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【魔王の足音】幻想のポイズン55【天才の意地】
[652]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:30:30 ID:??? ジョン「さぁ〜、現在後半30分を過ぎた所! 残り時間は15分となりましたが……ウルグアイ、まだ諦めない! 右サイドハーフの文選手、またも右サイドを走りチャンスを作りに動きます!!」 シュタタタタタタッ! ジョルジュ「……やはり私の守備だけは大陸一でないので止められない」 文「(ここで負けたら優勝記事も書けませんし、何より鬼にどやされますからねぇ……。 しかし、こうやってサイドを駆け上がっても……)」 プレスをかけてきたジョルジュを軽くいなしながら、サイドを駆け上がりつつ中央に視線を向ける文。 先ほどから何度も何度もチャンスを作りかけているが……しかし、彼女のサイドアタックは得点には繋がっていなかった。 原因は勿論、このウルグアイの絶対的なエースストライカーである勇儀が2人の手によりマークをされている事。 シュート力は絶大ではあるものの、突破力・キープ力は一流とは呼べない勇儀。 彼女にタックルに秀でたドゴール、そして反則紛いの守備を見せるこいしをつけられ、 パスを何度通してもボールを持った瞬間に奪われ、即座にクリアーされ続けていたのである。 文「(このまま無策ではとてもじゃありませんが、同点どころか逆転も無理です。 地底の覚り妖怪には……私のドリブルゴールも通じない。 キャプテンさんのミドルシュートだって弾き返されてしまう。 どうすれば……?)」 ビクトリーノ「(アヤの奴、迷ってやがるな……くそっ、確かにここまで運べはするんだがその後が続かねェ! どうにかユウギにシュートを撃たせる事が出来ればいいんだが……! ん? ちょっと待てよ?)」 悩む文を見て、逆サイドを走るビクトリーノもまた顔を顰めながらどうやってフランスの壁をこじ開けたものかと思案をする。 悔しい事だが自分のパンサーファングは、何度撃ってもさとり相手にはゴールを決められないだろう。 それどころか、DFのブラボー、ルストに阻まれる可能性もある。 故に勇儀にボールを渡し、彼女に三歩必殺を撃たせるしかここからの逆転への道は無いと感じていた。 問題はそれをどうするか……二重のマークにあう星熊勇儀に、どうやってシュートを撃たせるか。 走りながらふと勇儀の方を向いたビクトリーノは……一つの作戦を思いついた。
[653]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:31:32 ID:??? ビクトリーノ「(……試してみる価値はあるか! どうせこのまま手を拱いていたら時間切れなんだ!)アヤ!!」 文「(あのサイン……もう一度勇儀様へのパス、ですか。 ……仕方ありませんねぇ!)勇儀様、お願いします!」 パシュッ!! 策を思いついてからのビクトリーノの行動は早かった。 まず彼はボールを持つ文に、再度勇儀にボールを渡すようにサインを送る。 これを受けた文は、またボールが取られるだけだろうと思いながらも指示には逆らわず勇儀へとパス。 このボールは勇儀に通り、その豊満な胸でワントラップをした勇儀はボールをキープしようとするが……。 ドゴール「ふんがあああああああああああああああっ!!!」 勇儀「ぐあああっ!?」 こいし「ドゴちゃんのタックルは無敵だよ〜! 鬼なんかが抜けるもんかぁ!」 しかし、これは当然のようにドゴールの力任せの豪快なスライディングタックルで奪われた。 その驚異的なパワーは勇儀すらも吹き飛ばし、ボールを持ったドゴールは素早くクリアーをしようとするのだが……。 シュンッ ビクトリーノ「やらせねぇよ!?」 ドゴール「むがっ……!?」 ビクトリーノ「おらっ、貰ったァ!!」 バシィッ!! なんと逆側のFWである筈のビクトリーノが、このドゴールのクリアーボールを素早くカットする。 元々特化型で集まったフランスJrユースは、得意な分野とそうでない分野ではっきりと分かれている。 ドゴールもまたその例に違わず、タックル以外の能力は水準以下。 そのドゴールのクリアーを、FWであるビクトリーノがカット出来たのは何ら不思議な事ではなかった。
