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異邦人モリサキ
[413]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:42:55 ID:??? 華々しく並ぶ言葉の数々を聞いた森崎が、ボソリと漏らす。 「さしずめ老中の子……ってとこか。道理で偉そうなわけだ」 「ロージュー? 何だそれは」 「いや、こっちの話だ。続けてくれねえか」 呟きを耳にしたヤングが怪訝そうな顔をする。 森崎が小さく首を振って、先を促した。 「……まあ現当主といっても、聖騎士として名を馳せた奴の父親は既に他界しているから、 いま家を切り盛りしているのはその妻、つまりジョアンの母であるエリータス卿夫人だ。 女傑と呼ばれる方だが、ジョアンのことは猫っかわいがりしていたらしいな」 「カネもコネも使い放題ってわけだ」 「……」 無言のまま、ヤングは大きな傷痕の走る左の片眉だけを上げる。 それは森崎の言に対する、明快な肯定であった。 「そんなわけで、ジョアンという男は自由騎士どもの中心……ある意味では その象徴とも言える存在だ。わかったら訓練に戻れ」 「つまり、だ。大貴族サマのボンボンが、似たような脛かじりどもを集めて 七光りで騎士ごっこをしてるってことだろ」 「お前は……」 引き下がらない森崎に、ヤングが天を仰ぐ。
[414]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:47:13 ID:??? 「おっさん、連中には訓練の義務もないって言ったろ。 要は気が向いた時に集まっちゃあ、ああやって遊んでるだけ。 どうせこの後は汗を流してどこぞで盛大に宴でも開くんだろうな」 「……」 沈黙は、雄弁な肯定だっただろうか。 「ジョアンのヤツもあの中にいるのか?」 「どうだろうな。気紛れな男で、自由騎士たちの『訓練』に参加するかどうかも その日の気分次第と聞いている」 「……そうかい」 肩をすくめた森崎が、ふと銀の鎧の一団を見やる。 と、驚いたように声を上げた。 「ん? ……おいおい、何やってんだあの連中」 森崎の視線の先、一団は大きな円を描くように広がっている。 その円の中に進み出たのは二つの鎧姿である。 背丈よりも長い巨大なランスを下げた二人は、円の端と端で互いに向かい合うように ゆっくりと馬を回すと、静止する。 眉根を寄せる森崎の脇で、ヤングが唸るように言った。 「……あれはジョスト、だろう」 「はァ?」 耳慣れぬ単語を森崎が頭の中から探し出すまで、しばしの時間を要した。 「ジョスト……って、まさか馬上槍試合か!?」 「その通りだ」
[415]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:48:51 ID:??? ジョストとは、欧州で古くから行われていた騎士たちの遊興である。 集団戦ではなく、一騎討ちの形式で行われる試合をそう呼んだ。 しかし時代の流れとともに廃れ、どの国でも何十年も前に途絶えているような、 古典的な競技のはずであった。 「実際ンなことやってんの、初めて見たぜ……骨董品市場かよ」 「あれがこの国の、今の騎士の戦いだ。彼らは彼らなりに、本気で訓練をしているつもりだろう」 再び、静寂が降りた。 森崎がヤングの発した言葉の意味を咀嚼するのには、先ほどの倍以上の時間が必要だった。 「……嘘だろ」 ようやくにして絞り出したのは、そんな言葉である。 「なあ、おい、確認させてくれよ、ヤングのおっさん」 「何だ」 「この南欧じゃ、まだ百年戦争の続きをやってんのか」 「……」 「銃を使わねえとか、そういう段階じゃねえだろ、ありゃあ」 「……」 「矢と砲弾の雨が降ってパイクが押し寄せてくる中で、やあやあ我こそは、とでもやるつもりかよ」 「……彼らは、若い」 責めるような森崎の言葉に、沈黙を守っていたヤングがようやく口を開く。 「父祖の武勇伝と絵巻物でしか戦争を知らん世代だ」 「笑えねえ冗談だぜ」 皮肉げに言った森崎に、更に追い打ちをかけるようなヤングの言葉が続く。
[416]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:49:54 ID:??? 「だが俺たちはその絵巻物と轡を並べるのさ」 「なにィ!?」 驚愕する森崎に、ヤングが淡々と言葉を紡ぐ。 「ドルファン王都騎士団は俺たち傭兵大隊を覗いては全八大隊から構成されている」 俺たち、とヤングは言った。 傭兵大隊の長を兼任するとはいえ、彼は大尉の階級を持つれっきとした正規軍の軍人である。 そこに込められた感情は、森崎には分からない。 分からないがしかし、その立ち居地の一筋縄ではいかないことだけは、理解できた。 「一大隊の定数は平時230名。槍騎兵……つまり騎士が100名と、専任の砲兵が10名。 それから騎士たちの家から供出される従卒が120名。原則として連中の輜重はこの従卒が務める」 「従卒も編制に含めてんのかよ」 「……」 森崎がこぼすのを、ヤングは無視する。 「南欧ドルファンといやあ陸戦の雄、ってな評判も今は昔、か……で、戦時は」 「戦時定数は550名。平時編成に加え、徴募のパイク兵160名、弓兵160名が加わる」 「徴募ねえ……農民や狩人を召し上げるって話だろ」 苦々しげに、森崎。 「その通りだ。そこはどの国でも変わらんな」 「……」 「他所と違うところといえば、我らが誇り高きドルファン陸軍では大隊所属の正騎士の数を 大幅に水増ししていることくらいだ」 「なにィ!?」 驚愕は続く。
