎやがれェ! 俺ももう少しで戻るっ!」

石崎「うるせー! てめェに言われなくたって――げぺぇ!?」

そして石崎の顔面ブロック。中山渾身のシュートは、儚くも防がれて大きく弾かれる。

実況「南葛、これも防いだ! 好機に攻め込んだ大友中の波状攻撃を、幾重もの盾が立て続けにシャットアウト!
森崎くん以外の守りも堅いぞォ!」

輝林(TV観戦中)「……流石は高杉さん、去年はしてやられたものですが」

国岡(TV観戦中)「ハッ! そういやあの細目には苦戦してたっけなァ? 今年は大丈夫なのかねェ?」

大前(TV観戦中)「……言われるまでも無いさ」

末松(TV観戦中)「石崎も堅いな〜。ブロックだけなら輝林並かも〜。さ〜て、これで大友の攻撃は終わりかな〜」

菱野(TV観戦中)「いえ、まだですわ」

石崎のブロックで弾かれたボールは中盤に転がり岩見がフォロー。

岩見「ウチともあろうチームが、撃たれっぱなしじゃないか。そろそろ反撃――」

浦辺「させるかよ馬鹿がァ!」

岩見「――うわァ!?」

しかし、浦辺の強烈なタックルがすぐさま奪い返す。

実況「大友中、食い下がる! 南葛陣内で奪い返し、またボールを持った!
なんとしても先取点は譲れないとでも言う様な、気迫のプレイです! ギアをフルに上げて、まだまだ攻撃を続ける気だァ!」

764 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:59:54 ID:???
翼「だが、そうはさせないぞ! 石崎くんたちが気迫で守ったんだ! 俺が奪い返す!(それにこのままだと試合から消えてしまう!)」

浦辺「……中山が前に出たとなると、お前が動きまわるよなあ翼。だがよォ!」

只見の時に続いて、素早くプレスを掛ける翼に対し、浦辺は、

浦辺「わざわざ、お前を相手に真っ向勝負なんてしないぜ!」

すぐさまボールを横に流す。

西尾「よしきた!」

実況「翼くん、徹底して相手に避けられています! 彼も中学サッカー界でも最高峰とも呼ばれる名手、それも当然でしょう!
しかし、だからこそここは味方の援護が欲しいところです!」

井沢「ちっ……何してる翼ーっ!? 守備に専念するならするで、前にボールを渡せるよう仕事しろォ!?」

本多(TV観戦中)「(仕事だと!?)本来なら井沢が大空の援護に回って仕事をするべき場面なんだがなァ」

雪村(TV観戦中)「彼も修哲小時代は攻撃的MFだったからね。大空がディフェンシブハーフ起用の今回は、攻めに専念したがっている」

宇津木(TV観戦中)「メインMFを助けようともしない浅はかさは愚かしい。
そももも攻めに回ってミドルシュート失敗している時点で攻撃に専念とかいう言い訳は説得力が決壊している。
その点、ひ必要とあらばA+といったところのタックルやパスカットで守備もできる雪村さんは格が違った」

大前(TV観戦中)「それはそうだが……それよりも『あの』西尾が南葛陣内でボールを持ったぞ」

菱野(TV観戦中)「そして中山、新田両選手がゴール近くですわ! これは、出ますわよ!」

大友カルテットによる連携タックルには、副次的効果がある。
それは、本来大友ゴール前に陣取っているべき西尾が、前線に進出すること。
ただそれだけならば守備が薄くなるデメリットであるが、大友中にはこれをメリットに昇華させる秘策があった。

765 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:01:28 ID:???
西尾「(こんなに早く使うことになるとは、誤算だったぜ!)うおりゃあああああっ!」

気合一声、西尾が大きく足を振り上げる。

実況「大友中西尾くん、早くもシュート体勢! ゴールまでは35メートルといったところか!
センターバックである彼に、この距離から南葛ゴールを奪う手立てがあるというのでしょうか!?」

