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異邦人モリサキ
[506]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:54:10 ID:??? くるくるとした巻き毛に少し眼尻の垂れた、どちらかと言えば愛嬌のある顔立ち。 美人というには華が足りず、さりとて決して不細工でもない。 可愛らしくはあったがそれだけで、プリンセスラインを描く純白のドレスも 確かに花嫁衣裳としては相応しいものであるが、特段に高価そうなわけでも、 驚くような趣向を凝らしてあるわけでもないようだった。 手にしたブーケも、小さな花屋でも用意できそうな種類の大衆的な花を集めたもので、 その姿を何度も見直した森崎が、改めて唸る。 「……出番、間違えてねえか?」 『チャンピオン、のはず……だよね』 そんな森崎の目の前で、何の特徴もない女性は何の変哲もなく歩き、何気なく舞台の真ん中に立つと、 「今年こそ―――」 すう、と息を吸って。 「―――結ッッ婚!! してやるんだからああああああっっっ!!」 叫んだ。 瞬間、世界が変わる。
[507]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:55:11 ID:??? 「……ッ!?」 『な、何……? 何が起きてるの!?』 轟、と。 地を奔り、空を駆け、文字通りに轟いたそれは、原初の雄叫びであった。 平凡を絵に描いたような女は、そこにはいない。 そこに立つのは、女の生という死屍累々たるいくさ場に舞い降りた、女神である。 小さな花を寄せ集めただけのブーケはその女が持つとき、神話に謳われる宝剣もかくやと煌めいて 向い立つ者すべてをひれ伏させ、ありふれたデザインのウェディングドレスはその気迫に包まれる時、 星を散りばめたように光り輝く唯一無二の戦装束となるのであった。 「―――」 それは幻想。 それは錯覚。 一人の女の、妄執とも言うべき気迫が生み出した幻である。 しかしそれはまた、この会場のすべてが共有できるだけの実存の確かさを持った、幻であった。 幻想が光を生み、生まれた光が会場を覆い尽くしていく。 「こ、こりゃあ……!」 『何で……? 引き込まれる……!』 溢れる光が、森崎を包んでいく。 真白い光の中で、森崎は歓声をあげていた。 喉も嗄れよと叫ばれるそれは王者を称え、賛美する、咆哮だった。 スー・グラフトン! スー・グラフトン! スー・グラフトン! 俺達の花嫁――― ***
[508]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:56:12 ID:??? 「……」 『……あ、あれ……? ねえ、ちょっと、キミ!』 「……? ここ……どこだ……」 ピコの声で、気がついた。 慌てて見回せば、そこは元通りの会場である。 ぐったりと、力を使い果たしたように椅子に沈む男たちが目に入る。 森崎自身もひどい脱力感に襲われていたが、全身に鞭を入れるようにして身を起こした。 「……あの人、は……!?」 視線を向ける先には、しかし既に誰もいない。 がらんとした舞台は、まるで何事もなかったかのように変わらず存在している。 叩きに叩いた両手の赤さと痛み、質の悪い風邪でも引き込んだかのようにじんじんと痛む喉、 思う様に踏み鳴らしたせいで時折鈍痛を走らせる足、そういった肉体の感覚だけが、 先ほどまでの高揚感に浮かされたような光景が白昼夢でないことを森崎に教えていた。 「今の……何だったんだ?」 『わかんないけど……。チャンピオンって、すごいんだね……』 「そう……、だな……」 ぼそりと呟きあった森崎の目に、原色の黄色が映る。 舞台の端からよろよろと進み出る、司会の男であった。 どうやらこの男も王者の光に巻き込まれたらしい。 後退した生え際に浮かぶ脂が、午後の日差しにてらてらと輝いていた。
[509]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:58:38 ID:??? 「……も、もはや言うことなんざありゃしないッ! 絶対王者に死角なし! 今年もそのみなぎる気迫には更なる磨きがかけられていました! 皆様、スー・グラフトン嬢に今一度、盛大な拍手を!」 ぱち、ぱち、と。 会場のそこかしこから断続的な拍手が聞こえる。 男たちのほとんどすべてを吸い尽くした王者に贈られる、それは誇り高き凱旋の唄であった。 「……さあ、それではこのコンテストもいよいよ最後の出場者となりました!」 無理矢理に声を絞り出すようにして、司会の男が舞台の袖を指し示す。 「最後?」 『ってことは……』 「ようやく、出番か」 頷いた森崎の見つめる先、舞台袖の向こうに、少女が立っているはずだった。 「大トリを務めますのは……おおっと、この人はデータがないぞ!」 驚異の新星あらわる! 飛び入り参加で登場は―――」 ざわり、と会場が揺らめく。 予想外の煽りに、王者に奪われた熱気を僅かに取り戻した者たちがいたようだった。 「驚異の新星……」 『よく言うよね……』 司会の男の調子の良さにげんなりとした顔をする森崎。 無論のこと、壇上の男はそんなことを知る由もない。 「ソフィア・ロベリンゲ嬢だぁーッ! それでは! 張り切って、どうぞ!!」 「……」
