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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】
[126]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:49:50 ID:??? 『それで、どうなったの? シベリアっていうと……』 「お得意の軍隊チラつかせたゴリ押しは厳しいな。何せここは南欧の果てだ」 『じゃあ?』 「このドルファンの輸出入を仕切ってる顧問のオーリマン卿って貴族が特使と話し合った。 結果として、一旦は突っぱねたらしいな。……とはいえ、ここはマルタギニア貿易の中継で食ってる国だ。 お得意さんの意向を丸っきり無視するってわけにもいかねえんだろ。 石炭と鉄鉱石は自由化の方向、だとさ。そっちはあんまり俺らには関係ねえけどな」 『何いってんの。鉄が安くなったら武器の値段も下がるでしょ!』 「そこら辺はよ、カイルと陽子さんたちが考えることで……」 『キミ、隊長でしょ!』 「うへえ」 肩をすくめてみせる森崎を、小さな相方は憤懣やるかたない様子で睨んでいたが しばらくして無益を悟ったか、そよ風のようなため息をついて森崎の肩に戻る。 『……ところで、記事はそれで終わり?』 「どれどれ……いや、続きがあるな。シベリア側は返礼の一環として、文化交流を提案……? 来月にも国立サーカス団を派遣するとのこと、だとよ」 『アメとムチだね』 「ま、痛み分け、適当な落としどころってやつだな。シベリアの特使も流石といやあ流石だが、 このオーリマン卿ってのもなかなかの食わせもんみたいだぜ」 『それはだって、貿易で食べてる国の、その貿易の一番偉い人でしょ?』 「ま、確かにその位置にボンクラが置かれてるならこの国は終わりだわな」 うんうん、と頷くピコに、森崎が紙面の片隅を指さす。 「そういや、お前好みっぽい事件も載ってるぜ」 『何なに、えーと……”王女行方不明騒ぎ”? わ、ゴシップの予感!』 「楽しそうでよかったよ」 紙面に目を向けたまま、ひらひらと器用に飛び回るピコ。
[127]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:51:07 ID:??? 『でも残念、無事に見つかったみたい』 「残念てこたねえだろ……」 『この国のお姫様はかなり庶民派って話だけど、家の人に黙って買い物にでも行ったのかな?』 「んなわけあるか! そりゃ庶民派っつーかただの庶民だ」 『えー』 口を尖らせるピコを無視して、森崎は再び新聞に目を落とすのであった。 ******
[128]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:52:07 ID:??? *D26.11月 「親切な傭兵団のエース」森崎有三 訓練所イベント 「―――騎士団は王室会議に対し、ダナンへの第二次派兵を上申。 しかし王室会議側はこれを却下する方向のようです」 薄暗い部屋の中、淡々と続くのはカイルの定期報告である。 思案げにそれを聞く森崎の背後、窓の外には曇り空が広がっていた。 温もりの代わりにがたがたと風に震える音を伝えてくる窓を背に、森崎が腕を組む。 「先月ようやく再編が終わったばかりで、もう派兵ってか。そりゃ却下もされるだろうな」 「はい。ピクシス卿が先の戦いの折、騎士団の練度の低さが露呈したことを問題視しているようで、 当面は外交による折衝をヴァルファと続けていく方針のようです」 「エリータスは騎士団の意見を推さなかったのか? 騎士の取りまとめ役だろ」 エリータス、という名を口にするときの微かな苦味を噛み潰すようにしながら、森崎が尋ねる。 ドルファン西部の都市エローを所領とするエリータス家は代々部門の家柄である。 特に先代当主ラージン・エリータスは数十年空位であった聖騎士を叙勲するほどの英傑であった。 「エリータス卿夫人はピクシス卿に賛同の意を表したそうです」 「いつものこと……か」 「はい。騎士団の一部にはその件で不満の声も上がっている……模様ですが、これは ルーカス大佐の個人的な意見として扱うようにとのことです」 真面目な顔で書類に目を落としていたカイルの口元に、僅かに苦笑が浮かぶ。 「立ち回りの参考にしろってか……食えねえおっさんだよ、まったく。 ま、どの道俺らは決まったことに口を挟める立場じゃねえがな」 「……」
[129]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:53:08 ID:??? 森崎の軽口には無言を貫いた賢明なカイルが、はらりと書類をめくると 次の話題に移ろうとする。 「それと、もう一点―――」 と言いかけた、そのとき。 「―――邪魔するぞ」 静かな、しかし有無を言わせぬ圧力を持った声音と共に、無造作に扉が開かれた。 執務机に座る森崎の正面である。 「……何だ、お前ら。誰の許しがあってここまで入ってきた」 そこに立っていたのは、男が三人。 外套に脚絆、どちらかと言えば旅支度に近い軽装ではあるものの、剣を帯びた男たちである。 油断なく男たちを睨みながら、森崎は机の下に隠れた手で愛剣の柄を探ろうとする。 一瞬の緊張感を引き裂いたのは、カイルの高い声であった。 「あなた方は……! そんな、着任は来月という話で伺って、」 「……?」 それを聞いた森崎が、険しい顔の表面に疑念の色を浮かべる。 言葉通りに聞けば、カイルは闖入者たちを知っているらしい。 カイルにちらりと目をやって一歩進み出たのは、中央にいた男である。 「先乗りだ。部隊を預かる者として、現地の状況を確認しておくのは当然だからな」
