キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【バグサッカー】きれぼしサッカー【やりまーす】
1 :
きれぼし
◆fM2NOXdVR.
:2012/11/19(月) 23:28:30 ID:???
この作品はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
ワールドユース大会にて全日本ユースが初優勝してから1週間後の物語、です。
123 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/02/28(木) 19:27:22 ID:???
――――きれぼしJAPANミーティングルーム――――
森崎が散々な結果を晒していたころ、きれぼしJAPANもミーティングを終えようとしていた。
尾崎000000000「ミーティングの内容をもう一度まとめておく。フォーメーションは5-3-2、
DFはメンバーもポジションもスウェーデン戦時と同一だ」
門門「分かりました(大事な試合だ……絶対に勝つぞ)」
フハハジーチャ「うっす(弟の出番はあるかなー)」
伯疲レイ「理解した(我々に逆らう愚か者共、報いを受けよ)」
ココススモンメン「は、はい(き、緊張してきた…)」
ホホッモモ「オーケー(楽しみもないし、ぱっぱと自分の仕事をしますか)」
尾崎000000000「MFは私と、この日のために温存していた新人2人を投入する。頑張ってほしい」
???「言われるまでもありませんよ。森崎達と再び互角に戦える日を待っていたんですから」
???「この日を待ってたんだ…今日こそツバサを目にもの見せてやる!」
対照的な2人。一方は日本の選手に対して懐かしささえ感じていたが、もう一方はただ翼への敵愾心にのみ溢れていた。
124 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/02/28(木) 19:29:45 ID:???
尾崎000000000「FWは王家ノノンとよしとの2人だ」
王家ノノン「…王家!(我が同朋よ!仇敵への鉄槌をご覧あれ!)」
よしと「(普通にOKって言えばいいのに)はい」
尾崎000000000「キーパーはとこん。これでフォーメーションについては以上だ。
続いて『恐怖と衝撃』作戦に関する確認だが、真のキャプテンの登場はキャプテンから私へ秘密の合図が送られた後で、
私と交代させるようにする。真のキャプテン登場後はその効果をさらに際立たせる事、
さらに防御力を高めるためにキーパーも交代させる。とこんの後のキーパーは任せたぞ」
???「はい!」
とこん「(俺はこの隠し玉の前座って事かよ)はい」
きれぼしJAPANの秘密兵器とされたこのキーパーは、快活で優しい声そしてどこか聞き覚えのある声で、尾崎000000000に返事をした。
暗にキーパーの実力が劣ると言われたとこんは渋い顔をしていた。
尾崎000000000「ミーティングは以上だ。最後に、代理ではあるがキャプテンとして一言言いたいことがある」
決起宣言を行うと聞いた選手連は、表情を改める。
尾崎000000000「我々は勝つ。勝てる可能性が高いなどといった話ではない。
太陽が東から昇るように、勝つ。我々にはそれだけの力がある。
新生日本代表の座を勝ちえ、世界に冠たる存在たる事をこれより証明する!」
きれぼしJAPANメンバー「おう!」
こうして、きれぼしJAPANは全日本とは対照的に、意気揚々とフィールドへと向かっていった。
125 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/02/28(木) 19:39:19 ID:???
今日はここまで。森崎板の方々は御存じでしょうが、本日の文章の一部に
2さんの文章を勝手に使ってしまった事を記しておきます。いつになったら
2さん程の文章が書けるようになるやら……
ヒテッマン氏の動画は殆どが消去されましたが、別人が代理で保管していた
バグ動画は残存しております。どうか森崎板の方々も以下の動画を御視聴なさって、
ヒテッマン氏のカオスワールドをお楽しみください。
クロノトリガー カオスでニューゲーム
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2281918?group_id=32044535
FF6 チートによるカオスプレイ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1766134
126 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/01(金) 12:13:02 ID:???
ここでグラウンド外へ視点を移す。
霞ヶ丘陸上競技場で試合が始まる2時間前、東京都中央区聖路加国際病院326号室。
病室に設置されたテレビの映像から全日本ユース選手の説明が流されている。
対戦相手チームは得体が知れないとはいえ全日本ユースとの試合、
部屋が賑わってもおかしくない場面の中、この病室内では悲壮感を帯びた緊張が覆っていた。
片桐「後何時間かで、試合が始まるな」
謎の狙撃手による負傷はさほど深くなく、肩に埋まった銃弾を摘出した後は、
病室のベッドで寝たきりを強いられている事を除けばおおよそ支障のない様子であった。
127 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/01(金) 12:16:21 ID:???
陽子「………うん」
平静な兄とは対照的に、かき消えてしまいそうな声で返事をする陽子。
普段の活発な様子はどこにもなく、体が小刻みに揺れ顔は蒼白くなってしまっている。
片桐「本当に、試合を見に行かなくていいのか。チケットも特別に用意してある、今ならまだ間に合うはずだが」
陽子「いい、今日は兄さんのお見舞いに来たんだし、観戦はテレビでもできるから……」
そう言い終えた後、兄の顔がテレビの方を向いた間に、顔を伏せて視界を対象からそらした。
陽子「(私のせいで兄さんが命を狙われて、森崎くん達が危機に瀕してしまった。
そして日本のサッカーがメチャクチャにされてしまう……全部私のせいよ、私のせい、私のせい………)」
片桐「………そういえば、もうすぐ別の見舞いが来るな。確か……」
先着で★病室の訪問者→
ダイヤ7
★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。
JOKER:ダイヤ+ハート
ダイヤ:陽子の親友であり親戚の、片桐彩子だ
ハート:日本サッカー協会所属、賀茂茂だ
スペード: 片桐の勘違い、今日は面会日じゃなかった
クラブ:片桐コンツェルンの会長専任第2秘書だ(※)
(※)数値によって内容が変化し、Kに近いほど好々爺、Aに近づくほど筋骨隆々の大男となる
128 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/01(金) 12:25:20 ID:???
失礼しました。正しくは★病室の訪問者→! card★です。
空欄を埋めて投稿してください。
それにしても、普段元気な美人が沈み込んでいる姿って、
結構キュンってきませんか?
129 :
森崎名無しさん
:2013/03/01(金) 12:47:25 ID:???
★病室の訪問者→
スペードA
★
130 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/01(金) 19:53:58 ID:???
129さんへ、当初の指定では「Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください」と
記述しておりました。そのためお手数ではありますが、もう一度書き込んでください。
131 :
森崎名無しさん
:2013/03/01(金) 19:55:19 ID:5fa3RkKM
★病室の訪問者→
ハート4
★
132 :
森崎名無しさん
:2013/03/02(土) 17:43:07 ID:???
引退する少し前に氏の動画を知ってあまり見れてないけど
今はリスペクト動画を見まくってますわ
133 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/02(土) 18:32:28 ID:???
>>132
私は最初「リスペクトかあ、ヒテッマンの後追いじゃあ大したことないな」
と思っていたんですけど、そんなことはなかったですね。
『第4次スパロボMとか・・・』や『ライブアライブ 雄毛編』は
笑いをこらえるのが大変でした。感情豊かなAIとか近未来編ホモバージョンとか…
134 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/02(土) 18:34:36 ID:???
★病室の訪問者→ ハート4 ★ 日本サッカー協会所属、賀茂茂だ
----------------------------------------------------------------------------
片桐「……賀茂さん。時間まであと10分弱、か」
ベッド横の机から手帳を取り出して予定を確認した後、手帳をしまい目も閉じた。
サッカーも試合も妹も、自分ではどうにも出来そうにない。軽いなげやりとふて腐れを吐きだすように溜息を吹いた。
賀茂「おーい片桐ィ、大丈夫か?まだくたばってねえだろうな!?」
やや経って開けっぴろげな胴間声を高々と放ちながら、賀茂が入ってきた。会釈もなしにづかづかと病室に入り、片桐に語りかける。
片桐「大丈夫ですよ。うまい具合に弾丸が貫通してくれましたからね」
賀茂「そうか、そりゃあ良かった。もっと早く見舞いに行きたかったんだが、
色々とゴタゴタしてたから遅れちまった…あ、これは見舞い品だ」
手に提げた袋から菓子箱2箱を取り出し、中を開ける。
135 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/02(土) 18:53:18 ID:???
片桐「月餅とシュークリームか、甘いものばかりですね」
賀茂「お前の好みを聞く機会が無かったからな。
見当もつかなかったから、取りあえず俺の好きなものを買ったんだ。
あ、もしかしてお前甘いもの苦手か?」
片桐「いや、そういう訳ではないですが、こういう時ですから食べる気がしません」
賀茂「こういう時に食べてこそ味が浸みわたるんだろうが。
苦み走るのは顔だけにしておけ、脳にまでいったらどうにもこうにもならなくなるぞ。そうだよな、お嬢様?」
陽子「……………」
聞いているのかいないのか、表情は憂色深く、反応さえ帰ってこない。
賀茂「やっぱりなあ。今まで散々親父から嫌がらせ受けて、そんでここまでやられたらこうなるのも無理ねえか。だがよ……」
先着で★賀茂式女性フォロー→! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。
ダイヤ・ハート:(ええいしゃらくせえ、このまま連れて行く!)陽子を抱きかかえ会場へ向かう[さらに分岐]
スペード・クラブ:「(こりゃあ重症だ、少しほぐしておかんと…)」陽子との対話を試みる[さらに分岐]
JOKER:「ょょょょょょう、どうしたの陽子?」病室入口にブーメランヘアーの女の子現れる
136 :
森崎名無しさん
:2013/03/02(土) 18:54:34 ID:rn7UjKGY
★賀茂式女性フォロー→
スペードJ
★
137 :
森崎名無しさん
:2013/03/02(土) 18:54:40 ID:n0OG3oqA
★賀茂式女性フォロー→
クラブA
★
138 :
森崎名無しさん
:2013/03/03(日) 12:14:09 ID:???
