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【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】
[808]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:12:09 ID:??? 比良山(TV観戦中)「そして向こうのゴール前はキーパー以外はそこそこ止まりの守備力しかないな。 それにしたって、渡会や森崎、若島津あたりとはまだ差があるレベルだ。一度は井沢のシュートを防いでいるが、同じことが何度出来るか」 輝林(TV観戦中)「この一点が、大友中のピーク……そういうことにもなりかねませんね」 ブラウン管の向こうには、予想外の展開に驚く観客たちと、ここぞとばかりに意気を上げる大友中応援団の姿があった。 しかし、それとは逆に鳴紋中では、既に南葛の勝利――それも圧勝を念頭に入れ始めていた。 ……その予想すら生ぬるい光景が、この直後に繰り広げられるのであるが。 … … … 実況「現在、前半11分といったところ! 大方の予想を覆し大友中が一点先制! 南葛中の全国V3に、県大会の時点で黄信号が灯るという事態となっております! しかし、南葛中選手たちに動揺の色は見えません! これは果たして王者の余裕か、それとも慢心か!?」 翼「そんなの、前者に決まっているだろう? ……滝、キックオフで俺に渡してくれ」 滝「え? ま、まあ良いけど(これくらいなら、別に良いよな)」 センターサークルに入った翼に対して、滝は素直に軽くボールを蹴り渡す。 派閥としては森崎派の彼であるが、別段翼に悪い印象を抱いているわけではない。 記録に数字が残りインパクトも大きいフィニッシュの段階と言う訳でもないので、軽い気持ちで素直に渡すのだった。 だが翼は、滝からボールを受け取るや否や、 翼「ありがとう、滝。それと――」 滝「へっ? えっ?」 翼「――まずは1アシスト、おめでとうっ!」 全力で、大友ゴールへと撃ち放った。
[809]森崎名無しさん:2012/06/08(金) 02:13:26 ID:??? キックオフだと……!
[810]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:13:27 ID:??? 実況「南葛中のキックオフで試合再――えええええっ!? つ、翼くん、キックオフでボールを受けるやいきなりシュートォ!?」 大前(TV観戦中)「な、なにィ!?」 雪村(TV観戦中)「き、キックオフシュートだってェ!?」 森崎「ば、馬鹿野郎ーっ!? いきなり何をしてやがるーっ!」 井沢「決まるわけないだろう!? 俺がシュートレンジに入ってから撃っても防がれたんだぞーっ!?」 TVの前の大前たちは目を剥いて驚いた。同じフィールドに立つ森崎たちは、目を吊り上げて叫んだ。 それでも彼らの受けた衝撃は、実際に撃たれた大友中の面々よりは小さかっただろう。 浦辺「な、なにしてやがんだ翼のヤツ!? 試合から消え気味な上に先制されてキレちまったのか!?」 新田「馬鹿なっ! こんな馬鹿げた真似をして、決まる訳が無い!」 中山「い、いやっ! ヤツのキック力とドライブシュートの威力ならば、まさかとは思うが! ……全力で止めろ、一条ぉーっ!」 一条「わ、分かってますよ中山さん! こんなものを決められたら、GKの名折れだァ!!」 指示に堪えると、一条は飛来するシュートに向けて拳を握って構えた。 一条(この高さ、上空から急降下するドライブシュートじゃない! だとしたら、止められる!) 大前(TV観戦中)「な、なんだこの嫌な予感は……? 大空が放ったこのシュートから感じる、胸騒ぎの様なものは一体……?」
