キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【皇帝は】キャプテン森崎45【王国に挑む】

1 :代理:2013/06/13(木) 23:55:33.63 ID:iMHL0ZcB
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1368769203/
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルに留学した彼はリオカップ、ジャパンカップ、ワールドユースアジア予選と言った
数多の激戦を経てワールドユースの出場権を勝ち取り、全日本ユースのキャプテンと正GKとして
ワールドユース本大会に殴りこんだ!予選グループを勝ち点7の1位で突破した彼らは
準々決勝でオランダユース相手に3−0で快勝。しかし準決勝の相手、イタリアユースは
主力2人が退場しても尚1−1で食らいついてくる程の難敵だった!後半40分で
イタリアボールと言う状況で、攻め疲れした日本は失点の危機に追い込まれている…
…こんな感じで話は進んでいます。

284 :代理です。:2013/11/07(木) 12:17:19.96 ID:B+O3NuhO
ゲルティス「……………」

シュナイダー「(なんだコイツの目は…俺を観察しているのか?)」

見事先制点を上げたシュナイダーだったが、クールな彼は派手な
ゴールパフォーマンスをせず短くガッツポーズをして息を整えるだけだった。
それが幸いし彼はゲルティスが自分を無表情に見つめている事に気付けた。

ゲルティス「(データは取れた…もう0.2秒早く反応すればいい)」

シュナイダー「(この目…ゴールを奪われた悔しさが何処にもない。だが怯えも全くない。
次こそ止めてみせると言う闘志すらない。まるで機械が別の機械をチェックしている様だ…
となると、長時間こいつに観察する時間を与えるのは良くないな)」

ゲルティスは異様な程に冷静にシュナイダーを見つめていた。
それに不気味な脅威を感じたシュナイダーはさっさと自陣に戻り、仲間達と合流する。

マーガス「ナイスゴール、シュナイダー!流石だぜ!」

カルツ「ちゃ〜んと期待に応えてくれたのう。バクチに出た甲斐があったぜ」

カペロマン「全く、何時も何時も美味しい所持っていきやがって」

シュナイダー「…喜びすぎるな。これでやっと互角になった位だ」

メッツァ「えっ?これで互角?」

当然チームメイト達は先制点を大喜びしていたが、シュナイダーはそれを一喝して冷ました。

285 :代理です。:2013/11/07(木) 12:18:05.78 ID:B+O3NuhO
シュナイダー「リードは出来たが、カウンターを成功させただけでは戦況は変わらない。
シュート数もキープ率も向こうが圧倒していると言う現実は変わらないんだ」

シェスター「そうだけど、リードされたらあいつ等も萎縮するんじゃないか?
もしくはそれを乗り越えようとして、逆に前がかりになるんじゃないか?」

シュナイダー「後者はまだしも、前者は期待できない。こっちに戻ってくる間に
見てきたが、奴らは殆ど動揺していない。元々点を取って勝つつもりだったんだ、
先に一点取られても大した問題じゃない…その思いが奴らを支えている。それともう一つ」

カルツ「なんだ?…あ、さっきゲルティスと睨み合っていた時の事か?」

シュナイダー「そうだ…いや、違うな。あいつは睨んできてなどいなかった。
俺の全てをまるでコンピュータの様に分析していた。恐らく、次にネオファイヤーを
撃たれた時にどうやって止めるかをシミュレートしていたのだろう」

ポブルセン「グダグダ長いんだよ。だったらどうするってんだよ」

シュナイダー「策はある。フライハイト、チャンスだと思ったら上がってきてくれ」

フライハイト「…アレを使うのか?」

シュナイダー「そうだ。ネオファイヤーを止められる自信があるのなら…
わざわざそれに付き合う必要もない。最適な手段を使って2点目を取り、奴らの心を折る」

フライハイト「…分かった。だが何時チャンスが来るかは運が絡む。辛抱強くあってくれ」

シュナイダー「そのつもりだ。皆、これまで以上に強い精神力で戦うぞ!」

ドイツメンバー『おう!!!』

286 :代理です。:2013/11/07(木) 12:18:43.88 ID:B+O3NuhO
一方フィールドの向こう側ではジェトーリオが首を振っていた。

ジェトーリオ「向こうさんの雰囲気からして、油断はしてくれないみたいだね〜」

ネイ「当たり前だバーカ。そんな甘いチームじゃないのは最初から分かっていただろ」

ドトール「…反省の残るカウンターの食らい方だった」

アマラウ「くそっ、小癪な連携使いやがって!…やられたぜ」

ザガロ「何やってんだサンタマリア!あっさり吹っ飛ばされておねんねしやがって!」

サンタマリア「…ああ、俺の失態だ。そろそろ賭けに出てくるかと思っていたが、手段の読みが甘かった」

ディウセウ「そんな事言うなよザガロ〜。オラだってマーガスにやられちまったんだから」

トニーニョ「誰のせいと言う訳じゃない。大きなミスがあった訳でもない。それより気を取り直そう」

マウリシオ「どうするッスか?カルロス」

シュナイダーが観察した通り、ブラジルユースの面々は先制点を奪われた事を悔やみながらも
殆ど取り乱していなかった。彼らの自信はこの程度では全く揺らがない。
いち早く気持ちを切り換えようと言う空気が形成され、チームの闘志は順調に再構築された。

カルロス「どうと言う事もない。カウンターをゼロにしながら攻め続けられる等と言う
都合の良い手段等無いんだ。相手の強さは素直に認めるんだ、だが萎縮するな。
今まで通り積極的に攻めていけば必ず逆転出来る…俺達にはそれだけの力がある」

287 :代理です。:2013/11/07(木) 12:19:16.81 ID:B+O3NuhO
トニーニョ「…まあ、何かを変える必要はないな」

ネイ「追う立場になったんだ。より激しく攻撃して当たり前だな」

ドトール「頼んだぞ。守備の微調整はこちらでやっておく」

アマラウ「おう、もうあんな手に引っかかりゃしないぜ」

カルロス「よし、では皆…」

ゲルティス「待ってくれ」

ブラジルメンバー『えっ!?』

ゲルティス「さっきの失点とは無関係に、一つ気付いた事がある。丁度良いタイミングだから
全員に知らせておきたい。ドイツに聞かれない様に俺の側に集まってくれ」

サンタマリア「なんだ?一体何に気付いたんだ?」

ゲルティス「…ドイツの弱点を新たに一つみつけた」

カルロス「!…それは何だ?」

更にゲルティスがドイツに新しい弱点を発見したと言い、その内容を小声で伝えた事で
彼らの士気は更に高まっていく。この士気の高まりが試合のこの後を左右するのは言うまでもない。

288 :代理です。:2013/11/07(木) 12:20:03.48 ID:B+O3NuhO
ジェトーリオ「え〜?マジ、それ?」

ザガロ「胡散臭えな…そんな都合の良い事があるのかよ?」

ゲルティス「この試合で実際に戦い、観察して確信した。
恐らくは向こうも気付いていない弱点だろうが…俺には分かる」

ディウセウ「う〜ん。ゲルティスが言うんならそうなんかな〜」

サンタマリア「俺も半信半疑だと言わざるを得ないが…幸いその弱点を突く為に
作戦を変更する必要はない。外れていてもノーリスクならば期待してみてもいいだろう」

カルロス「そうだな。もしゲルティスの洞察が当たっていたら試合終盤に活かせるかも
知れないと思っていたチャンスが予定より早く来る。それなら俺達の勝利は確実になる…が、
それに頼るまでもなく得点するつもりで戦うぞ、皆。気合を入れろ!」

ブラジルメンバー『おう!!』

先制点が生まれても、ドイツもブラジルも戦い方を大筋で変えるつもりはなかった。
両陣営のこの決断が、試合を更にヒートアップさせ次のゴールを、その次のゴールを呼ぶ事となる。

289 :代理です。:2013/11/20(水) 07:41:13.47 ID:eNIuOfw5
ピィイイイイイイッ!

放送「気を取り直す様にブラジルのキックオフからリスタート!ザガロくん、カルロスくんと
渡ってボールはネイくんに。ここは一つ、トレードマークの美技で士気を盛り立てて欲しい物です」

観客「キャーーー、ネイーーーーッ!!」「ネイー!ドイツなんかやっつけてー!」

ブラジルユースのキックオフ後の仕切り直しを任されたのはネイだった。
甘いマスクと話術と派手な個人技で女性ファンが沢山居る彼の活躍を感じ取り、黄色い悲鳴を上げた。

ネイ「(フフッ、女性ファンの声援には応えなくちゃな)」

ネイはそれに誰も予想しなかった方法で応えた。

ダッダッダッ…
ブンブン。

キャーーーーーーーーーーー!!

滝「あれ…あいつ、手を振ってないか?」

井沢「…女に向けてサービスしてやがる」

来生「ギャハハハ!ドリブル中に何バカやってんだ!」

森崎「(ネイ…お前よりにもよって来生に正論言われてるぞ…)」

翼「………!?」

放送「お、おおおっ!?なんとネイくん、ドリブルしながら余所見をして観客席に手を振っています…
こ、これはパフォーマンスでしょうか、それともファンサービスでしょうか?」

なんと彼はややゆっくりとドリブルしながら観客席の方を向いて笑顔で手を振り始めたのである。
まるでゴールパフォーマンスの様な余所見行為は誰がどう見てもとんでもない愚行に見えたが、
この時点で一部の者だけは勘付いていた。彼が何をしようとしていたかを。

ポブルセン「テメェ、フザけんなァアアア!!」

ダダダダッ!!

ポブルセンは愚行としか見なさなかった大半の内の一人だった。
元々ネイの様なタイプが特に嫌いな彼は殺意露わに突撃しに行った。

ポブルセン「雌共に媚びるんだったらボールを俺に寄越してからいくらでもしやがれ!」

ネイ「…このボール、欲しいのか?」

ブンッ…
ポーーーン…

それを見たネイはにやりと笑い、ポブルセンを嘲る様な中途半端な勢いで
ボールを浮かせ、ポブルセンの頭上を越えさせた。

ネイ「ならやるよ。取ってこいよ」

ポブルセン「っの野郎ぅゥウウウ〜〜〜!!」

当然ポブルセンは急ブレーキしてUターンし、ダッシュした。
こうすればネイよりも先にボールを抑えられるのは当たり前である。

290 :代理です。:2013/11/20(水) 07:42:02.16 ID:eNIuOfw5
メッツァ「えっ!?ちょっ、ポブルセン!」

ポブルセン「ぬわっ!がっ!てめえ、邪魔だ!」

ドタドタッ!
ドサッ!

同じくボールを確保しようとしていたメッツァと揉み合わなければの話だが。

ネイ「なんだよ、やっぱり要らないのか?じゃあお先に〜っ♪」

ポブルセン「キサマァアアアアアア!!」

放送「おおっとネイくんボールを浮かせ…それを取りに行ったポブルセンくんとメッツァくんが
ぶつかった隙に悠々突破!これは周りを良く見た上でのトリックプレイだ!」

若林「!翼、これは!」

翼「ああ…」

三杉「(ん?この二人のこの反応…まさか!)」

森崎「(ネイの奴、ひょっとして…)」

この時点でネイの新たな力に気付いたのはまだ少数だった。

カルツ「上手くやりやがったな。だが俺はそうは簡単に行かんぜよ!」

放送「だがカルツくんが寄せてきた!ネイくん、サイドライン際に追い込まれる!」

291 :代理です。:2013/11/20(水) 07:42:33.93 ID:eNIuOfw5
カルツ「(さあて、すぐ傍にラインがあるぜ。右か、それとも俺の股下か頭上か…どっちだ?)」

続くカルツはポブルセンの二の舞を踏むまいと慎重にネイをライン際に追い詰め、
ネイの選択肢を減らそうとした。ライン際に追い込んだ以上それ以上サイドアタックは出来ず、
狭い範囲で彼と勝負せざるを得ないだろうと判断した結果である。

だがネイの次のプレイは彼の予想を裏切る物だった。

ネイ「残念…こっちだぜ!」

ダダッ!

カルツ「なっ!?」

ネイは自分だけサイドラインを跨り、ボールをライン上に保ったままドリブル突破を図ったのだった。
それは本当にラインの上ぎりぎりで、近くに居た副審は思わず笛を吹きそうになった程である。

カルツ「くっ…このォ!」

ズザザーッ!

ネイ「遅いぜ!出直してきな!」

バッ!

意表を突かれたカルツが慌ててタックルを仕掛けても間に合う筈がなく、
ネイは余裕を持ってジャンプでかわし3人抜きを達成した。

この奇想天外な発想とそれを為し得るテクニックを併せ持った人種を何と呼ぶか、
知らぬ者はここには居ない。そしてネイがその人種に加入した事もこのプレイで理解された。

292 :代理です。:2013/11/20(水) 07:43:13.95 ID:eNIuOfw5
翼「間違いない。彼もファンタジスタだ!」

ファビオ・デルネイ・フロレンシオ。通称ネイ。彼もまたファンタジスタと呼ばれる人種だった。

放送「おお〜〜〜っ!更にネイくんライン際ではなくライン上のドリブルと言う神業!
これは素晴らしい!予想外のテクニカルなトリックプレイ!これは…これは正に
ファンタジスタ!ファンタジスタと言って良い、予想以上の華麗な美技でした!」

キャーーーーーーーーーーーーーー!!!

観客「ネイーーー!抱いてーーーー!」「すごーーーーい!!」「3人抜きよ!3人抜き!」
「そのままドイツなんかやっつけちゃえー!」「女どもウルセーぞ!」

若林「翼、ディアス、アルシオン、そしてネイ。これでこの大会にはファンタジスタが4人居る訳か」

三杉「なるほどね。君と翼くんがいち早く反応していたのはやっぱりこれか」

日向「ケッ、どいつもこいつも。まるでファンタジスタのバーゲンセールじゃねえか」

松山「でも、あいつただでさえ凄いドリブラーだったのに…あんな事まで…!」

中山「放っておくと何をされるか分からないが、かと言って対処しにくい。やり辛いな…」

森崎「…随分パワーアップしたな。ま、ブラジルならこれ位やってくるって事か」

293 :代理です。:2013/11/20(水) 20:17:23.63 ID:eNIuOfw5
ファンタジスタと言う世界でも極稀にしか見られない才能をネイが見せた事で
ブラジルユースの面々以外全てが驚愕を味わう。
だがそこからの展開はブラジルもドイツも観客も、誰も予想していなかった物になった。

放送「さあネイくん右サイドを深く抉る!ここからどうするのか?」

ネイ「(勿論こうするのさ!トニーニョ!)」

グワアアアアアアッ!

トニーニョ「(来い、ネイ)」

バッコォオオーーーーーン!

ミューラー「(アーリークロス?…いや、これは!)」

放送「ネイくんここで振りかぶって蹴った!弾丸性のアーリークロス…いや!?」

トニーニョ「(3、2、1…今だ!)」

グワアアアアアアッ!
バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

放送「これはブースターシュートだァ!トニーニョくんがボレーで蹴り
速度を格段に増したボールがドイツゴールを襲う!」

ミューラー「…このっ!」

バッ!
バゴォオオオオッ!

ネイ・トニーニョ『なにィ!』

294 :代理です。:2013/11/20(水) 20:18:09.44 ID:eNIuOfw5
それはミューラーがネイとトニーニョのブースターシュートを弾いた所から始まった。
二人分のキック力が足された事で凄まじいスピードで飛ぶこのシュートにはさしものミューラーも
対応に苦慮したが、それでもパンチングで跳ね上げる形で防ぐ事には成功した。

放送「かろうじて弾いた!ボールは高く浮いた!」

カルロス「(チャンス!)」

ダダダッ!
バッ!
グルルルルッ!

フライハイト「シェスター、コースを制限してくれ」

シェスター「任せろ!」

ダダダッ!
バッ!

放送「これにカルロスくんがローリングオーバーヘッドに!しかしフライハイトくんも飛びつき…!」

ガシィイイイイイッ!

カルロス「くっ!(遠かったか…?)」

フライハイト「(押し返せない…!)」

ポーーーーン!

放送「こぼれ球ーっ!ボールはペナルティエリア外の外へ!これをフォローしたのは…」

295 :代理です。:2013/11/20(水) 20:18:54.57 ID:eNIuOfw5
続くカルロスのローリングオーバーヘッドはフライハイトが味方のサポートを得てこぼれさせた。
そしてザガロがこのボールをフォローし、それにポブルセンが追いすがった事でアクシデントは発生した。

ザガロ「邪魔すんな、どけっ!」

ポブルセン「てめえが消えろ!」

ガガッガッガガッ!!

放送「ザガロくん!しかしポブルセンくんが執拗にアタックしてくる!これは撃てないか?」

ザガロ「この野郎ーーーっ!!」

ガシュッ!
ブシャアアアッ!

ポブルセン「があああああっ!!?」

ドタッ。

ザガロ「あ…」

両チームの最も気性の荒い選手同士がぶつかりあった結果、どちらかが反則を犯すのは自明の理だったかも知れない。
今回先に手ではなく足を出したのはザガロであり、削られたポブルセンは足から流血しながら倒れた。

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!

ポブルセン「………フシュルルルルルル…!」

ここからポブルセンの暴走が始まった。

296 :代理です。:2013/11/22(金) 07:49:17.27 ID:2QEDLwyc
放送「あーーっとこれは反則!ザガロくんがポブルセンくんの足を削ってしまった!
審判が今ザガロくんに近寄って…ああーーーっ!!」

ビッ!

