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【地獄合宿】TSUBASA DUNK 4【ふみいりました】
[27]TSUBASA DUNK:2008/11/05(水) 21:17:35 ID:CymFRDPM 翼「お世辞じゃないですよ。あなたの下でやってきたサッカーは戦術も作戦もあったもんじゃ なかった。だけど、全員で攻めて、全員で守って……みんなで1つのボールを追い回す ことの楽しさを知ることができた。幼少のころから戦術にこだわるのは悪いことじゃない。 でも、それよりももっと大切なことを学んだ。サッカーは楽しい、と」 城山「ふ〜ん」 翼「ま、俺の勝手な思い込みですけどね。へへっ」 翼が照れくさそうに笑う。本人の目の前で、その人がどれだけ素晴らしいか力説してしまったの だから当然の反応である。 城山「そりゃそうだ。俺はそんなに素晴らしい人間じゃないよ。ところで、翼。お前、サッカーが できなくなったらしいな」 めずらしく、城山が真剣な表情を見せる。 翼「はい。でも、だいぶ吹っ切れました。俺、高校に入ったらバスケをやるんです。そして、誰にも 負けないバスケ選手になるんです!」 城山「相変わらず熱いな、お前は。まあ、がんばれ。でも、あんまり気張りすぎるなよ。世の中には サッカーやバスケなんかより楽しいことがたくさんあるんだ」 翼「サッカーの監督がそんなこと言っていいんですか?」 城山「俺はダメ監督だからな。何を言っても許される。どうせ偉い人には相手にされないし」 えっへん、と威張ってみせる。
[28]TSUBASA DUNK:2008/11/05(水) 21:19:21 ID:CymFRDPM 翼「何があります?楽しいこと」 城山「そうだなぁ。異世界を冒険してみたり、巨大ヒーローになって怪獣と戦ってみたり、 スポーツ用品店のおねえちゃんにバールで殴られたり……」 翼「いったい、どんな夢を見てるんですか……」 さすがに翼も呆れる。 城山「これが現実だったら?」 城山がニヤリと悪ガキのように笑う。 翼「俺も体験してみたいですよ」 城山「言ったな?いつか、そんな夢の世界に連れていってやるからな。後悔するなよ?」 翼「最後のやつだけは勘弁ですよ。バールがどうこうってやつ」 城山「あれが一番手軽なのに……」 翼「ってゆーか、それは楽しいんですか?」 城山「ヒリヒリって言うか、ジリジリって言うか……生きてるって感じがするな」 翼「かほ○さんですか」 城山「お、分かるのか?中学生のくせに感心だな」 翼「普通は褒めませんよ」 その後も少し談笑し、翼は城山と別れた。なんだか心が軽くなった気がした。
[29]森崎名無しさん:2008/11/05(水) 21:49:29 ID:??? 城山…ちょっとジンときた
[30]TSUBASA DUNK:2008/11/05(水) 21:58:35 ID:CymFRDPM 翼「次は……」 翼が思い浮かべたのはマネージャーの中沢早苗だった。小学生の時、応援団長として 力いっぱい応援してくれたアネゴ。中学ではさすがに大人しくなったが、3年間、 マネージャーとして部員全員に平等に尽くしてくれた。翼のことを好きな気持ちを抑えつつ。 しかし、彼女が心の中に秘めたそんな想いに、いくら翼がサッカー馬鹿だとはいえ、 気づいていないはずがなかった。 翼「俺はきちんとケリをつけなくちゃいけない。男として」 部活の終了時間が遅くなってしまったときに家の前まで送ったことがあったので、 彼女の家までは道に迷うことなく着くことができた。しかし、インターフォンのボタンに 乗った指はそのままで、もうひと押しすることができなかった。 翼(俺は……弱い。傷つけることで、自分が傷つくのが怖いんだ。卑怯な奴だ。くそっ、 こんな男じゃ、俺のことを想ってくれていた彼女にも申し訳ないじゃないか!) 意を決するとボタンを押す。スピーカーの向こうから聞こえる「はーい、どちらさま ですか?」の声は早苗のものだった。 翼「マネージャー、俺だけど……翼」 翼が全てを口にする前に早苗が外に飛び出してくる。 早苗「翼くん!どうしたの?」 翼「うん、話があるんだ。少し歩かないか?」 早苗が玄関の鍵を閉めるのを待ち、2人で歩き始める。
