※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【全国が】キャプテンEDIT・10【待っている】
[477]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:01:41 ID:??? 実況「ああっ!? 森崎くん、手を離したボールを蹴り出さない! 足元にキープしたまま攻め上がっていく! 前半が終わりかけても互いに無得点の状況に業を煮やしたかーっ!?」 記者A「な、なんだこれ!?」 観客「げえっ!? やりやがった!」「お前、それで何回失点してると思っているんだー!?」「これさえなけりゃあ、なあ?」 記者B(良く分からないけれど、サッカーって凄い……) ゴールを空にして攻め上がる暴挙に、森崎に信を置く地元の観客たちも流石に悲鳴を上げる。 ……だが、彼らでさえ見誤っていた。森崎のオーバーラップが、以前のような奇策に留まらないことを。 井沢「も、森崎!? おま――」 南葛キャプテン「やめろーっ! 今からでもゴールへ戻れーっ!」 滝(だ、大丈夫かな……多分、何とかなると思うけど) 佐々木「馬鹿かお前! 折角の好セーブを無にする気か!?」 森崎「言ってろ、凡人! 俺のオーバーラップはただのヤケクソとは違うんだよ!」 佐々木「ゴールキーパーが何を言ってやがる! 並の相手なら動揺して隙も出来るだろうが、サイド攻撃の相手はお手の物な俺に――」 バババッ! 佐々木「――なにィ!?」 森崎「思いっきり通用したみたいだな!」
[478]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:02:54 ID:??? 実況「抜いたァ! 森崎くん、佐々木くんを抜きました! しかも、このボール捌きはかなりのものです! こ、これは県内――いや、全国でもトップクラスのドリブル技術です!」 山岸「……オーバーラップを単なる奇策ではなく、必殺の武器にまで昇華したか! 見事だ森崎! こうなっては俺が相手だ!」 佐々木を抜いた森崎に、山岸が自ら突っ掛ける。 森崎「(川根中のキャプテン・山岸か。一学年上とはいえ、井沢と互角か一枚上手の選手だっけか)こっちこそ相手に不足は無ェ!」 燃える功名心と揺るぎない自信が、森崎をこのマッチアップに駆り立てる。 山岸「(よし、やはり性格上対戦は避けないか!)行くぞ森崎っ!」 鋭く伸びる山岸の右足が、森崎の足元からボールを刈りに行く。 森崎「……甘い!」 森崎はボールごと飛び上がってこれを回避。だが、それこそが山岸の狙いだった。 山岸「甘いのはそちらだァ!!」 ピッチに手の爪を立てた強引の制動。その結果として山岸の身体は逆方向に転換。二度目のタックルが森崎を襲う。 観客「なんだありゃ!?」「あんな曲芸じみたタックル、有りか!?」「誰かの技だ!」「誰かって誰!?」 実況「山岸くん、強引に方向転換し二度目のタックルに行くっ! これは言うなれば時間差タックル! 一方森崎くんは軸足が地面に付いたところ。これでは大勢的に回避は難しい! 南葛中森崎くん、ここでボールを失――」
[479]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:04:04 ID:??? 森崎「いいやっ! 甘いのはやっぱりお前だァ!!」 ダンッ! 山岸「な、なにィ!?」 森崎の挙動に、山岸が目を剥く。 実況「――あああああああっ!? 森崎くん、片足だけでもう一度飛んでかわしたァ!! 時間差タックルに対し、二段ジャンプ! 着地直後の崩れたバランス、片足だけの跳躍、それにもかかわらず力強いジャンプです! 勿論ボールも失っていません!」 森崎が自ら『がんばりセービング・改』と呼びならわす超人的な瞬発力によるセーブ。 その源泉である足腰のバネは、オーバーラップのドリブル時においても力を発揮する。 バランスを崩し片足のみの状態でも、相手がスライディングでくるなら、なんとかかわせるのだ。 そして、恐るべきはそんな曲芸じみた動きを見せながら、ボールを離すことのない上手いタッチである。 山岸(い、一流だ……キーパーとしてだけでなく、ドリブラーとしても……! 信じられん。 どうして中学二年生という年齢でありながら、まったく異なる二つの技術をここまで極められるというんだ……っ!?) 滝(秋以降、翼が一層練習に熱を入れるようになってから、森崎も一段と熱心になったからなあ。 お陰で俺も随分ドリブル練習に付き合わされたし) 驚嘆の余りに、声を失う山岸。 それを見て肝を潰しながらも、川根中ボランチ・浜井がボールを取りに行く。 浜井「そ、そんな常識はずれな動きが何度も続くか!」
