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【しばし】ファイアーモリブレム29【別れの時】
[483]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:28:51 ID:??? 〜数ヶ月前。サンパウロFCトップチーム練習コートにて〜 その日、新田はチームメイトのジウたちと共にトップチームとユースチームの練習試合へと駆り出されていた。 現在若手とベテランの調和を目指すフロントの意向通り、有望株な若手を探すべく、 週に一回プロクラブにとっては異例の昇格を賭けた対抗試合が行われているのである。 ピッピッピイイィィィィィ! 陽子「はい、そこまで!4対0でプロチームの勝利!」 オリベイラ「残念だったな、来週こそは点を奪えるといいね、期待のルーキー軍団」 ネルソン「始めの頃に比べると、ようやくゲームらしいゲームが出来るようになってきたな」 バモラ「ハハハ、悪いけど簡単には点をやれないヨ。こっちもレギュラーがかかっているんだからネ」 ストラット「……ふん。こいつら相手じゃウォーミングアップにもならなかったな」 トップチームの代表格の四人。チームキャプテンのオリベイラ、最年長の抑え役ネルソン、 正GKのバモラ、そしてセリエAのミランから移籍してきたイタリアの若きストライカーであるストラットは 思った以上のユースチームの健闘に各々の反応を示していた。 アマラウ「ムカムカ〜。同い年のくせにあいつ態度悪っ!あのチョンマゲヘアーもなんか腹立つ!」 ドトール「プロとしての経歴はあいつのほうが上だからしょうがない。…まぁ、このまま黙ってはいられんのは同意だな」 ジウ「レナート、来週こそ頼むぜ。俺達が勝つためには最少失点で切り抜けることが大事なんだからさ」 レナート「お、おう…ま、任せろ……(メガロゾーンなんか怖くない…怖くないったら怖くない…)」 バビントン「この試合で結果を出せれば晴れて正式にプロ契約なんだから。今度も頑張ろうよみんな!」
[484]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:30:15 ID:??? マウリシオ「でも、これまでの戦績は0勝5敗で合計18失点。少しも勝機が見えてこないんだよな〜」 石崎「相手の猛攻撃を止めるだけで精一杯だっつーの。なぁ新田、お前の力でなんとか1点奪って……ん?」 石崎はキョロキョロと辺りを見回してみるが、ユースチームのFWである新田の姿が見えない。 先程の試合で、プロチームのストラットにストライカーとしての差をむざむざと見せつけられ、 どこか上の空だったのが気がかりだったのだが… 陽子「あら?どうしたのかしら石崎くん」 石崎「よ、陽子さん、新田の姿が見えないんです!」 陽子「(あちゃあ。彼はちょっとナイーブなところがあるからなぁ。落ち込みすぎてなきゃいいんだけど…)」 〜サンパウロ郊外〜 新田「(…駄目だ。アリティアカップで通用していた俺の技術が、サンパウロのプロチームにはまったく通用しない。 どれだけ工夫を凝らしても、どれだけ相手の裏をかことしても、全て跳ね返されてしまう……)」 数度に渡るシュートチャンスを手に入れたのにもかかわらず、 その全てを台無しにしてしまった無失点続きの今の自分に、新田はショックを隠せないでいた。 新田「(せっかく片桐さんと岬さんの推薦で憧れのブラジルへと研修に来ることが出来たのに…… 俺にはやっぱり山森に比べて才能なんて無いのかな。……自信……無くなりそうだよ)」 膝を抱えて座り込み、小柄な体をさらに折りたたむかのような座り方をしている新田。 するとその足元に、コロコロとひとつのサッカーボールが転がってくる。 新田「(……ボール?いったい誰が…?)」
