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【サッカー少年】キャプテンEDIT【奮闘記】
[956]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 01:58:21 ID:??? 審判「とにかく、試合を前にケンカは困る。君たちは中学生だ。小学生の様に、顔を合わせれば揉め事というのは考えものだな。 以後は注意すること。因縁のある相手というのは分かるが試合が荒れるような事態にはしないように」 雪村「はい……」 キャプテンである小豆沢が頭を下げたためか、審判は一旦矛を収める。 金成「こんなことになっちゃって残念だよ、雪村くん。本当にね――」 金成はそう言って頭を下げ、 金成「――退場しとけば、俺との勝負から逃げる言い訳になったのによ。本当に残念だったなあ?」 醜い笑いを浮かべて顔を上げた。 雪村「う、ぐっ……(が、我慢だ。ここで堪えないと、コイツと戦うことすら出来なくなる……)」 歯を食いしばり、怒りをこらえる雪村。 金成「(……この辺で十分か)じゃあな、雪村。ボールを持ったら、俺に近づかない方がいいぜ? はははっ!」 金成は満足げに笑うと、整列に戻る。 小豆沢「今年は随分と毛色の違う選手を出してきたね?」 清栄のキャプテン「……これもお前に勝つためだ」 小豆沢(『お前ら』ではなく『お前』に、か……標的は僕。とすると、相手の目的はマリーシア狙いか? 金成との接触プレイには気をつけるべきかな。いや、それを匂わせて動きを封じに来たというのも考えられる) 清栄のキャプテン(金成と監督はこう言えと言っていたが……何を考えているんだ?)
[957]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 01:59:52 ID:??? 金成(ひひひっ、順調順調……精々考え込め、小豆沢。俺が今の段階では勝てないと判断して、織り込んだ罠だ。光栄に思いな。 そして、じっくりと堪能してくれよ?) 一方、試合前のこの騒動は、観客席からも見えていた。 国岡「おーおー、なんか揉めてたなぁ今(ここで雪村もやらかしてくれれば良かったんだが)」 渡会「あいつは金成か。清栄に行ったって聞いていたが、相変わらずみたいだな」 大前(…………そういや、前に雪村が嫌なヤツだって言ってたっけ。くそ、嫌なこと思い出したぜ) 落田「なんか荒れそうな雰囲気だよな」 末松「気のせいだよ〜。どうせ小豆沢さんがなんとかしてくれるさ〜」 ベンチでは、飯地監督がしかめっ面をしながら、清栄の策を看破しようと頭を回転させていた。 やす子(考えろ……今大会初出場の1年生、試合前の挑発、マリーシアを匂わせるセリフ。これらの要素を突き合わせると……。 駄目、考えがまとまらない。一体何を企んでいるっていうの? 退場に追い込もうっていうなら、自分から明かす必要は無い。 わざわざマリーシアを警戒させたのが味噌な気がするんだけど……) 長池(……出られないのがもどかしい。あの清栄の1年の暗い目。絶対に何かをしかけてくる。 地獄を覗きこみながら、自分はそこには落ちないと思い上がっている目……気に入らないな) ともあれ、試合は開始の時刻となった。 実況「さあ、試合開始を控えて両校ともに配置につきます。……お? こ、これはどうしたことでしょう!? 清栄学園、不可解なフォーメーションを取ります!」 ざわざわ……。 あまりにも突飛な事態に、会場が騒然となる。
[958]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:01:02 ID:??? 観客「な、何考えてるんだ清栄は?」「そんなに鳴紋の攻撃が怖いのかよ!」 清栄応援団「さ、サッカー部は気でも狂ったのか? こんな試合を俺たちに応援させる気なのか!?」 清栄 −−@−− @清栄キャプテン − A B − E−C−D −FJG− −−−−− −−I−− I金成 −−−−− −−H−− −−H−− H早瀬 F−−−J F比良山 J瀬川 −−I−− I小豆沢 E−−−G E有末 G雪村 −−D−− D柿原 −B−C− B本多 C豊原 −−A−− A江崎 −−@−− @無辺山 鳴紋
