※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【ストライカーの】幻想のポイズン45【条件】
[714]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/12/17(金) 02:13:57 ID:??? 自分の考えている事が次々と読まれ、更には名乗っていないのに自分の名前まで言い当てられた事で若林は大きく狼狽し……。 一方でさとりはそれに対して薄い自嘲げな微笑みを浮かべつつ、自身の正体を明かす。 覚り妖怪――他者の心を読んでしまうという能力を持つ、地底に住まう忌み嫌われた妖怪。 幻想郷には妖怪がいると……更にはサッカーをする者たちの多くはその妖怪であると。 かねてより三杉や見上に聞かされていた若林だが。 しかし、流石に人の心まで読める者までいるとは予想していなかった為か目を丸くして驚き。 それを見て、さとりは一層その笑みを自嘲的なそれへと変貌させる。 さとり「気持ち悪いですか?」 若林「う……い、いや……!(この胸についてる目で俺の心を覗いているっていうのか?)」 さとり「そうですよ……もっとも、今はあまりよく見えませんがね……」 言いながら、さとりは胸元にあるアクセサリーのような第三の目に触れる。 本来ならばパッチリと開いている筈のそれは半ばまで閉じかけてしまっており……。 それは即ち、さとりの第三の目が――心が閉ざされてしまおうとしているという事であった。 だが、そんなことを知らない若林は自分の心が完全に見られる訳ではないのかと静かに安堵し……。 しかし、この今思っている見られないのかという感情も見られているのではないかと不安に思いつつ。 若干の距離をさとりを取りながら、問いかける。 若林「……お前の正体は、まあ、わかった。 だが……さっきの言葉は、どういう意味だ。 俺が……お前と一緒だと?」 さとり「……はい。 私とあなたは、似ているのです……」 若林の言葉に、さとりは尚も自嘲げに笑いつつ、小さく体育座りをして落ちてゆく夕日を見つめ言葉を吐く。 その横顔を見ながら、若林もまたさとりと距離を取りつつも体育座りをする。 若林とさとり、体育座り。 仲良く並び、しばらくそのままぼうっと夕日を2人は見ていたが……やがてまた、その沈黙をさとりが破った。
[715]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/12/17(金) 02:15:24 ID:??? さとり「私も……かつては幻想郷で3大キーパーと呼ばれるだけの実力と栄誉を持っていました。 あなたが小学生時代、全国大会を制覇し。 同世代では圧倒的な実力を備え、地位と名誉を手にしていたのと同じように」 若林「……過去形なのは」 さとり「はい、そうです。 ……私はその地位から転落したのですよ。 今となっては、私は幻想郷でも見向きもされません。 元々嫌われ者なのですから、いいんですけれどね」 軽口を叩くように言うが、しかし、その表情は非常に自暴なものであり。 現状、あまり精神的に余裕がない若林にも、それが決して本心でないという事がわかる。 だが、それでもさとりは自嘲を未だに浮かべ、夕日から地面へと視線を移しながら更に呟く。 さとり「ただ一度の失態から、ずるずると私のサッカー人生は狂っていった……。 私の能力を最大限に生かし、戦っても……それ以上の力で押さえつけられ、強引に勝利をもぎ取られた。 元々、私はそれほど強い種族でもなければ身体能力も見ての通り高くはありません」 若林「か細い腕に低い身長……少なくとも、サッカー選手には見えないからな……」 さとり「ふふ……正直ですね。 ……私はもう、サッカーをしたくありません」 若林「何?」 ついさっき会ったばかりの、しかも完全に初対面である若林に対して。 疲れたようなため息と共に、さとりは静かにそう宣言をした。 それは初対面であるが為に言いやすかったのかもしれないし、或いは、心を見た事で。 若林が自分と同じ境遇にある事を知り、そんな若林だからこそ喋る気になったのかもしれない。 さとり「ここ最近……いつも、ボールを受けて吹き飛ばされる夢を見るのです。 毎晩毎晩……いつもいつも。 同じ選手にシュートを撃たれ、惨めな思いをする。 苦しいんです……もう……」
