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【三スレぶりの】森崎が幻想入り 9話目【サッカー】
[907]森崎名無しさん:2009/12/30(水) 23:57:22 ID:??? 賢者の石来るか?乙でした。
[908]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:10:06 ID:Eq9M9kec 一年の終わり、大晦日の紅魔館の朝。 レミリア「新年パーティーには、オセチリョウリを作って頂戴」 七花「……へ?」 七花の……いや、メイドたちの災難は、レミリアの唐突な一言から始まった。 〜紅魔館・メイド部屋〜 六花「……何でございますか、そのオセチリョウリというのは」 10分後。紅魔館のメイド部屋で、臨時メイド長である朔夜を囲んでの緊急会議が開かれていた。 他のメイドたちはそれぞれ仕事中ということで、集まったのは朔夜と六花と七花の三人のみである。 七花「料理よね、多分。……オセチ、というのが何かは分からないけれど」 事の発端はこうだ。 この間のクリスマスの日、レミリア達紅魔館主従はメリー家のクリスマスパーティーに招かれた。 ミスティアが歌い、騒霊楽団が演奏し、果ては酔ったアリスが人形芸を披露するなど、 それはもう大変な騒ぎだったのだが……まぁそれはさておき。 とにかく、そのパーティに大変満足したレミリアが、お礼にと今度は森崎達を紅魔館の新年パーティーに招待する事になったのだが……。
[909]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:11:15 ID:Eq9M9kec 七花「お嬢様はパチュリー様に聞いたそうです。『日本人は、お正月にはオセチリョウリという特別な料理を食べるらしい』って」 朔夜「和食ね。知っていそうなのは霊夢様か……あるいは、メイド長も」 六花「しかし、もう伺いに行っている時間は……。パーティーの時間まで、もう半日も無いでございますよ」 六花が時計を見ながらそう言った。 現在の時刻が午後一時、パーティーが始まるのは今日の深夜。今から神社へと向かっていたのでは、とてもではないが間に合わない。 メイド長こと十六夜咲夜に聞くのはさらに論外だ。彼女は今、諸事情により紅魔館を離れてメリーの家に住んでいる。 招待する客の家に行ってパーティーに饗する料理のことを聞くなど、出来るはずが無い。 朔夜「そもそもの発端であるパチュリー様に聞くのが一番良いのでしょうけれど、あまり煩わせたくは無いし……」 しん、と静まり返るメイドたち。そこに…… 六花「……美鈴」 七花「はい?」 六花「美鈴なら何か知っているのでは? なんとなく、ではございますが」 六花のその一言に、隣で聞いていた朔夜が大きく頷いた。
[910]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:12:31 ID:Eq9M9kec 朔夜「なるほど、確かに美鈴ならこういう事には詳しそうね。それじゃあ悪いけれど、二人で美鈴の所まで行ってきてくれないかしら? 私はその間に、他のメイド達を集めて台所の準備をしておくから」 七花「二人でですか?」 朔夜「そうよ。貴方、一人だとよくサボって漫画読んでたりするじゃないの」 朔夜の言葉に、何も言い返せない七花であった。 〜紅魔館・正門前〜 美鈴「オセチリョウリ……御節料理?」 紅魔館の正門前、いつものように太極拳をしていた美鈴は七花の問いに対してそう答えた。 六花「知っているのでございますか、美鈴?」 美鈴「日本の料理よね? 実物を見たことはないけど、本で読んだことならあるわ」 体操をやめ、メイドコンビの方へと向き直る美鈴。同僚の前なので、いつものように敬語ではなくタメ口である。 七花「そ、それでそれで? 一体どんな料理なの?」 美鈴「……そんなに身を乗り出さなくても教えるわよ。 御節っていうのは、そのまんま暦の節目……この場合は元旦に作られるからそういう名前が付いたらしいわ。 何でも、新年を祝うために縁起の良い食材で揃えるとか、作りおきがきくように腐りにくい方法で調理するとか……」 七花「(縁起の良い……トンカツとか? でも、トンカツは和食じゃないよね……)」
