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【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】
[751]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:44:52 ID:??? 森崎「――って、一応驚いて見せたが、これで満足かァ!?」 浦辺「なにィ!?」 森崎は、すぐさま動揺を収めると鋭いパンチングを見舞、ボールを完全に弾き返した。 実況「防いだァ! 森崎くん、独特のホップ軌道で目を眩ます浦辺くんのシュートを、パンチングで呆気なくセービングぅ! やはり彼の守るゴールは堅いぞ! 流石は全国V2チームのキャプテンにして正GKだァ!」 南葛応援団「うおおおおおおおっ!」「流石は森崎だ! なんともないぜ!」「もっりさきっ! もっりさきっ!」 森崎「必殺技っぽかったから一応パンチしたが、キャッチでも良かったかもなァ?」 中山(……やはり簡単にはいかんな) 浦辺「グギギ、俺のブラックカイトをいとも簡単にだと!? だがっ! これで終わりじゃないぜ! ――中尾!」 中尾「おうっ!」 森崎が弾いたボールは、南葛陣内を転がっていたところを大友のFWがフォローする。 先んじて浦辺が南葛守備陣を引き付け、ドリブルで吹き飛ばしていた為、拾いに行けなかったのだ。 実況「しかし! ここは大友中が攻撃を続行! エース新田くんと要の中山くんを押さえた南葛ですが、その為か他は手薄! フリーになった他の選手が波状攻撃を続けます!」 中里(とはいえ、中山と新田の二枚看板を封じられた状態で、どう森崎を攻略するつもりでゴザルか? 拙者がこうしてマークしている以上、新田にボールは渡さんでゴザルよ) 新田「コイツ、足が速い!? 俺がマークを振り切れないなんて!(早過ぎるが、使うしかないか……)」 なかなか中里を振り切れないことに業を煮やした新田が、中尾にサインを送る。
[752]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:46:13 ID:??? 中尾「(『いつもより前に出せ』、か。少し早いが、そうだな……この分だと岸田さんのヘッドじゃ頼りないし)……オーケーっ!」 実況「大友中、ゴール前のスペースに入れて来たっ! これは新田くんにノートラップでダイレクトに決めさせる気か!? しかし、そのプレイは二年生にとって難易度が高過ぎるぞーっ!」 新田「パスを受けていたら、間に合わないんだ! でりゃ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」 中里「おおうっ!?(重りがあるとはいえ、拙者を振り切りに来た!? しかし――)」 切り返しで僅かに中里を突き放し、ボールを捉えに行く新田。だが、中里も然したるもの。すかさず追走してクリアーに行く。 森崎「おいおい、続けざまに攻め込まれ過ぎだろうが。しょうがねえ、ここは一旦キャッチしてこっちボールにするか!」 新田「(その余裕の面、すぐに凍りつかせてやるぜ!)ノートラップ・ランニングボレェエエエエ――ッ」 中里「く、クリアーっ!」 新田「――隼シュートだァ!!」 比良山(TV観戦中)「ほうっ! あの必殺シュートをボレーでか!」 猛烈な勢いで走り込み、それを殺さないまま全身のバネを活かしてボレーシュート。 追いすがった中里が僅かに触れたものの、ボールは猛スピードで南葛ゴールに飛来する。 だが、 大前(TV観戦中)「……けど、駄目だ」 森崎「(うおっ!? キャッチはキツイか!?)へっ! ちょっとはやるなァ!」 鋭く反応した森崎が、真正面でボールを掴みに行く。全力のセービングではない為、流石に球威を殺しきることは出来なかったが、 掌と手首を柔らかく使って軌道をそらし、ゴールポストに逃れる。