森崎「へっ! もう俺がゴールマウスに戻っているっていうのに、無謀なロングシュートかァ?」

高杉「(グフフ、森崎まで出番は回さん!)そんなもの、この俺が止めてやるっ!」

石崎「来やがれっ! また跳ね返してやるぜっ!」

中里「(あの目、仔細は分からぬが何かを狙っているでゴザるな)小田! 拙……俺たちも飛ぶぞ! 嫌な予感がするでゴザる!」

小田「分かっ……ゴザる!?」

南葛守備陣の反応は大きく分けて二つ。西尾のロングシュートを見縊ってかかるか、何かあると見て警戒するか。
だが、どちらに転んでも大友中の思う壺だった。
西尾を甘く見て備えが甘くなれば、それはそれでよし。そして西尾に気を取られれば取られるほど、このシュートは防ぎにくくなる。

西尾「(しめたっ!)行けェ!!」

実況「そして、西尾くんがシュートォ!!
しかし、確かに西尾くんはノーマークでしたが、やはり少し距離があり過ぎるのでは……!?」

766 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:02:34 ID:???
森崎「浦辺も新技を覚えていたからお前にも何かあるんだろうが……大したことなく見えるぜ! 軽くキャッチしてやらァ!」

高杉・石崎「「(誰がお前に回すかよ!)俺たちが止めるぞーっ!」」

中里「ふ、普通のシュート!? いや、きっと何かがある!」

小田(本当かなあ……)

中山「(甘く見過ぎたな、森崎! 中里とやらも良い勘だったが、惜しかったな!)ここだ! 新田ァ!」

新田「ええ! 分かってますって!」

合図を出すと同時に、中山が新田と共に宙へ身を躍らせた。

森崎「なにィ!? こ、この態勢は――」

新田「喰らえ、森崎ィ!」

西尾「これが俺たちの編み出した――」

中山「――3Nシュートだァ!!」

そして、西尾のシュートを更にツインシュートを見舞って加速させる。
ボールは元からの勢いに加えツインシュート特有の無数のブレが生じ、高速で分身したまま南葛ゴールへ飛来。

中里「こ、これは!?」

石崎「な、なんだこりゃあ!?」

高杉「何が起こっているんだ!?」

小田「へっ? えっ、えっ?」

767 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:03:49 ID:???
加速したシュートの勢いに、南葛のディフェンダーたちは完璧に置き去りにされた。
彼らの目には、中山と新田がジャンプした瞬間にボールが分身して速度を増したように見えただろう。
一方、森崎には猛烈なブレで捉え難くなったボールの内、本物の当たりを何とか付けることが出来たが、

森崎「(ゆ、油断した! 間に合わねェ!?)……うぉおおおおおおおおおおおおぉぉぉッッ!」

ツインシュート特有のブレ球から本物のボールを見出す為に生じる、大幅なロス。
その反応の遅れをカバーするには彼の全力でのセービング……がんばりセービング改の力が必要だった。
しかし所詮西尾のシュートと直前まで通常のキャッチに備えていた森崎に、必殺のセーブを繰り出す体勢を整える暇は無い。
なんとか本物のボールに飛びつくものの、

森崎「……くっそォ!!」

比良山(TV観戦中)「反応が遅れた!?」

大前(TV観戦中)「これは……決まったな」

寸でのところで手が届かず、ボールがゴールネットに突き刺さるのを見送る羽目となった。

――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィ!!


