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【見開き1ページの】キャプテン森崎43【晴れ舞台】
[248]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/22(水) 08:41:08.83 ID:diDwLCby >I 「フッフフフ…監督、お忘れですか?もう一人居るじゃないですか、この俺が!」 見上「……………」 第二の問題、日向と組ませる相手について森崎は自ら立候補を申し出た。 それに対する見上の反応は実に胡散臭い物を見る目と無言だったが、そんな物で怯む森崎ではない。 森崎「メキシコユースとエクアドルユース相手に俺の力は見せたでしょう? 守備は無理ですが、今の俺はドリブルだけじゃなくパスもシュートも、攻撃全部がやれますよ? (グッフフフ、ここでアピールしておけばキーパーの時のオーバーラップチャンスも増えるぜ)」 見上「……………」 ----------------------------------------------------------------------------- 【分岐】http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1307461974/l50にて !card と書き込むとランダムでトランプの絵柄が出るので、(!は半角)書き込んでみて下さい。 (ageでもsageでも構いませんが、★も含めて一回の判定の全文をコピペされてない場合は無効です) 先着(順番通りじゃない書き込みは無効)で ★森崎はFWで出られるか?→!card★ と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。 JOKER→「良いこと考えた、若林をFWに使えば良いんじゃね?」 クラブ以外→「やるからには結果を出せ。私が言うのはそれだけだ」 クラブ→「阿呆。決勝トーナメントに入ったのに守備陣再構築などして堪るか」
[249]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:35:22.87 ID:/Q8hCuOX ★森崎はFWで出られるか?→ ハート8 ★ クラブ以外→「やるからには結果を出せ。私が言うのはそれだけだ」 ----------------------------------------------------------------------------- 森崎「お任せ下さい!そもそも活躍出来る自信がなきゃ立候補しませんって(もったいぶんじゃねえっての)」 見上「では…お前と日向のツートップで行くとして、スタメンはこうなるか」 全日本ユース 4−4−2 −J−H− J森崎 H日向 −−−−− −I−G− I翼 G岬 −−−−− −F−E− F三杉 E中山 −−D−− D若島津 A−B−C A中里 B次藤 C早田 −−@−− @若林 森崎「ん?若島津も使うんですか?」 見上「ああ、オランダはダイレクトシュートが多くミドルシュートが少ない。ポストプレイヤーも居る。 相手も若島津の居る所に無理に放り込んではこないだろうが、牽制にはなる筈だ」 森崎「なるほどね。流石監督です(当たり前みたいなチョイスだけど、ちょっとヨイショしとくか)」 こうして試合二日前の夜は過ぎていった。この日の選択が吉と出るか凶と出るかはまだ誰も知らない。
[250]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:35:38.13 ID:/Q8hCuOX クラマー「…以上が日本の最新データだ。見ての通り、かつて戦った相手とは完全の別物だ」 オランダメンバー『………』 この日、オランダユースも全日本ユースとの対戦に向けたミーティングを行っていた。 一度全日本ユースに大勝した事がある彼らの表情には油断の色はなく、皆真剣に監督の話に聞き入っていた。 クラマー「改めて言うまでもないが、これはただ単にモリサキやツバサなど当時いなかった主力選手が 合流しただけではない。あの頃はアジアレベルに留まっていた日本国内の選手たちが劇的に成長したのだ。 どうやら彼らは格上相手の惨敗を糧に出来る程度の才能と精神力はあった…と言わざるを得ない」 カイザー「ヘヘッ、どうせなら俺たちに感謝して欲しい位ですね」 レンセンブリンク「する訳無いだろ」 クリスマン「だが事実として俺たちは世界の壁として奴らを成長させてしまったな」 クラマー「今更そんな事を悔やむ必要はない。彼らほど劇的ではないが、我々もあの時より ずっと成長しているのだ。力の差は狭まったが、それでも上下関係は変わっていない…そう証明してみせろ」 オランダメンバー『はい!!』