[959]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:02:45 ID:??? ―観客席― 大前「ふぁ、5バックに3ボランチ!? しかも1トップだって!?」 渡会「正気かよ、清栄。どんだけ守りを固めても、これじゃ得点なんて覚束ないぞ……」 国岡「へっ! そんだけキャプテンたちにビビってるってこった!」 末松「それに〜、いくら防御が堅くても〜、点を取られる時は取られるんだな〜」 落田「しかも前線と中盤をほとんど放棄してるようなもんじゃないか。始まる前から飲まれてやがるよ。こりゃ駄目だな」 ―鳴紋ベンチ― やす子「な、何が何だかわからない……向こうさんの監督は、何を考えてるのよ!?」 菱野「か、監督! お、落ち着いてくださいませ!」 長池(不味いな……向こうの狙いは分からんが、こっちには動揺と侮りが生まれる。相手の策につけこまれやすくなるぞ) ―フィールド― 雪村「これが、金成の作戦? この腰の引けた布陣が?」 瀬川「なーんだ、ビビってんのかあいつら? あんな人数を集めただけのディフェンスなんて、俺のドリブルで最終一食だぜ!」 比良山「それを言うなら鎧袖一触です(……いかん。相手をなめてかかっている空気だ。 向こうは一人一人が俺たちと互角の清栄、見くびれる相手ではないというのに……)」 小豆沢(まずは一当たりして様子を見よう。情報が少ないまま挑むのは危険すぎる)
[960]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:05:08 ID:??? 金成(くっくっくっ……予想通り、こっちを過小評価するヤツと慎重になるヤツに二分されたな。まずは相手の意表を突く。 そうすれば、本当の策を実行するのに都合がよくなるからな。 だが、このフォーメーションの真の恐ろしさは、これから発揮されるんだぜ?) 実況「ま、まずは清栄の奇怪な布陣に度肝を抜かれましたが、ともかくキックオフです! 鳴紋中ボールから始まります。小豆沢くんの蹴り出したボールを預かるのは、FW転向した瀬川くん! 軽快なドリブルで攻め上がっていきます!」 瀬川「ふふんっ! 何人で守ろうと、全員抜いちゃえば同じだもんね! さあ、俺の美技に酔い痴れろぉ!!」 金成(こいつの対処法は、人数を掛けるしかないんだよな……) キックオフボールを受けた瀬川が、サイドを駆け上がっていく。それを駆けつけるでもなく見送る金成。 だが、ただ見過ごしたわけではない。すぐさま、背後のスリーボランチに指示を飛ばす。 金成「お前ら! 手筈通りにいけ!」 清栄の7番「言われなくても分かっている!」 清栄の11番「まずはこいつを何とかしなきゃ!」 指示に従い、自軍ゴールに向け逆走する二人。 実況「ああっと!? 清栄学園、三人のボランチをもペナルティエリア内に引き込み、完全防備の構えーっ! これはドリブル突破には厳しいぞーっ!?」 早瀬「な、なんだこいつら!? エリア内に8人だと? 固めるにもほどがあるぞ!?」 比良山「ですが、代わりにミドルシュートはほぼ完全にフリーで撃てます。ここは――」 瀬川「あいよ! ――キャプテン!」
[961]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:06:09 ID:??? 瀬川が一旦ボールを小豆沢に戻そうとした時、……金成が動いた。 金成「やっぱ、小豆沢に持ってくるよなあ!?」 瀬川「げ!?」 瀬川のパスボールを、空中で巧みにカットする金成。 そして、取ったボールは足元に落とし、ドリブルを開始する。 実況「おっと、ゴール前を固められた鳴紋中。ボールを中盤に戻そうとしたところをカットされました! 今大会初出場の金成くん、決勝まで温存されていただけのことはあるぞ!」 金成「へへっ、まだまだこれからさ!」 小豆沢「これから? それはこちらのセリフだ」 実況「小豆沢くんがすかさずチェック! 取られたボールは取り返すという構えです!」 金成(そうだよなあ。自分へのパスがカットされたってことは、当然カットした相手に近いのも自分。 しかも相手チームは守り人数を割き過ぎていて、中盤と前線にパスを出す先がない。 取りに行くのが、確実。けど、読み通りなんだよなあ……!) 小豆沢(なんだ、コイツの不敵な笑いは……? まさか、本気でマリーシアを狙っているのか!?) 小豆沢がそう思った瞬間、よろりと体勢を崩す金成。 僅かでもぶつかれば派手に転倒するだろう、危うい状態となった。 そうなると、強くチャージを掛けるのは得策ではない。 試合前にちょっとした騒動を起こして審判を煽っているのだ。すぐさま笛が鳴るだろう。 金成「へっ! 迷っちゃったな、小豆沢さん?」 小豆沢「なっ!?」
[962]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:08:09 ID:??? ポーン……。 小豆沢の背後のスペースに向けて、ボールを蹴りだす。 その気になれば小学生でも出来る、簡単なフェイント。 金成はそれを、奇策によって引き出した動揺と演技力をもって、県内最強と呼ばれるプレイヤーを相手に決めてみせたのだった。 実況「な、なんと小豆沢くんが抜かれたぁ!? 信じられません! 決勝の舞台とは言え、相手は年下の1年生! それが常勝・鳴紋の不動の10番を華麗に抜き去るぅ! すごいぞ金成くん!」 落田「あ、小豆沢さんが抜かれたぁ!?」 渡会「うるさいなあ、落田は。見りゃわかるよ」 大前(小豆沢さん、一瞬、よろけた金成に躊躇して、ボールから目が逸れていた。……なるほど、嫌なサッカーをしやがる) やす子(これが狙い? けど、それだけだと一回きりしか武器にならない。次は本当にマリーシアを仕掛ける? それとも、まだ他に狙いが?) 小豆沢「や、やられたっ……一連の行動はこちらの動揺を引き出すためのフェイクか! そ、それに攻め込む先は――」 金成「――それは当然、左サイド……そっちから見たら右だったっけ?」 雪村の守る右サイドに向けて、金成は駆けだす。 実況「金成くん、中央からサイドへと攻め口を変えます! そこを守るのは奇しくも同じ1年生、雪村くん!」 雪村「金成……僕が止めてみせる!」 金成「へへっ……いいぜ、来なよ雪村。改めて格の違いを教えてやるよ!」 好戦的に笑う金成。苛立ちのまま突っかかる雪村。 二人が交錯する一瞬、
