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【井の中の虎】キャプテン森崎34【大海を知らず】
[434]創る名無しに見る名無し:2009/12/19(土) 15:33:46 ID:WD8tQ+Wz 偉大なるマンネリという言葉もあるし、コメント楽しみにしていましたが… 最終的には2ねぃさんの判断におまかせします。
[435]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 19:56:25 ID:2qvOeyPT 意見有難うございます。参考にして今回の結果発表はちょっと違う形にしてみますね。
[436]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:04:29 ID:2qvOeyPT 森崎と三杉が戦力計算に励んでいた頃、葵が何をしていたのかと言うと… かぽーん。 葵「はぁ〜…」 つま恋の設備の一部である温泉に漬かってため息をついていた。先ほどまでは 体を清める選手達でごった返していたが、一人また一人と居なくなり葵の他に 今この場に居るのは少し離れて漬かっている松山と体を洗っている最中の山森と新田だけだった。 松山「いや〜、長い様で短い合宿も後1日だけか。明日目一杯使って疲れを取らないとな」 葵「そうですね…」 松山「これだけ至れり尽くせりの合宿所を用意してもらったんだから、無様な試合は出来ないよな」 葵「はい…」 松山「………?」 なだれ攻撃がチーム戦術の一つに取り入れられた事で今日の松山は珍しく機嫌が良かった。 逆に葵は何時もの彼らしいハイテンションが影を潜めており、他者の気持ちを察する事が苦手な松山でも気付く程だった。 山森「何か悩んでいるのか、葵くん」 二人の会話が途切れたのを見計らい山森が話しかける。 葵「…分かる?」 新田「そりゃあ普段やかましいお前がそんなに静かだったらな」 葵「…だろうな〜。はあ…」
[437]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:04:47 ID:2qvOeyPT 松山「まさかまだ次藤にイビられているのか?だったら俺が…」 葵「いえ、次藤さんはメシを奢ったらあっさり許してくれました。その後は特に何も言ってきません」 松山「じゃあ…森崎か三杉が何か?」 葵「森崎さんも三杉さんも良くしてくれます。普通に話しかけてくれますし、アドバイスも貰えますし…」 山森「…さしずめ、チーム内の空気が不穏で想像していた日本代表との ギャップに苦しんでいる…そんな所か?(昔の俺みたいに)」 ザバアッ! 葵「そう、それだよ!流石山森くん、同じ気持ちだったんだな!」 そのまま松山の推測が外れ続ける中、山森は一言でズバリと葵の悩みの内容を言い当ててみせた。 共感を得られて感極まった葵が勢いよく湯の中で立ち上がる。 しかし山森の次の一言は彼を傷つける物だった。 山森「原因の一つが何を言っているんだか…」 葵「えっ…」 松山「おい山森!」 山森らしからぬ冷たい皮肉に葵は棒立ちになる程のショックを受け、すぐに松山が抗議を発する。 山森もしまったと言う表情になるが発言を撤回したりはせず、重苦しい沈黙が場に満ちる。 新田「まあまあ松山さんもそういきり立たないで…ここは抑えて下さいよ」 松山「む…だが山森の今の発言は見過ごせないぞ」
[438]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:05:25 ID:2qvOeyPT 新田「しょうがないですよ。俺も気持ちは同じですから」 葵「新田くんまで…」 苦笑しながら松山を宥める新田の言葉に葵は更にショックを受け項垂れながら座りなおした。 それを見た山森はしばし目を瞑り言葉を選んでから再び口を開いた。 山森「確かにこの世代の日本代表はとてもじゃないけど和やかな雰囲気とは言えない。 森崎さんと日向さんの対立は誰の目にも明らかだし、仲が良い相手同士でも衝突が起きる。 三杉さんみたいに頭が良すぎて何を考えているか分からなくて怖い人も居る。 それどころかキャプテン候補になる様な人は例外なく誰かから恨みを買っている。 この合宿には参加していない翼さんや若林さんも含めてね」 葵「あの翼さんまで!?とても信じられないよ!」 新田「ところがあるんだな、これが。あの人は天才肌だからな、天才じゃない人から恨みを買いやすい」 葵「そんなの…そんなのただの妬みじゃないか!山森くんも新田くんも俺を妬んでいたって言うのかよ!」 松山「あ、葵…」 葵「そんなので…どうやってチームが一つになれるって言うんだよ!」 次第に激昂してきた葵がポロポロと涙を零し山森と新田を糾弾する。 それに対し山森は再び目を瞑り静かに語った。 山森「確かに…Jrユースの頃から何回もチームは分裂しかけた。チームワークや戦術が乱された事もある」 葵「だったら!」 山森「だけどチーム内の争いで個人の能力が増して行ったのも事実なんだ」 葵「…へっ?」