放送「イエローカード!イエローカードが出ました!この試合初の反則ですが
ゴールチャンスに焦って相手を怪我させてしまった事が厳しく判定されました!」

観客「あちゃー、やっちまったか」「ザガロめ。大会中はカードコレクター止めてくれよ」

ザガロ「ぐっ…!」

カルロス「何をやっているんだ。頭を冷やせ」

ディウセウ「まーたやってやがる。ホントにしょーがねーなーアイツは」

シュナイダー「(向こうの攻撃を止めたのはいいが、ポブルセンが負傷か…
ザガロにイエローカードが出た事を合わせてもあまり得とは言い難いな)」

ポブルセンが負傷した事で当然試合は一旦ストップし、ザガロはイエローを食らってしまう。
やや厳しめの判定かも知れないがそれに異を唱える者はおらず、
それよりもポブルセンの負傷の深さとこのアクシデントの影響がどう出るかにすぐさま意識を移す。

審判「大丈夫かね、君」

ポブルセン「………ルゥ………」

カルツ「あーこりゃ完全に出血してるな。タンカ持ってきてくれー!」

だが本当のアクシデントはこれからだった。

297 :代理です。:2013/11/22(金) 08:25:34.41 ID:2QEDLwyc
クリストフ・ポブルセン。暴力的で自己中心的な性格とプレイスタイルで悪名高い旧東ドイツ出身のMFである。

彼の過去についてはあまり知られていない。
東ドイツの少年サッカーリーグでは記録上かなりの好成績を残していたのだが、その当時から既に
激しい気性を隠さなかったとも証言されている。だが貧しく不安定な東ドイツに見切りをつけ
命がけで西ドイツに亡命したのにも関わらず引き取ってくれるクラブが無かった事、
更に南米に渡っても何処にも買われなかった事が彼の性格を決定的に歪めた原因だと推測されている。
また本人はサッカー等好きではないと何回か公言しており、それもまた彼の歪みの一部だろう。

不幸な生い立ちだが同時に自業自得な人物。彼を知る者は大抵この様な評価を下すだろう。
そして似た様な境遇に負けず前向きに生きる者、例えば同じく東ドイツ出身のフライハイトなどが
居るのだから比較対象として見下し、ごく自然に嫌悪感を抱くだろう。
あるいは下を見たらキリがない、過去よりも未来を重視しろ等と正論を説くかも知れない。

ポブルセンはそう言った良識や正論と言った物が大嫌いだった。
彼にとって何よりも大事なのは自分の恨みと怒り、そしてそれらを堪能する為の暴力だった。
八つ当たりこそが自分の生き甲斐であり存在意義だと開き直っていた。
故に憎い日本やブラジルに翻弄されたり上手く復讐出来ていない
今大会のパフォーマンスに彼は満足していない。満足している訳がない。



ポブルセン「…ゥルルルゥァアアアアアアアアアア!!!」



よりにもよってブラジルユースの選手に怪我をさせられた今、彼は爆発した。

298 :代理です。:2013/11/22(金) 08:26:19.61 ID:2QEDLwyc
シィーーーーーーーーーーン…

獣ですら発するとは思えない不気味な怒声をポブルセンが出した時、誰も何も言えなかった。
彼の容態を案じていた審判も、治療の準備をしていたドイツユースも、仕切り直しを考えていたブラジルユースも、
ブラジルを応援していた観客も、成り行きを見守っていた全日本ユースも、そして実況放送も。

スッ。
トサッ…

ポブルセン「シェスター、すぐに俺に渡せ」

シェスター「えっ!?」

審判「お、おい、君、血が出てい」

ギラッ!

審判「る…ん…」

そのままポブルセンは自らボールを地面にセットしシェスターにフリーキックを行い
自分にボールを寄越せと要求した。自分が流血しているのにも関わらずである。
審判はポブルセンの怪我を案じて彼を止めようとしたが、
その気遣いで得られたのは殺気に満ち溢れ血走った眼と見難く歪んだ凶悪な表情だけだった。

ポブルセン「笛を吹け」

審判「!!!」

ピ、ピィイイッ!

哀れな審判は本能的な恐怖に逆らえず要求された通りに試合再開の笛を吹いてしまった。

299 :代理です。:2013/11/22(金) 08:27:44.08 ID:2QEDLwyc
シェスター「(ゲッ、マジかよ!?…いや、ここでやらせなきゃコイツ確実に乱闘する!
ええい、どうせ暴れさせるんだったらインプレー中の方がまだマシだ!)」

バコッ!

シェスターはポブルセンを良く知っていた分、ここで試合再開しなかったらポブルセンが
試合を滅茶苦茶にしてしまうだろうと瞬時に判断し要求通りフリーキックを蹴った。

ポブルセン「…シャァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

ダカダカダカダカッ!

ザガロ「なっ!?」

ドゴォオオオッ!

ザガロ「グワァアアアアアッ!!?」

ブラジルメンバー『ザ、ザガロ〜〜〜ッ!!?』

そしてボールが受け取ったポブルセンが最初に行った事はブラジル陣内への突撃…ではなく
自分を負傷させたザガロをフレームドリブルで撥ね飛ばす事だった。

放送「…ハッ!?な、なんとポブルセンくん治療を拒否!試合がフリーキックで再開し…
ザ、ザガロくんをドリブルで吹っ飛ばしたァ!?何が起きているのでしょうかこれは!」

300 :代理1/3:2013/11/22(金) 23:39:31.66 ID:PgrKKzIL
観客「あああ〜っ!?」「おい、プレイ止めるんじゃなかったのよ!」「治療拒否か?」
「つーか今わざとザガロに当たりに行ってたぞ!」「何しやがるこの放火魔野郎!」

翼「あっ…」

若林「あの馬鹿らしいな…」

日向「フッ、良い根性じゃねえか。馬鹿だがな」

カルツ「無茶するなポブルセン!怪我を悪化させる前にワシに…」

ポブルセン「ガァアアアアアアアアアアアアアア!!」

ダダダダダッ!

カルツ「だぁ〜っ、聞きゃしねえ!」

ザガロを吹っ飛ばしたポブルセンは更なる奇声と共にブラジル陣内に向かって中央突破を図った。
観客がどよめこうと味方が宥めようと耳を貸す事なく一目散に走るその姿は
誰の目にも彼らしい怒り任せの愚行にしか見えなかった。
怪我をしたのに治療もしないまま単独でドリブル突破を仕掛けるなど、
例えドリブル能力に自信があっても常識的には無謀かつ危険である。

サンタマリア「(馬鹿め、頭に血を上らせて痛みを無視しても怪我の影響は確実に出る。
しかも負傷悪化のリスクを背負ってまでやる事がただの単独中央突破だと?下策の極みだ!)
マウリシオ、時間差で左右から挟むぞ!念の為ジェトーリオとドトールも中央に詰めておけ!」

マウリシオ「アイサー!」
ジェトーリオ「了解―っと」
ドトール「任せろ」

301 :代理2/3:2013/11/22(金) 23:40:01.62 ID:PgrKKzIL
当然ブラジルはすぐに対処し、サンタマリアとマウリシオが中盤でボールを奪いに行く。
万全状態ならまだしも負傷したポブルセンならボールを奪える確率は高い筈だった。

しかし彼らは即座に思い知る事になる。狂人は時として人の常識を覆し限界を超えてしまう事を。

ポブルセン「死ね!」

ギュウンッ!
ドガガガガッ!!

マウリシオ「えっ!?ぎゃああああああああああっ!!」

サンタマリア「な…何だと!?」

ポブルセンの動きは怪我をしていなかった数分前より鋭くなっていた。
彼のドリブルはパワーとスピードの両方が増しており、マウリシオは哀れにも盛大に吹き飛ばされた。

サンタマリア「(馬鹿な!そんな事は有り得ない!何かの間違いだ!)」

サンタマリアはワンプレイでそれが分かった。だが今まで培ってきた彼の常識と理性がそれを受け入れられなかった。
どんな名選手でも怪我をしたらハンデを負うのは当然。精神力や小細工でそれを補う事や乗り越える事なら出来るだろう。

ポブルセン「殺してやる!」

ズガガガガッ!

サンタマリア「ぐわああああああああ!!」

だが何処に怪我をしたら逆上のあまり普段より明らかに強くなる選手など居るだろうか?
そこまでの怒りと恨みを燃やせる選手などサンタマリアも見た事がなかった。
故に本当にそんな選手が目の前に現れてしまった時、彼にそれを止められる筈がなかった。

302 :代理3/3:2013/11/22(金) 23:40:31.76 ID:PgrKKzIL
放送「あああああ〜っ!?更にポブルセンくん中央突破でマウリシオくんとサンタマリアくんを
暴走列車の如く撥ね飛ばしたァ!何故怪我を治療しない状態であんな事が出来るのか!?
彼は痛みを感じないのでしょうか?目の前の光景が信じられません!」

観客「な、なんだそりゃああああ!?」「血を見てキレたのか?それでパワーアップか?」
「バカ野郎、脚の怪我ってサッカーだと致命的なんだぞ!それでパワーアップ出来て堪るか!」
「でも明らかに勢いがさっきより強くなってるぞ!」「ヤバいぞ、守れーーーーっ!!」

ポブルセンがそんな特殊な選手だとは誰も知らなかった。

翼「な…なんなんだアレは若林くん!明らかに動きが悪くなるどころか良くなったよ!?」

若林「知らん!俺もこんな状態の奴は見た事がない!」

日向「…なんだあのキチガイは。どうなっていやがるんだ」

三杉「彼の狂気の為せる技か…?だとしても、こんな事が人間に可能だなんて…」

松山「ブラジルは完全にパニックに陥っているぞ!」

森崎「おいおい、まさか本当にこのまま一人でゴールしたりしねえだろうな…?」

観客と全日本ユースは勿論、味方のドイツユースの選手達でさえ知らなかった。
ただ彼らはポブルセンと日常的に接していた為、誰よりも早く“ポブルセンなら有り得る”と
割り切る事が出来、その割り切りが彼らに先手を打たせてくれた。

シュナイダー「(なんて事だ!まさか奴がこれ程まで狂っていたとは!如何にポブルセンでも
信じ難い…だが、目の前にあるのは現実だ。そう、俺達にとって有利な現実。
ならばその現実から逃げる理由も、この奇貨を逃す理由もない!フライハイト!)」

フライハイト「(ああ、またとないチャンスだ。アレを使う)」

303 :代理1/7:2013/11/23(土) 15:46:33.91 ID:sRJ/rZsa
放送「ポブルセンくんが上がる上がる!相変わらず彼はパスなどしそうにありません!
しかし今は彼の中央突破が得体の知れない脅威となっているのです!早く止めないと危険だ!」

観客「わ〜〜〜っ、何やってやがる!」「早く止めろ!止めろってば!」「そいつに撃たせるなーっ!!」

ディウセウ「落ち着け皆ァ!ジェトーリオとドトールはサンタマリアの指示通りに守るんだ!
アマラウ、もしもの時はオラ達で意地でも止めっぞ!」

アマラウ「分かってる!あんな奴に好き勝手にさせて堪るか!」

ドトール「行くぞジェトーリオ。パターンDで頼む」

ジェトーリオ「Dかよ〜。全くもう、僕に厄介ごと押し付けて…」

同点ゴールを狙おうとしていた矢先のハプニングにさしものブラジルユースの面々も
動揺を隠せなかったが、それでも状況を制御下に置こうと適切な対処はした。
まずはジェトーリオがカペロマンのマークを離れてドトールより一足先にポブルセンに近づく。

クイッ、クイッ。

ジェトーリオ「(ほら、ほら、掴んじゃうよ〜)」

ドトール「(よし、気がそらされている内に回り込めば…)」

ジェトーリオはつかず離れずの距離を取ってからこれ見よがしに手で何かを摘む仕草をしてみせた。
彼の得意とする審判に見えない様にユニフォームを引っ張りその鋤にボールを奪う
通称ダーティディフェンスを仕掛ける事を暗示しているのである。
そしてそれは実際には囮であり、ポブルセンがジェトーリオに気を取られた所に
ドトールが横からスライディングタックルで奪うのが彼らの狙いだった。

だがポブルセンはそんな物に惑わされずに済む方法を思いついていた。

304 :2/7:2013/11/23(土) 15:47:05.06 ID:sRJ/rZsa
ポブルセン「くたばれ!」

バゴオッ!

ジェトーリオ「ぶぼぉおおおお!?」

ドサッ…

ドトール「なっ!?」

放送「ジェトーリオくんがここでマークについ…あああっ!?こ、これはシュートだったのか、
それともマーガスくんへのフィードだったのでしょうか?ポブルセンくんが蹴り出したボールが
ジェトーリオくんの顔面に直撃!ジェトーリオくん堪らず崩れ落ちてしまったァ!」

観客「なんだとォ!?」「絶対わざとだろ、アレ!」「ジェトーリオより外道な奴が居た!」

ポブルセンはジェトーリオの顔面目掛けてボールを蹴り、その衝撃で彼を倒してしまった。
凶悪ではあるがルール上はファウルにならない行為を食らってしまいジェトーリオは
ユニフォームを掴むチャンスすら与えられずに突破され、ドトールは一対一の勝負を強いられる。

ドトール「くそっ!」

ズザザァアアアアーッ!

ポブルセン「消えろ!」

ドガアアアッ!

ドトール「がはああああああ!」

そしてドトールもポブルセンの突破を許してしまい、いよいよポブルセンがヴァイタルエリアに侵入した。

305 :代理3/7:2013/11/23(土) 15:47:35.55 ID:sRJ/rZsa
放送「ドトールくんもダメだぁあああ!!ポブルセンくん、まさかの5人抜き!
まさかまさか本当にこのまま一人でゴールしてしまうのか!?そんな惨劇が起きていいのでしょうか!」

観客「ぎゃあああああああああ!!」「止めろ!止めてくれー!」「何やってるんだ皆!」
「もう頼りになるのはディウセウとゲルティスだけだ!」「2点目なんか入れさせるなーーーっ!!」

ルディ「(ラ、ラッキーな出来事と言えるのかコレは…?)」

ロベルト「(ぎえ〜〜〜!何でこんな事になっているんだ〜!?)」

グワアアアアアアッ!!

ディウセウ「(来るっ!…ポブルセンはオラがなんとかする。ゲルティスおめえはシュナイダーを頼む!)」

ゲルティス「(シュナイダーがフォローに走りこんでいる事を確認。要警戒)」

そしていよいよポブルセンがシュートの為に足を振り上げた時、
ブラジルに残された守備陣はそれでもある程度の冷静さを保っていた。
ポブルセンを止めてももっと恐ろしいシュナイダーにねじこまれては何の意味もないのを
彼らはきちんと意識しており、シュナイダーがポブルセンをフォローする形で
走ってきているのを見逃さなかった。無論マーガスとカペロマンの位置確認も忘れていない。

ポブルセン「てめえら全員!死にやがれぇえええええええええええ!!!」

ブワッギュォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

そして遂にポブルセンのマーダーショットが放たれた。
フレームドリブルと同様、何時もより一段上の威力が乗せられたマーダーショットだった。

放送「撃ったーーーーー!!ポブルセンくんのマーダーショット!」

306 :代理4/7:2013/11/23(土) 15:48:06.97 ID:sRJ/rZsa
ボグォオオオオオオ!!

ディウセウ「ぐぅ…ぁあああああ…!!」

約20分前に一本目のマーダーショットを見事トラップしたディウセウも今度は押し負けるかに見えた。

アマラウ「うぉーーーーっ!!」

バッ!
ガシイイッ!

ディウセウ「アマ、ラウ…すまねえ、なっ!」

ポーーーーン!
ドタドタッ!

アマラウ「ぐえっ!」

ディウセウ「ゲホッ…」

ポブルセン「ナ…ナニィイイッ!!」

それを救ったのがアマラウだった。彼はディウセウの背中に飛びつき支える事でかろうじて
ディウセウにシュートを弾かせる事に成功した。無論その代償は安くなく、ディウセウの下敷きに
なる形で倒されてしまうが息を切らしたポブルセンが追撃を加える事は出来なかった。

ダダダダッ!

シュナイダー「(よし。ここからなら蹴り込める)」

ただし、追撃はシュナイダーが加える気満々だった。

307 :代理5/7:2013/11/23(土) 15:48:37.08 ID:sRJ/rZsa
放送「ディウセウくんとアマラウくん吹っ飛ばされ…ない!なんとか跳ね返しました!
二人の協力プレイです!ああ〜っとしかし、よりにもよってシュナイダーくんがねじこみにィ!」

観客「危ね〜〜〜っ!」「いや、まだだ!まだ危ない!」「ゲーッ!シュナイダーかよ!」
「止めろゲルティス、止めるんだ!」「もう頼りになるのはお前だけだァ!何とかしてくれ!」

ゲルティス「(ネオファイヤーショット…さっきの軌道をリプレイし、シミュレートするんだ…)」

この場面でシュナイダーのネオファイヤーショットを予期しない者など居なかった。
誰もがあれこそがドイツの最強の主砲だと知っており、この試合でも先制点を上げているそれを
意識しない訳がない。それに匹敵する主砲がもう一つあるなどと誰も予想出来ない。

ピタッ。

ゲルティス「!?」

だが事実、ドイツはネオファイヤーショットに匹敵する切り札をもう一枚隠し持っていた。
それを使う為にシュナイダーは一瞬だけ立ち止まり、何かを待つ。

ダダダダッ!