オススメを紹介
無人島物語バグテスト
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20186542
139 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/04(月) 12:06:39 ID:???
>>138
GOOD!続きができたとしても、義人機長の出番がないのが残念でならないです。
さて、今日も話の続きを投稿いたします。
----------------------------------------------------------------------------
★賀茂式女性フォロー→ スペードJ ★ 陽子との対話を試みる[さらに分岐]
----------------------------------------------------------------------------
先着で★フォローの結果→! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。
JOKER:ブーメランヘアーの女の(ry
ダイヤ:元気と闘志と意志を取り戻し、意気揚々と2人はスタジアムに出かける
ハート:スタジアムへの観戦には応じるものの、未だ心神喪失気味
スペード:「………」無言のまま答えようとしない。数値が偶数なら賀茂が強引な搬出を試みる
クラブ:「もう、何もかもおしまいよっ!」自責感に耐え切れなくなり、陽子が号泣してしまう
クラブA:「みんなごめんなさい、せめて責任は取りますから……」ふらふらと陽子は窓へ向かい…
140 :
森崎名無しさん
:2013/03/04(月) 12:10:19 ID:ibDQp1UU
★フォローの結果→
クラブ5
★
141 :
森崎名無しさん
:2013/03/04(月) 12:15:43 ID:???
このスレでは森崎とはどうなってるのかな?
既出だったらごめん
142 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/04(月) 12:30:55 ID:???
>>141
本編から1週間後、という時間だけが進んだ状態なので、森崎との
関係も本編に準拠しています。
さらにワールドユースに優勝したことにより、間接的ながらも陽子への
アピールができ時間や精神にも余裕ができたことで、本編よりさらに前進しています。
もうあと一押しでゴールインできるでしょう。
全日本ユースがきれぼしJAPANに勝利することができたなら、
陽子さんとのハッピーエンドが見られる……かもしれませんよ。
143 :
141
:2013/03/04(月) 14:57:24 ID:???
ありがとうございました
144 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/10(日) 17:18:29 ID:???
ただいま描写に四苦八苦しており、更新が遅れております。
今後しばらくの間はあまり投稿できなくなるかもしれません。
なにとぞご寛恕を願います。
★フォローの結果→ クラブ5 ★ 「もう、何もかもおしまいよっ!」自責感に耐え切れなくなり、陽子が号泣してしまう
----------------------------------------------------------------------------
陽子の心を解きほぐすべく、賀茂は対話を試みた。ある時は非道な父親をなじり、
その次はこれまでのひたむきな陽子の取り組みを称揚し、自らの不甲斐なさに気付くよう強い言葉を吐きつけ、
事態の楽観を勧め、協会の自立性を強調して脅迫の無意味さを主張した。
だが無駄であった。既に陽子の頭は父の強硬な執念と自らの無力ぶり、
その結果による日本サッカーの破滅の幻影に囚われ、まともな思考ができなくなっていた。
自らの「罪」に潰れていくうちに、これまでの陽子の過去が去来する。
145 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/10(日) 17:22:05 ID:???
――――――
―――――――――
―――――――――――――
ガンガンガンガンガンガンガン!
陽子は探していた人間に一刻も早くドアを開けてほしい一心で、硬いドアを乱打していた。
無論ドア横にはインターフォンが設置され、きちんと部屋に鳴り響いていたが、
いつ自分をドアから引き剥がして連れて行かれるか、おそろしかった。
ガチャッ
ドアが開き、兄宗正が顔を出したと同時に、陽子は兄へと飛びすがった。
突然腰へと抱きつかれてよろけながらも、腰を下ろして妹と向かい合う。
片桐「うわっ!一体だれ…陽子?!」
陽子「兄さん!」
片桐はサングラス裏の目を大きく見開きながら、震えている妹を見下ろしていた。
片桐は今、海外のサッカー事情を学び吸収するために単身ヨーロッパに滞在している。
日本に居るはずの妹がそう簡単にこれる場所ではない。
146 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/10(日) 17:24:20 ID:???
片桐「どうしてお前がこんな」
陽子「閉めて!お願いドアを閉めて!」
問いかけに対しもはや半狂乱と言っていい程の返事を受け、いよいよ尋常な理由ではないと知らされざるを得なくなる。
やむなく片桐は妹を左腕で抱えながら、開けっ放しとなっていたドアを閉め施錠した。
ドアが閉められた後、陽子は抱きかかえられてベッドまで運ばれる。
シーツの柔らかい感触が皮膚へ伝わってきた時、陽子の感情が再び噴き上がった。
陽子「兄さん、ああっ、よかった、もう、もう、わたし………」
兄の胸に顔を埋め、泣き始める陽子。泣けば泣くほど恐怖が蘇るようで、
次第に赤子のように激しく号泣する。片桐はそんな妹の頭をなでながら、昂ぶりが収まるのをじっと待つ。
嗚咽が静まり、体の震えが収まってから、泣き濡れた顔をハンカチでぬぐい、尋ねた。
片桐「どうしたんだ陽子、お前は日本にいたんじゃなかったのか。何があったんだ」
陽子「逃げてきたの、私が跡取りにされそうになったから」
147 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/10(日) 17:26:39 ID:???
陽子「私が2年前に大学の修士号を得たのは知ってるでしょう。
あの後片桐グループの後継者になるための教育を今までずっとされてきたんだけど、
その『学習』の間は軟禁されているも同然で、ほとんど何もできなかった」
片桐「そうか……」
陽子「そして1か月前に母さんから、近々後継者と選定するらしいって言われたの。
今までの様子から父さんは私を選ぶつもりだって確信していたから、
必死で逃げだしてここまで来たの……でも、でも!」
話を続けていくうちにまたも恐怖に襲われ、震えが再び始まる。
陽子「飛行機を降りて兄さんのいるホテルに向かう途中で、知らない人達が現れて私を連れ戻そうとしたの。
必死に逃げ回って何とか来れたけど、持ち物は全て置き捨ててきちゃったし、
街の人がみんな私をつけているみたいで、怖くて、怖くて……」
片桐「……自分が生きたいように生きていきたいのか」
語りかけるような呟いたような、ポツリと漏らす片桐に、陽子は小さく頷いた。
―――――――――――――
―――――――――
――――――
148 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 16:14:45 ID:???
――――――
―――――――――
―――――――――――――
陽子が片桐家から脱出して数年後。
陽子は賀茂と共にサンパウロのとある料理店から立ち去ろうとしていた。
店では主に彼女が担当している業務と、
将来の日本サッカーの柱石となるであろう森崎と翼に対する分析の報告を、夕食をとりながら行っていた。
外はとうに暮れている。一日の仕事を全て終え空腹も程よく満たされた事もあって、陽子の瞼に眠気が漂う。
鈍くなった相手の様子から察した賀茂は、ポケットから車のキーを陽子へと放り投げた
。急にキーが投げられて一瞬陽子は動揺したが、何とか落とさずにキーを受け取れた。
賀茂「先に車で休んどけ、勘定はこっちで済ませておく。半額は後でいただくけどな」
陽子「え?いい年した大人が未成年の女の子と割り勘にするんですか」
賀茂「お嬢様が素寒貧にたかるんじゃねえ、四の五の言わずとっとと行け」
陽子「はーい」
賀茂とのやり取りでやや眠気を覚まし、陽子は車へ向かう。
解錠してドアを開け、助手席に座ると再び睡魔が襲いはじめ、うとうととまどろみ始めた。
勘定を済ませようとカウンターへ向かっていた途中、店員から賀茂は呼び止められる。
店員「コム・リセンカ(すみません)、あなたがミスター・ガモーでしょうか」
賀茂「ああ、そうだ」
店員「ミスター・カタギリより、お客様へのお電話を頂いております」
賀茂「片桐から?なんであいつがここにいるって分かったんだ」
ブラジルから遠く離れているはずのグラサン御曹司が何の因果か、面倒な手段で連絡を取ってきた。
せいぜいどやしてやれと受話器を取ったところで、聞き覚えのない男の声が聞こえてきた。
宗義「君が賀茂港君かね?私は片桐総合グループの総帥、片桐宗義だ」
149 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 16:18:37 ID:???
賀茂「んう?」
思いもせぬ相手の声に間抜けな反応をしてしまう。片桐の父が隠れも無き日本経済界の雄であり、
雲の上の人間である事は既に聞いていた事ではあるが、そんな人物から不意に声がかかって、
動揺を隠す事はできなかった。相手はその反応を受け、小馬鹿にしたような様子を交えた。
宗義「そして陽子の父親でもある。父親として言うならば、
君達は娘のお守りをしっかりとこなしてもらって、大変に感謝している」
賀茂「お守り?その哺乳瓶にはビールが入っているけどな」
宗義「はっはっ、いやこれは失礼した」
純粋にユーモアで返されたと思ったか、笑って返答をさらに返す。
宗義「お守りと言ったは失礼した。私達の元へいた頃の娘の陰鬱を取り払い、
明朗を取り戻させた君達の働きを、大変感謝する」
賀茂「あーそうかい、先に言っておくが、
そのあんたの娘さんは金輪際家に戻るつもりはないそうだぜ。他ならぬあんたのせいでな」
150 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 16:19:57 ID:???