[654]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:33:01 ID:??? ビクトリーノ「(よし、ここまでは上手くいった! 後は俺次第……!!)」 こいし「こ、このッ!! 最初っから鬼が突破出来ないのわかってわざと……!!」 ルスト「やーりゃがったなこんちくしょー!!」 しかし、このビクトリーノにもすぐプレスがかかる。 ドゴールと共にマークについていたこいし、守備全般で優れた能力を持つルスト。 彼らを抜かなければ、ビクトリーノの作戦は成功をした事にはならない。 ビクトリーノ「(……抜く! 俺のドリブルは……)」 こいし「!!」ガツッ ビクトリーノ「(こんな反則紛いのディフェンスなんかで……止まるもんじゃねェッ!!)」 ドガァッ!! こいし「うきゃあっ!?」 ルスト「や、やるじゃねぇか!」 審判に見えないように肘打ちをし体勢を崩そうとするこいしを、逆に弾き飛ばし。 更に前方から強烈なスライディングタックルを敢行するルストを真正面から吹き飛ばす。 フィジカル面で劣るこいしとルストを、ビクトリーノは強引なドリブルで抜き去ったのだ。 ビクトリーノ「(よし、後は……!)」 ピエール「そこまでだ!」 ビクトリーノ「!?」
[655]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:34:16 ID:??? ジョン「あ、あああっ!? これはビクトリーノ選手、素早く勇儀選手のフォローに走り。 こいし選手とルスト選手を吹き飛ばし、そのままゴールまで突き進もうとしますが……。 なんとフランスキャプテン、ピエール選手がここまで戻っていました!!」 ビクトリーノ「(嫌な時に……だがよ、簡単にはやらせねぇぜ!!)」 ピエール「(やはり追加点を取るのは厳しい……この1点は必ず死守してみせる!!)」 正面に回り込んだピエールを見るなり顔を顰めるビクトリーノ。 そして、ビクトリーノから視線を外さないようにしながら集中してディフェンスをするピエール。 フランスとウルグアイ、両チームのキャプテン同士の争い――。 この大一番で、この試合を運命づけるワンプレーがキャプテン同士の勝負となる。 ススッ ピエール「(右か? 左か? ……どちらにしても抜かせはせん!)」 ビクトリーノ「(ちっ、油断したらすぐに奪われる……! 隙も見せられねェ……! まだか……? まだ……)」 タタタッ ビクトリーノ「!!」 ピエール「(……動か、ない? このままではドゴールもこいしも起き上がる! 一体何を考えて……)」 さとり「ピエール君、違います! 彼は突破を狙っていない!! 彼が狙っているのは……」 ピエール「何!?」 ビクトリーノ「遅い! そりゃあっ――!!」 パシュッ!! さとり「パスです!!」
[656]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:35:26 ID:??? ここでピエールはこの試合で最大の誤解をしてしまった。 ビクトリーノが狙っていたのは、突破をし、ゴールに近づいてからのミドルシュートではなく。 自分が囮となり、ボールをキープしてからストライカーにボールを渡しゴールを奪ってもらうというもの。 これにいち早く気づけたのは最後方から敵の攻めを見ていたさとりだが、その察知も遅く。 ビクトリーノのパスは自分の本来いる場所――左側のストライカーがいるべき場所へと通る……が。 ピエール「通……さんッ!!」 チィッ!! ピエール「くそっ!」 これにピエールは強引に頭から飛びつき、ダイビングヘッドの形でクリアーをしようとした。 しかし、それはボールを掠らせ、僅かに軌道を逸らせるだけ……。 結果的にボールはビクトリーノがパス相手として選んだ選手が、予定していた場所僅か5cm前で受け取るという形となる。 とにもかくにも、こうしてビクトリーノの作戦は少々の誤算はあったが、見事に実った。 彼の意地と誇りが、フランスの堅固な防壁の第一陣を打ち破った。 残る問題は、パスを受け取った者が――この最高のチャンスをものに出来るか、否か。 パスッ 勇儀「………………」 さとり「………………!!」 ドゴールに吹き飛ばされると同時、ビクトリーノの意図を読み左側へと流れボールを待った星熊勇儀。 指示が遅れたが為にこの苦境を招いてしまった、古明地さとり。 両チームに派遣をされた選手同士が、今再び、睨みあった。 先ほどよりもより近い位置で。
