キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【バグサッカー】きれぼしサッカー【やりまーす】

1 :きれぼし ◆fM2NOXdVR. :2012/11/19(月) 23:28:30 ID:???
この作品はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。

ワールドユース大会にて全日本ユースが初優勝してから1週間後の物語、です。


90 :森崎名無しさん:2013/02/04(月) 21:07:30 ID:68SDCM92
F

91 :森崎名無しさん:2013/02/04(月) 21:27:54 ID:enMarBfo
F

92 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/04(月) 23:43:13 ID:???
今日はここまで。本調子とは程遠いですが、何とか続けて書けて
いけるようになりたいです。後発のパラレル代表記さんに早々と追い越されてしまっていますし……

話は変わりますが、なぜキャプテン翼では我が国のユースチームを「日本ユース」ではなく、
「全日本ユース」と全をつけるのでしょうか?分かりません。


93 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/06(水) 19:47:29 ID:???
F 「お前ってなんでそんなにゼロが好きなんだ?」
----------------------------------------------------------------------------

背中をのぞくように体を傾ける森崎。サッカーを続けて10年以上、その間
国内外のさまざまなチームとわたりあってきたが、ただの1人として0番なる背番号を付けた選手などいなかった。

尾崎000000000「ゼロは神を最も簡潔に表す概念だからだ」

森崎「神ィ?」

尾崎000000000「そうだ。まずゼロはあらゆる数の中で最も強力な数だ。ゼロを分母として除法を行うだけで、
       基本構造と論理の枠組みを破壊できる。ゼロをコンピュータープログラムに組み込むことで、
       数十発の魚雷を浴びても沈まぬ戦艦でさえ機能停止させられる。これほどの力を持つ数は他にない」

森崎「お、おう(こいつは……)」

尾崎000000000「次に、ゼロは数の中で初めて、純粋な意味での知性によって生み出された数だからだ。
        森崎、お前は買い物をしたことがあるか?」

森崎「あるに決まっているだろ」

尾崎000000000「そうだな。では、ボールを0個買った事はあるか?」


94 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/06(水) 19:51:26 ID:???
森崎「ゼロ個?」
突拍子もない事を尋ねられ戸惑う森崎。元々返事を待つ気はなかったか、
森崎がおまえは何を言っているんだと返す間もなく、尾崎000000000によるゼロ講義が再開された。

尾崎000000000「ないだろうな。ゼロの重要な点は、日常の営みの中では使う必要が無かったということだ。
        高尚な思考様式にゼロが必要なために生み出された文明的な数だ」

森崎「(この感じは……どこかで……)」


95 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/06(水) 19:57:34 ID:???
尾崎000000000「そして何よりもゼロは偉大な数だ。ゼノンのパラドックスから始まって、
        光の波動説、ブラックホール、ビックバン、超ひも理論……
        既存の概念への矛盾提起は常にゼロが介添人となっていた。そしてそれら矛盾が
        克服された時、科学は新たな段階へと進んでいく。
        ここでお前たちに聞きたいが、強力で、知性に溢れ、偉大な存在を見つけた時、
        それを神と見なすのは誤っているだろうか?」

森崎「(…そ、そうだカルロスだ!この確信してタガが外れた感じは……)」

森崎の頭に浮かんだのは、サッカーボールを親友であり師であるとしているブラジルユースキャプテン、カルロス・サンターナだった。
部分部分ではまともであるが全体の概念が途方もなく歪んでいる。
尾崎000000000はカルロスのように口角泡を飛ばして語ってはいなかったが、微塵の疑いもなく自らの理念を語る姿は、
森崎にはカルロスと重なって仕方がなかった。

尾崎000000000「………」

森崎「(今度はこっちに返答を求めてるみたいだな、どう答える?)」


A 「そんなにゼロが好きなら、お前は試合に出なくていいんじゃないか」 揶揄してみる
B 「そんなにゼロにこだわっていたら、勝ち目もゼロになるぜキャプテンさん?」 揶揄その2
C 「なに、強力で、知性に溢れ、偉大な存在…それじゃあやっぱり俺の事じゃねえかーっ!」 ここだ、ここで神宣言だ!
D 「そうかい、それじゃあ俺がお前らの攻撃全て封じて、神とやらをみせてやるよ」 強気にでる
E その他、自由回答(要3票)

2票選ばれた選択肢で続行します。


96 :森崎名無しさん:2013/02/06(水) 20:05:54 ID:h86rYW0A
A

97 :森崎名無しさん:2013/02/06(水) 21:18:38 ID:Vxk6D3hA
C

98 :森崎名無しさん:2013/02/06(水) 21:59:17 ID:qlaS3CUQ
E うんっ!そうだなっ! (笑顔で)

99 :森崎名無しさん:2013/02/06(水) 22:09:00 ID:i/KJHN1I


100 :森崎名無しさん:2013/02/06(水) 22:46:23 ID:???
完璧超人か何か

101 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/07(木) 00:20:14 ID:???
今日はここまで。今週はいつもより少しは執筆できそうです。

102 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/10(日) 15:18:31 ID:???
C 「なに、強力で、知性に溢れ、偉大な存在…それじゃあやっぱり俺の事じゃねえかーっ!」
----------------------------------------------------------------------------

森崎は叫んだ。森崎にはこういう形而上学に関する関心は皆無である。
下手をすれば際限なく続くであろう議論を振り払おうと頭を回転させている時、突如として気づいた。
強い力、知性、偉大性……こうしたものはもう自分の中に備わっていると。

尾崎000000000「お前が神、か」
森崎「そうだ、俺達がワールドユースで優勝するまで、サッカーは日本であってないような扱いだった。
   プロサッカーもなく強くなることさえ壁に阻まれてたんだ。それでも俺達は頑張って頑張って頑張って、
   壁を蹴破りオランダイタリアブラジルとなぎ倒して世界一になった。そのチームをここまで支えてきたのが俺だ、
   俺には力がある」

尾崎000000000「ほう……」
森崎「全日本は仲良しこよしの集まりじゃない、反りが合わないのは勿論
   寝首をかこうとする奴もごまんといる。だがそうだといって押さえつけて
   たら世界とは戦えねえ。あいつらの敵対心も活用して戦力にしてきたんだ
   無能とはいわせん」

尾崎000000000「………」
森崎「力と知恵を発揮して破天荒の栄冠を勝ち取ったんだ。偉大だと言っても当然だ」
語り終えてニヤリと笑みを浮かべ胸を張る森崎。それに対して尾崎000000000は……


先着で★ 森崎有三かく語りき! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。

ダイヤ・ハート「気位も負けてはいないようだな」 一応の評価
スペード「もうめんどうみきれよう」 軽くあしらわられる
クラブ 「私が語っていたはゼロだが、お前達は0だ」 勝利宣言
JOKER ……すでに尾崎000000000は立ち去ってしまっていた もはや眼中になし


103 :森崎名無しさん:2013/02/10(日) 15:51:37 ID:???
★ 森崎有三かく語りき ハートA

104 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/10(日) 17:49:48 ID:???
★ 森崎有三かく語りき ハートA ★ 「気位も負けてはいないようだな」
----------------------------------------------------------------------------

森崎「気位?」

尾崎000000000「そうだ。こちらの力を知らしめるためのPVをそっちへ送ったはずだ、
        あれの反応が知りたくてな、我が崇拝対象たるゼロへの関心を量るついでに
        少々高調子で反応を見て判断しようと考えたのだ」

森崎「ゼロ話でか?」

尾崎000000000「その通り、お前はへそ曲がりと聞いたからな、まっとうに問うても
        駄目と見た。だから思いもよらないであろう質問をして確かめてみたが…
        杞憂のようだな」

森崎「(なーんだ、偽キチガイか)けっ、つまらねえ心配しやがって、案ずる心配はないさ、
   俺が全部防いでやるからな」

尾崎000000000「ふっ、いい返事だ。期待しておこう」
わずかに目が笑った後、ふいと後ろを向き立ち去る。ある意味で共に
奇天烈と言えるキャプテンとの初めての対面が終わった。


*森崎と尾崎000000000との関係が
森崎→(食わせ者)←尾崎000000000 になりました。

105 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 19:32:07 ID:???
森崎が尾崎000000000のゼロ談義に付き合わされている間、彼ら以外の全日本・きれぼし両陣営の面々も交流が始まっていた。
もっとも喧嘩を吹っかけた張本人とその相手が友好的になれる筈もなく、一部の選手達の間では険悪な空気さえ漂い始めている。

日向「なんだお前は」

とこん「全日本ユースで虎を飼っているって聞いたから見に来たわい。なるほど腹が減ったらネズミでも引き裂いて喰ってそうだ」

日向「何をほざきやがる」

日向の前で喧嘩を売るのはきれぼしJAPANキーパーのとこんだ。腕を組んで不敵な笑みを浮かべ、上から目線で挑発する。
ただとこんの身長が相手より2回り以上も小さいためか、傍目ではどうしても滑稽な絵面となってしまっていた。

とこん「そしてもうすぐ何もできずにここからお帰りいただくという訳だ。
    結果が知れているんだ、とっとと試合なんかやめて脇毛にたまったシラミでもとっておけ」

日向「…ウォーミングアップも終わったところで、ちょうど目の前に蹴りごたえのありそうなボールがあるな。撃つとする…」

門門「ストップ、ストップ!落ち着いてください!」

火花が散りそうな2人の間に割って入ったのは、きれぼしJAPANのサイドバックである門門だった。
飄々とした体で間に立ち、腕を振りながら仲立ちを始めた。門門は困惑した顔つきをしていたが、
表情の変化が薄く、仲裁が日常と化していると推察される。