宗義「その事については私も深く反省している。急いて事を仕損じかけた。
だが今度はそうした事も考慮して教育に当たっていく積りだ。娘は返してもらう」
賀茂「どう手心を加えようがあいつの心は変わらんよ。
それに既にサッカー協会の一員として期待されている人間の1人なんだ、
これは俺だけじゃない、もっと上の人間にかけあっても同じだぜ」
精一杯気づかれぬように凄んでみせる賀茂。
そんな空威張りを宗義は軽く鼻で笑ってから、冷ややかに話を続けた。
宗義「君達には失望したよ。やはりこんなところで油を売らせるより、
一流の人間が揃った環境の中でいさせるのが一番良かったんだ。君達はもう娘に何もしなくていい。
ドナルド・トランプ流に言うと、こういう事だ。残念だが、クビだ」
口元に笑みを浮かべ、宣言した。音吐の冷えに胸騒ぎを覚えた賀茂が自らの車に目を向けると、
陽子以外の赤の他人がドアを開けて乗り込んでいた。瞬間、賀茂は受話器を放り投げ車へ向け駆け出した。
バックライトは光っている。賀茂が着く前に走り出すだろう。
151 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 16:21:42 ID:???
陽子「…う…ううん………」
陽子の瞼は震え、ゆっくりと開きだす。
キーをもらって車を開け椅子に座った後はうとうととまどろんでいた。
何かの拍子で目が覚めて、横に振り向く。
陽子「!」
運転席を見て驚愕した。ハンドルを握っているのが賀茂ではない。
長身痩躯、黒スーツに黒サングラスと似ても似つかぬ日本人の男だった。
陽子「あ、あなたは!?」
黒服「お気づきになられましたか、陽子お嬢様」
陽子「!!」
この男は追手だ、このままでは父の元へ連れて行かれる。
そう悟った陽子は逃げようとしたが、手足が縛られていて動けない。
うたた寝をしている間に紐で固定され、ドアに手を掛ける事もままならない。
黒服「お静かに願います。ここはまだ路地裏です、外へ出れば大変危険です」
陽子「あなた達の方がずっと危険よ!賀茂さんはどうしたの!?」
黒服「運転手は私に交代いたしました。これより私が責任を持って目的地まで移動いたし…」
陽子「嫌よ!早く車を止めなさい!」
黒服「お断りいたします。いかなる手段を用いてもお嬢様を日本へ連れ戻せとの、
会長直々の御指令がありますので」
152 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 16:22:46 ID:???
このままでは日本に戻される。なんとかして車を止めないと。
陽子は倒れこむように男へと飛びかかり、ハンドルを握る男の手に噛みついた。
黒服「っ!」
男は顔をしかめる。陽子の歯は深々と肉に食い込み、唇をつたって血が滴り落ちている。
痛みに耐えかねた男は車を止めて陽子を引き剥がすと、裏拳を水月に撃ちこんだ。
陽子「あぐっ……!」
黒服「お静かに願います」
もうだめだなにもかもおしまいだ。絶望に覆われくず落ちる陽子。
勢い余って座席下に転げ落ち、意識を失ってしまったが、それが陽子にとって幸いとなった。
ガシャアアアアアアアアン!
陽子側の窓ガラスが蹴破られ、飛び込んできた男に黒服の男は外へ押し出された。
何が起こったか分からず呆然としている黒服に、
陽子のよく知っている男はドアを閉める間際に黒服へ吐き掛けた。
賀茂「クビだ」
153 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 16:24:19 ID:???
路地裏を抜け、人通りの多い大通りを走らせているところで、
自動車電話が鳴り響いた。ちょうど信号待ちの時であったため、賀茂が受話器を取る。
宗義「時間だ、ちゃんと陽子は連れてきたか?」
賀茂「生憎だが、まだらしいぜ」
宗義「………」
思いもよらぬ相手に、相手は押し黙る。
賀茂「もういいかげん、嫌がってる娘を無理矢理連れさらおうとするのはやめるべきだと思うけどな」
宗義「……とりあえず君の頑張りぶりを評価するとしよう。
だが、後継者の件については変えるつもりはない。いずれは娘も理解する」
賀茂「もう諦めろ、どうにもならない事でいつまでも拘っていたら、残り少ない老い先がますます短くなるぜ」
宗義「娘は一時の気の迷いになっているだけだ、
落ち着いて思慮分別を養えば必ず我々の意義を重んじるようになる。必ず娘は取り戻す」
ガチャッ。
賀茂「あっ、おい!……切れやがった、言いたいことだけ言いやがって、ガラスの弁償ぐらいしやがれ」
ぶつぶつとはるか遠くの宗義に向かって悪態を吐く賀茂を、
そしてその下の受話器を、助手席からぼんやりと瞳が見つめていた。
154 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 16:25:35 ID:???
今日はここまで、このところ忙しくなってなかなか更新できませんが、
週1でも定期的に更新していきたいです。
155 :
森崎名無しさん
:2013/03/17(日) 16:38:44 ID:???
まさかの賀茂主役!?w
156 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/17(日) 18:28:11 ID:???
いやいやw
まあ、迷監督や汚物扱いじゃない賀茂さんがいてもいいじゃないwってことですね。
陽子さんの回想はもう少し続きます。更新はもう少しかかりますが、
彼女の感情の推移をお楽しみください。
157 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/03/21(木) 20:29:49 ID:???
申し訳ありませんが、少々トラブルがありましてしばらく更新できそうにありません。
これから1か月かかるか、1週間もかからないかは分かりませんが、少なくとも
今週の土日には更新できそうにありません。誠に勝手ではありますが、
今しばらくお待ちしていただければ幸いです。
158 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 14:47:37 ID:???
ようやく更新できるようになりましたので、これより投稿いたします。
私的なトラブルに続き転職することとなった為、予定より遅れてしまいました。
今後は仕事の為に今以上に更新頻度が遅くなるかもしれませんが、
なにとぞ今後も拙稿を読んで楽しんでもらえればうれしいです。
最後に、今回の投稿は一部本編の文章をそのまま、あるいは一部変更して
用いている箇所があります事について、なにとぞご容赦を願います。
159 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 14:49:47 ID:???
――――――
―――――――――
―――――――――――――
さらに時は流れる。
インドネシア、ジャカルタのとある国際ホテル屋上。
ホテルは高く、ジャカルタ800万の喧騒も屋上では虫のさえずり程にしか響かない。
空は雲に包まれるも風涼しく、こうした天地の加護を受けてか、男女2人が誰に邪魔されることなく語り合えていた。
男の方は緊張しながらも躊躇うことなく自らの心境を明かしている。
女も同様に心の奥底を開こうとしているが、男に比べて憂いの色が強くにじんでいた。
160 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 14:52:55 ID:???
陽子「だからこうやって兄さんの所に転がり込んだの。
生まれつき約束された物を夫付で受け取らされるんじゃなくて一般人のフリをしながら自分の力でゼロからスタートする…
それは充実していてワクワクする生活なんだけど、いずれはきっと終わるわ…」
陽子「(きっと終わってしまう……どんなに私があがいても、どうしようもない……)」
陽子の脳裏には、かつての拉致未遂以降の記憶が去来していた。
あの事件が失敗に終わった後で、不審者は影さえ見えなくなったが、
代わりに陽子の日本サッカー協会での活動が、陰に陽に妨害されるようになった。
陽子の部屋が何者かに荒らされ、彼女に託された文書・資料がボロ屑とされた事は幾度となく繰り返された。
少しでも機密が求められる情報を陽子に任された際は、決まって外部に漏洩され、
その都度協会の信用と活動範囲を揺るがせる結果となった。
これまで快く協力してくれていた外部団体や他国のサッカー協会との連携も、
末端の協力者の一員として陽子が参加した途端、あからさまな態度で断られるようになった事さえあった。
161 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 14:57:37 ID:???
今もなお、兄や賀茂は勿論、日本サッカー協会も陽子の活動を続けさせてはいる。
1人の少女の夢の支援というよりは、外部からの不当な圧力に対する
断固たる拒否の姿勢を示すという面が強かったが、ともかく現在も陽子は何とか活動を行い得ている。
だが度々の干渉が、1人の小娘が原因で引き起こされている事が知れ渡るにつれて、
周囲の視線と空気が寒々しくなっていく事はどうにもならなかった。
陽子「(ダメよダメ、ダメ、私が出来る事なんて何も無かったんだ。このまま引き戻されておわり……)」
森崎「俺は諦めるのが大嫌いだ。諦めるなんて勿体無さ過ぎる」
陽子「(!)っ………」
キッパリとした相手の返事に、陽子は息を飲んでたじろぐ。何の迷いも無い、力のこもった言葉。
動揺を隠そうと目を背け、コップにビールを注ぐも、胸が詰まってしまい泡をただ見つめるだけになった。
ややたって、陽子が口を開く。
陽子「私だって、諦めるなんて嫌よ…」
森崎「だろう?」
陽子「でも、受け入れなきゃいけない現実や運命だってあるの。それに成す術無いまま抗い続けるのは…とっくに疲れたわ」
162 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:01:01 ID:???