[657]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:36:26 ID:??? 勇儀「(正直、気に入らん……! こんな私を見くびるような策を練った大将が……!!)」 一歩足を出し、踏みしめ、勇儀は前に進む。 彼女は憤慨していた。 自分を見くびるような策を考え、小細工とも言えるその策を弄したビクトリーノに対して。 勇儀「(だが、結局私は抜けなかった……! あのこいしも抜けず……あまつさえ、吹き飛ばされた! 力の勇儀ともあろうものが!!)」 二歩目を出し、更に勇儀は前に。 彼女は憤怒していた。 ビクトリーノにそのような策を考えさせてしまった、己の弱さに。 勇儀「(だから文句は言わん……! 与えられた機会をものにする事で……せめてもの贖罪とする!!)」 三歩目を出し、勇儀は前を向いた。 彼女はいつでも前だけを向いていた。 鬼としての誇り、矜持、プライドにかけても――このチャンスを、必ずやものにすると心に強く誓った。 前半戦、本気を出さなかった時にゴールを奪えず。後半、点を失った直後のシュートでも、ゴールを奪えず。 ここまでマークをつけられ抑え込まれた事に対して、彼女は強く自省をした。 自分本位である鬼がチームに対して申し訳ないという思いを抱くのは、実に珍しい事でもある。 それはそれだけこの勇儀がビクトリーノの事をそれなりに評価をしているという事の裏返し。 己もストライカーであるというのに、ここで勇儀に任せてくれたビクトリーノの信頼へ応えてみせるという意地。 勇儀「今度もこいつを……防げるかァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?!?!?!?」 グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
[658]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:37:27 ID:??? 勇儀「 四 天 王 奥 義 三 歩 必 殺 」
[659]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:38:28 ID:??? ヒュンッ!! ブラボー「シルバースキンッ!!」 ベルジェル「く、くそーっ!! キャラは立ってないけど、こんな所で失点してたまるかーっ!!」 勇儀が吼えると同時、遅れてブラボーとベルジェルはシュートコースを防ぎに向かった。 こいしとドゴールに勇儀を任せきりにしていた為にフォローが遅くなった彼らは、勇儀をフリーにさせてしまった。 その落とし前をつけるべく、なんとかブロックをしようとした。 バギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!! ブラボー「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」 ベルジェル「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああっ!?」 その思いは届かず、2人はまるで為すすべなく吹き飛ばされた。 ブロックに定評のあるブラボーですら何も出来ないまま、弾き飛ばされた。 そして、恐ろしい事に、どれだけ気合を入れてブロックに飛んでも……そのシュートの威力は少しも損なわれていなかった。 間違いなく今大会最高峰のストライカーである反町一樹の、オータムドライブ。 そのオータムドライブと、そのシュート自体の威力は然程差は無い。 だが、鬼の本気の力。 その鬼の力を最大限まで引き出せる、フリー状態から撃ったという事実。 2つの条件が重なり合い、距離という枷もなくなったそれは――。 もはやシュートという名の暴力だった。
