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【新章】キャプテン森崎30【新天地】
[119]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:13:43 ID:??? ダダダッ! サンタマリア「イシーズ!」 バシッ!ダダッ! イシーズ「合点!返すぜ!」 バシッ! 森崎「ほう…」 サンタマリアが次々と的確な指示で味方を操り、チームを制御していく様は一種の機能美があった。 森崎が感心して唸っている間にもパルメイラスは徐々に攻め込まれていく。トニーニョも カルロスをマークしつつ味方に指示を送るが、対抗出来る程の効果は出せていなかった。 サァッ! ミラ「うっ!」 数分後、フラメンゴのウイングであるタルーツが右サイド深くで左SBのミラを振り切っていた。 それを見てすかさずサンタマリアが親指だけ上げた左手を振り上げつつ指示を出す。
[120]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:14:51 ID:??? サンタマリア「今だタルーツ!センタリングだ!」 森崎「こりゃカルロスに合わせてくるな…1点かな?」 タルーツ「(親指、つまりフェイク!左サイドだな!)分かった!行くぞカルロス!」 カルロス「了解だ!来い!」 サルサノ「く、くそーっ!取ってやるゥ!」 バシュウッ! 森崎「…えっ?」 タルーツはサンタマリアに言われた通りセンタリングを放った。 しかしそれはオーバーヘッドキックでも届かない程高いセンタリングであり、 カルロスだけでなく誰も触れなかった。決死の覚悟で飛び出したサルサノも含めて。 しかもより妙な事に、カルロスは合わせようとするどころか センタリングが上がった時点で逆走しPA外から出てしまった。 「これはミスキックなのか?」とパルメイラス側が思い始めた正にその瞬間。 逆サイドに走りこんだフラメンゴの左MFファリヤが「タルーツからのパス」をトラップした。
[121]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:15:29 ID:??? ネイ「げげっ!?」 トニーニョ「しまった、こういう事だったか!」 サルサノ「えっ、ちょっと待…」 サンタマリア「仕上げだ、ファリヤ!」 ファリヤ「おう!アシスト頂きィ!」 バコォン! ダダダッ、バッ! グワアアッ!! ファリヤがニアサイドに上げたセンタリングに、今度こそカルロスが合わせに助走をつけ飛び込む。 そして空中で体を一回点半捻りながらオーバーヘッドキックの体勢に持って行った。 カルロス「決める!」 バッギョォオオオオオオオオオオオオオオオッ!! トニーニョ「くうううっ!」 ヒュウウウウウウウウウン! ズバァアアアアアアアアアアアアアアッ!! トニーニョの必死のブロックも空しく、ボールは当然と言わんばかりにパルメイラスゴールに 突き刺さった。尚、フェイクに釣られて飛び出してしまったサルサノは棒立ちになっていた。
[122]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:16:16 ID:??? ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!! 森崎「あれは…山森が編み出したローリングオーバーヘッドか!だが、山森の物とは 威力もスピードも高さも比べ物にならねえ!成程、これがカルロス・サンターナか… それにサンタマリアは声で偽の指示を出しながらサインプレーをやっていた。侮れないな」 森崎はゴールを奪われたのが自分で無い事で精神に余裕を持ち、今のゴールシーンを 客観的に分析する事が出来た。しかし現場で戦っているチームメイト達は勿論少なからず ダメージを受けており、特にサルサノは末期ガンを宣告された患者の様な表情になっている。 サルサノ「そんな…」 トニーニョ「…落ち込んでいるヒマは無いぞサルサノ。それに今のは俺の指示ミスでもある」 ネイ「見事にやられたな…すぐにまた攻めるか、トニーニョ?」 トニーニョ「いや…あまり飛ばして乱打戦になるのも避けたい。まずはゲームを落ち着けよう」 トニーニョの指揮でパルメイラスメンバーはある程度士気を回復する。しかし堪能する間も無く リードが消えてしまった事で、彼らの顔から余裕が無くなっていたのも確かだった。
[123]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:17:52 ID:??? パルメイラス修行編:2年目3月その12 ピィイイイイ! 審判の笛で三度目のキックオフがなされ、パルメイラスがボールを回し始める。 するとそれを待っていたかの様にフラメンゴがグングン戦線を上げてきた。 サンタマリア「予想通りだ!DFラインも上がれ!」 カルロス「タルーツ、ビルセン、運動量を惜しむなよ!」 タルーツ・ビルセン『おう!』 ドドドドドドドッ! トニーニョ「やはりお見通しか…怯むな皆!パルメイラスのパスワークを見せてやれ!」 パルメイラスメンバー『おう!』
[124]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:18:29 ID:??? その後数分間パルメイラスはボールキープに成功していたが、積極的にプレスをかけてくる フラメンゴにじわじわと自陣内に押し込まれる。そして終にネイがサンタマリアに接近されてしまった。 サンタマリア「追いついたぞ…もらう!」 ネイ「何を!ドリブルは俺の18番だ!」 ネイファンの女の子達「頑張って〜、ネイ!」 ササッ!ザザッ!ダッ!クルッ! 様々なフェイントを矢継ぎ早に駆使するネイに対しサンタマリアは時間をじっくりとかけ守る。 だがここではネイの突破力がサンタマリアの守備力を上回り、やがてサンタマリアは抜かれた。 サンタマリア「くっ!」 ネイ「よし!トニーニョ、一気に…」 トニーニョ「駄目だネイ!今は…」 カルロス「もらった!」 バコッ! その直後、ネイはトニーニョとのコンビプレイを始めようとトニーニョにパスを出し…
