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【真・東洋の】キャプテン森崎36【守護神】
[271]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 09:12:45 ID:pfL6302H 激戦続きの大会でファンの期待に応える結果を出した全日本ユースとそのメンバーに惜しみない賞賛が降り注ぐ。 疲れと痛みを飲み込んで戦い続けた森崎にとって嫌な光景の筈が無い。 シュゥウウウ… ズキッ! 森崎「(ぐっ、まだ時々痛むな…だがもう終わったんだ。次の試合までに治せば良い。 さ〜て、これで俺の全日本ユース正GKとキャプテンの座はほぼ安泰だ。負け犬さんでもからかってやるとするかね)」 だが森崎には観客の賞賛以上に楽しみな光景があった。憎い敵の悔しがる様子である。 万歳を繰り返し喜ぶ味方たちを横目で見ながらフィールドの中央に向かって歩いていると、 まず最初に目があったのはこの試合の終始に渡って彼に身に覚えの無い敵意を向けてきたポブルセンだった。 森崎「(おっ、良いねえその悔しそうな表情…ってあれ?)」 ポブルセン「………」ギリッ ザッザッザッザッ… 森崎「(なんだ逃げるのかよ、つまらないな。あいつは結局何がしたかったんだ?)」 ところがポブルセンは彼を歯軋りしながら睨みつけただけで、すぐに背を向けて離れて行った。 傷口に塩をなすりこんでやろうと考えていた森崎としては残念な事だが、 すぐにもっと大きな魚が二種類かかってきた為気にならなくなった。 カルツ「いやあ…負けた負けた。まいったわい」 若林「何故だ…」 疲れているが何処か気楽そうに見えるカルツと、まるで末期ガンを宣告された様な表情の若林である。
[272]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 09:13:05 ID:pfL6302H 森崎「よう、お疲れさん」 若林「…何故だ」 森崎「何がだ?」 若林「何故俺はお前に勝てん!何故お前が俺に負けんのだ!」 若林の声は喉の奥から搾り出してきた様な重く低い声であり、 その瞳はこの世の全てを拒絶せんばかりに暗い暗い色になっていた。 若林も分かっていた。彼の呪詛は森崎への勝利のファンファーレであり、 彼の怨念は森崎にとって勝利の美酒にしかなり得ない。 この試合の結果が逆だったら若林が森崎の敗北に酔いしれる事が出来たのだから。 それが分かっていても尚森崎に恨みをぶつけずには居られない。 これが若林源三の今の精神状態だった。 森崎「フッ…」 A 「ナイスゲーム。PKが無ければ危ない所だったぜ」思いっきり皮肉を込めて爽やかに微笑む。 B 「おい、ここを見てみろよ。それからお前の腕を見てみろ」自分のキャプテンマークを誇示する。 C 「敵が親切に敗因を指摘してくれると思うか?だからお前は甘いんだよ」突き放す。 D 「まあそう言うな。俺が出られない試合は頼むぜ?サブキーパーさん」挑発する。 E 「これで決着はつけたぜ。全日本はハンブルガーSVを超えた!」無視してカルツに話しかける。 F 「……………」敗者にかける言葉は無い。腕組みをしてひたすら睨み倒す。 http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて ☆2010/3/20 10:00:00☆ から投票期間を設けます。 そこから 20 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を 止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
[273]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 17:32:40 ID:pfL6302H >B 「おい、ここを見てみろよ。それからお前の腕を見てみろ」自分のキャプテンマークを誇示する。 森崎「おい、ここを見てみろよ」 若林「………?」 森崎「それからお前の腕を見てみろ」 森崎は自分の右腕に巻かれた腕章を指差し、それから訝しむ若林の腕を指差した。 無論そこにカルツの腕に巻かれているキャプテンマークなどある筈が無い。 だが若林には森崎の意図が伝わらなかったらしく彼の顔は苛立ちと混乱に覆われる。 若林「何が言いたい…」 森崎「これだけ言っても分かんないのか?それとも調査不足か? 俺はパルメイラスでもキャプテンをやってたんだよ。お前はそうじゃないだろうが」 若林「うっ…!?」 カルツ「そういえばそうだったのう。外国人でキャプテンに選ばれるのは難しかったろうに」 若林「う…う…!」 ならばと森崎が言葉を足すと、ようやく若林は雷に打たれた様な顔になって硬直した。 追い討ちをかける様にカルツが顎を撫で森崎に賛同すると若林は更に衝撃を受けて仰け反る。 森崎「キャプテンってのはなるべく奴が自動的になるんじゃない、なるべく奴が努力してなるんだよ。 俺はそれが分かっていた。お前はそれが分かっていなかった。最初から勝負になっていなかったんだよ」 カルツ「ま、そう言う事だな。GKとしてはともかく、お前さんがキャプテンシーでモリサキを超える事はあるまいよ」 若林「……………」
