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【敵味方問わず】幻想のポイズン53【白黒判定】
[879]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 00:08:49 ID:??? 永琳「さぁ、今度は私が行くわよ!」 タタタタタタタタッ! シュババァッ! 文「あ、あややや……(流石にこれは分が悪いですよぉ……永遠亭の天才を私が止められる訳ないじゃないですか〜)」 ビルト「く、くそぉっ……」 ジョン「あ〜っとぉ!? アルゼンチン、今度は永琳選手が中央を突破していきます! そうです、ディアス選手もさる事ながら永琳選手のドリブル技術もまた幻想郷ではトップクラス! 流石は永遠亭の至宝、天才、八意永琳! 加齢なドリブルでウルグアイ守備陣をごぼう抜きだァ!」 その卓抜したドリブルセンスは、幻想郷でも指折りの永琳。 加齢で老獪なフェイントを繰り出しつつウルグアイMF陣をあっさりといなしそのまま中盤を突破。 そして、このまま最後まで行ってしまうのかと思った矢先……。 永琳「ディアス君!」 ディアス「オッケー!」 浮かせたパスを前を走るディアスの背後へと向けて放ち、それを一目も見ないままディアスは足を後方に振り……。 ディアス「あーらよっとォ!」 萃香「うがーっ!!」 1点目の再現のように、踵部分で大きく蹴り上げる。 そして、その蹴り上げたボールはゴール前やや右、ディアスに注目していた為にがら空きになっていた場所へと飛び込み……。
[880]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 00:09:50 ID:??? バッ! バシィッ! パスカル「それっ!」 カノーバ「ま……また折り返しただと!? い、いったい中央に……」 ディアス「俺がいるんだよ! そら、3点目だァ!」 頭で中央の空いたスペースへと出せば、それはDF達の合間を縫いゴール前へとやってきたディアスが拾う。 パスカルを起点としたポストプレイによって完全にフリーとなったディアスは、そのまま右足を振り上げ……。 ディアス「ドライブシュートだァ〜!」 バシュッ! ギュルルルルルルルゥッ!! シュパァンッ!! ピピィーッ!! 南米仕込みのドライブシュートが炸裂。 今度こそ辛うじて反応したカノーバは……しかし、ただ反応をするだけが限度でありボールに触れさせて貰う事すら出来ず。 ボールはゴールネットに突き刺さるのであった。 前半16分……まだ試合が始まって1/3しか経過していない段階で、3−0。 その得点を挙げたのは、全て天才ファン=ディアスである。 アルゼンチンJrユース 3−0 ウルグアイJrユース
[881]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 00:10:58 ID:??? ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! 観客「「「「ディ・ア・ス! ディ・ア・ス! ディ・ア・ス! ディ・ア・ス!!」」」 ジョン「きっ、決まったぁぁぁあ〜っ!! ディアス選手、今度はドライブシュートでゴールを奪ったァァア〜!! 天才ファン=ディアス! 前半、僅か16分でハットトリックを達成だァ!! これが天才ッ! これがアルゼンチンの至宝、ファン=ディアス!! 彼に弱点は無いのかッ!? 彼が負ける時は来るのか!? このプレイを見ていては、もはや、アルゼンチンの優勝しか我々には想像が出来ませんッ!!」 反町「(ドライブシュート……そうだよな、あんな凄い奴なら操ってもおかしくない……。 多分、地面にバウンドさせるミラクルドライブも撃てるんだろうな……)」 パチュリー「……反町、気づいている? あのパスカルの動き」 反町「……はい。 あいつ……ディアスの考えを読み取って、ディアスのしたい事、してほしい事を実践しているだけで……」 パチュリー「そう。 ……彼はその瞬間、ディアスの手足の延長となる」 リグル「何を言ってんのさ、あいつがいるお陰であのもじゃパーの手足が伸びるの?」 レティ「そういう事じゃないわよ、リグル。 パチュリーが言いたいのは……つまり、あのパスカル君はディアス君の閃きを自分の力として使えてるという事よ」 パチュリー「ディアスのして欲しい事をするという事は、つまり、ディアスの作り出す独創的な世界を作り出す一旦を担うという事。 彼は天才ではない――だけど、天才を知る事によって、天才と共にある事によって天才の恩恵を享受し天才を助けている。 ――ディアスも永琳と同じく敵を抜けば抜く程調子を上げてくる。 そのディアスの勢いを、彼はそのまま教授している」 うどんげ「(私も……あんな風になれるかな……なりたいなぁ……)」
