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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】
[114]◆9OlIjdgJmY :2012/11/19(月) 22:16:27 ID:??? A リンダに先行されるとスキル発動されるので、前半優先で。
[115]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:25:58 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>110の選択については…… >>114 ◆9OlIjdgJmY様のご回答を採用させていただきます! お三方とも納得の理由だったのですが、中でもまったくその通り、というシンプルなお答えでした。 リンダの現スキルは発動すると手がつけられなくなっていくタイプですからね。 CP3を進呈いたします。 >>112 はい、それもハンナのウィークポイントですからね。 ご覧のとおり圧倒的な実力差を徐々にスキルで埋めていくというのが基本線になりますので、 どの段階でどの長所を伸ばし、あるいは短所を潰していくかは思案のしどころです。 >>113 そうですね、スタートにはプラスのスキルがありますので、まずは離されずに食いつくことが重要です。 現時点で勝利するにはちょっとどころではない奇跡が必要になってしまうかもしれませんが、 ビジョンを持った成長計画があれば後々になって活きてくるでしょう。
[116]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:27:37 ID:??? *** A コーナーを抜けた瞬間の加速だ。 リンダの疾走をしっかりと瞼に焼き付けながら、森崎が最初に感じ取ったのはそれである。 無数の情報の中から最初に拾い上げられたものには、何らかの意味がある。 そう考える程度には、森崎は自身の嗅覚を信頼している。 (スタートから……第一コーナー。ここは、そうハンナと変わらねえ。問題は……) いま眼前に近づいてくる実際のリンダをしっかりと頭に納めながら、同時に森崎の瞳の奥では 記憶の中のリンダの走りが幾度も繰り返されている。 思考し、分析し、導いた回答を徹底的に反復して体に覚え込ませる、それは森崎がこれまで 自らに課してきた鍛錬の手法、ほとんど癖ともいえるような作業だった。 (そう、コーナーを抜けた後、そこから……) 地力の違いがあるとはいえ、カーブの処理自体は素人目にはそれほどの差異があるように思えない。 しかしその後の結果が、決定的に異なっている。 落とした速度を取り戻せないハンナと比べ、リンダはむしろ縮めた撥条を弾くように加速していく。 その差が、どこから生まれるのか。 (重ねろ……) 先月に見たハンナの走りと、まさにいま眼前に得たリンダの走り。 二つを記憶の中で近づけていく。 少女二人の躍動はやがて同じ色となり同じリズムとなり、近づいては遠ざかり、遠ざかっては近づいて、 交錯し行き違い、戻っては離れ、しかし次第にそれらの波は薄れていき、遂に重なったとき―――。 「……ここだ! この瞬間だ!」
[117]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:29:18 ID:??? 思わず声を上げた森崎を、隣のジーンがぎょっとしたように見やる。 気にしている暇はなかった。 掴んだはずのイメージは、しかしその刹那を頂点として霞のように消えていく。 そうなる前に、それらをかき集め具体化し、刻みつけなければならなかった。 「体重移動……ここ、この左足、それと連動して腰から前傾する……のか?」 「お、おい……?」 ぶつぶつと何事かを呟く森崎を、ジーンは不気味そうに見ていたが、声をかけても 無反応なことに呆れたのか、すぐに何も言わなくなった。 「ああ……ここの鍛え方が足りねえのか。だから、ハンナは……なるほど、そういう……」 「……」 「うん、そうだな間違いねえ。……よし、わかった! はは、畜生てこずらせやがって!」 「……何だか知らねえが、おめでとさん」 「ん? おお、ジーン。悪いな、聞いてなかった」 「だろうよ」 呆れたように言うジーンに、森崎は怪訝そうな顔を向けるのだった。 ****** 陸上スキル『バックストレート・アクセル』をストックします。 次回のコーチ機会にハンナがスキルを習得します。 効果:バックストレート1のダイスを20プラスする。 この効果は『逆境』と名のつくスキルの発動条件に影響を与えない。 ******
[118]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:30:20 ID:??? ****** 「……ところで、俺はどうやって帰りゃいいんだ」 「おう、そのことだがよ」 まるでリンダがゴールラインを越えるのを待っていたように、辺りを朱に包んでいた陽の欠片は 城壁の描く稜線の向こうへとすっかり消えてしまっている。 明かりもない屋外のこと、すぐ近くにいるはずのジーンの顔もよく見えない。 声だけが、無闇に明るく響いた。 「そもそも俺は、お嬢の迎えってことで車を回してたんだった。 ってわけで、帰りはお前のことは送れないぜ。悪く思うなよ」 「なにィ!? ってまあ、そらそうだろうな……悪くは思うけどな!」 どうせこんなことだろう、と予想はしていたものの、しかし実際に言われてみると秋の夜風は身に染みる。 渋面を作った森崎の背を、ジーンの掌がばしんと叩いた。 「ははは、んな顔すんなよ、色男!」 「見えてねえだろ!」 「だいたい分かるぜ」 「ああ、そうかい……」 不毛な会話を打ち切って踵を返そうとした森崎を、しかしジーンが腕を掴んで引き止める。 「まあ、待てって」 「……?」 「もう一台、うちらの馬車を回してある。ま、お嬢専用のこいつほどじゃねえが、 ザクロイドの御用車だ、乗り心地もなかなかだぜ」 「マジか……」 「大マジよ。しかも今度は御者台じゃなくて客席に座れるぜ」 ぽん、と叩かれた腕がじんわりと温かい。
