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【ポストプレイヤー】キャプテンEDIT3【大前】
[756]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:23:29 ID:??? >>B.「他校の試合を見学しようと思うけど、一緒に行くかい?」 菱野と一緒に試合観戦 ------------------------------------------------------------------------------------- 大前「それじゃあ、他校の試合を見学しようと思うけど、一緒に行くかい?」 ミーティングで監督に指摘されたことも気に掛かるが、一朝一夕でどうなるものでもない。 そうなると、大前に出来るのは、偵察をして今後の試合に備えることくらいになる。 それに同行しないかと申し出たところ、菱野は喜色に顔を綻ばせた。 菱野「はい。事前の情報収集も、マネージャーの仕事の内ですし、喜んでご一緒させて頂きますわ!」 大前「(相変わらず熱心だなあ、菱野さん)そうか。それじゃ、早速行ってみようか」 実際は、二人で行動を共に出来ることを喜んでいるのであるが、それを察することが出来るほど勘の良くない大前だった。 こうして、二人で偵察を兼ねた観戦に行くことになった。 … … … 菱野(大前さん、差し出がましい真似をして、迷惑だったりしていないでしょうか?) 観客席に向かって、大前の一歩後ろをついて歩きながら、菱野は考える。 菱野(それだけでなく、先程は拗ねてみたり、怒った振りをしてみせたりして。 ……本当はただ、おめでとうとだけ言うつもりでしたのに) 大前の初勝利と、試合で見せた活躍。それは素直に嬉しかった。 菱野は、彼が今とは比べ物にならないくらい下手だった時期を知っている。 彼が挫折を味わい涙を流した姿も知っている。 それだけに、今日の大前の活躍は、我がことの様に嬉しかった。
[757]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:24:56 ID:??? ……そして、彼は自分に勝利を約束し、見事それを果たしてくれた。 ただひたすらにサッカーに打ち込む大前。その彼が、幾分かなりとはいえ、自分のためにボールを蹴る。 その事実が無性にうれしく思えて。 だから感情が昂り過ぎて、ちょっとしたことにでも過敏に反応するようになってしまった。 冷静に自己分析すれば、そういうことなんだろうと思う。 菱野(私、嫌な女になってます……『貴方の活躍が嬉しいです』って、それだけのことなのに素直に言えなくて……。 それで大前さんに、余計な気を使わせたりしちゃって。本当に、馬鹿みたい……) 元々、頑張っているスポーツ選手の助けになりたいと思ってマネージャーに志願した菱野。 なのに、先程の自分はその動機を裏切ってしまった。 どう考えても迷惑だろうに、大前の反応を試すように困った振る舞いをする自分。 菱野(い、いけませんわ! 折角、大前さんが私のためにと誘ってくださったのに、こんなことを考えているなんて! これからの試合をしっかりと偵察して、お役に立てるようにしませんと) ギュッと両手でスカートの裾を握り、気持ちを切り替える。 菱野(しゃんとなさい、菱野景。そうでないと、鳴紋中サッカー部のマネージャーとして失格なんですからね!) そう自分に強く言い聞かせる菱野。 ……今日はそれで収まったが、しかし、その内心はゆっくりと二つの方向に乖離し始めていた。 チームに尽くすことが喜びであるマネージャーと、秘めた恋心に焦れる一人の少女に。 ※ 菱野の好感度が上がり、大前に対する感情が『菱野→(強い恋慕)→大前』へと変化しました ※
[758]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:26:49 ID:??? その後、大前と菱野は二、三試合ほど偵察を行ったが、実りのある成果は得られなかった。 というのも、二回戦、三回戦で当たるような敵校には、今日戦った浪野にせまる実力校はいなかったためである。 菱野「うぅん……一応、データはそれなりに揃いましたけれど、これって必要なのでしょうか?」 大前「まあ、二、三回戦は素通りのようなものだしな……けど、次の試合は違うさ」 実況「――さぁ、次の試合は氷潤中学対忠賢中学。共に堅実なサッカーを旨とする、けれんの無いチーム同士の対決です!」 大前にとって、因縁のある校名だった。知らず菱野も表情を曇らせる。 菱野「氷潤中学……」 大前「ああ、あの時の練習試合の相手だな……前に戦った時は、俺の攻撃は全然向こうに通じなかったよ」 二度目のシュートミスはともかく、一度目のヘディングは確かに練習通りに撃てたものだった。 だが、向こうのセンターバックによって、見事に弾き返されたのだった。 菱野「け、けど大前さんも、あれから凄く上達なさっていますわ。きっとこの大会で戦う時には、ちゃんと通用しますよ」 大前「そうだな。けど、俺が努力した分、向こうも努力しているはずなんだ。 特訓で強くなるのは、何も俺たちだけの専売特許じゃない。相手がどれだけ伸びているのか、ちゃんとこの目で確かめておきたいんだ」 菱野「……そうですわね」 大前の言葉を聞いて、菱野も気を引き締める。 大前(氷潤中学……噂じゃ練習試合と県大会決勝でウチに負けた遺恨を晴らすため、猛特訓を詰んでいたらしいな。 以前は県内では中の上くらい。今日戦う忠賢中とはそれほど差の無いチームだったはずだ。どこまで伸びている? 鳴紋中との差を、どれだけ詰めてきたんだ? ……今の俺で、どこまでヤツらと戦える?)