[911]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:14:04 ID:Eq9M9kec 六花「具体的な内容は判らないのでございますか?」 美鈴「流石にそこまではね。私も和食は滅多に作らないし……」 そう言って、何かを考えこむように美鈴が顎に手を当てる。 確かに美鈴は料理も嗜むが、作るものは主に中華料理。後は主が好む洋食と菓子作りを少々といった所だ。 故に、和食は本来なら完全に専門外であるのだが…… 美鈴「(春節料理じゃ駄目よね、流石に。とはいえ、私も日本の御節料理は本で読んだ程度の知識しか……本?) ……そうよ、本よ!」 七花「本?」 美鈴「ええ。私の読んだ本に、材料と作り方が詳しく書いてあった気がするわ。 尤も、私はそっちの方は別に興味が無かったから読んでないんだけど」 六花「その本は今何処に? 美鈴の部屋でございますか?」 美鈴「いや、私もチラッと目を通しだただけだし……。 あれは多分、大図書館の整理を手伝った時ね。だからきっと……」 七花「パチュリー様の所かぁ。……はぁ、これって最初からパチュリー様の所に行けばよかったんじゃ……」 はぁ、と大きくため息をつく七花。
[912]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:15:05 ID:Eq9M9kec 六花「文句を言っても仕方無いでございますよ。 ……さて、それでは私たちはパチュリー様の所へ行ってくるでございます」 そう言って、七花の襟首の後ろをぐいっと掴む六花。 美鈴「頑張ってね。料理、楽しみにしてるわ」 七花「そっちこそ、森崎様達の出迎えを……ぐえっ?! ちょっと六花ちゃん、お願いだからそこ引っ張らないでー?!」 美鈴「(……そうか、森崎さん達が来るんだっけ。何だか、森崎さんをこの門の前で迎えるのも随分久しぶりな気がするなぁ)」 ドップラー効果を残しながら再び館へと消えていく二人を見守りながら、美鈴はゆっくりと体操を再開した。 〜紅魔館・大図書館前〜 小悪魔「よぉ。珍しいな、どうしたんだ?」 館内にある大図書館の前まで来た二人を迎えたのは、 図書館へと続く扉に凭れかかりながら煙草……ではなく、シガレットチョコを銜えた短髪の小悪魔。 元々体のラインがあまり出ない服を来ている上にスレンダーな体型をしているため、 彼女を知らない人が見ると、非行に走った赤毛の美少年に見えなくもない。 七花「実は、妹様がまた脱走を……」 小悪魔「げ、マジか……?!」 七花の突然の言葉に、思わず及び腰になる小悪魔。だが……
[913]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:16:07 ID:Eq9M9kec 六花「……七花の嘘でございますよ。少々調べ物に来たのでございます」 小悪魔「嘘かよ……。全く、ビビらせやがって」 ほっ、と無い胸を撫で下ろす小悪魔。 この小悪魔、名前こそ悪魔だが非常に人が良く騙されやすいため、一部のいたずら好きの妖精メイドからは格好の標的にされている。 本人もそれについてはコンプレックスを感じており、 とりあえず口調と外見(シガレットチョコ)から悪人っぽくなろうとしているらしいのだが……今のところ、特に成果はないようだ。 小悪魔「……それで、調べ物だっけか?」 小悪魔が、思わず落としかけたチョコを銜えなおしながら聞く。 七花「うん。ちょっと本を探したいんだけど、良い?」 小悪魔「ちょっと待ってな。今パチュリー様に聞いてくるから」 小悪魔が快く頷いて図書館へと続く扉を開けた、その瞬間…… ドッッゴォォォォォォォォンッ!! 小悪魔「おおっ?!」 七花「きゃぁっ、何?!」 図書館の内部で突如爆発が起き、同時に内部に溜まっていた埃が一気に廊下へと吹き出てきた。
[914]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:17:22 ID:Eq9M9kec 六花「けほっ……こ、これは一体……」 埃がまるで煙幕のように舞い上がり、三人の視界が遮られる。 しばらくして視界がだんだん晴れてくると、そこにはなんと…… パチュリー「むきゅー……」 おそらくは埃と一緒に吹き飛ばされてきたであろう、図書館の主であるパチュリー・ノーレッジが目を回して気絶していた。 〜紅魔館・大図書館内〜 六花「何故に、こんな事になったのでございましょう……」 紅魔館の大図書館内部。 (出不精な部屋の主ががわざわざ設えた)部屋の隅にあるベッドにパチュリーを横たえてから、六花がそう呟いた。 派手に吹き飛ばされてきたものの特に外傷はなく、命に別状もなさそうだったので、とりあえずは寝かせておくことにしたのだ。 七花「魔法の実験じゃない? 派手な爆発だったし」 七花が首をかしげながらも答える。だが…… 小悪魔「あー、違うんじゃねぇかな。これはほら、アレだ……余興?」
