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【さらば】キャプテンEDIT34【氷潤】
[281]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:43:31 ID:??? 投下が遅れ気味にもかかわらず、暖かいお言葉の数々、ありがとうございます 遅くなりましたが今回の投下です ……ちょっと無判定パートが長くなり、分岐まで10レス以上掛かります ご注意ください --------------------------------------------------------------------------------------- 〜一方その頃〜 大前が弟を鍛えている一方、競技場では準決勝への切符を争う他校の試合が繰り広げられていた。 鳴紋のスカウティングが集中したのは、秋から変化が見られない清栄よりも、準決勝の相手。 新興戦力の中部中学と、前年とは別チームと化した赤口中だった。 その試合の様子はと言うと、 ――ピィイイイイイイイイイイイイイイイっ! 実況「決まったァ! 中部中学キャプテン・山下くん、キーパーの来れないゴール上隅にミドルシュートを突き刺したァ! これで2−3と勝ち越し! 中部中学、後半15分と言う時間帯でグッと勝利に近づくぅ!!」 山下「見たかっ! これが俺の、そして中部中の力だ!」 グッとサムズアップしゴールを誇る中部中キャプテン、山下一男。 決められた赤口中の選手たちは、苦々しくその姿を睨む他ない。 早苗「……や、やるじゃないですか。でも、試合はまだまだこれからです!」 武居「そ、その通りだ! ……ハァ、ハァ……っ!」
[282]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:45:09 ID:??? 菱野「なかなかの好チームですわね、中部中学は。全国でも組み合わせ次第では、上位を狙える布陣と見ます」 モブ部員A「こ、こんなチームがまだ県内にいたなんて……」 モブ部員B「赤口中も頑張っているけど、いかんせん守備がなァ」 モブ部員C「決定力がある選手がキャプテンの武居さんと東風谷さんだけ、ってのもキツいな。 あの二人を集中して押さえられてるとなると、2点も取れたのが奇跡みたいなもんだぜ」 菱野「お二人ともこれまで走り回って消耗し始めていますし、このままでは勝ち越し点を奪った中部中学に押し切られそうですね。 ……中盤はそれなりに充実しているのですし、せめてFWかDF、どちらかにもう一人好選手がいれば――」 と、菱野が呟いた瞬間だった。 放送『赤口中学、選手の交代をお知らせします』 菱野「――あら?」 実況「おっと、赤口中はここで交代のカードを切ってくるようです。後半半ばを過ぎてビハインドを負った状態。 ここから試合をひっくり返せるスーパーサブは、果たして存在するのか!?」 山下「ふん。無駄な悪あがきを……」 早苗「……鳴紋戦までは温存したかったのですが、やむを得ませんか」 放送『19番・藻部くんに替わりまして、9番・八坂くん。15番・座子くんに替わりまして、2番・洩矢くん』 観客「こ、ここで背番号一桁を二人投入?」「その二人がスーパーサブなのか?」「いや、番号からして温存していたのかも……」 一気に二枚も切られた交代のカードに、会場はどよめく。 そして場内の視線は、テクニカルエリアに現れた二つの人影に集まっていった。
[283]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:46:10 ID:??? 神奈子「やれやれ。こんなに早く出番が来るとは、意外だったわね」 諏訪子「あーうー。でも、正念場の鳴紋戦の前に、少しは試合勘を付けておかないといけないからね。むしろ丁度いいんじゃない?」 実況「交代の選手は9番の八坂神奈子くんに、2番の洩矢諏訪子くん! な、名前の通り、共に女性選手です!」 観客「なにィ!? ここで更に女子を二人も入れるだと!?」「ど、どういうことなんだってばよ?」「試合投げているのか!?」 観客たちの動揺は、いよいよもって深まっていく。 それも仕方の無いことだった。いくら武居と早苗の二人が獅子奮迅の活躍を見せているとはいえ、またも女性の投入。 しかもこれまでベンチを温めていた選手である。 負けそうだから、記念に出場させた……そんな勘ぐりをするものが、観客の大多数だった。 下原「いあいあ! お待ちしておりました、我らが神よ!」 宮川(赤口の8番)「こ、これで何とかなる! この試合、貰った!」 だが、赤口中選手たちの反応は、それとは真逆だった。 安堵の吐息。ほのかに覗く笑顔。そして熱の籠った視線。 切られたカード二枚に寄せる期待と信頼。それは崇拝の域にまで達してさえいる。 早苗「申し訳ありません、こんなに早くお出まし願うこととなりまして――」 神奈子「気にしない気にしない。こっちもベンチで高みの見物は飽き飽きしていたところだしね」 諏訪子「そうそう! ここは遠慮なく私たちを扱き使って、バァーンとォ! 逆転しちゃおうよ!」 武居「ああ、神様……神々し過ぎます……」
