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【魔王の足音】幻想のポイズン55【天才の意地】
[562]森崎名無しさん:2011/11/26(土) 00:19:20 ID:??? 三杉「君は何を言っているんだ」
[563]森崎名無しさん:2011/11/26(土) 00:19:29 ID:??? 三杉「君は何を言っているんだ」
[564]森崎名無しさん:2011/11/26(土) 00:22:34 ID:??? 三杉が二人…だと
[565]森崎名無しさん:2011/11/26(土) 00:22:57 ID:??? 5点は言いすぎだけど 点は入ってそう
[566]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 01:53:14 ID:??? ―フランスJrユース ロッカールーム― ハーフタイムに突入し、前半戦での疲労を回復する為、ある者は腰掛け、ある者はドリンクを口にし休息を取るフランスJrユースメンバー。 彼らの表情は比較的明るめであり、控室の雰囲気は決して悪くは無い。 前半は0−0のロースコアで終わったが、実際にはほぼフランスが優勢だったのだからそれも当然である。 よもやナポレオンがいないこの状況で、自分たちがここまで善戦できるとはと一同は笑みすらも浮かべるのだが……。 ピエール「みんな、気を引き締めろ! まだ試合は終わっちゃいないんだ! 何より、俺達はまだウルグアイから1点も取れていない……試合を優勢に進めていながら、1点も取れていないんだ! 攻めきれていない以上、浮かれるなんて出来ない筈だぞ!」 フェレーリ「うっ……」 ドゴール「がー……」 しかし、キャプテンのピエールだけは冷静にこの状況を楽観視できないものだと判断していた。 彼の言うように、フランスはここまで優勢に攻めておきながらただの1点も取れていない。 それは逆を言えばフランスがチャンスをものに出来ていないという事でもある。 後半からはGKが萃香となり、より強力な守備を敷いてくるウルグアイ。 楽に戦えるどころか、苦しい戦いとなるのは明白だった。 ボッシ「………………」 そして、そのピエールの声を聴いて暗い表情を見せていたのはボッシだった。 ピエールは決して彼を名指しして、前半で1点を取れなかったのはいけない事だったと言った訳ではない。 だが、ボッシにはどうしてもそれが自分の責任だと言われているような気がしてならなかった。 萃香がピエールのオーバーヘッドをクリアーに行き、ねじ込みにいった最初のシュートチャンス。 あそこで自分が決められなかったのが、前半戦最大の問題点だと言われているような気がしてならなかった。 半ば被害妄想染みた考えではあるが……それでも、彼にはそう思えて仕方がない。 ボッシ「(俺なんかじゃ駄目なんだ……やっぱり、ナポレオンがいないと……)」
[567]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 01:54:15 ID:??? 頭を抱えて項垂れるボッシ。 そんな彼の肩を、不意にぽんと叩く少女の姿があった。 さとり「………………」 ボッシ「サ、サトリ……?」 振り返ったボッシは、思いがけぬ人物が目の前にいた事により目を丸くして驚く。 別にフランスJrユースメンバーがさとりと仲が悪いという訳ではないのだが、 さとりは本来こういう時、率先して誰かに話しかけるような積極性はあまりなく。 どちらかというとこいしの方が誰かと話すなりコミュニケーションを取る事は得意だったのだ。 ボッシ「え、えっと……俺に、何か……」 さとり「ボッシ君。 このチームのGKとして、1つだけ言える事があります」 ボッシ「え?」 さとり「……あなたの決定力は、ナポレオン君には劣ります。 ですが、ピエール君を超えている」 狼狽するボッシに、さとりは単刀直入に事実だけを述べた。 彼女はあまりコミュニケーションを取るのは得意ではない。故に、言いたい事だけを言った。 さとり「このチームで、今、一番の決定力を持つのは貴方です。 貴方が一番、伊吹萃香を破れる可能性が高いのです」 ボッシ「………………」 さとり「ナポレオン君がいたなら、ナポレオン君を頼っていたでしょう。 ですが、今は彼はいない。 ……故に、私は貴方を頼ります。 どうか……1点を取ってください」 ボッシ「………………」 さとり「……貴方は気が弱い。 ですが、そんな心の奥底にも、ストライカーとしての矜持がある。 ……私には見えてますよ」 それはさとりなりの叱咤激励であった。 他のフランスメンバーが活躍をしている中で未だに何も出来ていないボッシに対して出来る応援だった。 これを聞いたボッシは、しばらくは黙りこけ……遠くを眺めていたのだが……。 やがて小さく、しかし、力強く無言でうなずいた。
