キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【挑戦者】キャプテン岬U【岬】

1 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/05(日) 17:25:14 ID:nqbBmTrs



―――――――――――――――――――――――――――――
壁の向こうの戦士たちを前に サッカー世界一の夢をかけ

岬たち西欧同志連合は 東側共産圏最大のサッカー大会

スパルタキアーダへの挑戦を はじめようとしていた
―――――――――――――――――――――――――――――


          キャプテン森崎 外伝
            
     「キャプテン岬U もう1つのジュニアユース」





2 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/05(日) 17:42:24 ID:nqbBmTrs
新スレを3年ぶりに立ち上げるにあたり、タイトル案を考えてくださいました
前スレの411さんをはじめとした皆様に、改めて感謝申し上げます。

導入部分がきちんと書き進められなかったのでいきなりとなりますがまだ続きを投稿できそうにありません。
代わりにここで、この物語に参加するにあたっての注意を申し上げさせていただきます。



この物語が再開するまでの3年間に、世の中では様々なことがありました。
キャプテン翼のゲーム発売(RONC)、ジュニアユース編アニメ開始という慶事もありましたが、
憤りを感じずにはいられぬ事態も、世界各地で発生しました。

しかしここで申し上げたいのは、現実世界とキャプテン翼、ひいては創作世界とはほとんど同じ
世界に見えても、同じ世界ではなく関連性は全くないということです。




ロシアのウクライナ侵攻も、コロナの蔓延も、
キャプテン翼世界とは一切関係のないことです。



どうかその点をご理解したうえで、ご参加してくださるようお願いいたします。

3 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/12(日) 17:40:12 ID:L+m8dMUg
第2章 スパルタキアーダ編

第1話 はじまりの地は党本部


パリの地下鉄2号線、コロネル・ファビアン駅を降りて地上に上がると、
目の前に全面ガラス張りの建物、フランス共産党の中央本部が見える。

建物がゆったりした曲線を描いたどうにも革命の党らしからぬ雰囲気だ。
呑気な感想を浮かばせながら建物内に入り、受付を済ませる。
教えられた場所に向かいノックをして会議室のドアを開けると、恰幅のよい紳士が椅子から立ち上がり、呼びかける。

???「キミがタロー・ミサキだね。私は今回の国際スパルタキアーダに参戦する、西洋同志連合の監督アルベール・メランだ」
岬「はじめまして、日本代表の岬太郎です。この度は日本共産党を代表して貴党に…」
????「おーっ、ミサキ!」

だしぬけに素っ頓狂な大声が聞こえる。
振り向くと、このガラス張りの会議室に似つかわしからぬ不良が、親しげにこちらへと近寄ってきた。

ギャロス「ミサキだ、本当にミサキだ!お前もモスクワ遠征に行くんだな、そうだろ!
お前がこっちにつくとなったら、スラブの奴らも一ひねりさ」


4 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/12(日) 17:41:41 ID:L+m8dMUg
ギャエル・ギャロス。

パリに来て間もない頃に因縁をつけてきて僕達の小遣い銭を巻き上げようとした、ならず者サッカーチームの1人だ。
初戦で僕達に負けてスった掛け金を取り戻そうと何度も試合を重ねるうちに頭角を現すようになり、
今ではパリはおろか、同年代のフランスGKの中でも名前が聞こえるようになってきた。

岬「久しぶりだねギャロス。いや変わらないなあ、そのざっくばらんな顔つきと人となり」
ギャロス「ハッ、随分と言うようになったなミサキ。俺だって変わったんだからな。
     なんてったって今じゃジュニアとはいえ、あのFCナントの正GKサマだ」
岬「FCナント。それはすごい」

少し前に彼はパリからナントへ引っ越した。その後でスカウトされたのだろう。

FCナントといえば82-83シーズンで優勝した、フランスサッカーの有力クラブだ。
FCナント所属のハリルホジッチが27得点を挙げて
最優秀ストライカーに選ばれるほどの攻撃力高いチームだと聞いている。

岬「(そこまでの強豪チームなら育成もしっかりしているだろう。
……早いところ僕も、こういうクラブの目に留まらないと)」
ギャロス「そうして今までよりかはマシなお仲間にも出会えた。そうだろ、ボッシ?」

こちらの心情にはお構いなしにギャロスは話し続ける。
ようやく話に一区切りがつきそうなとき、ギャロスは傍らの椅子に座るチームメイトに話かけた。

5 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/12(日) 17:43:27 ID:L+m8dMUg
ボッシ「…本当なのか?こんな子供みたいな顔つきのジャポネが、俺より?」
ギャロス「正直、今のお前なら引越し前のミサキが勝つだろうな」

なにィと言わんばかりの顔つきになり、ギャロスをにらむボッシという名の少年。
だが彼が口を開く前に、監督が彼をたしなめる。

メラン「待ちなさい、優劣はともかく能力は十分、共闘する資格があると党中央が判断した。
タロー・ミサキはここにいる正当な権利がある」
ボッシ「し、しかしムッシュー・メラン、アジアの」

そこまでいって言い過ぎたと思ったか、あわてて打ち消して言葉を加える。

ボッシ「いや、ヨーロッパ外の人間がヨーロッパの大会に出て、支障とかないかと」
メラン「日本共産党は我らがフランス共産党の友党だ。
    そもそも国際スパルタキアーダは国別でチームを組むのが原則。
    すでに9カ国の西側共産党による合同チーム、西欧同志連合に今更1カ国加わったところで
    主催国のソビエトも異は唱えんし、現に承認されている」
ボッシ「……D‘accord」

こんこんと説諭され、目の前の少年はわかりましたと言葉を返す。その言葉には迷いが見えた。


6 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/12(日) 17:45:05 ID:L+m8dMUg
メラン「頭で納得しても心では、といったところか。我々はフィールド上で連帯する同志」

そう語った瞬間、監督の後ろからポンと音が聞こえた。
監督のすぐ後ろにボールが置かれていたらしく、ヒールパスで会議室の空間に円弧を描き、ボッシの足元へ落とした。

メラン「実際のプレイで選抜に値するとわかるだろう。
ボッシ、ミサキ、これから隣の会議室に行くぞ。そこで1対1を2回、攻守入替でやってもらう」

そう言って監督はさっさとドアに向かって歩き出す。僕らもあわてて、監督の後ろを追いかける。

隣の会議室は先程よりも一回り以上大きい。特に天井までは10メートルはありそうで、会議室というより銀色のオペラハウスだ。
そんな鏡張りの会議室では既に椅子と机が脇に寄せられ、ドリブル・タックル勝負に十分なスペースが用意されている。

岬「すみません監督。僕のためだけにここまでしてくださって」
メラン「なに、最近はフランスも党勢が振るわん。少しくらい使ったところで、困るほど人もいない」


7 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/12(日) 18:00:20 ID:L+m8dMUg
監督の自虐を受け取った後に、新しいチームメイトとなるボッシと向かい合い、合図を待つ。

メラン「まずはボッシから攻めるとしよう。
    FCナントの次世代トップストライカーの実力、発揮してみせるがいい」

ボッシ「D‘accord!…よし、いくぞミサキ!」
岬「OK!いくよ、ボッシ!(僕の挑戦は、ここからはじまる!)」


先着1名様(順番通りでない書き込みは無効)で以下のように書き込んでください。
【! card】と【! dice】、間のスペースを消して書き込んでください。

★ボッシ ドリブル 45(! card) +(! dice + ! dice)=★
★岬 タックル 46(! card) +(! dice + ! dice)=★

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→ボッシ、岬を抜き去る!
=1、0、−1→岬、ボッシからボールをこぼすことに成功!
≦−2→岬、ボッシからボールを奪う!


8 :森崎名無しさん:2023/11/12(日) 18:29:29 ID:???
★ボッシ ドリブル 45( ハート6 ) +( 1 + 1 )=★
★岬 タックル 46( クラブK ) +( 5 + 2 )=★
先着1名でいいの?★の位置が一行ごとにあるから先着2名だと思ったけど

9 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/12(日) 19:33:01 ID:L+m8dMUg
>>8
すみません、コピペする際に星を消し忘れていました。8さんの書き込みは有効で、先着一名様に変わりありません。



岬君があっさりとボッシからボールを奪ったところで、本日はここまでといたします。

今日は岬君と翼君も再開しました。再開までの3年間で変わらぬ実力をキープした理由がここに……
いや、もしかしたらここで歴史が、変わる……?


