キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【皇帝は】キャプテン森崎45【王国に挑む】
1 :
代理
:2013/06/13(木) 23:55:33.63 ID:iMHL0ZcB
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。
基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。
投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。
過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html
ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1368769203/
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。
【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルに留学した彼はリオカップ、ジャパンカップ、ワールドユースアジア予選と言った
数多の激戦を経てワールドユースの出場権を勝ち取り、全日本ユースのキャプテンと正GKとして
ワールドユース本大会に殴りこんだ!予選グループを勝ち点7の1位で突破した彼らは
準々決勝でオランダユース相手に3−0で快勝。しかし準決勝の相手、イタリアユースは
主力2人が退場しても尚1−1で食らいついてくる程の難敵だった!後半40分で
イタリアボールと言う状況で、攻め疲れした日本は失点の危機に追い込まれている…
…こんな感じで話は進んでいます。
207 :
代理です。
:2013/08/16(金) 07:24:34.72 ID:SSFoO4rY
〜ブラジルユース宿舎〜
ゲルティス「(アルシオン…ストラット…残念だったな)」
サンタマリア「よし。第一次データ収集はこれ位でいいか」
トニーニョ「今はドイツ解析の方が先決だな」
ネイ「昨日も散々やってたのにまだやるのか。俺には到底マネできないなァ」
ドトール「チームにはそういう役目の者が必要だ。俺も手伝おう」
アマラウ「ご苦労さん。頼むぜ」
ディウセウ「オラ、腹減っちまった!なんか食いに行こっぜー!」
ザガロ「ウナギだ。それ以外は認めん」
マウリシオ「またそれッスか!栄養偏りますよ!」
ジェトーリオ「僕は別の店に行くよ〜ん」
コインブラ「(…解せない」」
カルロス「(やはり、コインブラは孤立しているな。本人がそれを気にしていないのが一番の問題だ。
だが、今日の試合にコインブラは明らかに何かを感じていた…それがこいつの魂に火をつけてくれれば…)」
コインブラ「(何故イタリアはあれ程粘る事が出来た?何故そうした?理不尽な退場を重ねられたのにも
関わらず、何故抗い続けられた?そこまでして勝ちたかったのか。何の為にそんな事を…)」
208 :
代理
:2013/08/17(土) 00:44:14.14 ID:7XyIeOqZ
〜全日本ユース宿舎〜
その日の晩、イタリアを打ち破った疲弊を元にホテルに戻った全日本ユースの選手達を
出迎えたのは彼らにとっては極めて予想外な人物だった。
オワイラン「やあ、全日本ユースの皆!お疲れ様!」
森崎「へっ?…お、お前、サウジアラビアの?」
中山「マーク・オワイラン…」
オワイラン「覚えていてくれて嬉しいよ。疲れている所に押しかけて済まないが、
まずは決勝進出おめでとうと言わせて欲しい。君たちの躍進はサッカーは
欧州と南米だけの物じゃないと証明してくれたんだ。この調子でそのまま優勝して欲しい」
森崎「あ〜、激励に来たのか…それは分かるんだが、お前の後ろに居る白衣の群れは一体…」
オワイラン「我がサウジアラビアサッカー協会が誇る、サッカー代表専属スポーツドクターチームさ!」
アジア予選で戦ったサウジアラビアユースのキャプテン、マーク・オワイランが
10人以上の医者を引き連れて現れたのだ。片桐と陽子も非常に疲れた表情で横に立っている。
中山「えっ、まさか…」
オワイラン「そう、今日の試合で負傷者が多かっただろう?折角のワールドユース決勝戦、
全力を出せずに負けてしまったら悔やんでも悔やみきれないじゃないか。
僕もそんな尻すぼみな結末は見たくない。だから君たちの力にならせてくれ!」
森崎「マジか!?…良いんですか、片桐さん」
片桐「…彼から要請を受けて、私が許可を出した。手続きは私に任せて、素直に治療を受けてくれ」
209 :
代理
:2013/08/17(土) 00:44:56.96 ID:7XyIeOqZ
全日本メンバー「へえ、こりゃ有り難いな」「片桐さんが許可しているんなら問題ないんだろ」
「有難う、オワイラン。恩に着るよ」「何でもいいからさっさと休もうぜー」
片桐「(問題ない訳あるか…やり過ぎだこの馬鹿王子!加減と言う物を知らないのか!
お前が言い出した形でも、日本サッカー協会はサウジアラビアサッカー協会に借りを作るんだぞ!
私の独断で決めても穏便に済ませられる形にしたかったのに…どうすればいいんだこれ)」
陽子「(メディア対策どうしよう…早速目ざとい記者がホテルの周りをウロウロしているし…
賀茂さんは何とかしてくるって言ってたけど、一体何をしてくるつもりなのかしら)」
森崎「(…どう見ても問題ない訳なさそうだな…特に片桐さんの顔が青い…)」
*オワイランの暴走で、全日本ユースの選手達の怪我の治療速度が上がりました。
決勝戦開始時点で翼以外は万全の状態、翼は「なおりかけ」状態とします。
負傷からの回復はあまりルールとしてハッキリしておらず、また準決勝でここまで
負傷者が相次ぐのは完全に想定外でしたので決勝戦でリセットの乱発を避ける為に
こういった処置を施しました。ご了承お願いします。
210 :
代理
:2013/08/17(土) 00:45:37.32 ID:7XyIeOqZ
森崎「ふい〜、腹減った腹減った。メシメシ…ん?」
約1時間後、負傷者ではない森崎は疲労回復のマッサージを受けただけで医師団から
解放され、すきっ腹を抱えてホテルのロビーに向かっていた。
そこで彼が見た物はどうやら国際電話をかけているらしい陽子だった。
陽子「うん、それじゃお願い骨皮くん。頼んだわよ」
ガチャッ。
陽子「よし、これで…え、森崎くん!?そこに居たの?」
森崎「いや、今通りがかったばかりだが…」
A 「何か骨皮に頼んでいたみたいだけど、何だったんだ?」
B 「お疲れ様。いつも面倒な事ばかりやってもらってるな」
C 「よ、陽子さんまさか、ほ、骨皮の奴と…!?」
D 「ひょっとして、オワイランのやらかしと関係ある電話だったか?」
E 「これから晩飯なんだ。どうだ、一緒に?」
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50
にて
☆2013/8/17 00:30:00☆ から投票期間を設けます。
そこから 15 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
211 :
代理
:2013/08/19(月) 22:30:46.46 ID:EJRb7pvr
>B 「お疲れ様。いつも面倒な事ばかりやってもらってるな」
陽子「へっ?」
森崎「だってよ、俺達選手は試合と練習の時以外は基本的に自由時間だし、自分以外からも
体調を配慮して貰える立場だからな。陽子さんがやっている仕事は昼も夜も無さそうだし、
体調も自力で維持しないといけないし、なにより面倒臭い仕事ばっかりなんだろ?」
陽子「まあ、そうだけど…裏方ってそう言う物だしね」
森崎「だからお疲れ様、だよ。俺が自分でそういう事やらないといけないと思ったらゾッとするしな」
陽子「…うん。有難う」
森崎から出た言葉は陽子を驚かせる物だったらしく、彼女は盛んに瞬きを繰り返した。
それでも森崎が言葉を連ねると次第にはにかみ、嬉しそうな声色に変わる。
陽子「でも私は大丈夫よ。確かに忙しい時期もあるし、今はその真っ最中だけど逆に暇な時期もあるしね。
なにより実際にサッカーをやる森崎くん達に比べればただ面倒なだけで身も心も負担は軽いものよ。
森崎くんの事だから、俺がそんなもので参る訳ないだろ?とか言っちゃうんだろうけど」
森崎「良く分かってるじゃないか」
陽子「それはそうよ。何年あなたのサポートをしていると思っているの?」
212 :
代理
:2013/08/19(月) 22:33:02.51 ID:EJRb7pvr
森崎「(機嫌は良さそうだな…)」
A 「じゃあいっその事人生のパートナーになってくれないか?」
B 「そうだなあ、今後も何かと世話になりそうだなあ」
C 「そのサポートの集大成を決勝戦で見せるぜ」
D 「有難う。何と言うか、本当に有難う。感謝しているんだ」
E 「ところでこれから晩飯に行くつもりなんだが、一緒に来るか?」
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50
にて
☆2013/8/20 00:00:00☆ から投票期間を設けます。
そこから 15 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
213 :
創る名無しに見る名無し
:2013/08/19(月) 22:43:55.00 ID:Tt8c5It2
森崎が悪意の無い会話をするというだけでなんか怖いw
214 :
代理です。
:2013/08/21(水) 22:06:29.94 ID:G04uPeZw
>C 「そのサポートの集大成を決勝戦で見せるぜ」
陽子「あ………」
森崎「どうしたんだ?」
陽子「そっか…そうだったわね…」
ふと陽子は遠くを見る目になり、わずかに頬を染めた。
何とも乙女らしい反応に森崎も注目せざるを得ない。
陽子「私、以前言ったよね。お嬢様としての生涯を送らないといけないんだって
子供の頃は諦めていたのが、ある人の影響で変わったって」
森崎「ああ、アジア予選の頃言ってたな」
陽子「あれってね…森崎くんの事だったんだよ」
森崎「えっ!?」
ややあっておもむろに森崎の方を向いた陽子は瞳を潤ませていた。
あふれ出る何かを堪え切れないと言わんばかりの表情は
“女”をふんだんに感じさせる物で、森崎の鼓動も激しくなる。
陽子「最初はね、日本が弱い筈のサッカーで世界一になれちゃうなんて凄いな〜、って思っただけだった。
それで暇つぶしのつもりで森崎くんの事を調べると、どんどんのめり込んで行ったんだ。
昔は弱くて誰にもアテにされていなかったのに、ガムシャラに色んな事をやって次第に強くなって…
私もこの人みたいになりたい。弱いなら強くなればいいって思える様になりたい。
そう思って兄さんの所に転がり込んだんだ…自分の行動で何か自分だけの物を得たかったから」
森崎「そうだったのか…」
215 :
代理です。
:2013/08/21(水) 22:07:03.47 ID:G04uPeZw
陽子「勿論私はサッカーなんて出来ない。そもそも運動が苦手だしね。
だけど私は裏方仕事なら出来るかも、って思って日本サッカー協会に入って、活動して…
そしてここまで来れたんだ。森崎くんみたいに、ガムシャラに頑張った結果が出たんだ。
それを今、すごく実感できたんだ…」
ここで陽子はじっと森崎を見つめた。その瞳に普段は感じない、
森崎にとっては異物に等しい感情が次々と湧き上がってくる。
陽子「有難う、森崎くん。あなたのお蔭よ」
森崎「陽子さん…」
A 「まだだぜ。そのお礼は、優勝してからの方がいいだろ?」
B 「それじゃ、そのお代は陽子さんって事で」
C 「その調子で、俺をもっとも近い位置でサポートし続けてくれないか?」
D 「いや…そろそろ陽子って呼んでいいか?」
E 「そんなに大事な事なら、親御さんの事情で止めさせる訳にはいかないな」
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50
にて
☆2013/8/21 23:00:00☆ から投票期間を設けます。
そこから 15 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
216 :
代理です。
:2013/08/26(月) 21:58:49.03 ID:B9Bfm73W
>A 「まだだぜ。そのお礼は、優勝してからの方がいいだろ?」
陽子「………森崎くんらしいね…この大会で優勝した後は、
オリンピックもワールドカップも優勝してからの方がいいって言っていそう」
森崎「おいおい、いくら俺でもたまには休むぞ?この大会の後は流石に休養を入れるさ」
陽子「そっか…そうだよね…森崎くんを見ていると一体何処まで行くのか、
急ぎ過ぎて墜落したりしないか不安になるけど、ちゃんと休みも取るつもりなら安心かな」
森崎「(なんか…変な気分だな…)」
二人の会話に甘い雰囲気が漂い始め、森崎は自分の感情を持て余し始めた。
思えばこれほど肩に力を入れずに話し合い、純粋に労りの気持ちを向けられたのは何時以来か。
ライバルや敵とは常に嘲り合い、仲間からは支持を集める為強さを見せ続け、
それらの疲れを勝利の愉悦以外の何かで癒す事はあっただろうか。
森崎「(もう少し、何か話す事ないかな…)」
もう少しこの時間を楽しみたい。森崎は素直にそう思った。
だが陽子の思惑は違った。
陽子「…それじゃ、森崎くんが頑張り過ぎで倒れたりしなさそうだって安心できたし…私は仕事に戻るね」
森崎「えっ?もうかよ。メシぐらい一緒に食わないか?」
陽子「ごめん、これから日本に飛ばないといけないから。もうそろそろ空港に行かないと。それじゃあ、またね!」
スタタタ…
森崎「…ちぇっ。いい雰囲気かと思ったのになあ」
217 :
代理です。
:2013/08/26(月) 21:59:34.24 ID:B9Bfm73W
陽子は仕事に戻るといい、足早に立ち去って行った。
仕事と言われてしまってはそれを邪魔する訳にはいかない森崎は見送るしかない。
森崎「まあいいか。ある程度口説けたし、いい反応だったし」
やがて森崎は今日の所はこれで十分だと納得し、気を取り直してホテルの外に向かった。
彼は知らない。婦人用化粧室に駆け込んだ陽子が胸を押さえながらため息をついていた事を。
陽子「あぶない、あぶない…何をやっているのかしら、私」
仕事の話は嘘ではなかった。だが空港に行く前に夕食を共にする時間くらいは十分あった。
ただ単に彼女が踏み出せなかっただけだった。
陽子「…これでいいのよ。決勝戦なんて大一番の前に、私の事で気を散らさせる訳にはいかないんだから。
だからあの対応でいい筈。深入りしちゃ、ダメ………だったら最初からそんな雰囲気にするべきじゃなかったわよね。
本当に何やってるんだろ。臆病だなあ、私。あの頃から全然変わっていないじゃないの。ああもう…」
218 :
代理です。
:2013/08/27(火) 01:30:40.13 ID:SBElElVm
一時の安らぎを得た全日本ユースとは裏腹に、決戦を控えた2チームがある。
ドイツユースとブラジルユースである。
当然彼らは明日の準備に忙しい夜を送っていた。
〜ドイツユース宿舎、会議室〜
ルディ「以上がブラジルユースの選手達のデータと予想スタメンだ。しっかり頭に叩き込んでおけ。
流石はブラジルと言わざるを得ないタレントの宝庫だが、つけいるスキはいくつもある」
シュナイダー「(やはり相当に強いな…日本以上かも知れん。だが、戦い様はある)」
ルディ「マーガス、まずはお前の働きが重要となるぞ。相手の跳ね返し屋、アマラウも中々の物だが
断言する、お前の方が有利だ。お前のチャンスメイクが攻撃の鍵になるぞ」
マーガス「はい!」
シュナイダー「(マーガスはポストプレイヤーとしては世界一になれる男だ)」
ルディ「シュナイダー、お前は当然厳しいマークに晒されるだろう。だがそんなのは何時もの事だ。
相手はボール狩り役のドトールとジェトーリオ、ブロッカーのディウセウ、そしてセービングに長けた
ゲルティスと一通り揃った守備体制だ。お前も相手と状況に応じて適切な攻め方をしろ」
シュナイダー「はい(俺は世界一のストライカーとして勝利をもぎ取ればいい。それだけだ)」
