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【最終兵器】Another-C_6【ファンタジスタ】
[964]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:12:42 ID:??? 傍らに置いてある鈴を手に取り、チリンチリンと鳴らすと・・・ 間もなく従者と思われる少女が姿を現した。 ???「お呼びでしょうか、紫様(ゆかりさま)。」 紫「藍(らん)、今ほど誰かが結界を越えてたわね?」 まさに寝耳に水であったか、従者である藍は驚いたように疑問の表情を浮かべ・・・ そして直ぐにその事実が思い当たらぬ旨を報告してきた。 藍「・・・・・・? いえ・・・綻びは観測されておらず、結界自体も破られておりません。 人、物の区別なく、この幻想郷に侵入した者、流れ着いた者は皆無の筈です。」 紫「そう・・・・・・なるほどね。」
[965]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:13:43 ID:??? 紫と呼ばれた少女(?)は自らの従者(以下、藍)の言葉で異変の重大さを確信した。 結界の監視を藍に任せているのは、能力を満たす事は勿論、自身よりも真面目で几帳面だからである。 その藍が見逃したり見過ごしたりするという事は通常考えられない。 紫「確かに結界は破られていないわ。 けれど破損・・・と言う言葉が適切か判らないけれど、穴が空けられている。」 藍「えっ・・・!? そn」 紫「戯れじゃないわよ。 とにかく私は現場へ行く、貴女も着いて来なさい。」 藍「は・・・はい!」 言うが早いか、紫は指に念を集中させて空間をなぞった。 指の軌跡がパックリと割れ、漆黒の中に無数の眼が見られる空間(?)が現れた。 ※これは(説明とか絶対要らないとは思うが)この世界でスキマと呼ばれる物である。 紫が空間の境界を操作し、裂け目を作った際に視認される、亜空間の出入口に相当する。 (JoJoしか知らない人に解るように言えば、“スティッキーフィンガーのジッパー”なのさ!) 彼女はこのスキマを繋ぎ合せる事で、離れた場所同士を繋げる事が出来る。 瞬間移動出来ちゃいますって事ですよね、凄いね!
[966]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:15:22 ID:??? 日傘を手に取り、紫は躊躇いなくそのスキマに飛び込む・・・と同時に飛び出していた。 すると、そこは森の中・・・・・・木と葉の隙間から僅かばかりの陽が差し込む森の中だった。 藍「ここは・・・博霊神社の森?」 すぐ後ろからスキマを飛び出してきた藍が、今この場所が何処なのかを口にした。 外の物(人間)がこの幻想郷に流れ着く場合、大概結界の境であるこの場所からである。 それ自体は何ら不思議ではないが、それを自身が全く察知出来なかった事について、 やはり藍はどうにも合点がいかなかった。 紫「見なさい。」 そんな藍に対して特に言葉をやる事なく、紫は結界に生じた穴のある場所を指差した。 そこに見えた物は紫にとっても想定していなかった物には違いなかった。 ・・・が、彼女は反則的に明瞭な頭脳で、何があったのかを思い至っており、 その声には些かの動揺も紛れてはいなかった。 一方そうとも知らない藍は、まるで息が止まったかのように絶句して驚愕を表している。
[967]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:16:27 ID:??? 藍「ゆ・・・紫様・・・! ま、まさか・・・!」 紫「そう、そのまさかよ。」 藍「まさか壮大な自作自演だったとは・・・! ほ、本当に困りますっ!!」 紫「なっ?」 ガクッ そこにあったのは、紫が今しがた作り、消した物と同じ物(?)であった。 即ち“スキマ”である。 これを作り出せるのは幻想郷で、いやこの世界で八雲紫しか存在しない。 故にこそ、これは八雲紫による自作自演のイタズラ・・・と、藍はそう判断したのだ。 紫「藍、悪いけれどこれは私がやったのではないの。 私以外の誰かがこのスキマを作り出し、放置したのよ。」 藍「そんな・・・俄かに信じられません、紫様と同じ力を持つ者が存在するなど・・・」 紫「でも事実なの。 まずそれを受け止めて、幾つもの仮定と証明・反証を行ないなさい。 ・・・っと、そんな数学的な話は後にするべきね。 今は事を終わらせるとしましょう。」 藍「えっ? あっ、はい。」 真実の入口にすら到達していない藍を置いてけぼりにし、紫は一人でズンズンと向こう側へと歩き出していた。
[968]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:17:42 ID:??? 藍「紫様・・・」 いまだに疑問の晴れぬ藍が何やら問い掛けてきた。 紫は『なあに?』と短く返答する。 藍「あのスキマを作り出した者に・・・紫様は心当たりがお有りなのでしょうか?」 紫「ええ、よく知っているわ。 ・・・藍、貴女もよく知る人物よ。」 藍「私も・・・?」 紫「ええ、ほらあの娘。」 向かう先で一人の人物が空から降り立った。 少しウェーブのかかった金髪の少女・・・年齢は18かそこらであろうか? 見慣れない服装から、間違いなく外界からのエトランゼである事が窺えるが・・・ 藍「おや・・・?」 怪訝そうな声を上げ、藍は目を細めた。 その横顔と揺れたブロンドが誰かを連想させたのであろうか。 紫もその少女を観察して、自らの仮説が正しかったと納得した。 それでは・・・と、藍に向けて命を出す。