10 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/19(日) 16:40:15 ID:6yVjg9DM
本日の投稿を開始します。

正確には前回のラストからほんの少し、シーンが前のところからはじまります。前回の


メラン「まずはボッシから攻めるとしよう。
    FCナントの次世代トップストライカーの実力、発揮してみせるがいい」

と、

ボッシ「D‘accord!…よし、いくぞミサキ!」
岬「OK!いくよ、ボッシ!(僕の挑戦は、ここからはじまる!)」


の間からとなります。アニメで最初に前回のラストを少し流してから
続きを開始するようなものだと思ってくだされば幸いです。

11 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/19(日) 16:41:48 ID:6yVjg9DM
★ボッシ ドリブル 45( ハート6 ) +( 1 + 1 )=47
 岬 タックル 46( クラブK ) +( 5 + 2 )=53★
≦−2→岬、ボッシからボールを奪う!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ボッシ「ミサキといったな、お前のことはギャロスから聞いている。
クラブチームに入っていないにも関わらず、そんじょそこらの大人より強いことも」

足先でボールをひろい上げ、語り続ける。

ボッシ「だが俺はフランスの、いやヨーロッパ有数の強豪クラブFCナントのFW、
    アラン・ボッシだ」

足の甲に収めたボールを右膝、左膝、左足、右膝、右足、左膝……
流れるように素早く、少しの乱れも感じさせずにボールを跳ねまわす。
幾度もボールを乱舞させ、右足へ飛びかかるボールを靴底でキャッチし、宣言する。

ボッシ「うらむなよ。敗北を知るのも、成長のひとつだ」
岬「…いざ、勝負!」


12 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/19(日) 16:43:54 ID:6yVjg9DM
そして猛然と襲いかかった。たちまち二人は交差し、再び間合いが遠のく。

ボッシ「(フン、手ごたえのない…この足さばきに触れもできなかったか)
     どうだミサキ、いくら草サッカーで鍛えたところで、この俺に勝つことは」
岬「ボッシ」
ボッシ「でき…なんだ」
岬「忘れ物だよ」

決めゼリフをさえぎられ不満げなボッシの下へ、ポンとボールが放物線を描き、ボッシの足下へ送られる。


ボッシ「な…なっ、なあっ!?」


先程まで自らのものであったボール。それが本来あるべきはずの自らの足下になく、ミサキの方から飛んできた。と、いうことは。



ボッシ「なあああああああああ!」




13 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/19(日) 16:45:40 ID:6yVjg9DM
ギャロス「ハハハハ!いい小芝居だったぞボッシ!」
岬「(いける…僕のサッカーは通用するんだ)」

僕の顔が鏡を見なくとも分かるくらい、喜色にあふれていくのが感じられる。

フランスに来てから2年あまり、外国人の子供という身の上ではプロはおろか、
近所の地元中学校との交流試合もままならない。

自分の実力がどのくらいなのか、通用するのか。

暗闇の中で目隠しをして黒猫を探すような、もどかしい日々が続いていた。

岬「(それもフランス強豪チームの育成選手相手に、あっさりと……)」

14 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/19(日) 16:47:58 ID:6yVjg9DM
メラン「さっきの一戦のすれ違いざまに、ミサキがお前からボールを奪った。
    それもお前の体に髪の毛一本触れずにな」
ボッシ「そ、そんな…ッ!」

監督から淡々と事実を告げられ、愕然としながらもボッシは現実を受け入れさせられていた。
そんなボッシの感情に頓着せずに、監督は指示を下す。

メラン「さあボールを返すのだボッシ。次はお前がミサキからボールを奪い取るのだ…ミサキ」
岬「は、はい」
メラン「お前の志願先はMFだったな」
岬「はいっ」
メラン「ポジションの役割は近年多様化しているとはいえ、MFは攻守を左右するチームの胴体であることに変わりはない。
    今度は攻撃でもって、自らの適性を証明するがいい
   (上から彼のフィルムが送られてきたときは半信半疑だったが、もしや……)」


15 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/19(日) 16:49:48 ID:6yVjg9DM
ボッシ「チッ、今のが本気だと思うな、フランスサッカーはこんなものじゃないぞ…!」
岬「いくよボッシ、僕は…勝つ!
  (そうだ、これからなんだ、僕の挑戦は…こんなところで、立ち止まっていられない!)」


先着「2」名様(順番通りでない書き込みは無効)で以下のように書き込んでください。
【! card】と【! dice】、間のスペースを消して書き込んでください。

★岬 ドリブル 48(! card) +(! dice + ! dice)=★
★ボッシ タックル 41(! card) +(! dice + ! dice)=★

カードやダイスの結果で分岐します。★と★の間が1人分の判定になります。

MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→岬、楽々と抜き去る
=1、0、−1→実力伯仲、ボールはこぼれ球に。
≦−2→岬、ボールを奪われてしまう!

【補足・補正・備考】
岬:ダイヤ・ハートで「やや華麗なドリブル(+2)」


16 :森崎名無しさん:2023/11/19(日) 17:05:45 ID:???
★岬 ドリブル 48( スペード10 ) +( 3 + 6 )=★

17 :森崎名無しさん:2023/11/19(日) 19:55:57 ID:???
★ボッシ タックル 41( ダイヤ4 ) +( 3 + 3 )=★

18 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/26(日) 17:20:38 ID:N6N3C4EI
★岬 ドリブル 48( スペード10 ) +( 3 + 6 )=57★
★ボッシ タックル 41( ダイヤ4 ) +( 3 + 3 )=47★
≧2→岬、楽々と抜き去る
――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――
――――
――


ボッシとの試合から数十分後。

僕達フランス地域代表3人と監督、遠征に随行するスタッフ達は党が用意した
ミニバスに乗り込み、シャルル・ド・ゴール空港へと向かっていた。

メラン「既に連絡はしていると思うが、これより我々は空港へ向かい
    イギリス・西ドイツ代表以外の西ヨーロッパ6カ国の代表選手達と
    合流した後、西ベルリンのテーゲル空港へ移動し調整を行う」

混雑するパリの大通りの風景を眺めながら監督の言葉を思い返していると、
ギャロスが隣の座席に現れて、自らの見立ての鋭さを称賛しはじめてきた。

ギャロス「やはりオレが思った通り、キレの良さは抜群だったなミサキ。
     今度はボッシもやる気を出してたみたいだが、スピード、パワー、
     どっちもお前が上手をいった。お前の切り返しに反応もできない。
     ンッンー試合前から結果が分かる、見る目があるヤツがいると
     少しは安心するだろミサキ」

19 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/26(日) 17:22:50 ID:N6N3C4EI
岬「ありがとう。ただそこまで褒められるとかえって身が縮むよ。FWはほかの
  ポジションほどには守備が求められないから、ある程度はね」

ここまで話したところで会話が途切れる。今ならこちらから話を切り出すチャンスだ。

岬「(誰と話そうかな?)」



A ボッシ
B ギャロス
C メラン監督

先に1票入った選択肢で進行します。

20 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/11/26(日) 17:37:46 ID:N6N3C4EI
訂正、岬君の独白を以下のように訂正します。


岬「(到着する時間からして話せる時間は1人、それも1つの話題
   ……誰と話そうかな)」


岬君の思考を曲げて伝えてしまったことを、お詫びいたします。

21 :森崎名無しさん:2023/11/27(月) 20:08:03 ID:???
A

22 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/12/03(日) 15:03:53 ID:ye0beHRc
A ボッシ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
話が切りあがったところを見計らい、どこか浮ついているチームメイトから離れ
ボッシの所へと移る。

岬「(合流前に少しでも、雰囲気を和らげておかないと)」

ギャロスから僕を挟んだ向かい側の座席にボッシが、事情を知らない人間が来ても気づくほどに
不快感を体から発しながら、窓縁に頬杖をつきながら外を眺めている。

岬「(ギャロスが逃げ出すはずだ。いつまでもあれじゃプレイにも支障が出るかもしれない)…座るよ」

ボッシの近くへと座り直し声をかけるが、相手は返事はおろかチラリとも視線さえ向けない。

岬「(まいったね…どうもっていこうかな)」


A 岬「ホントにナントの正FW?」あえて煽ってみる
B 岬「どう取っても構わないけど……これからよろしく」下手に出る
C 岬「このチームのメンバーって、どんな人がいるの?」話題を他に振る
D 岬「これからが楽しみだなあ、こういう大会に出るの初めてだから」先の期待を語る
E その他、自由回答(要2票)

原則、先に1票入った選択肢で進行します。

23 :森崎名無しさん:2023/12/03(日) 17:23:10 ID:???
C

24 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2023/12/10(日) 17:20:16 ID:DApT2OVY
申し訳ありませんが、今週は投稿を休ませてください。

25 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:22:20 ID:Q38KTpCs
第2話 シューマッハでラッキー!



    地球は1つである!



因果は巡り、風が桶屋を儲けさせるこの世界、たとえ地球の裏側であっても、
次の日には自分めがけて襲いかかってくるものである!