[882]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 00:12:54 ID:??? 自らが主役となるのではなく、あくまでも脇役に徹しながら主役をフォローする。 アラン=パスカルは地味な選手ではあるが……しかし、それを完璧なまでにやりきれる選手であった。 パチュリー「(それに、天才は天才を知る――八意永琳とファン=ディアスは、完全に互いを本能のレベルでわかりあっている。 厄介……本当に、厄介。 彼らは1人1人で強いだけじゃない……全員合わせて、ひっくるめて……強い。 アルゼンチン戦は……予想以上に点の取り合いになりそうね)」 その後、再びウルグアイのキックオフで試合は再開。 しかし、ウルグアイの士気は目に見えて落ち始めており、彼らのプレイは非常に散漫になっていた。 不幸中の幸いと言うべきなのは、ディアスに若干の疲れが見え始めていた事だろう。 前半僅か16分で何度もドリブル突破を仕掛け、シュートを2発撃ったのである。 体力の限界とは言わないが、それでもディアスにかかっていた負担は大きい。 故に、アルゼンチンは少しペース配分を考える試合運びとなる。 前半30分を過ぎるまで、嵐のような16分からは考えられない程静かなゲームとなるのだが……。 前半32分、ある程度落ち着いたディアスが相手陣内中盤でボールを奪い取り、反町の予想通りミラクルドライブで4点目を挙げ。 続く前半36分は永琳が奪ったボールをそのまま持ち込み、 幻想郷vsイタリア戦の決勝点を思い起こさせるようなスイッチをゴール前で披露。 このボールを受け取ったのは勿論ディアスであり、 ディアスはGKしかいなくなったゴールに突っ込みクリップジャンプでカノーバをかわし5点目。 41分、文の再三のサイドアタックからの攻撃が身を結び、 センタリングに合わせた勇儀が意地でゴールを決めウルグアイもようやく1点を返すも……。 前半が終わって、既に5−1。 ここから鬼たちが幾ら本気になろうとも、ウルグアイが試合をひっくり返せる未来が見えない。 観客たちの誰もがそう思うようなスコアをもって、両チームはハーフタイムに突入するのだった。 この時の両チームが纏う空気については、無論、天と地ほどの格差があったという。
[883]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 00:15:59 ID:??? 一旦ここまで。 >>869-870 >>872 三杉君の安定した突っ込み。 >>871 私が参加したイベントには参加されいなかったようですが、委託された本がありました。 しっかり入手しました。おいしいれす^q^ >>873 >>875 なんという10対12…… >>874 パルス「口を慎みたまえ、君はサッカー王の前にいるのだ」
[884]森崎名無しさん:2011/10/19(水) 00:20:23 ID:??? また加齢なドリブルですかw
[885]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 01:26:58 ID:??? 前半戦が終了し、ハーフタイムに突入をした所で……視点を観客席からスタジアム内部――医務室へと向けてみよう。 試合が始まってから45分……イタリアとの試合中、体力が枯渇した為に気絶をした秋穣子は。 この時間になって、ようやく意識を取り戻した。 穣子「ぅ……あー……だっるぅ……」 妹紅「あ、穣子! 気が付いたんだね!! うん、良かった良かった!! 体は何とも……」 穣子「ぁー……悪い、妹紅。 ……ちょい、マジでうっさい」 てゐ「病室では静かにお願いしますウサ」 この穣子の復活に対して瞬時に反応したのは、燃える闘魂、血液がマグマでできているかのような熱血漢――藤原妹紅。 良かった良かったと嬉しそうにする妹紅であるが、当然、起き抜けの穣子にとっては鬱陶しい事この上なく。 てゐは呆れたように苦笑いをしながら、静かにするよう言い聞かせる。 そして、そのまま穣子の体調を改めて確認。 永琳はおろかうどんげにも医術の知識では劣るてゐではあるが、この分ならしばらく横になって栄養を取れば問題ないだろうと診断し。 未だにぶつぶつと喜びをあらわにしている妹紅と共に、観客席にいる輝夜たちに穣子の件について報告に向かう。 そうして静かになった部屋の中で、穣子は上体だけを起こしてきょろきょろと周囲に目を向ければ……。 カチャッ…… 穣子「……! ……姉さん」 静葉「あら、気が付いたみたいね。 穣子、喉は?」 穣子「ん……カラッカラね」 静葉「なら丁度良かったわ。 お茶を買ってきたの」 不意にドアが開き、穣子は瞬時にそちらへと顔を向け……そこに立っているのが静葉であるのを見て、少しだけ眉をひそめた。 一方、入ってきた静葉は微笑を浮かべながらその手に持っていたペットボトルのお茶を穣子に差し出し。 受け取った穣子は、蓋を開けようとするのだが……中々手に力が入らず、ぐぎぎと声にならない声を上げる。