[510]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 00:59:47 ID:??? 呼び込みの声に応じるように、袖から一歩を踏み出したのは、ソフィアである。 淡い黄色のドレスの、Aラインの裾がふわりと揺れた。 かつ、かつ、と。 不安定なヒールの音が、あまりにも露骨に緊張を物語っている。 「……っ、……」 途中、何度かバランスを崩しそうになりながら、どうにか舞台の中央へと歩み出るソフィア。 ペコリと、一礼。 強張った顔が、会場を見た。 「……っ!」 見て、固まる。 固まって、俯いた。 「……」 『うわあ……ちょっと、大丈夫……じゃなさそうだね』 少女は俯いたまま、彫像のように動かない。 握り締められた小さなブーケだけが、その持ち主が生きた人間であることを示すように ふるふると震えている。 栗色の髪をまとめ直した小さな銀の髪留めの、陽光を反射してきらりと光るのが、森崎の目に入った。 「―――」 ざわ、ざわと。 会場の空気が不穏な色を帯び始めようとした、その瞬間。 森崎が、思い切り息を吸って、叫んだ。 「―――頑張れ、ソフィア!」
[511]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 01:00:48 ID:xNFCHdok *チェック 全力で応援せよ! → !numnum ※ !と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。 出た数値によって結果が分岐します。 また今回は、森崎の応援効果に知名度が加算されます。 加算式は以下の通りです。 (評価*2+魅力/10) →「10*2+73/10」=27 応援値【1〜100】に知名度【27】を加算して出た数値が…… ・127〜80: 「……はい!」 森崎の応援に、ソフィアがしっかりと応える! ・79〜40: 「頑張れー!」「平常心ー!」 森崎の応援に触発されて、温かい応援の声が飛ぶ。ソフィアも勇気づけられたようだ。 ・39〜27: 「何だ、あいつ……」「空気読めよ……」 森崎に白い目が向けられる。ソフィアもすっかり落ち込んでしまっているようだ……。
[512]源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/28(木) 01:01:20 ID:??? 全力で応援せよ! → 98
[513]傍観者 ◆YtAW.M29KM :2012/06/28(木) 01:02:15 ID:??? EPやCPをつぎ込む気まんまんだったけど…お見事と言わざるをえない。
[514]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 01:22:25 ID:??? >>512 重要なポイントでの素晴らしい引き、ありがとうございました! 通常のEP1に加え、CP3を進呈いたします! *** わりと厳しい条件に設定したはずの5月イベントの成功が概ね確定! といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[515]源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/06/28(木) 01:38:34 ID:??? お疲れ様でした。 我ながら凄い引きだった。
[516]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:22:07 ID:??? *** ・127〜80: 「……はい!」 森崎の応援に、ソフィアがしっかりと応える! 森崎の声は、一筋の矢であった。 寸分の狂いもなく飛んだ矢は、過たずにその目指す的を射抜いていた。 貫かれて真っ二つに割れたのは、ソフィアを縛る心の枷である。 す、と顔を上げた少女の表情に、もはや怯懦の色はない。 「……皆さん、はじめまして。ソフィア・ロベリンゲと申します」 千の群衆、二千の視線を前に口を開いたソフィアが、深々と一礼する。 向き直るその手に握られたブーケも震えを収め、その純白を静かに午後の日差しに晒している。 「今日は、急にこんな舞台に立てることになって、すごく……すごく緊張しています。 ……でも」 一拍を置くソフィア。 ほんの僅か動かした視線の先に、森崎がいる。 「こんな私を、ここに立たせてくれた人がいました。それを、思い出せました」 絡み合うのは一瞬。 すぐに、その目は千の観客へと戻された。 「だから、私は私にできること、私のしたいと思うこと、しようと思います」
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0ch BBS 2007-01-24