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【真・東洋の】キャプテン森崎36【守護神】
[424]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:35 ID:rpfx2XZy カイザーは走り出した。全日本ゴールに背を向けて。 カイザーはドリブルで向かった。ようやく立ち上がりゴール前の守りに参加しようとしていた三杉に。 三杉「な…なにィ!?」 カイザー「も一回空中遊泳を楽しみなァ!」 ドガアアッ!! 三杉「し…まった…ぐああっ!」 ドタッ! ガキッ! 日向も舌を巻くであろう程の強引なドリブルで吹っ飛ばされた時三杉は理解した。 オランダユースは接触プレイの連発で彼を潰しに来ている事を。そして自分は負傷してしまった事を。 カイザー「ハッハハハァ!すげーだろ俺!」 中里「笑止!」 葵「よくも三杉さんをーっ!」 ズザザザーッ! バチッ! カイザー「うお!?」 クライフォート「全く詰めの甘い奴め」 直後にカイザーは中里と葵にボールを零されていたが、これもクライフォートがフォローした事でなんの救いにもならなかった。
[425]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:55 ID:rpfx2XZy 放送「こ、これは一体…?ゴール前に切り込むと思われたカイザーくんが突如逆走し、 三杉くんを突破した後ボールをこぼされました!一体何の作戦なのでしょうかこれは?」 観客「な、なんだァ?」「さっきの絶好の得点チャンスだったよな?」「それより三杉は大丈夫なのか?」 実況と観客は分かっていなかった。オランダが三杉の弱点を狙い彼を潰しにかかった事を。 見上「まさか…!?」 岬「(容赦無いな…恐ろしいチームだ、オランダユース)」 全日本メンバー「また三杉が!」「くそっ、ラフプレイばっかりしやがって!」「クライフォートが来るぞ!」 全日本ユース側は程度の差はあれど気付きかけていた。オランダユースの狙いと恐ろしさを。 森崎「あいつら絶対に狙ってやがる!くそっ、油断していた様に見えたのはブラフか!」 シュナイダー「この試合、ミスギのゴール以外は全てオランダユースの手中にあったと言う事だ」 弥生「あ、ああ…ああ…!いやぁあああああああああ〜〜〜!!」 森崎と二人のドイツ人、そして三杉にもっとも近い少女はオランダの意図に気付いていた。 だが彼らに出来る事は何も無かった。 クラマー「(備えあれば憂い無し。ジュン・ミスギよ、恨むならサッカー後進国に生まれた自分を恨んでくれ)」 オランダメンバー『(よし、ミスギは負傷した!後はトドメだけだ!)』 クライフォート「ジュン・ミスギ!敬意の証に見せよう、このシュートを!」 当然オランダユース側は自分達の狙いを知っていた。前々から準備していた作戦だったからだ。
[426]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:10:25 ID:rpfx2XZy ダダダッ! グワァアアアアアアアッ!! 三杉「………!?」 足の痛みを残り少ない意志力で堪えながら起き上がろうとしていた三杉が見た物は 自分の目前で大きく足を振り上げるクライフォートの姿だった。 その時悲鳴を上げなかったのは彼のせめてもの抵抗だったのか、それともそれすら出来なかったのか? その時彼の顔は絶望と恐怖で誰にも見せたくない程歪んだ事を考えれば後者だったかも知れない。 クライフォート「このアキュートシュートで…貴様を貫く!!」 バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!! ゴガァアアアアアッ!! 胸部にボールを当てられた彼の体は木の葉の様に宙を舞った。 この時も悲鳴は出なかった。叫べるだけの酸素が無かっただけだったが。 薄まる意識の中で三杉はふと思い出した事があった。それは何時か誰かに言われたセリフだった。 三杉「(そう言えば誰か言ってたな。プロの世界では技術や戦術だけでなく、精神力、スタミナ、フィジカル… 全てが求められる。そして何か弱点があれば徹底的にそこを突かれるって… ハハハ…その通りだった。完全に大当たりだよ…でも誰に言われたんだっけ、これ…)」
[427]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:10:44 ID:rpfx2XZy ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!! ドガアッ!ドガアッ!ドガアッ! 赤井「ぐわああっ!!」 石崎「ほげああっ!!」 次藤「ぬわーーーっ!!」 中山「(くそっ!ここで…ここで決めさせる訳には…!)」 バゴオオッ!ギュルルル… 中山「(決めさせる訳には…いかない…の、に…!)があああっ!!」 ルルル…ゴグワァアアッ!! 若島津「…チェストォオオオオオオオオオオオオッ!!」 ブンッ! バギィイイイイイイイイイイン!! 若島津「(そんな…馬鹿な…!!)ぐ…がっ!?」 ビィイイイイイイイイン!! バリイッ! ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!! 全日本 1−2 オランダユース
