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【崩落のステージ】Another-C_8【 前篇 】
[220]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 18:59:04 ID:??? 蓮子「メリー、大丈夫?」 メリー「うん・・・・・・平気。」 口数の少ない相方が心配になり、私は問い掛けてみた。 その返事は、およそいつものメリーのそれと同じとは思えなかった。 目的地に近付くうちに、この相方の緊張が高まっているような気はしていたが・・・ 今の返事でそれは間違いではない事が明らかになった。 蓮子(メリーの目には、既に何かが視えているのかも知れない・・・ それこそ世界の中心、それを隔てる境界が。) ・・・だとしたら、なんと言う巨大な境界なのだろうか? 私達4人はとてつもない所に来てしまったのかも知れないと、今更ながらに私も寒気を覚える。 ナムリス「アルシオン、キミは何か感じる物はあるかい?」 アルシオン「いや・・・。」 私が不安感を覚え始めた所に、出来すぎたようなタイミングでナムは問い掛けた。 その問い掛けに無愛想に答えたのはアルシオンくん。 以前、ナムが私に解析を頼んだスポーツテストのビデオ・・・そのビデオに写っていた人物が彼である。 ナムの紹介で出会って間もないせいか、アルシオンくんの事はまだよく判らない。 判っているのは、彼が尋常ではなく深い目をしている事と・・・ 私の持つ物理知識を総動員しても解析できない程の運動能力を持つ“瞬間がある”という事だけ。
[221]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 19:00:08 ID:??? 蓮子(ナム曰く、彼が大陽でメリーが大陰らしいけど・・・) ナムリス「さあアレッツォの四つの景色を組み合わせたモナリザの背景・・・その中心も間もなくですね。」 メリー「・・・・・・」 蓮子(男性を描いた左半面、女性を描いた右半面、そして下地に描かれたキリスト・・・ モナリザが“世界”を、その中心地を示しているってのは世迷言じゃなかったって事か。) こうして私達はその場所へと辿り着いた。 太極へ至る境界が存在する地に。
[222]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 19:02:11 ID:??? 蓮子「メリー・・・・・・貴女、視えているの?」 メリー「・・・うん。」 私ことマエリベリー・ハーンは、心配そうに聞いてきた蓮子にそう答えた。 正直に言うと、私にはさっきからずっと視えていたのだ・・・この巨大すぎる境界、その光景が。 ナムリス「ふむ・・・残念ながらボクには何も見えません。 アルシオン、キミはどうです?」 アルシオン「何も。」 ナムリス「はい。 ・・・一応聞きますけれど、蓮子先輩は?」 蓮子「なんも見えないわよ。」 ナムリス「ですよねー。 ・・・メリー先輩、宜しければ何が見えるのか教えて頂けませんか?」 どうやら私以外の誰にもこの光景が視えないらしかった。 蓮台野の時は蓮子にもナムにも見えたのに。 仕方なく、私は蓮子たちに自分が視えている物を伝える事にした。
[223]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 19:03:29 ID:??? メリー「水。 そう、湖・・・。」 蓮子「!」 ナムリス「湖が見えると・・・!」 メリー「正確には・・・今私達が居る、この場所が湖の中なのよ。」 そう告げて、私は空を見上げた。 そこに視えていたのは星空なんかではない。 水面の上は霧に包まれた風景、そして畔に建っているのは・・・ ・・・見覚えがある。 血の様な紅、大きさに比べて少なすぎる窓・・・。 間違えようが無い・・・夢の中で見たのと同じ、お茶を御馳走になったあの洋館だ。 ナムリス「湖の中・・・! 描かれていた水平線に、輪郭が示す波紋! モナリザが水面下を描いた物だという仮説にピッタリ一致しました!」 興奮するナムの心の震えが、今の私には感じ取れた。 異様な程に神経が研ぎ澄まされているのが自分でも判る。 そして・・・言いようの無い不安が同時に溢れ出していた。 取り返しのつかない事になってしまうような・・・私を彩る世界の全てが失われてしまうような・・・。 逃げ出したい気持ちとは裏腹に、足は一歩も動かなかった。 そして両手は何かに誘(いざな)われるかの様に空へ・・・洋館へと向けて伸ばされた。 ・・・稲妻にうたれた様な衝撃を感じ、私はそこで意識を失った。 最後に私の頭にあったのは『蓮子が無事でありますように・・・』という願いだった。
[224]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 19:05:51 ID:??? 一旦ここまでです。 出来れば今日のうちに、次の区切りまで更新したいですが・・・ 無理だった場合、次回更新は12日以降となります。
[225]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 20:40:58 ID:??? ≪極めて近く限りなく遠い世界・紅魔館≫ 妖怪の山の麓に位置する、昼間になると霧に包まれる湖。 通称霧の湖の畔に建っている、赤い色調を持つ紅魔館。 大図書館や地下室、時計台などを館内に持つこの屋敷には悪魔が棲んでいる。 その悪魔とは、女主人・・・ツェペシュの末裔を名乗り、500年以上の時を生きていると言われ・・・ この世界で最高峰に位置される才能・技能を有するカリスマの具現、レミリア・スカーレット。 そのレミリアは今この瞬間、血が沸騰しそうな程の怒りに駆られたところだった。 肩書きの大仰さからは想像できない程に幼く可愛らしいその外見を震わせ・・・ レミリア「・・・!!」 シャキンッ!! 遂に怒りに堪えられなくなったのか、力を込めて右腕で手刀を振るわせた。 何もない空間に向けて払われた手刀は、鋭い風圧を伴ない・・・ 宙を文字通り斬り裂いたかのような錯覚を覚えさせる程であった。
[226]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 20:42:07 ID:??? ピキッ・・・・ ・・・否、空間は切り裂かれていた。 ・・・・・・・・・様に見えた。 レミリア「この悪戯は貴女の仕業? 答えなさい、スキマ・・・!」 焼けるような視線でレミリアが睨みつけた空間は、徐々にその裂け目を広げて行き・・・ パクリと開いた裂け目、無数の目玉と漆黒の中から、人の形をした膨大なエネルギーが姿を現した。 スキマ妖怪という通称で知られる八雲紫である。 紫「誓って言うわ、今ここに居る私がやったのではない。」 レミリア「貴女以外の誰にこんな事が出来る!? しかも都合良く私の私室にやってきておいて!!」 紫「私はこの異変を元に戻すために来ただけよ。 トリガーとなった貴女を媒体にしてね。」 レミリア「人の能力を勝手に2度も使わせるとでも!?」 いきり立ったレミリアが、もはや我慢ならぬという勢いで紫に飛び掛ろうとした時・・・ レミリアは信じられぬ光景を目にして、その動きを抑えた。 紫「お願いします・・・協力して下さい。」 レミリア(スキマが・・・! この大妖が私に頼み乞うているですって!?)