106 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 19:34:07 ID:???
門門「とこんさん、また言わなくて良いことを言ってしまうんですか。まるで挑発しなきゃ試合に出れないみたいに!」

とこん「挑発?どうせあと数時間もすれば2度と会わん奴らだ。
    今のうちに儂の威光を拝ませてやるぐらいのサービスぐらいくれてやっても良いだろう」

門門「それを挑発っていうんですよ!私達はこの戦いに勝っても、日本代表としての品格が問わ…」

日向「あーいい、どいてろ赤マリモ。俺もこのチビと同意見だからな」

門門「えっ?」

日向「あと数時間もすれば2度と会わん奴らに、俺の威光を拝ませてやる…見ろ」
日向は向かい側のゴールに向けて指差し、とこんに下した。

日向「お前は成すすべなく俺のシュートで吹き飛ばされる。
   そして芝生で這いつくばり、俺の後姿を仰ぎ見る栄誉を与えてやるさ」

とこん「と、全日本の猛虎改め子猫ちゃんが申していたのは本日まで。
    明日よりはとこん様を仰ぎ見て、命惜しさにおののくのでありました」

門門「だから何言ってるんですか!もう下がりますよ!」

これは駄目だと判断した門門は、とこんを捕まえ日向の元から立ち去った。
距離が遠ざかる間、日向ととこんは睨み合う。どう見ても穏当な試合は望めそうにない。


*日向→とこん、とこん→日向の感情がそれぞれ以下のようになりました。
日向→(ゴール前の的)→とこん
とこん→(格好の獲物)→日向


107 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 19:36:52 ID:???
中山「(こいつらは……)」

日向ととこんが挑発合戦を繰り広げている頃、中山は相手チームの観察にあたっていた。

中山「(風貌は皆奇々怪々だが、どの選手も闘気がみなぎっている……)」

つい先週まで世界の強豪と鍔迫り合いをしていたため、彼らの気迫が並大抵でない事を改めて感じ取った。
すなわちこの試合は対ブラジル・イタリアなどのように気の抜けない戦いとなる事も同時に心で理解できた。
だがワールドユースとは異なり、この試合に負ければすべてを失ってしまう。
その事が思い出されてきた時、彼の後ろに何者かが回り込んだ。

早田「かみそりちょっぷ」

ポコッ。

中山「おうっ!?そ、早田か…」
早田「なーに油切れのブリキ人形みたいに硬くなっちゃってるの。ドロシーはどこにもいないんだぜ」
中山「そ、そうか、ごめん」

仲間による不意のアクションによりまごつきながらも、少しホッとする中山。
安心により出た少しの溜息と共に思うところを口に出してみた。

中山「いや、この戦いは激しい戦いになりそうだと思っていたんだ」


???「え、ハゲ!?」

早田ではない。きれぼしJAPAN側のとある選手がふいに反応し、大声をあげて中山へと駆けだした。


108 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 19:41:01 ID:???
???「なんじゃお前わー!どういうことじゃああーっ!」
赤銅色の頭頂部を高々とさらしながら、きれぼしJAPANのFW王家ノノンが中山に詰め寄った。

王家ノノン「一点の曇りなく燦然と輝くこの頭のどこが悪いって言うんじゃあああーっ!」
中山「え、ええっ!?」
早田「いや中山ははげしい戦いって……あっ!」

呟いてから早田は悟った。彼の頭は風景と見事に区分された頭だ。
彼のような頭の人間が抱くであろうNGワードに、偶然ながらも中山が触れてしまったという事に。

王家ノノン「どうせお前らも後50年も過ぎれば皆頭を同じくするんじゃ!
      全国全世界の同朋がどんな思いで生きているのか分からんのかーーっ!」

よしと「この人はそんな人たちじゃありませんって!」
フハハジーチャ「どー!どー!」

後ろから急追したよしとらチームメイトに取り押さえられる王家ノノン。
もがきながらも強引に連れて行かれる禿頭を呆然と眺める全日本DF2人。

早田「なんなんだアイツは……」
中山「さあ……(なんでだ?なんであんなに公然と頭を晒しながら、あんなに敏感でいられるんだ?)」


*中山・早田→王家ノノンの感情が以下のようになりました。
中山・早田→(ハゲもの取扱注意)→王家ノノン

*王家ノノン→中山の感情が以下のようになりました。
王家ノノン→(同朋の仇)→中山


109 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 19:43:28 ID:???
???「んー……ん〜……どこかにいませんかねえ……」

ホホッモモは腕を組み、しかし好奇心に溢れた目をキョロキョロと動かしながら、目当ての全日本選手を物色している。
集団からは1人離れているため、誰にも邪魔されずに取捨選択を行う事が出来た。

ホホッモモ「これはという男の子は……おっ!」


先着で★ ホホッモモのおめがね! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。


JOKER 「あのヤマモリっていう子が……」 おいバカやめろこのホホッモモは早くも終了ですね
ダイヤ 「特に良さそうなのはいないか」 関心を失ってくれた
ハート 「あの14番(三杉)に痺れるねえー」 ま   た   か
スペード 「あのチビちゃんは素直で良さそうね」 ホホッモモは葵に関心を持ったようです
クラブ 「あの男の子は素直で…単純そうね」 松山はホホッモモに目を付けられたようです


110 :森崎名無しさん:2013/02/19(火) 19:59:29 ID:???
★ ホホッモモのおめがね スペード5

111 :110:2013/02/19(火) 20:01:40 ID:???
ってあれ?ID表示した方がいい?

112 :森崎名無しさん:2013/02/19(火) 21:09:00 ID:PF9UrzJA
★ ホホッモモのおめがね ダイヤ8

113 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 21:28:56 ID:???
>>111
はい、IDが表示されるようにしてください。
誰が書き込んだかの目印があれば安心できますので。
もう一度引いてくれればありがたいです。

114 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 21:31:12 ID:???
と思ったら既に112さんが書き込んでいました。規定にそって
一番早く書き込んだ112さんの結果を採用します。


115 :110:2013/02/19(火) 21:36:40 ID:???
>>114
もう引かれちゃいましたけど了解ですー
目印が見たいということは
今日まだまだ更新予定があるんですね
やったー

116 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 22:01:02 ID:???
★ ホホッモモのおめがね ダイヤ8 ★ 「特に良さそうなのはいないか」
----------------------------------------------------------------------------

ホホッモモの目線から力が緩くなっていく。彼らの言動から見て、標的となりうる対象を見つけられなかったためだ。

ホホッモモ「ちぇっ、駄目か。少しは試合が楽になったかもしれないのに」

ホホッモモには衆道趣味は無い。ただそうであるかのようにほのめかして相手をなぶり、
調子を崩して試合を有利に進める事は大好きだった。

ホホッモモ「(本物を除いて、どんな奴でもこの手のネタは嫌がるからな。
      二言三言ささやいてガチガチになってくれれば安いもんだ。
      だがこいつらはそうじゃないか。真正面からぶつかる他ないか)」

すっかり興味を無くしたホホッモモは、全日本・きれぼしの選手団に混ざり、ごく差しさわりの無い雑談に終始した。


*ホホッモモのスキル・ささやき戦術が封印されました。


117 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/19(火) 22:05:37 ID:???
今日はここまで。110さんにはすみませんが
今日はもういっぱいいっぱいです。済みません。

全日本ユースときれぼしJAPANの初対面は、とりあえず終わりです。
次回からはミーティングになる予定です。

118 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/23(土) 18:37:39 ID:???
――――全日本ユースミーティングルーム――――
見上「よしみんな聞け。これから対きれぼしJAPAN戦でのフォーメーションを発表する。これが今回のフォーメーションだ」
フォーメーションを記した白板を見上は指し、指示を行う。

−I−J− I日向 J葵
−−−−−
−−H−− H翼
−EFG− E岬 F松山 G三杉 
−−−−−
AB−CD A赤井 B中山 C若島津 D次藤
−−−−−
−−@−− @森崎



119 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/23(土) 18:39:18 ID:???
見上「相手の情報は先に見たビデオのみ、そのビデオも公平が疑われる以上、
   構成はいつも以上に流動的となる。その事を念頭に置いて試合に臨むように。
   …日向と葵は攻撃に専念しろ、ただし体力切れを起こさない程度にだ」
日向「はい(俺の敵になればがどうなるか、身の程を教えてやる)」
葵「はい(なんか危ない目にあいそうだった気がする)」

見上「MF、DFは様子見だ。相手の戦法が分かるまでは防御を主体として動くようにしろ。
   後々の戦術変更に備えて相手の観察を怠るな」

翼「はい(どんな相手だろうと関係ない、いつも通り全力を出すだけだ)」
岬「はい(さて、一生を左右する大舞台だ。絶対に負けられない…)」
中山「はい(きれぼしJAPAN……いったい何者なんだ……)」

見上「さて森崎、キャプテンとして何かいう事はあるか?」
森崎「……………」


A 「あのヒゲチームは俺達がのしてやるぜ!」
B 「行くぞ!日本代表のサッカーがどういうものか、あいつらに見せてやる!」
C 「お前ら、この試合は特別な試合だと思っていないか?」
D その他、自由回答(要3票)

