【正常期よ】キャプテン森崎37【永遠なれ】

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第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票

[28]2 ◆vD5srW.8hU ：2010/04/14(水) 17:37:42 ID:aAgae7mJ 
 アメリカユースのプレイスタイルは荒いの一言だった。それも日向の様にファウルにならない程度の技術すらなく、 
 攻撃も守備も力任せでぶつかれば良いと考えているのか、あるいは何も考えていないのか分からない程である。 
 皮肉にも一番クリーンにプレイしているのはミハエルであり、彼だけはファウルは犯す事も受ける事も殆ど無かった。 
  
 見上「見ての通りアメリカユースは相当荒っぽい、いや、それどころではすまないチームだ。 
 一試合に何回もファウルを取られるのが当たり前で、カード、退場者、相手の負傷などは日常茶飯事だそうだ。 
 ただし身体能力は相当高く、またドリブルやパスの基本はしっかりしているので 
 ラフプレイだけのチームだと思ったら痛い目を見るぞ。特に要注意な選手はこの３人だ」 
  
 真面目な表情に戻った見上が最初に紹介したのはいかにも日本人のアメリカ人像に当てはまりそうなガタイの良い男だった。 
 体だけでなく顔も短い金髪、青い目、そして彫りの深い顔立ちが実に力強そうな雰囲気をかもし出す。 
  
 見上「ジャック・ロビンソン。キャプテンを務めるＭＦで、攻防両方共にパワーを効果的に使う。 
 派手な大技こそ無いが様々な場面で適切なプレイをするチームの要だ。次」 
  
 見上が二番目にクローズアップしたのはジャックに負けず劣らず屈強そうな星条旗柄のバンダナを巻いた男だった。 
 こちらもプラチナブロンドに緑の目といかにもな白人だが、ジャックに比べて更に豪快でガサツそうな印象の持ち主だ。 
  
 見上「ルーク・シルベスター。アメリカのエースストライカーだ。パワーだけなら日向に匹敵する物がある。 
 ダイレクトシュートと一対一を得意としている為得点パターンは割と多い。フリーにはするなよ。次」 
  
 三杉「うぇ…」 
  
 そして最後に見上がミハエルの説明に移ると誰もがげんなりとした顔になった。三杉に至っては呻き声を隠そうとすらしなかった。 
  
 見上「気持ちは分かるが集中しろ。私だって嫌なんだ」 
  
 全日本メンバー『はい…』 
  
 見上「ミハエル・ジャクソン。アメリカユースの唯一のテクニック重視タイプで、独特のフォームのドリブル突破は 
 世界の舞台でも通じる大きな武器だ。またミドルシュートやダイレクトシュートも撃てるし、守備参加も割としてくる。 
 アメリカのメインの攻め方はこいつのドリブルで相手のペースを乱し、そこを自分で決めに行くかルークが撃つと言うパターンだ。 
 その奇妙さばかりが際立つがミハエルはミハエルなりに手強い相手だ。決して油断するなよ」

[29]2 ◆vD5srW.8hU ：2010/04/14(水) 17:37:58 ID:aAgae7mJ 
 見上は説明を終えるとさっさとビデオを止めスクリーンからミハエルの姿を消した。 
 それを待っていたと言わんばかりに誰もがため息をつき、すぐに不満を口にし始める。 
  
 中山「監督、こう言う質問は日本代表らしくないかも知れないと覚悟した上で聞きます。 
 何故こんな乱暴で変なチームを大事な予選の前に呼んだんですか？ 
 これだけラフプレイを繰り返す相手と戦ったら怪我人が大量に出かねませんよ？」 
  
 見上「…確かに日本代表らしくない質問だな。どんな危険なチームとでも戦う覚悟が欠けている。 
 ただし練習試合で不必要なケガを避けると言うのも日本代表の責任の一つだろう。 
 それに免じて正直に答えよう、他にこのスケジュールで対戦を組めるチームが無かったのだ」 
  
 若島津「ふむ。つまりあまり好ましくないチーム相手でも練習試合をしないよりはマシだと」 
  
 見上「そうだ。今回のワールドユースの各大陸の参加枠振り分けは開催国のブラジル以外の南米３、 
 欧州６、北中米２、アフリカ２、アジア２となっている。言うまでもなく欧州と南米は予選で 
 熾烈な生存競争中でわざわざ別大陸のサッカー後進国と練習試合をする理由など無い。 
 これから予選を控えているアジアのチームと戦うのも論外だ。つまり残るは北中米とアフリカだが、 
 アフリカは何処が出てくるか分からない程レベルが拮抗している予選グループが多いのに対し 
 北中米はアメリカとメキシコが突出して強い為この２チーム以外がワールドユースに出場する事は 
 ほぼ有り得ないと見られている。こういう事情でアメリカと日本の都合が一致したのだ」 
  
 松山「なるほど…あっでも、それならメキシコの方を呼べば良かったんじゃ？」 
  
 見上「私もメキシコユースとの試合を組んでくれる様協会に要請したのだが、残念ながらメキシコ側に断られた」 
  
 赤井「そうなんですか…メキシコって結構強い国ですから本当に残念ですね」 
  
 葵「あーあ、サッカー後進国って辛いですねー」 
  
 見上が懇切丁寧にアメリカと試合を組んだ理由を説明しても選手達は不平を隠さず見るからにやる気がなさそうだった。 
 だが見上はこれも想定済の事態だったらしく、咳払いをしてから予め考えておいた説得を始めた。

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