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【いつか】キャプテン森崎38.1【通り過ぎた道】
[456]2 ◆vD5srW.8hU :2010/10/18(月) 15:14:37 ID:SQ7AqbM2 コインブラ「予想通りだと?」 ロベルト「うむ。君の事は詳しく調べた。アルツール・アンチネス・コインブラ。 またの名を勝利請負人A(エース)…どうでもいいかも知れんが、随分と芝居がかったあだ名だな」 コインブラ「どうでも良くはない。冗談の様に聞こえる方が覚えやすいからな」 ロベルト「そういうものか…ともあれ、君は数年前から南米中を歩き回り雇われ助っ人として 数々の都市伝説を残しながら金を稼いでいるらしいな。何度プロに誘われても断り続けつつ」 コインブラ「…そこまで調べているなら、俺がセレソンになるのを断る理由も分かるだろう」 ロベルト「いいや、分からなかった」 コインブラ「何?」 ロベルト「君の父に起きた事は調べたが、ならばむしろセレソンになりたがるんじゃないか?と不思議だった」 コインブラ「…フン。見解の相違だな」 ロベルトがつらつらとコインブラの経歴を並べ立て、それを興味なさそうにコインブラが聞き流す。 だが話題がコインブラの父についてに移るとコインブラは不愉快そうに眉を歪ませた。 ロベルト「是非とも説明して欲しいな。その方が早く私を追い払えるかも知れんぞ?」 コインブラ「…頂点や最強と言った概念に魅力を感じないだけだ」 ロベルト「それはまた、風変わりな考え方だな。何故そんな考えに到った?」 コインブラ「目指す最中も、到達した後も、到達出来なかった場合も。全てが空しかった。それが理由だ」
[457]2 ◆vD5srW.8hU :2010/10/18(月) 15:14:52 ID:SQ7AqbM2 ロベルト「まるで君が過去に最強の座を目指していた様な言い方だな」 コインブラ「目指していたさ。遠い昔はな」 ロベルト「そして挫折したと言う訳か」 コインブラ「その解釈で構わん。負け犬や臆病者と呼びたければ呼べば良い」 ロベルト「…ふむ。そうしたい気持ちもあるが…私には今の君が充実しているとも思えないな。 6歳の時、初めてヒールリフトが出来た時の君の瞳の輝きとは比べ物にならない」 コインブラ「!?何故そんな事を知っている!」 ロベルト「忘れてしまったのか?君の父の家を何度も訪ね、あの人が根負けするまで教えを乞うた日系人を」 コインブラ「…覚えています。短い間だったが、俺にヒールリフトのやり方を教えてくれたのは覚えています」 そのままコインブラはにべも無い態度を取り続けたが、ロベルトが過去を語りだすと 彼の態度は一転して敬意を込めた物になった。それに伴いロベルトもホッとした笑みを浮かべる。 ロベルト「懐かしいな…あの頃の君はサッカーへの愛と希望に満ち溢れていた。今の君はそうじゃない。一体何があったんだ?」 コインブラ「…すみませんが、それを語るつもりはありません」 ロベルト「そうか、それなら無理には聞かない。代わりにこれを聞こう、どうすればブラジルユースに入ってくれる?」 コインブラ「札束を用意されても嫌です。金はこうして不自由しない程度に稼げますしね」 ロベルト「では…何故あの人がボロボロになってまでセレソンで世界一を目指したか、知りたくはないか?」 コインブラ「………っ!」
[458]2 ◆vD5srW.8hU :2010/10/18(月) 15:15:07 ID:SQ7AqbM2 やがてコインブラの態度は段々と軟化していき表情に迷いが見られる様になる。 ロベルトはいったん咳払いをしてからつとめて落ち着いた声を出し続けた。 ロベルト「父と同じ事をしてみなければ、父と同じ気持ちにはなれないのではないか?」 コインブラ「………」 ロベルト「ちなみに、これは君にとって最初で最後のチャンスだぞ」 コインブラ「それはどういう…?」 ロベルト「君は驚異的な才能とあの人の教え、そしておそらくたゆまぬ努力を積み重ねてきたお陰で その年齢としては世界最高峰の力を身につけた。だがあくまで”その年齢としては”だ。 ワールドユースでは通じても、ワールドカップやUEFAチャンピオンズカップでは通用しないだろうな。 ダイヤモンドを磨くにはダイヤモンドが必要だ。君に見合ったレベルで戦わねば、更に強くなる事は出来ない」 コインブラ「……………」 ロベルト「この機会を逃せば父が何を見たか、理解する事は出来なくなるんじゃないか?」 次々と説得材料を差し出されたコインブラは空を見上げ、寂しそうな顔で黙り込んでから 額に手を当てて考え込んだ。そして1分弱の熟考の後ロベルトに向き直った。決意を感じさせる顔で。 コインブラ「二つ条件を飲んでくれたらブラジルユースに参加します」 ロベルト「言ってみたまえ」 コインブラ「まず…俺に10番を下さい」 ロベルト「それ位なら監督権限で容易い事だ。だが私に批判が来ない様に10番に相応しい実力を披露して欲しいな」