[963]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:09:16 ID:??? 金成「……レッドが出ないといいな、雪村」 雪村「!?」 金成の呟きが、雪村を金縛りにした。 小学校時代経験した、金成のマリーシア。試合の流れが一変し、ボロボロの大敗を味わった。 あれからしばらくプレイには精彩を欠き、チームメイトに戦犯扱いの陰口を叩かれたこともある。 サッカーを純粋に楽しんでいた少年が味わった、初めての苦い記憶。 それが瞬時によみがえり、心と体を固く縛る。 金成「チョロいねえ、まったく!」 雪村「――あっ!?」 一瞬の隙を突き、スピードで抜き去った。 後には、呆然と立ち尽くす雪村だけが残される。 大前(なにやってんだ、雪村! 今のガチガチな動きはなんなんだよ!?) 実況「金成くん、またまた突破ぁ! チームメイトが守りを固める間、たった一人で鳴紋中を攻め立てます! この快進撃はどこまで続くのか!」 金成「まさか、ここまで図に当たるとはな。笑いが止まらな――あん?」 豊原「瀬川じゃあるまいし、ここで終わりだ!」 本多「これ以上好きにさせるか!」 柿原「観念しろ。ここまでだ」 実況「ここで金成くんに三人が向かう! ディフェンスに定評のある豊原くん、1年ながら守備に長ける本多くん、 ボランチ柿原くんと鳴紋の守備巧者がそろい踏みです!」
[964]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:10:16 ID:??? 普通ならば、絶体絶命の状況。だが、金成の余裕は崩れない。 金成「『ここまで』? そうだな、ドリブルはここまでにするか!」 豊原・本多・柿原「「「!?」」」 グワァァァァ…… 金成の脚が、高く上がる。 実況「ここで撃つのか!? 金成くん、ゴールまで30mの距離でシュートの構えです!」 豊原「なめるな! ブロックしてみせる!」 本多「ちっ! 厄介な仕事が回ってきたもんだ」 柿原「シュートだろうがなんだろうが、通さん!」 三人がかりで、シュートコースを塞がれる。 だが、金成は笑っていた。振り上げた脚を打ち下ろすのも、止めなかった。 金成「馬鹿正直にどうも! そらよっ!!」 バコンっ! ドシュっ! 蹴られたボールは、三枚の壁を避けるようにして飛んでいく。 だが、それは確かにゴールへ向かって飛んでいるが、枠を大きく横へ外していた。 柿原「なんだこれは?」 本多「パスにしちゃあ勢いがあるし、第一、あそこには誰もいないぞ」 豊原「ヤケクソでしくじったか?」
[965]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/07(日) 02:12:18 ID:??? 金成「……ひひひっ」 実況「ああ〜っと、金成くん、三人につかれて焦ったか? ミスキックです。ボールはラインを割り、ゴールキッ―― い、いえ! 違います! こ、これは!?」 江崎(鳴紋CB)「な、ボールが!?」 無辺山(鳴紋GK)「ま、曲がる――!?」 実況「こ、これはバナナシュートだァ!! 見事なパスカットから相次ぐドリブル突破、更にはバナナシュートまで! この1年生は規格外だ! 予期せぬ奇襲が、鳴紋ゴールを脅かす〜〜〜〜〜っ!!」 無辺山「ぐっ! ゴールは割らせん!」 鳴紋のGK・無辺山は、せめて軌道を逸らそうと必死に手を伸ばす。 ……彼の不幸は、ここまで強烈な変化を起こすシュートに慣れていないことだった。 鳴紋のシューターは、針に糸を通すような正確なコース取りのミドルシュートを持つ小豆沢と、 ダイレクトシュートを得意とする早瀬。いずれも曲げるタイプのシュートには暗い。 必然、彼らと練習する無辺山も、そうしたシュートには疎くなってしまったのだ。 無辺山(届く、何とか拳の先くらいは――) ググッ…… 懸命に手を伸ばす無辺山を嘲笑うかのように、ボールの軌道が変わる。 無辺山(なっ!? まだ曲がり終わって――) ザシュ! テン、テン、テン…… ボールがゴールネットに食い込み、やがて勢いを無くして地面に落ちた。
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0ch BBS 2007-01-24