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異邦人モリサキ
[347]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:23:04 ID:??? 『これでようやく一巡り、っと』 「もうすっかり夕暮れじゃねえか……くそう」 苦々しげに見上げた森崎の視線の先、夕陽は既に高い城壁の向こうである。 長い影に覆われた街並みは城西、フェンネル地区だった。 「毎日訓練所に通ってるんだし、まあ見慣れた景色といやあそうなんだが……。 この辺、北側にはホントに住宅街しかないのな」 『通り道にはシアターとか運動公園なんてのもあるじゃない』 普段の通勤路を思い出したのか、ピコが顎に手を当てながら言うのへ 森崎がため息混じりに答える。 「あれは城に近い方、こっからだと運河の向こうだろ」 『うーん、そだっけ?』 「いい加減なヤツだな……」 『ちょっと地図見せて? へぇ、南に下ると色々とレジャーもできるんだ』 森崎が一日握りしめていたせいですっかり皺だらけになった地図を覗き込むピコ。 追って目線を落とした森崎が、そこに並ぶ文字を見て奇妙な作り声を上げる。 「運河沿いの遊歩道にゴンドラ乗り場……ねえ。恋人たちの定番コースってわけだ」 『ひがみっぽい言い方だね』 「疲れてるんだよ……今日はえらく色々あったからな。 ただでさえ丸一日歩きどおしだったってのに」 ぐったりと肩を落として呟く森崎にピコがひらりと舞い降り、小さな手でぽふぽふとその背を叩く。 『まあまあ、あとはいつもの道を通って帰るだけだし、ね! どっかでちょっといいお酒でも呑んでこ!』 「はあ……そうすっか……」
[348]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:24:05 ID:??? ぼそりと漏らして歩き出す森崎の視界の端、家々の向こうには高い城壁が聳え立っている。 もう少し南下すれば、そこに大きな門が見えてくるはずだった。 「レッドゲート……か。」 『このドルファンの正門だよね』 「俺らがこの門から出るのは、いくさ場に向かうとき……さて、いつになるのかね。 来週か、来月か、それとも来年か……」 『……』 それきり何となく黙り込んだまま歩き続ける森崎の行く手に、やがて見えてきたのはセリナ運河だった。 ドルファン南部の港湾と北部の山林とを繋ぐ、かつて流通の大動脈として栄えた運河である。 茜色から群青に変わろうとする空を映すそのセリナ運河に架けられた橋を渡って、シーエアー地区と ドルファン地区の境に差し掛かろうかという辺りのこと。 「あの……すみません」 森崎の背にかけられる、か細い声があった。 「んあ?」 「あの……モリサキさん、ですよね?」 間抜けな声を上げながら振り返った森崎の目に映ったのは、夕闇に佇む一人の少女の姿である。 軍服を思わせる、しっかりと型取りされた濃紅色の上着にスコットランド風のチェック柄で織られたスカート。 胸元に咲く大きなリボンが、まだ子供らしさの抜けきらぬ少女を演出している。 フリルのあしらわれた白い肩掛けにかかる、長い栗色の髪がさらりと風になびくのを見て、 森崎がほんの数週間前の記憶を掘り起こす。
[349]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:25:06 ID:??? 「あー……っと、ソフィア……だったか?」 「はい……!」 森崎が名を呼んだ瞬間、不安げだった少女の表情に笑顔が浮かぶ。 春、雪の下から顔を出す小さな花のような笑みだった。 「ソフィア・ロベリンゲです。その節はお世話になりまして、ありがとうございました」 「いやいや、頭上げてくれよ」 深々と礼をするソフィアに、森崎が慌てたように言う。 その肩にちょこんと腰掛けたピコが、ニヤニヤと笑いながら茶化した。 『こんなとこ、人に見られたら通報されちゃうもんねえ。”傭兵、学生を恐喝!”なーんて』 「頼むから黙ってろ……」 「え!? す、すみません!」 苦虫を噛み潰したような顔で呟いた森崎の声が届いたのか、ソフィアが弾かれたように顔を上げると 更に深々と頭を下げる。 「あ、いや、あんたに言ったんじゃねえんだ。気にしないでくれ」 「は、はい……」 とりなす森崎にようやく向き直ったソフィアだったが、ちらりと森崎の顔を見ると俯いてしまう。 そんなソフィアの様子に、ピコが森崎の耳に向かって囁く。 『怖がられてるんじゃない? 目付きが悪いんだよ、キミは』 「……」