南葛中 0−1 大友中


768 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:04:58 ID:???
実況「え、あ、え? ……ご、ゴールっ! な、何ということでしょう! まさか県大会の時点で、南葛の鉄壁の牙城が崩れるとは!
大友中が先制! 大友中が先制! 大友中が先制ですっ! 西尾くんのシュートをツインシュートで更に加速!
超高速で南葛守備陣を切り裂き、無数のブレ球が森崎くんの手をすりぬけ、大友中に先制点をもたらしましたァ!!」

南葛応援団「嘘だろォ!?」「も、森崎が失点!? ちゃんとゴール前にいたのに!?」「や、やはり中山は見くびるべきじゃないんだ!」

長野「なにィ!?」

滝「も、森崎が止められなかったァ!?」

来生「ZZZ……あれ? 何の騒ぎだ?」

井沢「お前、寝てたのかよ来生ィ!? ボールが回って来ないからって緩み過ぎだろォ!?」

翼「……油断するからだよ、馬鹿」

昨年は全国大会でさえ、決勝でのアクシデントを除き全く失点しなかったはずの森崎。
それが前半の段階で相手にゴールを許したことに、南葛の選手たちの大半は驚き、翼は胸中の忌々しさを隠さずに冷たく吐き捨てた。
だが、最も驚き忌々しさを感じていたのは、他ならぬ森崎に違いなかった。

森崎「ぬぐぐぐ……こ、この俺の守護神伝説にこんな段階で傷を付けてくれやがって! やってくれるじゃないか、中山ァ!」

中山「ふっ……まずは一本、取らせて貰ったぞ森崎」

769 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:06:35 ID:???
実況「なお、VTRをスロー再生したところ、インパクトの瞬間、新田くんが僅かに遅れて蹴っていました!
この得点は新田くんのゴールと記録されます!」

新田「よっしゃあ! 俺が、この俺がっ! 森崎からゴールを奪ったぞォ!」

アナウンスの内容に、新田が拳を突き上げる。小躍りせんばかりの喜びようだった。

新田(見たか! 俺が元SCの正GKから、中学最強のGKから、ゴールを奪ったんだ!
結局森崎に通用していなかった大前のヤツや、翼さんの陰に隠れている様な南葛中の連中とは違う!
俺が、日本一のストライカーなんだよっ!)

中山(はしゃぎすぎだぞ新田。やれやれ。若さというのも善し悪し――)

新田の有頂天な様子に苦笑を閃かせかけた中山。
だが、次の瞬間には肌を粟立たせて硬直してしまう。

森崎「……ったくよぉ。どう取り返したもんだかなあ、この凡ミスは」

中山(――森、崎? なんというプレッシャーだ! 失点が、逆にこの男に火を着けてしまったか!?)

凄惨な笑みを湛えながら、ゴールに収まっていたボールを拾い上げる森崎の姿に、中山は慄然とした。
その姿から感じる気迫は、先程までの中山との勝負を楽しんでいた時より、余裕の風情でセービングを披露していた時より、
なお選手としての危機感を刺激させられる。

中山(俺としたことが、失念していたな。この森崎相手に、一点を取っただけで何を勝った気になっていたんだ?)

思えば、小学生時代の森崎に失点は付き物だった。特に明和FCとの一度目の対戦などは、惨憺たるものである。
だが、点を取られる度にそれ以上にやりかえし、雪辱を果たし続けてきたからこその南葛SCの日本一だったのではないか。
それを一番近くで見ていながら、不覚にも忘れていたという事実。その過去を思い出した中山は、改めて気を引き締める。

中山「……戻るぞ、新田」

770 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:07:45 ID:???
新田「へ? な、中山さん?」

中山「これからが本番だ。試合はまだ終わってはいないぞ」

緊張感も露わにそう言う中山に新田は、

新田「そうですね! 一点くらいじゃまだまだでした! これから、二点、三点ともっともっと取ってやりますよ!」

高らかにそう豪語するのであった。

森崎「――へぇ? 言ってくれるじゃねェか、ひよっ子が」

新田「な、なにィ!?」

森崎「良かったなァ、先輩に散々お膳立てされて、やっと点取れて。今の内に囀れるだけ囀っとけ。
お前が良い気分でいられる時間は、この試合中にはもう来ねえよ」

不敵に笑いながらそう言う森崎。彼の表情は、一回戦からここまで続けてきた無失点記録を破られた痛手は感じられない。
あるのは、これより先は決して得点を許さないという、巨大な自負。
流石に不遜な新田も、この態度には得体の知れない凄みを感じてしまう。

