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【最終兵器】Another-C_6【ファンタジスタ】
[968]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:17:42 ID:??? 藍「紫様・・・」 いまだに疑問の晴れぬ藍が何やら問い掛けてきた。 紫は『なあに?』と短く返答する。 藍「あのスキマを作り出した者に・・・紫様は心当たりがお有りなのでしょうか?」 紫「ええ、よく知っているわ。 ・・・藍、貴女もよく知る人物よ。」 藍「私も・・・?」 紫「ええ、ほらあの娘。」 向かう先で一人の人物が空から降り立った。 少しウェーブのかかった金髪の少女・・・年齢は18かそこらであろうか? 見慣れない服装から、間違いなく外界からのエトランゼである事が窺えるが・・・ 藍「おや・・・?」 怪訝そうな声を上げ、藍は目を細めた。 その横顔と揺れたブロンドが誰かを連想させたのであろうか。 紫もその少女を観察して、自らの仮説が正しかったと納得した。 それでは・・・と、藍に向けて命を出す。
[969]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:18:48 ID:??? 紫「藍、悪いけれど私はあの娘とは接触出来ないの。 私はスキマから声を送るから、あの娘を呼び止めなさい。」 藍「えっ? あの・・・」 紫「いい、決して殺意や敵意を発しない事。 頼んだわよ。」 それだけ言って、紫は自ら作り出したスキマの中に姿を消した。 紫(さて、藍は困惑しているでしょうけど・・・他にどうしようもないわ。 私は例外だと思いたいところだけれど、こればっかりは試すわけにもいかないしね。) スキマの中で紫はタイミングを待った。 即ち藍が少女を呼びとめ、会話が始まるタイミングである。 (藍「初めまして、外来人のお嬢さん。) (???「あら? ・・・初めまして名も知らぬ人。」) ・・・と、数秒も経たぬ間に紫の出番はやってきた。 どうやら警戒を抱かれる事なく接触したようである。 紫はこっそり作り出していた極小さなスキマから、言葉を送り始める事にした。
[970]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:19:50 ID:??? 紫「改めて初めまして、異界のエトランゼ。 私の名は八雲紫。 目の前に立っているのは私の従者である八雲藍。」 (???「声だけ・・・? ふぅん・・・さすが夢の中、こういうのも有りよね。 初めまして紫さん、私はマエリベリー・ハーン。」) 紫「そう、マエリベリーなのね。」 (メリー「ええ、発音の下手な友人からはメリーと呼ばれているわ。」) 紫「ふぅん・・・それではメリー、実はもうそろそろ夢の時間は終わりなの。 つまり、起きる時間という事よ。」 (メリー「あら、そんな事も教えてくれるなんて親切な夢ね。 どうもありがとう、お礼を言わせて貰うわ。」) 紫「それには及ばないわ、既に貴女の記憶の境界は現と忘却の狭間だもの。 それじゃあ『さようなら』メリー、貴女が再び迷い込む事のないように。」 腕を軽く振ると、メリーの足元がパカッと開いてスキマが現れた。 『アッ』と誰かが口にした時には、既にメリーの姿はそれに呑まれた後だった。 メリーの肉体が幻想郷から存在しなくなった事を確かめると、紫も再び藍の前に姿を晒した。
[971]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:20:53 ID:??? 1−2)彼方U 紫「さて・・・無事解決した事だし、私は帰って寝直す事にするわ。」 藍「その前に紫様、今回の事は一体どういう事なのでしょうか?」 事の全貌どころか部分も理解出来ておらず、説明すら与えられない事に対し、 忠実な従者である藍も流石に少しの不平感を匂わせて問うてきたのだった。 『面倒臭い』と頬を軽く掻く紫であったが、思い直して藍の方へ顔を向ける。 紫「藍、多元宇宙という言葉は知っているかしら?」 藍「え・・・? はい、一応一通りWikipedia先生の講釈を受けています。」 紫「そ・・・。 なら話は早いわ、今回はその中でも量子力学における多世界解釈に位置する物よ。」 藍「・・・・・・何を仰りたいのですか?」 紫「貴女にしては察しが悪いわね・・・。 でもま、仕方ないのかも知れないわね。 結論を先に言ってしまうと、さっきのマエリベリー・ハーンは私“八雲紫”と同一人物。 実際に存在する多世界の中の一つで生きている私こそが彼女・・・と言う訳。」 藍「・・・・・・はあ・・・?」