[759]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:28:04 ID:??? 息を飲んで、キックオフの時を待ちわびる。 眼下のピッチでは、両校の選手がそれぞれのポジションに着き始めていた。 忠賢 −−@−− − A B − D−−−C −−−−− G−I−E −−−−− J−−−F −−H−− −H−J− J氷潤の11番 −−−−− −−I−− F−−−G −−E−− E六波羅 A−−−D A二岡 − B C − B三井寺 −−@−− 氷潤 大前「氷潤は4−4−2。あの時と同じフォーメーションだな。オーソドックスで汎用性の高い布陣だ」 菱野「対する忠賢は、3トップと随分と攻撃的ですわね。 中盤はフラットにして攻めにも守りにも参加しやすい形ですが、どちらかというとFWの補佐を目的にしていそうです」 大前「お? 良い読みだね、菱野さん」
[760]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:29:19 ID:??? 菱野「まあ、私もサッカー部のマネージャーですから。監督も色々ご教授してくださいますし……」 照れ臭そうに笑う菱野。 大前(菱野さんの言う通り、忠賢はかなり攻撃重視の布陣だ。ガンガン点を取りに攻めていく構え。 ……聞いた話だと、そこまでアグレッシブなチームではなかったはずだ。それなのにこのフォーメーション。 何の理由があるんだ?) そう訝しむ大前。 実況「コイントスの結果、忠賢の先攻と決まったようです。そして今、キックオフ!」 忠賢の9番が軽くボールを横に流し、ウイングの7番に渡す。 忠賢の7番「よしっ、速攻だ!」 忠賢の9番「おうっ!」 キックオフボールで、即座にワンツーで切り込む姿勢を見せる忠賢攻撃陣。 だが、 氷潤の11番「ハァ……だりぃ……」 気だるい雰囲気を漂わせた氷潤の11番が、即座にカットする。 忠賢の7番「なにィ!?」
[761]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:30:19 ID:??? 氷潤の11番「ぬるいパス出してんじゃねえよ……やりたくもねえのに、思わずカットしちまったじゃねえか」 忠賢の9番「くっ、だったらボールを返しな!」 すぐさま奪い返そうとするが、 氷潤の11番「相手をするのも面倒くせえな……六波羅っ!」 ボランチへのバックパスで逃げられる。 大前「……トップ下じゃなく、ボランチに戻した? まだ序盤だって言うのに、後ろに回し過ぎじゃないのか?」 菱野「うぅん……中盤でショートパスで繋ぎながら、遅攻でも掛けるつもりなのでしょうか?」 あまりにも消極的な態度に、そう判断する二人。 だが、パスを受けた氷潤ボランチ・六波羅は、 六波羅「やれやれ……少しは自分で切り込んでいって欲しかったんだがな」 ボールを持ったまま、上がっていく。 実況「おっと六波羅くん。戻されたボールをキープして上がっていきます! 積極的な姿勢ですが、中盤の守備は大丈夫なのか?」 忠賢の11番「へっ! わざわざ上がってきてくれて、ありがとよ! そのボールを取って攻撃再開だぜ!」 六波羅「……」 挑発的に笑いながらチェックに来る相手に対し、六波羅は意にも解さぬような無表情のままドリブルする。
[762]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:32:12 ID:??? 忠賢の11番「ちっ! スカした顔してんじゃねえ!」 スライディングでボールを奪いに行く11番。 六波羅「ふん……」 だが、六波羅は軽く鼻を鳴らしながら回避する。 忠賢の9番「やるな六波羅! だが一人で駄目なら、二人だ!」 忠賢の7番「これでどうだ!」 続けて、残ったFW二人もチェックに行くが、六波羅の涼しい顔は崩れない。 六波羅「おっと? 流石にキツイな……」 後ろ足でボールを捏ね、身体を入れ替えて守り、巧みにキープする。 早瀬のように速いわけではなく、瀬川の様に問答無用に突破するわけでもない。 長池や雪村、あるいは大前の様にフェイントを駆使するという訳でもない。 だが、六波羅は粘り強くボールを離さずにおり、徐々に前に進んでいた。 忠賢の10番「くそっ! 何やっているんだ!」 取れそうで取れない。そんな状況に苛立ったのか、10番もボール奪取に参加しようとする。 六波羅「……ここだな」 それを見て、六波羅も動いた。 無理に三人を相手にキープし続けようとせず、サイドにはたく。
