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【Forza】Another-C_7【FIORENTINA!!】
[759]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/12(月) 19:14:37 ID:??? 三杉「君は君なりに、僕に勧めても悪くない店を選んでくれようとしたのは判ってるんだよ。 でもね弥生・・・こんなのはアフタヌーンティーとは言わないんだ。」 弥生「あ・・・ああぁ・・・。」 三杉「アフタヌーンティーと言うのはね、弥生。 紅茶と3段重ねのティースタンドに盛られた スコーン、サンドイッチ、デザートを、ゆっくりと時間をかけて楽しむ物なんだよ。 残念だけどティースタンドも無いような店で楽しめる物じゃない。 おまけにこのティーポットとカップも、見ていてウットリ出来るような味が無い。」 弥生「はうぅ・・・。」 三杉「落ちぶれたとは言え、僕もそれなりの家柄の者だ・・・ アフタヌーンティーは本場の英国スタイルじゃないと楽しめないよ。 それなのにこの程度の店に連れてくるなんて、本当に弥生はいけない子だな。」 スッ 弥生「あっ・・・!」 ガタッ そこまで言うと三杉はスッと席を立ち、スタスタレジへ歩いていった。 慌てて弥生もバッグを肩に下げて三杉の後を追う。 だが会計を済ませて店を出た後、三杉は弥生の方を振り返る事なく特に話しかけるでもなく歩き続けた。 それはそれは、弥生としては針の筵のような心地である。
[760]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/12(月) 19:15:40 ID:??? 弥生「(ああ・・・久し振りのこの感じ・・・。 電話だと優しくなったのかなって思ったけど、やっぱりご主人様はご主人様だった・・・・。 あっ、そ、そんな事より話さなきゃ、何か・・・)あ、あの・・・ご主人様?」 三杉「・・・・・・」 弥生「(はわわ・・・)変な店に連れていってしまってごめんなさい・・・」 三杉「・・・・・・」 弥生「(うぅ・・・一瞥もない鉄壁のスルー・・・・・・で、でも負けないもん。) あの・・・・い、今は何処に向かっているんですか?」 三杉「・・・・・・」 謝ってみたり質問を投げてみたりしたが、三杉は全くの無反応。 弥生の心の中では、居た堪れなさと不安感が増大の一途となっているが・・・ しかし彼女としては、三杉の直ぐ後ろをついて歩くしかなかった。 そして何でも良いから会話をしようと試みるしかなかった。
[761]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/12(月) 19:16:41 ID:??? 弥生「ご主人様・・・さ、さっきの『他に許せない事』って何だったんですか?」 三杉「・・・・・・」 ピタッ 弥生(止まった! ・・・け、けど、これって多分怒りで止まったのよね!?・ どどどど・・・どうしよう、考えて、考えるのよ弥生・・・!) 少しでも反応が欲しくって、気がつけば火に油を注ぐような事を聞いていた弥生。 三杉の足が止まって、はじめて余計な事を言った自分に後悔する。 楽しみにしていた2年ぶりの再会が、とんでもない事になってしまった・・・そう考えた。 しかし・・・ 三杉「それだよ。」 クルリ 弥生「えっ・・・?」 振り向いた三杉の顔にはそれほど不機嫌な色はなく、弥生は『あれれ?』と口に出すのを必死に抑えた。
[762]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/12(月) 19:17:59 ID:??? 三杉「ご主人様。」 弥生「え、えっと・・・」 三杉「淳・・・外や人の前では淳って呼ぶようにと言ったろ?」 弥生「あっ!(そ、そうだ! なんで忘れてたんだろう!?)」 三杉「それから。」 弥生「は、はいっ! って・・・えっ?」 三杉が親指で直ぐ先に建っている庭付きの一軒家を指差した。 異国情緒を感じさせる白い家はとても綺麗で、女の子が夢みる将来住みたい家その物といった感じだ。 けれども三杉が何故その建物を指差したのか、その意図は全く判らない。 三杉「セントクリストファーガーデン、自由が丘で唯一英国式アフタヌーンティーを楽しめるカフェだ。 イングリッシュガーデンもなかなか素晴らしいから、その辺も楽しめると思う。」 弥生「はい・・・?」
[763]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/12(月) 19:19:24 ID:??? 弥生は目を丸くしてそう問い返した。 どんな冷たい言葉が返ってくるのかと覚悟していた彼女は、いま何を言われているのか理解が及ばなかった。 弥生の察しがついてない事を、三杉は意地悪そうに微笑んで、今度はハッキリと告げた。 三杉「本当のアフタヌーンティーを教えてあげるって言っているんだよ。 さっ、着いておいで?」 弥生「あ・・・あうぅ・・・ごしゅ」 ジワッ 三杉「淳。」 弥生「は、はい! あ、ありがとうございます・・・。 その・・・淳。 (ああ・・・・・・なんだろこれ・・・死んでもいいかも・・・)」 キュンッ 三杉(フフ、こんなに目を潤ませて。 ・・・やっぱり弥生は可愛いな。) 地獄のような気分から、一転して天国のような思いを感じる弥生。 心で味わうその落差は、身体に依るものとはまた違う・・・ だが決して劣る事のない快感(しあわせ)があると、彼女はここで知ったのである。
[764]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/12(月) 19:21:42 ID:??? ※本日はここまでです。 選択肢や判定に辿り着けずごめんなさい。 ちょっと今週あたりから暫くペースが(今までに増して)落ち気味になると思います。
[765]森崎名無しさん:2011/09/13(火) 08:18:23 ID:??? 乙です なんで三杉と弥生の関係をこんなに上手く書けるんでしょうか? まさか、アナカンさんにもそういう趣味が!?