世界の法則はここデンマークのコペンハーゲンにおいても、等しく通用する。だが
シュリスメル・シューマッハに起こった事件はいかにグローバルな世界であっても、
本来は起こるはずのない事件だった。

シューマッハ「ひええーーっ!早くしないと試合に遅れちまうよおーっ!」

シュリスメル・シューマッハ。人ごみに入れば3秒で溶け込めるありふれた顔つき、
高すぎず低すぎない平均的な背丈、おつむのできはIQ100のこれまた平凡な脳ミソと、
平々凡々を絵にかいたようなデンマークの少年である。


26 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:31:25 ID:Q38KTpCs
そんな彼だが、他の人間とは2つだけ大きく異なっていた。

1つ目は補欠とはいえデンマークの強豪サッカークラブFCコペンハーゲンの
ジュニア部門のゴールキーパーであること。
そして2つ目は、

シューマッハ「あれ、空が急に……ぎえあああーーっ!」




ズオオオオオオオオオオオオオオオン!




空をつんざく轟音!アダムスキー型の古典的UFOが空のかなたから墜落しシューマッハに激突!



そう、シュリスメル・シューマッハはデンマークいち、いやヨーロッパいちツイてない少年だったのだ!

27 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:34:31 ID:Q38KTpCs
                   説明しよう!

事の発端は地球の裏側で1人のサッカー少年を置き捨てて、ブラジルに帰国したロベルト本郷からはじまる。
彼がサンパウロに降り立つと、いきなりギャングどもから銃弾の洗礼をあびたのだった。

マフィアA団員「貴様のせいでッ!ボスの面目は丸潰れだッ!死にざらせえええええッ!」
ロベルト「な、なんのことだァーーーーッ!?オレは何も知らんーーーーッ!」

このマフィアはかつて、ブラジルの1部リーグの試合にて八百長試合を目論んでいた。
敵チームと審判団、サンパウロFCの多くの選手をも取り込んだ大掛かりなものであったが、
ロベルトによる選手生命を犠牲にした逆転ゴールにより八百長は破綻、元締めのギャングは
金銭・信用的な大損害をこうむっていたのだった……要するに逆恨みだ!

マフィアB団員「てめえらああああああ!ワシらのボスが敬愛するドン・ロベルト・ホンゴーを
       殺そうとするからには、頭ブチまける覚悟はできてるんだろうなああああ!」
ロベルト「(だからこいつらは一体誰なんだァーーーーッ!)」

対立するもう1つのマフィアがロベルトを守るべく、白昼サンパウロに響き渡る銃声!
ロベルトはかろうじて逃げ延びたが、マフィア同士の抗争はとどまるところを知らなかった。
抗争相手のマフィアの根城であるファベーラを襲撃し多数の幹部を殺害すると、報復で
襲撃側が所有する大規模コカ畑が焼き払われた。焼却があまりにも大規模であったため、
コカインの密輸出量は激減、需要絶対量の少ない小国向けは輸出ゼロとなる事態が続出した。


28 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:38:15 ID:Q38KTpCs
デンマーク・コペンハーゲンの国会前


暴漢「デンマーク人民諸君!今や革命の時は来た!
   今すぐ国会に向かい偽りの、ブルジョア政府を打倒して真のデンマークを
   人民の手に取り戻すのだあああああああああああああああああああ!!」

デンマークで1人、極左過激派の団員が逮捕された。男はコカイン等の薬物常習者でもあり、
近年の価格高騰で服用が困難になったことによる
幻覚・妄想によって、今回の犯行を引き起こしたことが判明した。

事件そのものはこのように、ただ1人の暴漢の捕縛によって解決した。
しかしこの事件を皮切りに、事件が次々に引き起こされ、事件が起こるたびに
ドミノの勢いのごとく状況が深刻となり、
遂にはシューマッハの悲劇へとつながってしまうのである!


過激派集団「警察は横暴なる不当逮捕を取り消せー!即時釈放せよー!
      (ついにやってくれたなあのバカ!)」

逮捕された男の属する組織が動員をかけ、メットとゲバ棒という1985年の今日では
古典的ともいえるいでたちで、警官隊と激しい衝突を繰り広げた。その争いの中で、
誰かが天高く発煙筒を投げて発光させたことで、更なる悲劇が連鎖されてしまうのである。

29 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:41:06 ID:Q38KTpCs
??「うわわっ!?」

雲を越え大気圏を抜け青い地球が眼前にとどろく宇宙空間。
ここに1人の宇宙人が超高感度望遠鏡ごしに、度肝を抜かされていた。

普通星人「この普通星人に向けて発砲するとは…あくまで歯向かうつもりだなっ!?」

アダムスキー型のごくありふれたUFOに、ヒト型二足歩行のありふれた宇宙人である普通星人は、
地球侵略というごくありふれた目的で地球に来訪したのであった!

普通星人「ならばこちらも、全力をもって地球を滅ぼしてやる!覚悟ちきゅうじ」


        ボーーーーーーーーーン!!


地球を攻撃すべくエネルギーチャージを行っていると、突然UFOが爆発した!
長旅による金属疲労やなんやかんやで、UFOはガタがきていたのであった!

普通星人「うわあああーーーっ!!」

UFOは当然のように墜落!ユーラシア大陸西側のちっこい半島、ユトランド半島へ落っこちていき、
コペンハーゲンのシューマッハと衝突したのであった!


        (説明終わり!長かった!けどシューマッハの話は続く!)


30 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:43:43 ID:Q38KTpCs
話はシューマッハに戻る。
圧倒的なUFOの重量で押しつぶされ、どんどん意識は遠のいていくシューマッハ。

シューマッハ「(ああ、思えばオレの人生、いいことなかったなあ……
        今日だって朝顔を洗おうとしたら水道管が破裂して体ごと洗うハメになったし、
        家を出ようとドアを出たら、ボケたじーさんの車にはねられた。
        サッカーをしてるのだって書類の取り違えでしたくもないのに入らされて、
        やめようと書類を取り寄せたら家が火事になるし……
        せめて1回でもいいから、いい思いをして死にたかったなぁ……)」

意識がまさに途絶えようとしたその時、シューマッハの目の前にやわらかな光がさしこんだ。
目を見開くと、小さなタカがすそ野の広いどこかの山の頂上に降り立つと、
今度はピカピカとまたたくナスの群れが空を乱舞しはじめたのだった。

シューマッハ「(なんだよこのサイケデリックな光景…死ぬ時くらいもうちょっとちゃんとした世界が…
        死ぬ間際まで、ついて)」
??「ぽぽぽぽーん♪」

聞きなれぬ声を耳にして顔を上げると、つやつやとした黒いショートヘアの女性が、笑顔で自分を見つめていた。

シューマッハ「きれーなひと……もしかして、出迎えに来た天使さん?」
女性「ちがいますよー、私は日本から来た、ただの人間ですっ。あなたにお知らせを2つ、届けにきました」


31 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:46:54 ID:Q38KTpCs
自らを人間だと名乗る女性をよく見てみると、絹に日の光を一筋さしこませたような、美しい肌をしている。
だがここまで徹底して不運に叩きのめされたシューマッハの心は、ささくれていた。

シューマッハ「何?この状態から入れる自動車保険があるとでも?」
女性「保険の勧誘じゃありませんよ。まず1つめのお知らせから。シューマッハくん、
   あなたはヨーロッパいちツイてない人間だと、先程上の方で正式に認定されましたっ♪」

とんでもないことを能天気に語る女。だがシューマッハには怒る気力もわいてこなかった。

シューマッハ「はーあ、オレがついてないことはよーくわかってますよ。死ぬ間際に追い打ちなんて」



女性「死にません!」



もの柔らかそうな女性が突然大声を出す。不測の展開にたじろぐシューマッハ。

女性「シューマッハくんは死にません!生きて元気に、そして幸せになりますっ!2つ目のお知らせは
   そんな君の身の上を案じて協議を重ねた結果、永世ラッキーパワーを授与することが決まったことです!」
シューマッハ「ラッキー…パワー?」

女性「そうです。これからは何か行動するたびに、超人的なラッキーパワーによって自分にとって
   ハッピーな展開を迎えるということです。何か食べないといけないとか雲が出ると不幸になるとか
   そういうペナルティもありません」
シューマッハ「ふえっ……マジで?」

32 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:49:23 ID:Q38KTpCs
女性「マジです。ただラッキーパワーを使うには体力が必要で、使いすぎると動けなくなってしまいます。
   ではそろそろ私はおいとましますね、今度は日本一ツイてない鳥取県の女の子を助けないといけませんから」