[480]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:05:53 ID:??? 森崎「何度も曲芸を続ける必要は無いぜっ!」 浜井「うっ!? しまった!」 鋭い切り返しで浜井の横を抜く森崎。 実況「森崎くん、ボールをキープしたまま切り込むぅ! 南葛中得点のチャンスです! だが、キーパーがここまで切り込んでいると、ボールを失えば即失点! まるで諸刃の剣のような攻勢です!」 滝「森崎、持ち過ぎだって!」 来生「早くパスだ! 俺に! 決めるから! 俺が!」 森崎(そうだな……このままゴール・トゥ・ゴールってのも悪くないが、向こうのキーパーも俺ほどじゃないが腕が良い。 連中にエサをやる意味でも、ここいらでパスを出すか!) 素早く打算を巡らせ、ボールをエリア内に蹴り込む体勢を取る。 それを見るや、川根中GK桑田も誰にパスを送るか読みに掛かった。 桑田(センターフォワードの来生か? それとも意表を突いて滝? いや――) 森崎「そらっ! 先輩方に推薦してやった甲斐を見せろ!」 長野「任せろ!」 ボールが上がった先にいたのは、ここ最近台頭してきた二年生FW長野だった。 銚子「確かコイツはヘディングが上手いんだっけか!? 撃たせん!」 桑田「! 違う銚子! そいつの狙いは――っ!」 長野「それっ!」
[481]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:06:54 ID:??? ゴールへのシュートコースを塞いだ銚子の眼前で、炸裂する長野のヘッド。 だが、それは自らの得点を目的としたものではなく、 来生「ハッハァ! どんぴしゃだぜ!」 銚子「ぽ、ポストプレイだと!?」 裏を取って走り込む来生への絶妙なアシストだった。 実況「南葛中新戦力の長野くん、相手の意表を突いてポストプレイ! これは上手い! ゴール前で点取り屋来生くんがフリーに!」 来生「よっしゃあ! これで俺が先取点ゲットだーっ!」 バコーン! 勢いよく足元のボールを蹴り込む来生。 桑田「させんっ!」 だが、そのシュートは桑田のパンチングで弾かれる。 来生「俺が南葛の点取り屋、来生哲兵だァーっ……ってアレ?」 滝「決まってないって! 何、ゴールパフォーマンスしているんだよ!?」 来生「なにィ!?」 観客「来生って、相変わらずここぞという勝負に弱いな」「でも、何か決まらなくて逆に安心したぜ」「来生だしな」
[482]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:07:58 ID:??? 井沢「くそっ! なにしているんだよ!? こうなったら、これを押し込んで――」 荒井「やらせるかーっ!」 得意のダイビングヘッドでこぼれ球をねじこみに行った井沢だが、いち早く相手DFがクリアー。 実況「南葛中、波状攻撃も身を結ばず! ボールはクリアーされ中盤に――あっ!?」 森崎「げっ!?」 井沢「ああっ!?」 クリアーされたボールの行方に、森崎と井沢が色を失くす。だが、それはゴールを空けた状態で相手に拾われたからではない。 敵より拾われたくない味方がフォローしたのだ。 翼「ヒャッホー! やっぱり、ここぞっていう時にボールは俺のところに来る! やっぱり、君は俺のトモダチだーっ!」 実況「翼くん、いち早くボールをフォロー! 勝利の女神は、やはりこの天性のサッカー小僧に微笑むのかーっ!?」 森崎「く、くっそー……よりによって、『アレ』を打つのに絶好の位置かよ。またあの野郎が見せ場を浚うのか?」 不倶戴天の相手の好機に、思わず天を仰ぐ。 桑田「翼か……だが、その距離からは決めさせん!」 翼「決める! 見ていろ川根中! これが俺の――」 実況「翼くん、シュートフォームに行く! そこから撃って決まるのか!? 相手は川根中GK桑田くん、県内屈指の名手だぞ!?」 翼(それがどうした! そっちが県内屈指なら、俺は日本一の――そして羽ばたく選手だ! ここから撃って決めてやる!)
