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【行く者】キャプテンEDIT36【残る者】
[869]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 00:58:23 ID:??? 腹痛を常備している薬で軽減しつつ戦ってきた三杉だが、流石にもう限界だった。 元々、心臓病を抱えていた彼の身体は、それほど強くはない。 生来の持病に加えて、体調の悪化まで抱えていては、最早プレイしているだけで奇跡と言える域の状態なのだ。 三杉(行きたかったな……全国。もう一度、あの翼くんと森崎と、今度は万全の体調で、心行くまで勝負したかった。 そして、あの大前とも――) 後半戦から監督に無理を言って強行出場した三杉。 だが、彼は十五分足らずの出場時間で、勝負を諦めることを強いられてしまった。 自身の非才などではなく、残酷で狡猾な謀略によって。 ……あるいは、この謀略を看破することが出来なかったのが、彼の最大の責任だったかもしれない。 … … … 実況「あっと、ここで試合終了のフエです! 全体的に動きに精彩を欠いた、武蔵中学を10−0という大差で破って、 東邦学園が三年連続全国大会出場を決めました!!」 三杉「……僕が腹痛によって運命を左右されるというのは天命なのか……」 弥生「きゃ、キャプテン!(ど、どうしよう? 駆け寄るべきかな、でも、小学校時代の前科がある私が今行っちゃ――)」 腹を押さえながら、がっくりと膝を突く三杉。 それを存分に見届けて優越感を味わった日向は、意気揚々と控室へ引き上げていく。
[870]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 00:59:29 ID:??? 日向「プハーッ!運動の後のコーラはうめえなあ!!」 そして控室に入るなり、無理を言って備え付けさせた冷蔵庫からコーラを取り出し呷る。 その自堕落な姿に、反町が物言いたげな横目を送った。 反町(いや……日向さん後半バテちゃって全然動いてなかったじゃないですか……) 日向「それはそうと、目標は50−0だって言ったのに、あの武蔵から十しか取れないっておまえら一体やる気あるのか!? あ!? やる気のない奴はレギュラーから外すぞ!!」 反町(そうは言っても、期待の新戦力だった沢田が抜けて、あなたというお荷物を抱えた上での十点ですよ? サッカーは点が入り難いスポーツなんだし、むしろ褒められても良いくらいじゃあ……) 小池「反町、無視無視。まともに相手しても、ストレスが溜まるだけだぞ?(小声)」 今井「そうそう。コイツは威張り散らしたいだけなんだからさ(小声)」 若島津(……半端者どもめ。不満があるのなら、何故声を荒げない? どいつも小声で囁き交わすばかりで、反町に至っては言いたいことも言えずに俯くだけとは) 怒鳴り散らす日向。それに鬱屈とする選手たち。軽蔑したように鼻を鳴らす若島津。 十点差の大勝を得たチームのロッカールームとは思えない、異様な空気の悪さだった。 そこへ、 ??「……日向よ。しばらく見ないうちに、おまえ随分と肥えたな。……今のおまえは丸々と太った、豚の中の豚よ!!」 突如としてロッカールームに乱入した男が、日向の姿を見るなりそう一喝した。
[871]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:00:49 ID:??? 反町たち「「なにィ!?(金も権力もある日向を、面と向かって罵倒するとは何者!?)」」 日向「ぶひィ!?(ロッカールームに乱入者だと!? 警備は何をしていたっ!)」 若島津「日向さん、ぶひィは無いでしょう……」 と、ツッコむ若島津。いくら心酔しているとはいえ、この聞き苦しい反応はアウトらしい。 それはともかく、この中では一番冷静だった若島津は、気を取り直して侵入者に向き直った。 若島津「あなたは……吉良監督じゃないですか。お久しぶりですね」 吉良「ほう? 随分と落ち着いた対応じゃないか若島津。まあ、若いうちからコイツの下で色々あれば、図太くもなろうか……」 吉良、と呼ばれた男はくつくつと笑いを漏らした。その度に、酒臭い吐息が締め切った控室に漏れ出る。 吉良耕三。かつて日向や若島津、沢田や現・明和東の沢田らが所属した、明和FCの監督だった男。 嘘か真か、選手だった頃は海外から声も掛かり、日本人プロ第一号となる可能性もあったと言われる人物である。 日向「何しに来たんですかねェ、監督。確かにあんたは、俺たちの指導者だった。 だがそれは明和FC時代の話だ。今や俺は東邦のキャプテン兼監督……あんたの出る幕じゃあありませんよ」 かつての恩師の出現にも、日向はすげなく応対する。 今の日向は強くなる為に素直に吉良の言葉を聞いていた選手ではない。選手を駒の様に動かし、自分の欲求を満たすだけの黒幕だった。 だが、対する吉良もさしたるものだった。 吉良「キャプテン兼……『監督』のう……くくく。――おぬし、本当にその役割が楽しいのか?」 日向「っ! な、なにィ!?」 吉良の言葉に、日向は目を剥いた。あるいは出しぬけに控室に現れた時以上に驚いていた。
