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異邦人モリサキ
[712]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:21:17 ID:??? べぇーっ、と可愛らしく舌を出して楽しげに笑うと、ロリィがレズリーの腕に飛びついた。 いまだ混乱の淵にあるレズリーは、わけもわからぬ内に引きずられていく。 「ああ、ま、行ってこい」 肩をすくめた森崎が、苦笑交じりに二人を送り出す。 怪しげな看板の下に垂れ下がった布をかき分けて中に入ろうとするその背を見守っていると、 「―――」 ふと、視線を感じた。 気付けばレズリーがテントの入口で振り返り、肩越しにこちらを見ているのだった。 「……ん? どうした」 「な……なんでもないよ!」 聞いた森崎に怒鳴り返すレズリーの表情は、推し量るのが難しい。 声音の通りに怒っているような、しかしどこか困ったような、そんな顔が見えたのは一瞬。 ぷい、と目を逸らすと、レズリーはすぐにテントの中へと入っていってしまう。 「……俺のような朴念仁が言うのもなんだがな、モリサキ」 と、背後。 すぐ近くの声は、いつの間に近づいてきたものか、トニーニョである。 「年端もいかない娘に、駆け引きを強いるな。戸惑っていただろう」 「そうか? 誰だってこういうのを越えて、いい女になっていくもんだと思うぜ、俺は」 「まったく、ネイのようなことを言うな……」 「それにまあ、」 腕組みをしたトニーニョが眉間に皺を寄せるのへ、森崎がどこかさばさばとした声音で、言う。
[713]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:22:22 ID:??? 「どうせ俺たちゃ、明日をも知れねえ傭兵だ。後腐れがなくって、練習台にはちょうどいいだろ」 「……」 「おっと、そう怖い顔すんなよ。俺だって死にたがりってわけじゃねえ」 「……」 「……」 ぎろりと横目で睨んだトニーニョの方を、森崎は見ようとしない。 ただ口の端を上げ、薄く笑った表情を作ったまま、遠い山肌に燃える炎の絵を見上げている。 そんな森崎の様子にしばらく厳しい顔をしていたトニーニョだったが、やがて大きなため息をついて 口を開いた。 「……なら、いいさ」 首を振ったその眼前で、ゆらりとテントの入り口にかけられた布が揺れる。 それを見た森崎は、空気を変えるように殊更明るい声を作るのだった。 「と、出てきたみてえだな。……おーい、どうだった?」 「うん! ロリィたち、すご〜く仲良しだねえ、って!」 呼びかけるや駆け寄ってきて言うロリィは満面の笑顔である。 一歩、二歩を遅れてロリィの後をついてくるレズリーにも、森崎が訊く。 「そうだったのか?」 「あ、ああ……大体そんな感じさ」 歯切れの悪い返事を返すレズリーの顔は、どこかぼんやりとしているように見えた。 「……そうか」 「ああ、そうさ」
[714]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:23:22 ID:??? 今度は何かを振り払うような、即答。 釈然としない森崎が尚も言い募ろうとすると、 「―――はて、そこのお主」 布の隙間から、嗄れた声がした。 声の主は、どうやらテントの中である。 「お主じゃ、外におられるお若いの」 「……お、俺か?」 思わず自分を指差す森崎。 一瞬トニーニョの方を見やり、その坊主頭が小さく頷くのを確認した森崎が軽く入り口の布を持ち上げると、 奥の暗がりには一人の老婆が座っている。 老婆の前には大きな水晶玉があるようだった。 「……お主、奇妙な相をしておるの。この婆の水晶が疼いておる。 このような相の持ち主を観たのは久方ぶりじゃ」 森崎はテントの中に踏み込んですらいない。 ただ声に誘われ、入り口の隙間から中を覗き込んだだけである。 しかし老婆はそんな森崎をちろりと目にするや、ぶつぶつと呟くように続けた。 「お主にはこの先、大いなる苦難と栄光が待っておるじゃろう……。 しかし差し当たり、行く手にあるのは―――」
[715]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:24:23 ID:u5bLKyww *ドロー 星の導き → !card ※ !と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。 結果によって展開が分岐します。 スペード:『幸運の星』来月から3ヶ月間、訓練効率アップ(目標値-20)。 ハート:『勤勉の星』合計二回分の訓練効率アップ(目標値-20)。 ダイヤ:『平穏の星』特になにもなし。 クラブ:『努力の星』来月の訓練効率ダウン(目標値+20)。 JOKER:『運命の星』一年間、全判定にプラス修正。ドロー一段階アップ。
[716]源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/17(火) 00:25:13 ID:??? 星の導き → クラブ9
[717]森崎名無しさん:2012/07/17(火) 00:25:37 ID:??? 星の導き → ダイヤ7
[718]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/07/17(火) 00:26:43 ID:??? 【リドロー】 星の導き → ダイヤK
[719]源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/07/17(火) 00:27:16 ID:??? 【リドロー】 星の導き → スペード5
[720]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:32:59 ID:??? ドローありがとうございます。 スペード確定でよろしいでしょうか。 *** スペード:『幸運の星』来月から3ヶ月間、訓練効率アップ(目標値-20)。 「喜ぶがいい、『幸運の星』が見えるぞ。……ああ、お代は結構じゃよ」 「そ、そうか。ありがとよ」 もごもごとそんなことを言う老婆を不気味に思った森崎が礼もそこそこに身を引くと、 そっと入り口の布を元通りに閉じる。 「待たせたな……って、おい!?」 振り返ると、少女たちの姿が見えない。 慌てて周囲を見回せば、トニーニョの姿もなかった。 「……お兄ちゃ〜ん!」 「ロリィか!?」 と、微かに聞こえる声に、森崎が目をやる。 すると遥か遠く、人ごみの向こうに見えたのは特徴的な坊主頭である。 「もう遅いから、ロリィたち帰るねえ〜!」 「なにィ!?」 声は、坊主頭のすぐ側から聞こえてくる。 トニーニョは堅実な仕事をしているようだった。
[721]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/17(火) 00:35:00 ID:??? 「待てって、おい!」 慌てて追いかける森崎。 結局、おそるべき乗車率の乗合馬車からサウスドルファン駅で少女二人を無事に下ろし、 それぞれの自宅近くに送り届けるまで、森崎たちの任務は続いたのであった。 *** 「子供は、元気だな」 「……ああ」 「恩があると思うなら、早めに返せよ」 「……任せとけ」 宿舎への帰り道、森崎の奢った温いワインを空けながらぼそりと言うトニーニョに、 森崎がどんよりとした声で返す。 ロリィの歳のことは、最後まで口にすることのない森崎だった。 『ふたりはなかよし』(了) .
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0ch BBS 2007-01-24