2票選ばれた選択肢で続行します。

120 :森崎名無しさん:2013/02/23(土) 18:56:19 ID:KJlpJsrg


121 :森崎名無しさん:2013/02/23(土) 19:02:38 ID:4E7kH4NM
A

122 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/28(木) 19:23:46 ID:???
A 「あのヒゲチームは俺達がのしてやるぜ!」
----------------------------------------------------------------------------


シーーーーーーーーーーーーーーン…

森崎「あ…あれ…?」

満を持して号令をかけたが、チームメイトの冷めた目線とその既視感に戸惑う森崎。
そして見上が、聞き覚えのある底冷えのする声を出した。

見上「さすがだな、5年前の醜態を再び繰り返してみせるとは」

森崎「えっ……あっ」

見上の言葉で、フランスジュニアユース全日本キャプテン選出時の失言を思い出す。
そして当時を再現するかのごとく、叱責が森崎に飛びかかった。

見上「忘れていたなら思い出させてやろう………
言い方と言う物を考えろ馬鹿者!この大会はテレビにも映されるんだぞ!
キャプテンがそんな発言をしたら日本サッカーの尊厳がどれだけ貶められると思っている!!」

森崎「あわわわわ…す、すみませーーーーんっ!!」

早田「(森崎…あいつ自虐ネタが好きなんやろか?)」
次籐「(やっぱり森崎はアホタイ)」
来生「(ないわー)」
松山「(何でこういう事を口にだすんだろうか)」
三杉「(下手すると人種差別レベルだよ…ブラジルでは注意されてこなかったのかい?)」
翼「(やっぱり森崎は森崎だ)」

こうして森崎は再度、監督の大目玉とチームメイトの呆れた視線に出迎えられる事となってしまった。


123 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/28(木) 19:27:22 ID:???
――――きれぼしJAPANミーティングルーム――――
森崎が散々な結果を晒していたころ、きれぼしJAPANもミーティングを終えようとしていた。

尾崎000000000「ミーティングの内容をもう一度まとめておく。フォーメーションは5-3-2、
DFはメンバーもポジションもスウェーデン戦時と同一だ」

門門「分かりました(大事な試合だ……絶対に勝つぞ)」

フハハジーチャ「うっす(弟の出番はあるかなー)」

伯疲レイ「理解した(我々に逆らう愚か者共、報いを受けよ)」

ココススモンメン「は、はい(き、緊張してきた…)」

ホホッモモ「オーケー(楽しみもないし、ぱっぱと自分の仕事をしますか)」

尾崎000000000「MFは私と、この日のために温存していた新人2人を投入する。頑張ってほしい」

???「言われるまでもありませんよ。森崎達と再び互角に戦える日を待っていたんですから」
???「この日を待ってたんだ…今日こそツバサを目にもの見せてやる!」

対照的な2人。一方は日本の選手に対して懐かしささえ感じていたが、もう一方はただ翼への敵愾心にのみ溢れていた。


124 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/28(木) 19:29:45 ID:???
尾崎000000000「FWは王家ノノンとよしとの2人だ」

王家ノノン「…王家!(我が同朋よ!仇敵への鉄槌をご覧あれ!)」
よしと「(普通にOKって言えばいいのに)はい」

尾崎000000000「キーパーはとこん。これでフォーメーションについては以上だ。
続いて『恐怖と衝撃』作戦に関する確認だが、真のキャプテンの登場はキャプテンから私へ秘密の合図が送られた後で、
私と交代させるようにする。真のキャプテン登場後はその効果をさらに際立たせる事、
さらに防御力を高めるためにキーパーも交代させる。とこんの後のキーパーは任せたぞ」

???「はい!」
とこん「(俺はこの隠し玉の前座って事かよ)はい」

きれぼしJAPANの秘密兵器とされたこのキーパーは、快活で優しい声そしてどこか聞き覚えのある声で、尾崎000000000に返事をした。
暗にキーパーの実力が劣ると言われたとこんは渋い顔をしていた。

尾崎000000000「ミーティングは以上だ。最後に、代理ではあるがキャプテンとして一言言いたいことがある」

決起宣言を行うと聞いた選手連は、表情を改める。

尾崎000000000「我々は勝つ。勝てる可能性が高いなどといった話ではない。
太陽が東から昇るように、勝つ。我々にはそれだけの力がある。
新生日本代表の座を勝ちえ、世界に冠たる存在たる事をこれより証明する!」

きれぼしJAPANメンバー「おう!」

こうして、きれぼしJAPANは全日本とは対照的に、意気揚々とフィールドへと向かっていった。


125 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/02/28(木) 19:39:19 ID:???
今日はここまで。森崎板の方々は御存じでしょうが、本日の文章の一部に
2さんの文章を勝手に使ってしまった事を記しておきます。いつになったら
2さん程の文章が書けるようになるやら……

ヒテッマン氏の動画は殆どが消去されましたが、別人が代理で保管していた
バグ動画は残存しております。どうか森崎板の方々も以下の動画を御視聴なさって、
ヒテッマン氏のカオスワールドをお楽しみください。

クロノトリガー カオスでニューゲーム
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2281918?group_id=32044535

FF6 チートによるカオスプレイ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1766134

126 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/01(金) 12:13:02 ID:???
ここでグラウンド外へ視点を移す。
霞ヶ丘陸上競技場で試合が始まる2時間前、東京都中央区聖路加国際病院326号室。

病室に設置されたテレビの映像から全日本ユース選手の説明が流されている。
対戦相手チームは得体が知れないとはいえ全日本ユースとの試合、
部屋が賑わってもおかしくない場面の中、この病室内では悲壮感を帯びた緊張が覆っていた。

片桐「後何時間かで、試合が始まるな」

謎の狙撃手による負傷はさほど深くなく、肩に埋まった銃弾を摘出した後は、
病室のベッドで寝たきりを強いられている事を除けばおおよそ支障のない様子であった。


127 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/01(金) 12:16:21 ID:???
陽子「………うん」

平静な兄とは対照的に、かき消えてしまいそうな声で返事をする陽子。
普段の活発な様子はどこにもなく、体が小刻みに揺れ顔は蒼白くなってしまっている。
  
片桐「本当に、試合を見に行かなくていいのか。チケットも特別に用意してある、今ならまだ間に合うはずだが」
  
陽子「いい、今日は兄さんのお見舞いに来たんだし、観戦はテレビでもできるから……」
   そう言い終えた後、兄の顔がテレビの方を向いた間に、顔を伏せて視界を対象からそらした。
  
陽子「(私のせいで兄さんが命を狙われて、森崎くん達が危機に瀕してしまった。
    そして日本のサッカーがメチャクチャにされてしまう……全部私のせいよ、私のせい、私のせい………)」

片桐「………そういえば、もうすぐ別の見舞いが来るな。確か……」


先着で★病室の訪問者→  ダイヤ7
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。

JOKER:ダイヤ+ハート
ダイヤ:陽子の親友であり親戚の、片桐彩子だ
ハート:日本サッカー協会所属、賀茂茂だ
スペード: 片桐の勘違い、今日は面会日じゃなかった
クラブ:片桐コンツェルンの会長専任第2秘書だ(※)

(※)数値によって内容が変化し、Kに近いほど好々爺、Aに近づくほど筋骨隆々の大男となる


128 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/01(金) 12:25:20 ID:???
失礼しました。正しくは★病室の訪問者→! card★です。
空欄を埋めて投稿してください。


それにしても、普段元気な美人が沈み込んでいる姿って、
結構キュンってきませんか?

129 :森崎名無しさん:2013/03/01(金) 12:47:25 ID:???
★病室の訪問者→ スペードA

130 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/01(金) 19:53:58 ID:???
129さんへ、当初の指定では「Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください」と
記述しておりました。そのためお手数ではありますが、もう一度書き込んでください。

131 :森崎名無しさん:2013/03/01(金) 19:55:19 ID:5fa3RkKM
★病室の訪問者→ ハート4

132 :森崎名無しさん:2013/03/02(土) 17:43:07 ID:???
引退する少し前に氏の動画を知ってあまり見れてないけど
今はリスペクト動画を見まくってますわ

133 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/02(土) 18:32:28 ID:???
>>132
私は最初「リスペクトかあ、ヒテッマンの後追いじゃあ大したことないな」
と思っていたんですけど、そんなことはなかったですね。
『第4次スパロボMとか・・・』や『ライブアライブ 雄毛編』は
笑いをこらえるのが大変でした。感情豊かなAIとか近未来編ホモバージョンとか…

134 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/02(土) 18:34:36 ID:???
★病室の訪問者→ ハート4 ★ 日本サッカー協会所属、賀茂茂だ
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片桐「……賀茂さん。時間まであと10分弱、か」

ベッド横の机から手帳を取り出して予定を確認した後、手帳をしまい目も閉じた。
サッカーも試合も妹も、自分ではどうにも出来そうにない。軽いなげやりとふて腐れを吐きだすように溜息を吹いた。

賀茂「おーい片桐ィ、大丈夫か?まだくたばってねえだろうな!?」
やや経って開けっぴろげな胴間声を高々と放ちながら、賀茂が入ってきた。会釈もなしにづかづかと病室に入り、片桐に語りかける。