[716]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/12/17(金) 02:16:30 ID:??? 不夜城カップで、圧倒的過ぎるシュート力で、文字通り蹂躙され、陵辱をされたさとり。 その精神は崩壊一歩手前のところまで……否、殆ど崩壊しかかっていた。 どう足掻いても止められない、無慈悲なシュートは夢の中で自身を何度も何度も吹き飛ばし。 そのごとに笛が鳴っては、スコアボードに点数がどんどんと加算されてゆく。 そして、それと比例するかのように観客席からはさとりを嘲笑する声が溢れ。 自分を囲っていてくれたペットたちは、蜘蛛の子を散らすように去ってゆく。 そんな夢を、さとりは毎晩見て……そして、いつも涙を流しながら起床をする。 それが日課となっていた。 さとり「もう……嫌なんです……」 これ以上ペットたちを失望させたくはなかった。 これ以上、誰かから指を指されて嘲笑されるのは御免だった。 冷静に見えて、その実、一勢力の代表者としてのプライドは非常に高い古明地さとり。 そもそも、そんな彼女がサッカーを始めたきっかけは。 サッカーならば他の勢力の代表にも負けないかもしれないという自信があったからである。 妖怪としての力量では各勢力のトップには及ばないものの、それでもサッカーなら……。 純粋な力だけが勝敗を決める種目でなければ、他の勢力にも負けないかもしれないと思いさとりはサッカーを始めたのである。 事実、その目論見はある程度成功し、さとりは幻想郷3大キーパーの異名を欲しいがままにしていたのだが……。 反町一樹が現れてから、そんなさとりの心も、体も、全てはボロボロになっていった。 そして、今……もはや強豪どころか、中堅――弱小とすら思われているかもしれない地霊殿で。 これ以上サッカーを続ける意義を――その意味を、さとりは見失い……。 これ以上苦しまないうちに、サッカーをやめるのが最善なのではないかと考えていたのである。 呟くように、ぽつり、ぽつりと言葉を吐き、事情を語るさとり。 そして、その全てを語り終え、大きくため息を吐いた瞬間……。 若林「……おい、お前。 さっき、俺がお前と同じだと言ったな」 さとり「はい、その通りじゃないですか。 あなたも私と同じ……」 若林「いや、違うな。 ……俺は、お前とは違う」
[717]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/12/17(金) 02:17:46 ID:??? 俯きながら言葉を吐くさとりに、感情を押し殺したかのような声で告げる若林。 瞬間、さとりはハッと顔を上げて若林を見上げれば……。 若林はさとりに対して軽蔑するかのような……まるで汚物を見るかのような表情を浮かべているのだった。 若林「俺はお前とは違う……俺は、お前のような軟弱者じゃない」 さとり「そんな……事実、あなたは今さっきまでここで頭を垂れ、うじうじしていたじゃないですか……。 私に隠し事は無駄ですよ……どんな嘘だって……」 若林「ああ、確かにさっきまで俺はお前のように暗い顔して俯いていた。 ……お前を見て、どんだけさっきの俺が醜く、浅ましく、情けなく、だらしないかわかった。 だからこそ……俺は、お前のような軟弱者じゃない……いや、軟弱者にはなりたくない!」 古明地さとりもプライドが高ければ、若林源三もプライドの高い選手であった。 そんな彼は最初さとりの話を、同情半分聞いていたのだが……。 しかし、その話も半ばに差し掛かると……さとりの言葉と先ほどまでの自分の姿を重ね……。 そして、そんなさとりの姿に――自身の分身の姿に、大きな憤りを感じた。 プライドが高いからこそさとりはこれ以上その誇りを傷つけられる事を拒んだ。 だが、逆に若林はプライドが高いからこそここで終わってはいられないと前を向いたのである。 そもそもの問題として、さとりはサッカーを本業とする者ではなく。 若林はサッカーをするしかこの先生きる道が無く、かなり切羽詰っているものがあったという面も多分にあったろうが……。 とにもかくにも、先ほどまでどんよりと曇っていた若林の表情は、いつの間にか不適な笑みへと変わっていた。 SGGKとしての誇りを取り戻し、正ゴールキーパーの座に返り咲かなければと気づいた若林源三。 その道のりが果てしなく困難であり、また、周囲から笑われるだろうという事は判別がついていた。 だが、それでも若林はさとりのようにはなりたくないと思った。 精神的に脆くもあるが、しかし、強気でもある若林源三は、この時、ようやく立ち直ったのである。
