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【崩落のステージ】Another-C_9【 後篇 】
[326]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 18:44:13 ID:??? しかしアルシオンはジョアンの様子に構う事なく更に持論を展開させる。 アルシオン「考えても見て下さい、監督に教わったテクニックは素晴らしい物です。 各人は自分のポジションに必要な個人技を十ニ分に備えており… そして必要とあらば、フィールダー全員がチャンスメーク出来る突破力を持つ。 今更ドリブルよりも劣るパスワークだけで攻めるなど非効率…愚の骨頂ではないですか?」 ジョアン「………」 フィッツウォルタ「アルシオン、監督に対して口が余りに過ぎるんじゃないかっ!?」 シニョーリ「いやー、でもそうかもしんなくない? オレもドリブルで抜きまくった方が調ー子出るしさぁ。」 フィッツウォルタ「おっ…!」 クスタ「落ち着け、フィッツウォルタ・・・! それからシニョーリ、お前は少し黙っていろ。」 シニョーリ「むぐ・・・バタンキュー。」 ジョアンが黙って聞いている以上、選手達はその発言を最後まで聞かねばならなかったが・・・ フィッツウォルタは途中で我慢が出来なくなったのだろう、彼は途中で口を挟んだ。 内容について・・・はジョアンの領分というのもあろう、彼はその口の利き方に対して批判した。
[327]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 18:45:14 ID:??? しかしジョアンは反応せず黙りきった儘、シニョーリなどはアルシオンを是とするような茶々を入れる。 発現がズレているシニョーリにフィッツウォルタが頭を押さえて呆れている内に・・・ 彼の教育係(みたいな役回り)のクスタはシニョーリを畳んでしまう。 そしてアルシオンがその機を縫って再び発言を始め、フィッツウォルタはそれを止められない。 アルシオン「それにコーチ、彼等の中にオレを満足させるパスを出せる者… そしてオレの本気のパスに合わせられる者は一人も居ませんよ。 そんな関係でパスを交わし合うなど無意味です…オレは他者を信じない、期待しない。」 ジョアン「アルシオン…」 カルバリョ「ああんっ!?」 イスラス「…貴様……!」 グッ ディッテンベルガ「カルバリョ、イスラス! だがアルシオン、お前も何様のつもりだ!!」 いきり立つ選手とそれを止める選手。 当然ながら後者も落ち着いてなどいない。 だがアルシオンは腕のジェスチャーでそれを制し、最後の締めくくりまで一気に言ってのけた。 アルシオン「しかしこのチームは、各人が役割を果たせば最強のチーム。 彼等が自分の得意分野で全力を尽くすならば、オレは一定の信頼を置きますよ。 メンバーの一人一人が、他者に迷惑をかける事なく最強のパフォーマンスを見せる。 そうだ、それは敵がどんな戦術を見せてきてもチーム全員が個人技で叩き潰す… 監督、貴方が授けてくれた芸術的技術で叩き潰す…それがこのチームの正しい姿ですよ。」 全てを言い終えて、アルシオンはジョアンの方を強く見据えた。 カンピオーネ選手達の大半はジョアンの強い言葉を期待し待っていた。 ・・・が、ジョアンはその目を受け止める事が出来なかった。 若者の誤りを叱り、正しい道を示せば好いのに…それが出来なかった。 それほどに目の前の衝撃は大きく、アルシオンの存在がジョアンにとって重く重かった証明であった。
[328]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 18:47:34 ID:??? ジョアン「アルシオン・・・・・・・・・貴様・・・ わ・・・ワシに 背くと言うのか・・・・・・? アルシオン・・・お前が・・・・・・。」 アルシオン「背く…?」 ジョアンはまるで戯言の様な言葉を弱々しく吐いていた。 ピクリとアルシオンが肩を震わせ、頬も引き攣らせる。 そもそもジョアンが今日まで若く精悍を保ってこれたのは、その決意の強さゆえだった。 それが揺らぎ崩落しかけた今、彼は本来の冷静な思考も言葉遣いも失っていた。 表情も急に老けたようになり、私≠ニいう一人称も年相応にワシ≠ヨと変わったのだ。 