女性はそう言うと、何の不思議もなく自然に空に浮かび、飛び去っていったのだった。

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シューマッハ「いやー皆様こんにちは、デンマークからきたシュリスメル・シューマッハと申します。
       これからの遠征どうかよろしくお願いします。こちらは空港利用2830000万人目記念でもらった
       副賞のマカロンです。どうか一緒に召し上がってください」

腰の低いデンマークのGKからマカロンをほおばりながら、ボッシから聞いた言葉を振り返る。

岬「(UFOにつぶされながらも無傷で生還した奇跡のゴールキーパー、シュリスメル・シューマッハ。
   事故に遭ってから、彼がセービングをするたび通常起こりえないことが発生してシュートを防ぎとめる
   ことから、「奇跡を呼ぶ男」と呼ばれているとか……)」
シューマッハ「(ああ、生きててよかったなあ……ラッキーパワーを授かってから痛い思いもせずにシュートが
        止められるようになって、FCコペンハーゲンの正GKになった。それからは背丈も伸び、
        視力も回復して女の子にもモテモテ……いやああの人には感謝だなあ。人間だって言ってたけど
        あれは絶対神様だよ。あのときナスが舞い飛んでいたから…ナスの神様かな?ともあれ
        ありがとうございます!イエス様マリア様ナスさまーっ!)」


カコデスヨー


33 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/14(日) 21:53:00 ID:Q38KTpCs
という訳で、本日はここまでとなります。

続きを書こうと思いながら、書けずに1か月以上お待たせしてしまったことをお詫び申し上げます。

おそらく次回からのチームメイト紹介では、シューマッハくんほどには時間がかからないかと思います。

…かからないといいなあ。リアルでの用事がたまってきてるし……

34 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/28(日) 17:19:19 ID:C2jZg2hQ
             第3話  肉の守護神とピレネーの闘神(インドラ)



??「あれがFCコペンハーゲンの正GK、シュリスメル・シューマッハ……」
??「そして俺達の正GKとなる、ミラクルゴールキーパー…!」
??「あいつの出る試合は必ずと言っていいほど、あり得ない奇跡が起こってシュートが止められるという……彼が、か」
??「インテルにいるのと、どっちが強いかな?」

岬「(彼らがイタリア共産党選抜代表選手、バサレロ、ゴルバテ、トリノ、マリーニョか……)」

ボッシ「バサレロはローマのS・S・ラツィオ、ゴルバテはジェノバのジェノアCFC、マリーニョはエラス・ヴェローナFC。
    トリノは登録名を自分のチーム名にしているからわかりやすいが、トリノ・カルチョ。
    それぞれジュニアユース部門で守備の中核を担う実力者、いずれはイタリア代表メンバーへの選出が確実視されている面々だ」

車中でのボッシの言葉を思い返す。
イタリアでも有数の守備力というからには、これからの試合それほど苦労しなくて済むかもしれない。


35 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/28(日) 18:11:38 ID:C2jZg2hQ
トリノ「トリノに移ってくれればなあ。そうすれば俺とアイツで、グランデ・トリノが再興できるんだが」
バサレロ「おっ出た出たでましたよトリノの昔話、見てきたような話しぶり」
ゴルバテ「まあ欲しくもなるわな、最近出てきたインテルのなんとかって、バケモンみたいないいキーパーは」
マリーニョ「ヘルナンデスだっけ?あれは飛びぬけてるね、来年のフランス大会で彼がいればイタリア、優勝できるんじゃない?」

ワイワイガヤガヤと、これから自分達のチームの正GKとなるであろうシューマッハを取り上げ、次に自国のリーグ事情を話し合う。
少なくとも、イタリアの面々がシューマッハの実績を信頼しているのは間違いないだろう。雰囲気は和やかだった。



ギャロス「おいコラこのイタ公ども」


この男が割って出てくるまでは。


36 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/28(日) 18:17:46 ID:C2jZg2hQ

私用につきいったん中座いたします。


なお、岬くんのチームメイトとなるイタリアの、バサレロ・ゴルバテ・マリーニョの3選手についてですが、
彼らのファーストネームがどうしても浮かびませんでした。(名前を考えるあまり文章が進まず、先週は投稿できませんでした)
もしこれはという案がありましたら、以下にコメントしてくださると幸いです。

37 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/01/28(日) 21:52:43 ID:C2jZg2hQ
すみません、用事が立て込んで遅くなりましたため、続きは後日とさせてください。

38 :森崎名無しさん:2024/01/28(日) 22:53:13 ID:???
こだわりが無ければ名前メーカーを使ってみたらどうでしょうか?

39 :森崎名無しさん:2024/01/30(火) 21:40:23 ID:???
トリノ:本名はアンドシュ・デ・コレーリア。
バサレロ:フルネームはジャンルカ・バサレロ。
ゴルバテ:フルネームはアレッサンドロ・ゴルバテ。
マリーニョ:フルネームはルイージ・マリーニョ。

40 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 15:52:07 ID:YgE+DvSI
これより続きを投稿させていただきます。

なお募集をしておりましたイタリア四本盾のフルネームについて、
>>39 さんの素晴らしい発案を採用したいと思います。そのため四本盾登場のシーンから
再開するため、若干の重複が発生することをご承知ください。

>>38
アドバイスありがとうございます。他の西欧同志連合のメンバー名につきましては、
高橋先生の原作に登場するキャラクターを除き、いい名前を探してまいります。

>>39
素晴らしい名前をありがとうございます!
不思議なもので名前を見ていると、最初からそう言う名前だったような気が
段々と強まってくるものです。

名前のあるモブにならないよう、頑張っていきたいです。


最後に、この物語はキャプテン森崎をベースとしていますが、ところによって
キャプテン森崎と設定が異なるところがあります。本編と非常に似通った
並行世界だと思ってくだされば幸いです。

41 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 15:54:55 ID:YgE+DvSI
         第3話  肉の守護神とピレネーの闘神(インドラ)


??「あれがFCコペンハーゲンの正GK、シュリスメル・シューマッハ……」
??「そして俺達の正GKとなる、ミラクルゴールキーパー…!」
??「あいつの出る試合は必ずと言っていいほど、あり得ない奇跡が起こってシュートが止められるという……彼が、か」
??「インテルにいるのと、どっちが強いかな?」

岬「(彼らがイタリア共産党選抜代表選手、ジャンルカ・バサレロ、アレッサンドロ・ゴルバテ、トリノ、ルイージ・マリーニョか……)」

ボッシ「バサレロはローマのS・S・ラツィオ、ゴルバテはジェノバのジェノアCFC、マリーニョはエラス・ヴェローナFC。
    トリノはアンドシュ・デ・コレーリアという本名があるが、
    登録名を自分の出身地とチーム名、トリノにしている。所属クラブはトリノ・カルチョ。
    それぞれジュニアユース部門で守備の中核を担う実力者、いずれはイタリア代表メンバーへの選出が確実視されている面々だ」

車中でのボッシの言葉を思い返す。
イタリアでも有数の守備力というからには、これからの試合それほど苦労しなくて済むかもしれない。


42 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 15:57:09 ID:YgE+DvSI
トリノ「トリノに移ってくれればなあ。そうすれば俺とアイツで、グランデ・トリノが再興できるんだが」
バサレロ「おっ出た出たでましたよトリノの昔話、見てきたような話しぶり」
ゴルバテ「まあ欲しくもなるわな、最近出てきたインテルのなんとかって、バケモンみたいないいキーパーは」
マリーニョ「ヘルナンデスだっけ?あれは飛びぬけてるね、来年のフランス大会で彼がいればイタリア、優勝できるんじゃない?」

ワイワイガヤガヤと、これから自分達のチームの正GKとなるであろうシューマッハを取り上げ、次に自国のリーグ事情を話し合う。
少なくとも、イタリアの面々がシューマッハの実績を信頼しているのは間違いないだろう。雰囲気は和やかだった。



ギャロス「おいコラこのイタ公ども」



この男が割って出てくるまでは。

ギャロス「会って早々、丁寧なゴアイサツぶりだな、え?
     そのカルそーなオツムに叩き込んでおけ。西欧チームの正GKは
     ナントFCのギャエル・ギャロス様だということをな」


43 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 16:00:44 ID:YgE+DvSI
岬「(ヤバい)」

彼は手が早い。元パリジャンの荒くれは拳に口がついているかのごとく、
たびたび同類と激しい「会話」を繰り広げていたものだ。

こんな大空港の大広場で暴れられたらたまらない。急いで手立てを思案していた中、
突如ギャロスとギャロスに首元をつかまれたトリノが、宙に浮かんだ。



???「いけませんねえ。これから強敵と共に戦う仲間に、些細なことで暴力を振るおうとは」



相撲取りを思わせる大柄な男が、2人を顔の高さまでつまみ上げていた。

トリノ「で…でかい!規格外にでかい!」
ギャロス「だっ…だれだテメエは!」
???「おっと、これは失礼、申し遅れました。私オランダのPSVアイントホーフェンから
    まいりました、アルフレット・リブタです。西欧メンバーの一員として、どうかよろしく」

