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【力と】小田Jr.の野望12【仲間を求めて】
[862]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 05:54:43 ID:P91OCfjE 美津乃「去年の南葛SCの結果は全国までいけずに県大会どまり、その前の年も褒められた結果では なかったですよね」 そう、常勝たる南葛SCも現在では古豪と呼ばれる…つまり現在は中堅どまりである事を 示唆する美津乃。その言葉に今川瀬名は反論できない。確かに城山監督時代に比べれば 選手の層は浅く、そして各人に才能がありながら自分にはそれを育てる能力が劣っている事、 それについてはどうしても否定する事は出来ない事実なのだ。…もっとも、少年達からの 羨望や支持率においては、かの城山すら上回っているのも事実。それに彼女が監督になることで 試合において普段の練習以上の実力を発揮できるという事実は誰の目から見ても確実であり、 育成能力が劣る≠監督能力が劣る、という事は周知なはずである。 美津乃「私は今の南葛SCを否定するつもりはありません。しかし現状、有力な選手が南葛SCに 集まらず、各小学校で雌伏しているというのも事実です」 それは水越のジルベルト、南葛小の小竹などを意味しており確かに全盛期の南葛SCに比べ層は どうしても厚いということはできない。 見上「そこでこの再統合計画というわけか」 白髪の混じる老人というには若く、壮年というには年をとった白髪交じりの男が監査員として言葉をかける。
[863]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 05:57:06 ID:P91OCfjE 美津乃「再統合ではありません。あくまで再編です。」 きっちりと言葉の違いを修正させる美津乃。それだけこの計画に力を入れているということなのだろう。 見上「どちらでも構わんさ。まださわりしか読ませてもらっておらんが、どうせ南葛市の代表を 南葛SCにだけ絞るのだろう?代わり映えのない計画だ」 分厚い紙の束全てを見る事は無く、つまらなそうにぽんと紙束を目の前の机に投げ落とす。 見上にとって南葛SCというのに実のところあまりいい印象を持っておらず、彼はこの審議自体に 否定的だった。 美津乃「半分は正解です。実際、去年のベスト16にまでいった風火FCは今年林山FCと統合され 今年は風山FCとして山梨代表となっていますし、静岡県内でも今年はどうやら実現しなかったようですが 清水地区で大規模な再編計画が行われています。現在サッカーは日本の文化の一つといってもいいほど 娯楽として、スポーツとして認知され根付いていますが、それだけに年々レベルはあがり、それに ついていけない落伍者、そしてサッカーをしたくても満足な練習を受ける事が出来ない 少年少女が増えてきているのです。」
[864]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 05:58:07 ID:P91OCfjE 修哲監督「その事と、今回のこの再編計画にどのような関係があるのか…私にはわからないのだが?」 望むもの、狙い、人情等思いは全員違うもののいつの間にか美津乃を包囲している体をなしてきていた。 城山(しまった…瀬名を守ろうと思ったら変な方向に話が…) 僅かに自分の立ち位置を見失っていた城山監督はどうしようかと悩んでいたが、月星美津乃は その程度の話が上がる事など先刻承知とばかりに話し出す。 美津乃「それの答えがこの計画書です。当初南葛SCの設立経緯…それについては皆さんの方が 詳しいと思いますので省かせてもらいますが、現在の状況を鑑みるに、その意義を失っています。 もちろん、時と状況、それに南葛SCのその時の成績により意義というものは常に流動的と なっており、それを固定観念として位置づける事の愚かしさもまた理解しています。」 ほんの一瞬だけ城山監督を目で確認するとてもウン十代のおばちゃんとは思えない若々しい精気に 満ち溢れた美津乃。 城山(…美津乃ちゃんは中期南葛SCをずっと見てきてるからな。当然といえば当然か) 一緒にサッカーを楽しみ、共に勝利に酔ったり、敗北に涙した仲である。美津乃にとっても南葛SCは 特別なのである。そう悟った…正確には初めから知っていた城山は余計な事を意見する事をやめる。