彼が待っていた物。それはアイコンタクトで呼び寄せていたフライハイトの存在だった。

ゲルティス「(フライハイト!?まさか、ウォッシャードライブ?だが今は晴天…これは!)」

コインブラ「(来た!これが奴の隠していた切り札か!)」

放送「おや?シュナイダーくん立ち止まった…と思ったら誰かが後方から走ってきた!こ、これは!」

308 :代理6/7:2013/11/23(土) 15:49:07.63 ID:sRJ/rZsa
        グワアアアアアッ!                      グワアアアアアッ!

       ブラジルメンバー「なにィ!」「ツインシュートだとォ!?」「あの二人が!」

  ゲルティス「(既存データ無し!参考データ…日本のドライブタイガーで代用!演算…時間不足!!)」

                  森崎「あいつら…まだこんな物を…!!」

シュナイダー「 F I R E ! ! 」         フライハイト「 D R I V E ! 」

                バギュゥゥルゥウウウウウウウウウウウッ!!!!

                   ゲルティス「ハァアアア!!」

        そのシュートは翼と日向が使えるドライブタイガーツインシュートと良く似ていた。
         物凄い速度と威力を持ったボールが幾重にもぶれながら急上昇から急降下と言う
               厄介極まりない軌道を描く点ではそっくりだった。

             ゲルティス「(…防御、不能!!)アガアアアアアッ!!」

                       ドガアアアッ!

                 しかし威力と精度はこちらの方が上だった。
             そしてそれ以上にネオファイヤーショットを警戒していた所に
                全くの新技を出されたのが大きかった。大きすぎた。

                        バリィイッ!
                       ブスブスブス…
                       ブギュルルルル…

               ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

309 :代理7/7:2013/11/23(土) 15:49:38.05 ID:sRJ/rZsa
ブラジル 0−2 ドイツ



大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
10ゴール シュナイダー、ストラット
9ゴール 日向
8ゴール カルロス、ディアス
6ゴール ザガロ
5ゴール 火野、ビクトリーノ
4ゴール 翼、カペロマン、森崎、ランピオン、カマーチョ
3ゴール ポブルセン、ナポレオン、ピエール、チャンドラー、ロリマー、ミハエル、サトルステギ
2ゴール トニーニョ、マーガス、李邦内、李邦坤、アルシオン、イスラス、レンセンブリンク、三杉
1ゴール ルーク、肖、岬、山森、フライハイト、ネイ、ロペス、ガルシア、クライフォート、
     カイザー、マッハー、クリスマン、政夫、ディウセウ、マウリシオ

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト アルシオン
5アシスト サンタマリア
4アシスト 岬
3アシスト マーガス、翼、ダ・シルバ、ネイ、チャンドラー、火野、パスカル、ランピオン、
2アシスト カペロマン、カルロス、バンビーノ、カルツ、ピエール、王、森崎、トニーニョ
1アシスト フライハイト、カルツ、メッツァ、テイラー、飛、山森、早田、ビクトリーノ、エスパダス、クリスマン、イスラス、
      シェスター、バビントン、クライフォート、カイザー、和夫、ジェトーリオ

310 :創る名無しに見る名無し:2013/11/23(土) 23:05:49.44 ID:MmsBf/zW
これはいいボブ

311 :創る名無しに見る名無し:2013/11/26(火) 23:11:03.27 ID:/EgtqWZE
イマイチボブルセンが小者にしか見えてなかったけど、今回で印象変わったわ
カッケェ

312 :創る名無しに見る名無し:2013/11/27(水) 20:57:53.38 ID:+s3hXUlF
怪我が悪化して退場しそうだな

313 :代理です。:2013/12/04(水) 00:12:05.05 ID:xsQxzBIt
放送「ゴ…ゴ…ゴォオオオオオオオオオオオ〜〜〜〜ルゥウウウウウウウ!!!
ぜ、前半36分、ドイツが、ドイツが…!シュナイダーくんとフライハイトくんの
ツインシュート…ファイヤードライブツインとでも言うべきでしょうか…
ツインシュートでゲルティスくんを吹っ飛ばし、2点目…2点目です!
ブラジル、無得点のまままさかの2点リードを許してしまいました〜〜〜〜!!」

まさかのドイツの追加点を実況は悲鳴の様にアナウンスした。

ブゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!

観客「何やってやがんだーーーっ!!」「てめえらそれでもセレソンか!」
「よりにもよって2点リードだと!?わざとやってんのか!」「お前ら負けたいのかァ!」
「ゲルティスッ!貴様イタリアで何を学んできたんだ、八百長のやり方か!?」
「ポブルセンなんかをあそこまで好き勝手やらせやがって!」「まだ1点も取れてないじゃないか!」
「お前ら全員そのユニフォーム脱げ!今すぐだ!」「ブラジルの恥どもめーーーっ!!」

それを聞くのを待っていたかの様に観客の大多数が物凄い騒音を立てる。
彼らはドイツがどれ程凄いプレイをしようとどんな想定外のアクシデントがあろうと
そんな事は関係ないとばかりに敵を力で捻じ伏せるブラジルの姿を期待していたのだ。
その期待がこのままでは惨敗しかねない程のペースの連続失点と言う無様な展開で
裏切られては彼らに怒るなと言う方が無理である。

葵「うわっ、凄いブーイング…セリエAにも劣らないやこりゃ」

赤井「ぼ、暴動にならないだろうな…?過去にいくつか例はあるぞ…」

山森「万が一の時は、最寄りの出口に避難した方が良さそうだね」

314 :代理です。:2013/12/04(水) 00:12:49.42 ID:xsQxzBIt
松山「それにしてもまさかドイツが前半の内に2点リードとはなあ…」

三杉「展開的にはむしろ押されていた筈なのに、冷静に戦況を見極めチャンスを物にしたね」

若林「ファイヤードライブと言う切り札を隠し持っていた事、それを躊躇なく切った事、
ポブルセンの予想外の暴走をむしろ好機と見なした事…好判断が重なった結果だな」

日向「あのキチガイの評価を上げざるを得ないか…つくづくバカとハサミは使い様だな」

早田「なんだよこりゃあ。ハッキリ言ってブラジル大ピンチじゃねえか」

次藤「味方の筈の観客まで敵に回しちょるばい。どげんすっとね?」

翼「……………」

森崎「……………」

全日本ユースの面々も予想外のスコアにざわめく中、翼と森崎は沈黙を保っていた。
修行先に選んだブラジルがまさかこんな体たらくになるとはと驚く一方、
リオカップではブラジル人ではない彼らが主役だった事も思い出してある意味納得していたのだ。
間違いなく強いのだが、それでも無敵には程遠いのかも知れないと。

この様に誰もがドイツの快調とブラジルの苦境を否定できなくなったこの瞬間、
当事者達はどんな精神状態で居ただろうか。

315 :代理です。:2013/12/04(水) 00:13:22.17 ID:xsQxzBIt
ブラジルメンバー「………」「くそっ…」「やっべぇ〜」「ひゃー、ブーイングが…」

シュナイダー「(よし。流石にダメージは小さくないな)」

ブラジルユースの選手達は精神的ダメージに耐えていた。逆に言えばそれを隠す余裕はなかった。
それをしっかり観察したシュナイダーは満足気に頷き、次に息を荒げるポブルセンに振り返った。

ポブルセン「てめえ…」

シュナイダー「余計な事を、等とは言わんだろうな?お前があのままゴールを決めていたら
それはそれでとても有り難かったぞ。その前の活躍だけでも十分だったがな」

ポブルセン「クソが…偉ぶるんじゃねえ…」

シュナイダー「人を威嚇したいのならせめて息を整えてからにしたらどうだ?
ついでに治療も今の内に受けてこい。さもなくば負傷悪化で憎いブラジル相手に最後まで戦えず、
日本との決勝戦もベンチから見ているだけと言う下らん結末になりかねんぞ」

ポブルセン「俺に指図…するんじゃねえ…」

ザッザッザッ…

ポブルセンは先程のワンマンプレイで激しく消耗していた。勿論怪我も未治療のままである。
それを指摘し嫌々ベンチに向かわせるのはシュナイダーにとって容易い事である。
そのままフライハイトと共にドイツ陣内に引き上げると他の仲間達に歓迎された。

カルツ「奴さんは本当にどうしようもないのう。今回は奴の暴走が役に立ったが」

フライハイト「…ある意味扱いやすい奴ではあるさ」

316 :代理です。:2013/12/04(水) 00:13:59.04 ID:xsQxzBIt
カペロマン「お前らも大概な性格だよな」

シェスター「ともあれ、ナイスゴール!絶好調じゃないか」

マーガス「そうそう。ブラジルの奴ら顔を引きつらせてたぜ」

シュナイダー「ああ。1点ならまだしも、2点リードされると言うのは非常に大きい。
如何に猛者揃いのブラジルと言えど、ダメージは隠しきれないし自国民まで敵に回した。こうなると
ホームアドバンテージも逆にプレッシャーとして害の方が勝り、またブラジルだからこそ
“こんな筈じゃなかった”と言う焦りも大きいだろう。奴らの心は最早ヒビだらけになっている」

カルツ「それじゃ、早めに3点目を狙いに行くのかい?」

シュナイダー「…いや、こっちの消耗も激しいからそれは後半に狙った方がいいだろう。
ハーフタイムの時点で2−0のままなら向こうは更に焦り、後半の早い内に隙が生じる。
そこにトドメを刺すのが理想的な展開であり、勝利への方程式だ」

メッツァ「じゃ、前半の残りはマイボールになったら遅攻だね。了解」

シュナイダー「そうだ。今大会優勝候補大本命としてもてはやされ、苦戦らしい苦戦を
しなかったブラジルは精神的な限界が近い。そこを容赦なく突き崩すぞ。気合を入れろ!」

ドイツメンバー『おう!!』

ここでシュナイダーは試合の残り時間、自分達の消耗、そして敵の状態を考慮し
勝ちを焦らず改めて冷静に戦う事を呼びかけた。勝負に徹するリアリストの彼らしい指示と言えよう。

だが彼は一つ知らない事があった。
ブラジルユースの選手達が大会前に自信を粉々にされた経験があると言う事を。
驚愕と絶望と屈辱に対する耐性と、そこから立ち直れる強さを持っていると言う事を。

317 :代理です。:2013/12/05(木) 07:52:00.61 ID:3XGyGvUw
放送「スタジアムが崩壊しそうな程のブーイング!観客は不甲斐ないブラジルユースに
怒りを露わにしています!勿論もしこのまま負けてしまっては更なる批判を避けられません!
なんとか逆転の一手を打って欲しい所ですが、ピッチレポーターによると今の所
ブラジルベンチが動く様子は無いそうです!ロベルト監督も無表情で腕を組んでいるだけです!」

観客「ロベルトーーー!何やってんだこのピンチで!」「早く何か手を打てよ!何かあるだろ!」
「このままじゃ何も出来ないままでやられるぞ!」「黙って見ていりゃ逆転出来ると思ってるのか!」

ロベルト「……………」

観客の怒りはとどまる所を知らず、当然の如く選手達だけでなく監督のロベルトにも向けられる。
だが当のロベルトは指示を出すのでも選手交代を行うのでもなく、微動だにせず無言でいるだけだった。
この状況でそれを好意的に受け止められる筈がなく、更にいきり立った観客たちは別の対象に怒りを向けた。

観客「誰か何とかしろよ!スーパーサブとかさ!」「スーパーサブと言えば…10番のアイツはどうした!」
「コインブラとか言う10番を持ってるクセに試合に出てこないアイツは何やってんだ!」
「この大会一度も試合に出てねーじゃねーか!」「10番持ってるんならさっさと何とかしろーっ!!」

その対象は勿論、謎の10番であるコインブラ。
この大ピンチを覆すヒーローを求める者達は期待に応えようとしない選手に罵倒を浴びせ、
挑発によって力を引き出そうとする。それがコインブラの心に響く事を願って。

コインブラ「(…やはりこうなったか。親父にもこんな事をしていたんだろうな)」

しかし彼らが怒れば怒る程コインブラの心は冷えるばかりだった。

318 :代理です。:2013/12/05(木) 07:52:56.27 ID:3XGyGvUw
コインブラ「(分かっただろうカルロス。頂点を目指すのは成功しても失敗しても空しい事が。
そしてお前たちではドイツに勝てないと言う事が。それでも尚お前たちは足掻き続けるのか?)」

コインブラは観客の罵声など全く聞こえていないかの様にひたすらフィールドを見続けた。
カルロス達が絶望のあまり彼に助けを求めるのか、それとも絶望の中でもがき続けるかを確かめる為に。

だがカルロス達の反応はそのどちらでも無かった。



カルロス「…皆、怪我はないか?」

ブラジルメンバー「俺は大丈夫だ」「ああ、何とかなァ」「もう確認した、一人も負傷者はいない」

カルロス「そうか、不幸中の幸いと言う奴だな」

カルロスがまず最初にした事は怪我人の有無の確認だった。あれだけ盛大にポブルセンに
暴れられたブラジルユースだったが幸いにも誰も怪我しておらず、治療の必要は皆無だった。

チラッ。

カルロス「………」

コインブラ「………」

そして次に彼が行ったのは平淡な表情で自分達のベンチを見る事だった。
自然とコインブラと視線が合い、一瞬だけ二人の間に目に見えない火花が散る。

319 :代理です。:2013/12/05(木) 07:53:44.28 ID:3XGyGvUw
だがそうしていたのはほんの1秒程度で、すぐに彼はチームメイト達に向き直り朗々と問いかけた。



カルロス「それでは、コインブラを頼ろうなどと考えている軟弱者も居ないだろうな?」



ザガロ「…当ったり前だ!死んでもそんなマネをして堪るか!」

ネイ「嫌だよ。カッコ悪いし、それで勝てたとしてもサッカー選手失格だろ」

最初にそれに答えたのはもっともプライドが高く気性も荒いザガロだった。
それにネイが続き、その他の選手達も次々と異口同音にコインブラの参加を拒否する。

アマラウ「俺だってお断りだ!いくらアイツに実力があろうともな!」

ディウセウ「2点取られたからってそんだけで諦める程オラは柔じゃねえぞ」

マウリシオ「そんな事する位ならいっそボイコットした方がマシっスね!」

ジェトーリオ「大体アイツが入ったからって状況が良くなる保証もないじゃん」

ドトール「そもそもコインブラはチームにフィットしていない。特に精神的にな」

トニーニョ「俺達がいくらプロフェッショナリズムに徹しても、奴の方にその意識がない」

サンタマリア「戦力的な意味でも反対だ。デメリットがメリットを上回る確率が高過ぎる」

ゲルティス「コインブラの力で勝つ事は他のフィールダー全員の士気と自信を代償とするだろう」

320 :代理です。:2013/12/05(木) 07:54:20.84 ID:3XGyGvUw
コインブラに頼って勝たせてもらおうと考える者は誰ひとりとして居なかった。
カルロスは満足気に頷き、握り拳を作って熱弁を振るう。

カルロス「俺も正に同意見だ。サッカー選手としてのプライドを犠牲にし、たった一人の力を頼って
得た勝利など何の価値もない。それどころか頼ろうとした結果負ける危険性も高い。
そんな状況では絶対にコインブラは投入できない。監督もそれが分かっているから何もしないんだろう。
今ただただ無言で座っているのは俺達の力で勝ってみせろと言っているんだ。
それが出来ないのならコインブラを加える意味も世界一になる資格も無いとな」

ブラジルメンバー『……………』

カルロス「コインブラに出番があるとしたら、俺達を認めさせた後の決勝戦だ。あいつは昨夜俺にこう言った。
“自分抜きならドイツが3−2で勝つ”とな。そして俺は誓った。その予想を覆してみせると。
そして俺達にはそれが出来る筈だ。ドイツは2点リードしたが、元々俺達のゲームプランでは
2点以上取るつもりだった。ゲルティスがさっき言った事を加味すれば3点以上も取れる筈だ」

ブラジルメンバー『……………』

カルロス「勝つぞ皆!コインブラの驕りも、観客の怒りも、ドイツの誇りも全て
俺達の力で打ち砕き、俺達がセレソンだと証明するんだ!!」

ブラジルメンバー『おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!』



彼の熱弁に対するブラジルユースの選手達の気合が衝撃波の様にスタジアム中に響き渡った。
自分達はまだ死んでいない、負けていない、そうなるつもりも毛頭ないと宣言していた。

321 :代理です。:2013/12/05(木) 07:54:55.01 ID:3XGyGvUw
観客「おおっ!?まだやる気だぞアイツラ!」「空元気じゃねーだろうなオイ!」
「さっさと結果を出せよ!せめて前半の内に1点入れておかないと本格的に不味いぞ!」

放送「おお〜〜〜っと!!ここでブラジルユース気合を入れ直しました!
絶対に逆転してみせると言う強い意志を感じさせる声でブーイングが収まりました!
この気合が今度こそ空回らない事を心底願いたいものです!」

それは観客と実況からの信頼を回復させ。

シュナイダー「(何!?何だこの気迫は…虚勢…違う。自棄…違う。開き直り…違う!
自分達の力と勝利を疑っていない自信だ!何故だ、この状況で何故気迫が衰える所か増すんだ!?)」

ドイツを戦慄させ。

森崎「あれ…?あいつら、全然堪えてないのか?ほんの少しも?」

翼「…カルロスは一体どんな魔法の言葉を使ったんだ?」

全日本を困惑させ。

コインブラ「……………!?」

コインブラをも驚愕させた。



ロベルト「(どどしよっどどしよっどどしよっポーカーフェイスなんでなんで2点もリードされてるの
ポーカーフェイスああああ何か手を打たないと何も思いつかないポーカーフェイス
このままじゃ負ける負ける負けるポーカーフェイスヤバいヤバいピッチレポーターがこっち見てる)」

ロベルトは冷静を装うのに精一杯で何も気付いていなかった。

322 :代理です。:2013/12/06(金) 00:29:49.97 ID:dk6JOTb3
ピィイイイイイイイイイイッ!