片桐「大丈夫ですよ。うまい具合に弾丸が貫通してくれましたからね」

賀茂「そうか、そりゃあ良かった。もっと早く見舞いに行きたかったんだが、
色々とゴタゴタしてたから遅れちまった…あ、これは見舞い品だ」
手に提げた袋から菓子箱2箱を取り出し、中を開ける。


135 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/02(土) 18:53:18 ID:???
片桐「月餅とシュークリームか、甘いものばかりですね」
賀茂「お前の好みを聞く機会が無かったからな。
見当もつかなかったから、取りあえず俺の好きなものを買ったんだ。
あ、もしかしてお前甘いもの苦手か?」

片桐「いや、そういう訳ではないですが、こういう時ですから食べる気がしません」
賀茂「こういう時に食べてこそ味が浸みわたるんだろうが。
苦み走るのは顔だけにしておけ、脳にまでいったらどうにもこうにもならなくなるぞ。そうだよな、お嬢様?」

陽子「……………」
聞いているのかいないのか、表情は憂色深く、反応さえ帰ってこない。

賀茂「やっぱりなあ。今まで散々親父から嫌がらせ受けて、そんでここまでやられたらこうなるのも無理ねえか。だがよ……」


先着で★賀茂式女性フォロー→! card★
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ダイヤ・ハート:(ええいしゃらくせえ、このまま連れて行く!)陽子を抱きかかえ会場へ向かう[さらに分岐]
スペード・クラブ:「(こりゃあ重症だ、少しほぐしておかんと…)」陽子との対話を試みる[さらに分岐]
JOKER:「ょょょょょょう、どうしたの陽子?」病室入口にブーメランヘアーの女の子現れる


136 :森崎名無しさん:2013/03/02(土) 18:54:34 ID:rn7UjKGY
★賀茂式女性フォロー→ スペードJ

137 :森崎名無しさん:2013/03/02(土) 18:54:40 ID:n0OG3oqA
★賀茂式女性フォロー→ クラブA


138 :森崎名無しさん:2013/03/03(日) 12:14:09 ID:???
オススメを紹介

無人島物語バグテスト
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20186542

139 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/04(月) 12:06:39 ID:???
>>138
GOOD!続きができたとしても、義人機長の出番がないのが残念でならないです。
さて、今日も話の続きを投稿いたします。
----------------------------------------------------------------------------


★賀茂式女性フォロー→ スペードJ ★ 陽子との対話を試みる[さらに分岐]
----------------------------------------------------------------------------

先着で★フォローの結果→! card★
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JOKER:ブーメランヘアーの女の(ry
ダイヤ:元気と闘志と意志を取り戻し、意気揚々と2人はスタジアムに出かける
ハート:スタジアムへの観戦には応じるものの、未だ心神喪失気味
スペード:「………」無言のまま答えようとしない。数値が偶数なら賀茂が強引な搬出を試みる
クラブ:「もう、何もかもおしまいよっ!」自責感に耐え切れなくなり、陽子が号泣してしまう
クラブA:「みんなごめんなさい、せめて責任は取りますから……」ふらふらと陽子は窓へ向かい…


140 :森崎名無しさん:2013/03/04(月) 12:10:19 ID:ibDQp1UU
★フォローの結果→ クラブ5

141 :森崎名無しさん:2013/03/04(月) 12:15:43 ID:???
このスレでは森崎とはどうなってるのかな?
既出だったらごめん

142 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/04(月) 12:30:55 ID:???
>>141
本編から1週間後、という時間だけが進んだ状態なので、森崎との
関係も本編に準拠しています。
さらにワールドユースに優勝したことにより、間接的ながらも陽子への
アピールができ時間や精神にも余裕ができたことで、本編よりさらに前進しています。
もうあと一押しでゴールインできるでしょう。



全日本ユースがきれぼしJAPANに勝利することができたなら、
陽子さんとのハッピーエンドが見られる……かもしれませんよ。

143 :141:2013/03/04(月) 14:57:24 ID:???
ありがとうございました

144 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:18:29 ID:???
ただいま描写に四苦八苦しており、更新が遅れております。
今後しばらくの間はあまり投稿できなくなるかもしれません。
なにとぞご寛恕を願います。



★フォローの結果→ クラブ5 ★ 「もう、何もかもおしまいよっ!」自責感に耐え切れなくなり、陽子が号泣してしまう
----------------------------------------------------------------------------

陽子の心を解きほぐすべく、賀茂は対話を試みた。ある時は非道な父親をなじり、
その次はこれまでのひたむきな陽子の取り組みを称揚し、自らの不甲斐なさに気付くよう強い言葉を吐きつけ、
事態の楽観を勧め、協会の自立性を強調して脅迫の無意味さを主張した。

だが無駄であった。既に陽子の頭は父の強硬な執念と自らの無力ぶり、
その結果による日本サッカーの破滅の幻影に囚われ、まともな思考ができなくなっていた。

自らの「罪」に潰れていくうちに、これまでの陽子の過去が去来する。


145 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:22:05 ID:???
――――――
―――――――――
―――――――――――――

ガンガンガンガンガンガンガン!

陽子は探していた人間に一刻も早くドアを開けてほしい一心で、硬いドアを乱打していた。
無論ドア横にはインターフォンが設置され、きちんと部屋に鳴り響いていたが、
いつ自分をドアから引き剥がして連れて行かれるか、おそろしかった。

ガチャッ

ドアが開き、兄宗正が顔を出したと同時に、陽子は兄へと飛びすがった。
突然腰へと抱きつかれてよろけながらも、腰を下ろして妹と向かい合う。

片桐「うわっ!一体だれ…陽子?!」
陽子「兄さん!」

片桐はサングラス裏の目を大きく見開きながら、震えている妹を見下ろしていた。
片桐は今、海外のサッカー事情を学び吸収するために単身ヨーロッパに滞在している。
日本に居るはずの妹がそう簡単にこれる場所ではない。


146 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:24:20 ID:???
片桐「どうしてお前がこんな」
陽子「閉めて!お願いドアを閉めて!」

問いかけに対しもはや半狂乱と言っていい程の返事を受け、いよいよ尋常な理由ではないと知らされざるを得なくなる。
やむなく片桐は妹を左腕で抱えながら、開けっ放しとなっていたドアを閉め施錠した。

ドアが閉められた後、陽子は抱きかかえられてベッドまで運ばれる。
シーツの柔らかい感触が皮膚へ伝わってきた時、陽子の感情が再び噴き上がった。

陽子「兄さん、ああっ、よかった、もう、もう、わたし………」

兄の胸に顔を埋め、泣き始める陽子。泣けば泣くほど恐怖が蘇るようで、
次第に赤子のように激しく号泣する。片桐はそんな妹の頭をなでながら、昂ぶりが収まるのをじっと待つ。
嗚咽が静まり、体の震えが収まってから、泣き濡れた顔をハンカチでぬぐい、尋ねた。

片桐「どうしたんだ陽子、お前は日本にいたんじゃなかったのか。何があったんだ」

陽子「逃げてきたの、私が跡取りにされそうになったから」


147 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:26:39 ID:???
陽子「私が2年前に大学の修士号を得たのは知ってるでしょう。
   あの後片桐グループの後継者になるための教育を今までずっとされてきたんだけど、
   その『学習』の間は軟禁されているも同然で、ほとんど何もできなかった」

片桐「そうか……」

陽子「そして1か月前に母さんから、近々後継者と選定するらしいって言われたの。
   今までの様子から父さんは私を選ぶつもりだって確信していたから、
   必死で逃げだしてここまで来たの……でも、でも!」

話を続けていくうちにまたも恐怖に襲われ、震えが再び始まる。

陽子「飛行機を降りて兄さんのいるホテルに向かう途中で、知らない人達が現れて私を連れ戻そうとしたの。
   必死に逃げ回って何とか来れたけど、持ち物は全て置き捨ててきちゃったし、
   街の人がみんな私をつけているみたいで、怖くて、怖くて……」



片桐「……自分が生きたいように生きていきたいのか」

語りかけるような呟いたような、ポツリと漏らす片桐に、陽子は小さく頷いた。

―――――――――――――
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148 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:14:45 ID:???
――――――
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―――――――――――――

陽子が片桐家から脱出して数年後。
陽子は賀茂と共にサンパウロのとある料理店から立ち去ろうとしていた。
店では主に彼女が担当している業務と、
将来の日本サッカーの柱石となるであろう森崎と翼に対する分析の報告を、夕食をとりながら行っていた。

外はとうに暮れている。一日の仕事を全て終え空腹も程よく満たされた事もあって、陽子の瞼に眠気が漂う。
鈍くなった相手の様子から察した賀茂は、ポケットから車のキーを陽子へと放り投げた
。急にキーが投げられて一瞬陽子は動揺したが、何とか落とさずにキーを受け取れた。

賀茂「先に車で休んどけ、勘定はこっちで済ませておく。半額は後でいただくけどな」
陽子「え?いい年した大人が未成年の女の子と割り勘にするんですか」
賀茂「お嬢様が素寒貧にたかるんじゃねえ、四の五の言わずとっとと行け」
陽子「はーい」

賀茂とのやり取りでやや眠気を覚まし、陽子は車へ向かう。
解錠してドアを開け、助手席に座ると再び睡魔が襲いはじめ、うとうととまどろみ始めた。

勘定を済ませようとカウンターへ向かっていた途中、店員から賀茂は呼び止められる。
店員「コム・リセンカ(すみません)、あなたがミスター・ガモーでしょうか」
賀茂「ああ、そうだ」
店員「ミスター・カタギリより、お客様へのお電話を頂いております」
賀茂「片桐から?なんであいつがここにいるって分かったんだ」