[483]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:09:03 ID:??? そして、勝負を決する一撃が、大空へ飛び立った。 翼「――ドライブシュート! TAKE OFFだァーっ!!」 桑田「!?」 打ち上げられたボールに反応し、桑田が手を空へ伸ばす。 実況「桑田くん、素早く反応して手を伸ばします! しかし、ボールはキーパーの手を越えました! これは天才・大空翼くんらしくないミスです。ボールは枠を外、し……?」 森崎「外してくれれば助かるんだけど、そうはならねぇんだよな……」 観客「な、なんだアレは!?」「嘘だろ! あんなのが決まるのか!?」「何が何だか分からんが良しっ!」 記者A「こ、これは――っ!? おいカメラっ、撮れたか今の!?」 記者B「……何が起こったの?」 桑田「な、なにィ!?」 大きく打ち上げられ、枠を外すかバーを叩くかと思われたボールは、ゴール手前で急激に落下。 打ち下ろすようにゴールネットに突き刺さる。 ピィイイイイイイイイイイイイイイ! 実況「し、信じられません! 南葛中学・大空翼くん、奇跡的な先制点! 誰もが枠外を確信したシュートが一転しゴールを急襲! おそらく、ボールには強烈な縦回転が掛かっていたのでしょう! これは噂に聞くドライブシュートというものなのか!? 南米のプロ選手が得意とする変化シュートを日本の、しかも中学生の少年が完璧にマスターしているとは! やはり彼こそ中学ナンバーワン選手……いえ、その枠に留まらないスーパープレイヤーです!」
[484]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:10:09 ID:??? 翼「やったぞ!」 ドライブシュートを公式戦初使用でゴールを奪った喜びに、翼は拳を突き上げてガッツポーズ。 翼(はははっ。やっぱり俺が日本一の選手なんだ! 去年に片桐さんから、大前とかいう選手の映像を見せられた時は驚かされたよ。 けど、俺の方が強い! ポストプレイだっていつもは地味だから長野にやらせているけど、俺の方が上手いんだ。 それに、俺ならダイレクトシュートじゃなくてもミドルからこうやって得点できる! 何よりも、俺は攻撃だけじゃなく全てのプレイにおいて一流なんだ! ロベルトに育てられたこの俺が、ナンバーワンなんだよ!) 森崎「ギギギギギ……あの野郎、また派手に目立ちやがって……あんなシュート、万全な俺だったら完璧に止めて見せるのに……」 悔しそうに歯噛みしながら、そんな言葉を漏らす森崎。 しかし、初めて披露された時に、枠を捉えるとは思わなかった油断からゴールを割った身としては、大声は出せなかった。 高杉「プクーっ! 見ろよ、森崎の悔しそうな顔! 折角のオーバーラップが翼のお膳立てだもんな! 良い気味だぜ!」 石崎「流石、翼だぜ!」 森崎(高杉、石崎……後でシメる……) 浜井「馬鹿な……いくら意表を突かれたとはいえ、桑田があの距離からゴールを奪われるだと?」 大和「へ、変化だけじゃねェ……シュートそのものの威力も凄まじいぜ……完全にホークショットの上を行っていやがる。 ……認めたかねェけどよ」 山岸(いかん。ここまで拮抗していた試合をスーパープレイで持って行かれ、士気が萎えかけている……なんとかせねば) 翼のプレイで意気阻喪とするチームメイトを、必死でモチベートしようとする山岸。 その姿を、観客席から見つめる影がいた。