[284]森崎名無しさん:2011/06/23(木) 00:46:47 ID:??? モブと雑魚w
[285]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:47:23 ID:??? 熱い歓迎を受けつつピッチに入る二人、もとい二柱。だが、慌てて駆け寄ってそれを遮るものがいた。 審判「ちょ、ちょっと待った!」 神奈子「ん?」 諏訪子「あーうー? 何か問題でもあるの? 交代は三人までで、私たちは一人目と二人目だよ?」 審判「い、いや、そういうことではなくてだな――その格好は何なんだね!?」 言いつつ、神奈子の背中と諏訪子の頭を指差す審判。 神奈子「え? 何? 私らの格好、何か変?」 諏訪子「いつも通りだよね?」 顔を見合わせる神奈子と諏訪子。 早苗「大丈夫です。問題ありません」 武居「いつも通りに神々しいお姿……」 下原「いあいあっ!」 審判「いや! 絶対におかしい! その――背負い物と帽子は!」 審判は唾を飛ばしつつそう喚く。 神奈子の背中には、極太の注連縄。そして、四本の柱まで背負わされている。象牙が突き出すように凶悪なシルエットだった。 諏訪子が被っている帽子。それはパッチリとしたつぶらな目玉を備えている。……時々瞬きしているのは、目の錯覚だろうか?
[286]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:48:28 ID:??? 審判「9番! そんなものを背負ったままプレイしては、相手選手がぶつかって怪我をするぞ! 今すぐ外しなさい!」 神奈子「えー? もうっ。仕方ないわね……」 神奈子は思いの外素直に背負っていたものを外す。だが、諏訪子の方は帽子にガッチリと両手を掛けて守りに行く姿勢。 審判「君もその帽子を脱ぎたまえ。ルール上、帽子が許可されているのはゴールキーパーだけだ」 諏訪子「だ、駄目ー! これは私のいわば一部! 絶対に外せないんだから!」 審判「我儘を言うんじゃない! 君も中学生……に、なっているんだよな? だったら、良いことと悪いことくらい聞き分けたまえ!」 諏訪子「あーうー……」 うるうる、と目に涙を溜める諏訪子。……気の所為か、帽子の目玉も瞳が潤んでいる気がする。 諏訪子「こ、こうなったら……審判さん、ちょっとこの帽子の目をよーく見て?」 審判「何だね? いい加減にしな――」 ミョンミョンミョンミョンミョン……。 諏訪子「これはプロテクターの一種〜。頭を怪我した選手が着けていても、おかしくない〜。これはプロテクターの一種〜……」 審判「――ぷ、ぷろてくたぁのいっしゅ……?」 諏訪子「そうだよ〜、ルール違反じゃないよ〜……?」 審判「るーるいはんじゃない……」 帽子の目玉に視線が合った瞬間、胡乱な表情で諏訪子の言葉を反芻しだす審判。 しばらく、審判と諏訪子(の帽子)は見つめ合い、やがて、
[287]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:50:12 ID:??? 審判「…………うむ、問題無い! 試合を再開する!」 諏訪子「やったー! 聞き入れてくれてありがとー!(ふぅ、無駄に力を使っちゃったよ……)」 神奈子「あっ、私の注連縄とオンバシラは――」 審判「何を言っている、試合再開を急ぎたまえ!」 神奈子「――なにィ!?」 審判「怪我をした選手が頭にプロテクターを着けてプレイすることは稀にあるが、柱と注連縄を背負ってプレイするのはルール違反! 我々審判は常に公平だ! あっはっはっはっはっ!」 無闇に爽やかな笑顔を浮かべつつ、再開を促す審判。 蚊帳の外に置かれている中部中選手たちと観客は、揃って狐につままれた様な顔になる。 菱野「な、何なんでしょうか、あのお二人の選手は?」 モブ部員A「赤口中、相変わらず常識に囚われていないですね……」 観客「無駄に時間使ったし、赤口中もう終わりじゃね?」「でも、二人ともレベル高いなァ」「スラっとした美人に、小柄で可愛い系か」 「アリだと思います!」「いや、二人ともどう見ても中学生には――」「アリだと思います!」