[753]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:47:16 ID:??? 実況「――が、駄目っ! 森崎くん、キャッチこそ敵いませんでしたが巧みに捌いてゴールを守る! 大友中、立て続けに大技を放ちますが先取点はならずっ!」 新田「くっ、惜しい! ポストだったか……」 初めて実戦でお披露目した新技が決まらなかったことに、苛立たしげに芝を叩く新田。 その様子を、憐憫の色を込めて中里がちらりと見る。 中里(ポスト『だった』のではなく『された』のでゴザルよ……認めるには、まだ若過ぎるか) 中山(本気を出すまでも無く、浦辺と新田の必殺技を立て続けに、か! 腕を上げたな! ……不謹慎だが、嬉しいぞ!) 翼(中山、早く動いて! お前からボール取ったら、ゴールまでそのまま行くから!) センター付近でその様子を眺めていた中山が、ゴクリと生唾を飲む。 テレビ画面の前の鳴紋中選手たちも、今の好セーブ劇には度肝を抜かれた。 輝林(TV観戦中)「新田くんの新技に、辛うじてとはいえ通常のキャッチのみで対応、ですか……」 渡会(TV観戦中)「憎々しいくらいに堅ェ……(俺だったら、早々にアサルトキャッチを出す羽目になってたぞ)」 末松(TV観戦中)「折角、ブロックに強いCBをひっぺがえしたチャンスだったのにな〜」 菱野(TV観戦中)「今の反応から必殺のセーブを出した際のセーブ力を算出しますと――(これは、イケますか?)」 比良山(TV観戦中)「これは大友中も、運良く取れても1点ということか。だが――」 大前(TV観戦中)「――ああ(森崎も強くなっているが、去年ほどの絶対的な差は感じない。お前もそう感じたか、比良山?)」 一方、試合の模様は――、
[754]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:48:23 ID:??? 小田「ナイッセーっ! 森崎! ……それっ!」 実況「こぼれ球は先程の接触から立ち直った小田くんがクリアーします。さあ、ここから南葛中の反撃です!」 小田が大きく前線に蹴り出したボールを、井沢がフォローする。 井沢「ナイスパス、小田!(翼は中山のマーク、翼は中山のマーク、翼は中山のマーク! つまり! この試合のゲームメイクは俺だァ!)」 実況「ボールを持ったのはもう一人の司令塔、井沢くん! 翼くんを守備に割いた今、彼が南葛の攻撃を組み立てます!」 井沢「試合が終わるころには……『もう一人の』なんて余計な肩書、降ろしてやるよ!」 岸田「させるか、井沢ァ! お前のやり口は小学校時代に、敵味方両方の視点でしっかりと――」 すかさず井沢から奪いにチェックに行った岸田。だが、井沢はそれを一顧だにせず、 井沢「……ん? 何か言ったか?」 ターン一つで、呆気なく置き去りにした。 岸田「――なにィ!?(しっかりと、把握したはずなのに!)」 実況「井沢くん、軽やかなステップで岸田くんを突き放したァ! 流石は小学生時代からの全国区プレイヤー! 『風のジャンパー』の異名を持つに相応しい、スピーディな突破です!」
[755]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:49:26 ID:??? 雪村(TV観戦中)「やるねえ、彼も。去年は長池さんに完全に押さえられていたけど……」 宇津木(TV観戦中)「だが、その経験が試合賢者の第一ぴを踏み出すリアルの苦しみの味。それを理解している雪村さんは格が違った」 達也(TV観戦中)「確かにかなり凄い突破力だけど……『風のジャンパー』?」 女性観客「きゃー♪ 井沢くん、かっこいー♪」「がんばってーっ♪」「いっざわくんっ♪ いっざわくんっ♪」 ボールを持って軽快に突き進む井沢の姿に、観客席からも黄色い声が飛ぶ。 だが、当の本人はそれを雑音と切って捨て、厳しい眼差しで相手ゴールを見据える。 井沢「……静かにしてくれっ、集中が乱れる! 俺は、この(翼がいない)隙に決めなきゃならないんだァ!」 ……女の色香には惑わされなくても、それ以上の雑念には支配はされていたが。 実況「井沢くん、エリアギリギリのところでシュートの構え! 今度は南葛が先程のお返しにゴールを狙うっ!」 西尾「井沢のミドルシュート!? なら、多分――」 一条「――分かってます! バナナシュートですね!」 井沢「読まれてる!? ……だがっ!」 相手の備えを承知で、ミドルレンジからのバナナシュートに行く。 翼への対抗心が、井沢にミドルシュートでの得点という拘りを植えつけていたのだ。 並のゴールキーパーならば、それでも問題無くゴールを上げられただろうが、 一条「……甘く見るなァ!」 井沢「なにィ!?」 大友中キーパー・一条は、鋭く反応してこれをパンチングする。