ルディ「無論相手もこちらの得意な攻撃パターンをむざむざ使わせてはくれないだろう。
どちらが主導権を握れるかは中盤での攻防にかかっている。各々の役割をしっかりと把握するんだ」
カルツ「(向こうは恐らく4−4−2。こっちは3−5−2だ。5対4で負ける訳にゃいかんぜよ)」
219 :
代理です。
:2013/08/27(火) 01:31:14.70 ID:SBElElVm
ルディ「ポブルセン、お前はパスワークに振り回されるな。誰が決定的な場面で切り込もうとしているか
カンを働かせてアタックするんだ。そしてボールを持ったら時折パスを織り交ぜつつ何時も通り敵陣に向かって突撃しろ」
ポブルセン「はい…」
シュナイダー「(ポブルセンは愚かな狂犬だが、敵に噛みつかせれば十二分に役に立つ)」
ルディ「メッツァ、お前のロングパスは何時も以上に重要になる。ブラジルの中盤はどちらかと言えば
パスカットが苦手だ。お前がどれだけスムーズに前線につなげられるかで攻撃回数が左右される」
メッツァ「はーい」
シュナイダー「(メッツァはパサーに徹する計算しやすい戦力だ。常に敵を困らせる事が出来る)」
ルディ「カペロマン、お前はメッツァの逆サイドに配置されている分攻め易くなる筈だ。
マークを集められたらしめた物だと味方を上手く使え。守備参加も忘れるなよ」
カペロマン「はい」
シュナイダー「(カペロマンのサイドアタックとコーナーキックは分かり易く強力な武器だ)」
ルディ「カルツ、お前は守備参加は勿論だがそれ以上にボールキープ役として働かなくてはいけない。
ブラジルは前線の守備力も高い。チームメイトが奪ったボールを奪い返されないのがお前の仕事だ」
カルツ「はいっと」
シュナイダー「(カルツは大きな武器はないが、決定的な仕事に必ず絡む頼れる男だ)」
220 :
代理です。
:2013/08/27(火) 01:32:07.38 ID:SBElElVm
ルディ「シェスター、お前が中盤の守備の要だ。ブラジルはチーム全体としてドリブルのレベルが高いが
パサーも数人居る。奴らが何をしてきても良い様に備え、向こうのシュート数を減らすんだ」
シェスター「はい!」
シュナイダー「(シェスターはウチの中盤に足りない守備力を提供してくれる貴重な存在だ)」
ルディ「中盤の対策は以上だ。だがこれでも攻め込まれる時、シュートを撃たれそうになる時はあるだろう。
いざそうなった時、DF達とGKはどうすればいいのか。次はそこに共通認識を図る」
フライハイト「(現実的な勝利を目指すのなら失点は1点が限界だ)」
ルディ「クランケ、恐らくブラジルはサイドアタックをしてこないだろう。ミドルシューターが多いチームだからだ、
わざわざセンタリングを上げる必要がない。中央に寄せて前に出て、ラストパスのカットを狙え」
クランケ「はい」
シュナイダー「(クランケはラストパスに割り込む専門家)」
ルディ「ヨハンセン、お前はカルロスの相手に集中しろ。奴は世界トップクラスのドリブラーだが
お前なら対抗できる。無論味方と協力してな。カルロスが近寄り過ぎるのを阻止できれば失点率はグッと下がる」
ヨハンセン「はい」
シュナイダー「(ヨハンセンはエース殺し)」
ルディ「フライハイト、お前にはもっとも難しい役割を頼む事になる。ゴール前にひっついていれば
良い訳でもなく、無暗に飛び出しても藪蛇だ。臨機応変にとしか言えん。だがやってみせろ」
フライハイト「…はい」
シュナイダー「(フライハイトはハイレベルな万能選手だ。こいつになら最終ラインを任せられる)」
221 :
代理
:2013/08/27(火) 04:15:25.42 ID:+9X2F9F7
ルディ「ミューラー、お前には特に言う事はない。強いて言えば飛び出しの機会はあまり無いだろうから
無理に飛び出しを狙おうとせずどっしりと構える位だ。パンチングでしっかりと防いでいけば大丈夫だ」
ミューラー「はい
シュナイダー「(ミューラーはサイクロンもライトニングタイガーも防げる。何の心配もない)」
ルディ「作戦は以上だ。最後に一言だけ言っておく。準決勝でブラジルに当たった事を不運に思うな。
むしろ幸運に思え。最強を証明する為には倒さなくてはならない相手なのだ、ならば早い内に済ませてしまうんだ」
ドイツメンバー『はい!』
ルディ「ドイツサッカーの、お前たちの強さを見せつけてこい!!」
ドイツメンバー『はい!!』
シュナイダー「(そう…最強のサッカー王国の称号をブラジルから奪い、それを手土産に決勝戦で
日本と決着をつける!サッカー選手としてこれ以上ない程のシチュエーションだ。嬉しくない筈がない。
勝つ。勝てるのではない、勝つ!俺達は勝って頂点を手に入れて見せる!)」
222 :
代理です。
:2013/08/28(水) 00:08:56.79 ID:rdSavevM
〜ブラジルユース宿舎、会議室〜
ロベルト「さて、ドイツユースのデータおさらいは以上だ。もうするまでもないとは思うがな」
ブラジルメンバー『………』
ロベルト「改めて言うまでもなく、ドイツは強い。ここまではずっと楽勝続きだったが、
ドイツ相手にはそうはいかん。よって…今回から本気を出せ。許可する!」
マウリシオ「よっしゃあ!」
ザガロ「やっとか…鬱憤が溜まっていたぜ」
ネイ「派手に遊ぶかあ!」
ロベルト「騒ぎすぎるな。次は具体的な作戦内容だが、既にサンタマリアと
話し合い決めた作戦があるので、サンタマリアにそれを解説してもらう」
サンタマリア「はい。みんなきけ、ドイツ相手にやる事は3つのシンプルな作戦だ」
ジェトーリオ「3つ?今回は少な目だね」
サンタマリア「それ程目立った穴がなく、しかも武器が多いハイレベルなチームが相手だからだ。
アレコレ細かい指示を出して朝令暮改的な事態に陥るよりも、やるべき事を分かり易くまとめ
後は各々の状況判断に任せる方が上手くいく。特に俺達の場合はな」
トニーニョ「始めてくれ。2トップ対策、攻撃権の独占、そしてシュートラッシュだったな」
サンタマリア「そうだ。まずは相手の得点源をどうするかの作戦、2トップ対策だ。
マーガスに自由にポストプレイをさせているとその分シュナイダーがシュートを撃ち放題だ。
無論オフサイドトラップによって回数を減らさせるが、それだけでは対策にならん。
よってまずはアマラウに任せるだけじゃなく、ディウセウにもサポートしてもらう」
223 :
代理です。
:2013/08/28(水) 00:09:41.28 ID:rdSavevM
ディウセウ「オラなのか?ドトールじゃなくて?」
ドトール「俺はこぼれ球になった時に備える役割だ。シュナイダーに極力撃たせん為にな」
カルロス「2トップ対策としては極めて妥当だな。だがそこまでやっても
毎回止められるとは思えない。そこで必要になってくる次の手段はなんだ?サンタマリア」
サンタマリア「ああ、そこで次の作戦、攻撃権の独占が重要になってくる。まずはジェトーリオ、
お前がカペロマンをマークし奴のサイドアタックを封じろ。それだけでドイツは相当困るだろう」
ジェトーリオ「はーい。得意分野だよ」
サンタマリア「残りはポブルセン、メッツァ、カルツ、シェスター、フライハイトなどだが…
こいつらは残りの前線のメンバーで流動的に守って対処する。俺が下がり目の位置からサインを送るから
それに従ってくれ。ドイツにどんな攻め方をしても駄目、と焦らせるのが重要だ」
トニーニョ「了解した」
ネイ「オッケー」
マウリシオ「はいッス!」
ザガロ「仕方ねえな」
カルロス「守備は分かった。攻撃は?」
サンタマリア「攻撃はFWとMFが頻繁にポジションチェンジを繰り返し、相手によって
ドリブルとパスを使い分ける。特に短いバックパスを活用してミドルシュートチャンスを増やすんだ」
カルロス「なるほど。それが最後の作戦、シュートラッシュに繋がるんだな」
サンタマリア「その通り。シュートラッシュははっきり言って作戦などとは呼びたくないのだが…
今回は重要だ。ミューラーを攻略する為に、そしてドイツの弱点をつく為にミドルシュートを
積極的に撃っていくのが大事になるんだ。積極的に、どころか乱発でもいい位だ」
224 :
代理です。
:2013/08/28(水) 00:10:27.15 ID:rdSavevM
ザガロ「ククク…いいじゃねえか。俺好みの作戦だ」
サンタマリア「以上の3点をくれぐれも忘れないでくれ。これ等に反さないのなら何をしてもいい。何か質問は?」
ゲルティス「…質問ではないが、頼みがある」
サンタマリア「ん?お前からか?珍しいな」
ゲルティス「単純な頼みだ…2点取ってくれ」
カルロス「うん?…俺達攻撃陣が2点以上取れば、負けないと言っているのか?」
ゲルティス「そうだ。俺はこの試合の失点数は1になる確率がもっとも高いと考えている。よって2点取ってほしい」
カルロス「…分かった。元より取れるだけ取るつもりだ、2点以上取ってみせよう」
サンタマリア「他には何かないか?………よし。以上で説明終了です、監督」
ロベルト「うむ。それでは最後に監督らしい事を言っておく。この作戦は俺から見ても文句の付けどころがない。
だがそれでもサッカーは何が起きるか分からない。だから…もし劣勢に追い込まれたら今までのサッカー人生の中で
一番辛くて屈辱的だった事を思い出せ。そしてそれをどうやって乗り越えてここまで来たかを思い出せ。以上だ」
ブラジルメンバー「(今までで一番辛くて…)」「(屈辱的だった事…)」「(それは勿論、コイツだな!)」
コインブラ「……………」
カルロス「(未だコインブラは孤立したまま…やはり監督はこいつを試合に出す気はないのだろうか?
そしてコインブラは全く本心を見せようとしない…もう限界だ。リスクを覚悟でぶつかりあってみなければ!)」
225 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:44:22.22 ID:jHcZIjFr
強敵との決戦に備えるブラジルユースとドイツユース。この2チームの間には一つ決定的な差があった。
それはチームが一枚岩であるか否かである。
事情を知らない者ならドイツユースの方が内紛の危険性が高いと考えるだろう。
西ドイツと東ドイツと言う二つに分かれていた国が数十年の時を経て融合を試みている今、
西側と東側には経済格差を始めとする様々な問題が発生していた。
2つのサッカーチームを融合させる事もまた問題が発生して当然であり、実際に発生しかけていた。
しかしドイツユースはこの問題をいち早くクリアしていた。
個人個人の思惑はどうあれど全員が新生ドイツの栄光を望んでいるのに違いはなく、
それを西ドイツ側の若手のカリスマであるシュナイダーがスパルタ式に統率し、
更に東ドイツ側の若手で最大の実力者であるフライハイトがそのシュナイダーの
参謀役を買って出た事で西側と東側の融合はほぼ理想的に進んでいたのである。
ポブルセンとミューラーと言う問題児たちも居たが、彼らの問題行動は西東の件とは
関係がない本人の資質のせいだった為むしろ西東の件を意識させない効果すらあったかも知れない。
本当に問題があったのはブラジルユースの方であり、それはコインブラの存在だった。
南米には半ば都市伝説扱いされている、知る人ぞ知るアマチュア選手が存在する。
“勝負請負人A(エース)”と言う冗談の様な名称で知られ、
生半可なプロ選手をはるかに凌ぐ実力を持ってアマチュアサッカーの賭け試合に介入して
金を稼ぐ謎の達人と言う名称以上に冗談にしか聞こえない選手。
その正体こそアルツール・アンチネス・コインブラその人である。
彼はロベルト本郷の誘いによりブラジルユースに加入し、他者を圧倒する実力をみせつけ10番を着る資格を得た。
しかし試合には一切出場せず、内外から様々な憶測を呼びながらベンチに座り続けている。
その存在は本来一つにまとまっている筈のブラジルユース内の巨大な異物であり続けた。
決勝戦への最後の椅子争いを明日に控えた前夜、ブラジルユースキャプテンのカルロス・サンターナはついに動いた。
コインブラの真意を確かめ、彼がチームにとって何なのかを見極める為に。
226 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:44:59.75 ID:jHcZIjFr
コインブラ「こんな所に呼び出して何の用だ…?」
カルロス「お前には聞きたい事が山ほどある。俺が納得いくまで付き合ってもらうぞ」
カルロスはコインブラと一対一で対峙していた。
ミーティングの数十分後、会議室に彼だけを呼び出したのだ。
コインブラ「そう長く付き合うつもりはない。何を聞きたいのか最初にハッキリさせろ」
カルロス「では要点を3つに絞ろう。俺が知りたいのは過去、現在、そして未来に関わる事だ。
まずは…お前が俺の記憶の中にあるアーサーと同一人物なのかどうか。
次に…お前がブラジルユースに入るまで何処で何をしていたか。
最後に…お前がこのブラジルユースで何を何の為にしようとしているかだ」
二人の会話は決して友好的な物ではなかった。カルロスはブラジルユースの選手達の中では
かなり温厚な人物だが、それでも度重なるコインブラの身勝手で理解し難い振る舞いを
これ以上放っておけないと言う決意を込めた声を出していた。
コインブラ「……………」
カルロス「まずはこれに答えろ。お前はフラメンゴのデンチ・デレイチ(少年)チームに居たのか?
あの時、サッカーボールに慣れていなかった俺が入団テストに落ちそうで焦っていた時に
一緒に練習して助けてくれた…その後再会を約束したアーサーなのか?」
コインブラ「………ああ。俺は確かにフラメンゴに所属していた。そして退団した日に
お前にサッカーボールを譲ったのも覚えている。こんなに長く持ち続けているとは思わなかったがな」
カルロス「やはり…!」
それに対するコインブラの反応は何とも読み難い物で、渋々ながら淡々と答えるその表情は
不快感を主とした感情を隠しきれていなかった。
227 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:45:32.59 ID:jHcZIjFr
カルロス「だが、お前は結局戻ってこなかった。チームの誰に聞いてもアーサーなどと言う者は
知らないと言われた。あれはコインブラと言う名で登録していたからなのか?」
コインブラ「…いや。クラブの誰もが俺の事を居なかった事にしたかったからだろう」
カルロス「何!?なんでそんな事が…いや…上手すぎたからか」
コインブラ「そうだ…俺はチームの為に全力を尽くしてプレイしたが、その結果得られた物は
俺を持て余してまとまる事が出来なくなり、崩壊したチームだった。実にくだらない結末だったさ」
カルロス「(サラッと言っているが…恐らくは、とんでもない境遇だったのだろう。
あれだけずば抜けていれば相手チームから反則やラフプレイを繰り返されていたに違いない。
それなのにチームメイトも指導層も味方ではなく敵と化していたとしたら…恐ろしい物だな)」
コインブラ「お前にも覚えがあるだろう?自分の無力を強い相手を妬む事で誤魔化そうとする者達の視線を」
カルロス「…確かに俺もそういう思いをした事はある。だがそれだけでサッカーを止めようとは思わないし、
そんな下らないトラブルは上のレベルに上がっていけば自然と消え去る。その先に得られる物がある筈だ」
コインブラ「…得られる物、だと?くだらんな」
カルロス「くだらないだと…?クラブサッカーを止めたのになぜそんな事が言えるんだ?
他のどこかでサッカーをしていたのだろうが、そこで何を見たと言うんだ?」
コインブラ「………やけに詳しそうだな。ある程度事前に調査してきたのか?」
カルロス「俺が知っているのは8年前お前が俺と入れ替わる様にフラメンゴを退団した事。
あちこちのアマチュアサッカーに介入して金を稼いでいた事。
そしてそれは病気の養父…ジャイロを養う為に行っていた事くらいだ」
二人の価値観は噛み合わず、次第に会話は剣呑さを増していく。
少年時代の旧友同士が思い出話をしている筈なのに、とてもそんな穏やかな空気ではなかった。
228 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:46:15.99 ID:jHcZIjFr
コインブラ「…そこまで分かっているのにそれ以上何を聞きたいと言うんだ?」
カルロス「この程度では全然足りはしないさ。何故フラメンゴに戻ってこなかったんだ?