[439]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:05:42 ID:2qvOeyPT 予想外の方向に話が進んで行き素っ頓狂な声を上げる葵。ここで畳み掛ける様に今度は新田が口を開いた。 新田「葵、お前キャプテン経験あるか?」 葵「へ?あ、うん、中学三年の時だけ…」 新田「じゃあ…レギュラーを決める時とか、スタメンを決める時とか、歯向かわれた事はあるか?」 葵「ええと…不満そうな顔をされたり、ちょっと文句を言われる事はあったけど、すぐに納得してもらえたよ」 山森「…南葛とは大違いだな。俺がキャプテンをやっていた時は何時も悩まされていたよ」 葵「そりゃあ、天下の南葛だから凄い選手ばっかりで悩むだろうけど…」 山森「凄い選手って、それだけプライドも高いんだよ。俺も含めてな」 新田「それでもキャプテンはスタメンを決めなきゃいけない。使い物にならない奴は切って捨てるしかない。 問題を起こした奴はそれでも使うか出番を取り上げるか難しい判断を迫られる」 山森「選手同士での争いが絶対起きないチームなんて無いよ。チームが強ければ強い程、な」 葵「(強いチームとそのキャプテン…そういえばあの時…)」 〜回想シーン〜 葵は過去一度だけ森崎率いる南葛中と戦った事がある。 それは彼が中学二年生の時行われた東海地区サッカーフェスティバルでの出来事。 当時日本最強の名を欲しいままにし全国V3を狙っていた南葛中が招待され 地元の中原中が親善試合を行ったのだ。
[440]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:08:17 ID:2qvOeyPT 戦力差は火を見るよりも明らかで、中原はFWとして起用された葵一人だけを前線に残し 残りの10人でなんとか南葛の攻撃を耐え切りカウンターを試みると言う作戦を取った。 しかしそこまでしても南葛相手には何の意味も無く前半だけで5−0と言う大差がついてしまった。 そして後半になっても状況が全く変わらない事、そしてそれに先輩達がまるで焦らない事に 焦れた葵は作戦を放棄し自らボールを奪い南葛のフィールダー達をドリブルで次々と抜いていった。 中原メンバー「やった新伍、キーパーと一対一だ!」 しかし後少しで森崎と一対一になれるかと思いきや翼が立ちはだかり… バキィッ! 中原メンバー「調子に乗りやがって身の程知らずのバカが!」 「たった一人で南葛からゴールを奪うなんて最初から無理に決まっているんだよ!」 葵はいともあっさりとボールを奪われてしまった。しかも作戦無視の罰として 選手交代させられ、ベンチ前で正座させられると言う屈辱つきで。 ピィーーーーーーッ! 中原メンバー「いやー流石南葛、強かったなァ」「お礼言いに行こうぜ!」「サインくれるかなあ」 葵「(何ニコニコしてやがるんだバカタレ!こんな試合をしてこんな大差をつけられてあんたらは悔しく無いのか! やめてやる、こんなサッカー部なんてもうやめてやる!サッカーなんてもうやめてやる!)」 最終的に0−11と言う結果になった試合後もまるで悔しがろうとしない先輩達の姿に葵は涙を流しながら 腸を煮え繰り返させていた。このままだったら葵は本当にサッカーをやめていたかも知れない。 森崎「このクズどもがァーーーッ!!」
[441]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:08:38 ID:2qvOeyPT 中原メンバー「ヒイッ!?」「ク、クズって…」「俺達の事?」 葵「(あれは…森崎さん?)」 ところが思わぬハプニングで葵は怒りを忘れてしまった。南葛中キャプテン森崎の大きな罵声が轟いたのだ。 葵の先輩達は一瞬自分達が標的かと思い身を竦ませたが、森崎がどやしつけていたのは自分のチームメイト達だった。 森崎「たった一人にポンポン抜かれやがって!なんだあのザマはァ!(もし失点していたら俺の大恥になっていたじゃねーか!)」 来生「ギャアーーー!」 滝「す、すまない!面目ない!」 井沢「恥ずかしいと思っている!」 石崎「(クソッキャプテンになってから森崎がますます横暴になったぞ!)」 