[130]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:55:53 ID:??? 低く落ち着いた、しかし聞く者に奇妙に違和感を抱かせるような声音。 そしてまた穏やかという印象からは程遠い、それは男である。 浅黒い肌に、焼け焦げた薪のような巻き髪は西洋圏出身の特色だ。 精悍、と呼ぶに相応しい顔つきの中、異質なのは瞳である。 薄い灰色の瞳には、およそ揺らぎというものがない。 感情、衝動、意思、欲求、そういった人というものを構成する一切が、そこには存在しないように見えた。 精巧な硝子細工が眼窩に嵌っているような、そんな印象を与える目を正面から見据えながら 森崎が身振りでカイルに話を促す。 はっとしたように背筋を伸ばし、カイルが口を開いた。 どこまでも職務に忠実な青年である。 「……先ほど申し上げようとしていたのは、彼らの件です」 「……」 「ドルファン陸軍編成部はこの度、外国人傭兵大隊の増設を決定しました」 カイルの選んだその単語に、森崎が片眉をぴくりと上げる。 「増設……? 増員、じゃなくてか」 「申し遅れた」 カイルが何かを答えようとするより早く、正面の男が言う。 その声に、森崎はようやく違和感の正体を感じ取る。 眼前の男の言葉には、人としてあるべき感情が篭っていないのだ。 瞳と同じ、細工物から発せられる音の塊。 嵐の夜に風の鳴る、あるいは瀑布の落ちゆく怒涛のような、声ではなく音としか言えぬ、 そんな音がどうしてか意味を持ったが如き、それは言葉なのだった。 「ドルファン陸軍、外国人傭兵『第二』大隊長、カルロス・サンターナだ。 我が傭兵団三百名、十二月一日付の着任となる」 「第二、大隊……」 森崎の呟きを引き取るように、カイルが続ける。
[131]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 19:57:10 ID:??? 「はい、隊長。我々、第一次徴募による旧大隊は第一大隊と呼称が変更されます。 編成その他に変更はありません。詳しくは後ほど書面に目を通していただくつもりでしたが……」 「一足早くご挨拶に来ていただいたってわけか」 「……あァ?」 森崎の言葉に含まれた棘にいち早く反応したのは、正面の男ではない。 その向かって右後方、赤銅色の肌を持つ偉丈夫であった。 正面の男の瞳が硝子細工だとすれば、この男の目は飢えた獣のそれである。 混血なのか、薄い金色の髪を無造作に伸ばしたその下から睨みつける表情たるや 気の弱い者であればその場で卒倒しかねない、凶悪な代物であった。 そんな男が筋骨隆々たる肩を怒らせ、ずいと進み出て森崎を睨めつける。 「おう、東洋人。隊長だか何だか知らねえが、あんまりナメた口を利くんじゃあねえぞ」 「……」 「名高いヴァルファの将を討ち取ったとかいう面ァ、一応見に来てやったがよ……」 唸り声を上げる獣のような男が、牙を剥いた獣のような顔で笑った。 「ハン、何かの間違いだったんじゃねえのか?」 あからさまな侮蔑混じりの言葉に、森崎は―――
[132]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/22(木) 20:01:08 ID:8a1flvAQ *選択 A 「上等切んなら名ァ名乗れ、赤犬野郎」 言い値で喧嘩を買う。(必要CP:2) B 「なあ第二大隊長さん、躾はきちんとしておいてくれよ」 こちらのペースで喧嘩を買う。 C 「さて、俺だけの力で成し遂げたことではないからな」 事を荒立てないようにする。 D 「……それで、その第二大隊が今日は何の用件だ」 完全に無視する。 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『11/23 1:00』です。 ****** 訓練所パートの主要人物もこれで概ね揃い踏み、といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 お付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[133]傍観者 ◆YtAW.M29KM :2012/11/22(木) 20:34:54 ID:??? B 森崎は臆病者ではないけど、バカでもない、ということで。 ある意味では向こうの隊長の器を問う、ということでもあるかなー。
[134]ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/11/22(木) 22:50:39 ID:??? D ただのバカ犬に喧嘩を買うのは宜しくない 相手は隊長でもないし、無視して話を進めれば大人しくなるはず カルロスが隊長なら信用もできるし
[135]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/11/22(木) 23:25:19 ID:??? C実際森崎一人で倒した訳ではないですから。 それにどんな形であれ喧嘩を買えばカルロス隊長の面子を潰すのではないかと思います。
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0ch BBS 2007-01-24