それ以降何故クラブに入らず、そんな生活をしていたんだ?そしてその年月に何を見てお前はこうなったんだ!」
コインブラ「…フラメンゴに戻る訳などない。あの日、お前と別れて家に戻ったら親父は倒れていたんだからな」
カルロス「!」
コインブラ「デンチ・デレイチのチームでプレイしていても金は貰えん。逆に払わされる側だ。
かと言って何のツテもない子供が働いたとしても大の大人の入院費には到底足りない。
当時俺がまとまった金を稼ぐには、子供だと侮る大人を挑発して金を巻き上げる位しか無かった」
カルロス「…よくそんな事が出来たな?いくら上手いとは言え、12歳じゃ限界があっただろうに…」
コインブラ「当然最初から上手く行った訳じゃなかった。だから親父の残したノートに従い
練習を積み重ね、多勢に無勢を引っくり返し…そんな事を繰り返している内に力がついていった」
カルロス「なるほど…ジャイロは指導者としても優れていたと言う訳か。だが、彼はもうこの世には…」
コインブラ「…俺が15の時、目の前で息を引き取ったぞ。最後までブラジルサッカーの行方を気にしてな」
カルロス「流石と言うべきか…骨の髄までセレソンだったんだな。見習わなければ」
コインブラ「…一体何を見習うと言うんだ?」
カルロス「うん?それは勿論、そのブラジルサッカーにかける情熱と信念を…」
コインブラ「親父がそれで何を得られたと言うんだ!」
カルロス「!!?」
229 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:47:06.42 ID:jHcZIjFr
先に声を荒げたのはコインブラの方だった。彼は初めて感情を剥き出しにし、カルロスを糾弾する側に回った。
コインブラ「伝説の選手?要は忘れ去られたどうでもいい存在だ。親父の見舞いには俺以外誰も来なかったぞ」
カルロス「誰もか?引退後は世捨て人の様な生活をしていたと聞いたが…誰も来なかったのか?」
コインブラ「そうだ。金を持っている元選手なりサッカー協会関係者なりが居ただろうに、
誰も親父を助けようとしなかった。世間は親父以降の世代と、今の世代のセレソンについて騒ぐばかりだった!」
カルロス「それは…仕方がないだろう。偉大なセレソンでありながら、引退後生活を乱し
悲惨な最期を遂げた選手も居る。身内としてはそんな理屈では納得し難いだろうが…」
コインブラ「そんな事は分かっている。結局親父は何も得られず、何も残らなかっただけだ。
第二次世界大戦で全盛期を逃しながら、それでもワールドカップに出てボロボロになり…
その後の選手達の活躍の陰に忘れ去られた。頂点を目指して得た結果は…むなしい最期だった」
カルロス「(伝説の名選手に最期は何も残らなかっただって…?そんな事が本当に有り得るのか…?)」
コインブラ「頂点に達すれば妬みと恨みを買い、達せなければそれすら得られず存在を消される。
お前はその一体何を見習うと言うんだ。見習って何が得られると言うんだ!」
カルロス「(違う…何も残らないなんて、そんな筈はない!そんな筈は…!)」
栄光を求めた結果と最期。生々しい体験を聞かされたカルロスはそれを否定したかった。
だが否定する事は出来なかった。初めて見るコインブラの激情を押し返せなかった。
カルロス「…なら、お前は…お前は何故ここにいるんだ?ここで何をしているんだ…?」
コインブラ「っ………」
代わりに絞り出した質問はコインブラの怒りを鎮める効果があった。
230 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:47:57.16 ID:jHcZIjFr
コインブラ「……………」
カルロス「何故ブラジルユースに入った?何故…サッカーを続けているんだ?」
コインブラ「…親父が何を見ていたか、知りたかったからだ」
カルロス「ジャイロが…」
コインブラ「親父は最後の最後まで後悔らしきものを見せなかった。
ブラジルが勝つと我が事の様に喜び、ブラジルが負けると何日も嘆いていた。
俺にはそれが理解できない。だから…監督に誘われてここに来た。
実際にセレソンになってみれば、親父が何故あそこまで拘り続けたか分かるかも知れないとな」
カルロス「そうだったのか…それなら、何か分かった事があるんだな?」
コインブラ「…いや。全く分からない」
カルロス「!!」
冷静になったコインブラは問われるまま己の目的と意図を語り出し、カルロスに背を向けて
窓から夜空を見上げた。故に気付かなかった。カルロスの肩が怒りで震え始めた事に。
コインブラ「この大会を見てきても、何も分からなかった。やはり俺には
何の縁もなく、何の価値もないのだろう。セレソンとして頂点を目指す事は」
カルロス「………それで、お前はどうするつもりだ。結局見物するだけでワールドユースを終えるつもりか?」
コインブラ「そうだな…それでもいいが、ブラジルが負けそうになったら出るつもりだ。
監督には少しばかり恩があるし、どうせなら無価値でも頂点と言う奴を得ておきたい。
明日の試合は俺抜きならドイツが勝つ確率が高い。だから…」
231 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:49:03.02 ID:jHcZIjFr
.
カルロス「ふざけるな!」
コインブラ「!?」
故にカルロスが怒声を上げた時、彼の怒りを宥める手段はもう無かった。
カルロス「何がブラジルが負けそうになったら出るつもり、だ!そんな事は例え監督が許しても
この俺が、ブラジルユースキャプテンのカルロス・サンターナが許さん!」
コインブラ「…自分で言っていて矛盾に気付かないのか?監督に刃向う上に
勝利の為に最善を尽くさないのがお前のキャプテンとしての務めだと…」
カルロス「キャプテンだから言っているんだ!今ハッキリと確信した!
そんな腑抜けた状態のお前はチームの癌でしかない!お前を試合に出させる訳にはいかない!」
コインブラ「なんだと!?」
続いてコインブラも激昂した。それは初めて彼がチームメイトに見せた剥き出しの感情だった。
二人の生の激情がぶつかり合い、殺し合いに発展しそうな程緊迫した空気が場に満ちる。
カルロス「何が何も分からなかっただ!何が何の縁も価値もないだ!
今のお前の話と今までのお前の振る舞いを見てそんな戯言を信じる奴が居るか!
それにも拘わらず己の魂や信念を賭けて戦う覚悟の無い奴などただの足手まといだ!」
コインブラ「足手まといと来たか!俺に出せる手も足も無い奴が良く言えた物だな!」
232 :
代理です。
:2013/09/05(木) 13:49:43.20 ID:jHcZIjFr
カルロス「確かに純粋に実力だけで比べれば俺は未だお前に追いついていない。
だがその差はお前が願っている程大きな物ではない…練習ではなく実戦なら!
1対1ではなくチーム対チームの試合なら!間違いなく俺が勝つ程度の小さな差だ!」
コインブラ「ほざきやがって…そんなに魂やら信念やらが大事だと言うのなら
明日の試合でドイツを倒してみるんだな。俺の見立てでは3−2でドイツが勝つ」
カルロス「ああ倒してやろうとも。俺がセレソンとは何かを見せてやる。
お前には絶望的に足りない物があると証明してやる。それを精々学ぶんだな。
それを見ても尚何も分からないのなら…お前は最初からセレソンにはなれなかったと言う事だ」
コインブラ「良いだろう。くだらん物を見る羽目になりそうだがな」
カルロス「…話は以上だ。さっさと寝ろ。これ以上口で語る事はない」
カッ、カッ、カッ、カッ…
コインブラ「……………」
かくして二人の主義主張は一切の妥協を見出す事なく、激突と火花のみを後に残した。
ブラジルユースは10番を着る選手が孤立したまま準決勝に挑む事になる。
233 :
:
234 :
代理
:2013/09/07(土) 02:56:40.58 ID:ArUV1VL2
〜大会22日目、リオ州のエスタジオ・ド・マラカナン〜
ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
観客「来た来た来たーーーッ!待ってましたァ!」「遂に我らがブラジルユースの出番だぜ!!」
「今日の相手はドイツだ!」「やっと歯応えのあるチームを倒せそうだな」
「今までのザコとはちょっと違うぞ!気をつけろよーっ!」「油断するな!ちゃんと勝て!」
「カルロス!得点王取れよーっ!」「ゲルティス!ドイツなんかに得点させるなよーっ!」
放送「全世界の皆さまこんにちは!ここエスタジオ・ド・マラカナンは最早数えるのも
嫌になる程超満員!観客席が抜けてしまわないか心配してしまう喧噪に包まれています!
それもその筈、今日のゲームは我らがブラジルユースがドイツユースと準決勝で激突するのです!
御存じドイツユースは大会前から優勝候補の一角として名高かった強敵!
グループ予選こそ2位突破だったものの、ここまでの4試合での戦績は18得点3失点と
2位突破だから何だと言わんばかりの堂々たる戦果!その証拠に準々決勝ではグループCを
1位突破したウルグアイユースを4−1で一蹴しており、また一足早く決勝進出を決めた
全日本ユースとも激戦の末に2−2で引き分けているのです!
準決勝の相手として不足なしのこのチームを率いるのは現在8ゴールで得点王ランキングで
カルロスくんと同率3位についているエースストライカーのカール・ハインツ・シュナイダー!
彼の得点力は我らがブラジルユースにとって多大なる脅威となるでしょう。
まずはこのシュナイダーくんを抑え込めるかどうかが守備における最重要課題となります。
そしてドイツは勿論守備も堅いのは言うまでもありません!その象徴はGKのミューラーくん!
豪快な体格とそれ以上に豪快なセービングは生半可なシュートを寄せ付けません!
鋼鉄の巨人と言う従来の異名に加え、今大会で雷神と言う新たな異名を得た彼に
我らがブラジルのシューター達はどう立ち向かうのでしょうか?目が離せません!」
準決勝のマラカナンスタジアムは当然の如くブラジルの勝利を願うブラジル人観客で満員だった。
ドイツ人の応援団がどれだけ声を張り上げてもかき消される程である。
235 :
代理
:2013/09/07(土) 02:58:00.58 ID:ArUV1VL2
松山「なんか、実況が露骨にブラジル寄りだな…」
三杉「当然の事だよ。ブラジルがホームチームなんだから」
赤井「これ位なら大人しい方っスよ。国によっちゃもっと酷かったりしますから」
翼「ブラジルが決勝に出てきた場合、俺達はもっと悪役にされるよ」
試合を観戦しに来た全日本ユースにも注目が集まる事はなかった。
近くの者達は彼らをチラチラと見はしたが、やはり気になるのは目の前の試合の様で
すぐにフィールドに視線を戻してしまう為彼らは落ち着いて会話が出来た。
中山「この試合はどっちが勝つとしても大いに参考になるな。一瞬たりとも見逃せないぞ」
中里「森崎。この試合、どんな結果になると思うでゴザルか?」
森崎「ん?そうだな…」
A 「シュナイダーには悪いが、ブラジルの大勝の予感がするぜ」
B 「僅差でブラジルだな。ドイツ相手に相性が良いと思う」
C 「五分五分だな。どっちに転ぶか、最後まで分からない」
D 「ドイツが勝つだろうな。流石に楽勝とは行かないだろうが」
E 「ブラジルの奴らは大した事がねえ。ドイツの圧勝だ」
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50
にて
☆2013/9/7 12:00:00☆ から投票期間を設けます。
そこから 15 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
236 :
代理
:2013/09/10(火) 02:51:01.79 ID:wKuX0GbD
>C 「五分五分だな。どっちに転ぶか、最後まで分からない」
森崎はしばらく考えてから分からないと答えた。
次藤「なんじゃ?お前にしちゃ煮え切らん答えじゃのう」
森崎「しょうがねえだろ、本当に分からないんだ。どっちも得点力が高いし、
守備力に大して差がある訳でもねえ。目立った弱点もない。そうなれば後は流れと駆け引きだ」
翼「…俺はブラジル有利と見るな」
森崎「あん?」
翼「一見攻撃力と守備力は拮抗している様に見えるが、ブラジルの方が攻守共に支配力が高い。
端的に言ってブラジルの方がチャンスを多く作れると思うんだ」
森崎「チャンスの数かよ。それだけじゃ分かったもんじゃねえぞ。
シュート撃ちまくったのにギリギリまで逆転できなかったのは何処の攻撃陣だ、ああ?」
翼「一般論だろ…それを言うならヘルナンデスにセーブ率で負けていただろうに」
早田「おいおい、こんな所でケンカしてんじゃねえよ」
森崎「チッ」
翼「………」
日向「どうせ見てりゃ分かるぜ。フフフ…」
237 :
代理
:2013/09/10(火) 03:23:02.11 ID:3HgBBD6r
全日本ユースが何時もの内ゲバをしている最中、フィールドでは両チームのキャプテンがセンターサークルで
闘志をぶつけあっていた。特に遺恨は無い二人の仲だったが、だからと言って仲良くする気は毛頭無い。
シュナイダー「こうしてフィールドで出会うのは初めてだな。カルロス・サンターナ」
カルロス「ああ。だがこれからお互い長い付き合いになるだろうさ。共に国の代表としてな」
シュナイダー「そうだな。この試合、俺はホームチームのブラジルを打ち倒し以後ブラジルから
恨まれる選手となるだろう。そしてお前は俺にリベンジを果たす事を義務付けられるだろう」
カルロス「いや、それはないさ。俺の方が歴史的な統一を象徴するチームの栄光を阻み、
新生ドイツの門出にケチをつけた存在としてドイツサッカーに首を狙われる様になるのさ」
シュナイダー「…良かった。優等生タイプと聞いていたが、きちんとそう言う事も言えるんだな」
カルロス「当然だ。お互いの健闘を誓い合う時は、同時に己の勝利を誓う物だろう?」
シュナイダー「良く分かっている様でなによりだ。それでこそ遠慮なく叩き潰せると言う物だ」
カルロス「こちらもな。さて、そろそろお客さんを焦らすのは止めてコイントスをしようか」
シュナイダー「ああ。審判、お願いします」
審判「(何時もこれ位無難なやり取りだったらな〜…)」
コイントスはドイツが取り、シュナイダーは迷いなくボールを選んだ。
試合はドイツユースからのキックオフで始まる。
238 :
代理
:2013/09/10(火) 03:23:45.47 ID:3HgBBD6r
クランケ「(東ドイツ出身の俺には正に未来がかかった試合だ)」
ヨハンセン「(決勝戦に行き、優勝し、ビッグクラブへ行くんだ!)」
マーガス「(敵の跳ね返し屋に負けて堪るか。俺は世界一のポストプレイヤーだ!)」
メッツァ「(とにかくパスを成功させなきゃ。僕にはそれしかないんだから)」
カペロマン「(さあて、ブラジルのサイドの守備はどんな物だ?)」
シェスター「(どんな攻め方でも対応してみせ、俺がヒーローだ!)」
ポブルセン「(ブラジルめ…地獄の底に突き落としてやる!精々苦しめ!)」
フライハイト「(今日は晴天か…雨の加護は得られない。苦しい試合になりそうだな)」
カルツ「(どう考えても楽には勝たせてくれないよなァ。忙しくなりそうだぜ)」
ミューラー「(師匠、見ていて下さい。俺はどんなチームにも負けない)」
シュナイダー「(さあ行くぞ。マリー、お兄ちゃんは勝ってみせるぞ)」
マウリシオ「(俺がオマケとか経験積み要員じゃないって所、見せなきゃな!)」
ドトール「(ドイツは強敵だ。一瞬の油断も許されない)」
アマラウ「(だが勝つのは俺達ブラジルに決まっているんだぜ)」
ジェトーリオ「(相手がカッカしてドツボに嵌ってくれると嬉しいんだけどな〜)」
ザガロ「(鋼鉄の巨人だか雷神だかをスクラップにしてやるぜ!)」
ディウセウ「(うひょー、強そう!オラワクワクしてきたぞ!)」
ネイ「(柔よく剛を制す!こうやって勝つのがモテル秘訣なんだよな〜)」
トニーニョ「(まずは序盤、必ず主導権を握ってみせる)」
サンタマリア「(こちらの作戦が嵌れば相手の弱点がどんどん露呈する筈だ)」
ゲルティス「(セルフコンディションチェック完了。これより実戦に入る)」
カルロス「(俺が、俺達が、セレソンだ!)」
239 :
創る名無しに見る名無し
:2013/10/11(金) 20:53:29.04 ID:EaK8h9+w
――――― 完 ――――――
240 :
創る名無しに見る名無し
:2013/10/12(土) 11:02:40.99 ID:oYqkksB+
↑分かったから黙って待ってような
241 :
創る名無しに見る名無し
:2013/10/12(土) 12:58:09.47 ID:Zw7tFTfs
そのレスがいらない
荒らしに反応したお前も荒らし
俺も荒らし
242 :
代理です。
:2013/10/12(土) 16:24:08.45 ID:hl6suVOg
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
放送「待ちに待ったキックオーーーーーフ!前半のキックオフ権利はドイツユースから!
マーガスくんが蹴り、シュナイダーくんがしばらくキープしてから…ポブルセンくんに!ドリブル開始!」
シュナイダー「(まずはポブルセンの突進でジャブとしよう)」
サンタマリア「(ポブルセンか。それなら)ネイ、トニーニョ!」
ネイ・トニーニョ『OKだ!』
キックオフしたドイツはまずはポブルセンをけしかける事にした。
上手く突破できればチャンスが作れるし、そう上手くいかなくともブラジルの守りを試せると計算して。
ポブルセン「オラァ!かかってこいひ弱なブラジル人どもがァアア!!」
ダカダカダカッ!!
ネイ「ひ弱ときたか!」
トニーニョ「それは大間違いだ」
放送「サイドからネイくんとトニーニョくんが寄せてきた!ポブルセンくんを早めに止めたい!」
彼らの目論見はある意味当たる事になる。ブラジルの守りを試すと言う目的に置いては。
森崎「ん?早速ネイにトニーニョか」
中山「パルメイラス時代のチームメイトだよな?どうだ?」
森崎「二人共攻撃型のテクニシャンタイプだ。ポブルセンの突進は止められないだろうな」
243 :
代理です。
:2013/10/12(土) 16:24:40.92 ID:hl6suVOg
スピードとテクニックで勝負するドリブラー、ネイ。
ドライブシュートと堅実性に定評のあるMF、トニーニョ。
攻撃力は目を見張る物があるが守備力はそれ程でもない。
世間的な評価はこの様な物であり、森崎もそう認識していた。
今日、誰もが思い知る事になる。この二人を含めたブラジルユースの選手達は既に彼らが知る者達ではないと。
ネイ「(トニーニョ!ツインタックルだ、行け!)」
トニーニョ「(当然そのつもりだ)」
ズザザーッ!
ポブルセン「その程度かァ!」
ガゴォッ!!
放送「トニーニョくんタックル!しかしポブルセンくんのパワーに押され…」
ズザザァアアーッ!
バシィン!ポーーーーーン!!
ポブルセン「な…なんだとォ!?」
森崎「!!?」
244 :
代理です。
:2013/10/12(土) 16:25:18.30 ID:hl6suVOg
放送「ああーーーーっと!しかし間髪入れずネイくんがタックルし、ボールをこぼさせる事に成功!