[766]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/13(火) 13:56:48 ID:??? >>765 オツカンシャでございます。 上手く書けてますかね でも、そう思って下さるならば幸いです。 正直ちょっと甘ラブが過ぎるかなとも思いますが、その辺りはきっと三杉の心境の変化で… と、自分で自分を全力で弁護してみたり! ちなみにスレ主のS気は全然ないです。 かと言ってM気もないと思いますよ……多分。 ============================================= 薔薇の香りのするゲートを通り、店内へと入った2人。 店の内装は英国異人館その物と言っても違和感がない。 社交パーティやティーパーティが日々行われていそう、と弥生に感じさせるのであった。 給仕「いらっしゃいませ。」 三杉「予約していた三杉です。」 給仕「三杉様ですね、お待ちしておりました。 ガーデンに面したテーブルをご用意しております。」 弥生(予約してたんだー! さ、最初からそのつもりで… 酷いですご主人様…) シュン 弥生の気持ちを余所に案内された席は、それはそれは素晴らしかった。 色とりどりの花、特に多種多様に渡るバラを真横に臨め、紅茶のロケーションとしては申し分なかろう。 ここは良い宿夢気分…ではなく、ここは良いカフェ貴族気分。 弥生「あれ、これは…」 テーブルの上に置かれている、二つ折りの小綺麗な紙に弥生が気付いた。 メニューにしては小さすぎるが、これは何だろうと開くと…
[767]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/13(火) 14:00:15 ID:??? [一段目]夏のデザート ・トロピカルフルーツとヨーグルトのゼリー ・オーガニックルイボスティーのロールケーキ ・レアチーズケーキ ・ココナッツフェアリーケーキ [二段目]ホームメイドスコーン ・英国産アッパーノートン・クロテッドクリームとストロベリージャム添え ・サーモンとホウレンソウのミニイングリッシュパイ [三段目]特製ミックスサンド ・スコティッシュスモークサーモン ・平飼有精卵 ・英国産チェダーチーズ ・ピクルスとオリーブの添え物 [紅茶]ポットサービス 弥生(御品書……ティ、ティータイムで御品書ってどーゆー事なの…) 三杉「さっき言った通り、三段重ねのプレミアム・アフタヌーンティーセットを御馳走するよ。 デザートもサンドイッチも大きさは然程でもないから、量は心配する程じゃない。 それと、茶葉はここから選べるから好きなのを頼むと良いよ。」
[768]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/09/13(火) 14:01:29 ID:??? ダーンと渡されたメニューには、ババーンと以下のような銘柄が並んでいた。 ・ロイヤル ブレックファースト ・イングリッシュ ブレックファースト ・スコティッシュ ブレックファースト ・ゴールデン アフタヌーン ・クイーン ヴィクトリア ・スーペリア ダージリン ・スーペリア アッサム ・スパイス チャイ ・ハートウェル ・ヌワラ エリヤ ・グランド キーマン ・アールグレイ ・カウンテス グレイ(ダージリン アールグレイ) ・リッチ バニラ ・ホワイト ピーチ ・フルーツガーデン ・オーガニック スーペリア ルイボス ・スーペリア ルイボス エルダーフラワー ・ケニヤプレミアム 弥生「な、なるほど…(…と言ってもこれは…知ってる単語は幾つかあるけど、違いが想像つかない… …それ以前に、このセットって一体幾らくらいするんだろう…)」 …と弥生は困惑の極致に到る。 そして三杉はそんな弥生を気に留めず、自分の紅茶を選び始める。
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0ch BBS 2007-01-24