[119]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:31:23 ID:??? 「お前が初めていい女に見えてきたよ……」 「そりゃどうも。って見えてねえだろ」 「見えてたら思わず求愛してたかもしれねえ。夜で良かったぜ」 「はは、地獄に堕ちやがれ」 軽快に言い合って、しかしふと森崎が首を捻る。 「……でもよ、よく考えたらこの事態そのものがお前のせいだよな」 「悪ぃ、悪ぃ」 言葉とは裏腹に、声音はどこまでも軽い。 にやりと口角を上げた表情までが闇の向こうにはっきりと見えるようだった。 「詫びってんじゃねえが、今日の晩メシ代はどこで食うにせよ、ザクロイドの厩務係にツケといて構わねえからよ」 「ぐ、それで水に流しちまいそうな自分が情けないぜ……」 『そうと決まればさっさと帰って、美味しいもの、食べよ』 「お前、タダ飯の話になったら出てくるのかよ!」 今までどこをふらついていたものか、唐突に頭上から声を降らせた相方に、森崎が思わず答えてしまう。 「……? ヘンなヤツだな……ま、いいや。車は向こう、話は通してあるからよ」 「あ、ああ……」 「じゃあな、縁があったらまた会おうぜ」 バツの悪さに口を濁した森崎を胡乱げに見ながら、しかし快活に言ってジーンはあっさりと去っていく。 本来の仕事、リンダの元へと戻るのだろう。 ため息を漏らせば、息は微かに白い。 決戦は、来月。 宵闇に沈む広い芝生はそのまま何かを暗示しているように思えて、森崎は振り払うように天を仰いだ。 輝きはじめた星の下、家路は、遠い。
[120]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:32:24 ID:??? 『才気』(了) ******
[121]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/20(火) 18:34:41 ID:No1EE1CQ *D26.11月 フレーバーテキスト *ドロー 今月の巻頭特集は → !card スペード・ハート・ダイヤ・クラブ→ 日常「悪代官とシベリア特使」 JOKER→ 事件「やみにうごめく・1」 ※ !と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。 ****** そしてようやくメインキャラが出揃う十一月(敵除く)、といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[122]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/11/20(火) 19:04:31 ID:??? 今月の巻頭特集は → ダイヤA
[123]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:46:42 ID:??? >>122 ドローありがとうございます。 ダイヤ→ 日常「悪代官とシベリア特使」 ****** ◎日常「悪代官とシベリア特使」 小鳥の囀りも爽やかな晩秋の朝。 日課の新聞に目を通す森崎が、見出しを声に出して読み上げる。 「輸出入顧問オーリマン卿、シベリアからの燐光石輸入拒否を明言……か。 この国、燐光石がえらい高いからな」 『そうだねえ……まあ、この宿舎では支給品だからあんまり関係ないけどね』 燐光石とは欧州全土で照明に使われている物質である。 化学反応により生じる独特の白色光は炎より格段に明るく、また熱をほとんど発しないため 富裕層から一般家庭まで、幅広く使われている生活必需品であった。 時間効率を考えれば蝋燭や油による照明よりも安価であることも普及の決め手となったが、 ここドルファンにおいてはそれらとほぼ同等の価格帯で高止まりしている。 「ま、この手の話はどっかの強欲商人が市場を独占してるってのがお定まりだけどな」 『ふうん……どこの強欲商人?』 「ザクロイド財閥」 何気なく口にする森崎に、ピコが目を丸くする。
[124]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:47:43 ID:??? 『ザクロイド……って、リンダのお家のザクロイド?』 「そのザクロイドだな。山師だったディムス・ザクロイドが鉱山で一発当てた成り上がりの新興財閥」 『そのディムスって人は、リンダの?』 「爺さんにあたる、らしいな。何年か前に死んでる」 『ふうん……』 それ以上踏み込むことを避けたのか、座っていた森崎の肩からふわりと浮いたピコが、 しかしにやりと笑って森崎の目の前で止まる。 『でもさ、ならそのお爺さんって、きっとこのナントカ卿とアレ、やってたんだろうね』 「ああ、アレな」 新聞から顔を上げてピコと目を見交わした森崎がにやりと笑い、せーの、の呼吸で口を開く。 「―――越後屋、そちも悪よのう」 『いえいえ、お代官様ほどではございませぬ』 ****** 数日後のことである。 やはり朝の日課として新聞を読んでいた森崎が、奇妙な唸り声を上げた。 「ふ〜む……」 『何なに、なにか面白いことでも載ってた?』 「この顔が面白そうに見えるのかよ、お前には」 眉根を寄せた森崎が新聞から顔を上げてピコを睨む。
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0ch BBS 2007-01-24