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【サッカー少年】キャプテンEDIT【奮闘記】
[420]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:13:16 ID:wrEhdtps 〜6月最終日曜・練習試合〜 梅雨明けの晴れ渡った空の下、市営グラウンドにて、とある中学サッカーの練習試合が始まろうとしていた。 両雄の一方は氷潤中学サッカー部。県大会でも安定した戦績を誇る、中堅クラスの実力を誇っている。 そして、もう一方は鳴紋中学サッカー部。県内一二を争う、強豪中の強豪校であった。 実況「さァ、皆さんお待ちかね。鳴紋中学対氷潤中学の練習試合の日がやってまいりました! 鳴紋中サッカー部にとっては、圧巻の成績で優勝した昨年度秋季大会以来の試合となります。 秘密のヴェールの向こうに王者の実力は未だ健在なのか? はたまた氷潤中が中堅の意地を見せるか? 注目の一戦です!」 観客「ウオーッ!!」「キャー、アズキザワサーン!」「瀬川ーっ! 彼女を返せーっ!!」「えーっ、おせんにキャラメルー♪」 スピーカーから流れる音声と、フェンスの向こうに詰めかけた人数に、大前は口の端をひくつかせる。 大前「……なんで中学サッカーの練習試合に、実況と観客がいるんです?」 早瀬「ウチのサッカー部は人気があるからな」 大前「その一言で済むんですか?」 比良山「まあ、いいじゃないか。応援されるのはいいことだ」 雪村「練習試合でこの盛り上がりかー。やっぱり鳴紋は凄いなー。僕、ここに入ってよかったよ」 落田「へへっ、人が集まってるんなら丁度いいぜ。この俺のスーパープレイで観客を魅了してやんよ!」 本多(落田じゃ無理だろ) 渡会(落田じゃ、ねえ?) 小豆沢「さあ、みんな。まずはロッカールーム入りしてミーティングだ。今年最初の試合、気合いを入れていこう!」
[421]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:15:31 ID:wrEhdtps 部員一同「「はいっ!」」 意気揚々と会場入りする鳴紋中サッカー部の面々。 それをじっとりとした視線で見送るのは、対する氷潤中のサッカー部員たちだった。 敵の9番「ちっ、大物ぶりやがって」 敵の10番「俺らだって同じ中学生なんだ……なのにこの差はなんだって言うんだ」 試合前から、観客たちは鳴紋の楽勝ムード一色であった。それが彼らを暗澹たる思いに沈ませている。 少年の声「実力の差、なんじゃねーの?」 氷潤中一同「なにィ!?」 背後からの揶揄に、氷潤中の部員たちが振りむく。そこには、一人の少年が薄ら笑いを浮かべて佇んでいた。 敵の6番「誰だ、お前は!?」 金成「おっと、失礼……俺は清栄学園の金成。1年だ」 敵の9番「けっ、1年坊かよ。こわ〜い先輩方に言われて、偵察のおつかいかい?」 金成「偵察は当たりだけど、それ以外は大外れだな」 敵の10番「はぁ?」 金成「ウチの先輩方は腕前も見る目も頼りなくってね。わざわざ俺が骨を折る羽目になったんだよ」 金成の言葉は、口調も内容も不遜そのものだった。 だが、氷潤中サッカー部の中に、それをまともに取り合うものはいなかった。
[422]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:16:32 ID:wrEhdtps 敵の8番「ははははっ! こりゃいいや。だとしたら、今年の清栄は大したこと無さそうだ!」 敵の6番「清栄の2、3年は頼りにならないか! 傑作だな。その情報に免じて、さっきの舐めた口は帳消しにしてやるよ」 金成「(救いようの無い雑魚臭さだな。コイツラでどこまで鳴紋の本気を引きだせるものやら……)ま、頑張ってくれよ?」 弱者への憐れみの情と、偵察が期待外れに終わりそうな予感に、金成は彼にしては珍しくあっさりと引き下がった。 踵を返し、観客の集まるフェンス裏へ向かう。 敵の9番「言われるまでもねえよ」 敵の10番「……へっ、ふざけたガキだったぜ。よ〜っし。初っ端に妙なケチがついたが、相手の鳴紋中は今年初試合だ。 試合勘を取り戻さないまま俺たちとやり合おうっていうナメた考え、思いっきり叩き直してやろうぜ!」 氷潤中一同「「応ッ!!」」