[756]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:50:33 ID:??? 実況「一条くん、防いだ! 彼もまた新田くんと共に南葛SC二連覇に貢献した守護神、やはりそこいらのキーパーとはモノが違う!」 一条「へへへ……この前の誰かさんと比べたら、同じ曲がるシュートでも雲泥の差だぜ!」 西尾「ナイスセーブ、一条!」 園村(TV観戦中)「うわ、今のバナナシュートに良く反応出来たなァ(俺だったら無理……ていうか、同い年なのに差がデカくね?)」 水守(TV観戦中)「彼もこの前の試合から腕を上げたみたいですね(とはいえ、比良山さんもあれから異常にシュート力が……)」 ボールは大友のDF平岡がフォローし、前線へクリアー。 前半数分で、試合は早くもカウンターの応酬の様相を呈していた。 大前(TV観戦中)「南葛の大空、大友の中山と、両チームともに司令塔を封じ合いながら試合が進んでいるな。 普通だったら、お互いに抱えている第二のキーマンとも言うべき井沢や浦辺たちの出来で、展開が変わるところ何だけど――」 菱野(TV観戦中)「――南葛には、ちょっと普通とは言いかねる方がお一人いますしね」 そう言った矢先だった。 中尾「よし、俺がフォローしたぞ! 新田、先に上がって今度こそ――」 新田「な、中尾さん! そっちに行ったぞーっ!」 中尾「――えっ?」 ボールを持った中尾が前を向いた瞬間、
[757]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:51:48 ID:??? 森崎「いつまでもチンタラとやっているんじゃねェ!」 中尾「うわああっ!?」 ゴール前を飛び出した森崎が、タックルでボールを奪う。 実況「なんと! 森崎くん、早くも自らが動いた! ゴールを離れてタックルでボールを奪います! そして十八番のオーバーラップ開始ィ!」 翼「なにィ!? も、森崎め、いきなり過ぎるだろっ!」 森崎(ふっ、中山ほどの相手ならば翼は密着してマークに専念せざるを得ない。つまり、俺が活躍する好機だ! 向こうの一条も悪いキーパーじゃないが、この俺ほどの硬さじゃねえ。ウチの攻撃力をそう何度も跳ね返せはしない! つまり――オーバーラップから俺が点を取ってもよし、アシストしてチームメイトに恩を売るもよしだァ!) 中山(想定よりも早く動いてきたな、森崎……だが、好都合だ!) やす子(TV観戦中)「噂をすればなんとやらね、菱野ちゃん」 達也(TV観戦中)「話にゃ聞いてたけど、やっぱ信じられねえ……序盤も序盤から、どうしてこんな博打を打つ気になるんだ!?」 渡会(TV観戦中)「目立ちたいから、じゃね?」 テレビを通して見ている鳴紋の面々も驚いたが、実際に試合会場にいるものたちは更に驚いた。 観客席では南葛応援団の面々が、泡を喰って叫び始める。 南葛応援団「も、森崎!? 早いよ! 早過ぎるよ!」「まだそんなに焦って出る時間帯じゃないだろー!?」
[758]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:52:56 ID:??? 高杉「ま、また危険なスタンドプレイしやがって、この野郎ーっ!」 滝「翼が中山と押さえ合っている今がチャンス、とか思ってるのかなー」 岩見「だとしても、もう少し俺たちにやらせてくれてからでも良かっただろうに」 石崎「きったねーぞ、森崎ィ!」 井沢「な、なんだっていい! もう一度俺に持ってこい、森崎!(翼が動けないのがチャンスなのは、俺も同じだ!)」 岸田(お、南葛の連中も予想より早いオーバーラップに驚いてるな?) 西尾(ということは――) 浦辺(ここで森崎から奪えればデカい。……イケるか?) 中山(無論だ。そろそろ試合から消えているのにも飽きていた頃さ) 味方にも動揺を強いる森崎のオーバーラップ。それに場内が混乱する中で、大友カルテットは冷静にアイコンタクトを交わす。 次の瞬間、 中山「……隙ありっ!」 翼「えっ!?」 動揺を突いて、中山が翼を引き離して森崎へと向かう。 実況「おっと、ここで動くのは中山くん! これまで翼くんに着かれて沈黙していた彼が、マークを振り切って森崎くんへと向かうぞ!」