リブタと名乗るオランダ共産党代表メンバーは、そう言ってにこやかな笑顔を振り向けた。


44 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 16:06:12 ID:YgE+DvSI
岬「(PSVか……また有名どころから、強そうな選手が出てきたな)」

はち切れんばかりの腹部、僕達の胴体ほどもあろうかという手足。
どの部位も堅い筋肉で引き締まっている。生半可なシュートでは彼の前ではパスも同然だろう。

そう思ったのは僕だけではないようだ。

シューマッハ「(今だっ!)どもどもこんにちは、デンマークのシューマッハです。
        これもらい物のマカロンなんですが、リブタさんもよければどうぞ
       (仲良くなっておけばこの大会楽できそう、いやあラッキーだなあ)」

緊迫が和らいだ瞬間を見逃さず、シューマッハがコネづくりに動き出した。

リブタ「これはどうもご丁寧に。ありがたくいただきます」

トリノをおろし、その手でマカロンをつかみ袋を開こうとしはじめる。シューマッハの意図はともかく、
申し出のタイミングが機を得ていたため、緊迫した空気が明らかに和らぎ始めていた。


しかし、提供者のシューマッハを含め僕達が忘れていたことがあった。


45 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 16:10:38 ID:YgE+DvSI
リブタ「ふむむ〜っ、なかなか切れない…」

この記念品マカロンの個包装は日本のと比べて堅くちぎりにくいこと、そして。


ビリィッ!


リブタ「ふぅ〜、ようやく取れ…!」

切った後の断面が鋭利なこと。

リブタ「!ち、血〜〜!」
ギャロス「ん?どうしたデカブ」

人の皮膚を切って、出血させてしまうぐらいに。



リブタ「いてえよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」



ブォン!

ギャロス「ぐあ!!」

巨掌一閃!リブタの手の平がギャロスを強かに打ちつけたのだった!

46 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 16:18:03 ID:YgE+DvSI
突如として暴れるリブタ!
岬達は無事に生還できるか!?
そして残りのメンバーは?

……というところで今週はここまでといたします。



キャプテン森崎は自由な作風が特徴。非キャプつば世界、非サッカー漫画世界の
人物をモチーフにしても許される。いやそれどころか別世界のキャラクターが
サッカーをしたって無問題なのです。形式を廃し、ただ楽しみましょう。
(何かに言い聞かせる)

47 :森崎名無しさん:2024/02/04(日) 16:30:47 ID:???
ハート様w

48 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/04(日) 16:59:25 ID:YgE+DvSI
>>47
少し前に北斗の拳イチゴ味を読んだので、そこの設定も加わってしまってますw

そこからこの間連載終了が伝えられた、キャプテン翼オリンピック編の追加設定がミックスされて、
色々と大変なことになってます。将来のリブタくんの主が激変して……

そこまでこの物語を描き続けられるようにならなければ。

49 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/11(日) 17:05:53 ID:U0/f/Pis
リブタ「いてえよ〜〜〜〜〜!!」
シューマッハ「でええ〜〜〜〜!こ、こっちこないでえ〜〜〜!!
      (なんで!なんでこうなるのぉ〜〜〜!?)」

地響きを上げながらシューマッハ目掛け襲いかかるリブタ。

マリーニョ「わわっ、こっちにくるッ!」
トリノ「バカッ、逃げるな!通行人にヤツが向かったら大惨事だぞ!」
バサレロ「俺達で食い止めるんだ!」
ゴルバテ「ボールだ!思いっきりボールをぶつけて、気をそらさせろ!」

岬「ボッシ、ギャロス、伏せて!」
ボッシ「えっ」
岬「はやくっ!」
ボッシ「う、うわっ」
ギャロス「ッチ、イテテ……!」
岬「(あの勢い…ボールなんかじゃ止まらない!)」

僕達フランスメンバーが身の安全を確保する中、
イタリアメンバーは急いでバックからボールを取り出し、力の限り投げつけた。
四発の白弾が巨漢の太鼓腹へと叩き込まれる。だが。

ズムムウウゥゥ……

ボールは四発とも半径ほど肉に沈みこんだだけで、完全に防ぎ止められてしまった。


50 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/11(日) 17:08:26 ID:U0/f/Pis
マリーニョ「な、なにィ!」
トリノ「バカな、ボールがあっさり…!」
バサレロ「ま、まともにボールをくらったのに…!」
ゴルバテ「オレ達の全力が、それも至近距離で…!」


リブタ「俺の肉体は特異体質!髄に衝撃が伝わる前に、脂肪で柔らかく包み込み無力化する!だ〜か〜ら〜〜〜〜〜」


肉にめり込んだボールが弾み返される。投げ出した以上のスピードで投擲者の元へ送り返され、

マリーニョ「あろ!」
トリノ「あわびゅ!」
バサレロ「あべし!」

あわれイタリアの少年達は、シャルル・ド・ゴール空港の大空間に打ち上げられたのだった。

リブタ「この肉体で多くのシュートを沈ませてきたのだ!こんな放り込み蚊ほどにもきかぬわ〜〜〜〜〜!!」


51 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/11(日) 17:10:58 ID:U0/f/Pis
ゴルバテ「えひゃい!」

3つのボールは主人を打ち上げた後に止まったが、残り1人のボールは
当たり所が悪かったか、斜め空中へと跳ね飛んでしまった。

メラン「いかん、あのままでは!」

ボールの飛ぶ先には大勢の通行客が行きかっている。
あそこにボールがぶちこまれたら、どれだけケガ人が出るかわからない。

岬「(この距離なら、間に合う)とるっ!」

僕は急いで跳躍し、ボールに向かう。

岬「(ひねりを加えて、一回転!)」

バシイッ!

岬「(強い!これが2度弾かれたボールの勢いなのか!?)」

ボールの勢いはまるでシュートだ。心の中で舌を巻きながら、なんとかボールを収めて着地した。


52 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/11(日) 17:13:01 ID:U0/f/Pis
ギャロス「ヒョオ!やるなあミサキ!」
ボッシ「く、空中であんなにも、軽やかに…!」
メラン「(あの動きはムーンサルトか……空中でも身軽に、正確な動きができるとはな)」
岬「(よし、うまい具合にチームメイトと監督にアピールができた。だけど)」

リブタ「よくもこの俺に血を、血を〜〜〜〜〜〜〜〜!」
シューマッハ「ひえ〜〜〜!お、おたすけ〜〜〜〜〜!」

岬「(こっちはちっとも、解決してない!)」

その気はなかったとはいえ、元凶となったシューマッハにリブタが猛追している。
あっという間に追いついて、高々と右腕が宙に上がり憎き小男を今にも打ちのめさんとしていた。


リブタ「つぶれろ〜〜〜〜〜!」
シューマッハ「でええええ〜〜〜!(助けてイエス様マリア様ナスさま〜〜〜ッ!)」


振り下ろされる!
そう思った瞬間、上がっていた右腕が力なく下がっていく。
そして反対に、リブタの体が宙へと反り上がっていった。

リブタ「わ!?…わ!!」


53 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/11(日) 17:18:11 ID:U0/f/Pis
下を見ると先程まで空中にあったリブタの右手は見知らぬ少年によってつかまれ、
そのまま片手一本で巨体が持ち上げられていたのだ。

リブタ「だ、だれだこんなフザけた…」
????「落ち着け……死に急ぐこともあるまい」

なにを。リブタがそう言ったか、言おうとしたときだった。

ギン!