[31]TSUBASA DUNK:2008/11/05(水) 22:00:13 ID:CymFRDPM 少し歩くと公園があり、そこのベンチに腰かけて話をすることにした。翼がサッカーができなくなり、 なんとなく疎遠になっていたサッカー部員たちの現況(と言っても、みんな一様に南葛高校へ進学する ために勉強中なのだが)などを話す。そして、次第に会話が減っていき、いよいよ本題へと移る。 早苗「今日はどうしたの?」 翼「ああ。もしかしたら、知ってるかもしれないけど、でも、きちんと自分の口で伝えておこうと 思って。……俺、中学を卒業したら神奈川県の海南大付属高校っていう学校に入るんだ。 ブラジルにも、南葛高校にも行かない」 早苗「そう」 早苗が知っていたのか、それとも知らなかったのか、翼には判断しかねたが、どちらにしても 全てを自分の口で伝えると決めていたので気にはならなかった。 翼「そして、俺はサッカーを止めてバスケを始める。まずは日本一のバスケットボール選手に なる。そのあとはどうするか決めていないけど、今の俺がやりたいことはそれなんだ」 早苗「……サッカーができなくなったから、バスケに移るの?」 翼「違うよ。俺はバスケが好きなんだ。そして、倒したくてたまらない、すごい選手たちが たくさんいるんだよ、神奈川には。きっと全国にも。すごく楽しみなんだ、そんな選手たちと 戦うのが」 早苗「ふふっ、な〜んだ、いつもの翼くんだ。もし、メソメソ泣きごと言ってるようなら久しぶりに アネゴに戻ってぶん殴ってやろうかと思ってたのに」 立ち上がって背を向ける早苗の目がうっすらと濡れていたことに翼は気が付けなかった。
[32]TSUBASA DUNK:2008/11/05(水) 22:03:03 ID:CymFRDPM 早苗「私、翼くんのことが好きだったの。今でも好きよ。でも、高校3年間も神奈川に 行っちゃうんじゃ、帰ってくるの待ってられないわ。だから、私が振ってあげる。 悔しかったら、私が応援団旗を持って神奈川まで駆けつけちゃうくらい、すごい選手に なりなさいよ」 顔は見えなかったが、震える声を聞いて、翼にも早苗が泣いていることが分かった。 翼「マネージャー……」 早苗「もう、マネージャーじゃないよ」 翼「早苗……」 早苗「今日は話をしにきてくれてありがとう。嬉しかった。私、帰るね」 そう言って、走りだした早苗を翼は追うことができなかった。ただ、背中に声をかけるのが 精一杯だった。 翼「俺の方こそありがとう!いつも応援してくれて!」 早苗が見えなくなると、翼も公園をあとにした。早苗が振り向かなかったことは翼にとって 幸運だったかもしれない。翼の濡れた頬を見られなかったからだ。 翼(本当にありがとう)
[33]森崎名無しさん:2008/11/05(水) 22:22:28 ID:??? 全陽一が泣いた
[34]TSUBASA DUNK:2008/11/05(水) 22:24:46 ID:??? 今日はここまでになるかもしれません。 う〜ん、早苗は難しかった。キャラが分からん。でも、自分にしては動いてくれた方かな。 次は美津乃か。大変そうなのを後半に回したせいで女性2人が連チャンになってキツイ…… 海南のマネージャーが男で本当に良かったかも。
[35]森崎名無しさん:2008/11/05(水) 22:25:59 ID:??? 乙でした。 難しかったといってもこれはすごい
[36]森崎名無しさん:2008/11/05(水) 22:27:05 ID:??? すげえ、かなり陽一っぽい
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0ch BBS 2007-01-24