[865]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 05:59:08 ID:P91OCfjE 瀬名「だからこそのこの計画…というわけですか?」 震えそうになる声を押さえつけ、裏返りそうになる言葉を制して、瀬名は新米ではあるが、監督としての 威厳を失う事無く美津乃に話しかける。 美津乃「そうです。私はクラブチームNIKEの総代でもありますが、同時にスポーツショップNIKEの、 そしてこの南葛市サッカー協会小学生部の出資者でもあります。出資者としての望みは一つ。 南葛市のクラブチームや小学校が全国で名を馳せる事です。そしてそれが…南葛SCである必要が ない事を今回の試合で証明されました。」 大人たちの様々な思惑により様々な方向へ脱線しようとした話がようやく軌道に乗る。 見上「…それは南葛SCの解体を意味するのか?」 資料をろくに読んでいない見上にとってその言葉は寝耳に水であり、半ば呆れ顔で…そして僅かに 興味を乗せた視線で月星美津乃という女性に話しかける。 美津乃「いいえ。あくまで本命は南葛SCです。今回NIKEが勝ちましたが、やはりNIKEには 歴史というバックボーンがありません。なにより出資者たる私の名が冠されているので、南葛市の 利益という意味では効果は薄いといえます」 利益、という言葉に僅かに顔を見合わせるサッカー協会のおえらたち。
[866]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 06:00:11 ID:P91OCfjE 山森正美(おお〜。やだやだ。利益という言葉が出るととたんに目の色が変わるんだから。これだから 老人達の集まる会議は好きじゃないのよね…瀬名がいなかったら特別顧問なんてすぐに止めてやるんだけど) 嫌悪感ゆえか僅かに鳥肌を立たせた山森正美は自らの肩書きに自嘲する。要は名前だけ連ねられた 関係者なのだ。何の権限もなく、ただ山森の名を冠するだけという知名度を利用されたプロパカンダなのだ。 実力で女子全日本の監督になったという自負はあるのだが、同時に無意味な役職も増えてしまい、 このような会議にも出なくてはいけなくなった自分を恨めしいと思ったことも多い。しかし、だからこそ 親友である瀬名を救う…というのはおこがましいのだが、せめて助けになるのではないかと思い、 この役柄を務めているのだが…それはそれ。これはこれである。 サッカー協会員「月星さん。お話を続けてください」 利益という言葉だけで大元たるサッカー協会員を引き入れることに成功した美津乃は話を続ける。 美津乃「今年の5年生に所謂南葛SC1期生の…そしてそれに続く子供達が多い事は承知の通り だと思います。それに含め、新しい力をもつ子供達が多い事も」
[867]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 06:01:12 ID:P91OCfjE 南葛小監督「ええ。私どもの教え子達はすでに5年が中心になってます」 水越小監督「ジルベルト…それにまだ4年ですが宮本も将来有望です」 山吹小監督「それであればうちの小久保や天野、若田部も近年まれに見る逸材ですよ」 基本的に教え子自慢が好きな面々である。すぐに自分のところの誰々が凄いという話になる。 そして美津乃はその言葉に満足するのようにうんうんと頷いてみせる。 美津乃「そうなのです。名プレイヤーというのは何故か一つの時代、そして同じ土地に生まれます。 第二世代と呼ばれる少年達が配され、それに呼応するかのように生まれた少年達…彼らが力を 合わせたらどうなるか…考えただけでもドキドキしないでしょうか?」 ことさら大げさに言葉にする美津乃。もともと会議そのものにおいては好きではないのだが、 アピールすることについては得手であり、大げさともいえる身振り手振りは他の人物を 惹き付けるには十分な効果を持っていた。
[868]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 06:02:14 ID:P91OCfjE 見上「しかしそれは結局南葛SCに集めるということではないのか?」 だが、唯一1人だけ反論が出る。そう、美津乃は先ほど南葛SCに集めるのではないといったばかりなのだ。 美津乃「そこで生まれたのがもう一つの『南葛SCカウンター計画書』です。端的に申せばリスクの半減、 それにうまくいけば知名度の倍増を見込めます」 先ほどの紙の束の後半部分に位置するそれは最初の再編計画に比べるとかなり大雑把に作られ、視覚的に 見やすくなっているためパラパラとめくるだけで大体の概要を知る事ができた。 山森(…なるほど、リスクの分散とはよく言ったものね。クラブチームを2つ設立することでトライアウトの 合格者を単純に倍化させ、お互いに競い合わせるって訳か。資金面での問題は多いけど、実際に出資する 人が言い出している計画だからそこはクリアできるし…なにより既にクラブチームNIKEとして 稼動しているという点がもっとも評価できるわね。そしてこれはかなり卑怯な気もするけど、 お互いのチームは敵対していない、いわば姉妹チームだから全国に行く場合は人員の交流も出来る。 そこまで考えてクラブチームNIKEを作ったのだとしたら、月星美津乃さん…とんだ食わせ物ね。) ずっと以前、城山監督と一緒になって大暴れしていたあの月星美津乃が実はここまでの切れ者だと 知った正美は僅かに口端をもちあげる。