[428]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:12:47 ID:rpfx2XZy いったんここまで。
[429]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:41:44 ID:rpfx2XZy 放送「ゴ…ゴ…ゴーーーーーールゥウウウ!!!クライフォートくんが放ったミドルシュートが 見た目通りの威力を発揮して三杉くんだけでなくDF達をあっさりと一掃! 若島津くんの正拳ディフェンスさえも力づくで腕ごと弾いたのに飽き足らず、 ゴールネットまで突き破ってしまいました!前半43分、オランダが2−1で再び日本を突き放しました! 決めたのは今までシュートを狙いに来なかったクライフォートくんです!!」 ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! 観客「そ、そんな…あんなにあっさり!?」「畜生!後少しで同点のままハーフタイムに行けたのに!」 「おいおい…また冗談みたいな威力のシュートが出てきたぞ…」「なんでこうなるんだよ、クソッ!」 弥生「(ああ…ご主人様があんなに何回も地面に叩きつけられて…いやっ、そんなの見たくない!)」 一連のオランダの三杉潰しとそのフィナーレを飾ったクライフォートのアキュートシュートは 色んな者に様々なショックを齎した。ただ驚き嘆くだけで済んだ観客と実況はまだ幸運だった。 森崎「(畜生!あの程度のシュート、俺なら防いでやる物を!なんで俺は今あそこに居ないんだ!)」 シュナイダー「(あのシュート…俺達との試合では見せていなかった!まだ力を隠していたと言うのか!)」 フライハイト「(これが…ブライアン・クライフォートの本気…!)」 事前の情報が限られていた森崎はただフィールドに立っていない事に憤慨するだけで良かった。 以前からクライフォートを知っているシュナイダーとフライハイトはそうは行かず、 彼が今まで使わなかった技の存在を知った事で戦慄していた。
[430]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:10 ID:rpfx2XZy 松山「あ、あいつら…!監督!まさかオランダはわざと三杉を!」 見上「…そうだ。アップ無しですまんが出てもらうぞ松山。キャプテンもお前だ」 松山「…はいっ!くそっ、オランダめ!」 全日本ユースのベンチでは松山がオランダの戦い方に憤慨し、負傷した三杉の代わりに出ようとしていた。 岬「(代わりは松山か。敗戦処理を押し付けるにはうってつけの人材だね)」 滝「(つ、つぇええ…森崎も若林さんも居ないのにあんなの防げないだろ)」 井沢「(くっ…悔しいが、レベルがまるで違う…!大人と子供程に差がある!)」 来生「(こりゃ俺が出ていたとしてもダメだな。いくら得点しても味方がリードを守ってくれなさそうだ)」 高杉「(バケモノ集団だ。こんな奴らに勝てるチームなんてあるのか…?)」 新田「(くそっ!苦労してファルコンクロウを編み出したのに、まだ世界ではゴミレベルなのかよ!)」 山森「(明らかに実力で上回っているのに、更に相手の勝ち目を0にしてくるなんて…)」 反町「(日向みたいなパワーと戦術だ。ひょっとしてあいつは正しいんだろうか?)」 沢田「(あ、あわわわわ…日向さんも居ないのにこんなチームに勝てる訳ないよ…)」 見上「(やはり無理だったか。森崎か若林、それに翼と日向が居れば4:6程度の勝負にはなっただろうに)」 だが彼は気付いていなかった。ベンチ内で闘志を燃やしていたのは最早彼一人だけだった事に。
[431]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:26 ID:rpfx2XZy 石崎「ぐえええ…い、いてえ…」 赤井「だ、大丈夫ッスか皆さん…」 若島津「…俺はこの程度ではくたばらん」 次藤「ワシも平気ばい。ばってん三杉は…」 早田「三杉!」 そして今フィールドに居る全日本ユースの選手達は胸を抑えたまま苦しげに呻く三杉の周りに集まっていた。 中山に支え起こされても目を閉じ歯を食い縛ったままで、何も喋れそうにない。 中山「三杉、三杉…!」 三杉「ぐ、ううぅ…」 クライフォート「下手に揺らさん方が良いぞ。肋骨にヒビが入っているかも知れんからな」 中山「貴様…!」 彼らを見下しながら笑うクライフォートに敵意が篭もった複数の視線が突き刺さる。 そしてこのタイミングでタンカ要員と共に松山がフィールドに入ってきて皆の気持ちを代弁した。 松山「オランダユース!お前達はこんなサッカーをして恥ずかしくないのか!」 クライフォート「うん?何の事だ?」 松山「とぼけるな!さっきのお前達はわざと三杉にケガをさせる為のプレイを繰り返していた! わざわざ逆走してドリブルをしていたのがその証拠だ!こんな物がお前達のトータルフットボールなのか!」