だがアルシオンが気付いて反応したのはソコではない。 アルシオン「ふ……ふふ……。 そう…そうですよね貴方からしたら。 貴方は自分の理想とする最強のチームを作りたかっただけ…。 ああ…オレの力を利用して、理想となるチームを作りたかっただけなんだ。 ロベルト本郷への贖罪の為に、行き場のないオレを利用していただけなんだ。」 ジョアン「バ、バカな……そんなバカな事を…。」 そう言いながらも、ジョアンは反射でそれを否定する事が出来なかった。 ロベルトへの贖罪は、カンピオーネというチームを作るに当たって考えていない訳がなかったから…。 一人の個人技に任せるチームでなく、11人全員で闘うチームを作らなければならない。 選手を再起不能にさせる過ちを再び繰り返しはしないとロベルトに示す思い。 だがそれよりも原初に在った筈の、アルシオンに世界の舞台で再びサッカーをやらせたいという思い。 今のジョアンはどちらが先だったのか判らなかった、その思いに自信がなかった。 ジョアンにとってはどちらも非常に重要だった事である。 アルシオンを利用などと考えた事は無かったが、結果的に利用しているのではないかと 思い始めたら、それを切り捨てるように否定が出来なかった。
[329]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 18:49:00 ID:??? アルシオン「もうこれ以上は良いでしょう・・・。 オレの言いたい事はそれだけです、監督。 後半はドリブルでフィオレンティーナを攻めます。」 ジョアン「・・・・・・・・・。」 アルシオンの言葉は締め括られた。 それに対してジョアンは何も言い返せなかった。 フィッツウォルタ(ば、バカな・・・・・・こんな・・・) フィッツウォルタは信じられなかった。 目の前の光景が受け入れ難かった。 信頼と心強さの象徴、そして絶対的な返報対象であったコーチの弱々しい姿・・・。 アルシオンの実力は解る、確かに彼は大きな口を叩けるだけの物を持っている。 そして彼の考えるチーム像にも一定の理が無い訳ではない。 フィッツウォルタ(けれど・・・コーチ、貴方の目指すチームは比べ物にならない高みにあるんじゃないのですか? どうしてそれを言う事なく、アイツに好きな様に言わせているんです・・・!) ジョアンから何の否定もない事が、フィッツウォルタにとって最も大きなショックであった。
[330]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 18:51:06 ID:??? ディッテンベルガ「・・・話にならんな。 アルシオン、オレはお前の指示には従えん。」 イスラス「・・・クック・・・お前だけに格好良い真似させるかよ・・・っと言うべき所か・・・?」 ディッテンベルガ「ま、そうだな。」 アルシオン「ほう・・・?」 クスタ「・・・・・・。」 アルシオンとジョアンの間では、(選手達には理解できないが)話が済んだようである。 けれど選手達が一体となってアルシオンの言葉に従うかと言えば『No』。 戦術について通じているディッテンベルガとイスラスが先ず反対に名乗りを上げた。 そして他の選手に同意を呼びかけようと周囲を見渡すが・・・その機先を制する声が上がる。 ナムリス「ボクはアルシオンと同じ考えですよ。」 ディッテンベルガ「ユブンタイ・・・!」 イスラス「・・・フン・・・やりたければお前だけ付き合え、オレ達はベンチで見ている・・・・。」 ???「構わんよ。」 ディッテンベルガ「なっ?」 後方から声が聞こえ、一斉に振り向くと・・・ガチャリと控え室の扉が開いた。 そこに立っていたのは・・・