[288]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:51:17 ID:??? 山下「……何が何だか分からないが、あの二人がピッチに入るまで大分時間を使っていたな。 よしっ! 後は守りを固めてカウンターに徹すれば、準決勝進出は勝手に転がり込んでくるぞ!」 中部中メンバー「お、おうっ!」「交代したとはいえ、初戦は女子だ!」「このまま押し切って、勝つぞ!」 強引に気持ちを切り替えて逃げ切りの布陣を整える中部中。 それに対して、赤口中の選手たちはニヤリと剣呑に微笑む。 神奈子「向こうさん、このまま逃げ切る算段みたいだね。なかなかどうして引き際を心得ているじゃないの」 早苗「ふっふっふ。ですが、果たしてそう上手く行くでしょうか?」 諏訪子「ケロロロ〜ン♪」 それぞれのポジションに入る交代選手二人。 そして、赤口中の逆襲が始まりを告げた――。
[289]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:52:58 ID:??? 〜翌日、試合前ミーティング〜 菱野「――と、いうことが昨日の試合であったのです」 大前「そ、その二人の女子が、逆転の立役者になって中部中学を倒したっていうのか……」 菱野からの情報に、息を呑む鳴紋中選手たち。 昨日の試合結果は、5−3という盛大な撃ち合い。 ダークホース二校のぶつかり合いは、女性選手四人を擁する赤口中に軍配が上がったという。 菱野「お二人のプレイは、圧巻でしたわ。ゲームに入って僅か10分でハットトリックを達成した八坂選手の決定力。 それに加えて、センターバックながら疲労した中盤に代わってゲームメイクを行った洩矢選手も凄まじいものがあります。 今まで鳴紋中が戦ってきた相手の中では、江東学院が近いタイプのチームでしたでしょうか?」 雪村「江東学院……去年の全国三回戦の相手だよね」 比良山「うむ。選手層は薄いが、その分各ポジションに配されたエースクラスの実力は隔絶していたチームだった。 ヤツらには、かなり手こずらされたな」 昨年の全国大会で、3−2と鳴紋中をギリギリまで追い詰めた江東学院。 それと同タイプのチームと聞かされて、にわかにロッカールームに緊張感が漂う。 菱野「前線に強力なストライカー、中盤に優秀なゲームメイカー、後方にリベロタイプのセンターバック……。 江東学院と赤口中はこの選手配置の点で共通項が見られます。 しかし、赤口中はFW武居選手とMF下原選手と、中核となるプレイヤーを補佐できる選手も備えております。 酷似した特性を持ちますが、赤口中の方が戦力の充実度では上でしょうね」 大前「県内でも下位だったチームが、今年に来て全国中堅クラス以上の好チームに変貌か。 何が起こるか分からないのがサッカーとはいえ、これには度肝を抜かれるなァ」
[290]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2011/06/23(木) 00:54:22 ID:??? やす子「コホン。……ちょっとちょっと、どうして監督の私を横に置いたままミーティングを進めているわけ?」 本多「あ、いたんですか監督」 渡会「ちょ!? 本多、空気読め! 今、監督のご機嫌が斜めっているじゃねーか!?」 やす子「まあ、本多くんは今度みっちりと扱いて上げるとして――」 大前(うわ、そういえば本多の特訓を依頼していたんだっけ。南無、本多……) ギロリと本多を睨みつつ、飯地監督は口を開いた。 やす子「――よし、みんなきけ」 達也(必ずそのセリフは言うんだ……) 水守(けど、これが無いとミーティングって気がしない。慣れって怖いなァ) やす子「菱野ちゃんが今言った通り、今回の赤口中は今までとはまったく違う、それこそ全国に出てきてもおかしくない強敵よ。 去年のラッキーチームの印象は、捨てて掛かりなさい。ちょっとした油断が失点、引いては敗北に繋がる難しい試合になると思うわ」 宇津木「去年の試合はマジで酷かったな。ピッチがズタズタに引き裂かれていた所為で滑りまくったし。 アレ絶対ハメだろ……俺のシマじゃノーカンだから」 末松「でも、今年は無闇にこぼれ球を拾われまくった、って話も聞かないし〜。今回は実力勝負になるのかな〜?」 浅村「その点だけは大助かりっスね。……今年は逆に選手たちが手強いみたいっスけど」
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0ch BBS 2007-01-24