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【魔王の足音】幻想のポイズン55【天才の意地】
[577]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:04:23 ID:??? ビルト「(よし、なんとかセンタリングを上げられる位置までこれたが……)」 文「ビルトさん、ハイボールを!」 ビルト「(ん? アヤが自分でボールを要求するのは珍しいな……やらせてみるか)それっ!」 その後、ウルグアイ右ボランチ――ビルトはボールを持ったまま右サイドを駆け上がり、ボールを要求する文へとセンタリングを出す。 自らがゴールを奪う事には興味があまり無く、人を立てるアシストを好む文にしては珍しいこの事に。 何か策があるのかとビルトが見守る中、文はセンタリングに合わせて高く飛翔。 天狗の力を使ったその驚異のジャンプ力でボールにあわせ……フランスもここは守って見せると気合を見せてクリアーに向かう。 ルスト「こーいつでとどめだー! スクランダークリアー!!」 ベルジェル「ここでクリアーしてキャラを立ててやる!」 文「(どいつもこいつもおバカさんですねぇ。 覚り妖怪相手に私がPA内からシュートする筈無いでしょう)」 さとり「(!? これは……)いけません、皆さん、下がって……!!」 文「遅い遅い、指示が一歩スローリィです!」 スカッ ベルジェル「なにィ!?」 ルスト「やーりゃがったなコンチクショー!!」 しかし、文はこのボールをスルーした。 さとりセービングを掻い潜って自らがゴール出来る筈は無いと文は自覚をしていたのだ。 さとりは心を読む事でこの事に素早く気づき、転倒をするような事はなく少しバランスを崩すだけで済む。 だが、フランスDFのルストとベルジェルは一杯かわされた形となり、ボールはそのまま左サイドへと流れ……。
[578]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:05:57 ID:??? ビクトリーノ「でかした、アヤ! 決めてやるぜェッ!!」 グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ジョン「あ、ああああああああああああああっ!? これはまずい、フランス! なんとFWのビクトリーノ選手が、左サイドまで流れています! 完全にフリーだァ!! そしてビクトリーノ選手、ボールを持った瞬間、素早くミドルシュートの体勢を取る!」 この一連の流れは、ハーフタイム中にビクトリーノと文の間で交わされた作戦である。 同点のうちは本気を出さぬ勇儀に、鉄壁の守備力を持つ萃香。 このままでは負ける事はなくても勝つ事もなく――それでは決勝へと上がる事も出来ないのが現状のウルグアイ。 どうにかして勇儀抜きで1点を取る事は出来ぬか、と考えに考えた末の作戦がこれなのだ。 ビクトリーノ「(俺のダッシュ力を生かしたボレーはPA内からのシュート――あのキーパーにゃ悔しいが通用しない。 なら俺のパンサーファングを使うしかねぇが、こいつも普通に撃ったんじゃ弾かれるのがオチだ! ……でも、フリーのこの状態からなら……バランス崩してる今なら、入るだろ!?)」 さとり「くっ……」 ビクトリーノ「いっ……けェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」 パシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!! 願いを込めた渾身のシュートは、鋭い音を立てながらゴールを襲った。 フリーの状態から全力で打ち抜いたパンサーファングの威力は、決して油断のならないものである。 さとりは体勢の整わぬままに拳を握りしめながらパンチングへと向かい、横っ飛びにダイビングをする……。 サッ ブラボー「おお、ブラボー……」 さとり「!!」 ビクトリーノ「げっ!?」 しかし、そのシュートコースに割って入る者がいた――フランスDF、CBのブラボーである。