[811]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:14:33 ID:??? 翼が放ったのは、ドライブシュート特有の高空に舞い上がる様な軌道ではなく、弾丸性の直進シュート。 その軌道に一条は安堵を覚えるが、同じドライブシュートの使い手である大前は、掌が汗ばむのを感じていた。 間違いなく、翼のフォームはドライブシュートと同じものであったはずだった。 そこから生じる違和感が、不安を生む。 そしてそれは、あっさりと現実のものとなる。 一条「大丈夫だ! このシュートは枠を外――」 安堵の息を吐いた一条の眼前、ゴールマウスを外した角度でボールが急激に斜めに落ちボールが地面を叩いたかと思うと、 一条「――……えっ?」 鋭く跳ね返ってサイドネットに突き刺さった。 この間、キーパー一条並びに大友中一同、一歩も動けず。 ――テン、テン、テン……っ。 ゴールの中でボールがバウンドする音が響く。 無論、そんな小さな音をテレビが拾うはずは無いのだが、大前ら鳴紋中の選手たちは、それをまるで直に耳にしたように聞いていた。 ――ピョロ、ピ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイィ! 審判が一度吹きそこなった笛を高らかに響かせるとともに、止まっていた時間が動き出す。 これは夢でも幻でも何でもない。現実で、たった今、起こっていることなのだと思い知らせる様に。 南葛中 1−1 大友中
[812]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:16:06 ID:??? 実況「ご、ゴォォォォォルっ! 南葛中・翼くん、センターサークル内からの無謀とも言えるロングシュートを、見事に成功させました! おそらくこれはドライブシュートの応用系! 回転を縦ではなく斜めに掛け、急激なイレギュラーバウンドを起こしたのでしょう! 奇跡の様なミラクルシュート……正しく『ミラクルドライブ』!」 菱野(TV観戦中)「み、ミラクル……」 大前(TV観戦中)「ドライブ……だと?」 南葛応援団「ミラクル……」「お、おおおお……!」「ミラクルドライブ!」「正に、奇跡のV3を成し遂げる翼の技だぜ!」 ――オォオオオオオオオオオオオオオォォォォォ!! 南葛応援団「……つーばーさっ! つーばーさっ!」「つーばーさっ! つーばーさァっ!」 観客「つーばーさっ! つーばーさっ!」「凄いぜ翼ーっ!!」 翼「奇跡、ね。四回に一度は出来ることなんだけど……そう考えるとちょっと大袈裟すぎないかな(ニコッ」 テレビに映った翼の表情は、何でも無いことをして必要以上に褒められた子どもの様な、照れの混じった笑顔。 それがまるで『これくらいは出来て当然だろう?』と語りかけている気がした。 森崎「な、何がミラクルだ。俺なら二回に一回は止められるぜ!」 石崎「やったーっ! 流石翼だ! 信じていたぜ俺は!」 高杉「これで同点だな(プクク、森崎の悔しそうな顔って言ったら、ないぜ! ざまぁ!)」 滝「ほ、本当に決まっちゃったよ、オイ……」 井沢「ふ、普通に撃って決まらなかった俺に当てつける様にしやがって! やっぱり気に入らねーっ!」
[813]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:17:10 ID:??? 早苗(アネゴ)「翼くん……(キュン)」 古尾谷監督「な、何が何だかわからんが良しっ!」 ゆかり「それでいいんですか、監督……」 山森(ベンチ)「や、やっぱりあの人は凄いな……同じMFとして憧れちゃうよ」 先制された直後に、この同点劇。南葛陣営はそれぞれ翼に向ける好悪の感情の差はあったが、概ねこの得点で意気を上げていた。 反面、決められた大友中は悲惨の一語である。 一条「あんな……あんな距離から、決められた? 一歩も動けないで、決められた?(ブツブツ」 吉川「い、一条? あまり気に病むなよ、な? 俺たちも動けなかったんだから」 川田「だ、大丈夫だって一条! あんなシュート、そう何度も何度も飛んで来やしないって!」 西尾(だ、駄目だァ! やっぱり翼は別格なんだァ!!) 新田「有り得ない……あんなロングシュートが、どうして決まるんだ!? い、いや! それより翼さんは、どうしてこんなことをした後にあんな穏やかなままでいられるんだ!? ま、まるでこれが大したことじゃないみたいに……そ、そんなことこそあって堪るかっ!」 失点を喫した一条を筆頭とした守備陣と、ストライカーとしての自信をより強烈な得点劇で粉砕された新田。 彼らは前半の半分にも満たない時間帯、そして同点というスコアにも関わらず、折れかけていた。