[350]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:26:07 ID:??? その手に乗るかとばかりに無視する森崎。 沈黙が続きを促していると思ったのか、ソフィアが俯いたまま言葉を繋ぐ。 「あの、すみません、宿舎に伺うと言っていたのに、ちょっとバタバタしてしまって……。 本当ならもっと早くお礼をしなければいけなかったんですけど……」 「いや、前にも言ったけどさ。お礼とかはいいって」 「そ、そんなわけにはいきません……!」 食い下がるソフィアに、森崎が小さくため息をつく。 以前にも感じたように、この少女は儚げな見た目に反して頑固なところがあるようだった。 「あんた、その制服は学生さんだろ?」 「え? ……あ、はい。学園に通っています。ドルファンでは国が授業料を出してくれるので……」 「公立学校ってやつか」 『そういえばドルファン文化部の意地がどーのこーのって、ヤング教官が言ってたね』 鬼の教練の合間に挟まれる雑談を思い出して言うピコに、森崎が頷く。 話題を逸らすにはうってつけだった。 「そういや、ドルファン学園があるのはフェンネルの東端……この近くだったよな」 「はい。この塀の向こうは、もう学園の敷地なんですよ」 傍らの、背丈よりも高い塀を見上げて言うソフィア。 「じゃ、帰り道ってわけか。……ん? 今日って安息日だよな」 「はい、そうですね」 事も無げに頷く。
[351]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/14(木) 01:29:05 ID:DUSQAIUU 「休みの日まで勉学かよ。学生ってのも大変だな」 「いえ、本当は学校もお休みなんですけど」 そこまでを言ったソフィアが、僅かに言い淀む。 「私はちょっと、家庭の事情で、欠席が多くて……」 「……」 すぐに続けたソフィアだったが、家庭の事情、と口にした瞬間の表情の陰りを、森崎は見逃さなかった。 *選択 A 「家庭の事情……?」 首を突っ込む。 B 「……」 無言を貫く。 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『6/14 21:00』です。 *** 長い一日もようやく終りが見えてきた、といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[352]雑魚モブ ◆.xniaLTHMk :2012/06/14(木) 06:35:08 ID:??? B 一日中色々な事件(?)に首を突っ込んできて、色々な人の事情に触れてきたが森崎にできたのは表面上解決だけで 問題の根本的解決にはつながらなかったので、今回は一歩離れた所から問題を観てみようと考えるから。
[353]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/06/14(木) 10:45:35 ID:??? A森崎を多少なりとも信頼してる女の子の悩みを聞いてあげるってのも年上の男の人の甲斐性だと思います。 それにこの森崎なら聞かずにはおれないでしょう。
[354]森崎名無しさん:2012/06/14(木) 15:06:05 ID:??? あ、よく見たらカード結果のダイヤの良さって三番目かよ 爺さんの判定はダイヤとクラブが一緒だが、内容が違う感じなのかと勘違いしてたぜ CP切った方が良かったかな
[355]森崎名無しさん:2012/06/14(木) 15:12:45 ID:??? もっとハードな判定が絶対あるからその時にリダイスしないとね。
[356]源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/14(木) 18:25:18 ID:??? A ソフィアが森崎にお礼を、と少し頑なになってるのも内心では「助けて欲しい」と思っているからかもしれない。 何をしてやれるかは分からないが、ただ話を聞いてあげるだけでも思いつめた表情を解してあげられるだろうか。
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0ch BBS 2007-01-24