[423]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:18:10 ID:wrEhdtps 〜ロッカールーム〜 ホワイトボードの前に立ち、飯地監督が口を開く。 やす子「よし、みんなきけ。今回の試合は3-4-3・1Vという陣形で戦う」 −−H−− F−−−J −−I−− E−−−G −−D−− B−−−C −−A−− −−@−− 比良山「3トップに3バックですか。攻撃的な布陣ですね」 やす子「ウチは少数精鋭で層が薄いから、どうしてもタレントが偏っちゃうのよね。 現状、FWとMFが売るほどいて、DFが全然足りない。3バックの上に急造DFも含むオーダーになるわ。 守備にやや不安があるけれど、前線と中盤で積極的にプレスを掛けて補ってちょうだい」 小豆沢「じゃあ、今日のオーダーを発表するよ。今回の練習試合は大会前に3度を予定しているうちの初回。 そこで、この試合を大会に向けたスタメン選抜の場として利用する。今回は去年までのスタメンは一切使わない!」 早瀬「なにィ!?」 瀬川「えーっ? 俺の出番はー?」 ザワザワ……。
[424]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:19:47 ID:wrEhdtps 小豆沢「静粛に! ……勿論、練習試合とはいえ、むざむざと負けるつもりはない。 僕ら正規のスタメンは、前半は様子見に回る。けど、危険を感じたらすかさず交代を行うので、そのつもりでいてくれ」 豊原(元々メンツが少ないチームだ。去年までのスタメンを外すと――) 本条(――大部分が1年、か。この試合、大丈夫なのか?) 柿原(予想通り、2年を中心にゴタついているな。その分、今年の1年の真価をはっきりと見せつけられるというものだが。 この試合のカギを握るのは、超1年生級の雪村、比良山、本多。そして、最近成長著しい『アイツ』だな……) 采配に不安を抱くもの。まったく不安を抱かないもの。胸中はそれぞれであるが、ともかくミーティングは続く。 小豆沢「まず、図のJ。右ウイングは比良山」 比良山「はい」 大前(やっぱり、比良山は実力を評価されてるな……流石だぜ) 小豆沢「トップ下のIは雪村」 雪村「はーい!」 大前(2年を押し退けて中盤の花形トップ下か。ていうか、こんな時くらいまともに返事しろよ) 国岡(雪村がトップ下か。けっ、面白くねえ)
[425]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:22:16 ID:wrEhdtps 小豆沢「センターFWのH、大前」 大前「(センターFWはオオマエか。聞いた覚えが無いけど、どんなヤツだったっけ? オオマエ……大前……って)お、俺!?」 国岡(なにィ!?) 小豆沢「? 大前、どうかしたのかい?」 大前「え、いえ……俺を出して、いいんですか?」 疑問を口に出す大前の声は、震えていた。 入学初日、鳴紋中サッカー部のレベルの高さに自信を砕かれ、一度は入部を諦めかけた。 入部後も周囲との実力差に悩んだことは一度や二度ではない。 レギュラー入りは来年か再来年か。漠然と、そんなことを考えていた。 それなのに、練習試合とはいえ、攻撃の中心となるセンターフォワードでのスタメン起用である。 とても信じられることではなかった。 小豆沢「そんなに緊張しなくてもいいよ。練習試合なんだしね。ウチの部以外の連中とぶつかって、今の実力を試してくるといい。 それで相手に力及ばなくても、ベンチには早瀬がいる。安心して試合に出なよ」 早瀬「っつー訳だ。なんかあったら俺がケツ拭いてやっからよ。チームの迷惑だなんだと考えずに、どーんと行ってこい。どーんとっ!」 小豆沢が優しく促し、早瀬が景気よく背を叩く。 それで、心が決まった。 大前「はいっ、やらせてもらいます!」 小豆沢「うん。いい返事だ」 菱野(大前さん、おめでとうございます!) 思い人の小さな快挙に、マネージャー菱野の顔も僅かに綻んだ。それに気付いた者は、そう多くなかったが。
[426]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:24:31 ID:wrEhdtps 早瀬(マネージャーもすっかり喜んじまって……気張れよ、大前。ちっぽけな試合だが、男の見せどころだぜ?) 雪村「やったね、大前君! 一緒に中学デビューだよ!」 国岡(くそっ、やっぱり大前の野郎、贔屓されてやがる! 鳴紋中のセンターフォワードだぞ!? この街に育った子どもの憧れのポジションが、何でぽっと出のヨソ者野郎の手に渡るんだ!?) 小豆沢「えーっと、続けていいかな? 次、右サイドハーフのGは瀬川。 去年はスタメンとベンチ半々だったけど、今年はスタメンに定着できるようにね?」 瀬川「やっほー! 無いと思ってた出番があったぜ! サンキュー、大豆沢さん♪」 小豆沢「……それと、自分のチームのキャプテンの名前くらい覚えること。次、左ウイングのFは篠田!」 篠田「オッス!」 大前(この人は確か、2年生じゃ早瀬先輩に次ぐストライカーだったっけ? あまり、よく知らないんだよな) 小豆沢「左サイドハーフEは長池だ」 長池「はい!(去年はキャプテンとのポジション争いに惨敗だったからな。今年こそスタメン入りだ!)」 小豆沢「ボランチのDは本多!」 本多「はい(初試合から希望ポジションか。有り難い)」 国岡(MFの発表が終わった……お、俺はベンチでデビューになるのか? 大前が出ているのに?) 小豆沢「DFの発表に移るよ? サイドバックはC豊原、Bは……国岡!」