[814]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:18:20 ID:??? 中山(どう声を掛ければいい? ……こんなプレイを決められて、士気が崩壊したみんなに……何て言えばいいんだ!?) 中山も、言葉を失っていた。超人的な克己心で選手生命の危機からカムバックした彼も、中学三年生の少年である。 打ちひしがれた仲間たちを前に、掛ける言葉が見当たらなかった。 浦辺(……やられたっ!) デコー(持てる力の限りを尽くして奪った一点が、瞬く間に取り返される。これはキツイぞ浦辺。 この衝撃に打ちひしがれるチームメイトを、どう立ち直らせる?) 浦辺「そんなこと……俺が知りたいぜ……」 … … … そこからの試合展開は、正に一方的だった。 新田「と、とにかく勝ち越しの点を取るんだ……も、森崎からはゴールは奪え――」 森崎「おい、フリーで撃たせてやんな。 中山、西尾とのコンビ技以外なら、まず決まらないからよ(そっちできたとしても、今度は止めるがな)」 新田「な、なにィ!? 舐めやがっ――なにィ!?」 森崎からゴールを奪ったことをよすがに、辛うじて闘志を維持する新田。 しかし、完全フリーで売ったはずのシュートが、苦も無くセーブされたことによりカウンターの起点となる。 そして、
[815]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:19:31 ID:??? 来生「逃げていれば、奪われはしない!」 岸田「(ど、ドリブル上手ェ! 上達していたとは知っていたが!)き、来生の癖にィ!」 来生「抵抗するんじゃないよ! 行っちゃえよ!」 西尾「と、止められない!? い、一条ーっ!」 来生「まだ、抵抗するのならーっ!」 一条「う、うわーっ!?」 ――前半17分、来生の単独突破からの1対1で2−1に。南葛、早くも逆転。 来生「ハッハァ! 今日ハットトリックを予定している俺のーっ! ダイビングボレーだァ!」 一条「そう何度もやらせて堪るかーっ!」 来生「なにィ!?」 渾身のパンチングが、来生のダイビングボレーを撃ち返す。だが、それは完全には弾き切れず、 井沢「さっきバナナシュートを防いでくれたお返しだ! 喰らえ、低空5メートルダイビングヘッドをーっ!」 一条「ひ、ひいいいいっ!?」 ――前半21分、井沢が来生からのこぼれ球に鋭く反応してねじこみ3−1。
[816]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:20:39 ID:??? 滝「それじゃあ、もう1アシストくらい稼いでこようかね!」 浦辺「ぜぇ……ぜぇ……くそ、止められねェ! さ、最終ラインでなんとかしてくれー!」 一条「わ、分かりました……みんな! 井沢の動きに注意しろ! 去年、全国のVTRで観た! ヤツらにはコンビ技が――」 長野「――リフレクトボルトのことを言っているなら! 本来は俺と編み出した技だぞ!」 一条「し、しまっ――(え、エリア内で長身FWから目を離すなんて!)」 ――前半27分、長野のリフレクトボルトが追加点を奪い、4−1。 中山「……くそっ!(想定より、翼の動きが速い! そう何度もマークを振り切れないぞ!?)」 翼「悪いね、中山。監督からの指示は、君のマークなんだ(森崎の余計な入れ知恵の所為で、ね)」 ――この間、中山ほとんど動けず。前半序盤、翼を試合から消していたことへの強烈な意趣返しを受ける。 新田「こ、今度こそ! 隼ボレーだァ!! ――なにィ!?」 森崎「おうおう面喰っちゃって! そろそろ『なにィ!?』しかセリフが無くなってくるんじゃないか、お前!」 新田「はぁ……はぁ……そ、そんな……なんで……」 森崎「(中山さえいなけりゃ、所詮こんなもんか)……ほらよっ! 満足してねェで、もっと点を取って来い!」 浦辺「さ、させるかっ! ぜひっ……ぜひっ……げほげほっ!?(ど、どういうことだデコー!? いつもより、消耗が早いぞ!?)」 デコー(……気付いていないのか、浦辺。君の体力そのものが既に限界だ。これ以上は力を貸せんよ) ――前半ロスタイム2分、フルスロットルで稼動を続けていた新田と浦辺が、早くもスタミナ切れに追い込まれる。