[485]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:31:53 ID:??? ふと顔を上げると一人の少年が立っていた。年頃は自分と同じくらいだろうか。 肩に届きそうなほどの鮮やかな金髪が風に揺れるさまは、一つの芸術品のような輝きを思わせる。 先ほど転がってきたボールは彼が蹴りこんだものなのだろうか? 少年は新田の足元で止まったボールを拾おうとこちらに近づいてくる。 だが、その少年はボールを手で拾わずに器用に足先で浮き上がらせると 新田の目の前で軽やかにリズムよくリフティングを始めだしたのだ。 少年「よっ…ほっ、はっ」 新田「(…何のつもりだよまったく。今はサッカーボールなんて見たくもないのに)」 少年「君」 新田「…え?」 突然朗らかに話しかけてきたその少年の態度に新田は困惑する。 そんな新田の反応を知ってか知らずか、少年は新田の頭上へとボールを飛ばしてくる。 新田「わっ、とっ、たっ!?」 ポンッ 慌てて素早く立ち上がると、ヘディングでボールを浮き上がらせる。 沈んだ気持ちなんてお構いなしに、ボールを押し付けてくるこの謎の少年はいったい誰なのだろうか。 しかしそんな思慮を巡らす暇もなく、少年は新田に向かってボールを奪おうと接近してくる。 新田「(勝負しようってのか?…馬鹿にして!)」
[486]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:32:54 ID:??? おそらく彼もこのサンパウロ地区に数多くいるプロ候補生の一人か何かなのだろう。 おもしろい。折角だから気晴らし相手になってもらおうか。 新田は持ち前の不敵な笑みを静かに浮かべ、素早くステップを踏み少年の競り合いを避けようとする。 が。驚くほど簡単にそのボールは奪われてしまった。体が触れる感触すら感じないままに。 少年は青空のような鮮やかな色の瞳を細め、得意げな笑みを見せてくる。 こうなってしまえば、対抗心を糧に成長を続けてきた新田はもう自制が効かなくなってしまう。 新田「くそお、舐めるなよ!」 少年「!」 それから数時間、新田は少年とひたすらボールを蹴り続けた。 少年の踊るようなフェイントに何度も体制を崩されながらも、新田は卓越した瞬発力で喰らいつく。 そしてようやく彼のドリブルの法則性を掴みかけたその時、足の疲労が限界を迎えてしまった。 ごろりと草原に寝転がると、少年も限界が近かったのか新田の側にがくりとしゃがみ込む。 新田「ぜーはー…ぜーはー…もーだめ、もう一歩も動けん……」 少年「はぁっ…はぁっ…ぜぇっ……」 新田「くっそ〜〜〜〜!あと少しで奪えそうだったのに!」 少年「うん……正直危なかったよ……」 荒い呼吸を整えながら、少年は新田に向かって微笑む。思わず新田も彼の笑顔に釣られるように笑い返す。 少年「……笑った」 新田「…え?」
[487]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:34:11 ID:??? 少年「悲しいときがあったとき、サッカーをすれば忘れられる。 楽しい気分にさせてくれる。笑顔になれる。…ある人から教わった言葉なんだ」 新田「…ふーん。笑顔、ねぇ。で、どうしてお前は俺に勝負を仕掛けてきたんだよ。 まさか俺が一人で悲しい顔して落ち込んでいたからとでも言うのか?」 少年「……そうかも。でもそうじゃないかもね。でも、俺もそうだったから」 新田「…お前もなにか嫌なことがあったのか?」 新田の質問に少年は何も答えなかった。が、どこか寂しい空気を感じ取った新田はきっとそうなのだと思うことにする。 少年「つきあわせちゃってごめん。おかげで少し元気が出たよ。ありがとう」 新田に礼を言うと、少年はボールを抱えて立ち上がろうとする。 新田「…こっちこそ、ありがとう。俺もなんだか少し吹っ切れたよ」 思わず返事を返していた。事実、彼と一緒にボールを蹴り合っていた時間は魔法にかかったような素敵な時間だった。 子供の頃、仲の良い友人たちと日が暮れる寸前までたった一つのボールを追いかけていた、純真な心が戻ってきたようであった。 点を取らなくてはいけない、結果を残さなければならない、 重い使命感に追われ続けていたここ数日の心の負担がすーっと抜け落ちていく気分だった。 