[459]2 ◆vD5srW.8hU :2010/10/18(月) 15:16:05 ID:SQ7AqbM2 コインブラ「合宿で他のメンバーに実力差をみせつければ良いですか?」 ロベルト「ああ。エースに相応しいパフォーマンスをチームメイトに見せればどんな批判も私が黙らせよう」 コインブラはまず特別な背番号、10番を要求した。本来ならほぼ無名で現在何処のクラブにも 属していない彼がいきなりブラジルユースの10番などを与えられたら大変な騒ぎになるが、 ロベルトは快諾した。実力さえ示せば文句などすぐに静まると考えたからだ。 だがコインブラの二つ目の要求は彼を仰天させた。 コインブラ「次に…俺が出たいと言わない限り、試合で使わないで下さい」 ロベルト「…な、なんだって!?君は今一体何と言った?」 コインブラ「俺が出たいと言わない限り、試合で使わないで下さい」 ロベルト「聞き間違いじゃなかったのか…出たくないと言わない限り毎試合使えと言うなら分かるが…」 コインブラ「この二つを承諾してくれなければ、この話は無かった事にさせてもらいます」 ロベルト「…何故だ。何故そんな事を望む?」 なんとコインブラはブラジルユースに参加しても、自分が出番を希望しない限り出場させるなと言ってきたのである。 非常識だとか自分勝手だとか言う以前に理解がまるで及ばない要求にロベルトは完全に狼狽した。
[460]2 ◆vD5srW.8hU :2010/10/18(月) 15:16:30 ID:SQ7AqbM2 コインブラ「俺の目的は世界一を目指すと言う事がどんな事か知る事。ただその一点のみです。 戦いたいと言う気持ちになった時に戦うのでなければ意味がない。セレソンの誇りとやらを強制されるのも嫌だ」 ロベルト「正気か!10番に相応しい実力を示すと言っておきながら、試合には出たくないだと!?」 コインブラ「…お願いします。強制されても意味がありません。本当に戦いたい気持ちを感じなければ、 何故親父があんな目に会いながら戦い続けたのか理解出来なくなってしまう…そんな気がするんです」 ロベルト「………」 コインブラ「非常に大きな迷惑をかける事は理解しています。しかしこれが俺に出来る最大限の譲歩です」 無理を承知で頼み込んでくるコインブラの前にロベルトは押し黙り…やがて深々とため息をついた。 ロベルト「仕方が無い…あの人への恩返しだと思って骨を折ろう」 コインブラ「有難う御座います」 ロベルト「まあいいさ。どうせ君を招集出来なければ君を試合に使う事も出来ないんだ。 秘密兵器なり戦術上の理由なりを対外的に言い張る事は出来る…」 コインブラ「そうして下さい」 これがアルツール・アンチネス・コインブラがブラジル代表となった瞬間だった。
[461]2 ◆vD5srW.8hU :2010/10/18(月) 15:17:33 ID:SQ7AqbM2 いったんここまで。
[462]創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 19:18:01 ID:JYu++fzk 今回のロベルトって 上手く凡人・変態フラグを見せないで話をまとめられたな
[463]創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 22:17:46 ID:Rg5qf272 凡人だからここまで大幅な譲歩を迫られたのかと思ってた
[464]創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 22:30:14 ID:qTFK49HH ロベルトが凡庸になったのはサッカーに関してだけだろ コミュ能力や処世術まで浸食されたわけじゃなし
[465]創る名無しに見る名無し:2010/10/18(月) 22:36:15 ID:bEYmnCJ8 サッカーで凡庸になったのが逆に指導者としてはプラスに 作用してる気すらする。
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0ch BBS 2007-01-24