空気全体が突然に張りつめた。
軽薄な気分を許さぬ、獣が戦闘直前に発するであろう闘いの気迫が、あの少年からビンビンと発せられていた。

闘いの気迫、闘気とでも呼ぶべきものを間近で受けているリブタは、
顔から殺気がどんどん削げ落ちていく。そして……


リブタ「ははは……またやっちまいました、あれ程取り乱すまいと心に決めていたのに……」


興奮前の柔和な笑みが、リブタの顔に戻っていた。


54 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/11(日) 17:20:07 ID:U0/f/Pis
一睨みでリブタが元通りになった。皆はリブタの変貌を、次に制止した少年を見やる。

背丈は僕よりは高く、リブタを除く他のヨーロッパメンバーと同じくらい。
太々とした眉に彫りの深い顔、何より丸太のように筋肉で隆々としながら
引き締まった肉体が、僕達の目をくぎ付けにさせずにはおかなかった。

コイツは一体誰なのか?皆が思ったこの疑問は、不意の進入者によって明かされることとなった。


?????「ひょ〜ッ!さっすがアルゴス!」




55 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/11(日) 17:26:51 ID:U0/f/Pis
謎の少年アルゴスと、更に謎な少年が現れたところで、今日はここまでといたします。


さて、キャプつばアニメを見ねば……

56 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/18(日) 17:08:38 ID:smiBSF32
?????「いきなり飛び出してどうしたかと思ったら、ひとにらみでデカブツを黙らせるなんてよ!
    さすがこのオレが見込んだだけあるぜ!オレたちイベリジュモ(※1)コンビがいればスパルタキアーダ、いただいたも同じよお!」

アルゴスという少年を追いかける形で、もう一人の少年が現れた。今度の少年はアルゴスやリブタはおろか、
僕と比べても小さいように思われた。

岬「(イガグリのように丸い顔と刈り上げた頭…南葛にいた頃の、石崎に似てるな)」

ボッシ「イベリスモ、それにスパルタキアーダ……もしかして君達も」
シャラーナ「その通り!オレはポルトガル代表、SLベンフィカ(※2)所属のサンシュ・シャラーナ!
      そんであの大男がスペインのサルバドール・アルゴスだ」


メラン「アルゴス!彼がアルゴスか!」


アルゴスという名を聞いて、監督が目を丸くして尋ねた。


57 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/18(日) 17:11:00 ID:smiBSF32
シャラーナ「へえ、監督のおっちゃんも知ってんの?」
メラン「スペインから送られた資料からな。
    なんでも二千年前に中国で誕生した、一子相伝の暗殺拳の流れをくむ拳法を修練していると……
    シルクロードを通じてヨーロッパに伝来し、今では末裔が
    ピレネー山脈に隠れ住みながら、拳法の修行に明け暮れている。
    ……書類を見ても信じられなかったが、実在していたとは」

シャラーナ「へええ、マジで?そりゃあ強いワケだ、そうか……ハハハ」

驚きを隠せない監督とは対照的に、シャラーナは思い出し笑いをはじめた。不思議に思い尋ねてみる。

岬「どうしたの、そんな面白そうな表情で」
シャラーナ「いや聞いてくれよこれがケッサクなんだ。オレ達ポルトガルの代表団が飛行機のトラブルで
      バルサに降ろされて、空港のロビーで長時間待たされたと思いねえ。
      その待ち時間中にアルゴスがフラリと現れ、オレ達の目の前でバタリと倒れちまった。
      水を与えてワケをきいたら『バルセロナには食料になる動物がいなかった』だとよぐへっ!?」

喜々として暴露話をするシャラーナの左右のこめかみに、指が鋭く突き刺さる。
突き刺されたシャラーナはポカンとした顔つきになり、反応を示さなくなってしまった。


58 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/18(日) 17:14:03 ID:smiBSF32
岬「い…いったい、何を?」
アルゴス「ズセツという秘…ツボを押した。正気に戻った後も、今の一瞬の記憶は消えている」



アルゴス「西ベルリンにはどれ位で着く」
スチュワーデス「西ベルリンのテーゲル空港までの飛行時間は1時間50分を予定しております」
アルゴス「そうか。頼みがあるんだが、連れを起こさないであげてくれ、死ぬほど疲れている」

アルゴスは窓際の座席に押し込まれたように座るシャラーナを指して、スチュワーデスに言づけた。

僕達は飛行機に乗り込み、陸の孤島西ベルリンに向かいパリを飛び立とうとしていた。
通路側の座席に僕が座り、アルゴス、ギャロス、ボッシ、シャラーナの順に並んでいる。

ギャロス「だ、大丈夫なのかアレ?ピクリとも動かねえが」
アルゴス「心配するな、着陸前には目を覚ます」
ボッシ「少しやりすぎじゃないか?確かにおしゃべりだったとはいえ」
アルゴス「俺達の道場の掟に『我らが拳法と門徒を誹り、辱めた者には報いを与えよ』とある。
     事と次第によっては命で贖うべきもの、加減を試みる暇はない」


59 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/18(日) 17:17:46 ID:smiBSF32
岬「(これはまた色々と規格外な……僕も何か話しかけるべきだろうか?)」


A:「拳法家の君がなぜサッカーを?」
B:「すごい拳法だね、昔の戦場での活躍は凄かっただろうね」
C:「サッカーで役立ちそうなツボってある?」
D:「サッカーで役立ちそうな技ってある?」
E:「(下手に刺激させてもマズいし、黙ってよう)」
F:その他、自由回答(要2票)

原則、先に1票入った選択肢で進行します。

60 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/18(日) 17:27:32 ID:smiBSF32
色々悶着ありましたが、どうにか西ベルリンに向けて旅立とうとしている、
というところで、本日はこれまでといたします。


なお、>>56 での注釈は以下の通り。

※1:スペイン語でイベリスモ。スペイン・ポルトガル両国の統一を目指す運動・思想。
  ここではポルトガルのシャラーナとスペインのアルゴスとのコンビを強調している言葉。
  なおコンビだと語っているのはシャラーナのみであり、アルゴス自身はシャラーナとの間に
  特別な絆があるとは思っていない。

※2:ポルトガル・リスボンに本拠地を置くプロサッカークラブ。
   1982-83シーズン(この物語は1985年)に国内リーグ2冠、UEFAカップで準優勝を達成するなど
   当時のヨーロッパでの強豪クラブだった。

61 :森崎名無しさん:2024/02/18(日) 17:30:19 ID:???
A

62 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/25(日) 17:19:04 ID:BxffVU8s
A:「拳法家の君がなぜサッカーを?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アルゴス「事の起こりは半世紀も前、スペインを血と暴力で覆った、内戦時代からはじまった……
     当時の我が先人達はフランコ将軍率いる国民戦線軍と拳を交えていた。
     3年もの間奮戦するも時利あらず、国の実権を握り独裁者となったフランコによって、
     先人の多くがイベリアの土へ還ってしまった……
     まだ幼き師父も命からがら難を逃れ、ピレネーの高峰を師とし身を隠す木々を友とした。
     幾度となく迫り来る追手を避け、長じてからは敵を圧し、我らが拳法と道場の復興に
     尽力しておられた……その師父が、まだ拳の修行を許されたばかりの
     私を召し出し、こう告げられた……」

師父『アルゴスよ、本日より手に拳法を、足に球術を共に修めるがよい』

師匠の言葉をよどみなく語った後、アルゴスはポケットに手を伸ばし白黒の布切れを取り出した。
砂や土ですすけたようになってはいたが、きれいに折りたたまれている。

師父『国王陛下ファン・カルロス1世が発布した自由選挙が、不正なく執り行わられたと連絡があった。
   フランコの徒党は未だ要職を占めているとはいえ、もはや風の前の麦殻。遠からず散るであろう。
   我々の恩赦も近いうちになされるとのことだ。
   しかし、塗りつけられた泥は、いまだぬぐわれたとは言えぬ』


63 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/25(日) 17:21:20 ID:BxffVU8s
アルゴス「そう言って師父は懐から古ぼけた紙を取り出し、私の前に見せた。
     紙は一枚の貼り紙、そこには……!」



             注意!そして通報せよ!

拳を我らの血で彩る赤旗の尖兵、今なお潜伏す!
  奴らは人を人とも思わぬ人面獣である!


男A「ん⁉まちがったかな…」


奴らは人間を玩具にする。好奇心のままに我らを殺す。
恥じず、ためらわず、飽くを知らず!


男J「そんなガキの1人や2人、なんだというのだ!」


けがれなき子も、奴らには殺戮への誘惑をかき立てるスパイスにしかならない。

その人面獣が今もなお、街や野山に潜んでいる。彼らの居場所を知る者は、
最寄りの治安裁判所へ通報せよ!