[759]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:53:58 ID:??? 森崎「へぇ? お前自らが来てくれるかよ? ……面白ェ!」 かつては最も頼りとしたチームメイトだった男とのマッチアップ。 そのシチュエーションに、森崎の中で常の功名心とは別の何かに火が着いた。 この時ばかりは、打算に満ち溢れていた彼の内心も、原始的な闘争本能に支配される。……それが中山の付け目だった。 中山(俺との対決に燃えてくれるか、森崎? 嬉しいことだ。だが――) 一方の中山はそれに流されず、猛然と森崎に向かうふりをして密かに速度を調整。忍びよる仲間たちと呼吸を合わせる。 中山「――真っ向勝負は、またの機会だ! 今は確実にお前から奪う!」 森崎「っ!? なにィ!」 正面から中山がタックルを仕掛けてくる。同時に、側面から浦辺と岸田が迫り、西尾がバックパスを遮断する位置へ。 浦辺「お前と翼対策の大友カルテット四人がかりだ!」 岸田「ちょいとリスキーだが、ここでお前から奪って先制するぜ!」 西尾(スナイパーへ合図は……まだ早いか) 実況「い、いつの間に!? 大友中、四人がかりで森崎くんを囲む! CBの西尾くんまで上げての包囲網だ! 大友中、一か八かの賭けに来たか!?」 森崎「(中山に挑まれたら応じるだろうって、最初から読んでいたのか!?)ちっ、あこぎな真似をしやがって!」 浦辺「へっ、王者を気取るんだったら、あこぎな手の一つや二つ、跳ね返してみやがれっ!」 中山「そういうわけだ、悪いが頂くぞォ!」
[760]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:55:05 ID:??? 雪村(TV観戦中)「出た! 大友中の連携ディフェンス!」 比良山(TV観戦中)「一度は大前が破ったが、森崎に通じるか……?」 大前(TV観戦中)「中山も、あの練習試合以来ブランクを埋めようと必死だったはずだ。もしかしたら――」 固唾を飲んでこの攻防を見る者たちの前で、森崎は奮闘していた。 四人がかりで包囲された狭いスペースの中、あらん限りのフェイントを尽くして打開を試みる。 森崎(まずはタイミングをずらして、包囲に隙を作る!) 浦辺「し、シザースフェイント!?」 岸田「しまっ、ぎゃ、逆か!?」 森崎(次に、後ろでちょこまかする野郎を料理して、本命を相手取れる余地を作って――) 西尾「な、なんで後ろ向きに突っ込んでくるー!?(やばっ、バックチャージにならないようにしないと!)」 森崎「でもって、最後ォ! お前を抜いて終わりだ、中山ァーっ!」 中山「……させんっ!」 神がかったフェイントの応酬で大友カルテットのほとんどを攻略する森崎だったが、最後に立ちはだかった相手はそうもいかなかった。 横をすり抜けんとする森崎の足元を、中山の左足が微かに捉える。
[761]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/07(木) 19:56:06 ID:??? ――バチィ! 森崎「ぬお……っ!?」 中山「ぐゥ……っ!?」 そしてボールはこぼされた。 実況「な、なんという攻防! 森崎くん、あわや四人抜きというところでボールをこぼされた! GK離れした凄まじいドリブルテクニックです! しかし、この勝負は大友中の勝ちだ! 彼らは森崎くんを止めさえすれば、それでいい! 南葛ゴールはがら空きという無防備状態を晒しているぞォ!」 墨田(TV観戦中)「と、止めたァ!? あの、森崎の常識離れしたドリブルを!?」 若尾(TV観戦中)「お、大友中の大チャンスだぜ!?」 南葛応援団「ぎゃーっ!?」「や、やっちまいやがったァ!?」「だから! オーバーラップするなら状況読めよーっ!?」 大友応援団「チャンス! 千載一遇のチャンスだ!」「誰でもいいから、拾ってシュートしろォ!」「先取点、貰ったーっ!」 悲喜交々の声が上がる会場。喧騒に包まれた中、運命のボールを拾ったのは、 只見「な、ナイスディフェンス!」 大友中の只見だった。 実況「こぼれ球を押さえたのは大友中! 空っぽのゴールにボールを叩きこめば、それで彼らの先取点です! しかァし――!」
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0ch BBS 2007-01-24