[969]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:18:48 ID:??? 紫「藍、悪いけれど私はあの娘とは接触出来ないの。 私はスキマから声を送るから、あの娘を呼び止めなさい。」 藍「えっ? あの・・・」 紫「いい、決して殺意や敵意を発しない事。 頼んだわよ。」 それだけ言って、紫は自ら作り出したスキマの中に姿を消した。 紫(さて、藍は困惑しているでしょうけど・・・他にどうしようもないわ。 私は例外だと思いたいところだけれど、こればっかりは試すわけにもいかないしね。) スキマの中で紫はタイミングを待った。 即ち藍が少女を呼びとめ、会話が始まるタイミングである。 (藍「初めまして、外来人のお嬢さん。) (???「あら? ・・・初めまして名も知らぬ人。」) ・・・と、数秒も経たぬ間に紫の出番はやってきた。 どうやら警戒を抱かれる事なく接触したようである。 紫はこっそり作り出していた極小さなスキマから、言葉を送り始める事にした。
[970]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:19:50 ID:??? 紫「改めて初めまして、異界のエトランゼ。 私の名は八雲紫。 目の前に立っているのは私の従者である八雲藍。」 (???「声だけ・・・? ふぅん・・・さすが夢の中、こういうのも有りよね。 初めまして紫さん、私はマエリベリー・ハーン。」) 紫「そう、マエリベリーなのね。」 (メリー「ええ、発音の下手な友人からはメリーと呼ばれているわ。」) 紫「ふぅん・・・それではメリー、実はもうそろそろ夢の時間は終わりなの。 つまり、起きる時間という事よ。」 (メリー「あら、そんな事も教えてくれるなんて親切な夢ね。 どうもありがとう、お礼を言わせて貰うわ。」) 紫「それには及ばないわ、既に貴女の記憶の境界は現と忘却の狭間だもの。 それじゃあ『さようなら』メリー、貴女が再び迷い込む事のないように。」 腕を軽く振ると、メリーの足元がパカッと開いてスキマが現れた。 『アッ』と誰かが口にした時には、既にメリーの姿はそれに呑まれた後だった。 メリーの肉体が幻想郷から存在しなくなった事を確かめると、紫も再び藍の前に姿を晒した。
[971]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:20:53 ID:??? 1−2)彼方U 紫「さて・・・無事解決した事だし、私は帰って寝直す事にするわ。」 藍「その前に紫様、今回の事は一体どういう事なのでしょうか?」 事の全貌どころか部分も理解出来ておらず、説明すら与えられない事に対し、 忠実な従者である藍も流石に少しの不平感を匂わせて問うてきたのだった。 『面倒臭い』と頬を軽く掻く紫であったが、思い直して藍の方へ顔を向ける。 紫「藍、多元宇宙という言葉は知っているかしら?」 藍「え・・・? はい、一応一通りWikipedia先生の講釈を受けています。」 紫「そ・・・。 なら話は早いわ、今回はその中でも量子力学における多世界解釈に位置する物よ。」 藍「・・・・・・何を仰りたいのですか?」 紫「貴女にしては察しが悪いわね・・・。 でもま、仕方ないのかも知れないわね。 結論を先に言ってしまうと、さっきのマエリベリー・ハーンは私“八雲紫”と同一人物。 実際に存在する多世界の中の一つで生きている私こそが彼女・・・と言う訳。」 藍「・・・・・・はあ・・・?」
[972]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:22:36 ID:??? 話を聞いて尚もポカンとしていた藍だったが・・・やがてハッとしたような顔を見せた。 そこからは『なるほど、そうか・・・』と漏らしながら、思考をしている様子を見せる。 おそらく起こった出来事、見た物を解釈と照らし合わせ、今回の事件のパズルを組み立てているのだろう。 藍「なるほど・・・紫様が『私もあの少女の事をよく知っている』と仰った意味が解りました。 俄かには信じ難いですが、確かにあの少女を見た時に何やら感じ入る所もありました。 そして何より、境界を操る能力を持つ大妖は紫様以外に存在しないですし・・・。」 紫「ストップ。 ・・・勘違いしているかも知れないから一応言っておくけど、 マエリベリーには“境界を操る能力”は無いわよ。」 小声で『今のところだけど・・・』と呟いたのは藍の耳には届かなかった。 藍「え・・・?」 紫「この能力を持つのは、全ての並行世界の中で私ただ一人。 八雲紫の名を冠する存在も、私ただ一人よ。 そして・・・幻想郷が存在するのもこの世界だけ。 言ってみれば、この世界は全ての並行世界の中でも特別・・・基本世界と呼ばれる物だから。」
[973]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:23:42 ID:??? 藍「むむ・・・では、マエリベリー様がスキマを作って幻想郷に入り込んだ事については?」 紫「あの子もその他の世界の私とは少し違う・・・少し特別な存在なの。 私とは同一ではないけれど、境界を視て認識する程度の力は持っているわ。」 藍「では今回の事は、マエリベリー様が持つ力を幻想郷が引き寄せた・・・?」 紫「恐らくね。 仮にあの子がこの基本世界の外に存在していたとしたら、 その能力を以って、幻と実体の境界と常識の境界を飛び越えて幻想入りするのは必然・・・。 けれども話はそう簡単ではないの。 今回、彼女はもう一つの境界をも飛び越えてきた。」 藍「多元宇宙における・・・量子力学の壁、次元の壁という物ですか。」 紫「そう、此方と彼方・・・二つの世界は極めて近く限りなく遠い世界、交わる事はないわ。 けれども、私の作り出すスキマはその壁をも越える事が出来る・・・」 藍「えっ・・・それではやはり!?」 ここから導き出される解答は、先程紫が否定した物。 即ち、マエリベリーも境界を操る能力を有していると言う証拠。
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0ch BBS 2007-01-24