ブラジルから遠く離れているはずのグラサン御曹司が何の因果か、面倒な手段で連絡を取ってきた。
せいぜいどやしてやれと受話器を取ったところで、聞き覚えのない男の声が聞こえてきた。

宗義「君が賀茂港君かね?私は片桐総合グループの総帥、片桐宗義だ」


149 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:18:37 ID:???
賀茂「んう?」

思いもせぬ相手の声に間抜けな反応をしてしまう。片桐の父が隠れも無き日本経済界の雄であり、
雲の上の人間である事は既に聞いていた事ではあるが、そんな人物から不意に声がかかって、
動揺を隠す事はできなかった。相手はその反応を受け、小馬鹿にしたような様子を交えた。

宗義「そして陽子の父親でもある。父親として言うならば、
   君達は娘のお守りをしっかりとこなしてもらって、大変に感謝している」

賀茂「お守り?その哺乳瓶にはビールが入っているけどな」

宗義「はっはっ、いやこれは失礼した」
純粋にユーモアで返されたと思ったか、笑って返答をさらに返す。

宗義「お守りと言ったは失礼した。私達の元へいた頃の娘の陰鬱を取り払い、
   明朗を取り戻させた君達の働きを、大変感謝する」

賀茂「あーそうかい、先に言っておくが、
   そのあんたの娘さんは金輪際家に戻るつもりはないそうだぜ。他ならぬあんたのせいでな」


150 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:19:57 ID:???
宗義「その事については私も深く反省している。急いて事を仕損じかけた。
   だが今度はそうした事も考慮して教育に当たっていく積りだ。娘は返してもらう」

賀茂「どう手心を加えようがあいつの心は変わらんよ。
   それに既にサッカー協会の一員として期待されている人間の1人なんだ、
   これは俺だけじゃない、もっと上の人間にかけあっても同じだぜ」

精一杯気づかれぬように凄んでみせる賀茂。
そんな空威張りを宗義は軽く鼻で笑ってから、冷ややかに話を続けた。

宗義「君達には失望したよ。やはりこんなところで油を売らせるより、
   一流の人間が揃った環境の中でいさせるのが一番良かったんだ。君達はもう娘に何もしなくていい。
   ドナルド・トランプ流に言うと、こういう事だ。残念だが、クビだ」

口元に笑みを浮かべ、宣言した。音吐の冷えに胸騒ぎを覚えた賀茂が自らの車に目を向けると、
陽子以外の赤の他人がドアを開けて乗り込んでいた。瞬間、賀茂は受話器を放り投げ車へ向け駆け出した。
バックライトは光っている。賀茂が着く前に走り出すだろう。


151 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:21:42 ID:???
陽子「…う…ううん………」

陽子の瞼は震え、ゆっくりと開きだす。
キーをもらって車を開け椅子に座った後はうとうととまどろんでいた。
何かの拍子で目が覚めて、横に振り向く。

陽子「!」

運転席を見て驚愕した。ハンドルを握っているのが賀茂ではない。
長身痩躯、黒スーツに黒サングラスと似ても似つかぬ日本人の男だった。

陽子「あ、あなたは!?」
黒服「お気づきになられましたか、陽子お嬢様」
陽子「!!」

この男は追手だ、このままでは父の元へ連れて行かれる。
そう悟った陽子は逃げようとしたが、手足が縛られていて動けない。
うたた寝をしている間に紐で固定され、ドアに手を掛ける事もままならない。

黒服「お静かに願います。ここはまだ路地裏です、外へ出れば大変危険です」
陽子「あなた達の方がずっと危険よ!賀茂さんはどうしたの!?」
黒服「運転手は私に交代いたしました。これより私が責任を持って目的地まで移動いたし…」
陽子「嫌よ!早く車を止めなさい!」
黒服「お断りいたします。いかなる手段を用いてもお嬢様を日本へ連れ戻せとの、
   会長直々の御指令がありますので」


152 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:22:46 ID:???
このままでは日本に戻される。なんとかして車を止めないと。

陽子は倒れこむように男へと飛びかかり、ハンドルを握る男の手に噛みついた。

黒服「っ!」

男は顔をしかめる。陽子の歯は深々と肉に食い込み、唇をつたって血が滴り落ちている。
痛みに耐えかねた男は車を止めて陽子を引き剥がすと、裏拳を水月に撃ちこんだ。

陽子「あぐっ……!」
黒服「お静かに願います」

もうだめだなにもかもおしまいだ。絶望に覆われくず落ちる陽子。
勢い余って座席下に転げ落ち、意識を失ってしまったが、それが陽子にとって幸いとなった。

ガシャアアアアアアアアン!

陽子側の窓ガラスが蹴破られ、飛び込んできた男に黒服の男は外へ押し出された。
何が起こったか分からず呆然としている黒服に、
陽子のよく知っている男はドアを閉める間際に黒服へ吐き掛けた。

賀茂「クビだ」


153 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:24:19 ID:???
路地裏を抜け、人通りの多い大通りを走らせているところで、
自動車電話が鳴り響いた。ちょうど信号待ちの時であったため、賀茂が受話器を取る。

宗義「時間だ、ちゃんと陽子は連れてきたか?」
賀茂「生憎だが、まだらしいぜ」
宗義「………」
思いもよらぬ相手に、相手は押し黙る。

賀茂「もういいかげん、嫌がってる娘を無理矢理連れさらおうとするのはやめるべきだと思うけどな」

宗義「……とりあえず君の頑張りぶりを評価するとしよう。
   だが、後継者の件については変えるつもりはない。いずれは娘も理解する」

賀茂「もう諦めろ、どうにもならない事でいつまでも拘っていたら、残り少ない老い先がますます短くなるぜ」

宗義「娘は一時の気の迷いになっているだけだ、
   落ち着いて思慮分別を養えば必ず我々の意義を重んじるようになる。必ず娘は取り戻す」

ガチャッ。

賀茂「あっ、おい!……切れやがった、言いたいことだけ言いやがって、ガラスの弁償ぐらいしやがれ」

ぶつぶつとはるか遠くの宗義に向かって悪態を吐く賀茂を、
そしてその下の受話器を、助手席からぼんやりと瞳が見つめていた。


154 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:25:35 ID:???
今日はここまで、このところ忙しくなってなかなか更新できませんが、
週1でも定期的に更新していきたいです。

155 :森崎名無しさん:2013/03/17(日) 16:38:44 ID:???
まさかの賀茂主役!?w

156 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 18:28:11 ID:???
いやいやw
まあ、迷監督や汚物扱いじゃない賀茂さんがいてもいいじゃないwってことですね。

陽子さんの回想はもう少し続きます。更新はもう少しかかりますが、
彼女の感情の推移をお楽しみください。

157 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/21(木) 20:29:49 ID:???
申し訳ありませんが、少々トラブルがありましてしばらく更新できそうにありません。
これから1か月かかるか、1週間もかからないかは分かりませんが、少なくとも
今週の土日には更新できそうにありません。誠に勝手ではありますが、
今しばらくお待ちしていただければ幸いです。

158 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 14:47:37 ID:???
ようやく更新できるようになりましたので、これより投稿いたします。

私的なトラブルに続き転職することとなった為、予定より遅れてしまいました。
今後は仕事の為に今以上に更新頻度が遅くなるかもしれませんが、
なにとぞ今後も拙稿を読んで楽しんでもらえればうれしいです。

最後に、今回の投稿は一部本編の文章をそのまま、あるいは一部変更して
用いている箇所があります事について、なにとぞご容赦を願います。

159 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 14:49:47 ID:???
――――――
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――――――――――――― 

さらに時は流れる。
インドネシア、ジャカルタのとある国際ホテル屋上。
ホテルは高く、ジャカルタ800万の喧騒も屋上では虫のさえずり程にしか響かない。
空は雲に包まれるも風涼しく、こうした天地の加護を受けてか、男女2人が誰に邪魔されることなく語り合えていた。
男の方は緊張しながらも躊躇うことなく自らの心境を明かしている。
女も同様に心の奥底を開こうとしているが、男に比べて憂いの色が強くにじんでいた。


160 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 14:52:55 ID:???
陽子「だからこうやって兄さんの所に転がり込んだの。
   生まれつき約束された物を夫付で受け取らされるんじゃなくて一般人のフリをしながら自分の力でゼロからスタートする…
   それは充実していてワクワクする生活なんだけど、いずれはきっと終わるわ…」

陽子「(きっと終わってしまう……どんなに私があがいても、どうしようもない……)」

陽子の脳裏には、かつての拉致未遂以降の記憶が去来していた。
あの事件が失敗に終わった後で、不審者は影さえ見えなくなったが、
代わりに陽子の日本サッカー協会での活動が、陰に陽に妨害されるようになった。
陽子の部屋が何者かに荒らされ、彼女に託された文書・資料がボロ屑とされた事は幾度となく繰り返された。
少しでも機密が求められる情報を陽子に任された際は、決まって外部に漏洩され、
その都度協会の信用と活動範囲を揺るがせる結果となった。
これまで快く協力してくれていた外部団体や他国のサッカー協会との連携も、
末端の協力者の一員として陽子が参加した途端、あからさまな態度で断られるようになった事さえあった。