陽子「森崎くんだって…いくら諦めないと固く思っていても、一度奪われたゴールを無かった事には出来ないでしょ?
一度負けた試合はもう勝てないでしょ?ワールドユース本大会の抽選だって勝手に決められるだけじゃない。
森崎くんにいくら精神力があっても、どうしようも無い事だってあるじゃない」
陽子の瞳は僅かに潤んでおり、頬もアルコールのせいか朱に染まりだしている。
越えようとしても越えられぬ思念の泥沼へと入り込んで、思考は堂々巡りを繰り返していく。
森崎「取られたゴールを嘆くよりも、それを取り返す方法を考えた方が良いぜ」
相手の返事を受けて、陽子の顔がわずかにゆるむ。だが元気になった訳ではない。
陽子「やっぱりね。森崎くんならそう言うと思った」
沈鬱な気がより表情に重ねられただけであった。
森崎「…じゃあ、なんでそんなに悲しそうなんだよ」
陽子「森崎くんはとってもメンタルが強い選手。上を上を目指す事ばかり考えて、邪魔する者は全部蹴散らす。
ついてこれない者は容赦なく切り捨てる。サッカー選手として一つの理想像だと思うわ」
森崎「なんでそれが悪い事の様に言うんだよ!?」
森崎には分からなかった。陽子の背景は知っていても、彼女に及ぼした影響は分からなかった。
陽子の人となりはこれまでの交流で把握したと思っていたが、彼女の心の奥底に積もる思念には気付いていなかった。
163 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:05:49 ID:???
――――――俺、パルメイラスと契約延長したら指輪を買うんだ…――――――
ドキン。
森崎の返事を聞いて、急に胸が高鳴る。
陽子「(……えっ?)」
思いもよらぬ突然の告白に、一瞬思考が停止する。これまでの陽子の人生の中で初めての感情の直撃を受け、
頭の中は麻痺したような、蕩けたような、陶然とした状態になっていた。
陽子「(え……ゆ、指輪?森崎くん、私のこと、好きなの!?……あっ、いやっ…ど、どうしよう……)」
カッカッと顔が火照りはじめ、こころよいとまどいの中にときめきを感じ始めていた。
断続的であり仕事の一環ではあるが、陽子は3年もの間森崎を観察してきた。
その過程で、何者にも屈しようとせず、どんな絶望的な状況に陥っても諦める事を知らない闘志を感じ取り、
知らず知らずのうちに敬意を抱くようになっていた。
そうした中でのこの発言である。嬉しい、とおもった。
こうまで言われて心が動かない女は、女でないであろう。だが。
――――――ダメだ………――――――
瞬時にして諦念が雲のように陽子を覆う。自らの状況と経緯がふとした拍子で思い出された途端、
よろこびが霧のように掻き消えた。自分は何もできないお荷物、困難に立ち向かえない負け犬、意気地なし………
踵を返しパーティ会場から立ち去る。周りの反応も目に映らず、何も考えぬまま去って行った。
164 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:08:10 ID:???
陽子「だけど…それはサッカー選手として理想でも、男性としては理想とは言えないわ。
そういう生き方が出来るのはごく僅かな一握りの人だけよ。
森崎くんは常にそう言う世界で生きてきたから、そう言う覚悟を決めた人ばかり周りにいたんでしょうけど…
私も含めて、大抵の人はそこまで強くないわ。何時か頑張る事に疲れちゃうのよ」
できない。私はもう頑張る事もできない。
森崎くんは違う。強い意志を抱いて1人でどこまでも行ける。
もう私には手が届かない。後をついていく事さえできない。私は……
森崎「自分だけじゃ頑張れないって言うんだったら、俺が引っ張ってやるよ!」
ドォン!
陽子「う………」
衝撃が胸に撃ち下され、全身が打ち震える。
森崎「確かに誰もかもが俺みたいに強くはなれないだろうよ。当たり前だ。俺はキャプテンなんだからな。
誰にでも出来る事しか出来ない奴が人の上に立てる訳が無い。だから俺が引っ張るんだ。
俺は勇気や野心なら人に分けてやれる程余っている。自分だけじゃ頑張れないんなら、俺を頼れよ!」
165 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:12:00 ID:???
陽子は震えはじめた。体ではない。身体に沈んでいるなにかが、震えている。
震えは段々とひどくなる。それにつれて余裕がなくなり、
とうとう森崎から顔を背けてポツリポツリと呟くだけになってしまった。
陽子「どうして…どうしてそこまで言ってくれるの?そこまで私が好きだって言うの…?」
森崎「ああ。そうじゃなきゃこんな事言わねえよ」
陽子「分からない…今までサッカー一筋だった森崎くんが、私をそこまで好きになる理由なんて、思い当たらないわ」
森崎「俺だって分からねえよ!その通り、俺だって恋愛とかはするとしたらプロとして成功してからだろうと思っていたよ。
引退してもそのままで、生涯独身で過ごす可能性だって高いと思っていた。だけど今の俺は陽子さんが欲しいんだ!」
沈殿していたものが陽子の体内で躍動しだす。次第に熱を帯び始め、熱水が滝のように胸へ注ぎ落ちる。
陽子「…私が、欲しい…」
森崎「そうだよ!俺は他人には嘘だってハッタリだって言うが、自分には嘘はつかねえ!
今言ってる事は後で考えたらメチャクチャ恥ずかしそうだけど、だからと言って言わないのはもっと嫌なんだよ!
陽子さんだけの力じゃ陽子さんの運命を変えられないって言うんだったら、俺の力で変えてやるよ!………」
ここで森崎は言葉が続かなくなった。思うところを言いつくし、感情全てをさらけ出した事で、心理的な余白が生じた。
そこで森崎はここまで一方的に言われ続けた陽子に思いが至り、反応を待つべくじっと陽子を見つめた。すると。
陽子「………プッ。なんだ。ちゃんと口説こうと思えば出来るんじゃない」
森崎「ハア?」
166 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:16:34 ID:???
陽子の反応は…失笑だった。相変わらず顔は背けていたが。
泣きそうになったかと思えば突如笑い出したりする乙女心の気紛れさに
森崎は怒りも忘れて呆気に取られてしまう。
陽子「あ〜あ、昨日は散々森崎くんを意気地無しだって思っていたのに。これじゃ意気地無しは私じゃない」
森崎「だから、昨日は…その。昨日のままにしておきたくなかったから来たって言っただろうが!」
陽子「うん…だから、今日は私に逃げさせて」
森崎「へ?………あ」
ガタン。
森崎の方に振り返りながら席を立った陽子の顔は光っていた。とうとう零れだした涙の筋で。
備えつきのランプの光を反射して輝く泣き笑いの顔が森崎の瞼に焼きつく。
陽子「今夜は…これ以上はダメ。もう何を言うか分からないから」
森崎「あ、ああ」
167 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:18:40 ID:???
陽子「でも…有難う。嬉しかった。明日の試合も勝ってね」
その言葉を最後に、陽子は立ち去る。エレベーターのボタンを押して中に入った。
森崎の姿が見えなくなった途端、堰を切ったように両眼から涙が溢れ出た。
陽子「(いいんだ!私も頑張っていけるんだ、森崎くんと一緒に!)」
ゆっくりと瞼を閉じながら、穏やかに微笑みだす陽子。
他人が見れば、まるで泣く事を楽しんでいるかのようにさえ見える表情である。
実際、ある意味ではそうと言えるかもしれない。
陽子の中でよどんでいた靄が涙が融けてゆき、未来への希望が蘇ってきたからだ。
陽子「(もう負けない、絶対に挫けたりなんかしない!絶対に夢を実現するんだ!そして……)」
チーン。
ドアが開くとともに、顔を拭うことなく自分の部屋へと駆け出す。
涙を流していた瞳は燦々として、強い輝きを放っていた。
―――――――――――――
―――――――――
――――――
168 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:58:24 ID:???
これまでの記憶が頭を飛来するなか、陽子の心がかつてのようによどんでくる。
兄さんは私に夢へ向かうきっかけを与えてくれた。
賀茂さんは私を父から取り戻してくれた。
サッカー協会の人達からも数数え切れない程に教えてもらった。
そして、森崎くんからは再び困難に立ち向かおうとする意志と、もう1つの夢をもらった。
………私はみんなに何ができたんだ?
陽子が少しずつ潰れていく。果ての無い自壊的な慙愧が激しく駆けめぐる。
何もできなかった。いや、何もできないどころか、みんなが目指してきた夢が、今私のせいで微塵にされてしまう。
サッカーが、ようやく定着しようとしている日本のサッカーが、
私のせいで消えてしまう。………私のせいで。
169 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 15:59:57 ID:???
陽子「もう、何もかもおしまいよっ!」
突然、陽子の目がカッと開かれ、叫ぶ。
陽子「私のせいで日本のサッカーが消えちゃうんだ!
わがまま言って逃げ込んでこなければ、私がもっと早く家に戻ってればよかったのよ!」
賀茂「お、おい陽子……」
陽子「私なんか最初からいなければよかった!私のせいで!私のせいで!私のせいでっ!!
うわあああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
あらん限りの大声を発して、床に突っ伏して号泣する。
片桐も賀茂も陽子の悲痛にどうする事もできず、ただうなだれるより他はなかった。
*陽子の感情が以下のようになりました。
陽子→(罪の意識)→片桐・賀茂・日本サッカー協会
*陽子の感情が発覚しました。
陽子→(思慕・罪の意識)→森崎
170 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/07(日) 16:02:17 ID:???
本日の投稿は以上です。
171 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/11(木) 22:39:58 ID:???
きらめき高校地下1階特別研究所。備え付けテレビの映像を流しながら、
紐緒結奈は椅子に腰かけて2日前に発明したばかりの、
リモコンほどの大きさの最新型バグ検知器とバグ生成機の最終点検を終えようとしていた。
部品の確認を行いながら、現在までの1年間の犯人探索の総括をする。
紐緒「(あれから1年たった、私の設計した「バグマシーン」試作機とその理論をまとめた論文を扱える組織は、そう多くない。
めぼしい大学やその付属研究所は全て私自身が潜入し、これはと思う人間の口も割らせてみたけど、結局何も無かった)」
部品の有無を確認し、内蓋に指をのせて指紋を認識させた後で施錠させ、机に置いた。ぼんやりとテレビを眺めながら思考を続ける。
紐緒「(日本国内の有力大学以外の組織で同等の研究・開発能力を有するところは、
せいぜい若林財閥に片桐コンツェルン、ヒューガー関連の研究所、この3つぐらい……
このうち若林とヒューガーの方については大学と同じく全くの収穫なし。残るは片桐のみとなるけれど………)」
と、ここまで考えを進めていたときだった。
ガガガガガガガガガ……
バグ検知器が作動した。放射能を検知したガイガーカウンターのような警告音が鳴り始めた。
急いで検知器の先を見ると、入場行進を行う全日本ユースときれぼしJAPANの姿が見えた。
思いもよらぬところからの機械の反応に、普段は冷厳な紐緒も目を見開く。
172 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/11(木) 22:44:55 ID:???
紐緒「えっ、バグ反応!?なんで……」
もう一度手にしていた検知器を顔に近づけ、配線等を確かめたが、どこにも異常はない。
一旦テレビの電源を落とし、筐体を外して内部を分解したが、バグの発生源らしきものは見つからなかった。
やはりバグ発生源はスタジアムなのだ、そう思いながら解体したテレビを元通りに戻し、最後のネジを締めていた時、
ふっとある書籍が頭に浮かんだ。
紐緒「たしか……」
椅子から立ち去り研究室左手のドアを開け、書庫の中から分厚い学術書を運び出し、椅子に戻って探り始めた。
173 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/11(木) 22:47:42 ID:???
紐緒「(サマータイム・ルデータジ著『ルデータジ変換理論』
第8章第9条、媒介における乱数具現体への影響の差異……424ページ、425、426……)……あった」
427ページに探していた記述を発見し、確認のために読み上げてみる。
紐緒「……『乱数具現体は固有の振動数と周波数を有し、発生源により放射された粒子は媒体を介してもその特徴は変化しえない』
……やはりバグはあのサッカースタジアムから、おそらくはあの異形の集団から発生している……」
そこまで思いをめぐらせた後、バタンと本を閉じすっくと立ち上がった。
紐緒「さあ、行くわよ。絶対に犯人を捕まえてやる!」
紐緒は検知器と生成機を手にして猛然と研究所を走り去った。
高校から競技場までの距離は近い。走って向かっても試合終了までには間に合うだろう。
先着で★翔けよ閣下→! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。
JOKER:高校の目の前はスタジアムだった!試合開始前に到着。
ダイヤ:バイクに乗って向かう。渋滞もなく、試合開始直後に到着。
ハート:タクシーに乗って向かう。渋滞もなく、前半10分台に到着。
スペード:自転車に乗って向かう。懸命に漕いで、前半30分台に到着。
クラブ:タクシーに乗って向かうが、渋滞に巻き込まれた。到着時には前半終了。
174 :
森崎名無しさん
:2013/04/11(木) 22:48:12 ID:j/13d1G6
★翔けよ閣下→
クラブA
★
175 :
森崎名無しさん
:2013/04/11(木) 22:51:33 ID:???
マモノで渋滞か
176 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/11(木) 23:31:16 ID:???
>>174
げえっ、マモノ!
……クラブA分岐設置を取りやめていて良かったです。
来ないと思っているときに限ってやってくるのが怖いですね…
★翔けよ閣下→ クラブA ★ タクシーに乗って向かうが、渋滞に巻き込まれた。到着時には前半終了。
----------------------------------------------------------------------------
猛然と走り出した紐緒だが、高校からスタジアムまでは遠く、走っては到底間に合わない。
バイクがあればもっとも良かっただろうが、研究に没頭しきっている彼女が免許を取る
時間が取れるはずもなかった。
スタジアムに向かうバスも電車も無い。せめて自転車でもあれば良かったが、
全ての才能を頭脳に注いだ彼女には自転車の運転など、中国雑技団の演技ばりの
難題妙技であった。
仕方がないので電話でタクシーを呼びつけ、一路スタジアムへと向かったのだが……
177 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/11(木) 23:48:26 ID:???
プーッ!プーッ!プーッ!
進まぬ車に苛立ちのクラクションが四方から鳴り響く。
前も後ろも右も左も、道路は車で埋め尽くされ動く気配さえ見えなかった。
タクシーの運転手が客に話しかける。
運転手「ものすごく混んでますねえお客さ…ま?」
後ろを振り向いた運転手は怯えた。後部座席には紐緒が両腕を組み、
まるで運転手がこの渋滞を起こしたのだと責め立てるかのような、
鬼気迫る顔つきをしていたのだから。
紐緒「…知ってるわよ。この先で乗用車5台とトラック2台の玉突き事故、
復旧の見通しはたっていない、ラジオで散々言ってるじゃない」
運転手「は、は、はいっ」
慌てて前を向きなおす運転手。予想もしなかった事態に、イライラが募っていく。
紐緒「(急ぎの用じゃなかったらこんな鉄の集まり、このバグマシーンで消し飛ばしてやるのに、
ここで使ったらエネルギーがなくなる……クッ!)」
歯噛みする紐緒。この試合における最後の役者となる彼女の出番は、まだ先になりそうだ。
178 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/11(木) 23:50:40 ID:???
今日はここまで。陽子さんも紐緒さんぐらいの文章量で納める
予定だったのに…どうしてこうなった!
179 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 10:34:52 ID:???
試合開始まで10分を切り、霞ヶ丘陸上競技場内は大歓声に包まれていた。
6万人以上を収容する国内最大級のスタジアムの観客席は人の海と化している。
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーッ!
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーッ!
ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!
長野「やっぱりスッゴイ喚声だなあ」
小田「え?何?」
長野「凄い喚声だって言ったんだ!」
小田「あ、ああ、そうか、ごめん!よく聞けなかった!」
スタジアム内の一角に、かつての南葛高校サッカー部員達も観戦していた。
皆固まって座っており、長野と小田は隣通しだったが、それでも互いの声が満足に聞こえない。
長野「たしかに、爆音で頭が弾けそうだ」
小田「ジャパンカップの頃とは比べ物じゃないよ、あの時だって結構いたのに」
一条「ほんと、サッカーに対する注目度が爆上げしましたね」
岸田「…プロリーグが出来る日もそう遠くなさそうだ、なぁ」
西尾「もっと長くサッカーし続けてたら、俺達もプロになれたかも…」
浦部「過ぎた事こね回しても仕方ねえって!豆腐食って忘れろよ」
大川「そうですって、どう頑張ったって届かないのが天才で、森崎や翼達全日本ユースなんだから」
180 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 10:38:35 ID:???
長野達が色々と感慨にふけっていた頃、その隣では骨川とマネージャー2人、
そして南葛高校野鳥観察会の面々が、双眼鏡を握りスタジアム内をしらみつぶしに捜索していた。
骨川「西本先輩、杉本さん、見つかりますか?」
ゆかり「駄目、全然見つからない。日本の試合だからいるかと思ったんだけど…」
久美「人が湧き過ぎて影も形も見当たりませんよー…」
骨川「そうですか……おーい!お前達は中沢先輩を見つけたかー?」
骨川達は早苗を捜索していた。日本の大会なら、ひょっとしたら観戦しにここへきているかもしれない。
そう思ってわざわざ観察会の面々を自腹を切って呼び寄せ、早苗探しに協力させたが、結果は思わしくなかった。
会員A「いませーん」
会員B「西側スタンドでは見つかりませんでした」
会員C「何が何だかさっぱり」
その他の人員も、異口同音に対象の不在を告げる。骨川は溜息をついて、腰を下ろした。
骨川「(ふうー、一体どこにいるんですか先輩?もう見当もつきませんよ…)」
ゆかり「(早苗……どうしていなくなっちゃったの?)」
久美「(絶対にいますよね……絶対に生きていますよね………)」
181 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 10:40:36 ID:???