[660]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:39:43 ID:??? (BGM:守護神-The guardian http://www.youtube.com/watch?v=Zt4ZdWBHcBo) この一瞬の出来事を見て、観客席にいる選手達は誰もが思った。 ヘルナンデス「(あれは取れない! あれは……取れないんだ!!)」 イタリアが誇るヨーロッパNo.1キーパー、ジノ=ヘルナンデス。 彼は実際にウルグアイと戦い、その勇儀のシュートにより2失点を喫していた。 ある意味ではこの中で一番勇儀の恐ろしさを知っている彼は、これは止められないと断定をした。 ミューラー「(こんなシュートが……あるというのか……!?)」 西ドイツの怪物キーパー、デューター=ミューラー。 彼は勇儀のこのシュートを見、思わず心が震えるのを自覚した。 野生の動物というのは本能的に強者という者を見極め、怯え、逃げる。それは自己防衛の為に備わった、動物の本能。 野性児と言って差し支えの無い経歴を持つ彼は、本能的にこのシュートを恐れた。 シュナイダー「(これが決まらない筈が無い……!)」 同じく西ドイツのストライカー、カール=ハインツ=シュナイダー。 彼はこのシュートを見た瞬間、確実にゴールを貫くと確信を持った。優れたストライカーは優れたストライカーを知る。 一目見ただけで、ドリブルやパスといった一連の動作――フリー状態でなければ撃てないというマイナス要素はあるものの。 このシュートだけは間違いなく大会屈指のものだと――星熊勇儀の実力は本物だと、シュナイダーは理解をした。 日向「(畜生……!)」 全日本のストライカー、日向小次郎。 彼はただただ歯噛みをし、悔しさを表に出さないように必死に耐えた。 猛虎と呼ばれる己が可愛く見える程に、星熊勇儀のシュートは破壊力も威力も上。 この大会が始まる前から――そして、始まってからも幾度となく己の地位を脅かし。 己の上を行くストライカーを見てきた彼は、もどかしい思いで吼えそうになるのを耐えていた。
[661]幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2011/11/28(月) 02:40:48 ID:??? 森崎「(超化すりゃあ……弾ける、か? ちっ、でたらめなシュートだ!)」 全日本の正ゴールキーパー、森崎有三。 彼は冷静にこのシュートを自分なら止められるかどうか判断しようとしていた。 そこに怖れは無かったが、出来るなら戦いたくない相手だという本音はあった。 早苗「(みらくるセービングでも弾ければいい方……超化出来れば……いや、それでも弾くのが……!!)」 幻想郷の正ゴールキーパー、東風谷早苗。 彼女は本当にこの勇儀がいるウルグアイを相手に、1失点で済んだのかと唖然としながら。 それでも冷静になろうと努めつつ、自分なら止められるかどうか判断しようとしていた。 ……しかし、何度シミュレートをしても、ガッチリキャッチをする構図はハッキリ浮かばなかった。 魔理沙「(……生まれ持った強靭なパワー、か)」 幻想郷のストライカー、霧雨魔理沙。 彼女は勇儀の右足を恨めしそうに眺めながら、懸命に頭を振った。 才能を微塵も持たない彼女は、テクニックではなく純粋なパワー勝負に逃げるしかなかった。 だが、それも鬼の力には到底敵うものではない事を改めて認識させられた。 ……新たな力を得たものの、それでも超人的な力というものに彼女は嫉妬をしていた。 反町「(これは入る……! 同点だ!!)」 幻想郷キャプテン、反町一樹。 彼もまた、このシュートをさとりは止められないと断定した。 フォームには癖がある、狙いは十分に定まっていない、ある意味、反町のシュートとは対極の存在の勇儀のシュート。 ……だが、勇儀のシュートにはそれを補ってあまりあるほどの破壊力があった。 これをさとりが弾けるビジョンを、反町はどうしてもイメージ出来なかった。 こうして観客席にいる者たちの十中八九は、ウルグアイの同点を予想した。 一部の例外を除いて。
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0ch BBS 2007-01-24