こぼれ球はサンタマリアくんがフォロー!ドイツの出鼻を挫く事に成功しました!」
観客「よっしゃーーー!いいぞネイ!」「ナイスタイミングのタックルだ!」「見たかドイツ!」
トニーニョはポブルセンのパワーに押し負けたが、続くネイのタックルが運良く成功しこぼれ球になった。
観客の殆どは今のプレイをそう解釈したし、それは間違っていた訳ではなかった。
だが見る目を持つ者は分かっていた。今のディフェンスは運よくタイミングが絶妙だった訳ではない事を。
ネイとトニーニョが立花兄弟をも唸らせる連携で決めたタックルだったと言う事を。
政夫「おい!今の狙ってやっただろ!」
和夫「ああ!間違いない、コンビプレイだ!」
早田「先に行った奴を囮兼壁にして、計算された時間差で本命のタックルを強化したのか!」
三杉「森崎…確か彼らは、こんな技は使っていなかったよね?連携は得意だったが」
森崎「…ああ。俺がチームに居た頃はこんな事出来なかったぜ。全く、敵に回った途端新技なんか覚えやがって」
翼「まずはブラジルが主導権を握るかな?」
放送「ボールを奪い返したブラジル、パスワークを使い堅実にドイツ陣内に攻め入ります。
しかし序盤はガンガン行って良い時間帯、そろそろ仕掛ける頃でしょうか?」
フライハイト・カルツ・カルロス『………』
245 :
代理です。
:2013/10/12(土) 16:25:50.95 ID:hl6suVOg
サンタマリア「(やはりカルロスは警戒されているな。だが当然過ぎる事だ)ザガロ!」
バコッ!
カルロスが敵チームの選手達と睨み合いを余儀なくされているのを見たサンタマリアは
躊躇無くザガロにパスをした。ブラジルのタレントはカルロスだけではない為
この程度で彼が困る事はない。ザガロの実力を知っていれば尚更の事である。
ザガロ「よし、行くぜェ!」
ダダダダッ!
放送「サンタマリアくんからザガロくんへ!ザガロくん、突進開始!」
シェスター「来たなウナギマン!クランケ、サポート頼むぞ!」
クランケ「おう(ウナギマンって何だ?)」
ダダダダッ!
ドイツはシェスターとクランケがザガロのパワーに対抗すべくダッシュで迎え撃った。
当然ザガロが強引なドリブルの使い手と知っての事である。
ザガロ「…バカめ!」
バババババッ!
シェスター「えっ!」
クランケ「なにィ!」
ヒュンッ!
246 :
代理です。
:2013/10/12(土) 16:26:36.57 ID:hl6suVOg
故に、ザガロが強引なドリブルではなく華麗なドリブルを繰り出しテクニック勝負を
挑んできた時二人の反応は遅れ、大した事も出来ずに抜かれてしまった。
カルツ「(なんだと!?あいつ、ヒューガに似たタイプだった筈なのに!)」
フライハイト「(ブラジル代表としてのテクニックも持ち合わせていたか…)」
放送「ザガロくん抜いたーーーっ!力ではなく技でPA内に切り込みました!
チャンスだ!前半4分で早くも得点チャーーーーーーーーーンス!!」
観客「よっしゃーーー!流石ザガロだぜ!」「行け!先制点を奪っちまえ!」
こうしてブラジルユースはほぼ理想的な展開で最初のシュートチャンスを得た。
グワァアアアアアアアアッ!!
ザガロ「吹っ飛べデカブツ!ぬォオオオオオオ〜〜〜!!」
バッグワァアアアアアアアアアアアアアアン!!
ギュルギュルギュルギュル!
ミューラー「調子に乗るな…!」
247 :
代理です。
:2013/10/12(土) 16:27:35.12 ID:hl6suVOg
バッ!
バキィイイイイイイン…!
パァーーーーーーン!
ザガロ「…ちっ!」
ミューラー「この程度のシュートで俺は破れん」
だがいきなりダブルイールでゴールを許す程ミューラーは甘くなく、
勢い良く放たれたボールはミューラーの巨大な拳と地面に挟まれて甲高く破裂した。
放送「撃ったーーーーーっ!!ザガロくんのダブルイールだァ!…ああっとしかし、
ミューラーくんいきなりミョルニルをみせつけた!ボールは哀れ、破裂させられてしまいました。
前半4分、まずはブラジルが1本目のシュートを撃ちましたがこれは見事に防がれました」
観客「あ、あああ〜…」「ちぇっ、そう簡単には行かないか」「なぁに、何度でも撃てばいいのさ!」
カルロス「(よし、行ける。このまま攻撃権を独占し、シュートを撃ちまくる!)」
シュナイダー「(まずは流石はブラジルと言った所か。だがこの程度で萎縮していられん)」
248 :
代理です。
:2013/10/13(日) 12:46:34.13 ID:iSVSVTmD
ミューラー「ハァッ!」
ボッガァアアアアアアアアアアアアン!!
ミューラーは交換されたボールを勢い良く蹴り出した。当然前線のマーガス狙いである。
マーガス「(よし!コンドルとやらの実力、見せてもらうぞ!)」
サンタマリア「(予想通り、アマラウを意識し過ぎだ…ディウセウ!)」
ディウセウ「(おう!オラの出番だな!)」
放送「ミューラーくん大きくキック!早速ドイツの速攻パターン、マーガスくんの頭狙いです!
しかしブラジルにもコンドルの異名を持つ跳ね返し屋、アマラウくんが居る!
早速二人ともベストポジションを争って走りこみます!」
アマラウ「(本来は一対一で勝負したい所だがな…チームの為だぜ)」
マーガス「(ポジショニングが甘い…?これなら行ける!)」
マーガスはアマラウとの対決を試合前から意識していた。そして実力で打ち勝つつもりでも居た。
ブラジルユースの高いクリア役と言えばアマラウであり、それ以外のDFは自分の相手ではない…
特に大柄でパワーはあるがジャンプ力に欠けるディウセウは殆ど歯牙にもかけていなかった。
だがそれは大きな誤りだった。
バッ!
バッ!
バッ!
249 :
代理です。
:2013/10/13(日) 12:47:07.71 ID:iSVSVTmD
ディウセウ「キャ!ノ!ン!」
マーガス「!!?」
ガガガッガッ!!
ディウセウ「クリ!アーーーッ!!」
マーガス「ぐわああっ!?」
ドガアアッ!
ディウセウはジャンプ力でこそ及ばなかったものの、体の大きさを上手く行かして
ベストポジションを確保した上で競り合った。こうなるとパワー勝負では彼が圧倒的に有利で、
当然アマラウも居る状況ではマーガスは打ち勝つ事が出来ずに吹き飛ばされてしまう。
シュナイダー「(何!?アマラウだけでなく、ディウセウもあんなクリアが出来るのか!)」
アマラウ「(ジャンプ力がないんならパワーとポジショニングで補えばいい…
理屈は簡単だけど無茶しやがるなあコイツ。ザガロと気が合うのも納得だ)」
放送「ああっとしかし、頭一つ抜けたのはその二人ではなくディウセウくん!
豪快なクリアでマーガスくんごとボールを跳ね返した!これは幸先がいい!」
観客「よっしゃあ!ドイツの速攻パターンを防いだぞ!」「ディウセウ!ディウセウ!」
250 :
代理です。
:2013/10/13(日) 12:48:15.79 ID:iSVSVTmD
翼「おや?アマラウがマーガスの相手役かと思ったら…」
次藤「なんやアイツ、ワシと似た体格ばってんあんな事も出来っとね?」
若島津「ジャンプ力の無さを体格とポジショニングで補うクリアか。理には適っている」
葵「ドイツ、いきなりポストプレイ対策をされちゃいましたね?」
松山「毎回成功する訳じゃないだろうが、これであんまりマーガスには頼れなくなったな」
若林「…まずいぞ、ドイツ」
山森「そうですね、出鼻を上手く挫かれ続け…」
若林「それだけじゃない。ブラジルはドイツの攻撃パターンのほぼ全てに対策できているかも知れん」
赤井「えっ?マジっすか?」
三杉「…君もそう思ったか。どうやら、翼くんの予想通りの展開になるかもね」
ブラジルがシュートを積極的に撃っていくつもりなのは誰の目にも明らかだった。
放送「再びブラジルボール、しばらくパスを回します。下がり目に位置したサンタマリアくんが
司令塔となったオーソドックスなパスワーク、言わば嵐の前の静けさです」
251 :
代理です。
:2013/10/13(日) 12:49:05.51 ID:iSVSVTmD
ネイ「おいサンタマリア!そろそろくれよ!」
ダダダダッ!
ヨハンセン「(ネイが来る…?いや!?)」
サンタマリア「ナイスデコイ」
シュッシュッ!
ダダッ!
ヨハンセン「しまった!」
放送「おっとここでサンタマリアくんネイくんとスイッチ…いや!そう見せかけて
右サイドに切り込みました!シュートチャンスだ!」
フライハイト「(焦る事はない。サンタマリアよりも脅威度が高いのは…)」
サンタマリア「任せたぞ!」
ボムッ!
放送「撃たない、バックパス!これは少し距離を取っていたカルロスくんへのパスだ!」
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
観客「よっしゃー!カルロスに渡った!」「いけーっ!ミラージュシュートだァ!」「決めろカルロス!」
フライハイト「(そう、カルロスだ。撃たせて止める)」
252 :
代理です。
:2013/10/13(日) 12:50:40.62 ID:iSVSVTmD
前半8分、カルロスがミラージュシュートを放つ。
カルロス「(ブロッカーは…二人か。だが関係ない。撃つ!)行くぜミラージュシュート!」
グワァアアアアアアアアアアアッ!!
バッギュゥウウウウウウウウン!!
放送「出たァ!カルロスくんのミラージュシュート!」
フライハイト「っ!」
クランケ「うわあっ!」
チッ…
ドガアッ!
ミューラー「チィッ!」
バッ!
バコォオオオオン!
これをフライハイトが反転ブロックで威力を弱め、ミューラーはパンチングで
(ブラジル側から見て)左コーナーキックに逃れる事に成功した。
放送「防がれたァ!これはコーナーキック!ブラジルのチャンスは続きます」
観客「あ〜〜〜っ、惜しい!」「なあに、コーナーならまだまだ行ける!」
サンタマリア「(コーナーか。それなら、出し惜しみせずに行くか!)」
253 :
代理。
:2013/10/14(月) 06:40:36.43 ID:87RfglEy
更にブラジルのチャンスは続く。
放送「コーナーキック!何かが起こりそうな予感がします!キッカーはサンタマリアくん。
一体どのシューターを使ってくるのか、我々以上にドイツが気にしているでしょう!」
フライハイト「(ディウセウは…駆け込もうと思えば駆け込める、程度の位置か…)」
ミューラー「(どいつもこいつも撃つ気満々…これ程までにシューターが多いチームと
戦った事はない。俺が予測などしたら薮蛇…ならばボールの動きだけを見るか)」
ピィイッ!
ディウセウ「おっしゃ!」
ダダッ!
岬「あっ!これはダイレクトだよ!」
翼「えっ?」
フライハイト「(ディウセウが走りだした…?いや、勢いがない。フェイクか。なら誰に…)」
サンタマリア「今だ!」
ダダッ!
グワアアアアッ!
フライハイト「なにィ!?」
バシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!
ギュルルルルルルル!
254 :
代理。
:2013/10/14(月) 06:41:51.89 ID:87RfglEy
放送「おお〜っ!?サンタマリアくんまさかの直接シュート!これは得意のバナナ…いや!
ブーメランシュートだ!バナナシュートより遥かに曲がるブーメランシュートです!」
カルツ「ちょっ、待て!」
シェスター「し、しまった!」
サンタマリアのブーメランシュートはドイツの誰も予測しておらず、
誰もブロックする事が出来なかった。ここまでは完全にサンタマリアの狙い通りだった。
ミューラー「騒ぐなグズども!」
バッ!
バコォオオオオオオオン!!
サンタマリア「なにィ!(ミューラーだけは読んでいたと言うのか?試合経験が少ない筈のアイツが!)」
ミューラー「この程度のシュート、何本撃っても無駄だ!」
シェスター「な、ナイスだミューラー!」
だがサンタマリアにとって誤算だったのはミューラーが最初から選手の動きなど見ておらず、
ボールだけ見ていた為惑わされなかった事だった。
放送「し、しかしミューラーくんこれも力強くパンチング!不意をついた筈のシュートでしたが
彼だけは勘で読んでいたのでしょうか?上手くシェスターくんの前方に弾きました!」
シュナイダー「よし、攻めるぞ!」
ドイツメンバー『おう!!』
255 :
代理です。
:2013/10/16(水) 01:06:18.18 ID:uDFXm/VZ
シェスター「そろそろ反撃させて貰わなきゃな!」
マウリシオ「そうは行かないッスよ!」
放送「シェスターくんにマウリシオくんがつい…」
シェスター「それ位じゃ俺は止められないぞ坊や!」
ババババッ!
マウリシオ「うえっ!?」
放送「た…がすぐに抜かれてしまいました!そしてシェスターくんパス!このボールはカペロマンくんに!」
早くも3本もシュートを撃たれたドイツは早いうちにやり返したいと言う心理で反撃を狙い、
マーガスのポストプレイに次ぐ得意戦法であるカペロマンのサイドアタックを試みる。
若林「得意のサイドアタックか…だが、これも当然対処済みだろう」
三杉「だろうね。ああ、やっぱりジェトーリオだ」
ジェトーリオ「は〜い、ここは通行止め。諦めてボール頂戴」
カペロマン「フッ。お前が噂の外道野郎か」
放送「このサイドアタックを阻まんとハーフライン間際でジェトーリオくんがついた!」
256 :
代理です。
:2013/10/16(水) 01:06:50.40 ID:uDFXm/VZ
カペロマン「俺のサイドアタックを止められるか?」
スタッ。
シュシュッ!
ダダダッ!
ジェトーリオ「やるねえ。サイドラインをすっごく上手く使ってるよ。で・も♪」
グイッ!
カペロマン「なっ!?(このタイミングでも審判に見えていないのか?)」
ズサッ!
しかしジェトーリオの見え難い反則を混ぜたディフェンスを突破する事はカペロマンには難しかった。
ただしドイツもただ単純にカペロマンの単独突破に期待していた訳ではない。
ジェトーリオ「それだけじゃ僕は抜けないよ…〜ん!?」
放送「ジェトーリオくん奪いました!…ああっと、しかし!」
シュナイダー「上手いディフェンスだ。ではボールキープの方はどうだ?」
ジェトーリオ「や、ヤバッ…!」
257 :
代理です。
:2013/10/16(水) 01:07:55.39 ID:uDFXm/VZ
ドゴォオオッ!
ジェトーリオ「ぐべぁああああ〜っ!!」
シュナイダー「こっちは大した事はないな」
カペロマン「おお!良い気味だぜ!」
ゲルティス「…PA内に微速後退。敵に時間を消費させ、切り込みかシュートの二択を強制しろ」
ドトール・アマラウ・ディウセウ『おう!』
放送「すかさずシュナイダーくんに奪い返され、ジェトーリオくん吹っ飛ばされた!
ブラジル、遂に自陣にドイツの侵入を許してしまいました!ドイツの最初のシュートが生まれるか?」
ドイツ側もまたカペロマンが止められた時用にシュナイダーが寄せており、ボールの再奪還に成功した。
中山「おおっ!今のはドイツの読み勝ちか」
日向「だが…ここからどうするつもりなんだろうな?」
シュナイダー「(前には…ドトール、アマラウ、ディウセウの3人か…)」
こうしてとうとうエースストライカーを筆頭に攻め入る事に成功したドイツだったが、
そこから先をどうするかが問題だった。ジェトーリオを突破してもまだDFは3人も残っており、
どの様な攻め方をしても対応が出来る体勢。勿論グズグズしていたらブラジルのMFが戻ってくる。
258 :
代理です。
:2013/10/16(水) 01:08:34.90 ID:uDFXm/VZ
ポブルセン「何してやがるシュナイダー!撃たないんなら俺に寄越せ!」
シュナイダー「…いいだろう。撃て」
ポンッ。
放送「シュナイダーくんチャンスエリアに駆け込んでから…左にパス!ここにはポブルセンくんだーっ!!」
シュナイダーはドリブルしながら考えた後、ポブルセンに撃たせる事にした。
そのまま通じれば良し、弾かれるのなら自分が追撃すれば良しと判断して。
ポブルセン「ブラジル人どもよ!俺の力を思い知れ!そして…後悔しろーーーっ!!」
グワアアアアアアアアアッ!!
放送「ポブルセンくんのマーダーショット!かなり強力なシュートです!」
ディウセウ「よしっ!いっちょやってみっかァ!」
ゲルティス「(この状況でのマーダーショットがディウセウを突破する確率…55%)」
バギュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
ディウセウ「うぅううううりゃーっ!!」
ボグォオオオオオオッ!