[579]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:07:20 ID:??? ビクトリーノ「(構うもんか! いくらなんだってあんな無茶な姿勢で止められる訳ねぇ!!)」 その光景を見て、ビクトリーノはそう判断をした。 実際、慌ててブロックに飛んできたように見えるブラボーの体勢はバラバラ。 辛うじて足を突きだすような形でボールに触ろうとしており、最悪オウンゴールになりそうなブロックだったのだ。 故に、彼はこの後、自らの身に降りかかる災難をこの時はまるで予期できていなかった。 ブンッ!! 勇儀「? なんのつもりだい?」 こいし「キャプテン!」 迫りくるシュートを前に、ブラボーは何故かその右足を大きく振りかぶりボレーシュートの姿勢を取った。 そのフォームを見て勇儀は首を傾げ、こいしはブラボーを鼓舞するように名を呼んだ。 魔理沙「……あいつも使いやがるのか」 霊夢「こりゃまた……厄介」 映姫「ふむ……中々の美しいフォームです」 観客席のその"技"を知る者は、そのフォームを見た瞬間にブラボーの狙いを理解した。 そして、次の瞬間――――。 フィールドに立つ選手、観客席の観客、実況席の実況は――唖然とした。
[580]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:08:42 ID:??? ブラボー「シルバースキンッ!」 ガチィッ…… ブラボー「……リバースッ!!!!!!」 ブォッ……グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!! 勇儀「な……!?」 文「にィ!?」 ブラボーはビクトリーノのパンサーファングを、そのまま綺麗に"打ち返した"。 ブロックにかけて非凡な才を持つブラボーの奥の手――「シルバースキン・リバース」。 それは俗に言うカウンターシュートと呼ばれるもので――。 しかし、まさか彼がそのような大技を使えると思っていないウルグアイの面々は呆気に取られながらそのボールを視線で追う。 ビクトリーノ「う……う、うそだろぉ!?」 リラダン「あ、ああ……」 バージェス「な、なんで……」 破壊力は無い、が……驚異的なスピードでウルグアイゴールへと戻されるボール。 これを止める事はウルグアイJrユースDF陣には出来ず、見送ってしまい……。 萃香「ば、馬鹿にすんじゃないよォッ!! そんなザコの撃ったシュートが……決まるかァァァアアアアアアアアアッ!!」 ゴバチィッ!! それでも萃香が意地を見せて辛うじてパンチングに成功をした。 彼女にとって幸いだったのは、ブラボーがゴール前からカウンターシュートをした事。 そして、シュートの元となったビクトリーノのパンサーファングが、然程強力なシュートと言えなかった事であろう。
[581]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:09:58 ID:??? だが、まだウルグアイのピンチは続いていた。 萃香が辛うじてゴールを守ったものの、それは本当に辛うじて――ボールは遠くに弾く事も出来ず、零れ球となったのだ。 それでも、本来ならばピンチではない。 低く守っていたフランスがこのボールをフォロー出来る筈もなかったのだから、DFがフォローしてクリアーすればいいだけの話だった。 ……本来ならば。 テンテンテン…… コロッ ボッシ「………………え?」 萃香「!?!?!???」 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!! ジョン「あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああっ!? なっ、なんという事でしょう!? ウ、ウルグアイ! 得点チャンスかと思われましたが……。 しかし、しかし! DFのブラボー選手がカウンターシュートでビクトリーノ選手のパンサーファングを跳ね返したァッ!! 萃香選手、懸命に弾きますが……尚もボールは1人ゴール前に残ったボッシ選手がフォロー!! まずい、まずいぞウルグアイ! ボッシ選手と萃香選手、一対一だァァァアアアッ!!!!」 そう、このボールをフォローしたのはフランスFWのボッシ。 点を決められなかった事で茫然とし、立ち尽くしていた男である。 そして、この試合、ここしかないという決定機を逃し続けた男でもある。 そんな彼に――この試合、最大のチャンスが舞い降りたのだ。 ドクンッ ドクンッ ボッシ「あ……あ……(お、俺にボールが……!? ど、どうしたら……!?)」 ピエール「ボッシ、打てェ!! 相手は体勢を崩している!! 今なら入る!!」 さとり「(いけない……まるでこちらの声が聞こえていない……)」 先ほどのシュートの失敗で、ボッシは既に平常心を失っていた。 もう自分にはゴールを決める事など出来ないと、マイナス方向で確信を抱いてしまっていた。