放送「ブラジルユースのキックオフ!前半はロスタイムを含めても後精々10分!
後半になる前に何とか1点返しておきたい所ですが、どうするのでしょうか?
まずはパスワークからマウリシオくんにボールが渡りました」

2点リードされてもブラジルは攻め方を変えなかった。
元からシュートを数多く撃つ事には成功しているのだからわざわざ変える必要などないだろう。

マウリシオ「さーて、サイド突破サイド突破」

カペロマン「そう簡単に出来ると思ってるのか?」

マウリシオ「出来るよ。ジャパンカップの時もそうだったけど…」

バババッ!

カペロマン「うっ!」

マウリシオ「やっぱりアンタ守備下手だよな!」

グワアッ…
バコッ!

放送「まずはマウリシオくん左サイドを突破!そのままカルロスくんにパスを出しました!」

シェスター「甘いぞ!ニンポー・ホウセンカ!」

ギュルンギュルンギュルン…!
パシッ!

323 :代理です。:2013/12/06(金) 00:30:35.56 ID:dk6JOTb3
マウリシオ「げっ!?」

放送「しかしこれはシェスターくんがカット!やや甘いパスだったか?」

シェスター「よし、またこっちの攻撃だ!」

バコォン!

ネイ「そうは…」

スススッ…
シュッ!

ネイ「いくか!」

パシッ!

放送「おっと、ネイくんがカットし返した!ブラジルのチャンスはまだ続きます!」

シェスター「なにィ!?一体何処から!」

カルツ「(シェスターの視点だと、ワシの陰に隠れていた様に見えたのか…?)」

岬「上手いなあ。パスカットに向かっている事に気付かせなかったよ」

森崎「ネイの奴また新技を…前はパスカットなんて得意じゃなかったのに」

324 :代理です。:2013/12/06(金) 00:31:34.08 ID:dk6JOTb3
ドイツメンバー「マズい!」「ブースターシュートが…!」

ネイ「おっと、そうとは限らないぜ!」

バコッ!

放送「ネイくんパス!トニーニョくんにボールが渡りました!ここはシュートレンジだ!」

トニーニョ「ナイスパス」

グワァアアアアアアアアアアアッ!!

ドイツメンバー「えっ?ただのグラウンダーのパス?」「今更ただのドライブシュートか?」

ミューラー「(ただのドライブシュート…じゃないな。奴はミラクルドライブも撃てる。それにあの蹴り足は…)」

翼「あ。これはフライングドライブだ!」

トニーニョ「いけェ!」

バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!
ギュルルルルルルルン!!

ミューラー「バレバレだ!」

バッ!
ブォンッ!
バキィイイイイイイイイイイイイッ!!
プシューーー…

325 :代理です。:2013/12/06(金) 00:32:21.89 ID:dk6JOTb3
トニーニョ「くっ…まだ入らないのか…」

ミューラー「ふー…」

放送「しかし…ダメです!ミューラーくんのミョルニル炸裂!トニーニョくん通常の
ドライブシュートではなく斜め回転のフライングドライブを撃ちましたが、
それでもドイツの雷神には通用しなかった!何という難攻不落ぶりでしょうか!」

観客「だああああ、また防がれた!」「畜生、もっと強力なシュートは撃てないのかよ!」

ドイツメンバー「よーし、流石ミューラー!」「その程度じゃ通用しないぜブラジル!」

森崎「トニーニョのフライングドライブか…まああいつキック力大した事ないしな」

翼「(ブラジルユースはもっと強力なシュートを用意してこなかったのか?
チームにゲルティスが居る以上、どれ位のシュートなら世界最高クラスのGKを
現実的な確率で破れるか分かっていなかった筈はないだろうに…本当に数を撃つだけなのか?)」

だがシュートに持っていけても肝心のシュートが悉く防がれる。
いずれはミューラーもミスをするかも知れないが、このままでは逆転は至難の業。
誰もがそう思っていた。

ブラジルメンバー「(良い気になりやがって…)」「(大丈夫だ。必ず作戦の効果は出る!)」

ゲルティス「(………恐らく、次だ。次のシュートで…)」

ブラジルユースの選手達以外は。

326 :代理です。:2013/12/11(水) 08:19:26.82 ID:8mHjKc2b
バッゴォオオオオオオン!

放送「ミューラーくんのゴールキック!これは前線に一気に届けるハイボールだ!」

ドイツは再びマーガスのポストプレイからのカウンターを狙った。

ディウセウ「わりっ、ちょっと息切れだ。ドトールカバーしてくれ」

ドトール「そう予想していた」

アマラウ「行くぞドトール!」

マーガス「よし、ディウセウが来ないなら…!」

ドドドッ!
バッ!バッ!バッ!
ガシィイイイン!

アマラウ「甘いなァ!」

バシィイイイイイイン!!

マーガス「なにィ!?」

放送「しかし今回はアマラウくんが競り勝った!そうそう何度もポストプレイが成功する物ではありません!
このこぼれ球はサンタマリアくんがフォロー!まだブラジルの攻撃は続きます!」

観客「シュートを跳ね返されてカウンター食らうのは見飽きたぞ!」「いい加減何とかしろー!」

これはアマラウが競り勝った事で失敗に終わり、再びブラジルが攻撃権を得る。

327 :代理です。:2013/12/11(水) 08:20:01.95 ID:8mHjKc2b
サンタマリア「(何とか、か。確かに何とかしなくてはならないな)」

ポブルセン「考え事してんじゃねえ!」

カペロマン「お前なあ、奇襲なら黙ってやれよ」

サンタマリア「(まずはこいつらからだ。どうせカペロマンは守備はサポートする気しかない)」

シュッ!

カペロマン「うおっ!?」

ポブルセン「てめえ、逃げんな!」

サンタマリア「(よってまずはカペロマンに近寄り、手柄を焦るポブルセンを怒らせ)」

パコッ!

カペロマン「わっとっ!?」

ポブルセン「おいっ!?」

サンタマリア「(二人の中間、ややカペロマン寄りの位置にボールを蹴りだし)」

ダダダッ!

カペロマン「なっ…やられた!」

ポブルセン「クソがっ!」

サンタマリア「(”お見合い”を誘発させてから一気に抜き去る!)」

328 :代理です。:2013/12/11(水) 08:20:52.10 ID:8mHjKc2b
次にサンタマリアが頭脳的なドリブルを駆使し、前線に切り込んだ。
こうして再びブラジルがシュートチャンスを得、今度はどうするのかが注目される。

放送「サンタマリアくん二人抜き!良い位置に駆け込んだ!さあここからパスを出すのか、
それとも自分で撃ちに行くのか?しかし最早攻撃パターンはあらかた試されつくした感が拒めません!」

松山「ブラジルは次はどうするんだ?もうドイツも慣れてきた感があるぞ」

三杉「大きな切り札がない限りは、ドイツの油断を待つしかなさそうだが…」

岬「切り札を持っているとしたら、カルロス・サンターナかな?」

ドイツメンバー「(来るなら来い)」「(何度でも防いでやる)」

ミューラー「(さあ、次はどいつが撃ってくるんだ?)」

サンタマリア「………」

タタッ…
ガコッ!

ドイツメンバー「えっ」「なんだ!?」

ここでサンタマリアがしたのは走りながらの突如のバックパス。そこには誰もシューターは居ないかと思われた。

ダダダダッ!

ジェトーリオ「チャ〜ンス♪」

だが実際にはジェトーリオがマーク無しで走り込んでいた。

329 :代理です。:2013/12/11(水) 08:21:33.19 ID:8mHjKc2b
放送「おっとここでサンタマリアくんヒールパス?これを受けたのは…ジェトーリオくんだ!」

グワアアアアアッ!

放送「ジェトーリオくん振りかぶる!得意のドライブシュートか?」

ジェトーリオ「いけェーーー!!」

バシュゥウウウウウウウウウウウウウッ!!
ギュルルルルルルル!

翼「ドライブシュート!…いや、本当にただのドライブシュートだな」

若林「あの程度じゃミューラーにはまず通用しないだろうに…」

ジェトーリオは撃った。得意のドライブシュートを。フリーで撃てた分勢いはあったが、
それでもミューラーを脅かせるとは思い難いただのドライブシュートであった。

ミューラー「…フンッ!」

バッ!
バコォオオオオオオオオオオン!!

そしてそれは当然の様に悠々とパンチングで跳ね返された。大抵の者はこう思っただろう。
無駄撃ちになった。やはりあの程度のシュートではミューラーのセービングは破れないと。

ブラジルメンバー『!!!』

だがブラジルユースの選手達だけはミューラーのセービングに違う物を見た。
それはすなわち、彼らが待ち望んでいた勝機と希望だった。

330 :


331 :代理です。:2013/12/12(木) 08:20:48.46 ID:pq4C9zD9
カルロス「(来た!ゲルティスが正しかった!今のセービングを見て確信した!)」

この勝機に誰よりも激しく真っ先に食いついたのがカルロスだった。
ブラジルユースキャプテンとしての不屈の闘志と
世界屈指のストライカーとしてのゴールへの嗅覚両方が彼に叫んでいた。
こここそが勝負所であり、ここで得点しなければならないと。

放送「ダメだ〜〜〜っ!不意打ちのドライブシュートも通用しない!これまたパンチング!
そうこうしている内にもう前半44分!このままドイツの2点リードで後半を迎えてしまうのか!?
このこぼれ球はヨハンセンくんがフォローします!」

ヨハンセン「よし、カルツ!」

バコッ!

カルロス「(ハーフタイムには逃げさせない!前半終了間際のこのタイミングで勝負だ!)」

バッ!
グルルッ!
パシッ!

ヨハンセン「なにィ!」

放送「あっと、ここでカルロスくんがムーンサルトパスカットで華麗にパスカット!
まだだ、まだブラジルの攻撃は終わりません!前半終了間際の猛攻は実を結ぶか!?
ミューラーくんは既に立ち直っていますが得意のミラージュシュートを決めて欲しい所!」

観客「今度こそ決めろーーーっ!!」「ミラージュシュートをぶちかましてやれェ!」

カルロスは自らボールを奪い、僅かに駆け込んでから足を思い切り振りかぶった。

332 :代理です。:2013/12/12(木) 08:21:25.30 ID:pq4C9zD9
                         カルロス「いくぜ!」

                    グワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

                          ミューラー「!!?」

                その時ミューラーは予感した。今までよりも強力なシュートが来ると。

                   シュナイダー「(何!?振り足が今までとは違う!)」
                   フライハイト「(ミラージュシュートではない…!)」

                       森崎「(うおっ!?この感覚は…!)」
                      翼「(カルロス!何かやるつもりだな!)」

                   他にもカルロスが何か切り札を切った事を感知した者は居た。
                      だが立ち向かえるのはミューラー一人だった。



                       カルロス「ファントムシュート!!」

                      ブワッギュゥウウウウウウウウウウウッ!!!
                    ギュゥィインギュゥィインギュゥィインギュゥィイン…!




.

333 :代理です。:2013/12/12(木) 08:21:58.85 ID:pq4C9zD9
                   左右にぶれながら緩やかなカーブを描くそのシュートは一見
                  ザガロのダブルイールやカペロマンのサイドワインダーに似ていた。
                   速度はそれらより少し上だったが、ネオファイヤーには明確に劣る。

                    ミューラー「(…違う!これはただの横ブレじゃない!)」

                                バッ!

                だがミューラーはこれがただ単に左右にぶれるだけのシュートではないと予感し、
                         油断なく全力でセービングに行った。

                           ブワァアアアアアアアアアアア…!!

                          ミューラー「(…こんな変化かよ!?)」

                              彼の予感は当たった。
                   ファントムシュートはミラージュシュートよりも更に幾重にも分裂し、
                          広範囲のボールの雲を作ったのだった。

                       今のミューラーには半分以上のボールが残像だと看破出来た。
                      だが残ったボール数個の内どれが本物かまでは見極められなかった。

                                ブンッ…

                          ミューラー「くっ…くそォオオオ!!」

                   当たりさえすれば、の思いで振り下ろした腕にボールがかする事は無かった。

                               バリィイッ!
                              トントントン…
                       ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

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334 :代理です。:2013/12/12(木) 08:22:31.54 ID:pq4C9zD9
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ブラジル 1−2 ドイツ



大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
10ゴール シュナイダー、ストラット
9ゴール カルロス、日向
8ゴール ディアス
6ゴール ザガロ
5ゴール 火野、ビクトリーノ
4ゴール 翼、カペロマン、森崎、ランピオン、カマーチョ
3ゴール ポブルセン、ナポレオン、ピエール、チャンドラー、ロリマー、ミハエル、サトルステギ
2ゴール トニーニョ、マーガス、李邦内、李邦坤、アルシオン、イスラス、レンセンブリンク、三杉
1ゴール ルーク、肖、岬、山森、フライハイト、ネイ、ロペス、ガルシア、クライフォート、
     カイザー、マッハー、クリスマン、政夫、ディウセウ、マウリシオ

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト アルシオン
5アシスト サンタマリア
4アシスト 岬
3アシスト マーガス、翼、ダ・シルバ、ネイ、チャンドラー、火野、パスカル、ランピオン、
2アシスト カペロマン、カルロス、バンビーノ、カルツ、ピエール、王、森崎、トニーニョ
1アシスト フライハイト、カルツ、メッツァ、テイラー、飛、山森、早田、ビクトリーノ、エスパダス、クリスマン、イスラス、
      シェスター、バビントン、クライフォート、カイザー、和夫、ジェトーリオ

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335 :代理です。:2013/12/17(火) 13:15:37.62 ID:U0V23mBA
ドイツメンバー「あ…」「そ、そんな…」

ブラジルメンバー「よ、よし…!」「やっと…!」

どんどん先細りしつつあったブラジルユースの命運を盛り返す起死回生の一撃が決まり、
スタジアムがほんの短い間だけ静寂に包まれる。

グッ!

カルロス「見たか!これが世界を制する為に編み出した俺の切り札、ファントムシュートだ!!」

ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

それは天高く拳を突き上げたカルロスの雄叫びをキッカケに破られた。

放送「決まった!ゴール、ゴール、ゴォオオオオオオ〜〜〜〜〜〜〜〜ルゥウウウ!!!
前半ロスタイム直前にカルロスくんの新必殺シュートが炸裂!その名はファントムシュート!
ミラージュシュートを上回る恐るべき分裂ぶりでドイツの雷神を惑わしたのです!
0−2のまま終わってしまうかに見えた前半終了間際のこの一撃はブラジルの息を吹き返す
値千金の会心の一撃と言って良いでしょう!意地を見せましたカルロス・サンターナ!」

観客「よっしゃあ!」「ようやくかよ!」「信じていたぞ我らがカナリア軍団よ!」
「やっとミューラーがミスしやがったぜ!」「違う、カルロスがやってくれたんだ!」
「このまま後半さっさと逆転しろよ!」「カルロス!」「カルロス!」「カルロス!」

ロベルト「(ふーっ…ようやくやってくれたか。本来は後半まで出さない筈だったんだけどなあ)」

コインブラ「(やっと1点か…だがこれで勝てる訳じゃない。どうするつもりなんだ)」

ルディ「(うぬっ…まだ大きな切り札を隠し持っていたとは…この1点は仕方がないな)」

336 :代理です。:2013/12/17(火) 13:16:16.60 ID:U0V23mBA
松山「い、今のどうやって撃ったんだ?ツインシュートよりもブレていたぞ?」

三杉「ミラージュシュートの発展形だとは思うけど、詳しい原理は分からないな」

中山「DFの立場からすれば、速くて曲がって更にブレまくるなんて酷いシュートだぜ」

日向「フン、今更この程度のシュートにビビっている訳にはいかねえだろうが」

翼「だけど、無いと思われていた大砲があったのは大きい…流れは変わったよ」

森崎「このタイミングで得点していなけりゃブラジルは大変な事になっていたな…」

ブラジル人が圧倒的大多数を占める観客は当然狂喜乱舞したが、全日本ユースの面々は
比較的冷静にこの流れを眺めていた。カルロスが切り札を隠していたのは
それ程の驚きは呼び起さず、むしろこの1点が試合の後半にどう影響するかに興味津々だった。



シュナイダー「(なるほど…これが奴らの心の支えだったのか。確かにとっておきの新技が
残っていると言う事実は劣勢時に闘志の下限を保ってくれる。そして奴らは見事にその新技を
決めてみせた。それも前半終了間際と言う良いタイミングでだ…流石はブラジルだ。だが…)」

失点したドイツユースの面々は流石に多少は動揺していたが、その中でシュナイダーは
一際冷静さを保っていた。ブラジルユースの選手達とすれ違いながら
ドイツ陣内にゆっくり歩み戻るその姿にはいささかの怯えも見えなかった。

シュナイダー「(こちらも元からブラジル相手に無失点で勝てるなどと楽観はしていない。
俺達は1−0の勝利を至上とするイタリアじゃないんだ。打撃戦で相手に打ち勝つドイツだ。
それを皆に思い出させなくてはな)今のは止められただろう、ミューラー」

ミューラー「………フン!」

337 :代理です。:2013/12/17(火) 13:17:15.91 ID:U0V23mBA
ドイツゴール前に辿り着いた彼がまず行ったのはミューラーへの挑発だった。
あまり仲が良いとは言えないこの二人は共に超がつく程強気な性格であり、負けん気も強い。
慰めの言葉よりも挑発の方がはるかに心地いい人種であり、お互いをそう理解しているのである。

シュナイダー「実に奇妙な増え方をするシュートだったが、威力や速度は俺のネオファイヤーの方が
明らかに上だ。そしてお前は日常的に俺のネオファイヤーを浴びている。二発目は止められるよな?」

ミューラー「誰に言っているんだ。分かりきった質問をするな」

シュナイダー「それなら良い。他の者も、あの程度で萎縮などしていないだろうな?」

カルツ「当然ぜよ。ブラジルならあれ位やってきてもおかしくないしな」

フライハイト「足への負担も大きい筈だ。カルロスはあれを連発できない」

シェスター「まだまだ俺達が1点リード中なんだ。気を取り直せばいいさ!」

カペロマン「向こうだってディウセウがヘバってきてるしな。いけるいける」

シュナイダー「よし。まずは前半を無事に終えて後半仕切り直しだ。いいな?」

ドイツメンバー『おう!!』

幸いミューラーは悔しさを糧にすぐ立ち直っており、顔の汗を盛大に飛ばす事で挑発に挑発で応えた。
他の者もそれに釣られて前向きなムードを作り直し、シュナイダーの気合に一斉に応答した。

シュナイダー「(これでいい。ここからが本当の勝負だ…だが…)」

しかしこの時シュナイダーは一つの不安を感じていた。彼らしい冷徹な表情の下で
正体不明の違和感を感じており、チームメイト達からそれを隠すのに苦労していた。

シュナイダー「(なんだ…?何かを見落としている気がする…この違和感は何だ…?)」

338 :代理です。:2013/12/26(木) 09:55:49.05 ID:3fBd9yvy
ピッ、ピィイイイイイイイイイ!!

