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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】
[144]◆W1prVEUMOs :2012/11/27(火) 23:48:08 ID:??? B これから関わることになるなら知っておいて損はないので Cは上手くいけば(ネイの)スキルゲットの可能性があるけどリスクも高いパターンぽい
[145]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/11/27(火) 23:50:48 ID:??? A傭兵団ごと雇われたってのが気になるので教える情報は正確な方が良いかなと思います。
[146]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:08:04 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>143の選択については…… >>144 ◆W1prVEUMOs様のご回答を採用させていただきます! Cはご指摘の通り、ハイリスク・ハイリターン系の選択でした。 ちなみに部隊員のスキルLvは基本的に訓練時にしか上がりませんが、イベントの成功などで 上昇確率を大幅に底上げすることが可能です。 CP3を進呈いたします。 >>145 作中でも触れますが、傭兵の雇用は傭兵団丸ごと、というのがこの時代の基本です。 そうでないと質も安定しませんし、何よりドルファンがしているように衣食住から武具までの 手厚い面倒を雇用側が見なくてはいけなくなってしまうので、余計な手間がかかるのです。 その点、傭兵団ですと基本的にお金だけ払えば(戦勝報酬に領土や官位などを要求されることもありますが) 後は自給自足が原則ですので楽ちんですね。
[147]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:09:11 ID:??? *** B「あいつら、西洋圏では有名なのか」 結局、森崎が尋ねたのは第二大隊の面々についてである。 お尋ね者、という言葉が気にならぬといえば嘘にはなるが、ここで過去を問い詰めて 何が始まるわけでもない。 傭兵という稼業、そもそも故郷に身の置き場がない者が流れ流れて辿り着く職という側面もある。 森崎自身とて脛に傷の一つや二つ、ないではなかった。 故に意義の薄い詮索よりは、いま目の前にある課題に注力しようと思考を切り替えている。 「あ、ああ……」 「エル・ディオス・ケ・デベセール・オディアド……西洋圏屈指の傭兵団と言われている」 バツが悪そうなネイに先んじて、淡々と述べたのはトニーニョである。 仏頂面は常の厳格を取り戻し、動揺は少なくともその表情には見て取れない。 「向こうの有力な傭兵団の殆どはこの欧州から海を渡った者たちによるものだが、 彼らは西洋圏出身者だけで構成された傭兵団だ。規模は戦士が三、四百。 その他の団員を含めれば千に近いだろう。団長はカルロス・サンターナ」 「―――通称”エル・ニーニョ”。神の子、って意味だね〜」 トニーニョの言葉を引き継いでジェトーリオが言う。 「神の子……か」 「誰が言い出したものかは知らんがな。幾多の戦場を渡り歩きながら、これまで一度も 負け戦に参じたことがないという噂だ」 「ま、奇跡的に強いのか、奇跡的に運がいいのかは微妙なとこだけどね〜」 茶化すようなジェトーリオに、森崎がにやりと笑う。
[148]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:10:23 ID:??? 「奇跡の常勝軍団がドルファン側で参戦……か。そりゃ頼もしいこった」 「参戦……するのか、やはり」 「ああ、正式には来月の頭からって話だ。……だな、カイル?」 「あ、えと、は……はい!」 目まぐるしい状況の推移に棒立ちとなっていたカイルが、森崎の問いに首肯した。 トニーニョたちの目が向けられるのを待って、先を続ける。 「編成部より、十二月一日付で外国人傭兵大隊に第二大隊を新設すると通達がありました」 「なにィ!? 新設だと!?」 大きな目を更に大きく見開いたネイに、カイルが生真面目に頷く。 「はい。員数は三百。指揮系統は我々第一大隊とは完全に独立したものとなります。 モリサキ隊長にも命令権はありません」 「同格……ってわけか」 噛み締めるように呟く森崎。 「第二次徴募は我々のようにスィーズランド経由で個人の傭兵を集めるのではなく、 西洋圏から傭兵団の丸抱えという条件で大規模な増員を企図したようです」 「つっても、俺らみたいな流しだけ集める方が珍しいからな」 森崎の言葉は、この外国人傭兵大隊の特異さを端的に示している。 原則として戦時の傭兵はその一団ごと国家、あるいは領主との契約によって雇用される。 規模はそれこそ数人単位からヴァルファのような数千人といった巨大傭兵団まで様々ではあったが、 個人を大量に雇い入れるのは余程頭数が足りず、質を問わずに数をかき集めたい場合か、 もしくは経験豊富な傭兵団と契約できるだけの経済的な余裕がないかのどちらかである。 しかし森崎の見るところ、このドルファンにおける事情はそのどちらでもない。 貿易港を抱えるドルファンの懐具合は悪くないように見受けられるし、イリハでその弱体化を 露呈したとはいえ、戦前の騎士団は無駄な自信に満ち溢れていたはずだ。 であれば、何故か。