[582]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:11:19 ID:??? 萃香「くっ……ボールを……返してもらうぞ!」 ダッ!! これを見て、萃香は素早く飛び出した。 体勢を崩しながらもボッシに襲い掛かり、両手を伸ばしてボールを奪いに向かったのである。 ドクンッ ドクンッ ドクンッ ボッシ「(ま、マズイ! ボールを奪われる! やばい、やばい、やばい……!!)」 心拍数が上がり、呼吸が荒くなり、ボッシは思わず視線を萃香から外した。 それ程までに迫りくる萃香の迫力は恐ろしく……そして、己にかかるプレッシャーに耐えられなくなったのだ。 このままでは萃香にボールを奪われる。抜くなり、シュートを撃つなり、何かをしなければ駄目なのは明白。 それでもボッシは動けなかった。 ボッシ「(……あ?)」 その時、ボッシは不意に観客席に見覚えのある人物を見つけた。 特徴的な髪形に、怒りの形相――こちらに向けて大声で何かを言っている、その人物。 それが誰だか悟った瞬間、ボッシは目を丸くした。 ボッシ「(ナポレオン!?)」 よもやナポレオンが試合を観戦に来ていたとは知らなかったボッシはそれを見て思わず驚く。 だが、その驚きは次の瞬間に消え失せた。ナポレオンが何を言っているか、大歓声の中でもしっかりと聞き取れたからだ。 ナポレオン「撃てェ、ボッシ!! テメェはストライカーだろうが!!!」 ボッシ「……!!」
[583]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:12:59 ID:??? それは驚きでもなく、純粋な喜びだった。 ナポレオンにストライカーだと認めてもらえた――ボッシにとって、それは何よりもうれしい事実だった。 ボッシ「(ナポレオンが俺をストライカーだって言ってくれた……! そうだ……俺は……!!)」 シュッ! 萃香「!?」 ボッシ「へぼでもへっぽこでも……フランスJrユースのストライカーなんだァァァアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」 シュパァァァアアアアアアアアアアアアアアンッ!! 萃香「なっ……ばっ……!?」 ボッシの行動は速かった。自信を取戻し、己を取り戻したボッシは素早く右足を振りかぶった。 彼はここでドリブルで萃香を抜く事を考えず、シュートを撃つ事を選択したのだ。 ……それは萃香の裏を掻いた。ここまでボッシをシュートに関しては二流の選手と決めつけていた為、ドリブルで来ると踏んだからである。 だが、裏をかかれても、萃香が一対一で負ける事などそうざらにある事ではない。 しかし、この時は条件があまりにも悪かった。セービングに行った直後の萃香は、体勢もロクに整っていなかったのだ。 それに加えて、ボッシの放ったシュートはただのシュートではなかった。 萃香「(ふざけんじゃないよ……! なんで、私が……こんな奴に……!?)」 パサァッ……ピピィーッ!! 短い振り足から放たれたのは、彼の必殺シュート――サーブルノワールの動作を早くしたもの、クイックノワール。 威力やスピードはもともと無いそれは、改良をすれば短い振り足でも蹴る事が出来るシュートだったのだ。 小さく弧を描いたボールは、萃香の手を掻い潜ってゴールネットに突き刺さり、審判の笛が鳴り響く。 こうしてフランスFW、ボッシは今大会初ゴールを決めたのだった。 フランスJrユース 1−0 ウルグアイJrユース
[584]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:14:27 ID:??? ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!! ジョン「きっ、きっ……決まったァァァァァァアアアアアアアアアアアッ!! ゴール! ゴール! ゴォォォオオオオオオルッ!! 後半15分、ようやく……フランス、ようやく先取点を挙げたァァッ!! 決めたのはこの人! フランスのエースストライカー、ルイ=ナポレオン選手に追いつけ追い越せと頑張ってきたボッシ選手! その短い振り足からシュートを見事に決め、フランス、ウルグアイに勝ち越したァァァアアッ!!」 