[125]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:19:34 ID:??? ダダダッ、バッ! グルゥン、パシッ! スタッ。 ネイ「な…!」 森崎「守備力もたけえ…!」 ダッシュからのムーンサルトを行ったカルロスに一瞬でカットされた。 トニーニョ「い、いかん!サイドバック、中央に…」 カルロス「もう遅い!」 グワァアッ!! ゴールまでは30m弱の距離があったがカルロスは構わず大きく足を振り上げた。 大技の予感にフィールド全体に緊張感が走り、森崎も思わずベンチから立ち上がる。 森崎「むっ…ロングシュートか?」 ジェトーリオ「お待たせお出まし、カルロスくんの…」
[126]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:20:10 ID:??? カルロス「 行くぜ ミラージュシュート! 」 バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!! ビュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!! ドッガァッガァアアッ!! サルサノ「ぐわあああっ!?」 森崎「………!!」 ズバァアアアアアアアアアッ!ビリッ! 動体視力に優れない者達に見えたのは、一筋の閃光が通り過ぎた後に 何時の間にか倒れているサルサノと何時の間にか破られていたゴールネットだけだった。 森崎を含む動体視力が鍛えられた者達にはしっかりと見えていた。幾つにも分裂しつつ 空気を切り裂くボールがサルサノをゴミの様に蹴散らし、ネットを突き破ったのを。 ピィイイイイイイイイイイイイ! フラメンゴの追加点を告げる笛の音が静まり返ったフィールドに響き渡った。
[127]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:33:58 ID:??? パルメイラス修行編:2年目3月その13 森崎「さっきのシュートの威力…シュナイダーのファイヤーショットに匹敵するか?」 森崎は見たばかりのシュートを脳内で再生し分析し、そしてゴクリと唾を飲み込んだ。 森崎「ブラジルナンバー1、か…」 前半25分、パルメイラスは明らかに押されていた。1−2と逆転されてしまった上、 エース二人のコンビプレイがカットされてしまった事で攻め手を失いかけていたのである。 逆にフラメンゴは前線からのプレッシャーを更に増し、積極的に追加点を狙いに来ていた。 トニーニョ「もっと走り回れ!スタミナを惜しんでいたらフラメンゴには勝てないぞ!」 トニーニョの必死のゲキで戦況はなんとか膠着状態に陥っていたが、それだけではジリ貧なのは 火を見るよりも明らかだった。それを見透かしたかサンタマリアがトニーニョに近寄ってくる。 サンタマリア「無駄だトニーニョ。お前もそれをわかっている筈だ」 トニーニョ「なにィ!」 サンタマリア「俺は常日頃から自分より遥かに格上の天才を使わなくてはならないんだ。 司令塔勝負でお前が俺に勝てる道理は無い。いや、勝たせてなるものか」 トニーニョ「…お前の挑発に乗る程愚かじゃない!」
[128]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:35:08 ID:??? ダダッ! バシッ! バコッ! トニーニョはダッシュでサンタマリアを振り切り、味方から奪い取る様にボールを受けると すぐさま前方に居たネイにパスを出した。がむしゃらさが逆に有利に働いたか、 このパスはカルロスのカットをもかろうじてかいくぐり見事ネイに届く。 カルロス「ほう、流石だな」 トニーニョ「(頼むネイ…なんとか流れを変えてくれ!)」 ネイ「(分かっているぜトニーニョ!それに俺はあの外道にリベンジしたいんだ!)」 ダダッ!バババッ! フラメンゴメンバー「うっ!」「なにィ!」「そんなァ!」 ネイファンの女の子達『キャーーー!ネイ素敵ぃい!!』 パスを受けたネイは単身ドリブルで上がり、次々とフラメンゴの選手たちを抜いていく。 そしてフラメンゴのPAまで後僅かと言った地点で、リベロのジェトーリオが立ちはだかった。 ジェトーリオ「待っていたよネイく〜ん!君に会いたくてしょうがなかったんだから〜♪」 ネイ「失せろ。いやむしろ死ね」 森崎「お、終にあの二人の勝負が見れるか?」 軽口を叩き合いながら二人の足技の牽制合戦が始まる。 そしてネイ同様優れたドリブラーである森崎はすぐにおかしな事に気付いた。
[129]マロン名無しさん:2008/12/28(日) 19:35:53 ID:??? 何時もはフェイントを連発してさっさと抜きにかかるネイが、今回は長く時間をかけて 睨み合いをしているのだ。対するジェトーリオの方は上半身の動作がやや目立つ物の 大したプレッシャーを発している様には見えず、ディフェンスもそれ程上手そうには見えない。 森崎「ん?なんだこれ…なんで時間をかけてるんだ、ネイは」 トニーニョ「(ネイ…)」 森崎が首を傾げかけた頃、ようやくネイが右とみせかけて左に走り出した。 釣られたジェトーリオは逆方向を向いており、このままネイが突破するかと思われた瞬間。 グイッ。 森崎「!」 ネイ「こ、このっ!」 パッ。 ネイが突如バランスを崩し、ボールが足から僅かだが離れてしまう。その隙を見逃さず ジェトーリオがボールを拾い、そのままサイドバックにパスを出した。 ネイファンの女の子達『え〜っ!?どうして〜?』 トニーニョ「くっ、やはりまたやられたか…!」 森崎「…今のネイの変な動き…ひょっとして、シャツを引っ張られたのか!?」 森崎の推測は当たっていた。ジェトーリオは審判に見えない角度からネイのユニフォームを 一瞬だけつかみ、ほんの少しだけネイの動きを止めていたのだった。
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0ch BBS 2007-01-24