[485]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:12:18 ID:??? 浦辺「あーあ……山岸はまだ諦めてないみたいだが、他の連中は立ち直れそうにないぜ。 俺たちを破って決勝進出した川根中も、ここまでみたいだな」 岸田「お前が後半で燃え尽きなけりゃ、今頃は俺たちが南葛と――」 西尾「岸田、そういうのは言いっこ無しだろ?」 浦辺「……いや、岸田の言う通りさ(デコー……お前、もうちょっと気張ってくれよな)」 デコー(そうは言うがな、結局私が使っているのは君のエネルギーなのだよ? 君の身体がミイラになるまで動いていいならもっと活動できるだろうが、それは君も私も望むところではないはずさ) この年は準決勝で川根中に敗れた大友中。 元は南葛中の主力たちと同じ南葛SC出身で、森崎、翼らとは浅からぬ縁のある男たちである。 新田「それよりも俺を温存したりするのが問題ですよ。あの翼先輩だって一年からレギュラーなんです。 世代が違うとはいえ、同じ南葛SCを優勝させたメンバーがベンチ入りも出来ないってのは、おかしくないですか?」 浦辺「……まだだ。お前はまだ身体が出来あがっていない。 得意のスピードを全開にして、中学サッカーの30分ハーフ前後半をフル出場出来るスタミナを養うまでは、お前は不出場だ。 ……秋の新人戦でもな」 新田「ええーっ……(正直、浦辺さんにスタミナのことを言われてもなー)」 不服げな表情をする一年生・新田。
[486]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/06/30(水) 23:13:18 ID:??? ??「そう不満顔をするなよ、新田。浦辺たちは出来るだけギリギリまでお前の存在を伏せておきたいのさ。 目先の勝利のために自分を安売りするのも、お前の本意ではないだろう?」 新田「あ、貴方は!?」 浦辺「お、おい!? こんなところを出歩いていていいのかよ? 身体に障るぞ!?」 背後から現れ新田を窘めた男。その出現に、大友中メンバーは色めき立つ。 ??「ははっ。今頃も寝たきりでいるようじゃ、到底来年の復帰は叶わないさ。こうして少しは出歩いた方が、身体のためにもなる」 浦辺「まあ、そうだけどよ……」 ??「と、いうわけだ新田。俺たちが勝負に出るのは来年。それまで焦らずに自分を磨くことが、今のお前の仕事さ」 新田「は、はい……(先輩方は四人とも凄い選手だと思うけど、やっぱその中でも風格が違うよな、この人は……)」 浦辺「ちぇっ……聞かん坊の新田も、お前の言うことは素直に聞きやがる。いっそのこと、次期キャプテンはお前がやるか?」 ??「よせよせ。二年間もリハビリに費やした男が、ある日突然キャプテンになって、チームがまとまる訳は無い。 仮にそれが出来るとしたら、武蔵の三杉くらい卓越した選手でないと駄目だろうな。 俺たちを率いるのは、やっぱりお前が適任だよ、浦辺」 岸田(よく言うぜ。万全の状態だったら、その三杉にも引けを取る気は無い、って顔してるのに。何にせよ、頼れるヤツだぜ) 西尾(本当に、コイツが味方で良かった……) 穏やかな物腰の中にも覗く不敵な自信に、息を飲む大友中メンバー。 それをよそに、男は眼下のピッチを眩しそうに見つめる。 ??(俺は必ず、あのフィールドに帰ってみせる。それまで、負けてくれるなよ? 森崎……)
前
次
写
0ch BBS 2007-01-24