アルゴス「老いた病人を苦しませては悦び、泣き叫ぶ子を喜々として刺し貫く……
     我々は人の皮をかぶった悪魔とさせられたのだ!」


64 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/25(日) 17:23:19 ID:BxffVU8s
そう言ってギュッと目をつぶり、絶句した。殺戮と言われなき中傷を受け
何も言い返せず逃げ隠れるしかなかった無念が、我が事として胸の内で
荒れ狂っているようだ。

師父『かつてはスペイン全土でこうした政治宣伝が繰り広げられ、
   幾多の朋友が狩り立てられていった。今は世に光が戻ったが、
   かつての偏見は未だにぬぐわれていない。早く我らの無実を
   あまねく伝えねばならん。さもなくば郷里を再び見ることなく
   世を去る者、未来に光を閉ざす者が出てきてしまう。
   ……そのため今後、お前には球技を取得してもらいたい。古今東西老若男女、
   いわゆるスポーツと呼ばれるものには、多くの人間の心をつかむ力がある。
   お前がこの球を通じて外の世界で活躍するようになれば、
   我らにとっての救世主(サルバトーレ)となるだろう』

アルゴス「そう言って師父は、右も左も知らぬ幼い私に頭を下げた。人は己の責務を
     年端もいかぬ幼子に押し付けたというだろう。だが違う!
     もはや老いた身では一門の無念を晴らせぬと嘆き悩みぬいたが、
     私にその可能性を見出してくれたのだ!」

機内であることは頭の片隅にも残っていまい。アルゴスの決然とした表情がそう語っている。
彼は取り出した布を右手人差し指に当てた。するとみるみるうちに空気を入れずして
布が球となり、サッカーボールへと化していく。


アルゴス「先人の無念を晴らし未来に光を抱くは、この球にかかっている…!」




65 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/02/25(日) 17:50:27 ID:BxffVU8s
アルゴスがサッカーをする動機を語ってくれたところで、本日はこれまでといたします。
あと残り3人のチームメイト紹介とダイジェスト紅白戦を交えての選手能力紹介……

それらが終わり次第、岬君達も本格的に試合がはじまります。
…アニメ終了までにたどりつかないと……

66 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/03(日) 16:47:34 ID:Wqomk6Bc
第4話 なぜ空はこれほど青い?


リブタ「いやあ、大きい体はこういう時大変ですねえ」

あふれんばかりの肉を座席と座席の間に押し込みながら、ひとり苦笑する。

リブタ「席も2人分取らせてもらうことになるとは。狭苦しいですが、どうかご容赦を」

相席する隣人に声をかける。だが相手は声が届いていないのかテーブルに広げた
手の平より少し大きいノートを見入っては熱心に書き込んでいる。
ただそれも十数文字程度書き込んでは止まり、また書き進めてはすぐ止まるを繰り返し
時折品を失わぬ程度に幸せそうな顔を浮かべ、窓へ顔を向け空の彼方へ視線をやりながら、
小声で何かをつぶやいているのだった。

何に夢中となっているか、むくむくとリブタの中に興味が湧きだしてきたようだ。
意識が彼方に向いているのを幸い、体をむりむり傾けて、ノートの中をのぞき見る。



この空を見ているだけでうれしい
あなたと見れたらどんなにうれしいだろう
Do you know why the sky is blue?





67 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/03(日) 16:49:14 ID:Wqomk6Bc
リブタ「(これは……詩ですね。大切な人を…)」
????「…カレン」

スッと澄んだ声が、フッと隣人から発せられる。そしてようやく
リブタの視線に気づいたらしく、ピクリとまばたきしてから向き直った。

????「これは失礼、考え事をしていたもので。何かご用事でも?」
リブタ「いえいえこちらこそ勝手にのぞき見を。えっと、あなたも私と同じく、
    西欧メンバーの一員ですよね?」
????「はい」
リブタ「よければもう一度、お名前を教えてもらえないかと。物覚えが悪いもので…
    私はオランダから来た、アルフレット・リブタです」
レヴィン「私はステファン・レヴィン、スウェーデン代表です。よろしく」

握手を交わした後、改めてレヴィンという少年の顔を見る。よく整った顔立ち、
自信を宿した顔つき、そして右目まで届かんばかりに大きく円弧を描いた髪が
特徴として目に入る。

リブタ「(まるで死神の鎌のような…ええい縁起でもない)も、もしよければ
     今お書きの詩について、うかがっても」
レヴィン「詩…ああ、カレンに宛てる手紙の下書きのことですか」
リブタ「カレン…ご姉妹ですか」
レヴィン「いえ、僕の……大切な人です。何と、いいますか」

レヴィンは再び遠い目をして、再び窓を向いて空の彼方へと目線を投じた。


68 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/03(日) 16:52:01 ID:Wqomk6Bc
レヴィン「不思議なものです。恋をするまでは、恋をするとその人のことしか目に入らなくなると思っていたのですが……
     いざそうなると目に映る全ての景色、世界が輝くというか、あざやかになるというのか。
     その不思議と喜びを思うままに、つらつらと」
リブタ「そうでしたか……どうかカレンさんと、共に過ごすお時間を大切になさってください。
    後悔することが無いように、一瞬一瞬、全力で」


ありがとうございます。ほほえみを添えてチームメイトにそう返事した後、再び窓に広がる青空を眺める。


どこまでも空は青い。


どれほど見渡しても一筋の暗雲も、湧き上がってきそうになかった。


69 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/03(日) 17:00:08 ID:Wqomk6Bc
短いですが残り3人のチームメイト1人が、レヴィンくんと分かったところで今日はここまでといたします。

なおレヴィンくんが作中で記していた詩は、以下の動画(5:30あたり)からお借りしております。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm29525809

物語での利用許可をくださりました、ねこ号さんにこの場を借りて御礼申し上げます。

ねこ号さんX(Twitter)アドレス
https://twitter.com/nekogoing

70 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/24(日) 17:41:19 ID:ZxMHRW6U
         第5話 西ベルリン、そして最後の2人


リチャード「お前らが西ヨーロッパ代表かい。
      ワシがリバプールのリチャード・デンバーじゃ。
      よろしくたのむぞ」

西ベルリンのテーゲル空港に到着すると、これから僕達のチームメイトになるはずの男、
炎に石炭をまぶしたような黒みがかった赤毛の長髪イングランド人が待ち構えていた。

ギャロス「よ、よろしくっ」
リチャード「よろしくのう」

一番近くにいたギャロスは彼を見て、明らかにひるんで見えた。ギャロスには悪いが
他人には恐れおののいたチンピラが、組の頭と応対しているといった光景にしか見えない。

丸太に筋肉を覆ったような隆々とした両腕を組み、遠慮など欠片も感じさせない
不敵な表情は、一目で強者だと感じずにはいられない。

平静を保っているのは大男のリブタや拳法家のアルゴス、あとはレヴィンと監督くらいか。
後の面々は大人も含めて、硬い表情を浮かべてしまっている。

もっともみんなが赤毛のイングランド人を恐れ、警戒しているのは傲然とした風貌ばかりではなかった。

「先例」がある。


71 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/24(日) 17:42:27 ID:ZxMHRW6U
あれは今から2か月前、1985年5月29日のことだ。

僕はテレビで父さんと一緒に、サッカーの試合を見ていた。
それもただの試合じゃない。ヨーロッパナンバーワンのクラブチームを
決める大会の決勝戦だ。イングランドの強豪リバプールFCと、
イタリアの帝王ユベントスFCとの試合。フランスでも多くの注目を集めていた。

僕達の学校も例外ではない。学校でも連日話題のタネとなっていて、
サッカー部の練習は昨日見た名プレーの真似事に費やされていた。

僕だって、日本にいた頃には夢でも見られないようなプレーが見れるとあって、
父さんに頼み込んでテレビを借り受け、試合が始まると釘付けになって
テレビに見入っていた。

そうして待ちに待った決勝戦。僕はその前座としてはじまっている、スタジアムの
地元ベルギーの少年サッカーチームの試合を観戦していた。今日のような大試合を
時間まで黙って待ち続けることができず、少しでも血を抑えようと僕よりも幼い
子供たちの試合を眺め続けることにしていた。



その試合が後半戦に入ってしばらくした後、「それ」が起こった。





72 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/24(日) 17:43:55 ID:ZxMHRW6U
子供たちの試合が後半戦に入った頃、リバプール側のサポーター達が
金網のフェンスを破壊し、ユベントスのサポーターへ襲いかかってきた!

振るわれる鉄パイプ、飛び交うレンガ。テレビカメラごしの荒い画面から、
怒号と悲鳴が鳴り響く。

壁が崩れる。暴徒に襲われたサポーターたちが壁に寄り固まりすぎ、
重量に壁が耐え切れなくなったためだ。

崩壊と圧迫の勢いで後ろの観客が雪崩を打ち、前の人間を飲み込み押しつぶしていく。
将棋倒しとなったユベントス側を目の当たりにして、リバプール側は更に勢いづき、
かけつけた大勢の警官隊にまで突撃して、フィールドを血にまみれされた。



これまでのサッカーで、いや人生で想像さえしなかった展開だった。



何が起こっているか目で見ても頭が感じず、あれだけ待ち望んでいたはずの
決勝戦が(こんな状況下で)はじまっても上の空、試合結果まで後から
テレビで目にするまで思い出せなかったくらいだった。


73 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/24(日) 17:45:19 ID:ZxMHRW6U
岬「(『ヘイゼルの悲劇』と呼ばれるようになったあの事件。30人以上が死んで、
   400人以上の重軽傷者を出した大惨事。
   イギリスの車が破壊された、イギリス人が襲われた、
   そんなニュースがよく流れていたっけ。結局、リバプールだけでなく
   イングランド中の全サッカークラブが、国際試合無期限禁止となった……)」」

悲劇からたったの2か月。他のチームメイト達にも色濃く記憶が残っているはず。
そうした周囲の空気などどこ吹く風というばかりに、リバプール人は監督へと近づき、尋ねる。

リチャード「人数は揃うたか」
メラン「人数、とは」
リチャード「決まっとる、このチームのメンバーのことじゃ」
メラン「ああ、まだ西ベルリン代表が一名、合流していない。
    現地の合宿所で合流すると、向こうから」
リチャード「なんじゃ、ノフウド(※)なヤツじゃの。まあええ、
      他の顔ぶれにアイサツさせるとするかの」

※:生意気な。大きな態度。

そう言って返事も待たずに、クルリと踵を返して外へ向かっていく。
監督の制止も聞かず、走って前を遮る勇気のあるスタッフもいない。
やむなく全員でリチャードの後を追いかけ、空港の外にまで出る。その瞬間。



PAPPAPAPAPAPAPAPPPAPPPPAAAAPPPAPAPAPAPAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!