[872]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:02:07 ID:??? 吉良「あの三杉を相手に10−0という大勝。なのに満ちぬ。より巨大で圧倒的な勝利を求める。 それこそ貴様が満たされておらぬことの何よりの証拠よ。貴様は飢えているはずだ。渇いているはずだよ小次郎」 日向「う、ううっ……」 反町(おおっ!? 流石はかつての恩師! あの日向が反論できないでいる! こ、このままこの人を説き伏せて、東邦を健全なチームへと再生させて下さい、吉良とかいう人!) 今まで絶対的な君臨者として上にいた日向がやり込められている姿に、反町は希望を抱く。 しかし……きぼう、とは希(うす)い望みと書くものだった。 吉良「この試合、以前のお前であったなら……若島津などに任せず! 己の手で三杉を倒しに行ったはずだ!」 反町(いいぞ、いいぞ! 言ってやってください!) 吉良「……そして自ら! 三杉の病んだ心臓なりはらわたなりを、蹴り破っておったはずじゃ!」 反町(なにィ!?) 愕然とする反町。彼は見落としていた。今の日向を教育した指導者は他ならぬ吉良。 そんな男が、今更日向を真っ当な道に戻すはずなど、ありはしないのだと。 日向「お、俺……自らの手で、だと!?」 吉良「そうよ、小次郎! 貴様は座したまま差し出される勝利の果実を齧る様な、惰弱な王者などではないはずじゃ! むしろその逆! 自らの牙をもって弱肉を狩り、引き裂き、貪り尽くす強壮なる覇者であったはず! だから今の貴様は満ちぬのよっ! 本質に逆らっておるのだから! いくら勝てども、踏みにじれどもなァ!」
[873]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:03:39 ID:??? 若島津「ううっ!?(た、確かにっ! 今まで黙って従っていたが、確かにどこか違和感があった! 今の日向さんは、らしくないと!)」 小池(おい、何で『一理ある』みたいな顔してるんだよ若島津ゥ!?) 高島(どう考えても、今の日向以上のトンデモ理論だろォ!?) 若島津(そうだ……足りなかったんだ、失われていたんだ! 本来のこの人らしさというものが! 地位、財産、権力――子どもの頃に無かった全てを得た日向さんは、引き換えに最も大事なものを失っていた!) 吉良「……小次郎、おまえは富を手に入れた事によって成り上がったはいいが、昔のようなハングリー精神を失ってしまったようじゃな。 それに伴い、正面から正々堂々と敵を力で打ち倒す、そういった燃えるような闘争心も失い小賢しい裏工作で勝利を掴むような、 小物に成り下がってしまった」 日向「うっ……(何故、裏工作の事を!?)」 吉良「バレるに決まっているじゃろう、常識的に考えて」 今井(ですよねー) 小池(でも、このオッサンに常識とか言われたくないなァ) 動揺も露わな日向に、蒙を啓かれたと言わんばかりに震える若島津。 それを満足げに見やってから、吉良は笑う。
[874]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:04:48 ID:??? 吉良「このままでは、この若島津も旅に出たというタケシも、お前には付いて行けなくなるぞ? 何故なら――負けるからだ。一匹の狼に率いられれば羊の群れといえども奮闘するが、豚が頭では勝てる戦も取りこぼす。 去年、森崎や翼ではなく鳴紋中とかいう新参のチームに敗れたがその証よ。 タケシはいざしらず、若島津は本質的に誇り高き狼っ! このまま日本一に縁が無いままでは、貴様はいずれ見捨てられる!」 日向「わ、若島津が……っ!? 若島津が俺を見捨てるだとォ!?」 吉良「くくくっ……このまま三年連続、いや小学校時代から続けて四年連続で日本一を逃すようでは、な。 そうなりたくなかったら、ワシの元に来い。ワシは今、サッカー未開の地・沖縄で子ども相手のスクールを開いておる。 なかなか、かつてのお前の様な逸材には巡り会えなんでな、暇ならば売るほどある。 ……全国大会を前に、その弛んだ身体を鍛え直し――今一度己れの手で栄光を掴みたければ、いつでも来るが良い」 言うだけ言うと、吉良はクルリと背を向けて控室を後にする。 残された部員たちは、押し黙った日向と若島津を前に、気まずい空気を味わっていた。 日向「……若島津」 若島津「は、はいっ!」 日向「お前は、俺を……いや、いい」 何かを言い掛けて、手を振って遮る日向。彼もまた、吉良監督を追う様に控室を出る。 その瞬間、