[568]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 01:55:16 ID:??? ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ジョン「さぁ〜、両チームがハーフタイムを終え、再びピッチに戻ってまいりました! 前半戦はフランスが優勢にも見えましたが……どうでしょう、南沢さん」 南沢「はい、仰る通りですよね。 ですが、ここまで0−0。 両チーム点を取れていない。 前半抑え込まれていたウルグアイはともかく、攻めて点を取れなかったフランスの精神的プレッシャーはあると思いますよ」 ジョン「なぁるほど! 加えて言えば、ウルグアイは後半からGKを伊吹萃香選手に代えてきています! 当然ながら彼女の守るゴールは今大会屈指の堅固さを誇る! 果たしてこれを突き崩せるか、フランス!」 南沢「何度も攻撃に失敗をしては、フランスの士気にも影響が出るでしょうからね。 そうなってはウルグアイの攻撃力を考えるとあっさりひっくり返されかねません」 ジョン「果たして結末や如何に!? 実に楽しみな後半戦です!」 観客「それでもフランスなら……フランスならきっと勝ってくれる筈!」「萃香ちゃん来てもうた……もう駄目だ、おしまいだぁ……」 ビクトリーノ「……おいユウギ。 まだ本気は出さないつもりかよ」 勇儀「同点のままで本気を出すのは鬼の矜持にかかわるからねぇ」 ビクトリーノ「引き分けじゃ俺達は2位突破出来ねぇんだぞ!? このまま0−0で終わったらどうするつもりだ!?」 勇儀「そりゃ悲しいが、誇りを投げ捨ててまで本気を出すのは大人げないってもんだろう? 何、心配するな。 1点取られりゃ私も本気を出していくさ」 萃香「……ま、その1点をあちらが取れるかどうかだがね」 ピエール「(やはり後半からはゴールキーパーを入れ替えてきた、か……。 このままでは……)」 ボッシ「ピエール……」 ピエール「? どうした、ボッシ」 ボッシ「……俺にやらせてくれ。 俺が……なんとか、やってみる」 ピエール「……わかった。 幸い、後半はこちらからのキックオフだ。 ……任せたぞ」
[569]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 01:56:17 ID:??? ピピィーッ!! ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! バムッ バシィッ! 泣いても笑っても残り45分――審判の笛を合図として後半はフランスボールで開始される。 キックオフからボールはピエールへと渡り、ある程度溜めを作ってからピエールは左のジョルジュへとパス。 大陸一のパス精度を持つ彼は、フランスの攻撃の起点であった。 ピエール「ジョルジュ!」 ジョルジュ「(ふむ、ボッシにパス……か)いいだろう、いきたまえボッシ!」 パシュンッ! 文「あ、あやややや〜……こんなもん取れませんよ……」 ジョルジュの正確無比なパスは、カットに向かった文が触る事すら出来ず。 ウルグアイ中盤まで上がってきていたボッシが綺麗にいトラップをする。 ビルト「! よし、チャンスだ! 右のドリブラーに渡される前に……」 ミャウザー「ここで潰す!」 そして、それと同時にウルグアイのダブルボランチはボッシへとプレスをかけた。 フランスは何かしらに特化をした選手ばかりのチーム――ボッシはその中で、シュートに特化をした選手。 それならば恐らくはドリブルは不得手の筈だと判断をしての行動であった。 その考えはあながち見当違いでもなかったが……彼らは忘れていた。 守備において、ルストという万能型のDFがいたという事を。