[427]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:26:49 ID:wrEhdtps 豊原「はい(DFが専門だった人らは卒業して大方抜けた。実質、今年からはスタメン確定みたいなものだったが)」 国岡「お、俺がサイドバック起用、ですか?(……出られないよりはマシだが)」 小豆沢「サイドバックは守備だけでなく攻撃の技術も必要だ。本職はMFだろうが、国岡の器用さなら問題無いだろう?」 国岡「……はい。やらせてもらいます(言い包められている気がしないでもないが、な)」 小豆沢「センターバックのAは末松!」 末松「ええええっ!?」 指名に驚きの声を上げる末松。彼の本職はフォワード。それもシュートをひたすら打つストライカーである。 センターバックは、彼にとってキーパーの次くらいに馴染みが薄かった。 小豆沢「このチームにはブロック要員が足りない。君の1年生離れした頑丈な体格が頼りなんだ。やってくれ、末松」 末松「は、はい〜。キャプテンの指示なら〜(けど、フォワードやりたかったなぁ〜)」 国岡(末松か……ポジション争いを餌にすれば、こっちに引き込めるかな?) 小豆沢「キーパーは本条、お前がやってくれ。来年に向けて、しっかり経験を積んでおいてくれ」 本条「はい(事実上のサブキーパー宣告か……今年は甘んじて受けてやる。けど、来年は――)」
[428]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:29:29 ID:wrEhdtps 大前(最終的なオーダーはこう、か) −−H−− H大前 F−−−J F篠田 J比良山 −−I−− I雪村 E−−−G E長池 G瀬川 −−D−− D本多 B−−−C B国岡 C豊原 −−A−− A末松 −−@−− @本条 小豆沢「ポジションの発表は以上。これからは作戦の発表に移る。 まず攻撃。配置図を見ての通り、サイドと中央のどちらからでも攻め込める。 が、相手には突出した攻め手はいないから、恐らくは4-4-2か5-4-1で守備を固めて防御重視でくるだろう。 サイド攻撃やポストプレイ、複数の攻撃パターンを使い分けて相手を突き崩すんだ」 やす子(あれ? いつの間にか、また私の仕事が取られてない?) 小豆沢「守備面は監督がさっき言ったように中盤のプレスが重要になる。 敵ボール時にはウイングもプレッシングに参加して、高い位置でボールを奪うよう心がけること。 ボールを取ったら、粗雑な縦パスは避けてショートパスで繋いでいけ。 まあ、指示はこんなものかな」 大前(俺には守備参加の指示は無しか。まあ、ほとんど練習してないから仕方ないけど) やす子「(ここだ、ここで発言だ!)相手は県大会中堅クラスのフルメンバーだけど、恐れることは無いわ。 私と小豆沢くんが鍛えた君たちが、たかが県の中堅ごときに負けるとは思って無いからね。 今日の試合で実戦での勝ちの味を知り、より強く育ってくれることを願うわ!」
[429]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/02/24(水) 23:31:52 ID:wrEhdtps 一同「「「応ッ!!」」」 飯地の檄に、今試合のスタメン全員が怪気炎を上げた。 選手一同、目に火が灯っている。 小豆沢(説明をキャプテンに任せながら、絶好のタイミングで存在感を示しチームの意気を上げる。 ……やっぱり、上手い監督だな) 早瀬(……認めるのは癪だが、監督としての実力は前任のあの女に匹敵するな) 菱野(い、飯地監督も強気な姿勢ですのね。でも、頼れる大人って感じで素敵ですわ) やす子(ホッ……良かった。今ので合ってたみたいだわ。「氷潤を凌辱するぞ」とかも候補だったけど、言わなくて良かったー) 本人の内心はともかく、飯地の檄はおおむね好意的に受け取られたようだ。 やす子「それじゃ、ゲームキャプテンは長池くんにお願いするね。オールラウンダーとして、攻守に長けたあなたに指示を託すわ」 長池「はい! わかりました!」 長池の手に渡ったキャプテンマークを、暗い熱のこもった目で見る本条。 本条(……来年は、アレを俺の手に握ってみせる。必ずだ)
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0ch BBS 2007-01-24