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異邦人モリサキ
[595]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:25:19 ID:??? >>594 お見事です! ダイスロールは時の運、そうご遠慮なさらずズバッと引いてやって下さいw 成功→ 「ぐ、ぐぬぬ……」 相手はぐうの音も出ない。 ****** ※称号が『気のいい拳のネゴシエイター』になりました。 スキル『仲裁?』を獲得しました。 種別:パッシブ 消費ガッツ:- 効果:交渉判定時、+10の修正。モラル値が40以下のときには+20の修正となる。 この効果は同様のスキルと重複する。 ただしモラル値が80を超えるとき、このスキルは発動しない。 ******
[596]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:27:04 ID:??? 「ひぃ……っ」 森崎の鋭い眼差しに間近で睨まれ、思わず首を縦に振ってしまう男。 「なら、話は終わりだな。この場には何もなかった、問題も、諍いも、何にも、」 と、森崎が言いかけた、そのとき。 「―――!?」 太陽は燦々と照りつけている。 雲一つない空は初夏の色を隠すこともなく、風は火照った肌を癒すが如く、爽やかに吹いている。 だと、いうのに。 (な、何だ……この感じ!) すう、と。 その場を覆ったのは、鳥肌の立つような冷気である。 それは物理的な温度ではない。 ただの気配である。 しかし人の奥底、骨の髄と臓腑の中とを寒からしめる、怖気に満ちた気配であった。 反射的に顔を上げた森崎が、自由騎士の存在など忘れたように跳ね起きると、一歩を飛び退く。 「……」 広い野原に立ち、あるいは座り、あるいは倒れ伏したままの全員が、冷気に誘われるように振り返る、 その先には黒の一色があった。 蒼穹の下、陽光の白と大地の緑と土色の世界から抜け落ちたような、黒。
[597]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:28:06 ID:??? 「ジョアン……エリータス……!」 歩み来る男の名を、知らず呟いたのは森崎自身である。 人垣が割れる。 囲みが解ける。 男の纏う底知れぬものを、その場にいる誰もが肌で感じていた。 森崎の睨む前、まるで無人の野を征くが如く、騒動の中心まで悠然と歩を進めてきたジョアンが、 「やあ、マルセル。こんなところで、何をしているんだい」 と。 散歩の途中で見かけた友人に声をかけるように、微笑すら浮かべながら言った。 相好を崩したのは、倒れたままの鎧の男である。 ジョアンの差し伸べた手を握り、ようやく身を起こしながら口を開く。 「……じょ、ジョアン君! 良かった、助かった、聞いておくれよ! こいつら平民以下の外国人のくせに、俺のことを……」 「マルセル・ジョワンヴィル」 まくし立てようとした男の言葉が、ただの一言で遮られた。 名を呼んだだけの、声。 しかしその声音は、人の心胆を鷲掴みにするが如きものである。 マルセルと呼ばれた自由騎士の男が、凍りついたように固まる。 「もう一度聞くが―――こんなところで、何をしているんだい。 今日の大会で、一勝すらできなかった君が、こんなところで、何を?」
[598]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:29:26 ID:??? 手は、握られたままでいる。 男を見下ろしながら一節ごとに区切るように発音される、それはさながら罪の宣告である。 「そ、それ……、は……」 自由騎士が、炎天下に鎧までを着込んだ身でありながら蒼白な顔色でジョアンを見上げる。 今にもガタガタと震えだしそうな表情の自由騎士を、この場に現れたときから一寸たりとも変わらぬ 微笑を向けるジョアンが手を引き、立ち上がらせた。 一人では上体を起こすことも叶わぬ重量を片手で引き上げたジョアンが、懐から取り出した絹のハンカチで 自由騎士の鎧についた泥土を丁寧に落とすと、周囲を睥睨するように、口を開く。 「友人が大変な失礼をしたようだ。このジョアン・エリータスが深く詫びよう。 ―――が、それはそれとして、だ」 汚れたハンカチから手を離すジョアン。 地に落ちたハンカチが、風に吹かれて転がっていく。 「私の友人を傷つけた礼も、相応にさせてもらわねばなるまい。 ……相手は、誰かな」 微笑は、変わらぬ。 変わらぬまま、声は牙と爪とを帯びていた。 直立不動のままでいた自由騎士の男が、ジョアンの視線に促されて慌てて指さしたのは、 やはり森崎である。 ジョアンの氷青色の目が、その姿を認めた途端に蛇の如く細められていく。 「ほう……貴様か、東洋人」 「……悪縁も縁の内、か」 嫌な言葉だ、と吐き捨てた森崎の身に一切の油断はない。 抜刀こそしていないものの、利き手は剣の柄に置かれていつでも抜けるように構えている。