高杉「(ど、どうにかこの出来事を森崎の失点に変えないと!)」 凄まじい大差で強豪ぶりを見せ付けた筈の南葛中がチーム内でモメている。 しかもチームメイト達も従順に叱られているとは限らず、中には敵意を込めて森崎をにらみ返す者も居る。 想像もしていなかった事態に葵は己の憤りも忘れてポカンと立ち尽くしていた。 葵「(な、何これ…南葛中の人たちってこんなに強いのにこんなに仲が悪いのか?)」 古尾谷「こら森崎いい加減にしろ!もう引き上げるぞ!」 森崎「俺は間違った事は言っていませんよ監督!こんなんじゃ全国V3なんて出来っこない!」 古尾谷「時と場合と言う物を考えろ!すみません、我々はもう失礼しますので!」 翼「ごめん、森崎はああいう奴なんだ。今日は試合有難う、楽しかったよ」 中原メンバー「あ、は、はい…」「どうも…(楽しかったって…)」「有難う御座いました…(この人5点も取ったんだよな…)」
[442]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:10:50 ID:2qvOeyPT 翼「12番、良いドリブルだったぞ。また会えるのを楽しみにしておくよ(こんな弱小チームじゃ全国には出てこれないだろうけど)」 葵「は、はい…」 森崎の剣幕、翼の親切さ、チーム内の荒れた空気。南葛中はその強さ以外にも様々な印象を葵に残していった。 〜回想シーン終了〜 葵「(そうだ…色々あって何時の間にか忘れていたけど、あの時の南葛中の雰囲気にはビックリしたんだ。 ひょっとして今の全日本ユースの雰囲気と同じ物だったのかな…)」 新田「まあ何が言いたいかって言うと…よっと」 ザバア。 松山「新田、湯船に入る時はタオルは外せよ」 新田「おっと、すみません。まあなんだ、お前だって妬みの対象なんだよ葵。今のメンバーではズバ抜けているからな」 葵「………」 新田「だけど愚痴を言うだけじゃ実力は上がらないからな。お前からスタメンを奪う為に 俺も山森も必死になっている。それが俺達の、そしてチームの力を上げているんだ」 葵「でも…だからって、俺は新田くんや山森くんとケンカなんてしたくないよ…」 山森「この程度の意見のぶつけ合いをケンカだなんて言っていたらサッカーは出来ない」 葵「!!」
[443]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:11:51 ID:2qvOeyPT 松山「山森!どうしたんだよ今日は、お前らしくないぞ!」 何時に無く冷たい態度を取る山森に葵は恐怖に似た視線を抱き、松山が驚きと共にたしなめる。 それでも口をへの字に結ぶ山森に新田は苦笑いを抑えられなかった。 新田「まさか俺がこんな役割に回るなんてな…山森に言いたい事を全部先に言われちまった。 けどな葵、山森がこんな事言うのはお前にそれだけ期待しているからでもあるんだぜ」 葵「俺に…」 新田「厳しい事言っているけど、大丈夫。お前の事を嫌っている訳じゃないし、 いざ試合になったらお前と素晴らしい連携をしてみせるだろうさ。山森はそういう奴だ」 山森「………」 新田の解説に恥ずかしくなったのか山森はそっぽを向いて再び湯を被った。 同年代の二人の様子に葵は段々と気が晴れた表情になっていく。 葵「…なんか頭グチャグチャで分かんなくなってきたけど…」 新田「けど?」 葵「俺…とにかく頑張るよ。試合に出られたら全力でプレイする!それが俺が全日本ユースに出来る一番だから」 山森「…試合に出たら全力でプレイするなんて当たり前だろ」 葵「あうっ」 松山「山森、お前な…はあ」 新田「(俺は山森にここまで特別視してもらえるお前が羨ましいよ、葵)」
[444]2 ◆vD5srW.8hU :2009/12/19(土) 22:12:13 ID:2qvOeyPT 葵「もう、キッツいなあ…ところでお湯に漬からないの?」 山森「俺は良い…タオルを取るのが嫌だから」 葵「は?」 松山「なんだそりゃ。男同士で恥ずかしがる必要なんて無いだろうに」 新田「こいつの癖なんですよ。風呂に入る時誰かに見られている気がするって言って…」 同時刻の某所。 琴音「ああああ〜…山森くぅ〜ん…最近ちょっと痩せたね、ちゃんとご飯食べてる〜?」 ゾクゾクッ! 山森「ううっ!?」 松山「ほら、震えてるじゃないか。早く入れよ」 山森「い、いえ結構です!もう上がります!」 松山「あ、風呂場で走ると…」 ダダッ! ツルッ! スッテーン! 山森「いたっ!」 松山「ほら見ろ。言わんこっちゃない」
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0ch BBS 2007-01-24