[227]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 20:43:18 ID:??? その万能無敵な能力も然ることながら、何手も先を見通す頭脳を持ち・・・ 常に冷静に微笑を浮かべる『胡散臭い』という言葉の代名詞、八雲紫。 その紫が神妙な顔で誰かにお願いを乞うというこの光景は、レミリアならずとも誰も見た事が無い物だった。 これを見てしまったレミリアは、内包していた怒りを興味へと変換する事にした。 ・・・膨大な精神力を必要とする作業ではあったが。 レミリア「判った、協力する事にするわ。 ただし全て説明しなさい。」 紫「感謝するわ。」 端的に礼を告げ、紫はレミリアに手をかざす。 レミリアの持つ『運命を操る程度の能力』・・・今しがた操られた運命を逆流させる作業に入った。 紫「・・・・・・」 レミリア「・・・やはり解せないわね。 対象が私である事を抜きにしても、 貴女以外にこんな事を出来る妖怪が存在するとは思えないわ。」 紫「・・・レミリア。 貴女は普段、自らの持つ『運命を操る程度の能力』を自分の中に留めている。 貴女の能力はノルマル・オープンだから・・・そうしなければ近付く者全てが変わってしまう。」 レミリア「・・・・・・」
[228]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 20:44:27 ID:??? 紫「・・・貴女が最後にその能力を使ったのは、この館のメイド長に対して。 倫敦の殺人鬼、銀のナイフを操るヴァンパイアハンター、時間を止める吸血鬼・・・ 貴女は多世界に存在するメイド長の運命を一つにした。 ・・・それが貴女の能力の本質。」 レミリア「そんな事はお前に言われるまでもない、結論を話せ。」 紫「慌てないで。 確かに私の『境界を操る程度の能力』なら、貴女の能力のON-OFFを操る事くらい出来る。 ・・・けれど私は、この大切な幻想郷を揺るがすような異変を起こす気は毛頭ないわ。」 レミリア「・・・・・・チッ!」 紫「私ではない・・・。 けれど、それを行ったのは私と同じ能力を持つ者よ。」 レミリア「それは誰だ! 何処に居る!?」 紫「多世界に存在する私ではない私・・・その一人よ。 何処に居るかは探しているけれど、どうしても見つける事が出来ないの。 強力な結界を張ったか・・・それともこの時間軸から消失したか・・・。」 レミリア「ぬぬぬ・・・じゃあ私は誰を八つ裂きにすればいいの!?」
[229]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 20:45:29 ID:??? 紫「・・・あの子を唆(そその)した人間。 あの瞬間、あの子の側に感じた気配は3人。 その人間の姿も見つける事がまだ出来ていないわ。 けれど必ず見つけ出す・・・そして私自身で借りを返すわ。」 レミリア「・・・フンッ。」 それから暫しの間、紫はレミリアに手を伸ばし続けていたが・・・今、ようやく下ろした。 紫「・・・終わったわ。」 レミリア「・・・全て元通りなの?」 紫「いいえ、少しだけ残滓が残ってしまった・・・量子力学の壁の影響ね。 同様に、元々の効果も完全では無かったようよ? あの世界の中で強い想いを持った存在と、同じかそれ以上に強い想いを持った多世界の一人が、 互いに惹かれ合って混ざっただけみたい。 あのメイド長のようにチャンポンではないわ。 もしも完全に戻すには、貴女をあの世界に連れて行かなければならない・・・」 レミリア「冗談じゃないわ、私の腰はそこまで軽くないの。 今日だって特別なんだからね。」 紫「分かってるわ、これ以上貴女の手を煩わせるつもりはないから。 でも・・・。」 レミリア「なによ。」 紫「・・・いいえ、それじゃまた・・・。」
[230]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/10/07(金) 20:46:51 ID:??? レミリアの質問に答える事なく、紫はスッと紅魔館から消え去っていた。 レミリアは一瞬だけスキマが開いた空間を暫し睨んでいたが・・・ やがて欠伸をし、天蓋ベッドへと身体を横たえた。 『一度生まれてしまった引力は、微弱ながらも消えずに残ったまま・・・ 奇跡でも起きない限り有り得ない話だけど、再び運命が混ざる可能性はゼロじゃない。 それにあの子と・・・側に居た筈の3人は、間違いなく一つになってしまった儘・・・。 笑えないわね、本当にあの娘がもう一人の八雲紫になってしまっただなんて・・・』 スキマの中で紫は独り・・・思考を弄んでいた。 彼女にしては珍しく、心に悲しみと悔恨を抱きながら・・・
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0ch BBS 2007-01-24