[763]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:33:26 ID:??? 氷潤の7番「へへへっ! ど真ん中が、がら空きだぜ!」 そしてそれを、スペースに走りこむ氷潤の10番に渡した。 氷潤の10番「ナイスパスっ」 実況「おっと、これは上手い連携だ! 六波羅くんがキープして相手フィールダーを引きつけ、サイドにはたく。 そうして生まれたスペースに、トップ下の10番を走らせて折り返すように渡す。地味ではありますが、効果的です!」 忠賢の8番「ちっ! させるか!」 氷潤の10番「おおっと! 怖い怖い!」 そして10番も相手に着かれる前にパスを出した。 今度は後ろでも横でもない。前方を走るFWへの――ラストパスだった。 氷潤の9番「よっしゃあ! 先取点のチャンスだっ!」 パスを受け、即座にシュートする。 忠賢のキーパー「ぐっ……こっちの先攻なのに、もう撃たれたのか!? えぇいっ!!」 利き手の逆、しかもその隅を狙ったシュートを、なんとか弾くキーパー。 どうにか先取点を防いだ……そう一息吐いたのも束の間、 氷潤の11番「キッチリ決めろよな……まったく。それっ!」 ツートップのもう一方に、すかさず押し込まれた。 ピィイイイイイイ! ホイッスルが、氷潤の先取点を告げる。
[764]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:35:01 ID:??? 実況「決まりました! 前半3分、氷潤中が早くも先取点です! ボールを戻し遅攻を掛けるかと思われましたが、六波羅くんのボールキープで相手を引きつけ、逆に速攻! 鮮やかにゴールを奪います!」 大前「上手いな。派手さは無いけど、巧みに練られた攻撃だ。ボールキープにパスワーク。いずれも相当な練習の後が見える。 サッカーの基本に、愚直なまでに忠実って感じだな」 菱野「それに今の11番の方のシュート……見た感じですが篠田先輩のものと同じぐらいの威力はあると思います。 あのボランチの方といい、選手層も浪野中より一枚上手というかんじですわ」 偵察する二人も思わず唸る。 忠賢の10番「ぐっ……しまった、何が何でも前半の内に1点入れるつもりが……」 忠賢の9番「逆に向こうに取られちまった。恐れていた展開になったな……」 大前(? 忠賢の連中、ヤケに動揺しているように見えるな。先取点を取られたにしても、焦り過ぎじゃあ――) 実況「さあ、早くも忠賢二度目のキックオフです。このビハインドをどう返すのか?」 忠賢の9番「こうなったら、丁寧にパスを回して隙を伺うしかない……何とか1点を取って前半を折り返さないと……」 氷潤の11番「無理無理。付き合うのもダルいから、早く諦めろって」 忠賢の7番「うるせえ! お前の挑発には乗らんぞ! もうカットされてたまるか!」 がなりながら、11番にカットされないよう別コースでパスを回す忠賢勢。 氷潤の11番「一応、本気で言ってるんだけどな……ま、俺が動かなくて良いなら、かまわねえけど」 その後、前半のほとんどを空費して、パス回しで氷潤陣内を切りこんでいく忠賢攻撃陣。 前半18分、ようやくシュートレンジまでボールを運ぶことに成功する。
[765]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/04/09(金) 01:36:59 ID:??? 忠賢の9番「……この時を待ちに待ったぜ! 喰らえ!」 ミドルシュートを放つ9番。だが、その前にいたのは、 三井寺「やっと俺の出番か。退屈していたところだぜ!」 大前「! アイツは――」 かつて大前のヘディングを防いだ氷潤の3番――三井寺。彼がシュートをブロックに行く。 そして、 ポスン。 そんな軽い音が聞こえてきそうなほど、簡単にブロックする。 三井寺「なんだこりゃ? シュートにしちゃ威力が無いけど、俺へのパスかい?」 ニヤリと笑う三井寺。嘲られた9番は、睨み返すことすらも出来ない。 忠賢の9番「うぅ……」 大前「……なるほど、忠賢が攻撃重視の布陣を敷いた理由が分かったよ」 菱野「え?」 ポツリと呟いた大前に、菱野が弾かれたように振り向く。 大前「あのブロックの上手い3番、アレがゴール前に張り付いている限り、忠賢は二人のキーパーを相手にしているに等しい。 そんな相手にFWにタレントのいない忠賢が点を取るには、一縷の望みに賭けてシュートを数多く撃つしかないんだ。 だから3トップにして、とにかく攻撃の機会を増やそうとしたんだろう。……あいにく、実を結んでいるようには見えないけどね」 菱野「なるほど……」
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0ch BBS 2007-01-24