[274]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 17:33:48 ID:pfL6302H ザッザッザッザッ… やがて若林は帽子を目が隠れる程深く被り直し無言で去っていった。 その大柄な筈の後姿は森崎にはやけに小さく見えた。 森崎「フン…あいつと言いポブルセンと言い、負けた途端に尻尾を巻いて逃げるのかよ。 もっとみっともなく負け犬の遠吠えでもしてみせろってんだ」 カルツ「…お前さんも大概だのう」 森崎「ほっとけ。お前こそ自分のチームのGKをわざと落ち込ませる様な事言って良いのか?」 カルツ「なあに、あいつはああやって突き落としておいた方が伸びる性格だからのう。 もうしばらくは同じチームで付き合う羽目になりそうだし、また面倒を見てやるさ」 森崎「フン。最初こそ引き分けだったが、これからは何回やっても同じだぜ」 カルツ「やだやだ、ワシはもうお前らとはやり合いたくないぜよ。言い訳がましいのは覚悟の上で言うが、 全日本とやると何かツキが無くなるみたいだからのう。もう3回もやったんだし、4回目は勘弁だ」 森崎「違うぜカルツ。俺達が相手だと運が悪くなるんじゃない、運が悪いから俺達が相手になるんだ」 カルツ「どっちでも良いっての。それじゃ、達者でな。お互いプロとして頑張ろうぜ」 そしてカルツも短い砕けた会話の後にベンチに向かって歩き去った。 そのあまりに屈託の無い気楽な態度には森崎も矛を収めざるを得なかった。 森崎「ふぅ、もうちょっと誰かからかいたかったモンだが…疲れたからもう良いか。 後は表彰式を終えて…あ、記者会見もあるかな?面倒臭いけどやらなきゃな」
[275]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 17:34:05 ID:pfL6302H 森崎がカルツ、若林、ポブルセンと言ったハンブルグの主力たちを相手にしている時 彼らとは少し離れた場所でカペロマンは独自に全日本の選手達数人と交流していた。 カペロマン「やれやれ…まさかここまで試合から消されるとはな。 サッカー後進国と侮っていたが、お前らやるじゃないか」 中山「俺も人の事は言えん出来だったが、随分態度がでかいじゃないか」 早田「フン。シュートだけの奴なんか撃たせなければ良いだけの話だ」 次藤「その肝心のシュートも大してごつくなかっちゃおとろしくなかとね」 カペロマン「もっともだ。だから次があればお前達が何も出来なくなる様に 全面的にパワーアップしておいてやろう。ドリブルも、パスも、勿論シュートもな」 メッツァ「カペロマン〜、負けたんだからさっさと帰ろうよ〜」 ただカペロマンの態度は友好的ながら不敵と言う器用な物で、 中山らDF達も喧嘩腰に対応していた。お互いが挑発しあいながら 談笑する変わった光景に頭痛を覚えたメッツァが引き上げを促す。 カペロマン「お前こそ少しは闘争心を見せたらどうだメッツァ。 言っておくが、この試合の敗因はお前にだってあるんだぞ」 メッツァ「分かってるからもう帰ろうって。これ以上負けた相手にケンカ売る必要ないでしょ」 カペロマン「全く…チームメイトが腰抜けだから暇させてもらうぜ。さらば、全日本」 メッツァの嘆願は程なく功を成し、カペロマンは尊大でマイペースなまま離れて行った。 後に残された全日本ユースの選手達は顔を見合わせ肩をすくめて呆れ返るしかない。
[276]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 17:34:26 ID:pfL6302H 中里「彼奴め、敗者の態度ではなかったのう」 岬「まあ、チームメイトが彼を活かせていなかったのも事実だけどね」 石崎「それにしてもあいつと言いポブルセンと言い、ハンブルグって変な奴ばっかだな!」 松山「確かに。あのチームでキャプテンをやっているカルツは苦労しているだろうなあ」 フィールドの更に別所では山森が新田から労われていた。 二人の表情はお世辞にも明るい物ではなかった。 新田「ほら、タオルだ」 山森「サンキュー。汗らしい汗をかく機会も無かったけどな」 新田「…会心のジャンピングボレーだったのに、あっさり止められたな」 山森「…そういう事なんだろ。俺達の出番の少なさが全てを物語っている」 新田「確かに…今日俺が出ていてもなんの役にも立たなかっただろうな…」 山森「世界は広い。よーく分かったよ」 二人は先日の合宿とこの大会を通じて思い知らされた事があった。 それは即ち、今の自分達は世界レベルでは有象無象に過ぎない事である。 このままではこの先全日本ユースがどんな栄光を掴もうとも、 自分達はそれを見ているだけの側に回ってしまうだろうと気付かされていた。