ズズズズズ…
ポトッ。
ポブルセン「な…なにィ!?」
259 :
代理です。
:2013/10/16(水) 01:09:10.08 ID:uDFXm/VZ
ドイツの目論見は叶わなかった。ポブルセンのマーダーショットはディウセウがブロックに完全成功した。
やっと撃てた一本目のシュートはキーパーまで届かなかったのだ。
放送「止めたーーーっ!!ディウセウくんガッチリブロック!巨体を活かして踏ん張り
シュートの勢いに打ち勝ち、弾く事すらせずトラップしました!これはファンプレイです!」
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
観客「いいぞいいぞディウセウ!」「ちょっとヒヤッとしたが、これなら安心だな!」
森崎「あー、ディウセウはブロック力も上がってるな。当然っちゃ当然だが」
翼「一年間あったんだ。リオカップの時よりはパワーアップしているだろうさ」
松山「でも、ビデオから想像していた姿より更に強いんだが…」
三杉「この大会はこれまで楽勝続きだったからね。新技をいくつか隠していたんだろう」
ディウセウ「ヘッヘヘー…」
ポブルセン「野郎ッ…!」
シュナイダー「(これは…相当な我慢を強いられる試合になるかも知れん…)」
シュート数で圧倒されそうな上に、折角撃てたシュートも厚い壁に阻まれる。
苦戦を予感したシュナイダーの顔は普段より更に鋭く厳しい物になっていた。
260 :
代理です。
:2013/10/22(火) 00:26:20.69 ID:SkRieUdS
ブラジルは更に苛烈な攻撃を続けていく。
ディウセウ「そーりゃっと!」
ボッコォオオオオオオオン!
放送「ディウセウくん大きく蹴り上げた!これをトニーニョくんがジャンピングトラップ。
ここからネイくんとのコンビプレイで攻め上がるのでしょうか?」
トニーニョ「(いや…今回は俺だけで行く。上がれ、ネイ)」
ネイ「(オッケー)」
ダダダッ!
放送「いや、二人の距離は開き気味です。どうやらトニーニョくん、しばらくは自力で攻め上がる模様!」
メッツァ「(あいつもドリブル上手いんだよなー。上手くカルツと連携しないと…)」
トニーニョ「そんな時間をやると思うか?」
ダダダダーッ!
ヒュッ!
メッツァ「えっ!?」
放送「ここでトニーニョくん加速!メッツァくんは驚いたのかノーチェックで行かせてしまいました!」
261 :
代理です。
:2013/10/22(火) 00:26:59.63 ID:SkRieUdS
トニーニョは単独で勝負したがらないメッツァの心理を読み、猛ダッシュで彼を置き去りにした。
カルツ「何やってやがるメッツァ!ええいシェスター、援護を!」
シェスター「分かっているさ!」
トニーニョ「(よし、ここで使うべきだ)」
グワアアッ!
放送「ああっとトニーニョくん振りかぶった!?これはロングシュートか?」
カルツ「(こんな距離でシュート?そんな馬鹿な事をしてくれるんだったらむしろラッキーだ)」
シェスター「(これはパスだ!つまり、俺のホウセンカが物を言う!)」
バッコォオオオオン!
ギュワーーーン!
更に逆サイドに流す大きなパスを出す。その軌道にはカルツとシェスターの二人が居た為
このパスの成功率は高くないだろうと思われた。
カルツ「(なんだこりゃ!?やたら速くて高いぞ!)」
シェスター「(届かない…けど、サイドラインを超えるだろうこれは…)な、なにィ!?」
放送「いや、パスです!速くて高い…高すぎるか!?いや、こ、これは!」
262 :
代理です。
:2013/10/22(火) 00:28:00.41 ID:SkRieUdS
翼「あれは…!ドライブパスじゃないか!」
ギュルルルルン!
しかしシェスターの予想と頭上を越えていったパスは強烈なドライブ回転により
狙い通り逆サイドにちょうどいい高さに落ちる様になっていた。
トニーニョ「甘いぞドイツ。俺にもこれ位は出来る」
森崎「あの野郎…これも昔に使ってりゃいい物を…」
ダダダダッ!
マウリシオ「ナイスパス!こいつは貰ったぜ!」
バッ!グルンッ!
グワァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
放送「この高いボールに駆け込むのはマウリシオくんだ!高くジャンプして
オーバーヘッドキックに行きます!クランケくん追いすがるが、間に合いそうにない!」
翼「!!?」
若林「あ、あのフォームは…!」
ミューラー「(フン。あんなキック力の無さそうな奴のオーバーヘッドなど…!?)」
バッ!
263 :
代理です。
:2013/10/22(火) 00:29:00.11 ID:SkRieUdS
マウリシオ「いっけぇええええええええ!!」
ブワッギュルァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
放送「マウリシオくんのオーバーヘッドキック…!違う!」
トニーニョのセンタリングからマウリシオが放ったシュートはただのオーバーヘッドキックに見えた。
ギュゥウーーーーーーン!!
グ、グ、グッ!
下に向かって打ち下ろされた筈のそのボールが非常識にも上に曲がり始めるまでは。
岬「翼くんのドライブオーバーヘッド…!?」
松山「マジかよ!」
翼「(マウリシオが…これが出来るなんて…!)」
マウリシオ「(俺は年下ってハンデに負ける気はサラサラないんですよ、ツバサ!)」
ミューラー「クッ…こんな…小細工になどォ!」
ブンッ!
バチィイイン!
放送「ドライブオーバーヘッドだーーーっ!!しかしミューラーくんかろうじて弾く!」
264 :
代理です。
:2013/10/22(火) 00:29:59.14 ID:SkRieUdS
マウリシオ「(げっ、これでもダメなのか?…まあいいや)」
予想外の大技に間一髪で気付いたミューラーだったがそれでも対応の遅れは拒めず、
咄嗟に腕を振り上げて不恰好に弾き上げるのが精一杯だった。
ネイ「チャ〜ンス♪」
ダダダダッ!
グワアアアッ!
それはつまり、ブラジルのチャンスが継続すると言う事である。
ミューラー「…おのれェ!」
放送「ボールは逆サイド!ネイくんだ!ネイくんが合わせに行っているーーっ!!」
観客「よっしゃーーーっ!!叩き込め!」「キャーーーー!決めてネイーーーーッ!!」
フライハイト「拙い…!」
ヨハンセン「やらせるかーっ!」
ダダダッ!
ネイ「よっと!」
ポコン。
ギュルンッ!
グワアアアアアアッ!
265 :
代理です。
:2013/10/22(火) 00:30:42.63 ID:SkRieUdS
フライハイト「(かわされた…が、これなら!)」
ねじ込みを狙うネイは得意のディレイドスピンボレーでDFを振りきり、シュートに行った。
ネイ「決めるぜ!…えっ!?」
シュウウンッ!
ミューラー「うぉーーーーーっ!!」
バギィイイイイイイン!
だがDFをかわした僅かな時間を利用したミューラーが、体勢の悪いまま飛び出しもう一度ボールを跳ね上げる。
放送「おおおおお〜〜っとォ!?しかしミューラーくんが物凄い勢いで飛びついたァ!
シュートが阻止され、ボールは更に弾かれて行く!」
観客「ウッソー!?何でそこに居るのよ!」「折角のネイのシュートだったのに!」
ネイ「(冗談だろ…なんであそこから間に合うんだよ…)」
ミューラー「…くうっ!?」
トニーニョ「まだだ、今度こそ!」
バッ!
266 :
代理です。
:2013/10/22(火) 00:31:41.91 ID:SkRieUdS
ここで更にシュートを撃たれていたらドイツは今度こそ失点していたかも知れない。
ブラジルもそれを狙ってトニーニョがこぼれ球に向かって飛んでいた。
マーガス「フザけるな!いい加減にしとけよ!」
バッ!
トニーニョ「うっ!?」
バコォオオオン!
だがドイツもマーガスが戻ってきて競り勝った事でやっとクリアに成功し、
3連続でシュートを浴びる事はかろうじて阻止した。
放送「これをトニーニョくんとマーガスくんが競り合い…マーガスくんクリア!
ブラジル、惜しくも畳みかけきれませんでした。前半18分、ここまで優勢に攻めていますが
ミューラーくんを中心とした粘り強い守りに後一歩の所で持ち堪えられています」
観客「くっそぉ、惜しい〜!」「まあまあ、ここは素直にドイツを褒めてやろうじゃないか」
森崎「ったく、一体いくつ新技用意してきやがったんだブラジルユースは」
シュナイダー「(これは…危険だ。危険な試合だ…!)」
こうしてピンチをまた切り抜けたドイツだったが、キャプテンのシュナイダーは冷や汗を禁じ得なかった。
ここまでのシュートはブラジルが5本に対しドイツはわずか1本。しかもドイツのシュートは
GKまで届いていないのに対し、ブラジルのシュートは全てミューラーの奮闘によって防がれている有様。
試合展開がブラジルの一方的優勢になっているのは火を見るよりも明らかだった。
267 :
代理
:2013/10/24(木) 02:52:25.19 ID:MOutQ6Vu
ドイツは2度目の反撃のチャンスの先陣をメッツァに切らせた。
放送「このこぼれ球はメッツァくんがフォロー!ドイツにとっては久々の攻撃チャンスです!」
シュナイダー「上がれメッツァ!ネイとトニーニョが戻っていない今がチャンスだ!」
メッツァ「分かってるよ!(でも…)」
ダダダダッ!
放送「パサーとして知られるメッツァくんですが、ここはドリブルで攻め上がります。
あっと、ブラジル誰もチェックに行かない?ネイくんとトニーニョくんが戻りに
走っていますが、このままではブラジルサイド奥深くまで攻め入られてしまうでしょう」
サンタマリア「(メッツァにチェックに行っても、パスカットは難しい。
それよりも他の奴らのマークを固め、パスを出しても意味がないと言う状況を作る)」
メッツァ「(やっぱりこうされちゃうよね〜…さて、どうしたものやら)」
幸運にも、メッツァは軽視された為にマークが緩く今度はボールをブラジル陣内に運ぶのは容易だった。
不幸にも、メッツァがボールを運んだだけでは決定的なチャンスを作るのは容易ではなかった。
山森「パスの出し所に困っていますね…」
若林「メッツァは自分で決定的な仕事は出来ない。故に放置されやすく、
ボールを前に運びやすくなると言うメリットはあるが、そこからどうするかが問題だ」
268 :
代理
:2013/10/24(木) 02:52:55.66 ID:MOutQ6Vu
メッツァ「(…相手の予想通りだろうけど、シュナイダーの体力を余らせないのが一番か)」
バコッ!
放送「ここでシュナイダーくんにパスが通った!ドトールくんとアマラウくんが詰めに行く!
ここで抜かせてしまってはドイツのシュートチャンスになってしまう!」
メッツァは悩んだ末にシュナイダーを頼る事にした。マーガスとカペロマンがしっかりマークされており、
ポブルセンが先程防がれていてはもうシュナイダーの個人技に頼る事しか思いつかなかった。
シュナイダー「(不利だと分かっていてもやるしかないか…!)」
バババッ!
ドトール「無駄だ。通しはしない」
アマラウ「ちょっとムシが良すぎないか、ってな?」
ズザザァッ!
バチィーーーン!
シュナイダー「くっ…!」
放送「通さない!ドトールくん上手くこぼしました!あっとしかし!」
ダダダッ!
カペロマン「まだだ!俺が居るぜ!」
放送「カペロマンくんが中央に寄ってきていた!これをフォロー!」
269 :
代理
:2013/10/24(木) 02:53:27.28 ID:MOutQ6Vu
しかしシュナイダーはアマラウのサポートを受けるドトールにしっかりマークされており、
ドリブルで抜き去る事が出来ずボールをこぼされてしまう。これをカペロマンがフォローしたが、
すぐにでもジェトーリオに追いつかれそうになったカペロマンはすぐ撃つしかない。
ジェトーリオ「あれっ?いいのかなー、君サイドじゃないと役立たずじゃん」
カペロマン「余計なお世話だ!くらえっ!」
グワアアアアアアアアアッ!!
放送「すかさず振りかぶる!カペロマンくんのサイドワインダーだーーーっ!!」
ゲルティス「俺に任せろディウセウ(この位置からのサイドワインダーの得点確率…5%)」
ディウセウ「いいのか?んじゃオラはフォローに備えるぞ」
カルツ「(くそっ…あの位置からじゃ多分…)」
バッコォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
ギュインギュインギュインギュイン…!
ゲルティス「(キャッチ成功確率76%…)」
バッ!
シュィイイイイイイイイイイイイン…!
森崎「!!」
ガシイッ!
270 :
代理
:2013/10/24(木) 02:53:58.22 ID:MOutQ6Vu
ゲルティス「キャッチ成功」
カペロマン「…くそっ!」
放送「しかし止めたーーーっ!!ゲルティスくん物凄い反応速度でガッチリキャッチ!
左右にあれ程ぶれるシュートを迷いなく正確に掴み、トレードマークのダークイリュージョンの
凄さを見せつけました!流石はACミラン所属のキーパーマシンです!」
観客「よっしゃー!流石ゲルティス!」「どーしたドイツ!全然ダメじゃないか!」
赤井「出たっス!あれがゲルティスのセービングです!」
三杉「森崎に近いタイプだな。凄い瞬発力を伴ったセービングだ」
森崎「チッ。生意気な…正面からのサイドワインダーなんかキャッチ出来て当たり前だっての。
ありゃサイドから独特の軌道で惑わすから効果的なんだよ。正面からじゃただのツインシュートみたいなモンだ」
岬「うん。カペロマンがわざわざ中央で撃たされた時点でドイツの負けだね」
日向「このままじゃドイツは無様に負けるだけだ。どうするつもりなんだか」
止むを得ず即撃ったカペロマンのサイドワインダーは類まれなる瞬発力を見せた
ゲルティスのセービングに完全に阻まれた。ドイツはこれでやっとシュートを敵GKに
届かせたが、その結果は全く勇気づけられない物だった。
ルディ「(いかん…こうまで攻防両方で圧倒されるとは!このままでは先制点を奪われた時点で負けかねない!)」
シュナイダー「………くそっ」
271 :
代理です。
:2013/10/29(火) 01:14:37.89 ID:fNlvc22m
ゲルティスがあっさりサイドワインダーをキャッチした事で、当然またブラジルの攻撃が始まる。
ここでシュナイダーは決断を迫られた。
シュナイダー「(…戻るべきか、戻らぬべきか…)」
この試合彼はここまでカウンターに備え前線で張っていた。
基本的に彼は典型的なストライカータイプで、守備は前線では行うが自陣奥深くまで戻る事は殆どない。
こう表現すると人によっては守備貢献をしない我儘なFWと評するかも知れないが、
速攻に備える事で己の攻撃力で敵チームを威圧するのもFWの仕事の一つである。
FWが攻撃よりも守備を重視し自陣に戻れば当然チームの攻撃力は落ちるし
敵チームのDFが攻撃参加を得意とするタイプであれば積極的にそれを狙ってくるであろう。
だがそれらを承知した上でシュナイダーは今は自陣に戻り守備とボールキープに貢献すべきか真剣に悩んだ。
このまま攻撃され続ければ遠からず失点する確率はかなり高い。
少なくとも試合終了まで無失点のまま切り抜けられる事を期待するのは楽観的に過ぎるだろう。
ならば彼も自陣内でボール争いに関わり、試合の流れを変えるべきではないのか?
ルディ「(くそっ…私の見通しが甘かったと言うのか?だが、これでは修正する箇所など…)」
同じタイミングで彼の父親であるルディ監督も悩んでいた。昨晩与えた指示が殆ど役に立っていないのはまだいい。
作戦にミスがあったのならそれを修正すれば試合の流れを変えられる可能性があるからだ。
だが相手は攻撃力も守備力も想定していた範囲を優に超えており、しかも何か奇抜な事をしている訳でもない。
両チームが自分たちの得意な戦い方で真正面からぶつかりあった結果ブラジルが優勢になっているだけなのだ。
つまりそもそもミスなどしていないのだから、都合よく流れを変えられる修正箇所などない。
正攻法の修正ではなく奇策ならば話は変わるが、勿論それは多大なリスクを伴う。
272 :
代理です。
:2013/10/29(火) 01:15:41.23 ID:fNlvc22m
ルディ「(ダメだ…!いっそ私が無能ならまだ良かった!それなら打てる手が何かしらあった筈なのに!