[972]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:22:36 ID:??? 話を聞いて尚もポカンとしていた藍だったが・・・やがてハッとしたような顔を見せた。 そこからは『なるほど、そうか・・・』と漏らしながら、思考をしている様子を見せる。 おそらく起こった出来事、見た物を解釈と照らし合わせ、今回の事件のパズルを組み立てているのだろう。 藍「なるほど・・・紫様が『私もあの少女の事をよく知っている』と仰った意味が解りました。 俄かには信じ難いですが、確かにあの少女を見た時に何やら感じ入る所もありました。 そして何より、境界を操る能力を持つ大妖は紫様以外に存在しないですし・・・。」 紫「ストップ。 ・・・勘違いしているかも知れないから一応言っておくけど、 マエリベリーには“境界を操る能力”は無いわよ。」 小声で『今のところだけど・・・』と呟いたのは藍の耳には届かなかった。 藍「え・・・?」 紫「この能力を持つのは、全ての並行世界の中で私ただ一人。 八雲紫の名を冠する存在も、私ただ一人よ。 そして・・・幻想郷が存在するのもこの世界だけ。 言ってみれば、この世界は全ての並行世界の中でも特別・・・基本世界と呼ばれる物だから。」
[973]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:23:42 ID:??? 藍「むむ・・・では、マエリベリー様がスキマを作って幻想郷に入り込んだ事については?」 紫「あの子もその他の世界の私とは少し違う・・・少し特別な存在なの。 私とは同一ではないけれど、境界を視て認識する程度の力は持っているわ。」 藍「では今回の事は、マエリベリー様が持つ力を幻想郷が引き寄せた・・・?」 紫「恐らくね。 仮にあの子がこの基本世界の外に存在していたとしたら、 その能力を以って、幻と実体の境界と常識の境界を飛び越えて幻想入りするのは必然・・・。 けれども話はそう簡単ではないの。 今回、彼女はもう一つの境界をも飛び越えてきた。」 藍「多元宇宙における・・・量子力学の壁、次元の壁という物ですか。」 紫「そう、此方と彼方・・・二つの世界は極めて近く限りなく遠い世界、交わる事はないわ。 けれども、私の作り出すスキマはその壁をも越える事が出来る・・・」 藍「えっ・・・それではやはり!?」 ここから導き出される解答は、先程紫が否定した物。 即ち、マエリベリーも境界を操る能力を有していると言う証拠。
[974]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:24:43 ID:??? 紫「・・・私の知識の中のマエリベリーは、私と同じ能力は持っていなかった・・・それは確か。 あくまで境界を視る程度の能力で、それ以上でもそれ以下でもなかったわ。」 藍「・・・とすると、外的要因でしょうか。 そう言えば、先程のマエリベリー様は今の状況を夢と仰っておりました。 それに何やら実体を感じられず・・・・・・そう、念体のようでしたが、それが何か関係が?」 この藍の言葉に、紫はこの日初めて嬉しそうな顔を見せた。 紫「あら、それに気が付いていたなんて、流石は私の式。 そうよ、彼女は確かに思念だけの存在・・・半意識体として幻想郷に居た。 そしておそらく実体は眠りに就き、半意識の経験を夢として見てると考えられる。 後は推測だけれど、心のなかの“意識でない”領域では彼女は境界を操れる・・・・・・ という事になるんでしょうね。」 藍「無意識領域では力を有している・・・ですか。 つまり彼女は、現実世界で意識的にその能力を使う事は出来ないと言う事ですね。」 紫「恐らくね。 彼女が絶対的な常識から解放されたら・・・その限りではないでしょうけど。」 藍「なるほど・・・まさしくもう一人の紫様なのですね。」