[817]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:21:43 ID:??? 滝「前半最後に、もういっちょアシスト稼ぎたいな……お? あそこにいるのは――」 岩見「ふぅ……この試合、翼が守備に回っている所為か、俺がイマイチ輝けんな。だが、そう言う時にはこう動くっ!」 一条「い、岩見!? どうして岩見さんが、こんなところに!?」 岩見「もらったァ!」 ――前半ロスタイム3分、伏兵・岩見のゴールで5−1に。滝一、前半中に3アシストの記録達成。 ……翼のミラクルドライブによる同点から、僅か20分。試合は完全に南葛が制していた。それも大前が予想した以上の虐殺ペースで。 ――ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイっ! 実況「ぜ、前半終了! スコアは驚きの5−1! これは決して試合終了時点の物ではありません! 僅か30分とロスタイム3分! たったそれだけの時間で築いたスコアです! その差、気が付けば四点差ァ! 王者南葛、先制を奪われて逆鱗に触れたか!? この県大会全体を通しても異常なペースでゴール、ゴール、ゴールを積み重ねます!」 大前(TV観戦中)「こうなるとは思っていたが、やはり酷いな……」 比良山(TV観戦中)「ああ、見るに堪えん……」 国岡(TV観戦中)「お前らが言うな」 渡会(TV観戦中)「珍しく国岡と意見が合ったな……今までの試合のこと思い出せよお前ら」 若尾(TV観戦中)「こ、このまま行ったら、10点くらい取っちゃうんじゃないですか?」 やす子(TV観戦中)「いえ、まともな指導者なら無理はしない様にペースダウンを命じるはずよ。 やり過ぎて、本番の全国前に燃え尽きたりしないようにね。……それでも、七、八点くらいは奪いそうだけれど」
[818]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:23:09 ID:??? 達也(TV観戦中)「こ、これが絶対王者・南葛中の本気……去年の先輩方、こんなの相手によく3−2に押さえられましたね?」 本多(TV観戦中)「……いや、これも大空が中山を押さえているからこその結果だ。 もし中山がいなければ、ヤツを自重させる枷が無くなり、もっと酷いことになるだろうな」 雪村(TV観戦中)「実質、大空が守備に徹している状態でこの攻撃力だよ。嫌になっちゃうよね」 水守(TV観戦中)「その上にまだ森崎さんがオーバーラップを一度しかして無かったり、中里さんの攻撃参加といった 武器も見せてませんよ」 宇津木(TV観戦中)「南葛強すぐる……機会があったらGMに提案して貰う。南 葛 の 大 弱 体 を な 」 菱野(TV観戦中)「お、大友中と比較して、チーム総合力とANSの効果がありますから、私たち鳴紋中なら、 南葛とも互角以上に渡り合えると思いますが……」 輝林(TV観戦中)「……こういう映像を見ると、その自信も揺らぎますね」 末松(TV観戦中)「て、輝林〜!? お前が深刻そうにモノ言うと、ホントっぽく聞こえるからやめて〜!!」 落田(TV観戦中)「ふっ。まさに俺たち鳴紋中と、この俺の伝説を築くための最大の敵だな。腕が鳴るぜ!」 かつて自分たちが大友中と戦った時以上に、ハイペースでスコアを積み上げる南葛中の姿に、部室内が騒然となる。 昨年の王者、南葛中――やはり強し。その印象に、誰もが浮足立っていた。 大前(TV観戦中)「どうする、みんな? ……まだ観るか?」 あえてこんな虐殺試合を観せ続けても、士気に響くばかりではないか。その思いが、大前にそんなことを言わせた。
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0ch BBS 2007-01-24