今のままでは選手達が耐え抜き、反撃の機会をみつけるまで待つしかない!…なんと無力な監督だ)」
結果、ルディ監督は動きたくても動けなかった。
最初からベストメンバーを出しているのだから流れを変えられるスーパーサブなど居ない。
またドイツユースにはユーテリティプレイヤーが少なく、特に大胆にポジションチェンジ出来るのは
フライハイト位の物である。フォーメーションを弄って光明を見出すのも難しい。
ルディ「(いや…今、私が監督としてすべき事は選手達を…特に守備陣を信じる事だ。
ブラジルの攻撃は変幻自在の剣林弾雨。しかし問答無用で装甲を貫ける大砲は持っていない。
もし持っていたらとっくに使っていただろう。先制点が喉から手が出る程欲しいのは向こうも同じ。
故に…勝機はカウンターに有りだ!待っていればチャンスは必ず来る!その為には…)」
焦りに耐え抜いた熟慮の末、ルディ監督は動きたくても動けないのではなく、動きたくても動かない事を決めた。
藪蛇をつつく誘惑に耐え自分の作ったチームとそれを構成する選手達を信じる無策の策。
それこそがこの試合の勝利への道だと信じて彼は何も動かずじっと見守り続けた。
彼の息子であるシュナイダーが万が一誘惑に負けてしまった場合はすぐさま止めるつもりで。
ルディ「(お前だけは守備に下がってはいけないぞ、カール)」
カルロス「(相変わらずシュナイダーは前線に残っているのか?)」
サンタマリア「(ダメだな。ジェトーリオのサインは相変わらずだ)」
ブラジルユースもまた、シュナイダーの動きに注目していた。
それもサンタマリアが直接見るのではなくゲルティスからジェトーリオを経由したサインで。
彼らはシュナイダーに自分が観察されている事を視線で気付かれたくなかった。
273 :
代理です。
:2013/10/29(火) 01:16:46.35 ID:fNlvc22m
つまり、彼らはシュナイダーに守備に戻って欲しかったのである。
カルロス「(作戦は7割がた成功している。2トップ対策、攻撃権の独占、シュートラッシュ…
全て実現出来ているが、ミューラーが予想以上に固い事とシュナイダーが守勢に
回ってくれていないのが問題だ。奴を自陣に閉じ込めれば9割がた勝利が決まるんだが…)」
シュナイダー「(…戻らない。俺は戻ってはいけない!)」
ブラジルユースの目論見は外れた。わざわざサインを使い気付かれない様配慮したのは無駄になった。
シュナイダー「(ここで戻ってもジリ貧になってブラジルを喜ばせるだけだ。
俺が守備に戻ればキープ率は上がるだろう。だがそれは自陣内のキープ率であり
敵陣に攻め込める時間はむしろ減る。そしてそれはシュートチャンスの減少に繋がるんだ。
ブラジルも見た目程余裕がある訳じゃない。あれだけ撃ちまくっていてもミューラーを
崩せない事は必ず近い内に苛立ちと油断に繋がる!その一瞬のスキこそが反撃のチャンスだ!)」
シュナイダーは熟慮の末にあくまで前線で待ち続ける事を決断した。
この決断が前半と先制点の行方を左右する事になる。
放送「さあここでザガロくんがボールを持ちました!丁度いいシュートレンジです!」
274 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:54:23.65 ID:R7VaNLf4
後半23分、またしてもドイツ守備陣を引っ掻き回して作ったチャンスで
シュートを撃ったのはザガロだった。
グワァアアアアアアアッ!!
ザガロ「そろそろ諦めやがれ!ぬぉおおおおおお〜っ!!」
バッグワァアアアアアアアアアアアアアアン!!
ギュルギュルギュルギュル!
放送「ザガロくんのダブルイール!今度こそ決まるか?」
ミューラー「諦めるのは貴様らだ。その程度のシュート、何本撃とうと…」
バッ!
バゴォオオオオオオオン!
ミューラー「俺には通用せん!」
ザガロ「な、なにィ!この野郎…!」
それは適切なシュートレンジからブロッカーの穴を上手く突いた良いシュートだったが、
ミューラーは衰えぬキレを見せ、これも上手く弾いた。
フライハイト「(ミューラーは良く持ち堪えている…だがこれ以上それに依存する訳にはいかない。
ブラジルも試合開始直後からずっと優勢だった事で緩み始める…流れを変えるならこのタイミングだ)」
ダダダダッ!
そしてフォローしたフライハイトがドリブルで上がり始めたのがドイツの反撃の始まりだった。
275 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:54:59.84 ID:R7VaNLf4
放送「しかしこれも防がれました!まだ得点は…あっと、これをフォローしたフライハイトくん
ドリブルで上がり始めた!攻められっぱなしに堪らずオーバーラップで打開を図ったか?」
サンタマリア「(唯一のブロッカーであるフライハイトが上がってきたか…奪えばチャンスだ!)」
フライハイト「(…ドリブル勝負は危険だ。パスがベターだが、ベストな選択は…)」
この時フライハイトは自分がブラジル陣内まで攻め込むつもりはなかった。
パスで味方に託すか、それ以上の事が出来る様味方がフォローしてくれる事を期待していた。
カルツ「フライハイト!俺にやらせろ!」
フライハイト「…ナイスフォロー」
クルッ!
ダダッ!
サンタマリア「なっ…カルツが!?」
カルツ「(ブラジルユースめ…認めるぜ。お前らは上手い。嫉妬が堪え切れない位にな。
基本も技術も両方とも俺より上だ…だが上手いイコール強いイコール勝てるじゃないんだぜ)」
彼の期待にはカルツが答えた。小柄さを利用してフライハイトを遮蔽に使い、
サンタマリアの視線から隠れてフライハイトの後を追っていた。
それを察したフライハイトはボールを置き去りにしながら反転し、
カルツに攻撃を託して自分は守備に戻って行った。
276 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:55:36.60 ID:R7VaNLf4
カルツ「(強い奴が勝つんじゃない、勝った奴が強いんだ!ってのはウチのキャプテンの座右の銘でな。
俺はその心がけで何もかも俺より上を行く天才に勝った事がある。今回もそうさせてもらうぜ!)」
サンタマリア「くっ、マウリシオ!フォローを…」
カルツ「遅いぜよ!」
ガガガガッ!
ドゴオッ!
サンタマリア「ぐはぁ!」
不意をつかれたサンタマリアはカルツを止める事が出来ず、自陣内への突入を許してしまった。
ブラジルユースの守りにほころびが出来た瞬間だった。
放送「いや、カルツくんだ!サンタマリアくん吹っ飛ばされた!ドイツ、業を煮やしたか強引な攻めだ!」
翼「カルツが上がってきた…!」
若林「開き直ったか…だが、さっきからカルツは守備であまり貢献出来ていなかった。
ならいっそ攻撃に転じた方が良いかも知れん。なによりカルツはノーマークには出来ない選手だ」
日向「…おい赤井。ブラジルのGKの一対一能力はどんなモンだ?」
赤井「えっ?えーと、ゲルティスは…そうですね、ヘルナンデスに一段劣る位ッスよ。
もしカルツに一対一に持ち込まれちゃったら割とあっさり失点するかも…」
ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
観客「おいおい、攻められているじゃないか!」「早く止めろよ!失点するんじゃない!」
277 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:56:48.42 ID:R7VaNLf4
ジェトーリオ「もう、何やってるのさ!マウリシオ、マーク代わって!フリーにしなきゃいいから!」
マウリシオ「お、おう!」
ゲルティス「シュナイダーとマーガスのマークを外すな。カルツの突破にも備えろ。
カペロマンとポブルセンは撃たせてもいい、俺が止める」
ドトール・アマラウ・ディウセウ『おう!!』
シュナイダー「(対応はしているが、焦り出したな…完璧な守りなどない。
相手がリスクを覚悟すれば尚更の事だ…いける!)」
ここでブラジルは堪らずジェトーリオがカバーに入り、カルツを止めに行こうとした。
このままカルツにみすみす一対一の機会を与える訳にはいかないと言う判断による行動である。
だがカルツが狙っていたのは自力の得点ではなかった。
カルツ「(よし…いい感じに乱戦になってきたぜ。マーガスの位置を確認して…今だ!)」
ボコォン!
ディウセウ「おっ、ロブか!アマラウ、オラと来てくれ!」
アマラウ「分かっていらァ!…えっ!?」
カルツ「おっと、ごめんよっと」
アマラウ「て、てめェ!」
ゲルティス「(…計算外!)」
278 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:57:21.32 ID:R7VaNLf4
カルツの狙い。それは自分のドリブルでブラジルの守備をかき回してからマーガスを使う事だった。
無論ただ単にマーガスに上げるだけではアマラウとディウセウの二人がかりにやられる確率が高い。
放送「カルツくんボールを横に浮かせた!これにマーガスくんが合わせに…
あっと、クリアに行っているのはディウセウくんだけだ!?アマラウくんダッシュが遅れている〜っ!!」
ディウセウ「いっ!?オラだけかよ!」
マーガス「(すまんカルツ!これだけお膳立てされたんだからやってみせる!)」
よってカルツは狭いチャンスエリアに駆け込み、タイミングと位置関係を吟味してからボールを浮かせた。
彼自身の体が障害物となり、アマラウが一瞬だけダッシュが遅れてしまう様にして。
バッ!
バッ!
ディウセウ「やべっ!キャ!ノ…」
マーガス「無駄だッ!俺は世界一のポストプレイヤーだ!」
ガゴゴゴォオッ!!
ドガアアッ!
ディウセウ「んぐぁああああ〜っ!!?」
マーガス「後は頼むシュナイダー!」
全てはシュナイダーに絶好のチャンスでシュートを撃たせる為である。
放送「ディウセウくん吹っ飛ばされた!ドイツのポストプレイが…成功してしまったーーーっ!!」
279 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:58:08.44 ID:R7VaNLf4
シュナイダー「(よくやってくれた、皆)」
グワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
ドトール「いかん…間に合わない!」
アマラウ「くそっ、やってやるよ!やりゃあいいんだろ!」
ゲルティス「(ネオファイヤーショットによってゴールを奪われる確率…51%!)」
放送「シュナイダーくん振りかぶる!ネオファイヤーだ、ネオファイヤーが来ます!」
観客「ギャーーー!!」「守れゲルティス!」「何とかしろォ!」「何やってんだ!」
シュナイダー「ここで決める!ドイツユースのキャプテンとして先制点を奪う!」
森崎「………」ゴクリ
シュナイダー「 N E O F I R E ! ! ! 」
ズワッグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!!!
280 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:58:40.64 ID:R7VaNLf4
ギュグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
ドガアアアアアッ!
アマラウ「ぐべがーーーっ!!」
ゲルティス「…ハァアアアア!」
バッ!
シュィイイイイイイイン…!
ガシィイイッ!!
シュナイダー「!!」
ギュルギュルギュルギュルギュル…!
ゲルティス「(威力…想定以上!推進力…不足!握力で補填…不可!!)ガ、ァッ!」
バチィイイッ!
ギュパァーーーーーーン!
ドゴォオオオオッ!
ポン、コロコロコロ…
シュナイダー「…ふぅ」
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!
前半27分、シュナイダーのネオファイヤーショットがアマラウを吹き飛ばした後に
一度はキャッチに成功しかけたゲルティスの両手を弾き開かせてブラジルゴールを突き破った。
281 :
代理です。
:2013/10/30(水) 23:59:40.20 ID:R7VaNLf4
.
ブラジル 0−1 ドイツ
大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
10ゴール ストラット
9ゴール シュナイダー、日向
8ゴール カルロス、ディアス
6ゴール ザガロ
5ゴール 火野、ビクトリーノ
4ゴール 翼、カペロマン、森崎、ランピオン、カマーチョ
3ゴール ポブルセン、ナポレオン、ピエール、チャンドラー、ロリマー、ミハエル、サトルステギ
2ゴール トニーニョ、マーガス、李邦内、李邦坤、アルシオン、イスラス、レンセンブリンク、三杉
1ゴール ルーク、肖、岬、山森、フライハイト、ネイ、ロペス、ガルシア、クライフォート、
カイザー、マッハー、クリスマン、政夫、ディウセウ、マウリシオ
大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト アルシオン
5アシスト サンタマリア
4アシスト 岬
3アシスト マーガス、翼、ダ・シルバ、ネイ、チャンドラー、火野、パスカル、ランピオン、
2アシスト カペロマン、カルロス、バンビーノ、カルツ、ピエール、王、森崎、トニーニョ
1アシスト カルツ、メッツァ、テイラー、飛、山森、早田、ビクトリーノ、エスパダス、クリスマン、イスラス、シェスター、
バビントン、クライフォート、カイザー、和夫、ジェトーリオ
.
282 :
代理です。
:2013/11/07(木) 12:16:15.48 ID:B+O3NuhO
ドイツが先制ゴールを決めた瞬間、ほんの僅かな間だけ競技場の時間が止まった。
放送「ゴ…ゴ〜〜〜ルゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!
前半27分、シュナイダーくんのネオファイヤーショットがブラジルゴールを突き破りました!
攻めに攻めまくっていた筈の矢先のまさかの失点!ブラジル、カウンターで先制されてしまいました〜!」
ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
観客「なっ…何やってんだーーーっ!」「バカヤロー!あっさりカウンターさせやがって!」
「あれだけ押していたのに何で先制されているんだよ!」「油断しているからこうなるんだ!」
無論それが長く続く訳もなく、動揺しながらの実況が放送されると共に観客が悲鳴混じりに
怒号を上げ、彼らの期待を裏切ったブラジルユースを糾弾する。
ブラジルの先制点は時間の問題だと思われた所に逆に先制されてしまっては彼らの怒りも
無理のない事であり、中立の立場の全日本ユースの選手達も大きな驚きに満たされていた。
日向「…ドイツが先制しやがったか。それも良い時間帯だ」
三杉「ブラジルに隙があった…と言うよりは、ドイツがじっとカウンターチャンスを
伺っていたんだろうね。フライハイトとカルツの働きが絶妙だった」
松山「マーガスも2人がかりじゃなければ抑えられなかったのが大きいんじゃないか?」
若林「マーガスはそれ位はやってくる。一番大きいのはシュナイダーのここぞと言う時の
勝負強さだ。ここで決められなかったらこれ以降の試合展開の天と地程の差が出ていただろうよ」
中山「キープ率やシュート数の比較で思える程ブラジルが圧倒していた訳でもなかったんだな…」
森崎「へっ、どうだ翼。見事に俺の言った通りになってきたぞ」
翼「何を勝ち誇っているのさ。ブラジルがこの程度で参る訳がないだろう?本当の勝負はここからだ」
283 :
代理です。
:2013/11/07(木) 12:16:47.70 ID:B+O3NuhO
ルディ「(よしっ…よし!我慢勝ちだ!良い精神力だ、皆!これでぐっと戦いやすくなる!)」
ロベルト「(えっ?あれ?何でいきなりゴールされているんだ〜〜〜!?
い、いや落ち着けロベルト。たった1点、たった1点だ。すぐに取り返せる…よな?)」
無論両チームの監督も心を動かされない訳がなく、ルディは劣勢に晒されながらも
耐え忍んでから掴んだチャンスをモノにした選手達を誇りに思い、
逆にロベルトは混乱しながらも必死に冷静さを装い口を閉ざしていた。
そしてもう一人、このゴールで心を乱された者が居た。
コインブラ「(…それ見た事か)」
ブラジルユースベンチで腕組みをしていたコインブラである。
コインブラ「(ドイツのミューラー相手にあの程度のシュートを連発してもゴール出来る確率は高くない。
ねじ込みを狙うにしても、ミューラーは飛び出しが強いしクリアの得意なフライハイトも居る。
下手な鉄砲数撃ちゃ当たると言っても、その間に大砲を当てられては何の意味も無いだろうに…)」
昨夜、自分の力なしではドイツが勝つだろうと予想していたコインブラは今
腕組みをしながら苛立ちに顔を歪めていた。双方の戦力を比べた上でブラジルユースの戦術を
考慮した結果、自分が懸念していた通りにブラジルがやられていく。
実に不愉快な光景だった。
コインブラ「(このままでは前半中にドイツがもう1点取るかも知れん。
カルロス達が焦って前がかりになれば、ドイツは確実にそれを突いてくるだろう…
なによりシュナイダーはまだ何か見せていない切り札を隠している気がしてならん)」
彼の視線の先ではちょうどシュナイダーがブラジルゴール前から引き上げる所だった。
284 :
代理です。
:2013/11/07(木) 12:17:19.96 ID:B+O3NuhO
ゲルティス「……………」
シュナイダー「(なんだコイツの目は…俺を観察しているのか?)」
見事先制点を上げたシュナイダーだったが、クールな彼は派手な
ゴールパフォーマンスをせず短くガッツポーズをして息を整えるだけだった。
それが幸いし彼はゲルティスが自分を無表情に見つめている事に気付けた。
ゲルティス「(データは取れた…もう0.2秒早く反応すればいい)」
シュナイダー「(この目…ゴールを奪われた悔しさが何処にもない。だが怯えも全くない。
次こそ止めてみせると言う闘志すらない。まるで機械が別の機械をチェックしている様だ…
となると、長時間こいつに観察する時間を与えるのは良くないな)」
ゲルティスは異様な程に冷静にシュナイダーを見つめていた。
それに不気味な脅威を感じたシュナイダーはさっさと自陣に戻り、仲間達と合流する。
マーガス「ナイスゴール、シュナイダー!流石だぜ!」
カルツ「ちゃ〜んと期待に応えてくれたのう。バクチに出た甲斐があったぜ」
カペロマン「全く、何時も何時も美味しい所持っていきやがって」
シュナイダー「…喜びすぎるな。これでやっと互角になった位だ」
メッツァ「えっ?これで互角?」
当然チームメイト達は先制点を大喜びしていたが、シュナイダーはそれを一喝して冷ました。
285 :
代理です。
:2013/11/07(木) 12:18:05.78 ID:B+O3NuhO
シュナイダー「リードは出来たが、カウンターを成功させただけでは戦況は変わらない。
シュート数もキープ率も向こうが圧倒していると言う現実は変わらないんだ」
シェスター「そうだけど、リードされたらあいつ等も萎縮するんじゃないか?