[975]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:26:20 ID:??? 紫「フフ、ほとんどの世界の私はパトリック・ラフカディオ・ハーン・・・つまりは小泉八雲の・・・ 東洋と西洋の両方を生き、幻想を愛した随筆家の・・・その孫として平穏な一生を終えるだけの存在。 けれど、あのマエリベリーだけは一風違ったハーンの血族の中に居る・・・。 それが関わっているかは判らないけど、彼女の可能性については無限としか言い様がないわね。」 藍「場合によっては・・・あの方が幻想郷をもう一つ創造する事も有り得るのでしょうか?」 紫「そうなったら・・・それはちょっと面白いかも知れないわね。」 この時の紫はひどく遠い目をしていた。 幻想郷と自分、その悠久とも言える時の永さを想ったのかも知れない。 そして仮定の世界の話・・・同じだけの時間をかけて創造されるマエリベリーの幻想郷を想っていたかも知れない。 紫(その時は、今度は私が向こうに遊びに行っちゃおうかしら?) フフッと小さく微笑んで、紫はマエリベリーが確かに存在していた空間に目をやった。 彼女の目には、忙しなく朝の準備をしている彼方のマエリベリーが見えていた。
[976]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:27:22 ID:??? 藍「・・・時に紫様、マエリベリー様と直接の接触を避けたのは、御二人が同一の存在である事と関係が?」 紫「ええ勿論・・・って、貴女もしかしてSBRを読んでいないの?」 藍「SBR・・・?」 紫「そう、Steel Boal Run・・・とある天才文豪の生み出した物語よ。 その物語の中では、私と同じように並行世界を行き来できる人物が居るのだけど・・・ とある人物が、別世界の同一人物と直接接触をした時・・・その人物は消滅してしまうのよ。」 藍「はあ・・・・・・物語の話を鵜呑みに・・・という訳ですか?」 紫「そうじゃないわ。 自分と全く同一の存在と出遭ったら死ぬ、というのは一般的に知られている事。 西洋ではドッペルゲンガー、東洋では影のわずらいとして、ほとんど誰もが知っている御話。 ・・・いい、ここから少しだけ大事な事を言うわよ。」
[977]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:28:39 ID:??? 紫「遠く離れた東と西で、全く同種の伝承が語り継がれている・・・何故こんな事が起こるのかしら? 出鱈目であれば、何処か途中で途絶え・・・一地方単位の伝説で残れば良い方でしょうに。」 藍「・・・・・・実際に起こった事だから、ですか?」 紫「そう、即ちそれが“真理”だからよ。」 藍「・・・・・・!」 紫「同じように伝承や文化として、人々に知られている真理が他にも沢山あるわ。 誰もがそれを迷信や御伽噺と思い、“真理”を知っていながら認識出来ない。 覚えておきなさい、世界の各地に存在する似たような伝承や文化には何かしら“真理”があると。」 それだけ言うと、紫は口を閉ざした。 それ以上は何も言わなくなったのである。 いつにない真剣な表情で語った主人に、従者も真剣にその言葉を受け止めた。 だがしかし、藍は紫の言葉の中の真理認識する事は出来なかった。 紫がこの時抱いていた危惧に、藍の思考が到達する事はなかったのだった。
[978]埋めアナカン ◆lphnIgLpHU :2011/08/16(火) 21:32:38 ID:??? これで一旦幕間となります。 以降は三杉達と同じ世界にてマエリベリー主観の話が始まります。 一応ここまでにアナカンで登場したキャラも登場します。 続きは明日以降になりますが、多分10〜15レスの間には収まると思います。 そしてよく知らんのに東方キャラを描写して全力でスミマセンでした。 恥ずかしさと不安で溢れてますが、途中からなんか脳内で変な汁が出てきました。 ワルノリってこういう時にするもんですよね。 それではまた。
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0ch BBS 2007-01-24