161 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 14:57:37 ID:???
今もなお、兄や賀茂は勿論、日本サッカー協会も陽子の活動を続けさせてはいる。
1人の少女の夢の支援というよりは、外部からの不当な圧力に対する
断固たる拒否の姿勢を示すという面が強かったが、ともかく現在も陽子は何とか活動を行い得ている。

だが度々の干渉が、1人の小娘が原因で引き起こされている事が知れ渡るにつれて、
周囲の視線と空気が寒々しくなっていく事はどうにもならなかった。

陽子「(ダメよダメ、ダメ、私が出来る事なんて何も無かったんだ。このまま引き戻されておわり……)」
森崎「俺は諦めるのが大嫌いだ。諦めるなんて勿体無さ過ぎる」
陽子「(!)っ………」

キッパリとした相手の返事に、陽子は息を飲んでたじろぐ。何の迷いも無い、力のこもった言葉。
動揺を隠そうと目を背け、コップにビールを注ぐも、胸が詰まってしまい泡をただ見つめるだけになった。
ややたって、陽子が口を開く。

陽子「私だって、諦めるなんて嫌よ…」
森崎「だろう?」
陽子「でも、受け入れなきゃいけない現実や運命だってあるの。それに成す術無いまま抗い続けるのは…とっくに疲れたわ」


162 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:01:01 ID:???
陽子「森崎くんだって…いくら諦めないと固く思っていても、一度奪われたゴールを無かった事には出来ないでしょ?
   一度負けた試合はもう勝てないでしょ?ワールドユース本大会の抽選だって勝手に決められるだけじゃない。
   森崎くんにいくら精神力があっても、どうしようも無い事だってあるじゃない」

陽子の瞳は僅かに潤んでおり、頬もアルコールのせいか朱に染まりだしている。
越えようとしても越えられぬ思念の泥沼へと入り込んで、思考は堂々巡りを繰り返していく。

森崎「取られたゴールを嘆くよりも、それを取り返す方法を考えた方が良いぜ」
相手の返事を受けて、陽子の顔がわずかにゆるむ。だが元気になった訳ではない。

陽子「やっぱりね。森崎くんならそう言うと思った」
沈鬱な気がより表情に重ねられただけであった。

森崎「…じゃあ、なんでそんなに悲しそうなんだよ」

陽子「森崎くんはとってもメンタルが強い選手。上を上を目指す事ばかり考えて、邪魔する者は全部蹴散らす。
   ついてこれない者は容赦なく切り捨てる。サッカー選手として一つの理想像だと思うわ」

森崎「なんでそれが悪い事の様に言うんだよ!?」

森崎には分からなかった。陽子の背景は知っていても、彼女に及ぼした影響は分からなかった。
陽子の人となりはこれまでの交流で把握したと思っていたが、彼女の心の奥底に積もる思念には気付いていなかった。


163 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:05:49 ID:???


――――――俺、パルメイラスと契約延長したら指輪を買うんだ…――――――

ドキン。

森崎の返事を聞いて、急に胸が高鳴る。
陽子「(……えっ?)」

思いもよらぬ突然の告白に、一瞬思考が停止する。これまでの陽子の人生の中で初めての感情の直撃を受け、
頭の中は麻痺したような、蕩けたような、陶然とした状態になっていた。

陽子「(え……ゆ、指輪?森崎くん、私のこと、好きなの!?……あっ、いやっ…ど、どうしよう……)」

カッカッと顔が火照りはじめ、こころよいとまどいの中にときめきを感じ始めていた。

断続的であり仕事の一環ではあるが、陽子は3年もの間森崎を観察してきた。
その過程で、何者にも屈しようとせず、どんな絶望的な状況に陥っても諦める事を知らない闘志を感じ取り、
知らず知らずのうちに敬意を抱くようになっていた。

そうした中でのこの発言である。嬉しい、とおもった。
こうまで言われて心が動かない女は、女でないであろう。だが。


――――――ダメだ………――――――


瞬時にして諦念が雲のように陽子を覆う。自らの状況と経緯がふとした拍子で思い出された途端、
よろこびが霧のように掻き消えた。自分は何もできないお荷物、困難に立ち向かえない負け犬、意気地なし………

踵を返しパーティ会場から立ち去る。周りの反応も目に映らず、何も考えぬまま去って行った。


164 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:08:10 ID:???
陽子「だけど…それはサッカー選手として理想でも、男性としては理想とは言えないわ。
   そういう生き方が出来るのはごく僅かな一握りの人だけよ。
   森崎くんは常にそう言う世界で生きてきたから、そう言う覚悟を決めた人ばかり周りにいたんでしょうけど…
   私も含めて、大抵の人はそこまで強くないわ。何時か頑張る事に疲れちゃうのよ」


できない。私はもう頑張る事もできない。
森崎くんは違う。強い意志を抱いて1人でどこまでも行ける。
もう私には手が届かない。後をついていく事さえできない。私は……


森崎「自分だけじゃ頑張れないって言うんだったら、俺が引っ張ってやるよ!」

ドォン!

陽子「う………」
衝撃が胸に撃ち下され、全身が打ち震える。

森崎「確かに誰もかもが俺みたいに強くはなれないだろうよ。当たり前だ。俺はキャプテンなんだからな。
   誰にでも出来る事しか出来ない奴が人の上に立てる訳が無い。だから俺が引っ張るんだ。
   俺は勇気や野心なら人に分けてやれる程余っている。自分だけじゃ頑張れないんなら、俺を頼れよ!」


165 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:12:00 ID:???
陽子は震えはじめた。体ではない。身体に沈んでいるなにかが、震えている。
震えは段々とひどくなる。それにつれて余裕がなくなり、
とうとう森崎から顔を背けてポツリポツリと呟くだけになってしまった。

陽子「どうして…どうしてそこまで言ってくれるの?そこまで私が好きだって言うの…?」
森崎「ああ。そうじゃなきゃこんな事言わねえよ」

陽子「分からない…今までサッカー一筋だった森崎くんが、私をそこまで好きになる理由なんて、思い当たらないわ」

森崎「俺だって分からねえよ!その通り、俺だって恋愛とかはするとしたらプロとして成功してからだろうと思っていたよ。
   引退してもそのままで、生涯独身で過ごす可能性だって高いと思っていた。だけど今の俺は陽子さんが欲しいんだ!」

沈殿していたものが陽子の体内で躍動しだす。次第に熱を帯び始め、熱水が滝のように胸へ注ぎ落ちる。

陽子「…私が、欲しい…」

森崎「そうだよ!俺は他人には嘘だってハッタリだって言うが、自分には嘘はつかねえ!
   今言ってる事は後で考えたらメチャクチャ恥ずかしそうだけど、だからと言って言わないのはもっと嫌なんだよ!
   陽子さんだけの力じゃ陽子さんの運命を変えられないって言うんだったら、俺の力で変えてやるよ!………」

ここで森崎は言葉が続かなくなった。思うところを言いつくし、感情全てをさらけ出した事で、心理的な余白が生じた。
そこで森崎はここまで一方的に言われ続けた陽子に思いが至り、反応を待つべくじっと陽子を見つめた。すると。

陽子「………プッ。なんだ。ちゃんと口説こうと思えば出来るんじゃない」
森崎「ハア?」


166 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:16:34 ID:???
陽子の反応は…失笑だった。相変わらず顔は背けていたが。
泣きそうになったかと思えば突如笑い出したりする乙女心の気紛れさに
森崎は怒りも忘れて呆気に取られてしまう。

陽子「あ〜あ、昨日は散々森崎くんを意気地無しだって思っていたのに。これじゃ意気地無しは私じゃない」
森崎「だから、昨日は…その。昨日のままにしておきたくなかったから来たって言っただろうが!」
陽子「うん…だから、今日は私に逃げさせて」
森崎「へ?………あ」

ガタン。

森崎の方に振り返りながら席を立った陽子の顔は光っていた。とうとう零れだした涙の筋で。
備えつきのランプの光を反射して輝く泣き笑いの顔が森崎の瞼に焼きつく。

陽子「今夜は…これ以上はダメ。もう何を言うか分からないから」
森崎「あ、ああ」


167 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:18:40 ID:???
陽子「でも…有難う。嬉しかった。明日の試合も勝ってね」

その言葉を最後に、陽子は立ち去る。エレベーターのボタンを押して中に入った。
森崎の姿が見えなくなった途端、堰を切ったように両眼から涙が溢れ出た。

陽子「(いいんだ!私も頑張っていけるんだ、森崎くんと一緒に!)」

ゆっくりと瞼を閉じながら、穏やかに微笑みだす陽子。
他人が見れば、まるで泣く事を楽しんでいるかのようにさえ見える表情である。
実際、ある意味ではそうと言えるかもしれない。
陽子の中でよどんでいた靄が涙が融けてゆき、未来への希望が蘇ってきたからだ。

陽子「(もう負けない、絶対に挫けたりなんかしない!絶対に夢を実現するんだ!そして……)」

チーン。

ドアが開くとともに、顔を拭うことなく自分の部屋へと駆け出す。
涙を流していた瞳は燦々として、強い輝きを放っていた。

―――――――――――――
―――――――――
――――――


168 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:58:24 ID:???


これまでの記憶が頭を飛来するなか、陽子の心がかつてのようによどんでくる。
兄さんは私に夢へ向かうきっかけを与えてくれた。
賀茂さんは私を父から取り戻してくれた。
サッカー協会の人達からも数数え切れない程に教えてもらった。
そして、森崎くんからは再び困難に立ち向かおうとする意志と、もう1つの夢をもらった。
………私はみんなに何ができたんだ?