[915]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:18:25 ID:Eq9M9kec 六花「……余興とは?」 小悪魔「ほら、人形遣いがクリスマスん時に人形使って芸やってだろ? アレ見てから何か知らんが妙に張り切っちまってな。 アイツにだけは負けられないとか言って、今日は朝からずっと、こそこそと何かの準備をしてたみたいなんだが……」 七花「……それで爆発?」 六花「花火でも上げようとしていたのでございましょうか?」 何が何だか判らん、といった顔の二人。 小悪魔「そこまでは知らん。まぁとにかく、こうなっちまったら俺はパチュリー様に付いてなきゃならん訳だが……。 お前らの調べ物って急ぎの用事なのか?」 七花「うん、一応お嬢様の命令で……」 小悪魔「お嬢様のか……仕方無い。俺はここから動けないから、二人で自由に探してくれ。 本当はパチュリー様の許可が要るんだが……まぁ、この様じゃあな」 小悪魔が、ベッドで静かに寝息を立てているパチュリーを見やりながら言った。 七花「ごめんね、後で私たちからも謝っておくから」 小悪魔「気にすんなって。 ……ほら、さっさと探してこいよ。何の用事かは知らんが、あんまり遅くなっちゃマズイんじゃないのか?」
[916]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:20:09 ID:Eq9M9kec 七花「……げ、そうだった。それじゃあ行こっか、六花ちゃん」 六花「そうでございますね。……それでは、また」 六花達が小悪魔に別れを告げ、乱雑に並んでいる本棚の方へと駆けてゆく。 紅魔館の大図書館はその名に恥じず、普通の人間が迷い込もうものなら遭難しかねない程の蔵書量を誇るのだが、 普段から図書館の整理の手伝い等をしている二人は、案内無しにさくさくと目的の本を探してゆく。 七花「料理の本って言ったら……だいたいこの辺りだよね」 やがて、それまで走っていた七花が一つの本棚の前で止まる。 六花「……また随分な量でございますね。地道に探すしか無いのでございましょうが」 本棚を見上げながら六花が言った。 この図書館の本棚は、ただ数が多いだけではなく、その一つ一つが天を突かんばかりに高いのだ。 妖精である二人はスピードこそ出ないものの空を飛べるので、 高いところにある本が取れない、といったような問題はないのだが……。 七花「(とはいえ、これだけ並んでると……ねぇ)」 七花がうんざりした表情を浮かべながら、それでも本棚の一番上の列から物色を開始する。 七花「『かき氷三代記』……関係ない。『世にも奇妙な魚肉ソーセージ』……気になるけど後回し。 『泳げ! たこ焼きくん』……シュール。 『日本ハムファ○ターズ』……って、料理の本ですら無いよね、これ」 規則性無く並べられた本を一々見分しながら見て回る七花。すると……
[917]森崎in幻想郷 ◆WoDqDt9wrk :2010/01/03(日) 23:21:10 ID:Eq9M9kec 六花「……七花! 見つけたでございますよー!」 七花「わかった、ちょっとまってー!」 下の方の段を探していた六花の声に反応し、下へと降りる。 六花が少し誇らしげに差し出した本の表紙には、『伝統料理に見る歴史の闇 民○書房刊』と書かれていた。 七花「り、六花ちゃん……これ? 何だか怪しげなんだけど……」 六花「確かに、表紙からは何やら不穏な雰囲気が漂っていますが……ほら」 そう言って六花が本を捲り、ページの一つを指差す。と、そこには…… 七花「確かに書いてある……。材料も、レシピも。……でも、これ……」 最初こそ目を輝かせた七花だが、次第にその表情が曇ってくる。 六花「……どうしたのでございますか?」 七花「材料がちょっと……。厨房に無さそうな、特殊な物が必要みたいなの。 海老やお魚はともかく、黒豆やニシンの卵なんて……」 六花「……というと」 七花「……作れないって事だね。今から人里に買いに行っても間に合わないし。 はぁ、結局無駄足かぁ。怒られるかもしれないけど、ありのままをお嬢様に報告するしか無いわね」 レミリアから食らう大目玉を想像し、頭を抱える七花。 かくして御節料理を巡る騒動は幕を閉じた……と、思われたのだが。
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0ch BBS 2007-01-24