[149]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:11:53 ID:??? 考えを巡らせることは何度かあったが、答えが出たことはない。 たとえば相手がヴァルファであると判明していた場合、その威名に契約を躊躇う傭兵団は多いだろう。 契約後でも勝てぬ相手とわかれば中小の傭兵団は違約金を払って契約を解消したかもしれないが、 しかしプロキアがヴァルファの雇用を発表したのはドルファンが傭兵を徴募した後だった。 辻褄が、合わぬ。 と、そこまでを考えて、森崎は益体もない思考を打ち切る。 いま考えるべきことは他にいくらでもあった。 「まあ、最初から同じ釜の飯を食ってる連中なら再訓練の必要もないってわけだ。 上も俺たち寄せ集め部隊の扱いづらさに懲りたのかね」 「……」 冗談めかす森崎にカイルはただ困ったように目を伏せるばかりだった。 肩をすくめて先を促す。 「騎士団は再編成中で慣熟にまだ時間が必要であること、またダナンの早期奪還について 王室会議の背中を押す意図もある、と」 「例によってルーカスのおっさんのオフレコ分析か」 「はい。報告は以上です」 「……ってわけだが」 トニーニョたちに向き直る森崎。 「さっきの様子だと、団長の他にも知った顔があるみたいだったな」 「あー……」 問われ、ネイが渋面を作る。 「まあ、俺らは向こうでも傭兵やってたんだがよ。そんときに、何度かな」 「一応、味方ではあったんだけどね〜」
[150]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:13:03 ID:??? ネイの表情、そしてジェトーリオの一応、という言葉の選び方。 あまりいい感情を持っていないことは明らかだった。 代表するようにトニーニョが続ける。 「とにかく身内大事の意識が強い連中でな……それが強みでもあるのだろうが、 裏を返せば、それ以外は味方であろうと省みようとしないということにもなる」 「目の前のピンチなんか、平気で無視するからね〜」 ジェトーリオの声音にも珍しく苦いものが混じっている。 「それと、特にあのザガロ……赤い肌の彼はね、ちょっと手段を選ばないとこがあるから」 「確か、”城焼き”……とか言ってたな」 出会い頭にネイが口にしていたのは、あの狂犬じみた男の異名であっただろうか。 「イカれてんだ、アイツぁ」 吐き捨てるように言うのはネイだった。 「糧食を断つために街を焼く、村を焼く……そのくらいはどこだってやらあ。 けどよ……城ごと蒸し焼きにしちまうのはあの野郎くらいだろうぜ」 「……」 確かに、と森崎は内心で考える。 遥か遠い故郷には山城、それも木造の城が多く、籠城に対し時には火攻めも有効とされた。 しかしこの欧州では一部の堅固な要塞を除けば、広大な城塞都市という形態が一般的である。 籠城といっても城単体ではなく、石造りの街そのものを拠点として抵抗するのが常であった。 油を撒いて火をつけたところで大規模な延焼は望めず、位置づけとしては主に心理面での圧迫という 搦め手の戦術に留まっているはずだった。
[151]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:14:04 ID:??? 「ああ、向こう……西洋圏じゃあよ」 森崎の難しい顔をどう受け止めたか、ネイが付け加えるように言う。 「こっちと違って山と森が多いからな。城っても石積みのは珍しいんだ」 「なるほどな。……それで”城焼き”か」 納得する。 西洋圏での城攻めは比較的故郷のそれに近いのだろう。 「一度だけ、アイツが焼いた砦に入ったことがある。……今でもたまに夢にみるぜ」 「まあねえ、あれは強烈だったねえ」 「……」 焼かれた街はいつだって悲惨なものだ。 逃げ場のない砦ともなれば、その惨憺たる有様は想像に難くない。 記憶の底から、ツンとした異臭が鼻の奥に蘇ってくるような気がして森崎が話題を変えようとする。 「……で、あのバビントンってのはどんな奴なんだ。子供みたいに見えたが」 「あー、あれは……」 「まあ、そこの彼みたいなものだね〜」 と、ジェトーリオが指さしたのは扉の側に直立していたカイルである。 目を白黒させるカイルに手を振って、 「可愛い顔して結構えげつないんだよね。なにせ副団長だし」 「おお、そうだ。それ、本当だったのか」 「マジもマジ、大マジよ」 森崎が訝しげに訊くのへ、応えたのはネイだった。
[152]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:15:04 ID:??? 「あの傭兵団の実質的な仕切り役はあの坊やだって話だぜ。……坊やつっても、俺らと 大して歳は変わんねえらしいけどな」 「なにィ」 「団長のカルロス・サンターナが戦略と指揮を、副団長のバビントンが参謀役として 戦術と実務を担当しているらしい。本人の剣の腕も相当なものだと聞いたことがある」 「ほう……人は見かけによらないってわけだ」 感心したように頷く森崎。 「ま、俺らの知ってることは大体こんなもんだ」 「そうか。助かった」 「ああ……で、よ」 ふと声を落とし、森崎から視線を離して、ネイが言う。 「……聞かねえのか」 「何をだ」 「そりゃあ、その……」 口ごもるネイに、森崎が苦笑する。 ザガロが口にした『お尋ね者ども』の件を気にしているのだろう。 ネイの背後ではトニーニョが眉間の皺をいつにも増して深く刻み、ジェトーリオはそんな二人を見て お手上げとでもいうように小さく肩をすくめ、森崎に目配せをしている。 ネイに気付かれないように顎の先だけで頷いて、森崎が口を開いた。 「ワケありなのは誰だって同じだ」 「え……」 予想外の言葉だったのか、ネイが弾かれたように森崎を見る。 何事もないように軽く、森崎が続けた。
[153]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/29(木) 18:16:23 ID:??? 「この因果な商売、お互いつまらねえ詮索はご法度、ってな。聞いたことねえか」 「……そういや、最初に会った時もそんな事言ってたっけ」 「はは、よく覚えてるじゃねえかよ」 小さな笑いは、話を打ち切る合図だった。 「ま、どうしても言いたいってんなら聞いておくぜ」 「……いや、今はやめとくよ」 首を振るネイ。 その背後、ちらりとジェトーリオが視線を動かした理由は、森崎にも理解できる。 今は、と。 ネイはそう言ったのだった。 「……」 ふと、森崎が肩越しに窓の外を見る。 がたがたと窓を揺らす風は収まる気配もない。 曇天は更に厚く、今にも冷たい雨を降らせようとしているように思えるのだった。 ******
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0ch BBS 2007-01-24