[599]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:30:41 ID:??? 「……」 「―――」 言葉が途切れる。 喉が、ひりつく。 じっとりした汗が森崎の背筋を垂れるのは、初夏の陽光のせいだけでは決してなかった。 絡む視線が、漆黒と氷青色とのせめぎ合いが、その中心点に何かを結晶させようとした、その寸前である。 「貴様ら、何を騒いでいる!!」 凍りついたような場を根こそぎ吹き飛ばすような、大音声。 走り来るヤング・マジョラムの姿は、この一連の騒動に強制的な幕引きをもたらす機械仕掛けの神である。 「……命冥加なことだな、東洋人」 つまらなそうに視線を外したジョアンが、呟くと踵を返す。 自由騎士の男がおろおろと周囲を見回し、それから慌てたように追いかけようとしたその歩みが、 三歩を歩いて止まった。 「……そうそう、貴様も顔くらいは見知っていたかな。私の婚約者―――ソフィアだが」 立ち止まったジョアンが、振り返らないままに言う。
[600]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:32:49 ID:??? 「この間、実に楽しい休日を過ごしたようだ。誰だか知らないが、感謝しなくてはならないな。 その親切な誰かのおかげで、」 と、たっぷりと間をとって、ジョアンが肩を震わせる。 「おかげで彼女を花嫁修業に入らせる、いい切っ掛けになったのだから。 良き安息の後には、より一層の勤勉を―――我がエリータスの家訓に相応しい女性だよ、ソフィアは!」 表情を見せぬその背には、しかし隠しようもなく明らかな、愉悦の二文字が浮かんでいる。 「今年中は我が屋敷から外に出ることもなかろうが……それほどの一日であったのなら、釣り合いもとれよう。 クク……ハハハ、ハハハハ!」 悦に入った笑い声は、いつまでも高らかに響いていた。 黒を纏うその背が見えなくなっても、森崎の耳朶にこびりつくように、いつまでも。 ******
[601]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 01:34:32 ID:??? といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。 選択まで届かず申し訳ありません。 次回は6月メインイベントからのスタートとなります。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[602]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:12:50 ID:??? ****** *D26.6 「気のいい拳のネゴシエイター」森崎有三 メインイベント 『ふたりはなかよし』
[603]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:13:57 ID:??? 毎朝そうしているように訓練所への道を行く森崎の耳に、毎朝のそれとは違う音が飛び込んできたのは、 朝の陽射しもうららかな初夏のある日のことである。 「ぃや……ぁ……!」 甲高い、ほとんど音と呼べるような悲鳴。 そして、それを掻き消すような猛烈な吠え声であった。 「何だァ!?」 『犬と……女のコ?』 慌てて角を曲がった森崎が見たのは、ピコの言葉通りの組み合わせ。 まだ幼いとすら言える年頃の、学園のものらしき制服を着た少女と、痩せ細り毛並みも乱れた野良犬である。 野良犬は何が気に障ったのか、明らかな敵意を剥き出しに吠え続けている。 吠え声とともに涎を撒き散らしながら少女を睨むその黄色く濁った眼光は凶悪で、 年端もいかぬ幼い少女を恐怖の底に叩きこむには十分な迫力を有していた。 「やぁ……い、やぁ……」 そんな野良犬に嵐のような咆哮を浴びせられる少女の顔色は蒼白である。 目にいっぱいの涙を溜め、すっかり怯えきった声を漏らすその様子はどこまでもか弱気で、 今にもへたり込んでしまいそうだった。 蜂蜜色のふわふわとした巻き毛が、ふるふると首が振られるのに合わせて、力なく揺れた。 「あー、こりゃあ……」 『ちょっと興奮しちゃってるねえ……あのコ、急に倒れたりしたらガブッといかれるんじゃないかな』 「他人事みたいに言うな……」 『他人事だからね。ま、どうするかはキミが決めることだよ』
[604]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/05(木) 12:15:24 ID:criY5V5E *選択 A 少女を助ける B 手をこまねく 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『7/5 23:30』です。 ****** 変則的な時間の更新ですが、一旦ここまでで失礼いたします。
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0ch BBS 2007-01-24