[432]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:41 ID:rpfx2XZy 松山は激昂していた。 彼がサッカーにおいて重要視するのは三つ。チームワーク、フェアプレイ、そして闘志である。 オランダユースがお世辞にもフェアとは言えない手段で相手の闘志を挫きに来た事、 そしてそれがつい先ほどまで彼を感銘させていた完成度の高い組織プレイで成された事実が許せなかった。 それに対しクライフォートは薄く笑っただけだった。 クライフォート「では問おう、トータルフットボールを持たない国の選手よ。お前達はどんな汚いマネを してみせてくれる?トータルフットボールを持たないから卑怯な事をしていいんだろう?」 松山「なんだと…!何を屁理屈を言っているんだ!トータルフットボールを 持とうが持たなかろうが卑怯なマネをしてダメだと言うのは変わらないだろうが!」 クライフォート「矛盾しているぞ。その理屈なら俺達を批判するのにトータルフットボールを持ち出すな」 松山「フザけるな!トータルフットボールを実現したクライフも言っていたじゃないか、 美しく敗れる事を恥と思うな、無様に勝つ事を恥と思えって!」 クライフォート「フッ、ヨハン・クライフか…あの人は確かに偉大すぎる程偉大だ。だがあの人も 俺がこう言えば反論は出来まい。美しく負ける事は誇りになるが、美しく勝つ事は更に誇らしいとな」 松山「なっ…!?」 クライフォート「俺はクライフを超える。世界一になると言う形でな… その為に美しいサッカーと勝つサッカーを両立させてみせよう」 サッカー選手としての信念を問いかけた松山は返ってきた答えに絶句した。 クライフォートの語った信念は彼が想像もつかない方向性の物だったからだ。
[433]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:43:20 ID:rpfx2XZy クライフォート「理解できないか?ヒカル・マツヤマ」 松山「当たり前だ!相手をわざとケガさせるサッカーの何が美しいと言うんだ!」 クライフォート「ではもう少し詳しく説明してやろう。相手の負傷を集団で狙う。 確かにその行為だけでは美しいなどとは到底言えないだろう。 だがお前は俺達がそんな方法に頼らなければ勝てない程度の小悪党揃いのチームだと思っているのか?」 松山「…違う!お前達は本当に強い、それなのにわざわざこんな事をしたのが許せないんだ!」 クライフォート「それがそもそも間違いであり、お前達がサッカー三流国である証拠なんだよ。 気付かないのか?今お前は大差で負けると格好悪いから接戦で負けられる様に うちのチームの選手が持っている弱点を突かないで下さいと敵に命乞いをしたんだぞ?」 松山「なにを、いっているんだ、おまえは…!」 クライフォート「先ほどから繰り返しているだろう。俺の目指すトータルフットボールは ただ美しいだけのサッカーではない、美しいサッカーと勝つサッカーの両立…言わば機能美だ。 ”美しいサッカーをした”事を負けた言い訳にさせない為のな!」 問答が進むにつれ松山はクライフォートが人の形をした別の生き物の様な気がしていった。 収まらない怒りと高まる嫌悪感に震えだす松山に構わずクライフォートは続ける。 クライフォート「美しいパスワークや芸術的な組織プレイもこの後たっぷりと見せてやるさ。 それともお前達は俺達に美しいプレイだけに徹し負けるリスクを増やす事を強要するつもりか? クライフが敵DFのマークに封じられ負けた悲劇を繰り返させたいお前達は美しいのか?」 松山「………」
[434]2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:44:15 ID:rpfx2XZy 言い返せなくなったのではなく、相手が何を言っているのか分からなくなった松山はぽかんと口を開けたまま黙ってしまった。 そして代わりに弱弱しい声を出したのは既にタンカに乗せられていた三杉だった。 三杉「彼は、間違って、いないよ…」 中山「み、三杉!」 三杉「クライフを超える為に、トータルフットボールを変える為に…美しいサッカーを敗因にしない… その信念も…ラフプレイに弱いと言う僕の弱点を、容赦無く突くプロ精神も…間違ってはいない、さ… ただ、トータルフットボールと言う先入観を、幻想を…僕たちが彼らに、勝手に抱いていただけ、だ…」 松山「…そんな…」 三杉「もっとも、クライフが認めるとは、思えないし…僕も、好きなサッカーじゃない、けどね…!」 クライフォート「フッ…頂点の目指し方は一つではないと分かっている分 お前は大した物だよ。それだけのセンスとメンタルを持ちながら プロリーグの無い日本と言う国に心臓病と言うハンデ付で生まれたのが実に惜しいな」 早田「ちょっと待った!なんでてめえが三杉が昔心臓病だったって事を知ってんだ!?」 まさか三杉がオランダのやり方を認めるとは思って居なかった松山はまたもや絶句し、 代わりに今度はクライフォートの一言に驚いた早田が口を挟む。 それに答えたのはクライフォートではなくイスラスだった。 イスラス「お前達は俺達が傲慢だと感じている様だが…本当に傲慢なのは俺達が下調べを怠り 油断する様な無能だと見下しているお前達じゃないのか?タックル以外は何も出来ないソーダよ」 早田「な…なんだと…!?」
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0ch BBS 2007-01-24