[251]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:35:53.52 ID:/Q8hCuOX クラマー「ではクライフォート、お前は明日の試合をキャプテンとしてどの様に考えている?」 クライフォート「はい、監督のおっしゃった通り力の差は狭まりました。ですがチーム単位でも選手単位でも 特徴自体はあまり変わっていません。例えばマツヤマ。奴の性格を利用しない手はないでしょう」 クラマー「そうだな、彼の事だ。我々に対してムキになって居るだろう。 だが向こうも馬鹿ではない、あえてマツヤマを使わないと言う選択をしてくるかも知れんぞ?」 クライフォート「それも想定しています。そうなれば戦力ダウンですし。それから…」 十数分後、ミーティングを終えたオランダユースの選手たちは三々五々に大部屋を後にしていた。 最後に出て行くクライフォートの背中を見送るクラマーの顔がふと歪む。 クラマー「(クライフォート…いや、ブライアン…お前もすっかり遠くまで来た物だな。 お前が自分の力と正しさを証明出来るまで後もう少しだが…今、お前は幸せか?)」 クラマーはクライフォートを子供の頃から知っていた。故に今とても大きくなった背中にも 初めて会った頃の小さな背中がくっきりと重なって見えてしまう。
[252]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:36:39.42 ID:/Q8hCuOX 〜クラマーの回想シーン〜 数十年をサッカー指導者として生き、並大抵の才能では大して驚かなくなっていた頃だった。 ワシがオランダでクライフォートと出会ったのは。 クライフォート「ブライアン・クライフォートです!よろしくお願いします!」 彼は少年時から既に天才の頭角を現していた。特に個人技だけでなく オランダのトータルフットボールを使いこなし、司令塔となれる素質があった事がワシの関心を買った。 だが何よりも驚いたのはその前向きな精神力だった。クライフォートと言う名前があのヨハン・クライフに似ている事、 それからトータルフットボールの司令塔として期待されている事から彼はしばしば 善意と悪意両方を集め、ヨハン・クライフォートなどと言うあだ名をつけられた事すらあった。 だが彼は全く挫けず、周囲の期待に応えてすくすくと力をつけていった。 彼の率いるオランダが世界一になるのが見たい。彼を私の生涯の最高傑作にしよう。 そう思いオランダに移住し、彼を様々な形で見守る事数年。 クライフォート「クラマー、さん…」 クラマー「ど、どうしたと言うのだブライアン!」 ある日彼は大粒の涙を零しながらワシに会いに来た。そして彼は変わった。いや、ワシが変えてしまった。
[253]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:37:06.29 ID:/Q8hCuOX クライフォートは所属クラブのイタリア遠征から帰ってきた所だった。 それは何てことはない、少年チーム同士の対戦で遠征と言う行為に慣れておく為の物だった。 だが相手に選んだチームに問題があった。それはイタリアの下位チームだったが、 指導者の方針かそれとも選手たちの資質か、反則覚悟のディフェンスを厭わないチームだったのだ。 更に地元びいきの判定でPKが与えられ、クライフォート達は無念の0−1負け。 クライフォート「それで僕、我慢できなくって叫んだんです。そんな卑怯な勝ち方で嬉しいのかって」 クラマー「そうか…そして、どうなった?」 クライフォート「逆に相手怒鳴り返してきて…こんなの卑怯の内に入らないとか、俺たちだって 生き残りの為に必死なんだとか、クリーンにやったらお前たちが勝つに決まっているのに それを強要するお前は卑怯じゃないのかとか、お前に何が正しいか決める資格はないとか…」 純粋なクライフォートは怒りを露にしたが、相手が逆切れして自らの主張をしてきた事で 彼の今までの信念は覆されてしまった。世の中にダーティなチームや理不尽な判定があると 知識として知っているのと実際に被害に会うのでは天と地ほどの差がある。 そんなショックに更に自分を否定される体験が重なったクライフォートは精神的にボロボロになっていた。 クライフォート「クラマーさん、教えて下さい。僕が正しいんですか?それともあいつらが正しいんですか?」 クラマー「……………」 クライフォート「クラマーさん!」 長らく指導者をやっていても、こういう時にどう答えるべきかは分からない。迂闊な返答をすれば 取り返しのつかない事になりかねないが、返答を渋ればそれはそれでまた危険なのだから。
[254]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:37:50.24 ID:/Q8hCuOX クラマー「それはワシにも分からんよ」 クライフォート「………え?」 故にワシは正直に答えるしかなかった。どの様に答えても先の不安がぬぐえないのなら、 せめてクライフォートの信頼を損ねない様にするのが一番だと判断したのだ。 クラマー「この歳になるまで生きてきても、何が正しく何が正しくないのか分かった事より分からない事の方が何倍も多い。 分かったと思っていたのに覆された事もたくさんある。サッカーだけでなく、サッカー以外の事でもな…」 ワシの役に立たない返答にクライフォートは表情を凍らせ、俯き、しばらくしてから呟いた。 