[886]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 01:27:59 ID:??? 静葉「……私が開けるわ」 穣子「悪いわね姉さん」 静葉「弱っている貴方に開けさせようとした私が悪かったのよ。 ……ところで、妹紅たちは?」 穣子「あー……お姫様たちに報告だって出て行ったわ。 ただの過労で、なーんも問題は無いって」 静葉「そう」 妹紅たちの不在の理由を聞いた静葉は納得したように頷きつつ。 ペットボトルの蓋を開け、それを穣子に手渡しベッドの横に備え付けられたパイプ椅子に座る。 一方で、お茶を受け取った穣子はよほど喉が渇いていたのかそれをがぶがぶと飲み始める。 しばらくはそうやって、ただ穣子のお茶を飲みこむ音だけが室内に広がっていたのだが……。 静葉「ところで穣子……」 穣子「ん?」 静葉「さっきは誰を探していたの?」 穣子「ぶっ……!」 静葉「あら汚い」 不意に静葉が問いかけると、穣子は飲んでいたお茶を思いっきり吹き出し。 静葉はそれを微笑を浮かべたまま眺めつつ、ベッドのシーツに飛び散った液体をハンカチでトントンとやり始める。 穣子「べっ、別に誰も探してないわよ……」 静葉「そう? ……でも、薄情よねその人も。 穣子を心配して来てもくれないなんて……」 穣子「仕方ないじゃない、超がつくサッカー馬鹿なんだし」 静葉「……そう、超がつくサッカー馬鹿を探していたのね」 穣子「……図ったな姉さん」
[887]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 01:29:21 ID:??? 姉妹で互いに言葉の応酬をするも、やはり口では一枚も二枚も静葉が上手。 なんともあっさりと子供だましのような静葉の問いかけに引っかかった穣子は帽子をぎゅっと掴み頬を膨らませ……。 一方で静葉は微笑を浮かべながらも、凛とした声で続ける。 静葉「……どうして、探してたの?」 穣子「べっつにー。 ……ただ、まぁ……そりゃ……いてくれりゃ、嬉しいでしょ。 気遣ってくれてるんだ、って……わかるしさ」 静葉「……どうして、彼なの?」 穣子「なんだかんだで、姉さん以外じゃ一番仲いいからかな……」 至極機嫌が悪そうながらも、ふてぶてとした態度を取りつつ返答を重ねる穣子。 機嫌が悪いのは、静葉に一本取られたからか、それともその"彼"が来てくれなかったからなのか。 それは静葉にもわかりかねていたし、穣子にしてもそうであった。 穣子「あいつ、サッカーの時はやるけど……普段が普段でしょ。 なーんか頼りないっていうか、ほっとけないっていうか。 最近ちょっとは強気になったような気もするけど、それだっていつまで持つかわかんないし」 静葉「……可愛い弟なのね」 穣子「そうね……」 静葉の言葉にゆっくりと頷き同意をする穣子。 その眼はどこか遠くを見ていて……だからこそ、静葉はそっと息を吐く。 静葉「だけど……弟じゃないわ」 穣子「………………」 静葉「わかってるわよね、穣子?」 穣子「……そうよ。 違うってのはわかってる。 弟じゃないし、家族でもない。 それどころか、種族だって違うってね」 静葉「……わかってるのね?」 穣子「わかってるわよ」
[888]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 01:30:25 ID:??? 秋穣子は、世話好きである。 そして、姉の静葉に比較をすれば至ってフランクで人情家な性格の持ち主だった。 神として、常に周囲とある程度の間隔を持てる静葉とは違い、人との壁をあまり作るタイプではない。 彼と懇意になったのも、ある意味必然とも言えるのだが――。 それはやはり、神としてあまりいい行いではないと、彼女は本能の部分で知っている。 穣子「けど……やっぱり気になるじゃない。 ……私たちの近くにずっといる人間なんて、初めてでしょ。 それに……やっぱ、私がついてないと何しでかすかわかったもんじゃないわ」 静葉「でも、それは貴方の役目ではない」 穣子「……………………わかってるわよ」 静葉「……人には人の、神には神の役割がある。 神と人とが近すぎるのは……やっぱり、大きな問題よ。 貴方の持つ、その感情も……人に対して一柱の神が持つには多分に過ぎるものだわ。 神は等しく、信仰をする者に徳を与える為に存在する。 それを違えば……」 穣子「……………………」 それは姉として、そして同じ神としての警告だった。 静葉は何も間違った事を言っていないし、それを否定するだけの根拠も理由も穣子は持ち合わせていない。 だから、無言で聞き……ぽすん、とベッドに横たわる。
[889]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/10/19(水) 01:31:26 ID:??? 静葉「少年は大人になる。 今もそう、なっている途中――少しずつ少しずつ、成長をしてゆく。 ……姉のような存在は、いつまでもいらないのよ」 穣子「……………………」 静葉「いつか……ううん、もう、かもしれない。 彼にも彼にふさわしい"人"が見つかるでしょう」 穣子「……わかってるわよ」 静葉「さっきからそればっかりね……」 穣子「だって、わかってる事ばっかなんだもん」 感情が見えない穣子の言葉を聞いて、静葉は困ったように首を傾げた後……自分の分のお茶を買ってくると、一旦席を立つ。 再び静寂に包まれた部屋で、秋穣子はベッドに横たえたまま、不意に右手をぐっと伸ばし天井に向けた。 穣子「……わかってるわよ。 そんなもん。 誰に言われんでも、私が一番。 でも、いいじゃない。 今くらい……少しくらい……」 そのままぐっと右手を握りしめ……すぐに開く。 その手のひらの中は、空っぽだった。 それが穣子には、なんだか無性に悲しかった。
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0ch BBS 2007-01-24