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銀河シュナイダー伝説9 〜出帆篇〜
[204]銀河シュナイダー伝説:2011/10/05(水) 23:59:13 ID:4gvioZwQ B.マティアス・フォン・アルテミュラー、帰還。 D.ルルーシュ・ランペルージの謎。 F.ナイトハルト・デューター・ミュラーとフェザーン。 B.マティアス・フォン・アルテミュラー、帰還。 マティアス・フォン・アルテミュラー…名門アルテミュラー家の嫡男。が、彼の本当の父親は 既に他界しており、現在、アルテミュラー家は彼の叔父であるクライスト・フォン・アルテミュラーが 家督をついでいる。 本来ならば叔父、クライストはあくまで後見人であって本来ならば彼が成人したこの時に爵位と共に その家督の座を返上すべきなのだが、彼の息子『パウル・フォン・アルテミュラー』の甘言によって クライストをそそのかし、マティアスが成人する前に、正式な家督をついでしまう。 マティアスにとって、爵位自体はそれほど魅力的なものに映ってはいなかったのだが、それでも実父の 残したものである。いつかは取り返そうとも思うのだが、今まで育ててくれた恩もある。 それ故に当座はその椅子を預け、軍人への道を歩み、義兄であるパウルのよからぬ企みが 露見する前に潰そうという思惑のままに志を同じにする仲間と共にこの惑星『リグリア』に 帰ってきたのだ。
[205]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:00:26 ID:cVrr7pfk アルテミュラー「ただいま戻りました、父上」 エマーリンクやファーナといった腹心を背後に控えさせた彼は片膝をつき、平伏するように頭を垂れる。 クライスト「うむ。良くぞ戻ってきたなマティアス。お前には我が軍3000の兵を纏め上げて貰う」 通称『氷の宮殿』と呼ばれるアルテミュラー家代々の屋敷の主の座に座る義父は、なんとなく気後れする かのような、しかし、信頼するような言葉でそう返答する。 彼にとって、現在の地位は自身が死ぬまでの安楽椅子であって、いずれは彼に返すものであるという 認識があり、その能力においては実の子であるパウルよりも信頼しているのだ。 アルテミュラー「御意。非才の身ながら一意専心の構えで尽力いたします」 自身の爵位を奪った男とはいえ、基本的にパウルという人格に嫌悪感を持たないアルテミュラーは、 薄紫の髪を悠然とたなびかせながら、そう返事をする。
[206]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:01:26 ID:cVrr7pfk ???「父上。まだ若輩のマティアスに全兵権をお与えになるのですか?」 氷の宮殿の謁見の間にそういいながら乱入してくるものがいる。 それはまるで凶報の風。言葉に毒の染み込んだ棘を絡みつかせながらアルテミュラーの頬を薙ぐ。 クライスト「パウルか。ワシの言葉に依存があるというのか?」 自身の子でありながらどこか信用の置けない実子にそんな事を聞く。本来ならば、家長である 自分に意見する事など100年早いのだが、気運に流されやすく、また情を捨て切れない彼は 思わずそんな事を言ってしまう。 パウル「然り。マティアスは5年もの間、一度もこの家に戻ってはきませんでした。 それは何かやましい事があるからではないのでしょうか?」 アルテミュラーと同じ髪の色。そしてどこか似た声色。だが高潔さと気品においては大きく後れを取る 彼の言葉は毒花の花粉を撒き散らす瘴気の森のそれであり、アルテミュラーの背後で控えていた 豪放をもって知られていたボルツは思わず怒号をもって返答をしようとすが。
[207]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:02:46 ID:cVrr7pfk アルテミュラー「控えよボルツ!……では、兄上はわたくしが信用できないと?」 恩もあるクライストであれば冷静沈着である彼も、血を分けた従兄弟にまで同じように接する必要はない。 僅かに口調を硬質なものに変え、まるで追窮するかのように言葉を紡ぐ。 パウル「…っく。この、不肖な弟が!父上、今見たように、彼には反骨の相が見えております。 どうか私にも同じ権限を戴きたく存じ上げます」 隠そうともしない殺気でアルテミュラーを貫くが、そんなことで動じる彼ではない。それを確認した パウルはそれがさも叛旗の印であるが如くのたまい、実の父に曲解させる。 クライスト「………よかろう。では1500づつ天頂と天下に別れ防衛の任に…」 パウル「それには及びません。既に私の判断で、王宮の回り及び都市部には配下を置いております。 弟殿にはそれ以外の場所を守っていただきましょう」 まるでその言葉を予言していたかのように蛇のような瞳でそういい含める。
