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【見開き1ページの】キャプテン森崎43【晴れ舞台】
[139]創る名無しに見る名無し:2011/12/10(土) 21:01:13.44 ID:zzsgjoCr 乙でしたー。ディアス…無茶しやがって…
[140]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:04.88 ID:/jxRF4a4 翼「ああっ!そ、そう言う事か!」 全日本メンバー「な、なんだ?」「いきなりどうした翼?」 最初に何が起きたか正確に理解したのは翼だった。彼だけは自身がサイクロン習得に費やした 苦労と時間のお陰でディアスが何故失敗したのか、何故蹲っているのか即座に分かったのだった。 翼「サイクロンは体力の消耗も激しいが、それ以上に足にかかる負担が凄まじいんだ! 俺もそれに気付かされて数ヶ月かけて怪我に注意しながら足を鍛えないといけなかった。 だから、もしディアスがこの大会で見た俺のサイクロンを練習期間なしで連発しようとしたら…!」 若林「そうか!元々お前より小柄でフィジカルも弱いあいつが耐えられる訳がない…!」 日向「ヘッ、要は自分のフィジカルじゃ扱いきれない技を才能とやらで無理やり使ったって事じゃねえか。 天才とバカは紙一重ってのは正にこの事だな。くだらねえ奴だ」 三杉「だとしたら、アルゼンチンはもうダメだな」 岬「うん。起死回生の策が成功した筈の瞬間、実はその策がエースの自滅に繋がっていたなんて…」 松山「かつての敵ながら、同情したくなる程絶望的だな…」
[141]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:21.55 ID:/jxRF4a4 シュナイダー「…何が起きた?」 フライハイト「分からん」 カルツ「ただ失敗したってだけじゃあなさそうだが…」 クライフォート「はて、奴がこんな絶好のチャンスでコントロールを誤るだろうか?」 イスラス「前半の様子からはとても信じられないが…」 クリスマン「たとえ誤るとしても、あんな見当違い過ぎる方向はありえんぞ…」 カルロス「そう言えばサイクロンは蹴った時の衝撃がやけに強かったな」 トニーニョ「…ひょっとして、フィジカルの弱いディアスには扱いきれないのか?」 ジェトーリオ「そうかもねー。試してみた後ちょっと足痛かったし」 コインブラ「(バカな奴だ…サイクロンの特性も知らずに使っていたのか)」 バルバス「こ、これは…まさか!?そ、そんな…!」 ジョアン「ほう…なるほどなるほど。もっと早く気づいておくべきじゃったな」 全日本ユースの面々以外は事態を正確に把握した者はあまり多くなかった。 まだ再現されて間もないサイクロンの特性を実際に打たずに推測する事は至難の業である。
[142]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:34.31 ID:/jxRF4a4 しかし誰もが簡単に分かった事もあった。 パスカル「デ、ディアス!大丈夫か!?」 ディアス「だ、大丈夫…ぐっ!」 ヘルナンデス「(…自滅したのか。奴は)」 ジェンティーレ「(負傷?一体何故?)」 アルシオン「(前々から抱えていた爆弾か、それともサイクロンのせいか…)」 ストラット「(なんにせよ命拾いしたぜ…)」 取り繕う様に慌てて立ち上がったディアスが負傷している事である。 隠し切れない苦痛の表情と声、そして痛々しげに痙攣する利き足の様子は誰の目にも明らかだった。 そしてそんな大きな隙を見逃すイタリアユースではない。 ダダダッ! バッカァアアアアアアアン!! ヘルナンデス「速攻ーーーッ!!」
[143]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:32:50.26 ID:/jxRF4a4 アルゼンチンメンバー「し、しまったァ!」「戻れ!」「何でも良いから防げーっ!!」 イタリアメンバー「走れ!」「ここで攻め落とせ!」「3点目を奪えば俺たちの勝ちだ!」 放送「あっと、ヘルナンデスくん大きくゴールキック!まさかのディアスくんのシュートミスによって生まれたチャンスを フル活用する構えです!イタリアが大ピンチかと思いきや今度はアルゼンチンが大ピンチになる目まぐるしい展開です!」 ディアス「く、くそっ!!」 ダッ… ズキィ! ディアス「(ぐぐっ!ち、畜生何なんだよこれ!?何で足がこんなに痛むんだ!)」 ヘルナンデス「(やはり、理由は何にせよ負傷したな。こんな形の命拾いではスッキリしないが…俺はアズーリのキャプテンだ。 そんな贅沢を言う事は許されない…だから俺は割り切るぞ。お前をここまで追い詰めた俺の勝ちだとな!)」 同点、そして逆転の鍵となる筈だったサイクロンがまさかの暴発を起こしてしまった事で アルゼンチンユースの選手たちは軒並み浮き足立っていた。今の彼らを支えているのは希望ではなく ここで3点目を奪われてはいよいよ勝ち目がなくなると言う恐怖である。 アルシオン「(前半刺し損ねたトドメを今度こそ完全に決める!その為には…)」 アルシオンにはそれが手に取る様に分かった。そしてそれを最大限利用する為のカードも二つあった。
[144]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:33:02.36 ID:/jxRF4a4 ドドドドドドッ!! 放送「ボールを持ったアルシオンくんにアルゼンチンユースが決死の覚悟で挑む! そうです、彼らは何としてでもここでアルシオンくんを止めなければ命運が尽きるのです!」 アルシオン「(ファウルをしてでも止めるつもりなのがバレバレだ。だがこうされてもファウル出来るか?)」 アルシオンが切った一枚目のカード。 クルッ。 ヒュヒュヒュッ! アルゼンチンメンバー「な…なにィ!?」「そんなァ!」 ディアス「あ、あの野郎ォオオッ!!」 ストラット「(そう言えば似た様な事を前やっていたっけ。まあ、やろうと思えば何時でも出来るんだろうな)」 ランピオン「(つくづく敵に回したくない奴だ)」 それは前半ディアスが行った後ろ向きのドリブルだった。類稀なるセンスと超人的な想像力がなければ 出来ないこのトリックも、アルシオンにとってはさほど難しい芸当ではなかった。 これによりアルゼンチンの選手たちはバックチャージを恐れ、強引な守りを展開する事すら叶わなくなる。 放送「お、おおおおおっ!!なんとここでアルシオンくん、前半ディアスくんがやってみせた後ろ向きのドリブルを そっくりそのまま再現してみせました!不意を突かれたアルゼンチン、必死の食い下がりも空しく抜かれていく!」