サッカーは、こんなにも楽しい。サッカーに対し自信を無くして嫌いになりかけていた自分などもうどこにもいない。 新田の言葉に嬉しそうに振り向くその少年は、沈みかける夕日を反射させる金髪をかきあげながら言った。 少年「また何かあって落ち込んだ時、ここで一緒にサッカーしようか」 新田「…ああ、いいぜ。約束だ」 それから新田はシュートを外した日、守備で失敗した日、パスミスをした日など、 この郊外の草原へと足を運んだ。そこには彼を待っていたかのように 金髪の少年が新田の沈んだ心を晴らすかのように一緒にボールを蹴ってくれた。
[488]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:35:49 ID:??? 少年「だから、君の場合はもう少しボールキープの時間を長めにするべきだと思うんだ」 新田「でもそれじゃあ俺の自慢のスピードが生かせない。俺にはパワーが無い分ひたすら 相手のマークを振り切るスピードが必要になってくるんだよ」 その日、新田はゴール前に切り込めずに悪戦苦闘していることを少年に打ち明けていた。 少年は新田のドリブル特訓を買って出ると、一つ一つ丁寧に新田のドリブルを紐解いていく。 少年「うん。確かに君のスピードは俺以上だ。でも、相手を避けるのに必要な速さと 君の自慢のボールに喰らいつく速さは同じじゃないと思うんだ」 新田「……えーと、つまりどういうことだ?」 イマイチ少年の言っていることが理解できなかった新田だが、少年はにこりと笑うと解説する。 少年「相手を避けるスピード、相手を跳ね除けるパワー。相手を惑わすテクニック。 この3つのバランスが大事なんだ。どれかに特化していては、すぐに対策を立てられてしまう。 相手の守備のクセに合わせて、変幻自在にステップを変えられるようにするんだよ」 新田「そのためのボールキープか?」 少年「ああ。力には速さ、速さには技、そして技には力。この『3すくみ』を理解するんだ。 この3つの要素が組み合わさったとき……君のドリブルはより精度の高いものへと進化するはずだ」 新田「力には速さ、速さには技、技には力……ぬぬぬー、頭がこんがらがってきた」 少年「ははは…君は頭を働かすより実際に体を動かしたほうが良さそうだね」 新田「そうさ!俺はシュートのタイミングとか回数を重ねることで合わせていくタイプだからな!」 だが結局その日、新田は少年の言うような『3つの要素が揃った』ドリブルを理解することはできなかった。 しかし、少年の残した言葉は時限装置のついた爆弾のように、今この瞬間、新田の脳内で爆発する。
[489]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:36:54 ID:??? 新田「(そうだ、思い出した!力に対抗出来るのは速さ! 俺の最も得意とする分野じゃないか。…だけど日向さんのタックルはただの力押しだけじゃない。 死角に入り込もうとする技術、そして素早くボールを掠め取ろうとするスピード。 この二つの要素にも対抗できなくてはダメなんだ。そうか……ようやく君の言っていることが分かったよ!)」 バッ! 日向「ボールを寄越せ!!」 新田「(強引に体を寄せてくる気か!ここは…速度をあげる!)」 ビュンッ! 日向「逃しはしねぇ!!」 新田「(速い!?けど、ここでフェイントを織り交ぜれば……)」 ククッ…ギュン! 日向「な…な…?」 アンナ「こ、これは凄い!新田くん、日向くんの執拗なマークを華麗なステップでかわす!かわしまくる〜〜〜!!」 日向「野郎…!だったらこれならどうだ〜〜〜!!」 このままでは振り切られる。そう思った日向はボールではなく新田の足先に向かってタックルを仕掛けた。 反則ぎりぎりのプレイで止めようとする高等テクニック。しかし、日向は気づいていないのだ。 この『技』を重視したプレイという手札を導かれるように出されてしまっていることに。 そう、全ては始めの力に頼ったタックルを安易に見せてしまったことから始まっていたのだ。 新田「(相手の行動に対応する有利な行動を取る。言葉では簡単だけど、咄嗟の判断でそれを行うには相当な集中力が必要なんだ。 今の俺は自分でも驚くくらい一つ一つのプレイに集中できている。だから……だから今なら!)」