天をつんざくクラクションが、テーゲル空港へまき散らされた。

74 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/24(日) 17:46:32 ID:ZxMHRW6U
リッタークラスはありそうなゴテゴテとした何十両もの大型バイクと、
モヒカン入れ墨肩パット、どう見ても堅気には見えない荒くれ達が、
二列に整然と並びながら、口々に親分へと「挨拶」した。

モヒカンA「ヒャアアアアアアアッハアアアアアアアーーーーッ!!!」
モヒカンB「やってきましたぜええええリチャードのアニキイイイイイイイ!!」
モヒカンC「どんな手を使ってでも、必ずモスクワで応援しますぜェーーーーッ!!」
リチャード「オウ来たなスピーディ、左目のビリー、マッド・ドナルド!
      ここにいるのが、これからワシと同じメシを食うファーマー(※)
      じゃけえの、仲ような」


※:ここでは仲間、ただし応援団という意味が強いスラング。


獣のような喚声が湧き上がる。話の内容などどうでもよく、ただリチャードから
声をかけられただけで、歓喜を爆発させているようだった。

モヒカンD「どうぞあちらへ!迎えのバスは来ております!」
モヒカンE「おいお前ら!リチャード様がご出立なさるぞ、合唱しろ!」
モヒカンF・G・H……「アイアイサー!!!KOP!KOP!KOP!KOP!KOP!KOP!」

合唱とは名ばかりの轟音に包まれながら、バスへ流されるように歩む僕達。
このままどこかのマフィアへと、鉄砲玉にさせられるのではないかと
今更にして不安を感じ始めたときだった。


75 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/24(日) 17:49:23 ID:ZxMHRW6U
モヒカンA「うえ?」

モヒカンの肩に、1つのボールが飛び跳ねる。そしてそのまま、
モヒカンの頭や肩を介して、行列の方向へと進んでいく。

モヒカンB「うおっ?」
モヒカンD「こ、これぼっ」
モヒカンG「ボールだわべっ!」
モヒカンK「どんどん速く…どわ!」

進むたびにスピードが増し、最前列のリチャードに向かう頃には矢のような速さだ。
リチャードはそれを振り向きもせずに、後ろ手で受け止める。

何者かとリチャードで振り向くと、穴あきのジーパンに継ぎはぎのジャンパーをきた、
1人の少年がおどけた様子で、告げた。



メッツァ「ようこそ自由な西ベルリンへ、または
     壁とヘロインとスリルの街、西ベルリンへ!」



彼こそ西欧同志連合最後のメンバーにして西ベルリン代表、
ヒュー・メッツァだった。

76 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/24(日) 17:52:32 ID:ZxMHRW6U
という訳で最後のメンバー2人、
リチャードくんとメッツァくんが加入したところで、
今日のキャプテン岬はここまでといたします。

ようやくにして全員出揃いました。
メンバー紹介だけで何か月もかかるとはとお思いでしょうが、
何とか次回こそダイズを振る展開に持っていきたいと思います。

77 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/31(日) 16:40:33 ID:DI0H60Ug
        第6話 めざせモスクワ

テーゲル空港でチームメイト全員がそろった翌日。
西ベルリンのとある場所に位置する合宿所。ウォーミングアップを終えた僕達を
監督が呼び寄せ、話をはじめる。

メラン「皆、準備はできたようだな。ではまず今後の予定について、もう一度おさらいしておく。
    地図を見るがいい」

監督の後ろにはヨーロッパ全土を記した、広々とした地図が貼られている。
その中でも右端、ヨーロッパ大陸の東部奥深くには、ひときわ大きい赤い五稜星が君臨し、
そこまでに向かう経路には矢印と3つの小さな赤い星が記されている。

メラン「スパルタキアーダが開催されるモスクワまではバスで向かう。それまでの3か所、
    東ドイツの東ベルリン、ポーランドのワルシャワ、ソビエトのキエフに一時滞在する。
    そこでは休憩とトレーニング、全体練習を済ませた後、他のスパルタキアーダ
    参加チームと練習試合をしてもらう」

ほとんどのメンバーは熱心に、監督の話に聞き入っている。僕だけでなく他のヨーロッパの
仲間達も、壁の向こうの別ヨーロッパ世界で試合をしたことはないのだろう。


メラン「東ベルリンでは東ドイツジュニアユース、ワルシャワではポーランドジュニアユース、
    キエフではハンガリージュニアユース代表と試合する。
    どのチームも今回の大会で優勝候補に挙げられている強豪だ。油断するなよ」


78 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/31(日) 16:43:39 ID:DI0H60Ug
対戦相手が判明して、部屋がざわめく。どんな相手か、どんな戦い方をしてくるか。
ワイワイガヤガヤと雑談がはじまったが、誰もかれも全く知識を持ち合わせていないらしく、
これといって実のある情報は出てこない。

マリーニョ「ねえシューマッハ、あっち側について何か知らない?」
シューマッハ「ええっ、なんでデンマーク人のボクに?昨日まで
       西ベルリンが西ドイツの首都だと思ってた人間に尋ねても」
マリーニョ「トリノもゴルバテもバサレロも、あっち側のコトは全然知らないって
      いうから、他の国ならって。レヴィンは何か知ってる?バルト海の向こう側は
      ソ連なんでしょ?」
レヴィン「いや、時々ニュースでソ連から亡命者が来たって放送するくらいしか知らないよ。
     隣国のフィンランドはソ連と犯罪者の引き渡し協定を結んでいて……」

岬「(うーん、ここでお得な新情報を披露できれば、僕の株も上がるんだろうけど……)」


先着で
★岬の発言 ! card★
と書き込んで下さい。スートの結果で分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。

JOKER⇒聖薇『お母様が一晩で用意してくれました!』
        全東欧ジュニアユースチームの詳細な情報が判明する!
ダイヤ⇒岬「(そういえば、昔読んだ雑誌に、東西ベルリンの親善試合の記事があったな……)」
        数字が大きいほど、話せる情報量が多くなります
それ以外⇒新情報「そんなものはない」 現実は非情である


79 :森崎名無しさん:2024/03/31(日) 16:45:23 ID:???
★岬の発言  クラブ9

80 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/03/31(日) 16:59:49 ID:DI0H60Ug
岬父「岬太郎の父親、一郎です。太郎の知識を披露する機会が得られなかったところで、
   短いですが今週の投稿はここまでとさせてください。

ここから少しずつスパルタキアーダに向けての準備がはじまりますので、少々の補足をさせていただきます。

まずこの世界は地球上の人間皆、エスペラント語のような世界共通語を話しているという設定になっています。
その関連で「ジュニアユース」など、サッカーまたはキャプテン翼に関連する語句は
私たちの世界で聞きなじんでいる用語に統一されています。

どうかご理解をお願いいたします」


81 :キャプテン岬の人 ◆ma4dP58NuI :2024/04/07(日) 17:58:50 ID:zRuB8I0E
突然の申し出となりますが本日は、そして4月中はキャプテン岬の執筆をお休みさせてください。

私事ではありますが、仕事において4月に長期休暇が取れたため、
この期間を転職活動に宛てていきたいと考えております。
ご覧になってくださる方には申し訳ありませんが、どうか
今しばらくお待ちくださるようお願いします。

なお、その期間中に質問等がございましたら、回答できるくらいの
余裕はありますので、どうか遠慮せずにコメントなさってください。

もし順調に進んで執筆できるようになりましたら、連絡を行った後に
再び執筆を再開いたします。

82 :森崎名無しさん:2024/04/07(日) 20:33:42 ID:???
転職活動頑張ってください。それまで待っています

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