[331]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 18:54:12 ID:??? ナジーブ「フフッ・・・。」 フィッツウォルタ「ミルチビッチ・・・?」 ミルチビッチ「・・・・・・・・・」 そこに立っていたのは・・・フィッツウォルタにとってのASローマのチームメイト:ミルチビッチと、 カンピオーネのオーナーに当たるナジーブ・ユブンタイ、そして彼らの他に初めて目にする選手が2人・・・。 全員で4名がの人物が控え室へと入ってきたのだった。 急な乱入者に戸惑う選手達を他所に、先程の言葉の続きがオーナーの口から流され始めた。 ナジーブ「イスラスにディッテンベルガ、お前達2人は最初から後半の出番は無いからな。」 ディッテンベルガ「・・・どういう意味です?」 ナジーブ「言葉通りの意味だ。 全力を出せない選手、目が不自由な選手はカンピオーネに相応しくない。 何よりキャプテンの指示に従わないような輩はチームの足手まといなのだよ。」 イスラス「・・・・・・!」 ディッテンベルガ「我々2人が居ない方が強いチームになると?」 ナジーブ「当然だ・・・。 ここに居るミルチビッチ、オルミーガとサビチェビッチが居るからな。 判ったらベンチでカンピオーネの勝利を黙って見ている事だ。 ああ、ついでにヤベッチュも交代。 はい、それまーでーよ。」 ヤベッチュ「ええー、そりゃあないですわ! ちょっと待てコールですってw」 サビチェビッチ「フゥ・・・・・・・・。」
[332]森崎名無しさん:2011/12/12(月) 18:56:07 ID:??? さらば矢部ッチュ
[333]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 18:56:27 ID:??? ミルチビッチ「そうそう、右サイドバックだった奴・・・ああ、貴様だ。 後半はオレが右をやる、貴様は別なとこに就け。」 カルバリョ「あんっ・・・? 何様のつもりやおんどれ?」 オルミーガ「ピャタコーフ、後半はイスラスの位置に就けるか?」 ピャタコーフ「ああ・・・別に構わない。」 フィッツウォルタ「待った!!!!」 好き勝手に話が急転していく状況に、鋭く『待て』と一声かかった。 それを発したフィッツウォルタに向けて一斉に視線が注がれる。 ナジーブ「どうした?」 余裕の笑みを崩さずにナジーブがフィッツウォルタに問うた。 『言いたい事があれば言ってみろ』と、その顔は言っている。 フィッツウォルタ「何故・・・オーナーが試合に介入してくるんですか? 試合における采配は監督の物でしょう! アルシオン、本来キミの発言だって当然許される物ではない! おかしいんだろう! 選手はチームの為、監督の指示に従わなくてはならない! それが当たり前だ!!」
[334]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 19:01:31 ID:??? ナジーブ「フンッ、そんな事か・・・。」 フィッツウォルタ「そんな事だって!?」 真っ当過ぎるくらいのフィッツウォルタの言。 しかしオーナーは、まるでそれが取るに足らぬ事のように鼻で笑った。 ナジーブ「勘違いしているようだから今教えておこう。 諸君等に報酬は支払われるが、このチームは決してプロチームではない。 即ち通常の組織形態とは違ってな・・・采配も監督への全権委任ではないのだよ。」 フィッツウォルタ「なにぃっ!?」 ナジーブ「監督とキャプテン、そしてオーナーの三者による合議制・・・ そして今はオーナーとキャプテンの指示が一致している状況だ。」 『後は解るな?』という顔で見下ろしてくるナジーブ・ユブンタイ。 フィッツウォルタはこの発言に再び驚愕を覚えた、信じられなかった、馬鹿だと思った。 尊敬するコーチは、そこまで無条件にアルシオンの事を信じられたのである。 そしてアルシオンはその信頼を無条件に投げ捨てたのである。 ジョアンがかけてくれた信頼・・・フィッツウォルタは応えたい、恩返しをしたいと考えていた。 その心意気が前半、彼のプレイを驚くほど高度な物に押し上げていたのだが。 今のフィッツウォルタは、それを忘れたように愕然と立ち尽くしていた。
[335]アナカン ◆lphnIgLpHU :2011/12/12(月) 19:02:31 ID:??? 一旦ここまででござーーーっす もうちょっとで後半にーーーーー
[336]森崎名無しさん:2011/12/12(月) 19:26:40 ID:??? まあ、ゲーム性を考えるとフィオに新キーパーってのは実際ありえないのはわかってるんだ。 でもサブキーパーほしいんだ、ホントに…w それはそれとして矢部っちゅはもったいないのでどこか別のチームで出番希望w
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0ch BBS 2007-01-24