[570]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 01:57:17 ID:??? ボッシ「(……俺が、やるんだ)」 人は弱い生き物である。プレッシャーに負けて弱音を吐く人間なんて、決して少なくは無い。 そんな中でもボッシという人間は、ことさら心が弱かった。気弱だった。 だが、そんな彼にも……ちっぽけではあるが誇りは存在した。 フランスJrユースという代表に選ばれた、いちFW――いちストライカーとしての矜持があった。 彼はなけなしのそれを目一杯使い――プレッシャーを強引に跳ね除け、奮い立った。 今にも折れそうになる心をひきしめながら、思い切り突き進んだ。 ボッシ「ぬ、抜くッ!!」 サササササッ! ビルト「うっ……!?」 ミャウザー「な、なにィ!?」 不器用ながらに上体でフェイントを入れ、ビルトたちを翻弄し突破をするボッシ。 その意外にもやや華麗なドリブルを見てウルグアイJrユースメンバーはどよめき……驚きに目を丸くする。 反町「……少し華麗なドリブル。 あいつにも出来るのか」 うどんげ「うわぁ……(私よりも全然ドリブル上手そう……へ、へたっぴって聞いてたのに……)」
[571]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 01:58:19 ID:??? リラダン「これ以上進ませるか!」 ボッシ「(まだ……まだゴールが遠い! もう少し……!)」 ビュンッ ブブブ…… リラダン「なっ、き、消え……?」 パッ リラダン「あ、み、見えた……!」 ボッシ「お、遅いッ!!」 やがてやってきたDFのリラダンを、ボッシは再び抜き去った。 レミリア「ほう……!」 マーガス「な、何をやったんだあいつ? DF、棒立ちになってたみたいだけど……」 シェスター「傍から見てるとわかりにくいけど、フィールドで相対すればボールだけが消えたようになるフェイントをかけてたね。 初見だと思わず体が止まってしまっても仕方ない……」 それはボランチの古明地こいしが得意とするドリブル――「消えるフェイント」……を、模倣したもの。 「無意識を操る程度の能力」など持っていないボッシにそのまま消えるフェイントを使う事など出来る筈もなく。 彼はボールだけが消えて見えるようになるフェイントを開発した。 ……もっとも、そのボールが消えて見えるのはたった2秒間だけ。 だが、2秒もあれば相手の意表を突き抜き去るのには十分すぎるのだった。
[572]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 01:59:19 ID:??? クローデル「や、やらせるか!」 バージェス「好きにはさせん!」 ボッシ「(ここを抜いて……シュートだ!)」 シュバババッ シュバッ クローデル「え……?」 バージェス「な、なにを……?」 スタタタタタッ! ボッシ「……よし!」 最後に、ボッシはDF2人を鮮やかなドリブルで抜き去った。 三杉「……素晴らしいドリブルだ。 まさか、フランスでピエール以外にあのレベルのドリブルが出来る者がいたとは」 来生「え? 何? なんかすごかったのか、あのドリブル?」 橙「スピードも無い、ふつうのドリブルに見えましたけど……」 藍「……芸術的と言って過言ではないドリブルだったよ。 派手さはないが、素晴らしい」 それはフランスのキャプテン、エル=シド=ピエールの見せるドリブル――「芸術的なドリブル」……を目指したテクニカルドリブル。 到底ピエールには敵わないまでも、ボッシは懸命に練習を重ね、そのドリブルを完成させた。 ピエールのそれのように派手さは無い……しかし、ある意味鮮麗されたシンプルな機能美というものがそこにはあった。 高速でのフェイント、またぎを織り交ぜ緩急をつけたそのドリブルは、 見る者によっては解釈がわかれるだろうが芸術的なドリブルと言って間違いのない代物だった。
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0ch BBS 2007-01-24