もしくはそれを乗り越えようとして、逆に前がかりになるんじゃないか?」
シュナイダー「後者はまだしも、前者は期待できない。こっちに戻ってくる間に
見てきたが、奴らは殆ど動揺していない。元々点を取って勝つつもりだったんだ、
先に一点取られても大した問題じゃない…その思いが奴らを支えている。それともう一つ」
カルツ「なんだ?…あ、さっきゲルティスと睨み合っていた時の事か?」
シュナイダー「そうだ…いや、違うな。あいつは睨んできてなどいなかった。
俺の全てをまるでコンピュータの様に分析していた。恐らく、次にネオファイヤーを
撃たれた時にどうやって止めるかをシミュレートしていたのだろう」
ポブルセン「グダグダ長いんだよ。だったらどうするってんだよ」
シュナイダー「策はある。フライハイト、チャンスだと思ったら上がってきてくれ」
フライハイト「…アレを使うのか?」
シュナイダー「そうだ。ネオファイヤーを止められる自信があるのなら…
わざわざそれに付き合う必要もない。最適な手段を使って2点目を取り、奴らの心を折る」
フライハイト「…分かった。だが何時チャンスが来るかは運が絡む。辛抱強くあってくれ」
シュナイダー「そのつもりだ。皆、これまで以上に強い精神力で戦うぞ!」
ドイツメンバー『おう!!!』
286 :
代理です。
:2013/11/07(木) 12:18:43.88 ID:B+O3NuhO
一方フィールドの向こう側ではジェトーリオが首を振っていた。
ジェトーリオ「向こうさんの雰囲気からして、油断はしてくれないみたいだね〜」
ネイ「当たり前だバーカ。そんな甘いチームじゃないのは最初から分かっていただろ」
ドトール「…反省の残るカウンターの食らい方だった」
アマラウ「くそっ、小癪な連携使いやがって!…やられたぜ」
ザガロ「何やってんだサンタマリア!あっさり吹っ飛ばされておねんねしやがって!」
サンタマリア「…ああ、俺の失態だ。そろそろ賭けに出てくるかと思っていたが、手段の読みが甘かった」
ディウセウ「そんな事言うなよザガロ〜。オラだってマーガスにやられちまったんだから」
トニーニョ「誰のせいと言う訳じゃない。大きなミスがあった訳でもない。それより気を取り直そう」
マウリシオ「どうするッスか?カルロス」
シュナイダーが観察した通り、ブラジルユースの面々は先制点を奪われた事を悔やみながらも
殆ど取り乱していなかった。彼らの自信はこの程度では全く揺らがない。
いち早く気持ちを切り換えようと言う空気が形成され、チームの闘志は順調に再構築された。
カルロス「どうと言う事もない。カウンターをゼロにしながら攻め続けられる等と言う
都合の良い手段等無いんだ。相手の強さは素直に認めるんだ、だが萎縮するな。
今まで通り積極的に攻めていけば必ず逆転出来る…俺達にはそれだけの力がある」
287 :
代理です。
:2013/11/07(木) 12:19:16.81 ID:B+O3NuhO
トニーニョ「…まあ、何かを変える必要はないな」
ネイ「追う立場になったんだ。より激しく攻撃して当たり前だな」
ドトール「頼んだぞ。守備の微調整はこちらでやっておく」
アマラウ「おう、もうあんな手に引っかかりゃしないぜ」
カルロス「よし、では皆…」
ゲルティス「待ってくれ」
ブラジルメンバー『えっ!?』
ゲルティス「さっきの失点とは無関係に、一つ気付いた事がある。丁度良いタイミングだから
全員に知らせておきたい。ドイツに聞かれない様に俺の側に集まってくれ」
サンタマリア「なんだ?一体何に気付いたんだ?」
ゲルティス「…ドイツの弱点を新たに一つみつけた」
カルロス「!…それは何だ?」
更にゲルティスがドイツに新しい弱点を発見したと言い、その内容を小声で伝えた事で
彼らの士気は更に高まっていく。この士気の高まりが試合のこの後を左右するのは言うまでもない。
288 :
代理です。
:2013/11/07(木) 12:20:03.48 ID:B+O3NuhO
ジェトーリオ「え〜?マジ、それ?」
ザガロ「胡散臭えな…そんな都合の良い事があるのかよ?」
ゲルティス「この試合で実際に戦い、観察して確信した。
恐らくは向こうも気付いていない弱点だろうが…俺には分かる」
ディウセウ「う〜ん。ゲルティスが言うんならそうなんかな〜」
サンタマリア「俺も半信半疑だと言わざるを得ないが…幸いその弱点を突く為に
作戦を変更する必要はない。外れていてもノーリスクならば期待してみてもいいだろう」
カルロス「そうだな。もしゲルティスの洞察が当たっていたら試合終盤に活かせるかも
知れないと思っていたチャンスが予定より早く来る。それなら俺達の勝利は確実になる…が、
それに頼るまでもなく得点するつもりで戦うぞ、皆。気合を入れろ!」
ブラジルメンバー『おう!!』
先制点が生まれても、ドイツもブラジルも戦い方を大筋で変えるつもりはなかった。
両陣営のこの決断が、試合を更にヒートアップさせ次のゴールを、その次のゴールを呼ぶ事となる。
289 :
代理です。
:2013/11/20(水) 07:41:13.47 ID:eNIuOfw5
ピィイイイイイイッ!
放送「気を取り直す様にブラジルのキックオフからリスタート!ザガロくん、カルロスくんと
渡ってボールはネイくんに。ここは一つ、トレードマークの美技で士気を盛り立てて欲しい物です」
観客「キャーーー、ネイーーーーッ!!」「ネイー!ドイツなんかやっつけてー!」
ブラジルユースのキックオフ後の仕切り直しを任されたのはネイだった。
甘いマスクと話術と派手な個人技で女性ファンが沢山居る彼の活躍を感じ取り、黄色い悲鳴を上げた。
ネイ「(フフッ、女性ファンの声援には応えなくちゃな)」
ネイはそれに誰も予想しなかった方法で応えた。
ダッダッダッ…
ブンブン。
キャーーーーーーーーーーー!!
滝「あれ…あいつ、手を振ってないか?」
井沢「…女に向けてサービスしてやがる」
来生「ギャハハハ!ドリブル中に何バカやってんだ!」
森崎「(ネイ…お前よりにもよって来生に正論言われてるぞ…)」
翼「………!?」
放送「お、おおおっ!?なんとネイくん、ドリブルしながら余所見をして観客席に手を振っています…
こ、これはパフォーマンスでしょうか、それともファンサービスでしょうか?」
なんと彼はややゆっくりとドリブルしながら観客席の方を向いて笑顔で手を振り始めたのである。
まるでゴールパフォーマンスの様な余所見行為は誰がどう見てもとんでもない愚行に見えたが、
この時点で一部の者だけは勘付いていた。彼が何をしようとしていたかを。
ポブルセン「テメェ、フザけんなァアアア!!」
ダダダダッ!!
ポブルセンは愚行としか見なさなかった大半の内の一人だった。
元々ネイの様なタイプが特に嫌いな彼は殺意露わに突撃しに行った。
ポブルセン「雌共に媚びるんだったらボールを俺に寄越してからいくらでもしやがれ!」
ネイ「…このボール、欲しいのか?」
ブンッ…
ポーーーン…
それを見たネイはにやりと笑い、ポブルセンを嘲る様な中途半端な勢いで
ボールを浮かせ、ポブルセンの頭上を越えさせた。
ネイ「ならやるよ。取ってこいよ」
ポブルセン「っの野郎ぅゥウウウ〜〜〜!!」
当然ポブルセンは急ブレーキしてUターンし、ダッシュした。
こうすればネイよりも先にボールを抑えられるのは当たり前である。
290 :
代理です。
:2013/11/20(水) 07:42:02.16 ID:eNIuOfw5
メッツァ「えっ!?ちょっ、ポブルセン!」
ポブルセン「ぬわっ!がっ!てめえ、邪魔だ!」
ドタドタッ!
ドサッ!
同じくボールを確保しようとしていたメッツァと揉み合わなければの話だが。
ネイ「なんだよ、やっぱり要らないのか?じゃあお先に〜っ♪」
ポブルセン「キサマァアアアアアア!!」
放送「おおっとネイくんボールを浮かせ…それを取りに行ったポブルセンくんとメッツァくんが
ぶつかった隙に悠々突破!これは周りを良く見た上でのトリックプレイだ!」
若林「!翼、これは!」
翼「ああ…」
三杉「(ん?この二人のこの反応…まさか!)」
森崎「(ネイの奴、ひょっとして…)」
この時点でネイの新たな力に気付いたのはまだ少数だった。
カルツ「上手くやりやがったな。だが俺はそうは簡単に行かんぜよ!」
放送「だがカルツくんが寄せてきた!ネイくん、サイドライン際に追い込まれる!」
291 :
代理です。
:2013/11/20(水) 07:42:33.93 ID:eNIuOfw5
カルツ「(さあて、すぐ傍にラインがあるぜ。右か、それとも俺の股下か頭上か…どっちだ?)」
続くカルツはポブルセンの二の舞を踏むまいと慎重にネイをライン際に追い詰め、
ネイの選択肢を減らそうとした。ライン際に追い込んだ以上それ以上サイドアタックは出来ず、
狭い範囲で彼と勝負せざるを得ないだろうと判断した結果である。
だがネイの次のプレイは彼の予想を裏切る物だった。
ネイ「残念…こっちだぜ!」
ダダッ!
カルツ「なっ!?」
ネイは自分だけサイドラインを跨り、ボールをライン上に保ったままドリブル突破を図ったのだった。
それは本当にラインの上ぎりぎりで、近くに居た副審は思わず笛を吹きそうになった程である。
カルツ「くっ…このォ!」
ズザザーッ!
ネイ「遅いぜ!出直してきな!」
バッ!
意表を突かれたカルツが慌ててタックルを仕掛けても間に合う筈がなく、
ネイは余裕を持ってジャンプでかわし3人抜きを達成した。
この奇想天外な発想とそれを為し得るテクニックを併せ持った人種を何と呼ぶか、
知らぬ者はここには居ない。そしてネイがその人種に加入した事もこのプレイで理解された。
292 :
代理です。
:2013/11/20(水) 07:43:13.95 ID:eNIuOfw5
翼「間違いない。彼もファンタジスタだ!」
ファビオ・デルネイ・フロレンシオ。通称ネイ。彼もまたファンタジスタと呼ばれる人種だった。
放送「おお〜〜〜っ!更にネイくんライン際ではなくライン上のドリブルと言う神業!
これは素晴らしい!予想外のテクニカルなトリックプレイ!これは…これは正に
ファンタジスタ!ファンタジスタと言って良い、予想以上の華麗な美技でした!」
キャーーーーーーーーーーーーーー!!!
観客「ネイーーー!抱いてーーーー!」「すごーーーーい!!」「3人抜きよ!3人抜き!」
「そのままドイツなんかやっつけちゃえー!」「女どもウルセーぞ!」
若林「翼、ディアス、アルシオン、そしてネイ。これでこの大会にはファンタジスタが4人居る訳か」
三杉「なるほどね。君と翼くんがいち早く反応していたのはやっぱりこれか」
日向「ケッ、どいつもこいつも。まるでファンタジスタのバーゲンセールじゃねえか」
松山「でも、あいつただでさえ凄いドリブラーだったのに…あんな事まで…!」
中山「放っておくと何をされるか分からないが、かと言って対処しにくい。やり辛いな…」
森崎「…随分パワーアップしたな。ま、ブラジルならこれ位やってくるって事か」
293 :
代理です。
:2013/11/20(水) 20:17:23.63 ID:eNIuOfw5
ファンタジスタと言う世界でも極稀にしか見られない才能をネイが見せた事で
ブラジルユースの面々以外全てが驚愕を味わう。
だがそこからの展開はブラジルもドイツも観客も、誰も予想していなかった物になった。
放送「さあネイくん右サイドを深く抉る!ここからどうするのか?」
ネイ「(勿論こうするのさ!トニーニョ!)」
グワアアアアアアッ!
トニーニョ「(来い、ネイ)」
バッコォオオーーーーーン!
ミューラー「(アーリークロス?…いや、これは!)」
放送「ネイくんここで振りかぶって蹴った!弾丸性のアーリークロス…いや!?」
トニーニョ「(3、2、1…今だ!)」
グワアアアアアアッ!
バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!
放送「これはブースターシュートだァ!トニーニョくんがボレーで蹴り
速度を格段に増したボールがドイツゴールを襲う!」
ミューラー「…このっ!」
バッ!
バゴォオオオオッ!
ネイ・トニーニョ『なにィ!』
294 :
代理です。
:2013/11/20(水) 20:18:09.44 ID:eNIuOfw5
それはミューラーがネイとトニーニョのブースターシュートを弾いた所から始まった。
二人分のキック力が足された事で凄まじいスピードで飛ぶこのシュートにはさしものミューラーも
対応に苦慮したが、それでもパンチングで跳ね上げる形で防ぐ事には成功した。
放送「かろうじて弾いた!ボールは高く浮いた!」
カルロス「(チャンス!)」
ダダダッ!
バッ!
グルルルルッ!
フライハイト「シェスター、コースを制限してくれ」
シェスター「任せろ!」
ダダダッ!
バッ!
放送「これにカルロスくんがローリングオーバーヘッドに!しかしフライハイトくんも飛びつき…!」
ガシィイイイイイッ!
カルロス「くっ!(遠かったか…?)」
フライハイト「(押し返せない…!)」
ポーーーーン!
放送「こぼれ球ーっ!ボールはペナルティエリア外の外へ!これをフォローしたのは…」
295 :
代理です。
:2013/11/20(水) 20:18:54.57 ID:eNIuOfw5
続くカルロスのローリングオーバーヘッドはフライハイトが味方のサポートを得てこぼれさせた。
そしてザガロがこのボールをフォローし、それにポブルセンが追いすがった事でアクシデントは発生した。
ザガロ「邪魔すんな、どけっ!」
ポブルセン「てめえが消えろ!」
ガガッガッガガッ!!
放送「ザガロくん!しかしポブルセンくんが執拗にアタックしてくる!これは撃てないか?」
ザガロ「この野郎ーーーっ!!」
ガシュッ!
ブシャアアアッ!
ポブルセン「があああああっ!!?」
ドタッ。
ザガロ「あ…」
両チームの最も気性の荒い選手同士がぶつかりあった結果、どちらかが反則を犯すのは自明の理だったかも知れない。
今回先に手ではなく足を出したのはザガロであり、削られたポブルセンは足から流血しながら倒れた。
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
ポブルセン「………フシュルルルルルル…!」
ここからポブルセンの暴走が始まった。
296 :
代理です。
:2013/11/22(金) 07:49:17.27 ID:2QEDLwyc
放送「あーーっとこれは反則!ザガロくんがポブルセンくんの足を削ってしまった!
審判が今ザガロくんに近寄って…ああーーーっ!!」
ビッ!