その後前半は僅かなロスタイム以外は何事もなく終わった。

放送「前半終了です!カルロスくんのゴール以降、両チームとも目立った動きは見せず
約2分のロスタイムは盛り上がりなく終わりました。スコアは1−2、ドイツがリードしています。
ブラジルが序盤からキープ率、シュート数共に明確に上回りながら中々得点できず、
ドイツに上手くカウンターを決められてしまうと言う不気味な展開になっています。
果たして後半、ブラジルの逆転はなるか?緊迫感に溢れるハーフタイムに入ります」

観客「畜生、まだドイツが1点リードか…」「0−2のままよりはずっとマシだが、嫌な試合展開だぜ」
「ファントムシュートもそう何発も撃てないだろうし…マズいな」「後半も前半みたいに支配できるかな?」
「難しいな…ドイツが何も対策してこないハズはないし」「選手達の消耗も心配だ。トバしていたからな」

三杉「流石にブラジルの観客は目が肥えているね。参考になる議論を行っているよ」

松山「そうだな。まだまだリードしているドイツが優位なのを良く分かっている」

中山「ブラジルは積極的に攻撃できるのは良いが、それを前半の内に散々見せちゃったからなあ」

若林「ミューラーの奮闘とカウンターの成功による結果論だが、戦術をミスったかも知れん」

日向「後半序盤が鍵だな。どっちが勝っても手の内を曝け出してくれそうだがな」

翼「ブラジルの落ち着き様を見る限り何かまだ切り札を残しているんだろうか…?」

井出「(切り札…あのブラジルの10番は…未だに出てこないんだな…?)」

後半の展望はスコア通りドイツが有利。ブラジルは何時まで攻勢を続けられるか、そして後半こそ
ミューラーの粘りを崩す事が出来るのか?出来たとして、これ以上カウンターの被害を抑えられるのか?
全日本ユースの選手達を含めた観客達は概ねその様なビジョンを共有していた。

339 :代理です。:2013/12/26(木) 09:56:21.04 ID:3fBd9yvy
〜ドイツユースロッカールーム〜

ルディ「ポブルセン、ケガの具合は大丈夫か?」

ポブルセン「問題ありませんっつってんだろ…」

ルディ「よかろう。そこまで減らず口を叩けるのならまだまだ戦ってもらう
(限界の見極めは誤ってはならんな…試合終了まで持つかどうかははっきり言って分からん)」

ドイツユースがハーフタイムに行ったのは2点目の殊勲者ポブルセンの負傷のチェックだった。
ポブルセンは確かに負傷している筈なのに動作にも精神にもまるで衰えを見せず、それどころか
キレが増していると言う状態を未だに維持していた。その非常識な精神力が何時まで続くか
一抹の不安を抱きながらもルディは彼を使い続ける事にし、次の懸念事項に移る。

ルディ「クランケ、ヨハンセン。残念ながらお前達は試合から消えていたな」

クランケ「うっ…申し訳ありません」

ヨハンセン「す、すみません」

ルディ「ああいや、責めている訳ではない。ブラジルの攻撃パターンの多彩さが私の予想を上回っていただけだ。
ああまでバックパスやミドルシュートを駆使し、逆にサイドアタックをやる気がないとお前達のスタイル上
どうしても出来る事は少ないだろう。だが、修正出来る事は何もない。サイドを完全にフリーにすれば
そこに進入し狙いすましたシュートを撃ってくるだろうからな…損な役割になるが後半も縁の下の力持ちに務めてくれ」

クランケ「はい…」

ヨハンセン「…分かりました」

340 :代理です。:2013/12/26(木) 09:56:58.12 ID:3fBd9yvy
ルディ「だが、流石に前半の様にシュートを撃たれまくるのは危険すぎる。なにせ前半だけで11本だ…
後半も11本撃たれたら勝てるものも勝てない。そこでだ、シュナイダー」

シュナイダー「はい」

ルディ「後半は前半よりも守備的にプレイしろ。前半の様にカウンターに専念する必要はない」

ドイツユースにとって後半の最重要課題はブラジルユースのシュート数を減らす事だった。
これを成し遂げる為の対抗策は当然、高いボール奪取力とキープ力を持つシュナイダーの守備参加である。

ルディ「無論隙あらばシュートを狙いに行け。だが後半重要なのはお前が最後までフィールドに立ち、
ブラジルから時間の余裕を奪う事だ。膠着状態になればなる程こちらが有利になるのだからな」

シュナイダー「はい(当たり前過ぎる程の選択だ。故に向こうが最も嫌がる)」

ルディ「他は特に何も変える必要はない。強いて言えばマイボール時は前進よりも支配を心がけて
いけと言う位だな。特にメッツァとカルツが役割分担していけば、ブラジルを困らせる事が出来るだろう」

ドイツメンバー『はい』

341 :代理です。:2013/12/26(木) 09:57:54.45 ID:3fBd9yvy
ルディ「指示は以上だ。自信を持っていけ。真のサッカー王国はブラジルではなくドイツ。それを証明してこい!」

ドイツメンバー『はい!!』

シュナイダー「はい!!(だが…何だこの不快感は?まだ何かがある様な気がしてならない…)」

このハーフタイムでドイツユースが行った作戦会議の結果は一言で言うならば堅実にして王道。
リードを奪えたのだからそのアドバンテージを最大限活かしつつ、前半味わった脅威に対策する。
人によっては面白味がないと言うかも知れない程当然な戦い方であり、それ故に穴は無い筈だった。

シュナイダー「(ブラジルにまだ何か切り札や隠し玉があっても、それを過剰に恐れる必要はない筈だ。
だが…俺のサッカー選手としての何かが訴えている。優勢ではない、ピンチだと!一体これは何だ…?)」

それでもシュナイダーは得体の知れない不安を感じていた。いくら考えても分からない物は分からないと
割り切り、余計な不安を味方に与えない為にポーカーフェイスを貫く事は出来たがそれだけだった。

ミューラー「(ちっ…何だ?俺とした事が。カルロスに一点奪われた事でショックを受けた?
有り得ん。俺はかつて自信を打ち砕かれ、それを蘇らせた。今更一点位で動揺するバカじゃない…)」

この時ミューラーも人知れずシュナイダーと同様に訳の分からない不快感に苛まされていた。
彼もまたシュナイダー同様周囲に不必要な弱音を吐くタイプではなく、それを口にする事はなかった。

故に当事者のミューラーも含めてドイツの誰も気付かなかった。ミューラーが疲労している事に。

342 :代理です。:2013/12/26(木) 09:58:49.24 ID:3fBd9yvy
〜ブラジルユースロッカールーム〜

ロベルト「1−2か…2点目は余計だったな…(監督らしい台詞その39、っと)」

ディウセウ「ワリィ、監督。むざむざやられちまった…」

ロベルト「…これ以上の失点が許されないのは当然として、最低でも後2点が必要だぞ。分かっているのか?」

ブラジルユースの方はと言うと、ロベルトの叱責から始まっていた。
攻撃回数で上回っているのにスコアでは下回っていると言うのは失態以外の何でもない。
ロベルトはこういう時は選手達に自主的に改善案を言わせる様仕向ける様にしていた。

コインブラ「……………」

ロベルト「(コインブラが出せればなあ〜…でも皆居ない者扱いしているし、コイツも出るって言わないし…)」

彼自身はコインブラ投入以外の手が思いつかず、その手が実行不可能に近い今内心困り果てていた。
ブラジルユースの恥部であるが、幸いにしてそれを知る者はロベルト本人以外は居ない。

カルロス「分かっています。後半必ず逆転してみます」

ロベルト「ほう。そう言い切る自信の根拠はなんだ?(これで後はサンタマリアとかが説明してくれるな)」

ロベルトは選手達の自主性を煽り自発的に作戦を”提案”や”主張”させる話術に長けていた。
ブレインタイプの選手が複数居るブラジルユースではこのやり方は特に上手く行っており、
普段はサンタマリア、トニーニョ、カルロスなどがロベルトの代わりに積極的に喋ってくれるのである。

ゲルティス「…ミューラーの消耗です」

ロベルト「なにィ!?」

コインブラ「……………?」

343 :代理です。:2013/12/26(木) 09:59:32.40 ID:3fBd9yvy
しかし今回発言したのはゲルティスであった。予想外の人物から全く予期していなかった指摘が飛び出し、
ロベルトを驚愕させる。同時に誰も見ていなかったがコインブラも疑問符を顔に浮かべていた。

ゲルティス「俺は試合前からミューラーを分析していました。そこで目を惹いたのが
ミューラーの極めて特殊な経歴です。アイツは公式戦はおろか、練習試合すらまともな数をこなしていない」

ロベルト「そ、それがどうしてミューラーの消耗に繋がるんだ?」

ゲルティス「言葉で説明するのは難しいですが…実戦と練習は違うとはあらゆるスポーツに関して言われます。
練習通りの動きが出来る様になる為に、そして練習時以上に冴え渡る為に実戦経験の蓄積が問われるのです」

ロベルト「それは分かるし、文句もないが…ミューラーはプレッシャーに苦しんでいる様にはとても見えんぞ?」

ゲルティス「ええ、それ自体は驚異的な事であり、賞賛に値します。ですがそのツケは確実に現れます。
ゴールキーパーは精神力を問われるポジション。そして経験は精神力を支える物。その支えがないミューラーは
精神力を浪費し、体力が尽きた時それを補う為の蓄えを失くしているのです。プレッシャーの耐え方が非効率的、
とでも言うべきでしょうか。本人はとても強気なタイプらしいので恐らく自分も味方も気付いていないでしょうが…」

ロベルト「んん〜…?何だか、シックリ来ないな…」

ゲルティスの主張は話し方その物は論理的だったものの、それが精神力と言う抽象的なテーマだった為
ロベルトはしきりに首をひねる事しか出来なかった。そこでカルロスが無理もないと苦笑し話をまとめにかかる。

カルロス「俺達もゲルティスが最初に言い出した時は半信半疑でした。これはキーパーでない限り
分からない事なのかも知れません。ですがゲルティスの主張を裏付ける物があります。
前半終了間際、ミューラーの動きが僅かながら鈍っていた事です」

ロベルト「(え、そうだったのか?ヤバい、全然分からなかった…)」

サンタマリア「いずれにせよ、後半も積極的に攻めると言う点で俺達のやる事に何も変わりはありません。
ただ当初の予定よりもミューラーの消耗に期待できると言うだけです。お任せください、監督」

344 :代理です。:2013/12/26(木) 10:00:04.57 ID:3fBd9yvy
ロベルト「(ええい、分からない物を考えるよりも監督らしいセリフだセリフ!)…良いだろう。
ここはゲルティスの観察眼に期待する。そして攻めて攻めて攻めまくるのも試合前の作戦通りだ。
無論ドイツも修正は施してくるだろうが、それは力でねじ伏せろ。いいな?」

ブラジルメンバー『はい!!』

ロベルト「ファントムシュートは予定より早く使ってしまったが、まだアレとアレが残っている。
それを最も効果的なタイミングで使い、勝負を決めに行け。いいか、ブラジルは勝つからこそブラジルなんだぞ!」

ブラジルメンバー『はい!!』

ブラジルユースの狙いはミューラーの疲弊。そしてそれを後押しする為の温存していた新技の数々。
これらが機能すれば逆転勝利は決して難しい事ではないと言うのが彼らの後半に向けた意気込みだった。

コインブラ「(経験不足によるミューラーの消耗、だと…?)」

ただ一人、コインブラだけはその意気込みを分かち合っていなかった。

コインブラ「(そんな物は奴から見えてこないぞ…)」

選手の力量を見抜く眼力に自信がある彼はゲルティスの言うミューラーの弱点を見出せていなかった。
そんな物があるとは到底信じられなかった。

十数分後、彼は思い知る事になる。彼にも見抜けない物があるのだと。

345 :代理です。:2014/01/02(木) 12:43:41.07 ID:+Wgx0nCp
ピィイイイイイイイイイイイイイ!

前半はドイツのキックオフから始まった為、後半は当然ブラジルのキックオフから始まる。
ザガロのキックオフを受けたカルロスはまずサンタマリアにボールを戻した。

放送「後半開始です!早い内に同点に追いついておきたいブラジル、まずはサンタマリアくんが
ボールを託されました。そのサンタマリアくんに向かってくるのはシュナイダーくんとポブルセンくん!」

シュナイダー「貰うぞ」

ポブルセン「寄越せェ!」

サンタマリア「(予想通り、シュナイダーが積極的に守備参加しそうだな。やり辛くなりそうだ…だが!)」

グワアアッ…
バシュルルルルルッ!
ギュィイーーーーーン!

シュナイダー「なにィ!」

ポブルセン「なんだと!」

岬「ああ成程。ブーメランシュートが出来るんなら当然これも出来るだろうね」

サンタマリア「お前達では俺のパスをカットするのは難しいだろう?」

まずブラジルはサンタマリアのブーメランパスでシュナイダーとポブルセンを振り切った。

346 :代理です。:2014/01/02(木) 12:44:12.67 ID:+Wgx0nCp
放送「鋭いっ!サンタマリアくんがブーメランパスで見事ドイツの二人を翻弄!
大きく右サイドに展開してネイくんが持った!」

観客「キャーネイーーー!!」「後半こそ大活躍してよー!」「派手に決めちゃってー!」

ネイ「いいねえ、黄色い声援ってのは。リクエスト通り派手にやっちゃうか!」

ダダダッ!

ここからネイがドリブルでバイタルエリアに近づき、そのまま突破を試みる。

放送「ネイくんチャンスを作りに切り込む!だがドイツのダブルボランチが立ち向かうぞ!」

シェスター「なんの!女性ファンの多さなら負けないぜ!」

ネイ「ほ〜う、言ってくれるじゃん。ならここでカッコよくお前を抜いてお前のファンも貰うぜ!」

シェスター「そうはいかないぜ。ゲルマン忍者こそ最モテだ!」

サササッ!
バッバッ!

カルツ「お前ら何の話しとるん…じゃ!っと」

ズザザーッ!
バチィ!

ネイ・シェスター『あっ』

トニーニョ「フザけすぎだ…」

だがその試みは失敗し、ボールはこぼされた末にカペロマンの足下に収まった。

347 :代理です。:2014/01/02(木) 12:45:33.39 ID:+Wgx0nCp
放送「あーっとネイくん抜けない!こぼれたボールはカペロマンくんの下に!ドイツの反撃が始まる!」

カペロマン「女ファンだったら俺も多いぜ。お前はモテなさそうだな、ボーヤ」

マウリシオ「勝手に決め付けんな!」

ズザザーッ!

カペロマン「それと、お前のディフェンスも人に言えない位軽いぜ!」

シュパァン!

マウリシオ「くそっ!」

カペロマン「(さて、ここまではいいんだが…)」

カペロマンはすぐさま右サイドアタックを開始し、軽くマウリシオを翻弄した。
しかし彼にとって真の問題はこの後に控えるエースキラーのジェトーリオである。

ジェトーリオ「いらっしゃいませー♪ボールはこちらでお預かり致しまーす♪」

カペロマン「気持ち悪いなお前」

放送「カペロマンくんが右サイドを駆け上がりました。しかしここでジェトーリオくんが来ました。
ボール狩りの名人として恐れられる彼を何とかして突破しなければ右サイドアタックは続けられません!」

348 :代理です。:2014/01/02(木) 12:46:54.69 ID:+Wgx0nCp
カペロマン「(こいつの汚い守りは極めて厄介だ。審判に捕まるリスクも当然ある筈なんだが、
それは何時起きるか分からないし何時までも起きないかも知れない。この試合中ずっと無事かも知れないんだ。
そんな不確定要素に期待しつつじゃ俺のドリブルでの勝負は分が悪い。どうすれば…)」

ダダダッ!