[208]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:03:55 ID:cVrr7pfk エマーリンク「なんだと!?では、マティアス様には極点を守れといわれるのか!」 この惑星『リグリア』はテラ・フォーミングをされているとはいえ非常に寒い土地である。 人の住める場所はこの氷の宮殿が建立されている首都と赤道付近に作られた幾つかの町だけであり、 それ以外は極点と呼ばれ、人が住むにはあまりにも厳しい気候となっている。 アルテミュラー「……わかりました。では、私たちは極点の治安維持に努めましょう」 ここではいくら反抗しても無駄であると判断する。なにしろ自分たちは5年ぶりの土地、 それに比べこの義兄はその間にいくらでも武官文官を言い含める時間があったのだ。 ここで大切なのは自身の能力でも口の立つ弁舌でもない。ただ、時間の有無が勝敗を分ける。 無駄な争いは、自身を追い詰めるだけだと知るアルテミュラーは、黙って引く事で傷を最小限度に 押さえることにするのであった。
[209]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:04:55 ID:cVrr7pfk ファーナ(アルテミュラー様…よろしいのですか?首都と町がそのまま何万もの人質になったような ものですよ) 無言で宮殿の中を去るアルテミュラーの背後に許婚であり、得がたい副官であるファーナがそう 声をかけてくる。 アルテミュラー(わかっている。だが、父上の病状も危うい。私がここで叛乱者として処罰されれば 誰があの兄上から民を救うというのだ。今はまだ我慢の時だ。パウルが暴走しないように 見張るものは必要だろう) ぎゅうっと握り締められた拳は血の色を失っている。ある程度予想していたとはいえ、 アルテミュラーの将来は幾多もの困難が待ち受けているのだと、改めて思い知らされるのだった。 〜〜〜
[210]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:05:55 ID:cVrr7pfk 〜〜〜 D.ルルーシュ・ランペルージの謎。 ルルーシュ・ランペルージ。この名前は偽名である。 彼の本当の名はルルーシュ・フォン・ゴールデンバウム。 現皇帝、フリードリヒ4世の兄である当時の皇太子リヒャルトは帝国暦452年に死を賜った。 罪状は父帝オフリート5世の弑逆(しいぎゃく)未遂。今から30年近く昔の話である。 だがそれは彼の弟、クレメンツ一派が冤罪をきせたのだと証明され、後にその罪は許される。しかし、 死んだ人間とは許されたからといって生き返るわけでもなく、本来、より直系に近いリヒャルトの 家系はそこで費えてしまう。……そのはずだった。 ナナリー「お帰りなさい。お兄様」 優しい声がルルーシュの鼓膜を震わせる。彼にとってそんなことはどうでも良いことで、 今はただこの愛らしい妹と何事も無く平穏に過ごしていく事こそ理想であった。
[211]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:07:16 ID:cVrr7pfk ルルーシュ「ただいまナナリー。いい子にしていたかい?」 盲目の少女。 歩く事も立つ事も出来ず、ただ暗闇の世界で声を聞き、言葉を発する事しか出来ない憐れな少女。 全てはこの忌まわしい家系ゆえの罪で、そういう意味ではどうでも良いことではなく彼は恨んでいた。 ナナリー「はい。お兄様をお待ちしている間に折り鶴を織っていたのです。よく出来ていますか?」 目の見えない彼女は自分の作ったものを見ることが出来ない。それは『義眼』という技術が発達した今でも 変わらない事実であり、それ故にナナリーの言葉は疑問系が多い。 ルルーシュ「ああ、よく出来ている。不思議なものだな。ただの正方形の紙がこんな綺麗なものを作る。」 恨みも辛みも全ては心の奥底。彼女にとってこの世界は優しいものでなければならず、ルルーシュは 彼女の前ではどこまでも優しい仮面を被っていた。
[212]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:08:17 ID:cVrr7pfk ナナリー「よかったあ。ミレイさんにお願いしたんですけど自分ではよくわからなくって…」 そうはにかむ優しい少女。長い亜麻色の髪がその心を表すかのように優しく揺れている。 ルルーシュ「大丈夫だよ、これからはいつでも一緒だ。」 安心させるように…否、自分を安心させるようにそう言葉を紡ぐ。 と、そんな会話に乱入者が。 ミレイ「ルル、お帰り。」 彼女の名前はミレイ・フォン・アシュフォード。アシュフォード家の一人娘で現在は彼らを保護している 立場にある。…つまり彼女はルルーシュの秘密を知る数少ない理解者でもある。
[213]銀河シュナイダー伝説:2011/10/06(木) 00:09:19 ID:cVrr7pfk ルルーシュ「会長、お久しぶりです!元気にしていましたか?」 理解者であるが故に心からゆとりを持つゴールデンバウム王朝の隠された後継者。 ミレイ「まあね。今は中尉さんよ、ランペルージ少尉。」 ビッと敬礼をして茶化す。 ルルーシュ「ハ!アシュフォード中尉!」 まるで子供の戯事のように同じく敬礼すると、誰とも無く噴出してしまい、三人仲良く笑いあうのだった。 〜〜〜
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0ch BBS 2007-01-24