[145]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:33:13.85 ID:/jxRF4a4 ガルバン「いかん!もう戻れ!奴からボールを奪おうとするな、シュートを防ぐ事だけ考えるんだ!」 アルゼンチンメンバー『お、おう!!』 ここでアルゼンチンは最早アルシオンからボールを奪うのは不可能だと判断し、必死にPA付近を固める事に集中した。 その苦肉の策もまたアルシオンには予定通りで、彼がプレッシャーをかける様にややゆっくりとイタリア陣内を 進むに連れアルゼンチンの選手たちの心臓が高鳴り、動揺と恐怖が増していく。 放送「アルシオンくんバイタルエリアに辿り着きました!さあ、ここからどんな手段で3点目を狙うのか!?」 アルシオン「(どんな手段かだと?これさ!)」 ガッ! アルゼンチンメンバー「!?」「ま、まさか…!」 そしてアルシオンの2枚目のカードが切られる。それは見せ付ける様なヒールリフトから始まる。 サイクロンを強く意識していたアルゼンチンの選手たちはもしやアルシオンもサイクロンを!? それとも先ほどディアスがしてみせた様にランピオンへのヒールリフトパスを?と身構えてしまう。 クルル…ヒューン。 アルゼンチンメンバー『えっ…?』 だがそれはただのヒールリフトで、アルシオンはサイクロンを使うつもりは無かった。 そう見せかける事で更にアルゼンチンを動揺させ、自分の切り札をより確実に決めたかっただけだった。
[146]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:33:29.11 ID:/jxRF4a4 アルシオン「(俺はサイクロンなど要らない。何故なら俺はブラジルの英雄でもアルゼンチンの英雄でも、 ましてやイタリアの英雄ですら無いからだ!俺の名はマルク・アルシオン!唯一無二の絶対的王者だ!!)」 グワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!! ジョアン「ほう、あれも使うのか」 バルバス「…!なんて、事だ…!」 放送「アルシオンくん振りかぶったーーーっ!!ここでミドルシュートで自らアルゼンチンにトドメを刺す気か!?」 アルシオンはサイクロンも撃とうとしなかったし、パスも出さなかった。 彼にはまだ実戦では見せていない彼独自の必殺シュートがあった。 ワールドユースの為に開発されたそれはシューティングスター同様誰からも警戒されておらず、 アルゼンチンの選手たちは誰一人としてそれを予想出来ていなかった。 ダダダダッ!! ディアス「まだだァアアアアアッ!!」 アルシオン「!!」 ディアスを例外として。 グワアアアアアアアアアアアッ!! 放送「ディアスくん走りこんだ!そして…足を振りかぶったァ!?こ、これは撃ち返しを…!」
[147]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:34:18.33 ID:/jxRF4a4 ディアス「(俺は天才ファン・ディアスだ!どんな絶望的な状況だろうと、どんなに凶悪な敵が相手であろうと、 試合時間が残っている限り俺が必ずひっくり返してみせる!それが出来るのが天才だからだ! 俺には接戦の末の敗北なんか要らない!オール・オア・ナッシング!それがフィールドの鉄則だ!!)」 バルバス「や、やめろーーーッ!!ディアスーーーーーッ!!!」 ジョアン「…ふん、あっけない最後じゃな」 アルシオン「(愚かな!!お前は今、最悪の選択をした!その代償を払うが良い!)」 この時の二人の間に入れる者はいなかった。 間も無く起きる出来事は当の二人さえ止められなかった。 ディアス「俺は天才ファン・ディアスだァアアアアア〜〜〜ッ!!!」 アルシオン「 く だ け ち れ ぇ っ ! ! 」 バッギュァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!! ディアス「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
[148]2 ◆vD5srW.8hU :2011/12/14(水) 00:34:38.47 ID:/jxRF4a4 それはディアスがサイクロンの特性も、アルシオンのシュート力も知らなかったが故に起きた悲劇。 彼は思い当たらなかった。あまりにもあっさりと成功させてしまったサイクロンが彼に要求した代償を。 彼は気づけなかった。アルシオンがストラットに匹敵する程のシュート力の持ち主だと。 ギュゥォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!! ドゴドガッガガガッ!! アルゼンチンメンバー『がぁああああああああああああああっ!!』 バリィッ!ボコーン… ドサドサドサッ! ディアス「う、うううう…!?」 激痛に呻きながら尚も起き上がろうとする彼の視界に映る。なぎ倒された仲間達の姿が。 突き破られたゴールネットの無残な様が。そして彼を見下ろすアルシオンの冷たく固い表情が。 アルシオン「ディアス。お前は確かに天才だった…だが天才など世界を見渡せば掃いて捨てる程居る」 ディアス「な…!」 アルシオン「ヨーロッパに来るつもりが有るのならそれを覚えておけ。でなければお前は一生悲劇の英雄のままだぞ」 ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!! そしてアルシオンの言葉とホイッスルを待っていたかの様に、ディアスの意識は途切れた。
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0ch BBS 2007-01-24