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【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】
[817]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:21:43 ID:??? 滝「前半最後に、もういっちょアシスト稼ぎたいな……お? あそこにいるのは――」 岩見「ふぅ……この試合、翼が守備に回っている所為か、俺がイマイチ輝けんな。だが、そう言う時にはこう動くっ!」 一条「い、岩見!? どうして岩見さんが、こんなところに!?」 岩見「もらったァ!」 ――前半ロスタイム3分、伏兵・岩見のゴールで5−1に。滝一、前半中に3アシストの記録達成。 ……翼のミラクルドライブによる同点から、僅か20分。試合は完全に南葛が制していた。それも大前が予想した以上の虐殺ペースで。 ――ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイっ! 実況「ぜ、前半終了! スコアは驚きの5−1! これは決して試合終了時点の物ではありません! 僅か30分とロスタイム3分! たったそれだけの時間で築いたスコアです! その差、気が付けば四点差ァ! 王者南葛、先制を奪われて逆鱗に触れたか!? この県大会全体を通しても異常なペースでゴール、ゴール、ゴールを積み重ねます!」 大前(TV観戦中)「こうなるとは思っていたが、やはり酷いな……」 比良山(TV観戦中)「ああ、見るに堪えん……」 国岡(TV観戦中)「お前らが言うな」 渡会(TV観戦中)「珍しく国岡と意見が合ったな……今までの試合のこと思い出せよお前ら」 若尾(TV観戦中)「こ、このまま行ったら、10点くらい取っちゃうんじゃないですか?」 やす子(TV観戦中)「いえ、まともな指導者なら無理はしない様にペースダウンを命じるはずよ。 やり過ぎて、本番の全国前に燃え尽きたりしないようにね。……それでも、七、八点くらいは奪いそうだけれど」
[818]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:23:09 ID:??? 達也(TV観戦中)「こ、これが絶対王者・南葛中の本気……去年の先輩方、こんなの相手によく3−2に押さえられましたね?」 本多(TV観戦中)「……いや、これも大空が中山を押さえているからこその結果だ。 もし中山がいなければ、ヤツを自重させる枷が無くなり、もっと酷いことになるだろうな」 雪村(TV観戦中)「実質、大空が守備に徹している状態でこの攻撃力だよ。嫌になっちゃうよね」 水守(TV観戦中)「その上にまだ森崎さんがオーバーラップを一度しかして無かったり、中里さんの攻撃参加といった 武器も見せてませんよ」 宇津木(TV観戦中)「南葛強すぐる……機会があったらGMに提案して貰う。南 葛 の 大 弱 体 を な 」 菱野(TV観戦中)「お、大友中と比較して、チーム総合力とANSの効果がありますから、私たち鳴紋中なら、 南葛とも互角以上に渡り合えると思いますが……」 輝林(TV観戦中)「……こういう映像を見ると、その自信も揺らぎますね」 末松(TV観戦中)「て、輝林〜!? お前が深刻そうにモノ言うと、ホントっぽく聞こえるからやめて〜!!」 落田(TV観戦中)「ふっ。まさに俺たち鳴紋中と、この俺の伝説を築くための最大の敵だな。腕が鳴るぜ!」 かつて自分たちが大友中と戦った時以上に、ハイペースでスコアを積み上げる南葛中の姿に、部室内が騒然となる。 昨年の王者、南葛中――やはり強し。その印象に、誰もが浮足立っていた。 大前(TV観戦中)「どうする、みんな? ……まだ観るか?」 あえてこんな虐殺試合を観せ続けても、士気に響くばかりではないか。その思いが、大前にそんなことを言わせた。