浦部「それにしても岩見の奴、一体どこに行ったんだろうな」
岸田「そういやそうだよな、1か月前だっけ」
浦部「ああ、それぐらい前に『旅行に行く』とか言って、行先も告げずに行ったんだよな」
小田「どこかでこの試合を見てるのかな……あっ、そろそろだ!」
午後1時55分。解説席からアナウンスが流れる。
カビラ「6万人のサッカーファンが試合を待ち望んでいます。サッカーファンの皆様こんにちは、ジョンカビラです。
全日本ユース、対、きれぼしJAPAN。解説は信藤健仁さんを迎えてお送りしております。信藤さん、よろしくお願いします」
信藤「どうもこんにちは、よろしくお願いします」
カビラ「間もなく選手が入場してくると思います。試合前に、今日の試合について信藤さんはどう考えておりますか」
信藤「相手のきれぼしJAPANについては全く情報がありませんが、ワールドユースを制覇した全日本に挑戦しようというチームです。
きっと名選手が揃っているのでしょう。それぞれのチームがどうゲームを組み立てていくかで決まると思います」
カビラ「なるほど、ありがとうございました」
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーッ!
試合開始が間近に迫った事を悟り、スタジアム内の群衆が大歓声を上げる。
天を衝くほどの熱狂がスタジアムから爆散している。
ほぼ時を同じくして、答えるかのように音量を上げた放送が発せられた。
カビラ「選手の入場です!」
182 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 10:43:19 ID:???
全日本ユース・きれぼしJAPAN両陣営がフィールドを行進する。
きれぼしJAPANの光景が観客の視線に入るにつれ、興奮の坩堝と化していたスタジアムは次第に鎮静化されていく。
そして完全に沈黙したと思った瞬間、別の歓声に覆われた。
「なんだよあれーっ!」「誰だよアイツら!」「日本人いなくね?」「いやいるだろ!…1人だけど」
「身長差ひでえ!」「あははははああーーっ!」「変過ぎるぅううー!」
奇々怪々な面相に注目が集まり、爆笑する群衆。
カビラ「え…あ、こ、これは大変に個性的、奇抜な選手団の入場、です」
信藤「さ、さまざまな人種、国籍の混成チーム……」
解説員も言葉が詰まり、放送事故寸前にまで追い詰められていた。
きれぼしJAPANの面々はそうした反応に慣れているのか、皆顔色一つ変えない。
全日本側も事前に得た免疫と自らに課された課題の重さから、笑う事はなかった。
入場が終わり、選手が自分たちのポジションへと散っていく。そのままであればこの後すぐにキックオフとなったであろう。
ただその前に2人の選手が森崎と翼の方へとやってきて、語りかけた。
???「森崎、久しぶりだな」
???「ツバサ!今日こそお前に目にもの見せてやる!」
相手を見た森崎、そして翼も驚愕した。なにせ相手2人はそれぞれのチームメイトであったのだから。
森崎「岩見!」
翼「バチスタ!」
183 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 10:51:35 ID:???
長野「ブーーーッ!」
小田「ブーーーッ!」
一条「ブーッ!」
岸田「ブーーッ!」
西尾「ブーーッ!」
浦部「ブーーッ!」
大川「ブーーーッ!」
長野が
コーラ
を、小田が
ポーション
を、一条が
ドリンクバー
を、
岸田が
ジンジャーエール
を、西尾が
白湯
を、浦部が
ゲータレード
を、大川が
緑茶
を口から噴出し、
7色の虹をスタジアム脇で発生させた。驚くのも無理はない。
南葛高校サッカー部のチームメイトであり、長野など旧南葛中出身者は6年もの間共に過ごした岩見兼一が、
何食わぬ顔で敵チームに加わっていたのだから。
森崎「ど、どうしたんだよ、なんでお前がそこにいるんだ!?」
岩見「どうしても森崎達と勝負がしたくなってな、色々としてこのチームに加わったんだ。
互角に戦えるように、たっぷりとトレーニングも積んだ。俺はお前達に勝ってみせる」
森崎「お、おう……(突っ込みどころが多すぎるぞ、取りあえず何て答えよう?)」
A「どんな伝手をたどってあんなチームに入ったんだ?」 なんであんなチームに入ったんだ?
B「そうか、お前は騙されているんだ!」 こんなチームに入るとかありえない、何かの間違いだ!
C「そうか、そいつは楽しみだな」 普通に対戦相手として遇する
D「そんなに強くなったんなら、なんで全日本ユース選考に選ばれなかったんだ?」 能力を疑問視する
E「尾崎とかとこんとか、あいつらについて知ってる事はないか?」 情報提供を呼びかける
F その他、自由回答(要3票)
2票選ばれた選択肢で続行します。
184 :
森崎名無しさん
:2013/04/13(土) 10:58:20 ID:WJlNKDfk
D
185 :
森崎名無しさん
:2013/04/13(土) 11:02:43 ID:ZrVPn3wI
A
口からドリンクバーってどんな状況なんだよ、一条!?
186 :
森崎名無しさん
:2013/04/13(土) 11:13:58 ID:gugfc0So
A
187 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 12:20:05 ID:???
用事がありますので、残りの更新は今日の夜に行います。
188 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 21:45:22 ID:???
>>174
ドリンクのあわせ飲みでもしてたんでしょうかね?
A「どんな伝手をたどってあんなチームに入ったんだ?」 なんであんなチームに入ったんだ?
--------------------------------------------------------------------------------------
なぜこんなチームに入ったのか。いくら思考の糸を巡らし関連をたぐろうとするも、
発した途端に糸が途切れ、混乱を催すだけだった。結局どうにも見当がつかず、岩見に尋ねるも、
岩見はよくぞ言ったという風に含み笑いをしたが、期待した答えは得られなかった。
岩見「悪いな、今は言えないんだ。聞かない方がいいとも言えるけどな」
森崎「何?どういう事だ?」
岩見「気にしない方がいいって事さ。ま、知りたいならちょっとだけだが言うぞ。俺にこのチームを勧めた奴は、お前達の中にいる」
森崎「なにィ!一体だれ」
岩見「それだけだ、じゃあな森崎、俺のワザを見て驚くなよ」
驚き問おうとする森崎を遮り、岩見は手を振って自らのポジションへと向かった。
一方森崎は予想外の岩見の答えに押し黙ってしまう。
森崎「(どうなってんだ、このチームの中に敵への手引きをした奴がいるだと?誰が裏ぎ…
いや、ただのブラフかもしれねえ、ああもう、一体全体なんなんだ!)」
189 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 21:48:38 ID:???
すみません、
>>174
は
>>185
の誤りでした…
森崎が1人迷いと疑いに襲われていた頃。
バチスタ「へっへっ、ツバサ久ぶりぃ」
翼「……」
翼はサンパウロユース時代のチームメイトだったセルジオ・ダニエル・バチスタと対峙していた。
整った顔立ち、風でたなびかれた輝くような銀髪、すらりとしながらも硬く引き締まった身体は、
美少年と審美しても差し支えの無い容姿であった。
だがニヤニヤと唇と頬を歪ませ舐めまわすように翼を睨み付けているその顔つきは、お世辞にも美しいとは言えなかった。
バチスタ「俺の事は覚えていたみたいだなあ、とっととプロになられて忘れ去られたかと思ったぜ」
翼「君のその汚い顔を忘れようなんて、無駄な努力だからね」
190 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 21:51:57 ID:???
悪意たっぷりの嫌味を柳に風と聞き流す翼。サンパウロFCへ入団して以来、
バチスタから翼は様々な妨害、嫌がらせを執拗に受け続けてきた。
それに対して、反応する事もなく圧倒的な実力と勝利というチームへの貢献を淡々と積み上げて、
ぐうの音も言わせないように黙らせてきた。
プロに入ってからは姿さえ見ていなかった、とうに視野の範囲外の人間だったのだ。
翼「君はもっと建設的な事に力を注ぐべきだったと思うよ。そうすればサンパウロから去らずに済んだかもしれないのに」
バチスタ「ほざけ!俺は力を得たんだ!今度という今度こそ、
てめえに分際ってのを教えてやるぜ!後で吠え面かくんじゃねえぞ!」
ペッ!
勢いよく唾を翼に吐き、悪態を吐き続けながら立ち去るバチスタ。
聞き苦しい雑音が聞こえなくなった後、翼は手でユニフォームについた唾を拭き取った後、拳を握りしめた。
翼「(バチスタ…例え悪魔と取引したとしても、お前なんかには絶対に負けない)」
*翼→バチスタ、バチスタ→翼の感情が発覚しました。
翼→(汚物・取るに足らない)→バチスタ
バチスタ→(憎悪、侮蔑)→翼
191 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/13(土) 22:02:55 ID:???
岩見くんとバチスタくんという、キャプテン翼関係のヒテッマン動画における
人気キャラ2人がお目見えで、今日の更新は終わりにします。
月曜日からからとても忙しくなりそうなので、明日のうちに少しでも多く更新したいです。
192 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/14(日) 17:28:13 ID:???
時が迫りつつある。
もはやキックオフの笛を待つばかりとなった。
再び森崎は尾崎000000000と、スタジアムの歓声を背景としながら向かい合っている。
両者の視線が合った瞬間、尾崎000000000がニコリともせずに呟く。
尾崎000000000「いよいよ始まるな」
森崎「ああ……」
A 「いい試合にしよう」 当たり障りなくすませる
B 「そしてお前達の目論見はおしまいだ」 売り言葉に買い言葉
C 「お前達は一体何なんだ?」 彼らについて尋ねる
D 「そうだ、俺達の目標、俺達の夢はこれからはじまるんだ」 問いを継いで答える
E その他、自由回答(要3票)
2票選ばれた選択で続行します。
193 :
森崎名無しさん
:2013/04/14(日) 17:48:49 ID:B7chVqUI
B
194 :
森崎名無しさん
:2013/04/14(日) 17:58:14 ID:EsCkyUKM
C
195 :
森崎名無しさん
:2013/04/14(日) 18:57:48 ID:ILYAObUg
C
196 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/14(日) 19:08:44 ID:???