クライフォート「じゃあ…あいつらは何で自分達が正しいと思ったんでしょう」 クラマー「それも分からんな。そのチームの選手たちも本当はやりたくないのにやっていたのかも知れん。 罪悪感を感じていて、それに耐えられずに逆切れをしたのかも知れん。 あるいは…あるいは。彼らの視点では本当に正しく見える事情があったのかも知れん。 今日の試合で負けてしまったら、結果を出せなかった罰として放出される選手が居た、とかな」 クライフォート「そんな…そんな事考え続けたら、何もかも正しいのか、正しいものなんか一つもなくなるか… そのどっちかになってしまう!一体僕はどうすればいいんですか!正しさなんか最初から求めるべきじゃないんですか!?」 どんどん曇っていくその瞳の前にワシは逃げ出したくて堪らなかった。だが逃げられなかった。 逃げ道などみつからなかった。だからワシはただ正直に答え続けた。 クラマー「それは違うぞ、ブライアン」
[255]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:38:06.55 ID:/Q8hCuOX クライフォート「違うって…何が…」 クラマー「人は正しさ無しには何も出来んよ。少なくとも、利益のみを追求する小悪党が大成する事はない。 確固たる信念、指針、野心、夢…そう言った類の物が無ければ何も長続きしないのだ。人は移り気な生き物だからな」 クライフォート「………でも僕は、その信念を失ってしまいました。僕はこれから何を支えにすれば…」 今でも時に悔やみ、自答する事がある。もっと他の答え方があったのではないかと。 だがあの時のワシにはあれしか思いつかなかった。だからああ答えてしまった。 クラマー「ブライアン・クライフォート!!お前は何者だ?」 クライフォート「えっ!?…な、何者って…」 クラマー「知らんのならワシが教えてやろう。ワシはお前こそがオランダを世界一にする者だと思っている! あのクライフですら叶えられなかった夢を、お前なら叶えられると!」 クライフォート「………!!」 クラマー「知らんとは言わせんぞ!お前が周囲からどんな期待を寄せられていたかを! お前はそれに応えようとしていた筈じゃ!無意識ではなく、自覚して!」 クライフォート「…確かにその通りです。でも支えが、支えがないんです…」 クラマー「お前は赤子か、それとも老人か?違うだろう!お前は若者だ、これから人生の全盛期に向かう若者だ! 支えを失っても、道はずっと続いているのだぞ!お前に支えなど要る物か!他者の支えになるくらいで丁度良い!」
[256]2 ◆vD5srW.8hU :2012/02/28(火) 11:38:22.64 ID:/Q8hCuOX 叱咤激励と言えば聞こえは良い。だが実際にあの時ワシが言った事は ”善悪を考える前に勝つ事を考えろ”と言う極論に過ぎなかった。その時はそれでも良いと思っていた。 これ程の逸材が躓いたまま立ち上がれなくなる事が何より怖かった。 だがクライフォートはワシが想像していたよりも賢かった。ワシの陳腐な言葉を自ら発展させ、 実のある思考に変える事が出来たのだった。ワシが全く思いも寄らぬ方向に。 クライフォート「………あっ」 クラマー「…ど、どうした?」 クライフォート「そうか…そういう事か…なんだ、支えなんか要らないじゃないか」 クラマー「…本当にどうしたのじゃブライアン。何故急に閃いた様な表情を…」 クライフォート「閃いたんですよ。アレを見て」 クラマー「アレだと…?」 クライフォートが指差した先にあったのは自転車だった。何の変哲もない自転車。 だがそれがクライフォートを閃かせた。そして…怪物を生み出した。
[257]代理 ◆TOqlmUAcFM :2012/02/28(火) 11:49:40.72 ID:bYLYT29N クライフォート「自転車と同じですよ。支えなんか無くたって、走り続けていれば倒れませんし、 早く目的地にたどり着けます。誰よりも早く、確実にね…ふふっ、アハハハハッ!!」 クラマー「ブライアン…」 そしてクライフォートは笑った。ワシは少しだけ震えた。それが恐怖なのかそうでないのかは分からなかった。 その後クライフォートは変わった。勝つ為には正道と邪道両方を極める事が必要だと判断し、 その方針と力で国内を制し続けた。初めは彼に反発する者はとても多かったが、 やがて彼を認める者が増えていき…今のオランダユースが出来上がった。 強い筈なのに世界一になれないと言うコンプレックス。 美しいトータルフットボールだけでは勝てないのではないかと言う疑念。 クライフォートのやり方で勝ち星を積み上げていく快感。 ワシが率いるオランダユースはこれらを原動力として戦っている。 〜回想シーン終了〜 クラマー「(ワシは今でも悩み続けているよ。ワシは正しい事をしたのかどうか。 お前はどうだ?お前は…自分の正しさを疑わずに居るのか?)」 一人きりの時のクラマーの表情は選手たちにはとても見せられない程老いて弱弱しい物だった。
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0ch BBS 2007-01-24