放送「イエローカード!イエローカードが出ました!この試合初の反則ですが
ゴールチャンスに焦って相手を怪我させてしまった事が厳しく判定されました!」
観客「あちゃー、やっちまったか」「ザガロめ。大会中はカードコレクター止めてくれよ」
ザガロ「ぐっ…!」
カルロス「何をやっているんだ。頭を冷やせ」
ディウセウ「まーたやってやがる。ホントにしょーがねーなーアイツは」
シュナイダー「(向こうの攻撃を止めたのはいいが、ポブルセンが負傷か…
ザガロにイエローカードが出た事を合わせてもあまり得とは言い難いな)」
ポブルセンが負傷した事で当然試合は一旦ストップし、ザガロはイエローを食らってしまう。
やや厳しめの判定かも知れないがそれに異を唱える者はおらず、
それよりもポブルセンの負傷の深さとこのアクシデントの影響がどう出るかにすぐさま意識を移す。
審判「大丈夫かね、君」
ポブルセン「………ルゥ………」
カルツ「あーこりゃ完全に出血してるな。タンカ持ってきてくれー!」
だが本当のアクシデントはこれからだった。
297 :
代理です。
:2013/11/22(金) 08:25:34.41 ID:2QEDLwyc
クリストフ・ポブルセン。暴力的で自己中心的な性格とプレイスタイルで悪名高い旧東ドイツ出身のMFである。
彼の過去についてはあまり知られていない。
東ドイツの少年サッカーリーグでは記録上かなりの好成績を残していたのだが、その当時から既に
激しい気性を隠さなかったとも証言されている。だが貧しく不安定な東ドイツに見切りをつけ
命がけで西ドイツに亡命したのにも関わらず引き取ってくれるクラブが無かった事、
更に南米に渡っても何処にも買われなかった事が彼の性格を決定的に歪めた原因だと推測されている。
また本人はサッカー等好きではないと何回か公言しており、それもまた彼の歪みの一部だろう。
不幸な生い立ちだが同時に自業自得な人物。彼を知る者は大抵この様な評価を下すだろう。
そして似た様な境遇に負けず前向きに生きる者、例えば同じく東ドイツ出身のフライハイトなどが
居るのだから比較対象として見下し、ごく自然に嫌悪感を抱くだろう。
あるいは下を見たらキリがない、過去よりも未来を重視しろ等と正論を説くかも知れない。
ポブルセンはそう言った良識や正論と言った物が大嫌いだった。
彼にとって何よりも大事なのは自分の恨みと怒り、そしてそれらを堪能する為の暴力だった。
八つ当たりこそが自分の生き甲斐であり存在意義だと開き直っていた。
故に憎い日本やブラジルに翻弄されたり上手く復讐出来ていない
今大会のパフォーマンスに彼は満足していない。満足している訳がない。
ポブルセン「…ゥルルルゥァアアアアアアアアアア!!!」
よりにもよってブラジルユースの選手に怪我をさせられた今、彼は爆発した。
298 :
代理です。
:2013/11/22(金) 08:26:19.61 ID:2QEDLwyc
シィーーーーーーーーーーン…
獣ですら発するとは思えない不気味な怒声をポブルセンが出した時、誰も何も言えなかった。
彼の容態を案じていた審判も、治療の準備をしていたドイツユースも、仕切り直しを考えていたブラジルユースも、
ブラジルを応援していた観客も、成り行きを見守っていた全日本ユースも、そして実況放送も。
スッ。
トサッ…
ポブルセン「シェスター、すぐに俺に渡せ」
シェスター「えっ!?」
審判「お、おい、君、血が出てい」
ギラッ!
審判「る…ん…」
そのままポブルセンは自らボールを地面にセットしシェスターにフリーキックを行い
自分にボールを寄越せと要求した。自分が流血しているのにも関わらずである。
審判はポブルセンの怪我を案じて彼を止めようとしたが、
その気遣いで得られたのは殺気に満ち溢れ血走った眼と見難く歪んだ凶悪な表情だけだった。
ポブルセン「笛を吹け」
審判「!!!」
ピ、ピィイイッ!
哀れな審判は本能的な恐怖に逆らえず要求された通りに試合再開の笛を吹いてしまった。
299 :
代理です。
:2013/11/22(金) 08:27:44.08 ID:2QEDLwyc
シェスター「(ゲッ、マジかよ!?…いや、ここでやらせなきゃコイツ確実に乱闘する!
ええい、どうせ暴れさせるんだったらインプレー中の方がまだマシだ!)」
バコッ!
シェスターはポブルセンを良く知っていた分、ここで試合再開しなかったらポブルセンが
試合を滅茶苦茶にしてしまうだろうと瞬時に判断し要求通りフリーキックを蹴った。
ポブルセン「…シャァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ダカダカダカダカッ!
ザガロ「なっ!?」
ドゴォオオオッ!
ザガロ「グワァアアアアアッ!!?」
ブラジルメンバー『ザ、ザガロ〜〜〜ッ!!?』
そしてボールが受け取ったポブルセンが最初に行った事はブラジル陣内への突撃…ではなく
自分を負傷させたザガロをフレームドリブルで撥ね飛ばす事だった。
放送「…ハッ!?な、なんとポブルセンくん治療を拒否!試合がフリーキックで再開し…
ザ、ザガロくんをドリブルで吹っ飛ばしたァ!?何が起きているのでしょうかこれは!」
300 :
代理1/3
:2013/11/22(金) 23:39:31.66 ID:PgrKKzIL
観客「あああ〜っ!?」「おい、プレイ止めるんじゃなかったのよ!」「治療拒否か?」
「つーか今わざとザガロに当たりに行ってたぞ!」「何しやがるこの放火魔野郎!」
翼「あっ…」
若林「あの馬鹿らしいな…」
日向「フッ、良い根性じゃねえか。馬鹿だがな」
カルツ「無茶するなポブルセン!怪我を悪化させる前にワシに…」
ポブルセン「ガァアアアアアアアアアアアアアア!!」
ダダダダダッ!
カルツ「だぁ〜っ、聞きゃしねえ!」
ザガロを吹っ飛ばしたポブルセンは更なる奇声と共にブラジル陣内に向かって中央突破を図った。
観客がどよめこうと味方が宥めようと耳を貸す事なく一目散に走るその姿は
誰の目にも彼らしい怒り任せの愚行にしか見えなかった。
怪我をしたのに治療もしないまま単独でドリブル突破を仕掛けるなど、
例えドリブル能力に自信があっても常識的には無謀かつ危険である。
サンタマリア「(馬鹿め、頭に血を上らせて痛みを無視しても怪我の影響は確実に出る。
しかも負傷悪化のリスクを背負ってまでやる事がただの単独中央突破だと?下策の極みだ!)
マウリシオ、時間差で左右から挟むぞ!念の為ジェトーリオとドトールも中央に詰めておけ!」
マウリシオ「アイサー!」
ジェトーリオ「了解―っと」
ドトール「任せろ」
301 :
代理2/3
:2013/11/22(金) 23:40:01.62 ID:PgrKKzIL
当然ブラジルはすぐに対処し、サンタマリアとマウリシオが中盤でボールを奪いに行く。
万全状態ならまだしも負傷したポブルセンならボールを奪える確率は高い筈だった。
しかし彼らは即座に思い知る事になる。狂人は時として人の常識を覆し限界を超えてしまう事を。
ポブルセン「死ね!」
ギュウンッ!
ドガガガガッ!!
マウリシオ「えっ!?ぎゃああああああああああっ!!」
サンタマリア「な…何だと!?」
ポブルセンの動きは怪我をしていなかった数分前より鋭くなっていた。
彼のドリブルはパワーとスピードの両方が増しており、マウリシオは哀れにも盛大に吹き飛ばされた。
サンタマリア「(馬鹿な!そんな事は有り得ない!何かの間違いだ!)」
サンタマリアはワンプレイでそれが分かった。だが今まで培ってきた彼の常識と理性がそれを受け入れられなかった。
どんな名選手でも怪我をしたらハンデを負うのは当然。精神力や小細工でそれを補う事や乗り越える事なら出来るだろう。
ポブルセン「殺してやる!」
ズガガガガッ!
サンタマリア「ぐわああああああああ!!」
だが何処に怪我をしたら逆上のあまり普段より明らかに強くなる選手など居るだろうか?
そこまでの怒りと恨みを燃やせる選手などサンタマリアも見た事がなかった。
故に本当にそんな選手が目の前に現れてしまった時、彼にそれを止められる筈がなかった。
302 :
代理3/3
:2013/11/22(金) 23:40:31.76 ID:PgrKKzIL
放送「あああああ〜っ!?更にポブルセンくん中央突破でマウリシオくんとサンタマリアくんを
暴走列車の如く撥ね飛ばしたァ!何故怪我を治療しない状態であんな事が出来るのか!?
彼は痛みを感じないのでしょうか?目の前の光景が信じられません!」
観客「な、なんだそりゃああああ!?」「血を見てキレたのか?それでパワーアップか?」
「バカ野郎、脚の怪我ってサッカーだと致命的なんだぞ!それでパワーアップ出来て堪るか!」
「でも明らかに勢いがさっきより強くなってるぞ!」「ヤバいぞ、守れーーーーっ!!」
ポブルセンがそんな特殊な選手だとは誰も知らなかった。
翼「な…なんなんだアレは若林くん!明らかに動きが悪くなるどころか良くなったよ!?」
若林「知らん!俺もこんな状態の奴は見た事がない!」
日向「…なんだあのキチガイは。どうなっていやがるんだ」
三杉「彼の狂気の為せる技か…?だとしても、こんな事が人間に可能だなんて…」
松山「ブラジルは完全にパニックに陥っているぞ!」
森崎「おいおい、まさか本当にこのまま一人でゴールしたりしねえだろうな…?」
観客と全日本ユースは勿論、味方のドイツユースの選手達でさえ知らなかった。
ただ彼らはポブルセンと日常的に接していた為、誰よりも早く“ポブルセンなら有り得る”と
割り切る事が出来、その割り切りが彼らに先手を打たせてくれた。
シュナイダー「(なんて事だ!まさか奴がこれ程まで狂っていたとは!如何にポブルセンでも
信じ難い…だが、目の前にあるのは現実だ。そう、俺達にとって有利な現実。
ならばその現実から逃げる理由も、この奇貨を逃す理由もない!フライハイト!)」
フライハイト「(ああ、またとないチャンスだ。アレを使う)」
303 :
代理1/7
:2013/11/23(土) 15:46:33.91 ID:sRJ/rZsa
放送「ポブルセンくんが上がる上がる!相変わらず彼はパスなどしそうにありません!
しかし今は彼の中央突破が得体の知れない脅威となっているのです!早く止めないと危険だ!」
観客「わ〜〜〜っ、何やってやがる!」「早く止めろ!止めろってば!」「そいつに撃たせるなーっ!!」
ディウセウ「落ち着け皆ァ!ジェトーリオとドトールはサンタマリアの指示通りに守るんだ!
アマラウ、もしもの時はオラ達で意地でも止めっぞ!」
アマラウ「分かってる!あんな奴に好き勝手にさせて堪るか!」
ドトール「行くぞジェトーリオ。パターンDで頼む」
ジェトーリオ「Dかよ〜。全くもう、僕に厄介ごと押し付けて…」
同点ゴールを狙おうとしていた矢先のハプニングにさしものブラジルユースの面々も
動揺を隠せなかったが、それでも状況を制御下に置こうと適切な対処はした。
まずはジェトーリオがカペロマンのマークを離れてドトールより一足先にポブルセンに近づく。
クイッ、クイッ。
ジェトーリオ「(ほら、ほら、掴んじゃうよ〜)」
ドトール「(よし、気がそらされている内に回り込めば…)」
ジェトーリオはつかず離れずの距離を取ってからこれ見よがしに手で何かを摘む仕草をしてみせた。
彼の得意とする審判に見えない様にユニフォームを引っ張りその鋤にボールを奪う
通称ダーティディフェンスを仕掛ける事を暗示しているのである。
そしてそれは実際には囮であり、ポブルセンがジェトーリオに気を取られた所に
ドトールが横からスライディングタックルで奪うのが彼らの狙いだった。
だがポブルセンはそんな物に惑わされずに済む方法を思いついていた。
304 :
2/7
:2013/11/23(土) 15:47:05.06 ID:sRJ/rZsa
ポブルセン「くたばれ!」
バゴオッ!
ジェトーリオ「ぶぼぉおおおお!?」
ドサッ…
ドトール「なっ!?」
放送「ジェトーリオくんがここでマークについ…あああっ!?こ、これはシュートだったのか、
それともマーガスくんへのフィードだったのでしょうか?ポブルセンくんが蹴り出したボールが
ジェトーリオくんの顔面に直撃!ジェトーリオくん堪らず崩れ落ちてしまったァ!」
観客「なんだとォ!?」「絶対わざとだろ、アレ!」「ジェトーリオより外道な奴が居た!」
ポブルセンはジェトーリオの顔面目掛けてボールを蹴り、その衝撃で彼を倒してしまった。
凶悪ではあるがルール上はファウルにならない行為を食らってしまいジェトーリオは
ユニフォームを掴むチャンスすら与えられずに突破され、ドトールは一対一の勝負を強いられる。
ドトール「くそっ!」
ズザザァアアアアーッ!
ポブルセン「消えろ!」
ドガアアアッ!
ドトール「がはああああああ!」
そしてドトールもポブルセンの突破を許してしまい、いよいよポブルセンがヴァイタルエリアに侵入した。
305 :
代理3/7
:2013/11/23(土) 15:47:35.55 ID:sRJ/rZsa
放送「ドトールくんもダメだぁあああ!!ポブルセンくん、まさかの5人抜き!
まさかまさか本当にこのまま一人でゴールしてしまうのか!?そんな惨劇が起きていいのでしょうか!」
観客「ぎゃあああああああああ!!」「止めろ!止めてくれー!」「何やってるんだ皆!」
「もう頼りになるのはディウセウとゲルティスだけだ!」「2点目なんか入れさせるなーーーっ!!」
ルディ「(ラ、ラッキーな出来事と言えるのかコレは…?)」
ロベルト「(ぎえ〜〜〜!何でこんな事になっているんだ〜!?)」
グワアアアアアアッ!!
ディウセウ「(来るっ!…ポブルセンはオラがなんとかする。ゲルティスおめえはシュナイダーを頼む!)」
ゲルティス「(シュナイダーがフォローに走りこんでいる事を確認。要警戒)」
そしていよいよポブルセンがシュートの為に足を振り上げた時、
ブラジルに残された守備陣はそれでもある程度の冷静さを保っていた。
ポブルセンを止めてももっと恐ろしいシュナイダーにねじこまれては何の意味もないのを
彼らはきちんと意識しており、シュナイダーがポブルセンをフォローする形で
走ってきているのを見逃さなかった。無論マーガスとカペロマンの位置確認も忘れていない。
ポブルセン「てめえら全員!死にやがれぇえええええええええええ!!!」
ブワッギュォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!
そして遂にポブルセンのマーダーショットが放たれた。
フレームドリブルと同様、何時もより一段上の威力が乗せられたマーダーショットだった。
放送「撃ったーーーーー!!ポブルセンくんのマーダーショット!」
306 :
代理4/7
:2013/11/23(土) 15:48:06.97 ID:sRJ/rZsa
ボグォオオオオオオ!!
ディウセウ「ぐぅ…ぁあああああ…!!」
約20分前に一本目のマーダーショットを見事トラップしたディウセウも今度は押し負けるかに見えた。
アマラウ「うぉーーーーっ!!」
バッ!
ガシイイッ!
ディウセウ「アマ、ラウ…すまねえ、なっ!」
ポーーーーン!
ドタドタッ!
アマラウ「ぐえっ!」
ディウセウ「ゲホッ…」
ポブルセン「ナ…ナニィイイッ!!」
それを救ったのがアマラウだった。彼はディウセウの背中に飛びつき支える事でかろうじて
ディウセウにシュートを弾かせる事に成功した。無論その代償は安くなく、ディウセウの下敷きに
なる形で倒されてしまうが息を切らしたポブルセンが追撃を加える事は出来なかった。
ダダダダッ!
シュナイダー「(よし。ここからなら蹴り込める)」
ただし、追撃はシュナイダーが加える気満々だった。
307 :
代理5/7
:2013/11/23(土) 15:48:37.08 ID:sRJ/rZsa
放送「ディウセウくんとアマラウくん吹っ飛ばされ…ない!なんとか跳ね返しました!
二人の協力プレイです!ああ〜っとしかし、よりにもよってシュナイダーくんがねじこみにィ!」
観客「危ね〜〜〜っ!」「いや、まだだ!まだ危ない!」「ゲーッ!シュナイダーかよ!」
「止めろゲルティス、止めるんだ!」「もう頼りになるのはお前だけだァ!何とかしてくれ!」
ゲルティス「(ネオファイヤーショット…さっきの軌道をリプレイし、シミュレートするんだ…)」
この場面でシュナイダーのネオファイヤーショットを予期しない者など居なかった。
誰もがあれこそがドイツの最強の主砲だと知っており、この試合でも先制点を上げているそれを
意識しない訳がない。それに匹敵する主砲がもう一つあるなどと誰も予想出来ない。
ピタッ。
ゲルティス「!?」
だが事実、ドイツはネオファイヤーショットに匹敵する切り札をもう一枚隠し持っていた。
それを使う為にシュナイダーは一瞬だけ立ち止まり、何かを待つ。
ダダダダッ!
彼が待っていた物。それはアイコンタクトで呼び寄せていたフライハイトの存在だった。
ゲルティス「(フライハイト!?まさか、ウォッシャードライブ?だが今は晴天…これは!)」
コインブラ「(来た!これが奴の隠していた切り札か!)」
放送「おや?シュナイダーくん立ち止まった…と思ったら誰かが後方から走ってきた!こ、これは!」
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