新田「つ、強がりも大概にしろよ!? 何と言おうとな、アンタは俺にやられたんだ! そんなに偉そうにしていられる余裕、
あるはずがないんだ!」

森崎「はっ! どっちが強がってるんだか! ……おらァ!」

鼻で笑って、ボールを大きく蹴り出す。

森崎「てめェら、見苦しくうろたえてるんじゃねえ! んな不安そうな顔しなくたって、こっから先は一点もやらんっ!
安心してさっさと逆転して来い! 俺が自ら攻め上がって世話焼かんでも、そんくらいは出来るだろうが!」

そしてこの大喝である。

771 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:08:56 ID:???
ボールを渡されたチームメイトも、最初はポカンとしていたが、

滝「そ、そうだな! 森崎に限って、そんなことが続く訳は無いんだし!」

井沢「ちっ! 失点しといて偉そうなのは気に入らないが、俺たちもそろそろ成果を上げないとな」

来生「ハッハァ! 心配ご無用! この俺がハットトリックでも決めて、あっさり逆転してやるぜ!」

翼「……そうだ! 俺たち南葛の全国V3への道は、たかが一失点で途切れやしない! みんな、自信を失うな!
たとえ森崎が何点取られようとも、俺たちがそれ以上に点を取れば問題無いんだ!」

森崎「おい翼この野郎、どさくさに紛れてなに失礼なこと言ってやがる!」

中里「失点の直後にこの気迫……この覇気こそが森崎の将器か」

小田「なんで中里って時々時代がかったセリフ言うの?」

石崎(けっ、失点しといて偉そうに……それはともかく、流石翼だぜ!)

高杉(どうせならオーバーラップ失敗の時の方が良かったんだがな。これじゃあ、森崎だけでなく俺の責任でもあるし……。
ともかく、翼には頑張って逆転して貰わなきゃな)

森崎の怒声と翼の気合に、南葛はたちまち息を吹き返す。
V3を目標に掲げる中学王者たちは、全国大会を前に早くも眠りから覚めようとしていた。

772 :キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 20:10:28 ID:GUEVh98U
やす子(TV観戦中)「……大友中は伏せていた切り札を上手く使って先制に成功したわね」

菱野(TV観戦中)「とはいえ、南葛が油断しているという要素も大でしたが。
あの3Nシュート……でしたか。私達が対戦した時は未知の相手への警戒から万全の状態で迎え撃てました。
が、南葛の方はなまじ西尾選手がシュート力が無いと知っていたため、まんまと罠に嵌ってしまった様ですわ」

雪村(TV観戦中)「このゴールはそこに付け込んだところが大きいって訳だね。試合はここからが本番かな。
ねえ、大前くんはどう思う? ここからどういう展開になるかなあ。まあ、順当に言って南葛が逆転するだろうけど」

大前(TV観戦中)「……ん? 俺? そうだなあ――」


先に3票入った選択肢で進みます。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

A.「中山や浦辺だって並の選手じゃないし、新田も潜在能力は高い。結構食い下がるんじゃないか?」
B.「南葛は森崎や大空以外の選手も強いからな……逆転には飽き足らず、二、三点は差を付けて勝つと思うぞ」
C.「……決まっている。ここから始まるのは、南葛の一方的な虐殺試合だ」
D.「案外このまま大友中が勝っちゃたりして……っていうのは駄目?」
E.その他(自由選択です。大前に取らせたい行動を併記してください)


一旦、ここまでです
夕食等あるので、続きは深夜になりそうですね
それでは、また数時間後に再びお付き合いくださいませ

773 :森崎名無しさん:2012/06/07(木) 20:11:47 ID:vOMleBTk
C 熱い展開乙デース

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