マーガス「カペロマン!俺だ、俺を使え!」

カペロマン「お、良い所に来たじゃないか!」

パンッ!ダダッ!パンッ!ダダッ!

ジェトーリオ「ありゃー、そう来ちゃうのね…で、も」

ジェトーリオ相手にドリブル勝負は分の悪い賭け。そう割り切ったカペロマンは
マーガスとのワンツーを使ってジェトーリオを抜き去ろうとした。

ジェトーリオ「別に奪う必要はないんだよね僕。君をフリーにさえしなけりゃね」

カペロマン「なにィ!?」

マーガス「こいつ…取る気がないのか…?」

だがジェトーリオはパスコースに割って入ろうとせず、二人の進行を許しながら
一緒に自陣内に下がりカペロマンからつかず離れずの距離を保った。

放送「カペロマンくんマーガスくんとワンツーリターンを開始!ジェトーリオくんこれを取れないが、
必死にカペロマンくんに食らいつく!しかしボールを奪えないまま右サイドへの侵入を許してしまったァ!」

観客「わーっ!また危ないぞ!」「こらージェトーリオ!ちゃんとボール奪えー!」

森崎「(いや、ブラジルとしちゃアレでいいんだろ…)」

349 :代理です。:2014/01/02(木) 12:47:53.00 ID:+Wgx0nCp
ジェトーリオはワンツーで振り切られる位ならボール奪取を諦め自陣への侵入を許してでも
カペロマンをフリーにさせなければ失点の危険は薄いと言うサンタマリアの指示に従っていたのである。
当然この行動の意味は分かりやすく、カペロマンが怒りを込めてジェトーリオを睨みつける。

カペロマン「フリーにさえしなければ俺なんか怖くない、ってか?」

ジェトーリオ「うん、その通りだよ」

カペロマン「ナメるなァ!!」

グワアアアアアアアッ!
バッシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!
グイングイイングィイン…!

放送「撃ったーーーっ!!カペロマンくんのサイドワインダーだァ!!」

ゲルティス「(キャッチ成功確率55.6%…)ハァアアアアア!」

バッ!
シュィイイイイイイイイイイイン…
ガシィイイイッ!!

ゲルティス「キャッチ成功」

カペロマン「そ、そんなァ…!」

ジェトーリオ「君がゲルティスの事をナメてるんじゃないの〜?前半の2失点で雑魚キーパーだと思ったの?」

放送「しかしこれはゲルティスくんがファインセーブ!これ以上の失点は許さないと言う気迫を見せ付けました!」

この読みは当たり、カペロマンのサイドワインダーはブラジルゴールを脅かす事が出来なかった。
何本も撃てばその内入るかも知れないが、そんな余裕はドイツのチャンス数にもカペロマンの体力にもない。

350 :代理です。:2014/01/06(月) 20:06:54.78 ID:+/NZWyDG
パンッ!バコッ!バシュウッ!

ディウセウ「任せっぞ、サンタマリア」

サンタマリア「ああ」

放送「ブラジル、再びサンタマリアくんにボールを回し攻撃の起点を任せます。
ここからどんなゲームメイクを見せてくれるのか?」

3失点目を防いだブラジルはしばしパスを回してから再びサンタマリアにボールを持たせた。

ドイツメンバー「(くそっ、またサンタマリアか…)」「(ブーメランパスに気をつけないと)」

サンタマリア「フッ」

ダダダッ!

ドイツメンバー「あっ!」「しまったドリブルか!」

サンタマリア「パスを警戒されればドリブル。ドリブルを警戒されればパス。基本だ」

放送「サンタマリアくんここはドリブル!ドイツ陣内の中部へ突き進みます。
このままドリブルで何処までいくのか?ひょっとして自分で撃ちに行くのか?」

サンタマリアはまたもブーメランパスか、とドイツが警戒したのを見計らってあえてドリブルで
突き進んだ。無論その程度の意表を突いただけではノーチェックで切り込める範囲は限られる。

ポブルセン「ァアアアアアアッ!!」

ダダダッ!

サンタマリア「(とは言え、ここまで来たらやはりブーメランパスの方がいいな)」

351 :代理です。:2014/01/06(月) 20:07:35.38 ID:+/NZWyDG
グワアアアアアアッ!
バシュルルルルルッ!!
ギュィイイイイイ…

放送「サンタマリアくんここでパス!ブーメランパスで一気にシュートチャンスを作りに…」

シェスター「おおっと、2度もやらせないぜ!」

バッ!
ギュィンギュィンギュィン…
バチィッ!

サンタマリア「なにィ!」

ポーーーン…

トニーニョ「なんのまだだ!」

ダダダッ、バッ!
グワアアアアアアアアアッ!!

放送「いやこれはシェスターくんに弾かれた!だがトニーニョくんがすかさず飛びつくぞーっ!」

だがキラーパスとして放ったブーメランパスはシェスターに阻まれ、見当違いの方に飛んでいった。
ならばとトニーニョが飛びつき、スカイドライブを撃ちに行く。

フライハイト「くっ…」

カルツ「くそっ、間に合わん!」

352 :代理です。:2014/01/06(月) 20:08:22.86 ID:+/NZWyDG
トニーニョ「スカイドライブだ!」

バッギュワァアアアアアアアン!
ギュルルルルルルルル!!

放送「トニーニョくんのスカイドライブ!」

ミューラー「フン、それはもう見飽きたぞ!」

バッ!
バコォオオオオオオオン!

トニーニョ「くっ!(ハーフタイムである程度回復しているな…)」

フライハイトとカルツもこれを妨害しようとするが間に合わずトニーニョのスカイドライブは放たれた。
しかしこれもミューラーの牙城を脅かす事は出来ず、パンチングでヨハンセンの方に弾く。

放送「しかしこれは弾かれる!後半も磐石だミューラーくん!パンチされたボールはヨハンセンくんの方に!」

ヨハンセン「よし、メッツァ!」

バコッ!

ネイ「はい予想的中!」

シュッ!パシッ!

ヨハンセン「な、なにィ!」

放送「しかしネイくんがすぐさまカット!まだブラジルの攻撃は続くぞ〜っ!」

353 :代理です。:2014/01/06(月) 20:08:58.78 ID:+/NZWyDG
ヨハンセンはフォロー後すぐにメッツァに繋ごうとしたが、これはネイに読まれていた。
ネイはパスカットに成功し、すぐさまドイツのPA内に切り込み敵を引きつける。

ネイ「(そろそろ…ほらっ!)」

バコッ!

ザガロ「よし。行くぜーーっ!!」

グワァアアアアアアアアアアッ!!

放送「切り込んで…ザガロくんに!ザガロくん振り上げる!ダブルイールだ!」

バッグォオオオオオオオオオオオオオオン!!
ギュルギュルギュルギュル!

そのままネイはヒールパスでザガロに渡し、ダブルイールを撃たせた。

ミューラー「何度やっても同じだァ!」

バッ!
バキィイイイイイイイイイイッ!
バシュッ、シューーーーー…

観客「ああああっ!」「ま、またかよ…」「畜生!これだけ撃ちまくって入らないってどういう事だ!」
「このままじゃ逆転どころか同点すら怪しいぞ…!」「それどころかもしドイツにもう1点入れられたら…」

354 :代理です。:2014/01/06(月) 20:10:04.84 ID:+/NZWyDG
放送「ああ〜っ…し、しかしまたもやミョルニル炸裂ゥ!!ボールが叩き潰された!
何本撃っても崩れてくれない!何と言う鉄壁ぶりでしょうかミューラーくん!
前半の絶好調を維持する彼相手には最早ファントムシュートを撃つしかないのでしょうか?
ドイツにとっては何とも頼もしき姿はブラジルにとっては最早悪魔にすら見えてきます…」

ドイツメンバー「やったァ!」「流石ミューラーだぜ!」「へへ、頼もしいな」

だがこのシュートすらミューラーは勢い良く叩き落とし、ボールを地面に挟んでパンクさせてしまった。
前半終了間際の失点など無かったかの様な鉄壁ぶりを維持するミューラーの勇姿に
元気付けられるドイツユースの面々だったが、ブラジルユースの選手達は知っていた。

ザガロ「(フン、何が何度やっても同じだ…もうそんな事は言えなくなるぜ)」

ブラジルメンバー「(よし…動きが鈍り始めている)」「(ここから更に連射だ)」「(2点目はすぐそこだ!)」

たった今、ミューラーは限界に達したと。

ミューラー「(…なんだ!?今俺の全身を襲った違和感はなんだ…?)」

フライハイト「(ミューラーの様子がおかしい…?)」

シュナイダー「(いよいよもって俺の勘が叫んでいる…!今はピンチなんだと!だが、ピンチの内容が分からない…
考えている時間もない…ならばピンチの側にある筈のチャンスを掴むしかない!3点目を狙う!)」

森崎「ん?…おい井出。今のでブラジルのシュートは何本目だ?」

井出「え?13本目ですよ。前半11本撃ちました」

森崎「13本………」

355 :代理です。:2014/01/07(火) 09:41:20.56 ID:0CjTdtcn
ピィイイイイイーッ!

ポンッ!パンッ!ボコッ!

カペロマン「ナイスパス!」

ジェトーリオ「また君なの〜?」

放送「ドイツ、またしてもカペロマンくんが右サイドアタックを仕掛けます。これが一番確実な手なのでしょうか?」

新しいボールと交換した後試合を再開したドイツの攻め方は再びカペロマンのサイドアタックだった。
ジェトーリオがマークについている分自由に撃てないとは言え、
ワンツーを併用すればブラジル陣内に攻め込む事は可能なのである。

カペロマン「(さてどうしたもんか…サイドワインダーは精々後2本。ムキになって撃ちに行っても
俺の体力とチームの攻撃チャンスをフイにしてしまうだけで終わりそうだ。
だからと言ってワンツーで時間稼ぎなんかさせてくれる程甘い守りはしてくれないし…ん?)」

シュナイダー「(カペロマン、俺に持ち込むんだ)」

カペロマン「(シュナイダーか…そうだな、そろそろメッツァにも働いてもらうか!)」

グワアッ!
バッコォオオオオオン!

放送「あっとカペロマンくん大きくパス!これはサイドチェンジだ!メッツァくんにボールを託しました!」

ほんの数秒迷った末にカペロマンはシュナイダーのアイコンタクトに気付き、シュナイダーに繋ぐべく
逆サイドのメッツァに渡した。当然ブラジルもメッツァを放置する訳ではなく、ネイとトニーニョの二人がつく。

356 :代理です。:2014/01/07(火) 09:42:11.35 ID:0CjTdtcn
ネイ「おっと、こっちだってフリーパスじゃないぜ!」

トニーニョ「ボールが破裂したお陰で俺達も戻れたんだからな」

メッツァ「あー、確かにそうだね。でも」

ブンッ…
バシュルルルルルル!

ネイ「うっ!?」

トニーニョ「そんな!」

メッツァ「ほらだめじゃん。僕のパスを取るのは簡単じゃないよ」

シュナイダー「ナイスパス」

放送「メッツァくんパス!ネイくんトニーニョくんカットできない!ドイツの名パサーの技が冴え渡る!
そして…シュナイダーくんにボールが渡ってしまったァ!ここで止めたい!」

観客「わ〜っ、まずいぞ!」「バカ、何やってんだ!」「早く止めろ〜〜〜っ!!」

ドトール「アマラウ、ついてきてくれ」

アマラウ「おう!」

しかしネイとトニーニョのどちらもメッツァのトップスピンパスを阻む事は出来ず、
シュナイダーがブラジル陣内でボールを受けた。この時彼を止めに向かったのはドトールとアマラウである。
ボール狩りに長けたドトールが相棒のアマラウのサポートを得ればシュナイダーを阻める確率は低くない。

357 :代理です。:2014/01/07(火) 09:43:22.66 ID:0CjTdtcn
シュナイダー「(この試合、ここで点を取らなければマズい!敗北すら有り得る!
俺の勘がしきりにそう叫んでいる。だから今回は…是が非でも押し通る!)」

ダダダッ…
ピタッ!

ドトール「なっ!?」

アマラウ「げっ!」

シュナイダー「HA!!」

ヒュウウウッ!!
ドグワシャッ!

ドトール・アマラウ『ぐわあああああ〜!!』

サンタマリア「なっ!…ま、まずい!」

ただし、確率はあくまでも確率。分が悪いとは言えシュナイダーにもこの二人を突破できる可能性は
ちゃんとあり、今回シュナイダーはカイザーマルシュを用いる事でそれを成し遂げた。

ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

こうして後半15分、ドイツにビッグチャンスが訪れた。

358 :代理です。:2014/01/07(火) 09:44:21.12 ID:0CjTdtcn
放送「と…止められないーーーっ!シュナイダーくんの突進が阻めなかった
ドトールくんとアマラウくんが痛々しく宙を舞う!そしてもうここはシュートレンジだーーっ!!」

観客「ギャーーーーーーッ!またシュナイダーにやられるのかよーっ!?」「止めろ、止めるんだ!」
「いい加減意地を見せろ!ゲルティス!」「ディウセウ止めろ!止めないとお前はただの木偶の坊だぞ!」

ルディ「(よし!ここで入れば勝利はほぼ決まりだ!頼むぞカール!)」

ロベルト「(わ〜〜〜っ!そんな馬鹿などうしようどうしようどうしよう!)」

全日本メンバー「ここでネオファイヤーのチャンスだと…!?」「まさか、ハットトリックか?」

森崎「………」ゴクリ

この時ブラジルに残された守備陣はディウセウとゲルティスの二人だけだった。
ドトールとアマラウはたった今シュナイダーの手によって吹き飛ばされ、
ジェトーリオは逆サイドに居り何も出来ない。サンタマリアとマウリシオが戻ってきては
いるものの、やはりブロックに飛べる位置ではないし例え飛んでも役には立たない。

ポブルセン「(防げ!俺の方に弾いてこい!)」

マーガス「(こぼれ球になったら必ず叩き込んでみせる!)」

カペロマン「(お零れ狙いってのはちょっとカッコ悪いが、ゴールはゴールだ!)」

勿論シュナイダー以外のシューター達もチャンスを物にすべく駆け込んでおり、
例え防げても弾き方が悪かったら失点してしまう確率はかなり高い。

失点は勿論駄目。弾くのも駄目。ネオファイヤーと言う超火力の前に厳しい勝利条件を
たった二人で達成しなくてはならなくなったディウセウとゲルティスはどうしたか。

359 :代理です。:2014/01/07(火) 09:45:58.66 ID:0CjTdtcn
             ディウセウ「(ホント、コイツはすげえや…ワクワクが止まんねェ)」

        ゲルティス「(ネオファイヤーが来る…フライハイトは遥か後方。ファイヤードライブの見込み無し)」

        シュナイダー「(このゴールで決勝への切符を掴む!全日本ユースが待つ決勝の舞台への切符を!)」

                     グワアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

        ディウセウ「(ブロッカーってのは楽しいな!こういうすっげえ奴の一撃を受け止められるんだかっな!)」

         ゲルティス「(シュートコースシミュレート…完了。ディウセウのブロックシミュレート…完了)」

              放送「シュナイダーくんのネオファイヤーショットーーーーーーッ!!!」

                  シュナイダー「 N E O   F I R E ! ! ! 」

               ズワッグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!!!
                    ギュグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

                      ディウセウ「オラがやらなきゃ誰がやるーーーっ!!」

                       ドッゴゥウウウウウウウウウウウウウウッ!!!

                             シュナイダー「!!?」

              ディウセウは怯えなかった。勇気を振り絞りすらしなかった。純粋に喜びで奮い立った。
                人間を軽く殺せそうな威力の恐怖の弾丸に自らの胴体を大喜びで差し出した。

360 :代理です。:2014/01/07(火) 09:47:22.96 ID:0CjTdtcn
                 ほんの一瞬だけ、ディウセウは完全にボールを受け止めたかの様に見えた。

                             ドッガァアアアアッ!!

               次の瞬間ディウセウの巨体はなぎ倒され、ネオファイヤーショットの進撃は再開した。

                           シュナイダー「(…バカな!)」

                    だが強き者達には分かった。その速度と威力が一段落ちたのが。

                           ゲルティス「ハァアアアア!!」

                                 バッ!
                           ガシィイイイイイイイイイイッ!!