今日は調子が悪くなってきてしまいましたので、ここで終わりにいたします。
続きは少々お待ちください。
197 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/20(土) 14:22:02 ID:???
C 「お前達は一体何なんだ?」 彼らについて尋ねる
----------------------------------------------------------------------------
普段の森崎ならば、良く言えば馬鹿正直に、悪く言えば愚鈍にも自らの心情を敵に吐露したりはしなかっただろう。
例えこれ程の風貌奇怪な連中を相手にしていても、せせら笑いを浮かべ丁々発止と舌戦を交わしていただろう。
この心理的空白の間接的な告白に対し尾崎000000000は……
先着で★ゼロの視点→! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。
ダイヤ絵柄・JOKER:「吹けば掻き消える、バグ(虫)のような存在だ」 ほんの少し、境遇について語ってくれる
ダイヤ・ハート・スペード:「これから消える相手に話す必要が無い」 突き返される
クラブ:「時がくれば、キャプテンが語ってくれるであろう」 ん?尾崎はキャプテンじゃない?
198 :
森崎名無しさん
:2013/04/20(土) 14:30:39 ID:???
★ゼロの視点→
ダイヤ7
★
199 :
森崎名無しさん
:2013/04/20(土) 15:10:12 ID:gCd2M08k
★ゼロの視点→
ハート5
★
200 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/20(土) 15:20:55 ID:???
★ゼロの視点→ ダイヤ7 ★ 「これから消える相手に話す必要が無い」 突き返される
----------------------------------------------------------------------------
森崎「…言ってくれるじゃねえか」
尾崎000000000「当然だ。無駄な事はないに越した事がない」
森崎「そうかい、それじゃあ」
よっと腕を上に振り上げ大あくびをした後、グッと足を地に踏みしめた。
森崎「ウジウジ悩むのもこれまでだ、高慢ちきに見下してくる野郎に負けるかよ」
尾崎000000000「それでよし。本気になって足掻いてみせろ、記憶の片隅には残るだろう」
森崎「ふん、忘れたくても忘れなくなるだろうぜ、それだけ大口叩いて負ければな」
主審「あー…君達、そろそろ試合だ、それぐらいにしておきなさい」
審判によって険しげなやり取りは中断される。彼らが引き下がった後、コイントスが行われた。
先着で★コイントス→! num★
と書き込んで下さい。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。
偶数→全日本ユースボールからキックオフ。
奇数→きれぼしJAPANボールからキックオフ。
201 :
森崎名無しさん
:2013/04/20(土) 15:23:37 ID:???
★コイントス→
9
★
202 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/20(土) 15:24:21 ID:???
すみません、IDが表示されていないので199さんの結果が反映されるべきでした。
結果は変わらないとはいえ、わざわざIDを表示しろと書いておきながら
いい加減な投稿をしてしまった事について、この場で199さんにお詫び申し上げます。
今後はより一層注意して投稿していきますので、なにとぞお許しを願います。
203 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/20(土) 15:26:10 ID:???
そういう事ですので、201さんにはお手数ですが、もう1度引き直して
いただければ有難いです。どうかよろしくお願いいたします。
204 :
森崎名無しさん
:2013/04/20(土) 15:29:49 ID:TaP3hI1k
★コイントス→
6
★
205 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/20(土) 22:32:58 ID:???
今日は急用によりこれ以上の投稿ができません。
明日、何とかして試合展開に入りたいと思います。
それにしてもこの投稿を始めてから1試合目に入るまで半年、
外伝スレの中で最も遅いペースではありますが、これからも
よろしくお願いします。
206 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/21(日) 15:39:21 ID:???
★コイントス→ 6 ★ 全日本ユースボールからキックオフ。
----------------------------------------------------------------------------
主審「コインは…表。全日本ボールだ」
森崎「はい(よし、やるぞ、こいつらに1点もやってたまるか)」
尾崎000000000「………」
カビラ「コイントスの結果は我らが全日本ユースに決定いたしました。
両チームのキャプテンが持ち位置へと移り、
全日本のFW日向くんと葵くんがボール前へと立ちました。そして……」
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
カビラ「試合開始です!キックオフでボールは葵くんに渡されました!
全日本はこの謎のチームにどう立ち向かうのでありましょうかぁっ!」
207 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/21(日) 15:43:58 ID:???
☆
「はじめまして!わたしは
地蔵菩薩(じ くらせばいいんだよね! ね! ね!」ぼさつ)
(※1)です!」
地蔵「ついに始まろうとする対きれぼしJAPAN戦!ヒテッマン氏とその後輩である松原君によって結成されたバグの精鋭達、
あまりのにしきがお(※)ぶりに制作者でありバグに熟知したヒテッマン氏を含め
多くの視聴者の腹筋を崩壊させた、バグの精髄!」
地蔵「きれぼしJAPANのデータは元となった動画のW部長動画part40までを参考にしています!
個々人の能力は試合終了後に公開するつもりですが、元々ネタで作ったチームであるために、
ポジションと本人の能力がちぐはぐであり、
そのため主ににポジションと浮き球補正について手を加えさせてもらいました!」
(※1):ヒテッマン氏の動画、「腐桃太郎伝説」に登場するお地蔵様を指す。
本名は地蔵菩薩(じぞうぼさつ)だが、そう自ら名乗ることは非常に稀でほとんどの場合、
本名と違った支離滅裂な名前を名乗る事からこう呼ばれるようになった。
(※2):ヒテッマン氏の実況動画「バグプレイの裏事情」にて、キャプテン翼Tをプレイ中に表示されたメッセージが由来。
本来は「にしきがおかは とくに めだったせんしゅの いないチームだがゆだんはきんもつだぞ」
と古尾谷監督が話すところが、「にしきがお」とまで言ったところで、バグによって画面が崩壊した事による。
以降、バグによって顔画像が崩壊し面白おかしくなってしまう現象、
もしくはその顔のことを「にしきがお」と呼ぶようになった。
208 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/21(日) 15:45:59 ID:???
地蔵「そんな名実ともにカオスなきれぼしJAPANと、全日本ユースのフォーメーションがこちらです!」
−−@−− @とこん
−A−B− Aフハハジーチャ B伯疲レイ
C−D−E Cココススモンメン D門門 Eホホッモモ
−−−−−
F−⓪−G F岩見 ⓪尾崎000000000 Gバチスタ
−−−−−
−−−J− Jよしと
−H−−− H王家ノノン
きれぼしJAPAN 5−3−2
全日本ユース 4−4−2
−I−J− I日向 J葵
−−−−−
−−H−− H翼
−EFG− E岬 F松山 G三杉
−−−−−
AB−CD A赤井 B中山 C若島津 D次藤
−−−−−
−−@−− @森崎
209 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/21(日) 15:51:18 ID:???
地蔵「まずはFW。王家ノノンくん、よしとくん共に必殺技に要注意!王家ノノンのヘディングは全力で止めにいかないとあぶ ないよ!
よしとくんの方は威力も危険だけど、付帯効果にも気を付けて!」
地蔵「岩見くんもバチスタくんも原作・ゲームではパッとしない存在だったけど、
全日本に挑むだけあってかなりのグワーアップ(※)が施されているよ!
きれぼしメンバーとは違って全体的にバランスよく成長しているから気を付けてください!」
地蔵「そして現在きれぼしJAPANを率いる尾崎000000000くん!W部長動画を見た人なら分かる人もいるかもしれませんが、
能力値が途轍もなく強いです!あまりに強すぎるので弱体化補正はかけていますが、
それでも最初のうちは手が付けられません!くれぐれも彼にボールを渡さないようにし、
奪われたら一刻も早く誰か別選手に渡すよう、カード神に祈る他はない、かも?」
地蔵「DFの中核となる門門くん、フハハジーチャくん、伯疲レイくんは守備の才能あふれた世界屈指の門番達です!
そのあまりの能力ゆえに正攻法では突破は難しいかも?そんな彼らからボールをつなぐ、
ホホッモモくんとココススモンメンくんを封じられるかで攻守は大きく左右される事にも要注意!」
地蔵「そして最後にGKのとこんくん!日向くん相手に大口を叩いただけあって、それなりの実力は備えています!
ただし超1流のレベルには達しておらず、また彼が持つ弱点を突けば、
得点をもぎ取る事は十分に可能です!DFを突破できたならいい勝負ができるでしょう!」
地蔵「負ければ全てを失ってしまう対きれぼしJAPAN戦、悔いの残らぬ選択をお願いいたします!」
☆
(※):ヒテッマン氏の実況動画「バグプレイの裏事情」にて、「ギミア・ぶれいく 史上最強のクイズ王決定戦」で登場したクイズ。
その問題の中に以下のような文章があり、それが元となって、パワーアップをこう言い換えるようになった。
マンガ「ポパみ」で、ポパ
イが食べてグワーアップ
(以下解読不能)
210 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/21(日) 15:54:59 ID:???