陽子が少しずつ潰れていく。果ての無い自壊的な慙愧が激しく駆けめぐる。

何もできなかった。いや、何もできないどころか、みんなが目指してきた夢が、今私のせいで微塵にされてしまう。
サッカーが、ようやく定着しようとしている日本のサッカーが、
私のせいで消えてしまう。………私のせいで。



169 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 15:59:57 ID:???
陽子「もう、何もかもおしまいよっ!」

突然、陽子の目がカッと開かれ、叫ぶ。

陽子「私のせいで日本のサッカーが消えちゃうんだ!
   わがまま言って逃げ込んでこなければ、私がもっと早く家に戻ってればよかったのよ!」

賀茂「お、おい陽子……」

陽子「私なんか最初からいなければよかった!私のせいで!私のせいで!私のせいでっ!!
   うわあああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」

あらん限りの大声を発して、床に突っ伏して号泣する。
片桐も賀茂も陽子の悲痛にどうする事もできず、ただうなだれるより他はなかった。



*陽子の感情が以下のようになりました。
陽子→(罪の意識)→片桐・賀茂・日本サッカー協会

*陽子の感情が発覚しました。
陽子→(思慕・罪の意識)→森崎

170 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/07(日) 16:02:17 ID:???
本日の投稿は以上です。

171 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/11(木) 22:39:58 ID:???
きらめき高校地下1階特別研究所。備え付けテレビの映像を流しながら、
紐緒結奈は椅子に腰かけて2日前に発明したばかりの、
リモコンほどの大きさの最新型バグ検知器とバグ生成機の最終点検を終えようとしていた。
部品の確認を行いながら、現在までの1年間の犯人探索の総括をする。
  
紐緒「(あれから1年たった、私の設計した「バグマシーン」試作機とその理論をまとめた論文を扱える組織は、そう多くない。
めぼしい大学やその付属研究所は全て私自身が潜入し、これはと思う人間の口も割らせてみたけど、結局何も無かった)」

部品の有無を確認し、内蓋に指をのせて指紋を認識させた後で施錠させ、机に置いた。ぼんやりとテレビを眺めながら思考を続ける。

紐緒「(日本国内の有力大学以外の組織で同等の研究・開発能力を有するところは、
せいぜい若林財閥に片桐コンツェルン、ヒューガー関連の研究所、この3つぐらい……
このうち若林とヒューガーの方については大学と同じく全くの収穫なし。残るは片桐のみとなるけれど………)」
と、ここまで考えを進めていたときだった。
  
ガガガガガガガガガ……
  
バグ検知器が作動した。放射能を検知したガイガーカウンターのような警告音が鳴り始めた。
急いで検知器の先を見ると、入場行進を行う全日本ユースときれぼしJAPANの姿が見えた。
思いもよらぬところからの機械の反応に、普段は冷厳な紐緒も目を見開く。


172 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/11(木) 22:44:55 ID:???
紐緒「えっ、バグ反応!?なんで……」

もう一度手にしていた検知器を顔に近づけ、配線等を確かめたが、どこにも異常はない。
一旦テレビの電源を落とし、筐体を外して内部を分解したが、バグの発生源らしきものは見つからなかった。
やはりバグ発生源はスタジアムなのだ、そう思いながら解体したテレビを元通りに戻し、最後のネジを締めていた時、
ふっとある書籍が頭に浮かんだ。

紐緒「たしか……」
椅子から立ち去り研究室左手のドアを開け、書庫の中から分厚い学術書を運び出し、椅子に戻って探り始めた。


173 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/11(木) 22:47:42 ID:???
紐緒「(サマータイム・ルデータジ著『ルデータジ変換理論』
   第8章第9条、媒介における乱数具現体への影響の差異……424ページ、425、426……)……あった」

427ページに探していた記述を発見し、確認のために読み上げてみる。

紐緒「……『乱数具現体は固有の振動数と周波数を有し、発生源により放射された粒子は媒体を介してもその特徴は変化しえない』
   ……やはりバグはあのサッカースタジアムから、おそらくはあの異形の集団から発生している……」
そこまで思いをめぐらせた後、バタンと本を閉じすっくと立ち上がった。

紐緒「さあ、行くわよ。絶対に犯人を捕まえてやる!」
紐緒は検知器と生成機を手にして猛然と研究所を走り去った。
高校から競技場までの距離は近い。走って向かっても試合終了までには間に合うだろう。
  

先着で★翔けよ閣下→! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
Eメール欄は空欄にして、IDが表示されるようにしてください。


JOKER:高校の目の前はスタジアムだった!試合開始前に到着。
ダイヤ:バイクに乗って向かう。渋滞もなく、試合開始直後に到着。
ハート:タクシーに乗って向かう。渋滞もなく、前半10分台に到着。
スペード:自転車に乗って向かう。懸命に漕いで、前半30分台に到着。
クラブ:タクシーに乗って向かうが、渋滞に巻き込まれた。到着時には前半終了。


174 :森崎名無しさん:2013/04/11(木) 22:48:12 ID:j/13d1G6
★翔けよ閣下→ クラブA

175 :森崎名無しさん:2013/04/11(木) 22:51:33 ID:???
マモノで渋滞か

176 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/11(木) 23:31:16 ID:???
>>174
げえっ、マモノ!
……クラブA分岐設置を取りやめていて良かったです。
来ないと思っているときに限ってやってくるのが怖いですね…



★翔けよ閣下→ クラブA ★ タクシーに乗って向かうが、渋滞に巻き込まれた。到着時には前半終了。
----------------------------------------------------------------------------

猛然と走り出した紐緒だが、高校からスタジアムまでは遠く、走っては到底間に合わない。
バイクがあればもっとも良かっただろうが、研究に没頭しきっている彼女が免許を取る
時間が取れるはずもなかった。

スタジアムに向かうバスも電車も無い。せめて自転車でもあれば良かったが、
全ての才能を頭脳に注いだ彼女には自転車の運転など、中国雑技団の演技ばりの
難題妙技であった。

仕方がないので電話でタクシーを呼びつけ、一路スタジアムへと向かったのだが……

177 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/11(木) 23:48:26 ID:???
プーッ!プーッ!プーッ!

進まぬ車に苛立ちのクラクションが四方から鳴り響く。
前も後ろも右も左も、道路は車で埋め尽くされ動く気配さえ見えなかった。
タクシーの運転手が客に話しかける。

運転手「ものすごく混んでますねえお客さ…ま?」

後ろを振り向いた運転手は怯えた。後部座席には紐緒が両腕を組み、
まるで運転手がこの渋滞を起こしたのだと責め立てるかのような、
鬼気迫る顔つきをしていたのだから。

紐緒「…知ってるわよ。この先で乗用車5台とトラック2台の玉突き事故、
   復旧の見通しはたっていない、ラジオで散々言ってるじゃない」

運転手「は、は、はいっ」
慌てて前を向きなおす運転手。予想もしなかった事態に、イライラが募っていく。

紐緒「(急ぎの用じゃなかったらこんな鉄の集まり、このバグマシーンで消し飛ばしてやるのに、
   ここで使ったらエネルギーがなくなる……クッ!)」

歯噛みする紐緒。この試合における最後の役者となる彼女の出番は、まだ先になりそうだ。

178 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/11(木) 23:50:40 ID:???
今日はここまで。陽子さんも紐緒さんぐらいの文章量で納める
予定だったのに…どうしてこうなった!

179 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 10:34:52 ID:???
試合開始まで10分を切り、霞ヶ丘陸上競技場内は大歓声に包まれていた。
6万人以上を収容する国内最大級のスタジアムの観客席は人の海と化している。

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーッ!
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーッ!
ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!

長野「やっぱりスッゴイ喚声だなあ」
小田「え?何?」
長野「凄い喚声だって言ったんだ!」
小田「あ、ああ、そうか、ごめん!よく聞けなかった!」

スタジアム内の一角に、かつての南葛高校サッカー部員達も観戦していた。
皆固まって座っており、長野と小田は隣通しだったが、それでも互いの声が満足に聞こえない。

長野「たしかに、爆音で頭が弾けそうだ」
小田「ジャパンカップの頃とは比べ物じゃないよ、あの時だって結構いたのに」
一条「ほんと、サッカーに対する注目度が爆上げしましたね」
岸田「…プロリーグが出来る日もそう遠くなさそうだ、なぁ」
西尾「もっと長くサッカーし続けてたら、俺達もプロになれたかも…」
浦部「過ぎた事こね回しても仕方ねえって!豆腐食って忘れろよ」
大川「そうですって、どう頑張ったって届かないのが天才で、森崎や翼達全日本ユースなんだから」


180 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 10:38:35 ID:???
長野達が色々と感慨にふけっていた頃、その隣では骨川とマネージャー2人、
そして南葛高校野鳥観察会の面々が、双眼鏡を握りスタジアム内をしらみつぶしに捜索していた。

骨川「西本先輩、杉本さん、見つかりますか?」
ゆかり「駄目、全然見つからない。日本の試合だからいるかと思ったんだけど…」
久美「人が湧き過ぎて影も形も見当たりませんよー…」
骨川「そうですか……おーい!お前達は中沢先輩を見つけたかー?」