                         そしてボールはゲルティスの手中に捕らわれた。

                             シュナイダー「………!」

                          ギュルギュルギュル…ギュル…ギュル…
                                 ピタッ。

                ボールはゲルティスの手を弾かなかった。ゲルティスの手からも弾かれなかった。

                                 スタッ。

                       ゲルティス「キャッチ成功…ナイスブロック、ディウセウ」

                         ディウセウ「ヘヘッ…やったな、ゲルティス!」

            華麗に着地するゲルティスと地面に腹這いのディウセウが賞賛を交し合った時、誰もが認識した。
                   今、シュナイダーのネオファイヤーショットが完全に防がれたのだと。

361 :代理です。:2014/01/07(火) 09:48:39.40 ID:0CjTdtcn
放送「キャ…キャッチ!キャッチ成功!ゲルティスくんスーパーセーブで完全にキャッチしました!!
しかしこれは直前に身体を張ったディウセウくんの奮闘のお陰でもあるでしょう!
彼が身を挺してシュートの威力を弱めていなかったらキャッチではなくこぼれ球になり、
ドイツのゴールチャンスが続いていたかも知れません!しかし現実はこの二人が魅せてくれました!
大会得点王暫定一位の必殺のネオファイヤーショットが!今!破られました〜〜〜〜〜ッ!!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「よっしゃーーーー!何とか防いだ!」「良くやったディウセウゲルティス!」「あっぶねー、心臓止まるかと…」
「やりゃ出来るじゃないか!前半からそうしていろよ!」「ここでネオファイヤーを防いだのは大きい!大きいぞ!」
「ゲルティス!」「ディウセウ!」「ゲルティス!」「ディウセウ!」「ゲルティス!」「ディウセウ!」

ドイツメンバー「そ、そんなァ…」「ネオファイヤーが…完全に…」「あ、慌てるな!日本だって同じ事をしてきただろ!」

コインブラ「(何?…今のは弾いた所をねじこまれると思ったのに)」

森崎「(ちっ、生意気な。ネオファイヤーをキャッチしやがるとは…
しかしこれでドイツの攻撃力はかなり落ちた。そして守備力は…どうなんだ?
ミューラーの体力が大体若林程度だと仮定して、後3本も食らったら動きが鈍りだすぞ…)」

劇的なビッグセーブにブラジル側は沸き立ち、ドイツ側は意気消沈する。
客観的に言って、試合の流れが変わり始めた瞬間と言って良いだろう。

ブラジルメンバー「(勝った)」「(このまま同点、そして逆転だ)」「(次の攻撃でドイツを絶望の淵に叩き込む!)」

カルロス「(ヒヤッとしたが…良く守ってくれた。今度は俺達攻撃陣がこの死守に応えてみせる。
シュナイダー、そしてミューラー。お前達のショータイムはもう終わりだ!)」

だがブラジルユースの選手達だけは確信していた。流れが変わり始めた所ではないと言う事を。

362 :代理です。:2014/01/15(水) 12:55:38.10 ID:LvPjOZcC
次に活躍したのはネイだった。

放送「後半16分、さあブラジルの反撃です。ゲルティスくんからジェトーリオくん、
それからネイくんへとボールがつながっていきます。ここからドリブル突破か?」

ネイ「(ネオファイヤーが止められた事でドイツは浮足立った。ここで更に揺るがすぜ!)」

ダダダダーッ!

放送「期待通りにドリブル開始!ブラジルユース屈指のドリブラーがドイツ陣内を切り裂きにかかる!」

ポブルセン「クソがっ!何度も何度も突破させるか!」

メッツァ「(やだな〜何この流れ。早くボールを奪い返さないと…)」

ネイ「フッ!」

ババババッ!
クルッ!
シュパアン!

ポブルセン「な、なにィ!?」

メッツァ「うわ〜やっぱり止められない〜!」

放送「ネイくん抜いた!ポブルセンくんとメッツァくんの二人を抜き去り、尚も切り込む!」

363 :代理です。:2014/01/15(水) 12:56:12.61 ID:LvPjOZcC
カルツ「くそっ!ワシらで止めるぜよ!」

シェスター「撃たれる前に止めるんだ!」

ネイ「その判断は良いんだけどな…」

グルンッ!
ヒュンッ!
ダダッ!

シェスター「うっ」

カルツ「そんなァ!」

ネイ「ブラジル代表でドリブラーを名乗るってのは大変なんだぜ!」

放送「ネイくん更に二人抜き!4人抜きだァ!早速ブラジルにチャンスがやってきましたァ!」

観客「キャーーーネイーーーッ!」「ネイ愛してるわーーーっ!」「そのままゴールよー!!」

ネイ「(よし、そろそろ撃つか…体力の余っていそうなのはマウリシオだな)それっ!」

グワアッ…
バッコォオオオオオオオン!

放送「ネイくんここで大きく逆サイドへ展開!合わせに行くのは…マウリシオくんだ!」

ネイは試合の流れの変化を象徴する様な華麗なドリブル突破でドイツを慌てさせ、
ファーサイドへのセンタリングを行った。それに合わせに行くのはマウリシオだった。

364 :代理です。:2014/01/15(水) 12:58:06.75 ID:LvPjOZcC
フライハイト「(この流れで決めさせてはいけない!押し返すんだ!)」

クランケ「(こんなタイミングでリードを失って堪るか!)」

ダダダッ!バッ!バッ!

マウリシオ「よーし、同点ゴールを貰っちゃうぜ!ドライブオーバーヘッドだ!」

ダダダッ!バッ!

マウリシオ「うぉおおおおおおおおおりゃっ!!」

クランケ「しまった!」

フライハイト「…不覚!」

バッゴォオオオオオオオオオオオオオオオオン!
ギュゥウウウウウウウウウウウウウン!!

マウリシオは前半と同じくドライブオーバーヘッドを放った。
チーム全体の士気の差が影響したのかフライハイトとクランケはこれを阻止するのが間に合わず、
逆さまのドライブ回転がかかったシュートが勢いよくドイツゴールに向かう。

放送「マウリシオくんのドライブオーバーヘッド!」

ドイツメンバー「(くそっ、また撃たれた!)」「(それでもミューラーなら…)」「(ミューラーならなんとかしてくれる…)」

365 :代理です。:2014/01/15(水) 13:06:34.58 ID:LvPjOZcC
この時ドイツユースの選手達は撃たせてしまった事を後悔しつつも、これまで通りミューラーが防いでくれると
当たり前の様に思っていた。実際にこれまでカルロスのファントムシュート以外は全て防いでくれたのだから
ファントムシュートに比べれば数段落ちるマウリシオのドライブオーバーヘッドならきっと問題ない。
そう思ってしまうのもある意味当たり前ではある。

だが、彼らは思い知る事になる。ミューラーに負担をかけ過ぎた代償を。

ミューラー「フン、またこれか………ッ!?」

ズシィン…

シュナイダー「!!?」

ブラジルメンバー『 ( 計 画 通 り ) 』

ミューラー「ぬ…おおおっ!」

バッ!
バコォオオオオオッ!

この時もミューラーはパンチングでマウリシオのシュートを弾く事に成功した。
だがそれは今までの余裕すら伺わせる力強さとは程遠い、第一歩の踏み出しが遅れ
今までより明らかに鈍い飛びつき方の不恰好なセービングだった。

放送「しかしこれも入らず〜っ!不意をつかれたかやや反応が遅れた様にも見えましたが
結局防いでしまいました!流石と言わざるを得ませんこの鉄壁っぷり!」

ドイツメンバー「(ち、違う!不意なんか突かれていない!)」「(ミューラーの様子がおかしい!)」

ミューラー「(なんだこれは…何故だ!?何故体が重く感じる…!何故息が苦しい!)」

366 :代理です。:2014/01/15(水) 13:07:41.03 ID:LvPjOZcC
若林「なにィ!どうしたんだミューラーは!?」

翼「明らかに動きが鈍った!」

日向「…ケガでもしやがったのか?」

森崎「いや、これは…!まさか、スタミナ切れなのか!?」

大半の観客には分からなかったであろうミューラーの変調だったが、フィールドの当事者の22人はすぐに気付いた。
しかし何が起きたか分からないドイツユースの選手達とこれを想定し待ち構えていたブラジルユースの選手達では
咄嗟に取れる対応の巧みさに巨大な差があった。差がありすぎた。

そしてその差は値千金の同点弾となって形作られた。

カルツ「(ど、どうしちまったんだミューラーは…ケガか、ケガなのか!?)」

ボールをフォローしたカルツは激しく動揺していた。自分が動揺している事を隠す事すら出来ない程動揺していた。
後日彼はこの瞬間をサッカーをやっていて最も後悔した瞬間の一つに挙げる程隙だらけだった。

カルロス「もらった!」

バシッ!

カルツ「あああっ!?」

放送「このこぼれ球を拾ったのはカルツくん…と思いきやカルロスくんがあっという間に奪ったァ!」

367 :代理です。:2014/01/15(水) 13:09:29.95 ID:LvPjOZcC
ドイツメンバー「ヤ、ヤバい!」「カルロスがーーーっ!!」「止めろ、止めるんだ!」

ドドドドドドッ!!

カルロスがカルツからボールを奪った直後、ドイツユースの選手達は思わず四方八方から殺到せずには居られなかった。
前半終了間際に彼が似た様な位置でボールを奪い、そこからゴールを奪った事を思い出さずには居られなかったのだ。

カルロス「…ザガロ!やれ!」

パコン!

ドイツメンバー「(ここでザガロ?)」「(いや、カルロスよりは有難い…!)」

故にカルロスがザガロに低い浮き玉のパスを上げた時彼らは安堵せずには居られなかった。
カルロスにファントムシュートを撃たれるよりはザガロのダブルイールの方が幾分マシだと。

ザガロ「フッフッフッフッフッ…」

ダダダッ!
バッ!
グワアアアアアアッ!

放送「カルロスくん囲まれそうに…なりつつも逆サイドにパス!これに飛びこんだのはザガロくんだーっ!」

ドイツメンバー「なにィ!?」「あいつにダイレクトシュートがあったのか!?」「そんなァ!」

だがザガロはボールをトラップせずにそのままダイレクトでボレーシュートに行こうとしていた。
これが何を意味するか分からない者はドイツユースには居ない。

安全牌だと思っていたザガロにも切り札があったのだ。当然ダブルイールよりも強力な。

368 :代理です。:2014/01/15(水) 13:10:31.24 ID:LvPjOZcC
ザガロ「串刺しにしてやるぜ!これが俺のエリアルダブルイールだァ!!」

ブワッギュァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
ギュルギュルギュルギュル!!

エリアルダブルイール。それは低空のボールをボレーシュートで放つダブルイール。
言葉で言ってしまえばただそれだけだが、駆け込み飛びつく勢いを乗せたシュートとはそれだけで
厄介な物であり、ただでさえ重く速いダブルイールがそうなるのだから十二分に脅威と言える。

ミューラー「くっ!こんな物ォオオ!!」

バッ!
ガチィイイイイッ!!

ミューラーは必死に飛びついた。重く感じる拳でシュートコースに挟み込んだ。

ミューラー「こ、こんなもの…!」

ググググググッ…

ミューラー「こん、な…うぁあああああああっ!!!!」

バァアアアアーーーーン!
ギュルンッ、ドサッ!グタッ…
バリィイイイイイッ!!

ミューラー「ガ、ハッ…」

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

だが彼は負けてしまった。拳を跳ね上げられ、身体を横転させられ、地面に叩きつけられた。
その衝撃で息を吐き出させられた彼にはネットが破れる音も笛の音も良く聞こえなかったが、失点した事だけは痛い程分かった。

369 :代理です。:2014/01/15(水) 13:11:23.15 ID:LvPjOZcC
.


ブラジル 2−2 ドイツ


大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
10ゴール シュナイダー、ストラット
9ゴール カルロス、日向
8ゴール ディアス
7ゴール ザガロ
5ゴール 火野、ビクトリーノ
4ゴール 翼、カペロマン、森崎、ランピオン、カマーチョ
3ゴール ポブルセン、ナポレオン、ピエール、チャンドラー、ロリマー、ミハエル、サトルステギ
2ゴール トニーニョ、マーガス、李邦内、李邦坤、アルシオン、イスラス、レンセンブリンク、三杉
1ゴール ルーク、肖、岬、山森、フライハイト、ネイ、ロペス、ガルシア、クライフォート、
     カイザー、マッハー、クリスマン、政夫、ディウセウ、マウリシオ

大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト アルシオン
5アシスト サンタマリア
4アシスト 岬
3アシスト カルロス、マーガス、翼、ダ・シルバ、ネイ、チャンドラー、火野、パスカル、ランピオン、
2アシスト カペロマン、バンビーノ、カルツ、ピエール、王、森崎、トニーニョ
1アシスト フライハイト、カルツ、メッツァ、テイラー、飛、山森、早田、ビクトリーノ、エスパダス、クリスマン、イスラス、
      シェスター、バビントン、クライフォート、カイザー、和夫、ジェトーリオ


.

370 :代理です。:2014/01/24(金) 07:35:46.71 ID:KM299Lig
放送「ゴ…ゴール!ゴール!ゴールだぁあああああああああああああ!!!
後半22分、カルロスくんのアシストからザガロくんがボレーシュートでダブルイールを放ち
ミューラーくんを豪快に吹き飛ばして待望の同点弾を決めてくれたぁあああ!
2−2!2−2です!前半2点リードされた時はどうなる事かと悲嘆にくれた
全ブラジル国民を歓喜に湧き上がらせる有難すぎるゴールがたった今決まりました!」

ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「よくやったぞザガロォオオオオオオオオオオオオ!!」「やっと活躍したか!待たせやがって!」
「それでこそセレソンのストライカーだ!」「とうとう同点だ!見たかドイツ、ざまあみろ!」
「ザーガーロ!」「ザーガーロ!」「ザーガーロ!」「ザーガーロ!」「ザーガーロ!」「ザーガーロ!」

中山「ど、同点か!これは形勢逆転と言える、が…」

早田「…おい次藤、今の…エリアルダブルイールつったか?あれ、どう思う?」

次藤「うーん…かなり強力なシュートばってん、ネオファイヤーとかに比べるとのう…」

赤井「俺も同感ッス。ミューラーがあそこまであっさりやられたのはおかしいです!」

日向「だったら答えはシンプルじゃねーか。ミューラーに何かが起きたんだろ」

翼「急に動きが鈍っていた。それなら可能性は二つ。ケガか、それとも森崎が言っていた様に…」

森崎「…スタミナ切れだ。間違いない。あれは疲労によるスピードダウンだ!」

ミューラーの異常に気づいた者は最初はほとんど居なかった。観客たちは劇的な同点ゴールに
大騒ぎするのに忙しく、注目の的は敵のミューラーではなくヒーローのザガロだったのだ。
全日本ユースの面々はミューラーの異常にいち早く気付いたが、彼らが気付いたからと言って何かが変わる訳ではない。

371 :代理です。:2014/01/24(金) 07:36:22.49 ID:KM299Lig
ミューラー「ぐっ…うううっ…!」

ドイツメンバー「ど、どうしたんだミューラー!」「しっかりしろ!」

ルディ「くっ…タンカだ!ドクター、来てくれ!」

ブラジルメンバー「(フッ、今頃慌てたってもう遅いぜ)」「(なんならサブキーパーでも入れるか?)」

ロベルト「(おー、ゲルティスの言う通りだった。よっしゃよっしゃ、これで勝った!)」

コインブラ「(…馬鹿な。本当に、ミューラーに、そんな弱点が…!?)」

観客「あれっ?ドイツゴール前がなんかおかしいぞ?」「ミューラーがケガでもしたのか?」

だが何時までも気付かれない訳もなく、滝の様な汗を流しながら立ち上がれないでいるミューラーに
ドイツの選手達やベンチスタッフが駆けつければ自然と観客達の注意もそこに向かう。

放送「あっと、喜びに沸き立つブラジルユースとは対照的にドイツユースはなにやら非常事態の模様!
ミューラーくんが苦しげに立ち上がれないで居ます!これは先程のセービング失敗で負傷したのでしょうか?」

ルディ「どこだ、どこを痛めたミューラー!」

ミューラー「何処も…何処も痛めてなどいない…」

ルディ「強がるな!すぐに交代させるとは限らん、正直に言え!」

ミューラー「本当だ…俺は怪我などして、いないんだ…!」

ルディ「ええい、ドクター!」

372 :代理です。:2014/01/24(金) 07:37:13.01 ID:KM299Lig
最初ドイツユースはミューラーが負傷したのだと勘違いし、チームドクターにチェックを行わせた。
だがチームドクターはミューラーの体を調べていく内に見る見る困惑の表情を浮かべた。

ルディ「どうですか」

ドクター「いえ…何処も負傷していません。彼の言う通りです」

ルディ「なっ…そんな馬鹿な!こんなに苦しそうにしているのに!」

ドクター「…これはただの疲労です。スタミナが切れたのです」

ルディ「はあ…?」

ドイツメンバー「えっ、スタミナ切れ?」「有り得ないだろ!こいつ何時も持久練習でトップクラスだったじゃないか!」

審判「…あの。負傷でないのなら、スタッフはピッチの外に出て下さい」

ルディ「くっ…わ、分かりました…」

放送「今ピッチレポーターから報告が来ました。ミューラーくんは負傷したのではなく
疲労していただけとの事。ドイツは特に選手交代をする様子もありません」

観客「なんだ、スタミナ切れか?」「あんだけシュート浴びてりゃなあ」「でもなんか早くないか?」

ミューラーは負傷したのではなくただ単に疲労しただけだった。
まるで予想していなかった事態に困惑するドイツだったが、ルール上負傷ではないのなら時間を止めては貰えない。
ドイツユースは予想外のピンチに急きょ対処を問われる事になった。

373 :代理です。:2014/01/24(金) 07:38:02.32 ID:KM299Lig
シュナイダー「(こ、これか…!?これがさっきまでの違和感の正体だったのか?
だが何故だ。ミューラーに持久力の欠如が伺えた事なんてなかった。確かにシュートをひたすら
浴び続ければ限界を迎えるのは当たり前だが、後3本程度は持って良かった筈だ…
何故だ?大会で蓄積した疲労か…?いや、今重要なのは何故ではない!
今何が起きていて、それを踏まえてどうするかだ!それが俺のキャプテンとしての義務だ!)」

この時チームをまとめるのはやはりキャプテンのシュナイダー以外は居ない。
彼はいち早く原因の究明よりも現状の把握と対応が大事だと判断し、
前線からドイツゴール前に戻りつつ素早く周囲を見回した。

当然彼が見たのは喜びに沸き返り、ザガロを祝福するブラジルユースの選手達である。

ディウセウ「やったなーザガロ!良いタイミングの同点ゴールだぜ!」

ザガロ「フン、当然だ。あんな奴相手にノーゴールで終わって堪るか」

ジェトーリオ「今まで散々苦労していた癖にね〜。ぶっちゃけ、切り札のお蔭でしょ」

サンタマリア「よせジェトーリオ。ストライカーは結果を出せばそれが全てだ」

ザガロ「ククク。運が良かったな、今の俺は機嫌が良い」

彼らが何を言っているかは距離があった為聞こえなかったが、雰囲気と様子は観察できた。
それだけでシュナイダーは2つ分かった事があった。

シュナイダー「(ミューラーが苦しんでいると言うのに、それを驚く様子も喜ぶ素振りもない…
そうか、奴らにとってはこれは想定していた事態か。どうやってそれを予測していたかは
分からないが、奴らは作戦を成功させた。だが…その作戦には代償もある!)」

まだ勝ち目は十分にある。それを確信したシュナイダーは味方達を鼓舞す為に自陣ゴール前に辿り着いた。

374 :代理です。:2014/01/24(金) 07:39:13.21 ID:KM299Lig
シュナイダー「しっかりしろ皆。ミューラー、まだやれるな?」

ミューラー「…当たり前だ!」

ドイツメンバー「シュナイダー…」「で、でもこれからどうしたら…」

シュナイダー「確かにこれは予定外のトラブルだ。ピンチと言って良いだろう。今までの様に
シュートを撃たれ続ければあっさり逆転される。ただし、今までの様に撃たれ続ければの話だ」

マーガス「そりゃ、撃たれなければ問題はないだろうけど…この試合ずっとシュート数で圧倒されているのに…」

カルツ「…いや、これからはそうとは限らんぞ」

プッ!