[417]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:51:12 ID:??? 「騎士の定数は100名と言ったな。だが実のところそれが正騎士だけで満たされたことは、 先のプロキア=ゲルタニア戦役以来、一度もない」 「……」 「現役で戦場を知る歴戦の騎士たちは年老い、騎士団を退いていく一方だ。 軍属を望まん自由騎士どもを数に組み入れて、ようやく誤魔化している。 ……今となっては、定数の約半分が自由騎士だ」 「ちょ、ちょっと待て」 開陳された事実を整理するように、森崎が言う。 「……つまり、この軍の主体である騎士団の、主戦力であるところの騎士は、 実はその半分が軍属ですらねえ、あの決闘ごっこどもってことか!?」 「どうだ、笑えるだろう」 「笑うしかねえよ!」 叫ぶように言った森崎が、口の端を上げて笑みの形を作る。 天を仰げば、漏れた嘆息が青空に登っていく。 「ハハ、とんでもねえ国に来ちまったのかも知れねえな、俺……」 「ぼやくな、それだけ貴様らにも勲功を上げる機会が多いということさ」 「生き残れりゃ、な……」 新緑の季節の日はまだ高く、森崎の目を焼く。 瞼を閉じた森崎が、やがてがっくりと肩を落としてヤングの方へと向き直る。
[418]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:52:39 ID:??? 「……はァ。ところでさっき、連中の輜重は従卒がやるって言ってたけどよ」 「ああ」 「肝心の、俺たちの補給は誰がやってくれるんだよ」 「それは御用の酒保商人が着いてくる。食料、武器防具の替えから博打、女まで何でもござれの一座だ。 ま、分かってるだろうが連中に嫌われるとしんどいぞ、上手く付き合えよ」 言ったヤングが、ぽんと森崎の肩を叩くと踵を返して歩いて行く。 話はこれで終わり、ということのようだった。 もう一度深く溜息をついた森崎の見やる先で、きらきらと輝く銀鎧が馬とともに駆けていく。 取り囲む人垣からは、楽しげな歓声が響いていた。 ******
[419]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:54:11 ID:??? 訓練ダイス ※訓練は前後半に分かれています。 ★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。 目標値【50】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。 大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。 ★ 前半(体術)1 !numnum + !numnum + !numnum = ★ 前半(体術)2 !numnum + !numnum + !numnum = ★ 後半(魅力)1 !numnum + !numnum + !numnum = ★ 後半(魅力)2 !numnum + !numnum + !numnum = ★ ******
[420]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/19(火) 03:55:13 ID:9bPY4BPI 今回は三つのスキル獲得チャンスがありますが、三つめは体術の結果次第……といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[421]◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:37:43 ID:??? 61 + 79 + 38 =
[422]◆9OlIjdgJmY :2012/06/19(火) 04:43:23 ID:??? 【数値加算】 EPを5消費して>>421の真ん中に+5します。 これで79+5=84で大成功になるのかな?
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0ch BBS 2007-01-24