骨川達は早苗を捜索していた。日本の大会なら、ひょっとしたら観戦しにここへきているかもしれない。
そう思ってわざわざ観察会の面々を自腹を切って呼び寄せ、早苗探しに協力させたが、結果は思わしくなかった。

会員A「いませーん」
会員B「西側スタンドでは見つかりませんでした」
会員C「何が何だかさっぱり」

その他の人員も、異口同音に対象の不在を告げる。骨川は溜息をついて、腰を下ろした。
骨川「(ふうー、一体どこにいるんですか先輩?もう見当もつきませんよ…)」

ゆかり「(早苗……どうしていなくなっちゃったの?)」
久美「(絶対にいますよね……絶対に生きていますよね………)」


181 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 10:40:36 ID:???
浦部「それにしても岩見の奴、一体どこに行ったんだろうな」
岸田「そういやそうだよな、1か月前だっけ」
浦部「ああ、それぐらい前に『旅行に行く』とか言って、行先も告げずに行ったんだよな」
小田「どこかでこの試合を見てるのかな……あっ、そろそろだ!」

午後1時55分。解説席からアナウンスが流れる。

カビラ「6万人のサッカーファンが試合を待ち望んでいます。サッカーファンの皆様こんにちは、ジョンカビラです。
全日本ユース、対、きれぼしJAPAN。解説は信藤健仁さんを迎えてお送りしております。信藤さん、よろしくお願いします」

信藤「どうもこんにちは、よろしくお願いします」

カビラ「間もなく選手が入場してくると思います。試合前に、今日の試合について信藤さんはどう考えておりますか」

信藤「相手のきれぼしJAPANについては全く情報がありませんが、ワールドユースを制覇した全日本に挑戦しようというチームです。
きっと名選手が揃っているのでしょう。それぞれのチームがどうゲームを組み立てていくかで決まると思います」

カビラ「なるほど、ありがとうございました」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーッ!

試合開始が間近に迫った事を悟り、スタジアム内の群衆が大歓声を上げる。
天を衝くほどの熱狂がスタジアムから爆散している。
ほぼ時を同じくして、答えるかのように音量を上げた放送が発せられた。

カビラ「選手の入場です!」


182 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 10:43:19 ID:???

全日本ユース・きれぼしJAPAN両陣営がフィールドを行進する。
きれぼしJAPANの光景が観客の視線に入るにつれ、興奮の坩堝と化していたスタジアムは次第に鎮静化されていく。
そして完全に沈黙したと思った瞬間、別の歓声に覆われた。

「なんだよあれーっ!」「誰だよアイツら!」「日本人いなくね?」「いやいるだろ!…1人だけど」
「身長差ひでえ!」「あははははああーーっ!」「変過ぎるぅううー!」

奇々怪々な面相に注目が集まり、爆笑する群衆。

カビラ「え…あ、こ、これは大変に個性的、奇抜な選手団の入場、です」
信藤「さ、さまざまな人種、国籍の混成チーム……」

解説員も言葉が詰まり、放送事故寸前にまで追い詰められていた。
きれぼしJAPANの面々はそうした反応に慣れているのか、皆顔色一つ変えない。
全日本側も事前に得た免疫と自らに課された課題の重さから、笑う事はなかった。
入場が終わり、選手が自分たちのポジションへと散っていく。そのままであればこの後すぐにキックオフとなったであろう。
ただその前に2人の選手が森崎と翼の方へとやってきて、語りかけた。

???「森崎、久しぶりだな」
???「ツバサ!今日こそお前に目にもの見せてやる!」

相手を見た森崎、そして翼も驚愕した。なにせ相手2人はそれぞれのチームメイトであったのだから。

森崎「岩見!」
翼「バチスタ!」


183 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 10:51:35 ID:???

長野「ブーーーッ!」
小田「ブーーーッ!」
一条「ブーッ!」
岸田「ブーーッ!」
西尾「ブーーッ!」
浦部「ブーーッ!」
大川「ブーーーッ!」

長野が コーラ を、小田が ポーション を、一条が ドリンクバー を、
岸田が ジンジャーエール を、西尾が 白湯 を、浦部が ゲータレード を、大川が 緑茶 を口から噴出し、
7色の虹をスタジアム脇で発生させた。驚くのも無理はない。
南葛高校サッカー部のチームメイトであり、長野など旧南葛中出身者は6年もの間共に過ごした岩見兼一が、
何食わぬ顔で敵チームに加わっていたのだから。

森崎「ど、どうしたんだよ、なんでお前がそこにいるんだ!?」

岩見「どうしても森崎達と勝負がしたくなってな、色々としてこのチームに加わったんだ。
互角に戦えるように、たっぷりとトレーニングも積んだ。俺はお前達に勝ってみせる」

森崎「お、おう……(突っ込みどころが多すぎるぞ、取りあえず何て答えよう?)」


A「どんな伝手をたどってあんなチームに入ったんだ?」 なんであんなチームに入ったんだ?
B「そうか、お前は騙されているんだ!」 こんなチームに入るとかありえない、何かの間違いだ!
C「そうか、そいつは楽しみだな」 普通に対戦相手として遇する
D「そんなに強くなったんなら、なんで全日本ユース選考に選ばれなかったんだ?」 能力を疑問視する
E「尾崎とかとこんとか、あいつらについて知ってる事はないか?」 情報提供を呼びかける
F その他、自由回答(要3票)


2票選ばれた選択肢で続行します。


184 :森崎名無しさん:2013/04/13(土) 10:58:20 ID:WJlNKDfk


185 :森崎名無しさん:2013/04/13(土) 11:02:43 ID:ZrVPn3wI
A
口からドリンクバーってどんな状況なんだよ、一条!?

186 :森崎名無しさん:2013/04/13(土) 11:13:58 ID:gugfc0So
A

187 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 12:20:05 ID:???
用事がありますので、残りの更新は今日の夜に行います。

188 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 21:45:22 ID:???

>>174
ドリンクのあわせ飲みでもしてたんでしょうかね?


A「どんな伝手をたどってあんなチームに入ったんだ?」 なんであんなチームに入ったんだ?
--------------------------------------------------------------------------------------

なぜこんなチームに入ったのか。いくら思考の糸を巡らし関連をたぐろうとするも、
発した途端に糸が途切れ、混乱を催すだけだった。結局どうにも見当がつかず、岩見に尋ねるも、
岩見はよくぞ言ったという風に含み笑いをしたが、期待した答えは得られなかった。

岩見「悪いな、今は言えないんだ。聞かない方がいいとも言えるけどな」

森崎「何?どういう事だ?」

岩見「気にしない方がいいって事さ。ま、知りたいならちょっとだけだが言うぞ。俺にこのチームを勧めた奴は、お前達の中にいる」

森崎「なにィ!一体だれ」

岩見「それだけだ、じゃあな森崎、俺のワザを見て驚くなよ」

驚き問おうとする森崎を遮り、岩見は手を振って自らのポジションへと向かった。
一方森崎は予想外の岩見の答えに押し黙ってしまう。

森崎「(どうなってんだ、このチームの中に敵への手引きをした奴がいるだと?誰が裏ぎ…
   いや、ただのブラフかもしれねえ、ああもう、一体全体なんなんだ!)」


189 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 21:48:38 ID:???
すみません、>>174>>185の誤りでした…



森崎が1人迷いと疑いに襲われていた頃。

バチスタ「へっへっ、ツバサ久ぶりぃ」
翼「……」

翼はサンパウロユース時代のチームメイトだったセルジオ・ダニエル・バチスタと対峙していた。
整った顔立ち、風でたなびかれた輝くような銀髪、すらりとしながらも硬く引き締まった身体は、
美少年と審美しても差し支えの無い容姿であった。
だがニヤニヤと唇と頬を歪ませ舐めまわすように翼を睨み付けているその顔つきは、お世辞にも美しいとは言えなかった。

バチスタ「俺の事は覚えていたみたいだなあ、とっととプロになられて忘れ去られたかと思ったぜ」
翼「君のその汚い顔を忘れようなんて、無駄な努力だからね」


190 :きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/04/13(土) 21:51:57 ID:???

悪意たっぷりの嫌味を柳に風と聞き流す翼。サンパウロFCへ入団して以来、
バチスタから翼は様々な妨害、嫌がらせを執拗に受け続けてきた。
それに対して、反応する事もなく圧倒的な実力と勝利というチームへの貢献を淡々と積み上げて、
ぐうの音も言わせないように黙らせてきた。
プロに入ってからは姿さえ見ていなかった、とうに視野の範囲外の人間だったのだ。

翼「君はもっと建設的な事に力を注ぐべきだったと思うよ。そうすればサンパウロから去らずに済んだかもしれないのに」

バチスタ「ほざけ!俺は力を得たんだ!今度という今度こそ、
     てめえに分際ってのを教えてやるぜ!後で吠え面かくんじゃねえぞ!」

ペッ!

勢いよく唾を翼に吐き、悪態を吐き続けながら立ち去るバチスタ。
聞き苦しい雑音が聞こえなくなった後、翼は手でユニフォームについた唾を拭き取った後、拳を握りしめた。

翼「(バチスタ…例え悪魔と取引したとしても、お前なんかには絶対に負けない)」


*翼→バチスタ、バチスタ→翼の感情が発覚しました。
翼→(汚物・取るに足らない)→バチスタ
バチスタ→(憎悪、侮蔑)→翼


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0ch BBS 2007-01-24