[490]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:38:30 ID:??? ガッ! 新田「技には力で対抗出来る!うおりゃあああぁぁぁぁぁっ!!!!」 ドッゴォオッ!! 日向「ば……か…な……」 新田「ありがとう……ようやく、ようやく君の言うことが理解できた!アルシオン!!」 あの何処か物静かな、けれどもサッカーに対する思いや情熱は 誰よりも熱く感じた少年も、きっと今頃どこかのプロクラブで活躍していることだろう。 日本へと帰国する寸前、新田は少年と約束している。 必ずもう一度、今度はお互いプロという存在になった上であの郊外の草原でサッカーをするのだと。 アンナ「は、弾き飛ばした〜〜!!体格的に明らかに不利な新田くんが パワープレイに定評のある日向くんを真正面からドリブルでふっ飛ばした〜〜!!」 井沢「う、嘘だろ…新田、オマエってやつは…ブラジルでどれだけ腕を上げてやがるんだ…!?」 石崎「ったく、新田の奴…いつの間にあんな技を。ま、さすがはプロチームから唯一点をとれただけのことはあるぜ」 片桐「す、素晴らしい…素晴らしい!見上さん、今の見ましたか!?」 見上「あ、ああ……彼のドリブル技術……いや、『ドリブル芸術』と呼ぶべきか。 パワー、スピード、テクニック、全てを兼ね備えた、正に理想の形を的確に組み立て、繰り出していた…!」 モロドフ「(……何故あの少年があのドリブルを……いや、しかし……彼は実に楽しそうにドリブルをしおる……)」
[491]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2011/04/21(木) 03:40:05 ID:??? ここまで心を奪われるプレイを見たのはいつ以来だろうか。 モロドフは震える左手で額にかいた汗を拭うと、ぐんぐんと速度を上げていく新田のドリブルを目で追っていく。 モロドフだけではない。このスタジアムのほとんどの者が、今の一連の新田のプレイに心を奪われてしまっていたのだ。 気持ちを高ぶらせ、晴れやかにし、笑顔を生み出す。まさに『芸術』の名に相応しきプレイを、新田は今スタジアム中に届けているのである。 アンナ「日向くんを抜き、新田くんはさらに前進!井沢くん、マークに付くがついていくのが精一杯か〜!?」 新田「勝負ですよ井沢さん!俺についてこれますか!?」 井沢「言うようになったじゃないか新田!だが、調子にのるのはここまでにしておくんだな!」 ============ 先着『2名』様でブロックごとに判定をお願いします。 新田→!card+ ドリブル61= ============ 井沢→!card+ タックル50= !と cardの間のスペースを消してカードを引いてください。カードの数値で分岐します 【攻撃側】−【守備側】 ≧2→新田がPA内に突入! =1、0、−1→ボールはこぼれ球に。左から順に (シーダがフォロー)(アベルがフォロー)(次藤がフォロー) ≦−2→フィーバータイム終了。井沢がボールを奪った! 【補足・補正】 新田のカードがダイヤで『芸術的なドリブル』で+5 新田のカードがハート・スペードで『強引なドリブル』で+2(吹っ飛び係数2) その他は>>17を参照してください。 ============ 今夜はここまで。なるべくしてなったというか、晴れて新田も第2部の重要人物へと昇格ですw それではまた次の更新でお会いいたしましょう〜
[492]森崎名無しさん:2011/04/21(木) 03:41:48 ID:??? 新田→ クラブ4 + ドリブル61= ニッタ! ニッタ! カンピオーネ! 乙でした〜
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0ch BBS 2007-01-24