[277]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 17:34:40 ID:pfL6302H 葵「山森く〜ん!お疲れ様!」 赤井「おい待て!俺用のタオルだろうがそれ!」 葵「あ、ゴメンゴメン。赤井もお疲れ様」 赤井「ついでみたいに言いやがって…」 そこに彼らにとって眩しく羨ましい存在である同年代の二人、葵と赤井がやってくる。 二人ともこの大会の主役とは言えないまでも今後のスタメンが高確率で期待出来るプレイを見せていた。 期待の年下組と言う立ち位置を奪われた山森と新田は心中穏やかでは居られない。 新田「なんだかんだ言って仲良いなお前ら」 赤井「いや、俺は好きでこいつとつるんでるんじゃないぞ!?」 葵「うえっ、ひっどい!なんでそんな事言うんだよ赤井!」 山森「騒がしいって所でそっくりだよ。気が合うんだろ」 葵「え?そうかな、えへへ…」 赤井「褒められてねえよ!どっちかっつうとバカにされたんだ!」 新田「(ノリが良くて憎めない連中だけど、俺達にだってこの年代だったら誰にも負けないって言うプライドがある)」 山森「(このままで終わるつもりは無いぞ。今に見ていろよ、葵、赤井)」 片桐達の思惑通りこの大会は多くの選手達に更なる成長を促していた。
[278]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 17:34:52 ID:pfL6302H だが成長を促す事は出来ても、それが原因で計算外の行動に出ようとしている者も居た。 他者との輪に入らず一人でベンチに戻ろうとしていた日向である。 日向「………ダメだ」 日向は万感の思いを込め小さく呟いた。彼は今、人生で初めて誰にも促される事無く自らを否定していた。 日向「(どうやら俺も甘かったらしい。このままじゃ世界なんか絶対に獲れやしねえ… もっと力が必要だ。どんなGKも捻じ伏せられるシュートが。世界を俺の前に屈服させる力が!)」 今まで彼が自分を脅かす危険性があると認めたストライカーは西ドイツのカール・ハインツ・シュナイダーだけだった。 だがこの大会に現れたラモン・ビクトリーノ、火野竜馬、クリストフ・ポブルセン、チェザーレ・ストラットらは 間違いなく彼と同等以上のストライカーだった。日向小次郎は世界一のストライカーではなかったのだ。 この大会は日向に自らを鍛え直す必要を切実に感じさせある決意を固めさせた。 そしてその決意に基づき彼は周りの存在を無視しロッカールームへ向かいだした。 見上「むっ。どうした日向、何処へ行く」 日向「憂さ晴らしをしてきます。どうせ俺が居ない方がマスコミ受けは良いでしょう? 問題児日向小次郎、また身勝手な独断行動。高まるファンの顰蹙、とか言ってさ」 見上「同時に私の管理能力も問われるのだがな…まあいい、この大会の閉会セレモニーは ささやかな物で後はキャプテンがトロフィーを掲げる表彰式だけだ。みつからない様に帰れよ」 日向「寛大な処置どうも」 若島津「(何か企んでいるな、あの目は)」 沢田「(日向さん…)」 反町「(やれやれ。今度は何をしでかすんだか)」
[279]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 17:37:44 ID:pfL6302H いったんここまで。 ここからは判定・選択無しのシーンが多くなります。
[280]2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/20(土) 18:26:30 ID:pfL6302H 十数分後、森崎は表彰台の上に立っていた。 満員の観客の前で優勝トロフィーを受け取り、それを観客席に向かって掲げ上げる。 実に森崎好みのシチュエーションである。 観客「カッコ良いぞ森崎ー!」「この調子でアジア予選なんかか〜るく突破しちゃってくれよ!」 「お前が活躍すればする程日本サッカーが盛り上がるんだ!」「森崎くん素敵ー!こっち向いてー!」 『もっりさき!もっりさき!もっりさき!もっりさき!もっりさき!もっりさき!もっりさき!』 森崎母「本当に立派になって…ううう、日本一どころか世界一なんて!」 森崎父「母さん気が早いぞ。あの子の世界挑戦はまだまだこれからさ」 放送「間も無く大会運営委員会会長の卯蔵武曽氏から優勝カップが森崎くんの手に渡されます! 誇らしい笑みと共に堂々と歩む森崎くん!彼の未来には一体どんな栄光が待ち受けているのでしょうか? 森崎有三の伝説はまだまだ始まったばかりです!彼と全日本ユースの更なる躍進が待ち遠しい!」 観客席に密かに座る両親が涙を流し、かつての学友達が狂喜乱舞し、 程度の差はあれどチームメイト達も祝福を送ってくれる。 更にライバル達も熱い視線を注ぎ、マスコミ関係者達が先を争う様に記録を残し、 実況と観客が我が事の様に言葉を惜しまず賞賛の雨を降らせてくれる。 誰にも咎められる事無く有頂天になりながら優勝カップを見せ付けられる。スポーツマン冥利に尽きる瞬間である。 森崎「(ふっふっふ、翼にリベンジできなかったのは残念だが…終わりよければ全て良しだ。 もう若林が俺の地位を脅かす事は無い。日向はとっくに捻じ伏せた。そして翼も今ここには居ない。 リオカップで負けた分はしっかり取り返した。この優勝カップがその証だ!見ろ!これは俺のもんだ!)」 ガシッ! グイッ! 森崎の腰が弾けたのはその瞬間だった。
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0ch BBS 2007-01-24