[869]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 06:03:16 ID:P91OCfjE 山森「一応確認しますけど、これはクラブ員には両方のチームのトレード交換が出来る事は ギリギリまで秘密にしておくのですよね?」 美津乃「当然です。でなければ2つのクラブを設立する意味がありません。あくまでお互いが競い合う相手 として2つのチームは存在します。そして出来ればこの二つのチームは極力根本が同じである事は 秘密に、チーム都合によるクラブ員の移動やトレードもないに越した事はありません」 山森「何故です?強い人員を…あ、失礼。そうですね。」 瀬名(…ま〜ちゃん。どうして言葉を取り下げたの?) 山森(簡単なこと。今まで敵だった人が突然味方になりましたといって簡単に連携なんて 取れないでしょう。それに子供達は道具じゃない。今の微妙な年頃の子を大人の都合で 引っ掻き回すのは最低限にしておかないと…) 瀬名(あ、なるほど…それに普遍的な強さ、絶対的な強さなんてないもんね) 山森(なんだ。瀬名ちゃんも気づいてたんだ) 瀬名(えへへ) 以心伝心というべきか、いくら席が近いとはいえほぼ言葉を発せず会話を成立させる2人であった。
[870]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 06:04:17 ID:P91OCfjE 城山(相変わらず仲がいいよな) 懐かしい顔(といっても片方は昼に、もう片方は先週出会っているが)にそんな事を思っていると、 実はもう1人いた城山の教え子が挙手と共に発言する。 駿河小監督(???)「わかりました。そういうことなら我が駿河小は協力させてもらいます。ですが、 条件を出させてもらってもいいでしょうか?」 瀬名や山森の一歳年上の元南葛SC生が言葉を上げる。 美津乃「どうぞ。」 ようやく半ば儀礼的な会議とはいえ、話がスムーズに行きかけたことに気をよくした美津乃は言葉をかける。 駿河小監督(???)「2つのチームで南葛の代表を決めることに異存はありません。またメンバーを トライアウトで決めるのも賛成します。しかしメンバーを強制的に召集する事はやめていただきたい。 それにクラブに入ったメンバーも各学校のサッカー部員としての学校でも練習が出来るように 配慮していただきたい。この2点を受け入れてもらえるなら駿河小は協力を惜しみません」 ぱっと聞いたところ何の意味があるのかよくわからない要望を出す駿河小の監督。
[871]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 06:05:26 ID:P91OCfjE 瀬名(まーちゃん。今の会話の意味わかる?) 山森(う〜ん…最初の条件は当たり前のことなんだけど…2番目がイマイチわからないわね。 駿河小…あ、もしかしてちび師匠を当て込んでるのかも?) 瀬名(???) 山森(つまり、ちび師匠は勝利間違いなく有名人になるからその時、俺の教え子なんだぞ〜!って 自慢がしたいとか…いや、やっぱりイマイチピンとこないわね。単純にチーム内の亀裂を 小さくするために名目上は出向という形にしたいのかしら?) 瀬名(むぅ…よくわかんない) 山森(私にだって…わからない事くらい…ある!) 瀬名(あ〜キバヤシだ!似てる似てる!) 山森(そ、そう?そんなに似てた?) 城山(馬鹿!2人とも顔がにやけてるぞ!) 山森・瀬名(ごめんなさ〜い) 2人の会話に割って入った城山も実のところ得心はいっていないのだが、わかったふりをして 会話に聞き入る。
[872]小田ジュニアの野望:2010/05/18(火) 06:06:28 ID:P91OCfjE 美津乃「はい。そういう御提案にはもちろん対処します。他に御質問のあるかたはいますか?」 司会進行役も同時に行う美津乃はどうやらここにきて本調子になったようで、これから数十分の 会議のうちに、『南葛市少年サッカー再編計画』と『南葛SCカウンター計画』の二つが 正式に可決する事になるのだった。 〜〜〜 美津乃「既に根回しの終わっている会議でも、体面や利権が絡むと本当に面倒よね」 とはこの会議が終わったあとに城山とファミレスで ハンバーグ を食べているときの言葉である。 城山(議題を会議に出したとき、すでにその議題においての結果は確定している…か。恐ろしいね) ぴこーん! 5年3学期にものすごく大きなイベントが起きます! 〜〜〜〜
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0ch BBS 2007-01-24