[819]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:24:29 ID:??? 雪村(TV観戦中)「……やめとく。僕ちょっとボール蹴ってくるね。なんだかそうしないと、落ち着けそうにないや」 宇津木(TV観戦中)「hai! 付き合うます!」 達也(TV観戦中)「俺も、練習再開したいかな……」 水守(TV観戦中)「僕はもうちょっと観ますよ。大友中、特に中山さんは、負けるにしても何か南葛に仕掛けると思うんです。 その時に、南葛攻略な新しいヒントが見つかるかも――」 本多(TV観戦中)「その望みは薄いが、な。だが、最後まで気を抜かないで情報を得るのも仕事の内か」 渡会(TV観戦中)「じゃあ俺は抜けるわけにはいかないか。もしかしたら大空の野郎、またなんちゃらドライブを撃つかもしれんし」 ……結局、部員の半分近くは練習を理由に席を立った。かつての敵手とはいえ、惨たらしい展開に観ていられない者も多かったのだろう。 残る数人は、砂漠で一粒の砂金を探す様な心地で南葛攻略の糸口を見つけようと、大前と共に部室に残った。 これから何を目にすることになるのか、知らないままに。 … … … 実況「――現在、後半22分。点差は……7−1で南葛がリードしております。 後半開始から翼くんがドライブシュートで2ゴール目、得意のオーバーヘッドでハットトリックとなる3ゴール目を決めましたが、 それ以降は両チームペースを落として低調な展開が続いています」 大前(TV観戦中)「結局、真新しい発見は無しか……まあ、南葛が嫌になるほど強いってのは改めて分かったけど」 菱野(TV観戦中)「昨年の主力が成熟しただけですのに、ここまでパワーアップしているとは……やはり南葛は恐ろしいですわね」
[820]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:26:10 ID:??? 比良山(TV観戦中)「大友中の連中、全員フラフラだな……肉体的にも精神的にも限界だ」 水守(TV観戦中)「サッカーにコールドゲームが無いって、案外残酷なルールですよね……」 輝林(TV観戦中)「…………」 渡会(TV観戦中)「おーい、輝林。さっきから黙ってるけど、起きてるかー?」 輝林(TV観戦中)「……起きています。話題が、無いだけです」 本多(TV観戦中)「あの中山が、何度もマークを振り切られるとはな。大空翼、改めて恐ろしい男だ」 一方的な試合展開の続く中、大前はじっと一人の男の出番を待っていた。 中山政男。六月の試合の後に、南葛との戦いへの意気込みを語って見せた選手を。 大前(TV観戦中)(中山……さっき水守が言った通り、お前はこのままただ負ける様な男じゃないはずだ。 見せてくれ、お前がかつての仲間との戦いに掛ける意地を!) 祈る様な思いでTVに注視する大前。 その時、再び試合が動こうとしていた。 実況「大友中FW中尾くん、ボールキープを図りますが岩見くんにこぼされた! そしてボールは翼くんがフォロー!」 翼「まだまだ体力はあるし……4ゴール目、狙ってみようか!」 森崎「おい、翼ァ!! 監督からはペース落とせって言われてるだろうがァ!」 ボールを持った翼に背後から掛かる声は森崎の罵声だった。 この試合、得意のオーバーラップは実を結ばず、密かに燃えていた中山との対戦も不完全燃焼のまま相手チームを圧倒している。 その上に目障りに思っている翼がハットトリックの活躍である。苛立たないはずが無かった。
[821]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:28:12 ID:??? 翼(悔しいか、森崎? だろうね、あのあと好セーブを連発して新田をスタミナ切れに追いやったが、先制された汚点は消えない。 この上、また俺に活躍されれば腹も立つだろうさ。だが、俺だって苛立っているんだ。 ロベルトに捧げる全国V3の門出を汚されて、俺だってムカっ腹が立っている!) その苛立ちは、更なるゴールで癒す。翼はそんなことを思っていた。 ……相手という者がいる試合の中で、不遜な考えを抱いたことがいけなかったのか。 中山「ようやく、隙を見せたな!」 翼「!? な、中山……?」 猛然と、翼に襲い掛かる中山。そして繰り出されるのは、摩擦で芝が燃える様な激しいスライディングタックル。 中山「――侵掠すること、火の如しっ!」 翼「……ぐああああっ!?」 実況「つ、翼くんが吹っ飛んだー!? 中山くん、これまで試合から消え気味だった鬱憤を晴らすように、翼くんへタックル! 吹き飛ばしてボールを奪ったァ! 点差は絶望的ですが、せめてもの意地か!? この期に及んでも全力でのプレイです!」 大前(TV観戦中)「おお……! やりやがったよ、アイツ! あの大空を相手に、1対1で!」 石崎「つ、翼ーっ!? ……はっ!」 中山「よそ見をしている……場合か!?」 高杉「なにィ!?」 勝ちが決まった試合に緩んでいたところを、絶対的エースである翼が吹き飛ばされた。 その衝撃に呆然とする石崎らを中山は瞬く間に置き去りにする。 実況「そして石崎くんと高杉くんを速攻で突破します! や、やはり凄いぞこの選手は!」