観客「ボッシ! ボッシ! ボッシ!!」「ボッシが活躍できるならアモロも……さとりんと交代させてみね?」 「あかん! それ負けフラグや!」「とにかくこれで1−0だ! このままいけばフランスの勝ちだぜ!!」 フランス待望の先取点が決まったとあって、観客席のフランスサポーターは大いに湧き上がる。 それはフィールドにいるフランス選手達も同様で、誰もがゴールを決めたボッシを囲み、祝福をしていた。 ジョルジュ「よくぞ決めた、ボッシ! 大陸一の一対一の上手さだ!!」 フェレーリ「素晴らしく速い振り足からのシュートだったな。 あの速さは見習わなければならん」 ボッシ「あ、ありがとうジョルジュ、フェレーリ……」 ピエール「ナイスシュートだ、ボッシ。 よくやってくれた! ブラボーも、見事なカウンターシュートだったぞ」 ボッシ「お……おう」 ブラボー「おお……ブラボー……」
[585]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:15:45 ID:??? ピエール「……だが、あえて苦言を言うなら、シュートに失敗をしたからといってあんなに茫然と立ち尽くすな。 今回はそれがいい方向に転がったが……あんな事が今後続くようでは話にならないぞ」 ボッシ「……ごめん、気を付けるよ」 こいし「まあまあ、堅い事はなしなし。 ボーちゃん、ナイスシュート! これで後は守り切れば私たちの勝ちだよ! それとも、またボーちゃんが1点決めて2点差にしちゃう?」 ルスト「そいつぁいいや! 2点差になれば明日の幻想郷戦の結果如何で1位突破も見えてくるぜ!」 0−0の時はまだ勝ちは見えてこなかった……だが、1−0になってようやくフランスにも勝ちが見えてきた。 試合の残り時間はあと30分程度……その間逃げ切る、或いは点差を突き離せば、勝利。 フランスJrユースメンバーの胸に、希望が灯りはじめていた。 ナポレオン「へっ……ま、あれくらい決めてくれなきゃ困るわな」 観客席では、ナポレオンがこの光景を見て鼻で笑いながら軽口をたたいていた。 ……先ほどまで懸命に声を張り上げてフィールドの仲間たちを応援していた姿がまるで嘘のような光景に。 周囲の観客たちはひそひそと二重人格者じゃないかと噂をしていた。
[586]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/26(土) 02:16:52 ID:??? さとり「(……素晴らしい。 これで1−0……このまま私が守り切れば、私たちの勝ち。 ですが……当然、星熊勇儀たちはこのまま終わらないでしょう)」 それらを離れた場所で見ていたさとりは、不意に視線をウルグアイメンバーへと向けた。 残り30分、楽に過ごさせてくれないだろうという事を彼女は既に察知していた。 勇儀「なんてぇザマだい、萃香。 あんなのに点決められるなんて」 萃香「……言い訳はしないさ。 悪いが2点取ってきてくれ、もう二度と点はやらん」 ウルグアイゴール前では、鬼の2人が話し合いをしていた。 口調は朗らかではあるが、両者ともに表情は険しい。 鬼としてのプライドが、あんな弱者にゴールを許したという事を許していないのである。 ビクトリーノ「……残り30分で2ゴール、か」 勇儀「……とりあえずキックオフと一緒に一気にいく。 構わんね、大将?」 ビクトリーノ「実力的にも、時間的にも……ついでにお前のシュートの特性的にも、文句はねぇよ。 撃っちまえ」 勇儀「おう、まずは1分経たずに同点にしてやる」 暗い表情のビクトリーノは頭をかきながらスコアボードと時計を見やり……勇儀にキックオフ早々のシュートの許可を出す。 それと同時に勇儀は右手に持った杯をぶん、と横に思い切り放り投げ……。 この杯は、ベンチの誰も座っていない一角にぴたりとすいつくように着地をする。 勇儀「フランスJrユースってトコはキャプテンとストライカー以外見るトコが無いチーム。 おまけにそこに派遣されたのは私らとは比べもんにならんくらいよわっちい地底の令嬢姉妹だ。 ……そんな連中に本気を出すのは大人げないかと思ったが……どうやら遠慮はいらんらしいね」 勇儀は遠く離れたフランスゴールからこちらを見つめるさとりを強く睨み返し、吼えた。 勇儀「本気になった鬼に……覚り妖怪程度が敵うか!」
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0ch BBS 2007-01-24