葵「よーし、いっくぞーっきれぼしジャパン!」
盛る喚声を背に負って、勢いよく葵が走りはじめる。
王家ノノン「来たか!こっちも行くぞ、よしと援護しろ!」
よしと「わかりました!」
尾崎000000000「(さて、手合せはどうなることか。ノノンはともかくよしとでは……)」
カビラ「先鋒として翔け出す葵くんに王家ノノンくんとよしとくんが立ち向かう!初戦はどちらが制するでしょうか!」
先着(順番通りではない書き込みは無効)で
★ 葵 ドリブル(! card) 74+(! dice +! dice)=★
★ 王家ノノン タックル(! card)76 +(! dice +! dice))+(人数補正+1)=★
★ よしと タックル(! card) 65+(! dice +! dice))+(人数補正+1)=★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。
MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→葵、ドリブル突破。
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に
(日向がフォロー)(翼がフォロー)(尾崎000000000がフォロー)
≦−2→きれぼしJAPANボールに。
【補足・補正・備考】
葵:ダイヤで「全方位フェイント(+5)」、ハートで「竜巻直角フェイント(+4)」、
スペードで「直角フェイント(+3)」、クラブで「富士山大爆発(+2)」
よしと:スペードかクラブで「スキル・レタスプレイ(-10)」(その対決時のみ)
211 :
森崎名無しさん
:2013/04/21(日) 15:56:42 ID:???
★ 葵 ドリブル(
ダイヤ7
) 74+(
6
+
3
)=★
212 :
森崎名無しさん
:2013/04/21(日) 16:03:13 ID:???
★ 王家ノノン タックル(
スペード6
)76 +(
3
+
4
))+(人数補正+1)=★
213 :
森崎名無しさん
:2013/04/21(日) 16:06:32 ID:???
★ よしと タックル(
クラブJ
) 65+(
3
+
5
))+(人数補正+1)=★
214 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 12:06:10 ID:???
★ 葵 ドリブル( ダイヤ7 ) 74+( 6 + 3 )+(全方位フェイント+5)=88★
★ 王家ノノン タックル( スペード6 )76 +( 3 + 4 ))+(人数補正+1)=84★
★ よしと タックル( クラブJ ) 65+( 3 + 5 ))+(人数補正+1)+(レタスプレイ-10)=63★
MAX【攻撃側】−MAX【守備側】≧2→葵、ドリブル突破。
----------------------------------------------------------------------------
葵「(今度こそ、この全方位フェイントを決めるんだ!)」
全方位フェイント。ワールドユース予選ドイツ戦で実力不足を痛感し、
イタリア戦前にてそれを含む3つの新技により、自らの出番を求めた切り札だ。
残り2つは成果はともかく試合中存分に発揮する事が出来たが、この技はとうとう大会中に披露する機会が無く、
今回王家ノノンとわたり合おうとするところで、ようやく最後の技の発動を開始する。
ギュンッ!
葵の体がわずかに右へ傾く。その瞬間、急加速して右へと飛び抜けようとする。
王家ノノン「(抜こうってのか?いや踏みこみが浅い、こいつは……)」
クッ、ククククッ!
ほとんど予備動作を行うことなく、葵のベクトルは反転される。
王家ノノン「(やっぱりフェイントか!)こんなトロい動きで…うっ!?」
215 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 12:08:06 ID:???
ギュウウン!
またも予備動作なしに葵が前へ急加速する。全力で突進してきたかのようなスピードに
王家ノノンがわずかにたじろぐと、今度は後ろへと体を傾けた。
王家ノノン「(右、左、前、後ろ…どっちだ、次はどっち…)」
四方への素早いフェイントに戸惑い、自身の重心にふらつきがかかる。
葵「そこだっ!」
ビュウンッ!
その隙を逃さず、王家ノノンの右脇をすり抜ける葵。
すっかり重心を崩されていた相手は身動き一つできなかった。
葵「やったっ!」
王家ノノン「ちいっ!」
カビラ「葵くん、瞬時四方の素早いフェイントで、王家ノノンくんを抜き去りましたっ!」
ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
試合開始直後に見せた葵の妙技に、スタジアムは一層興奮に覆われた。
216 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 12:10:33 ID:???
一方のよしと。
こちらは王家ノノンと異なり、動きを追う事さえできていなかった。
よしと「(右、左…えーっと、ええい、どっちか分からないけど行けえっ!)」
何を血迷ったか、ぴょんとジャンプをして上からヤマ勘で葵に飛びかかった。
葵の方はといえば、これまで披露できなかった新技をついにお披露目し、
見事に決まって観客からの大喝采を浴びた事で、ほんのわずかの間、敵への警戒を逸らしてしまった。
勿論すぐに気を引き締めもう1人の敵の方を向いたが、当の相手が上から迫った事に気づくのに数瞬を要した。
こうした超反応と油断、そして偶然が組み合わさった結果。
グバンッ!
葵・よしと「うわあっ!」
奇跡的に葵へ衝突することなく、よしとはボールを上から踏み押さえつける事に成功した。
このままボールを奪い取って持ち去ることが出来れば、よしとは間違いなく葵より格上の選手であると言えただろう。
だがよしとの実力も運も、これで終わりであった。
よしと「あっ」
踏みつけたボールの上でバランスをとろうとして、よしとは両腕を振り回す。
まるでサーカスの玉乗りピエロのようにボールに乗って後ろへ下がり、そしてバランスを崩して転倒した。
217 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 12:12:11 ID:???
コロコロコロ………
ボールが転がっていき、葵の下で止まる。
葵「………あれ?」
思わぬ形でボールが再び自らの元に戻ってきて、葵は喜ぶよりもむしろ戸惑いを覚えていた。
この奇天烈な展開に騒ぎついていた筈の場内も静まってしまい、葵以外の全日本メンバーも困惑を感じてしまっていた。
日向「(何やってんだ?あの白髪野郎は)」
翼「(まるで素人みたいだ、サッカーをしたことがないみたいに)」
三杉「(演技……は、ありえないか。一体何がしたかったんだい?)」
岬「(ホント、なんであんなヘマをこんなところでやれるかなあ)」
赤井「…こりゃ今日の試合は思ったより楽になりそうですね」
中山「油断するな、まだ始まったばかりだぞ(あれは何かのミスだろうが、それほど恐ろしくもない相手、なのか?)」
218 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 12:13:46 ID:???
岩見「(そう言えば、尾崎が以前言っていたな、あいつの、あのどうしようもないプレイは……)」
信藤「カビラさん」
カビラ「んっ!?は、はい信藤さんどうしましたか?」
ようやくにして実況者の調子が正常に戻り、放送席から声が流れ出る。
信藤「そ、そういえば、世界には、ほんの僅かな数だけではありますが、
誰も想像できない、理屈では到底出てこないプレイを瞬時に繰り出し、
ありとあらゆる自らのサッカープレイを無に帰すプレイヤーがいると聞いています…彼の動きに与えられる称号は…」
岩見「レタスプレイ…!」
王家ノノン「ないわー」
ホホッモモ「ないわー」
フハハジーチャ「ないわー……」
伯疲レイ「仕方なし」
尾崎000000000「(もうめんどうみきれよう)」
きれぼし陣営のある者は落胆し、またある者は達観の域に入り、この如何ともしがたいストライカーの所業に呆れていた。
*全日本DFの初対峙時の動揺ぺナが解消されました。
*きれぼしJAPANメンバーのよしとへの感情が発覚しました。
きれぼしメンバー→(よしとレタス)→よしと
219 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 12:17:38 ID:???
森崎「(なんなんだありゃ…おっといけねえ、指示を出しておかないとな。どうするか…)」
ようやくにして調子を直した森崎は、葵に指示を出した。
A 「葵、そのまま攻めるんだ!」 尾崎000000000と勝負だ!
B 「葵、右サイドから駆け上がれ!」 尾崎000000000との勝負を避ける
C 「サイドチェンジして日向にパスだ!」 岩見から攻略してみる
D 「一旦後ろへ戻すんだ!」 遅攻で相手の様子を見よう
E 特に指示することはない。今のうちに超モリサキになる!
F いや、特に指示することもないか。
G その他、自由回答(要3票)
2票選ばれた選択肢で続行します。ID欄は空白にしてください。
220 :
森崎名無しさん
:2013/04/26(金) 12:24:46 ID:oKfklXDE
B
221 :
森崎名無しさん
:2013/04/26(金) 12:47:29 ID:AuEbwZNk
B
222 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 13:12:59 ID:???
B 「葵、右サイドから駆け上がれ!」 尾崎000000000との勝負を避ける
---------------------------------------------------------------------------
尾崎000000000の力は一頭も二頭も飛び抜けている。スウェーデン戦のビデオで否応なく思い知らされ
何とかして直接勝負は避けようと、葵に向けて呼びかける。その結果はと言うと……
先着で
★ 振り切れるか葵くん! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。
ダイヤ・ハート:素直に指示に従い、首尾よくバチスタとの1対1に入り込む
スペード:指示に従ったが反応が遅れ、王家ノノンもやってきた!
クラブ:指示に従ったが反応が遅れ、尾崎000000000がやってきた!
クラブA・JOKER:指示に従ったが反応が遅れ、バチスタ、王家ノノン、尾崎000000000が襲来した!
223 :
きれぼしサッカー
◆5qvYBJdbJQ
:2013/04/26(金) 13:15:04 ID:???
お昼の投稿はここまでです。ゴールデンウィーク中は
何とかしてたくさん更新していきたいです。
よしとのレタスプレイうんぬんかんぬんについては、
「あひゃの人」で検索!
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