[822]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:29:16 ID:??? 岸田「す、凄ェ!! な、中山が本気のプレイを見せ始めたぜ!」 浦辺「はぁ……はぁ……きゃ、キャプテンとして、情けないぜ……これ程の男を、あたら飼い殺しにしていたとはな……」 新田「ぜぇ……ぜぇ……い、行けーっ! 行って下さい、中山さん! 南葛に……俺たち大友中の意地を見せてやって下さいっ!」 中山「(みんな……すまない! こんな状況になるまで、思うように動けずにいて!)おうっ!!」 背後に掛かる声援に、目の端を光らせながら、中山は進む。 中里「ここから先には行かせ――」 中山「(そして、悪かったな森崎……)見くびるなよ、重りを付けたままでなど!」 中里「――なにィ!? 何故それを……し、しまっ!?」 そして隠していた秘密を暴かれた動揺を突き、中里をもいなした。 残るは―― 中山「(お前を……こんなにも燃えていたお前を、待たせてしまって!)……行くぞ、森崎ィ!!」 森崎「な、中山……お前ってヤツは……!」 実況「そして森崎くんと1対1にまで持ち込んだ! ま、まさか……このままゴールか!? 翼くんから奪ったボールで、 そのままゴールにまで突っ込んで行くのかァ!?」 ――最後の関門、森崎有三ただ一人。
[823]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:30:29 ID:??? 大前(TV観戦中)「……い、行けーっ!」 菱野(TV観戦中)「きゃっ!?」 大前(TV観戦中)「行っちまえ、中山! 決めちまえ! その瞬間の為に、お前はピッチに戻って来たんだろーっ!?」 その雄姿に、大前は我を忘れた。 勝敗は問う所ではない。試合の行方は既に決した。 だが、それが何なのだ。男が、戦いたい相手と思う存分戦う為に、人生を賭ける。 その崇高な行いを阻むものなど、何一つありはしない。 どんな状況であろうと、それをすることに何一つ変わりは無い。 やす子(TV観戦中)「男の子ねェ、大前くんも……(とはいえ、私も結構胸にキてるわァ……)」 比良山(TV観戦中)「俺だって、男ですよ! ……よし行け!」 本多(TV観戦中)「人生を賭するに値する大仕事だ! やってみせろーっ!」 渡会(TV観戦中)「悪いな森崎、俺もGKだけど、ここは断然中山を応援しちゃうぜ!」 大前に感化されてか、テレビに向かって吠える仲間たち。 聞こえるはずは無い。届くはずは無い。だが、声を上げずにはいられなかった。 中山と森崎の対決には、そうさせてしまう何かがあった。 画面の中で、森崎が吼えた。 森崎「……待ちかねたぜ、中山ァ! だが、俺に挑んでタダで済むと思うなよ!? ここを防いだら……そのボールは大友ゴールへ叩き返してやるぜ!」 中山「応っ! やってみろォ!!」 そして全ては対決の瞬間に収斂した。 ……無粋な横やりが入ったのは、その時だった。
[824]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:31:48 ID:??? … … … 西尾(あ、ああ……なんていうことだ……このまま試合が終わったら、あの日向に何をされるか――) かつては翼の信奉者だったが、家庭の貧しさという事情で大友中へと進学することを余儀なくされた西尾。 彼の家庭事情に目を付けた日向は、静岡における工作員として西尾を金で雇い、意のままに動く傀儡として来た。 莫大な報酬と引き換えに、日向の汚い工作の数々をこれまでこなしてきた西尾。 この県大会決勝は、その総仕上げとなる……はずだった。 与えられた役割は、南葛のキャプテンにして守りの主柱・森崎をフィールド上で仕留めること。 外部から雇ったスナイパーに指示を送り、あくまで試合中のアクシデントに見せかけて、屈辱のままに敗退させる。 その役目を、西尾は果たせずにした。 前半、森崎がオーバーラップした時、西尾は『これでボールを奪えば勝てる』と思ってしまった。 スナイパーと共同せずとも、大友中の力のみで勝てると欲が出てしまった。 その結果、合図を出すタイミングを見誤り……ずるずると、この敗勢である。 西尾(い、今更なにかしても、無駄なんだじゃあ――で、でも) このままでは、日向に用無しと見切りをつけられてしまう。 今からでも――せめて森崎を潰してしまえば、いくらか日向の心象は回復するのではないか? 西尾の悪癖である欲目が、この局面に至って再び顔を出す。 西尾(そ、そうだよ……今からでもやろう! 中山には悪いけど……いやアイツだって森崎に勝ちたいんだ……。 それをそっと手助けしてやるんだ。むしろ、良いことなんだよ。そ、そうなんだよ) 自分に言い訳しつつ、西尾はスナイパーの待機しているビルの方向へと向いた。 そして、