[875]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:06:07 ID:??? 日向「沖縄、か……」 そう呟かれるのを、若島津のサイボーグ化によって強化された聴覚は、確かに捉えていた。 若島津(日向さん……っ! やはり、あなたはもう一度自分の手で戦うことを選ぶのですね!?) 日向(ジジイめ……俺の手駒に反抗心を抱かせる真似しやがって! 裏工作にも気付いているようだし、丁度いい! このままスナイパーと一緒に沖縄に乗り込んで、確実に口封じしてやるっ!) ……その言葉に込められていた真意は、大幅に取り違えていたのであるが。 こうして、日向小次郎は沖縄へと旅立った。 その後に彼が辿ることになる顛末については、読者諸兄が御存じのとおりである。 大前たち鳴紋中にとって、新たな……そして意外な強敵が、数年の月日を経てようやくその目を覚まそうとしていた。 猛虎という、凶悪な獣が――
[876]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:07:09 ID:??? 〜三年目8月〜 大前「……全員集合っ!」 キャプテン大前の号令とともに、鳴紋中サッカー部員全員が集合する。 時は八月、場所は鳴紋中グラウンド。全国大会に向けての最後の特訓の為に、メンバー全員が集まっていた。 大前「みんな、よく集まってくれた。先月の県大会、この前に観た南葛の試合。 色々と思うこともあるだろうが、今俺たちがしなくてはならないことは一つ! ……全国大会に向けて実力を養うことだ!」 比良山「確かに。あの南葛を相手にしようというからには、どれだけ腕を上げてもやり過ぎということはないな」 雪村(それどころか、県大会では金成一人に振り回され過ぎていた……今のままじゃ、絶対に駄目だ!) 渡会「ま、アレを観て今も太平楽でいられるヤツなんて、スタメンの中にはいないさ」 国岡(ベンチには……コイツがいたか) 落田「あっはっはー! ビビることないって! このスーパーウルトラエースの俺様がいれば、楽勝楽勝!」 国岡の冷たい視線にも気付かずに高笑いを上げる落田のことを、大前は気力を振り絞って意識の外に追い出す。 大前「……というわけだ。これが最後の全体特訓になる。みんな、心して掛かってくれ。 勿論、全国での大会中も折を見て特訓できるように取り計らうつもりだけど、だからといって貴重な機会を無駄にしない様に!」 達也「お、押忍っ!」
[877]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2012/06/09(土) 01:08:12 ID:QpXCmEXo 大前「と、いうわけで、まずは特訓開始の前に水守の報告を聞こうか。七月は……確か、達也と特訓をしたんだっけ」 水守「はい、そうです」 達也「……なら、家で俺に成果を聞けばよかったんじゃないかな」 比良山「悪いが、そう出来ない理由もあるのだ。システムだから、仕方ない」 達也「何なんですか、それ!?」 大前「……ともかく、報告を聞こう」 水守「あ、はい。それでですね――(この活動、これで最後なんだけど、こんな空気で良いんですか?)」 先着1名様で以下の文の『!』の後のスペースを消してカードを引いてください。 ★ファイナル水守報告→ !card=★ カードの絵柄で結果が変化します ダイヤ → 「二人で走り込みをしました!」 ハート → 「二人でせりあいを鍛えていました!」 スペード → 「達也くんがタックル、僕はドリブルを鍛えました!」 クラブ → 「達也くんがブロック、僕がシュートを練習しました!」 JOKER → 「監督に絡まれ、いえ、監督にみっちり鍛えられました!」
[878]森崎名無しさん:2012/06/09(土) 01:08:30 ID:??? ★ファイナル水守報告→ ハート9 =★
[879]森崎名無しさん:2012/06/09(土) 01:08:41 ID:??? ★ファイナル水守報告→ スペード9 =★ 走れオラーッ!
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0ch BBS 2007-01-24