[718]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/12/17(金) 02:19:15 ID:??? 若林「ふん、一応は感謝しておいてやる。 お前がその情けない姿を見せてくれたお陰で。 俺はそうは絶対になりたくない……もう二度となりたくないと思えるようになったんだからな。 じゃあな、負け犬」 さとり「なっ……!」 体育座りを止め、立ち上がり、嘲るような笑みを向けながら颯爽と立ち去る若林。 てっきり自分に同調し、同意し、慰めてくれると思っていたさとりは驚き。 ……そして、やがて頬を朱に染め、激昂しながらその背に声をかける。 さとり「どうして……そこまで……! 傷つく事がわかっていて、尚もサッカーが出来るんですか!?」 若林「………………」 さとり「ゴールキーパーなんて……防いで当然。失点をすれば観客からため息が漏れ。 無失点を記録しても、そんなものは決して高い評価はされず! 逆に大量失点をすれば戦犯として叩かれる……! 吹き飛ばされれば笑われて……こっちが押している時はまるで目立たず、やはり評価されない! それなのに……どうして……!」 若林「だからだ」 さとり「えっ……?」 嘆くように、不平不満をぶちまけるさとりに対して、若林はただ一言そう呟いた。
[719]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/12/17(金) 02:20:16 ID:??? 若林「責任が重い、評価はされない。 だからこそ……活躍をすれば、それだけ敵にも味方にもデカい顔が出来る。 点を取らんFWが点を取るまで防ぎ続ければ、俺の好守のお陰で勝てたと評されるだろうな。 圧倒的なエースの攻撃を止めれば、俺はそのエースを直接的な対決で超えたと言える。 だからだ」 ともすればビッグマウスな言葉を吐いた後、若林源三はその場をランニングをしながら去っていった。 後に残ったのは、古明地さとりたった1人。 さとり「(どうしてそこまで自分の力を信じられるの……6失点という、信じられない失点記録をしておいて……)」 ただの馬鹿なのか……それとも、自分の力を――才能を信じているのか。 驚きと、呆れと、憤りを混ぜたような感情を持ちつつ……古明地さとりはいつまでも若林の背中を見つめ……。 若林が最後に吐いた言葉の意味を、考えようとしていた。 これが今から1週間前の、午後――夕暮れ時の出来事であった。
[720]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2010/12/17(金) 02:22:18 ID:??? .-、 _ ヽ、メ、〉 r〜〜ー-、__ ________________ ∠イ\) ムヘ._ ノ | ⊥_ ┣=レヘ、_ 了 | え−−い、若林とさとりんはいいっ! -‐''「 _  ̄`' ┐ ム _..-┴へ < | |r、  ̄ ̄`l Uヽ レ⌒', ヽ. | 反町を映せっ! 反町の魔王振りをっ!! (三 |`iー、 | ト、_ソ } ヽ | | |`'ー、_ `'ー-‐' .イ `、  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | `ー、 ∠.-ヽ ', __l___l____ l`lー‐'´____l. |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| .| | || |__.. -‐イ || | ノ/ と言われないように、明日はなんとか反町視点に戻りたいなぁ、という所で本日はひとまずここまで。 それでは、お疲れ様でしたー。
[721]森崎名無しさん:2010/12/17(金) 02:35:43 ID:??? さとりか完全にレイプ被害者
[722]森崎名無しさん:2010/12/17(金) 02:38:26 ID:??? この文章の長さ的に考えて、さとりとバヤシラスボスあるで
[723]森崎名無しさん:2010/12/17(金) 02:54:27 ID:??? 体育座り乙でした
前
次
写
0ch BBS 2007-01-24