[825]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:33:01 ID:??? 西尾(も、もうやるしかない! 合図だスナイパー! ……『Do It!(やれっ!)』) その合図を送ってしまった。 … … … /三三三三三三三三三三三三三三ヾi /三三三/  ̄ "''=ニ 三三三>ヘ三| 三三三} -‐= -、 i , -、 Y 三三三〉 .. -=、__ l ー' _,、 iニ! / /⌒∨三/ ィ'´ ⌒ヽ:::::::::::`ヽj 〉;r‐::::::::ソヽ,|ニ! ー‐' ヽ|三/ ニニzッ三 く' ' ゞ三rッ_ニ' !ニ! 〈 ノ ソ|三| / ヽ ト |ニ! \ ,  ̄ - |三| / l l`ヽ lニ! \ ( ソ_|三| / ,, l | ヽ lニl ) ` ─ 、 ヽー'}三! _ , | lニ! _ ノ ___ ノ ト人/∧ ト '′ jレ' ( rー' イl ヘ ____ ,-、,--z__ / ソ ∧! ヘ\  ̄ ̄ ̄ "''=≡ニニニニニヨ ∧\ ヘ \ / l ヽ 仆 、 ________ ∧::::\ヘ \ i /:::::|/∧ / / /∧:::::::>-... _ ‐- __ /:::::::|//∧=/ / ////\::::::::::::::::::::≧z...., __//::::::::////// / 謎のスナイパー「合図……来たか」 静岡県大会決勝が行われているグラウンドから、500m程離れた建設途中のビル。その上層階に、男はいた。 スコープで確認した西尾の合図。それを受けてからの動きは迅速である。 瞬く間に愛銃を構え直して南葛ゴール前に照準を合わせ、標的の森崎を捉える。 後は中山との交錯の瞬間に、トリガーを絞ればそれでいい。
[826]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:34:12 ID:??? 謎のスナイパー「…………」 ライフルに装填されている弾頭は、毒入りの特殊弾。 人体に掠めれば傷口から侵入し、運動神経を瞬く間に麻痺させるという代物である。 スポーツの競技中に人知れず標的を妨害し、事故に見せかけて選手生命を断つには、打ってつけの弾だった。 500m離れた運動中の人間を、殺すことなく射抜く狙撃の腕があれば、の話だが。 謎のスナイパー「……問題は、無い」 男は自分の腕前に全幅の信頼を寄せていた。 己であれば、レース中のサラブレッドの馬具を狙撃し、事故に見せかけて葬る、といった所業も可能であると信じていた。 絶対的な自信。 だが、それが男の瑕疵となる。 男と容姿が瓜二つの同業者曰く。この家業に必要なのは、臆病さと運。腕前と言う者は二の次に過ぎない。 ……それを知らないまま、男は運命の引き金を引いた。
[827]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/08(金) 02:35:20 ID:??? … … … 森崎「……もらったァ!!」 中山「なにィっ!?」 中山がボディフェイントで森崎を惑わし、抜き去ろうとした瞬間、間一髪で森崎の両手がボールを押さえていた。 十人中九人が、中山が右を行くと判断する所で左に行く。 見事なフェイントであったが、不幸にもそれに掛からない十人目が、彼の敵手だったのである。 森崎「じゃあ宣言通りこのボールは……大友のゴールへお返しだぜ!」 中山「しまっ……だが――」 まだ試合は終わっていない。自分と森崎の勝負は、この一度だけではない。 その一念で森崎を追う中山。 だが、その瞬間、 ――ドキューン……っ。 何かが、中山の首筋を掠めた。
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0ch BBS 2007-01-24