最初に立ち直ったのはカルツだった。シュナイダーとの付き合いが長い彼はシュナイダーが
何を言わんとしているかをいち早く察知し、気合を込めて爪楊枝を吐き出した。

カルツ「ブラジルは攻撃しまくり、シュートを撃ちまくった。つまり攻め疲れが必ず発生する。
そういう事だろう、シュナイダーちゃんよ?(ジャパンカップを思い出すぜ)」

シュナイダー「そうだ。さっき奴らの様子を確認してきた。今まで均等にシュートを
撃ち分けさせていた分目立たなかったが、よく見ればシューターの誰もがもう少し疲労したら
動きが鈍り出す状態になっている。フィールダー全般の疲労量では明らかに向こうが上回っているんだ」

シェスター「なるほど。向こうは今までの様に撃ちまくりたかったら更に疲労が深まるって訳か!」

カペロマン「だが、それでも後半終了くらいまでは持ち堪えそうだぞ。どうするんだ?」

ポブルセン「まさか時間稼ぎをするなんて言わねえだろうな…!」

375 :代理です。:2014/01/24(金) 07:40:19.69 ID:KM299Lig
シュナイダー「時間稼ぎではない。持久戦だ」

ポブルセン「ああん?」

シュナイダー「確かにパスで逃げ回ればこのまま同点で延長戦に逃げ込めるかも知れない。
だがそれでは奴らも回復してしまう。ミューラー1人が回復するよりもブラジルのシューター達…
オーバーラップの可能性を除外しても6人か。6人が回復するペースの方が断然早い。
延長戦に逃げ込んでも結局同じくミューラーを消耗させられる展開になってしまう」

フライハイト「…つまり、選択肢は一つ。奴らを消耗させつつミューラーを休ませる。
ボールキープだけを最優先し消極的に逃げ回るのではなく、積極的に中盤で戦い奴らを
脅かしつつボールキープし、フィールダー同士の持久戦を挑むしかない」

シュナイダー「そういう事だ。奴らがミューラーの消耗を狙うのなら、こっちは奴ら全員を消耗させる。
無論相手がこの持久戦に乗ってこない事は有り得ない。そんな事をしたら折角消耗させたミューラーを
むざむざ休ませた上に、こっちに後半終了間際のノーリスクの総攻撃チャンスを与えてしまう訳だからな」

メッツァ「うーん…前線の守備力も高いブラジル相手にそんなマネできるの?」

シュナイダー「お前がそんな弱気でどうする。この作戦で最も活躍しないといけないのはメッツァ、お前なんだぞ」

メッツァ「うえっ!僕ぅ!?」

カルツ「いい加減やる気出せコラ。どうせやる事は何時もと変わらん、自慢のパスで相手を翻弄してりゃいいんだよ」

カペロマン「それにお前だけじゃない。俺やカルツ、シェスター、フライハイトも中盤で戦うんだろ、シュナイダー?」

シュナイダー「ああ、それにマーガス」

マーガス「ああ、俺もやるぞ!ピンチになったら俺に上げろ、仕切り直しのチャンスを作ってみせる!
大丈夫だ、アマラウもディウセウも中盤だと俺についてこない。もしついてきたら逆に俺が2人引き受けているって事だぜ」

376 :代理です。:2014/01/24(金) 07:40:51.32 ID:KM299Lig
クランケ「分かった!俺達もやるぞ!」

ヨハンセン「今まで役に立っていなかった分を取り返す!」

ポブルセン「…そういう事か。同点で逃げようってハラじゃねえんなら別にいい」

ミューラー「(くそっ…こんな形で他人に頼る羽目になるとは…師匠、まだまだ俺は甘かった…)」

フライハイト「シュナイダー、お前は体力節約も兼ねて前線に居てくれ。お前と言う驚異が居続ける限り
ブラジルのDFも大胆なオーバーラップはしにくい。それにお前が疲労したら3点目も取り辛い」

シュナイダー「分かっている、そのつもりだ。よし行くぞ皆。ドイツに底力勝負を挑んだ事を後悔させてやるんだ!
サッカーは強い者が勝つんじゃない、勝った者が強いんだ!俺達の強さは俺達の勝利で証明するぞ!」

ドイツメンバー『おおおおおおおっ!!』

シュナイダーがこの状況で見出した光明。それはミューラーを疲れさせる為にブラジルのフィールダー達が
ドイツのフィールダー達よりもより激しく疲労していると言う事実だった。
相手の作戦が成功したのは仕方ない、ならばその作戦の為に支払った代償に弱みにつけこむ。
“強い者が勝つのではない、勝った者が強い”と言う信条を持つリアリストの彼らしい作戦と言えよう。

ネイ「おっ、向こうさんまだまだやる気だねえ。同点だから当然か」

トニーニョ「この程度で諦めてくれる程甘い相手じゃない。だが奴らの次の手は分かっている」

サンタマリア「ああ。ミューラーを休ませつつ俺達を走らせ、隙あらば得点を狙ってくるだろう」

カルロス「つまり、純粋な体力勝負及びボール争いだ。良いだろう、走り合いでも俺達は負けないぞ」

ただしブラジル側にとってこの作戦は特に意外な物でもなかった。
お互いの手の内が分かった末での真っ向勝負の行方に後半の、そして試合の行方が託される展開となった。

377 :代理です。:2014/01/27(月) 18:47:23.46 ID:rHi1mXlV
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「とうとう2−2となりましたこの試合、4度目のドイツのキックオフです!
前半の貯金を使い果たしてしまったドイツはPK戦を狙うのでもない限り攻撃に出なければいけません!
さあ彼らは一体どうするのか?まずはシュナイダーくんからカペロマンくんへ」

ジェトーリオ「はいはい、いらっしゃーい」

カペロマン「そういう訳にもいかないんで、なっ!」

バコッ!

放送「あっとカペロマンくん、いったんボールをカルツくんに戻しました。カルツくんここから直進!」

カルツ「どけっ!」

ドガアッ!

マウリシオ「うわあ〜っ!!」

サンタマリア「(カルツのキレが増した…これがあいつの底力か。だが恐らく俺を抜きにはかからない筈)」

カルツ「(このまま愚直にサンタマリアに突っ込むのもリスキーだな…)」

バコッ!

放送「カルツくんこのまま上がって…いかない!シェスターくんに展開!シェスターくんは更に
メッツァくんに繋ぎます。ドイツ、ここは時間をかけてじっくり攻めるつもりの様です」

378 :代理です。:2014/01/27(月) 18:49:18.96 ID:rHi1mXlV
ルディ「(うむ…それしか選択肢がない。多分ブラジルにも読まれているだろうが、
ここはなんとか遅攻で押し勝つんだ!そうすればまだまだ試合は分からん!)」

ロベルト「(なんだよ、焦って速攻とかしてくれればよかったのに…まあ大丈夫だろ
ボール争いでも体力勝負でもウチの方が有利だ。ミューラーが回復しきる前に奪えばそれで勝ちだ)」

若林「これは…ドイツはフィールダー同士での勝負を仕掛けに来たか…」

早田「なるほどな。ミューラーを休ませながら少しずつ戦線を上げていくのが狙いか」

次藤「パスだけで逃げ回っちゃ押し込まれるけん、危険じゃしの」

三杉「同時にブラジルの体力を削る狙いもあるだろうね。ただ、もうしばらくは持ちそうだが」

松山「上手くいくのか、これ?この試合、中盤争いはブラジルが終始リードしていたじゃないか」

岬「いや、ドイツはブラジルを止めるのには苦労していたけど、ブラジルを攻める事自体は出来ていたよ」

中山「この状況では確かにこれが最善の手だ。だけど…これ、ブラジルの思う壺なんじゃないか?」

日向「ああ、読まれているだろうな。ただでさえ決して有利な戦い方とは言えねえのによ」

翼「前半2点リードされて尚この盛り返しぶりと試合運び…これが、ブラジル…」

森崎「(…もしブラジルが決勝の相手だとしたら…俺も、同じ事をやられたら…!)」

379 :代理です。:2014/01/27(月) 18:50:07.01 ID:rHi1mXlV
その後ドイツは必死に走り回った。逃げ回るのではなく相手を疲弊させる為に。

シュナイダー「(まだだ…これでは全然時間が足りていない…!)」

アマラウ「(くそっ、こいつがここに居るせいで前に加勢できねえ!)」

ドトール「(焦るな。焦ったら負けだ。皆を信じるんだ)」

オフサイドラインぎりぎりの位置でブラジルDFを牽制しつつ後ろを見守るシュナイダーの表情は
隠し切れない焦りを無理やり押さえつけていた為か何時も以上に鋭く険しくなっていた。



この時ドイツで最も活躍したのはメッツァだった。

バシュルルルルルルル!!

ネイ「くそっ!こういう展開の時は本当にうざったいタイプだなお前!」

メッツァ「褒めても何も出ないよ〜(ああんもう、なんで僕がこんな責任重大な目に…)」

トニーニョ「(メンタルは弱いと見ていたが…まだミスはしてくれないか?)」

アンドレアス・メッツァと言う選手は生粋のパサーである。ドリブルもそれなりに得意ではあるが、
彼の取り柄はトレードマークのトップスピンパスであり、成功率の高いそれに頼って
ひたすらパスを供給する事を最優先するのが彼のプレイスタイルである。

はっきり言ってかなり消極的なプレイスタイルであり、それは責任を問われるのを嫌う
自分勝手で弱気な性格の賜物だったが他に優秀な攻撃要員が居るならばチーム貢献度は高い。
相手チームからすれば彼にボールが渡ると高確率で危険なパスを通されてしまうが、
かと言ってマークで人数を割いたりしても本人はパス以外の形では攻撃に関わろうとしない為
結果として他の選手達を活かされてしまうのは変わらないのである。

380 :代理です。:2014/01/27(月) 18:50:47.16 ID:rHi1mXlV
そして勿論、時間を稼ぐ状況ではメッツァの存在感は増す。
相手チームは早くボールを奪わないといけない為、メッツァにボールが渡る度に
パスで逃げられる事を覚悟の上でメッツァに駆け寄らなければいけない。
ポジション上マッチアップの機会が多いネイとトニーニョは煮え湯を飲まされる事になった。



無論ドイツはメッツァ一人に頼りきりだった訳ではない。

カペロマン「サイドは俺の戦場だ…そう簡単に渡して堪るか!」

ババッ!
キキッ!
バッコォオン!

サンタマリア「くっ!」

マウリシオ「し、しまった!」

ジェトーリオ「(う〜ん、マーガスが嫌な位置に居るなあ。迂闊に突っ込めない…)」

カペロマンは右サイドでボールキープに貢献し。



バッ!
バコォン!

マーガス「よし!拾ってくれ!」

シェスター「オーケーだ!」

381 :代理です。:2014/01/27(月) 18:51:47.76 ID:rHi1mXlV
ディウセウ「(畜生〜、あそこまで下がられると間に合わないぜ)」

マーガスはボールを奪われそうになった時の緊急避難先として機能し。




カルツ「どけっ!今のワシに近寄るんじゃねえ!」

ガガガガガッ!
ドガアッ!

ザガロ「ぐああああああっ!!」

カルロス「がはぁあああああっ!!」

カルツは中央で何度も暴れ周り。



フライハイト「そこだ」

シェスター「右、来ているぞ!」

クランケ「走れ走れ!」

ヨハンセン「ここまで来て負けて堪るか!」

バコッ!バシーン!
ポーン!ダダダダダッ!

その他の選手達も主に中継地点となる事で上記4人が過不足無く動ける様走り回っていた。

382 :代理です。:2014/01/27(月) 18:52:49.14 ID:rHi1mXlV
ポブルセン「(ちっ、まだかよ…早くブラジルの奴らを血祭りに上げてえのに…)」

シュナイダー「(神経が削られる思いだ…だが俺が迷いを見せる訳にはいかない。
チームメイトを信じるのもキャプテンの仕事だ。耐えろ、耐えるんだカール・ハインツ・シュナイダー!)」

消耗の激しいポブルセンとシュナイダーはDFラインを脅かしつつ休んでいた。
目先のキープ率を優先すれば3点目を奪う力が無くなってしまうが故の苛立ちと戦いながらの休憩である。
彼らの神経戦が功をなしたか、ドイツは未だブラジルにボールを奪われずに済んでいた。



カルロス「(見事だドイツ!お前達は強かった。それも予想以上に!だがそろそろ終わりだ。
この期に及んでここまでキープされ続けたのは屈辱だが、所詮時間稼ぎは時間稼ぎでしかない。
いずれは攻撃パターンが読まれる物なんだ。後ほんの少し…後ほんの少しだ!)」

ズズッ…

カルロス「(くっ…足が重くなり始めたか。だがまだだ!まだ俺は戦える!)」

カルロスがもうすぐボールを奪えると自信を得たのと、彼が足を引きずり始めたのはほぼ同時だった。

383 :代理です。:2014/01/30(木) 12:37:37.86 ID:734SOkaz
この持久戦の終焉はメッツァのトップスピンパスからだった。

放送「後半33分!ドイツが懸命にボールキープしながらじりじりと戦線をブラジル側に
押し上げています!次の3点目が恐らく決勝点となるのは間違いない所、
両チーム共意地を張り合う踏ん張り所ですが、まだこれと言った動きは見られません!」

観客「何やってんだ、まだ奪えないのか!」「折角ミューラーがヘバッているのに!今がチャンスなんだぞ!」
「運動量落ちてるぞ!根性見せろ!」「いかん、前半から攻めまくっていたツケが来ている…」

ルディ「(よしっ!このまま40分くらいまで粘れれば…!)」

ロベルト「(あわわわわ…まだか?まだ奪えないのか?)」

放送「ここでメッツァくんにボールが渡った!彼のパスはこの試合中何度もブラジルの選手達を
良い様に翻弄しています!今回もマーカー達が振り切られてしまうのか?」

メッツァ「(あ〜もうまた僕!?さっさと逃げちゃえ!)」

グワアッ…
バシュルルルルル!

ネイ「(くそーーーっ、またか!)」

トニーニョ「(ええい、このままでは本当にこっちの体力が…!)」

シュタタタタッ!
バッ!グルンッ!

カルロス「ここだああっ!」

バチィッ!

384 :代理です。:2014/01/30(木) 12:38:27.74 ID:734SOkaz
メッツァ「あああーーーっ!?」

ヒューーーーーーン…

放送「あーーーっと、ここでカルロスくんのムーンサルトパスカット!メッツァくんの
トップスピンパスの軌道があらぬ方向に変わりました!このこぼれ球の行方は!?行方はどうなる!?」

カペロマン「や、やばいっ!」

ダダダダダッ!

カペロマン「よ、よし…」

ジェトーリオ「はい、毎度有難う御座います!」

グイッ!
バシッ!

カペロマン「うわっ!?き、貴様―っ!」

それはメッツァに頼り過ぎた弊害か、それともカルロスを褒めるべきか。ドイツユースが仕掛けた持久戦は
約10分続いた後にカルロスが弾いたボールをカペロマンが奪われる事で終わってしまった。

放送「カペロマンくんがフォロー!しかしジェトーリオくんがすぐさま奪い取った!
とうとう待望のブラジルボールになりましたァ!!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「よっしゃーーー!良くやった!」「待ってましたァ!」「そのまま3点目を決めるんだーっ!!」

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0ch BBS 2007-01-24